説明

エレベータ

【課題】 ガイドレールの防錆を改良したエレベータを提供する。
【解決手段】 エレベータは、昇降路内を昇降する昇降ユニットと、前記昇降ユニットの昇降を案内するガイドレールと、前記昇降ユニット側に設けられる磁石部と、前記ガイドレール側に設けられるコイル部と、を有し、前記昇降ユニットの昇降によって発電するとともに、前記ガイドレールに電流を流す複数の発電機と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガイドレールに防錆を施したエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
雨水などによる鋼構造物の錆(さび)の発生を抑制し、耐久性を増大して長寿命化を図った鋼構造電子防錆システムが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−43789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、エレベータのガイドレールに関しても防錆の要請があり、防錆に関する改良へのニーズが存在していた。
【0005】
本発明は、ガイドレールの防錆を改良したエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータは、昇降路内を昇降する昇降ユニットと、前記昇降ユニットの昇降を案内するガイドレールと、前記昇降ユニット側に設けられる磁石部と、前記ガイドレール側に設けられるコイル部と、を有し、前記昇降ユニットの昇降によって発電するとともに、前記ガイドレールに電流を流す複数の発電機と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態にかかるエレベータを示した正面図。
【図2】図1に示すエレベータのメインレールの周囲を拡大して示した断面図。
【図3】図1に示すエレベータのカウンターレールの周囲を拡大して示した断面図。
【図4】図1に示すエレベータの変圧器および整流器を示した模式図。
【図5】図2に示すメインレールおよびカウンターレールの内部の電子の流れを示した断面図。
【図6】第1の実施形態にかかるエレベータの変形例を示した断面図。
【図7】第2の実施形態にかかるエレベータのメインレールおよびカウンターレールの周囲を拡大して示した断面図。
【図8】第3の実施形態にかかるエレベータのメインレールおよびカウンターレールの周囲を拡大して示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1から図5を参照して、エレベータの第1の実施形態について説明する。
【0009】
図1から図3に示すように、エレベータ11は、昇降路12と、昇降路12の周囲を取り囲んだ壁部13と、昇降路12内を昇降する乗りかご14と、昇降路12の上方に設けられた機械室15と、機械室15に設けられた巻上機16と、機械室15に設けられて巻上機16などを制御する制御盤17と、巻上機16のメインシーブ23に巻き掛けられるとともに一端で乗りかご14に固定されるメインロープ21と、メインロープ21の他端に固定されるつり合い重り22と、メインシーブ23に隣接して設けられたそらせシーブ24と、乗りかご14の昇降をガイドする金属製のメインレール25と、メインレール25を壁部13に固定する金属製のメインレールブラケット26と、つり合い重り22の昇降をガイドする金属製のカウンターレール27と、カウンターレール27を壁部13に固定する金属製のカウンターレールブラケット28と、乗りかご14に設けられるとともにメインレール25に沿って乗りかごを案内するガイドシュー31と、乗りかご14に制御信号および電力を供給するテールコード32と、乗りかご14とつり合い重り22とを連結したコンペンセーティングロープ33と、コンペンセーティングロープ33が巻き掛けられるコンペンセーティングシーブ34と、乗りかご14の昇降によって発電する複数の第1の交流発電機35(発電機)と、つり合い重り22の昇降によって発電する複数の第2の交流発電機36(発電機)と、を備えている。乗りかご14およびつり合い重り22は、昇降路12内を昇降する昇降ユニットの一例である。また、メインレール25およびカウンターレール27は、乗りかご14およびつり合い重り22の昇降を案内するガイドレールの一例である。
【0010】
制御盤17(制御部)は、巻上機16のみならず、エレベータ11全体を統括的に制御している。また、図4に示すように、エレベータ11は、第1の交流発電機35および第2の交流発電機36で発電した電気の電圧を適切な値に調節するための変圧器37と、交流電流を直流電流に変換するダイオード等で構成された整流器38と、を備えている。
【0011】
図2に示すように、エレベータ11は、メインレール25と壁部13との間の位置に設けられた第1の絶縁体41と、メインレール25とメインレールブラケット26との間の位置に設けられた第2の絶縁体42と、を有しており、メインレール25に流される電流が壁部13に漏出しないようにしている。なお、メインレール25と壁部13との間が分離されており、メインレール25がメインレールブラケット26によってのみ壁部13と接触する構造の場合には、第1の絶縁体41は不要であり、第2の絶縁体42のみを使用すれば足りる。
【0012】
同様に、図3に示すように、エレベータ11は、カウンターレール27と壁部13との間の位置に設けられた第3の絶縁体43と、カウンターレール27とカウンターレールブラケット28との間の位置に設けられた第4の絶縁体44と、を有し、カウンターレール27に流される電流が壁部13に漏出しないようにする。なお、カウンターレール27と壁部13との間が分離されており、カウンターレール27がカウンターレールブラケット28によってのみ壁部13と接触する構造の場合には、第3の絶縁体43は不要であり、第4の絶縁体44のみを使用すれば十分である。第1から第4の絶縁体44は、それぞれゴム製のシート等で構成される。
【0013】
複数の第1の交流発電機35のそれぞれは、乗りかご14の昇降移動を利用して発電を行って、近傍にあるメインレール25に対して電流(微弱電流)を流すことができる。図2に示すように、複数の第1の交流発電機35は、メインレール25の長さ方向に沿って略均一なピッチで設けられた複数の第1のコイル部45と、乗りかご14のガイドシュー31の近傍に設けられた例えば1つの第1の磁石部46と、を有している(図2では、第1のコイル部45を1つのみ示す。)。すなわち、1つの第1の磁石部46は、複数の第1の交流発電機35によって共有されている。第1の磁石部46は、例えば永久磁石で構成されているが、電磁石であってもよい。第1の磁石部46は、その磁力線の向きが昇降路12の高さ方向と直交する横方向に向いている。
【0014】
また、本実施形態では、乗りかご14に1つの第1の磁石部46を設けているが、第1の磁石部46の数はこれに限定されるものではなく、例えば乗りかご14の高さ方向(上下方向)に沿って乗りかご14に複数の第1の磁石部46を設けて、発電効率をさらに向上しても良い。
【0015】
第1のコイル部45は、メインレール25の中ほどでは、上記のように略均一なピッチ(例えば、1m毎に1つ)で設けられているが、メインレール25の上下方向の両端部に行くにつれて徐徐にピッチが小さくなるように密に配置される(例えば、50cm毎に1つ、メインレールの最も端部に近い箇所では、25cm毎に1つ)。
【0016】
各第1のコイル部45は、本実施形態では、例えば、メインレール25の底部25B(フランジ部)上に設けられている。各第1のコイル部45は、第1の磁石部46からの磁力線と直交する方向にコイルが巻かれている。第1のコイル部45は、乗りかご14の昇降によって第1の磁石部46からの磁力線が第1のコイル部45のコイルを横切ることにより、発電することができる。
【0017】
各第1のコイル部45のプラス極47(陽極)はメインレール25の頭部25Aに接続されている。第1のコイル部45のマイナス極48(陰極)はメインレール25の底部25B(フランジ部)に接続されている。
【0018】
同様に、複数の第2の交流発電機36のそれぞれは、つり合い重り22の昇降移動を利用して発電を行って、近傍にあるカウンターレール27に対して電流(微弱電流)を流すことができる。図3に示すように、複数の第2の交流発電機36は、カウンターレール27の長さ方向に沿って略均一なピッチで設けられた複数の第2のコイル部51と、つり合い重り22のガイドシュー31の近傍に設けられた例えば1つの第2の磁石部52と、を有している(図2では、第2のコイル部51を1つのみ示す。)。すなわち、1つの第2の磁石部52は、複数の第2の交流発電機36によって共有されている。第2の磁石部52は、例えば永久磁石で構成されているが、電磁石であってもよい。また、本実施形態では、つり合い重り22に1つの第2の磁石部52を設けているが、第1の磁石部46と同様に、つり合い重り22の高さ方向(上下方向)に沿ってつり合い重り22に複数の第2の磁石部52を設けて、発電効率を高めても良い。
【0019】
第2のコイル部51は、カウンターレール27の中ほどでは、上記のように略均一なピッチ(例えば、1m毎に1つ)で設けられているが、カウンターレール27の上下方向の両端部に行くにつれて徐徐にピッチが小さくなるように密に配置される(例えば、50cm毎に1つ、カウンターレール27の最も端部に近い箇所では、25cm毎に1つ)。
【0020】
各第2のコイル部51は、本実施形態では、例えば、カウンターレール27の底部25B(フランジ部)上に設けられている。各第2のコイル部51は、第2の磁石部52からの磁力線と直交する方向にコイルが巻かれている。第2のコイル部51は、つり合い重り22の昇降によって第2の磁石部52からの磁力線が第2のコイル部51のコイルを横切ることにより、発電することができる。
【0021】
各第2のコイル部51のプラス極47(陽極)はカウンターレール27の頭部27Aに接続されている。第2のコイル部51のマイナス極48(陰極)はカウンターレール27の底部27B(フランジ部)に接続されている。
【0022】
続いて、図5等を参照して、第1の実施形態の防錆作用について説明する。まず、エレベータ11が作動して乗りかご14およびつり合い重り22が昇降路12内で昇降移動すると、乗りかご14が通過した位置にある第1の交流発電機35の第1のコイル部45、およびつり合い重り22が通過した位置にある第2の交流発電機36の第2のコイル部51、において発電される。第1のコイル部45で発電された微弱な電流は、メインレール25の頭部25Aから底部25Bに向けて流れる(実際には、メインレール25の底部25Bから頭部25Aに向けて電子が供給される)。同様に、第2のコイル部51で発電された微弱な電流は、カウンターレール27の頭部27Aから底部27Bに向けて流れる(実際には、カウンターレール27の底部27Bから頭部27Aに向けて電子が供給される)。このように、メインレール25およびカウンターレール27において常に電子が供給され、メインレール25およびカウンターレール27を構成する金属のイオン化が防がれて、メインレール25およびカウンターレール27の錆が防止される。
【0023】
また、通常のエレベータ11では、メインレール25およびカウンターレール27の両端部に行くにつれて、乗りかご14およびつり合い重り22が通過する回数が少なくなり、第1の交流発電機35および第2の交流発電機36において十分な発電がなされない可能性がある。本実施形態では、メインレール25およびカウンターレール27の両端部に行くにつれて第1の交流発電機35および第2の交流発電機36が高密度で配置されるため、乗りかご14およびつり合い重り22の少なくとも1回の通過があれば、防錆のために必要な量の電子が供給されるように設計されている。
【0024】
第1の実施形態によれば、エレベータ11は、昇降路12内を昇降する昇降ユニットと、昇降ユニットの昇降を案内するガイドレールと、昇降ユニット側に設けられる磁石部と、ガイドレール側に設けられるコイル部と、を有し、昇降ユニットの昇降によって発電するとともに、ガイドレールに電流を流す複数の発電機と、を備える。
【0025】
上記構成によれば、昇降ユニット(乗りかご14、つり合い重り22)の昇降によって発電する発電機を利用してガイドレール(メインレール25、カウンターレール27)に防錆をすることができ、別途に電源が不要で構成を簡略化できるとともに、今までに使用されていなかったクリーンなエネルギーを有効に活用することができる。
【0026】
また、エレベータ11は、昇降路12を取り囲んだ壁部13と、ガイドレールを壁部13に取り付けるブラケットと、ガイドレールと壁部13との間およびガイドレールとブラケットとの間の少なくとも一方に設けられる絶縁体と、を備える。
【0027】
これによれば、ガイドレールに供給された電流(電子)の一部が壁部13に漏出してしまうことがなく、ガイドレールの防錆(電子防錆)の効果をより一層効率よく発揮できる。
【0028】
また、コイル部は、ガイドレールの長さ方向に沿って略均一ピッチで設けられる。この構成によれば、ガイドレール(メインレール25、カウンターレール27)に沿ってコイル部(第1のコイル部45、第2のコイル部51)を複数設けることができるため、コイル部1つ1つにおける発電量が仮に少なかったとしても、コイル部の数によって発電量を補うことができる。これによって、ガイドレールの各部において十分な電子が供給され、ガイドレールの防錆効果を十分に発揮できる。
【0029】
さらに、コイル部は、ガイドレールの両端部に近づくにつれて密に設けられる。このため、昇降ユニット(乗りかご14、つり合い重り22)の通過回数が必然的に少なくなるガイドレール(メインレール25、カウンターレール27)の両端部においても、発電量が足りなくなることがなく、防錆のために十分な量の電子をガイドレールに供給することができる。
【0030】
図6を参照して、第1の実施形態のエレベータの変形例を説明する。本変形例では、第1の実施形態とは異なり、第1の交流発電機35の第1のコイル部45および第2の交流発電機36の第2のコイル部51がメインレール25およびカウンターレール27の底部25B上ではなく、メインレール25およびカウンターレール27の近傍にある壁部13上に設置されている。また、第1の磁石部46は、ガイドシュー31ではなく、乗りかご14から突出させた構造49の先端に設けられている。また同様に、第2の磁石部52は、ガイドシュー31ではなく、つり合い重り22から突出させた構造50の先端に設けられている。
【0031】
本変形例によっても、メインレール25およびカウンターレール27に十分な防錆効果を得ることができる。すなわち、第1のコイル部45および第2のコイル部51の設置位置はメインレール25およびカウンターレール27の底部25B上に限られない。しかしながら、第1の実施形態では、メインレール25およびカウンターレール27の底部25B上に第1のコイル部45および第2のコイル部51を設けることで、昇降路12内のスペースを有効に活用している。
【0032】
続いて、図7を参照して、エレベータの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のエレベータ11は、ガイドレールに電流を流すことが可能な複数の外部電源61などを有している点で第1の実施形態と構成が異なっているが、他の部分は共通している。このため、主として第1の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施形態では、複数の第1の交流発電機35がメインレール25の長さ方向に沿って略均一なピッチで配置されている(例えば、1m毎に1つ)。そして、第1の実施形態のようにメインレール25の両端部に行くにつれて第1の交流発電機35を密に配置する代わりに、本実施形態ではメインレール25の両端部の近傍にある複数の第1の交流発電機35にそれぞれ外部電源61を付属させている。
【0034】
すなわち、複数の外部電源61のうちの1つは、メインレール25の下端(一方の端部)の近傍にある第1の交流発電機35に接続される。複数の外部電源61のうちの1つは、メインレールの上端(他方の端部)の近傍にある第1の交流発電機35に接続される。本実施形態では、これらの外部電源61の一例としてバッテリが用いられている。
【0035】
同様に、本実施形態では、複数の第2の交流発電機36がカウンターレール27の長さ方向に沿って略均一なピッチで配置されている(例えば、1m毎に1つ)。そして、第1の実施形態のようにカウンターレール27の両端部に行くにつれて第2の交流発電機36を密に配置する代わりに、本実施形態ではカウンターレール27の両端部の近傍にある複数の第2の交流発電機36にそれぞれ外部電源61を付属させている。
【0036】
すなわち、複数の外部電源61のうちの1つは、カウンターレール27の下端(一方の端部)の近傍にある第2の交流発電機36に接続される。複数の外部電源61のうちの1つは、カウンターレール27の上端(他方の端部)の近傍にある第2の交流発電機36に接続される。本実施形態では、これらの外部電源61の一例としてバッテリが用いられている。なお、外部電源61は、バッテリに限定されるものではなく、例えば制御盤17から電力を供給するものであってもよい。
【0037】
また、本実施形態では、複数の第1の交流発電機35のそれぞれは、自ら発電を行った発電量を取得し、制御盤17(制御部)に送信可能な第1の取得部62を有している。同様に、また、複数の第2の交流発電機36のそれぞれは、自ら発電を行った発電量を取得し、制御盤17(制御部)に送信可能な第2の取得部63を有している。
【0038】
続いて、本実施形態のエレベータ11における防錆作用について説明する。エレベータ11の通常運転によって、乗りかご14或いはつり合い重り22が昇降すると、乗りかご14或いはつり合い重り22が第1の交流発電機35および第2の交流発電機36を通過する際に、第1のコイル部45および第2のコイル部51において発電される。このように発電された電気は、メインレール25およびカウンターレール27の底部25B、27Bから頭部25A、27Aに向けて電子として供給される。また同時に、第1の取得部62において第1の交流発電機35が発電した発電量が取得されるとともに、第2の取得部63において第2の交流発電機36が発電した発電量が取得され、それらの結果が制御盤17(制御部)に送信される。制御盤17では、各第1の交流発電機35の発電量、および各第2の交流発電機36の発電量を所定の基準値と比較する。基準値と比較した結果、基準値を下回る発電量しか得られなかった箇所では、スイッチ64を作動させて外部電源61からメインレール25およびカウンターレール27に電流を流すようにする。基準値を上回る発電量が得られている場合には、外部電源61からの電流の供給を行なわない。
【0039】
第2の実施形態によれば、エレベータ11は、昇降路12内を昇降する昇降ユニットと、昇降ユニットの昇降を案内するガイドレールと、昇降ユニット側に設けられる磁石部と、ガイドレール側に設けられるコイル部と、を有し、昇降ユニットの昇降によって発電するとともに、ガイドレールに電流を流す複数の発電機と、ガイドレールに電流を流すことが可能な複数の外部電源61と、複数の発電機のそれぞれに設けられるとともに、自らの発電量を取得する複数の取得部と、複数の取得部で取得された発電量が所定の値よりも小さいときに複数の外部電源61からガイドレールに電流を流す制御部と、を備える。
【0040】
この構成によれば、発電機において予定した電力が発電できなかった場合に、外部電源61を利用してガイドレール(メインレール25、カウンターレール27)に電流を流すことができ、ガイドレールにおいて確実に防錆効果を発揮させることができる。
【0041】
また、複数の外部電源のうちの1つは、ガイドレールの一方の端部の近傍に設けられ、複数の外部電源のうちの1つは、ガイドレールの他方の端部の近傍に設けられる。この構成によれば、昇降ユニット(乗りかご14、つり合い重り22)の通過回数が必然的に少なくなるガイドレール(メインレール25、カウンターレール27)の両端部において、外部電源を予備的な電源として配置することができる。これによって、発電機において所定の発電量が得られなかった場合に、外部電源61からガイドレールに電流を流すことができ、ガイドレールの防錆効果を確実に発揮させることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、外部電源(バッテリ)をメインレール25およびカウンターレール27の両端部の近傍にのみ設けるようにしているが、この例に限定されるものではなく、例えば、局所的に発電量が小さくなる箇所に設ける予備的な電源として外部電源61を配置してもよい。
【0043】
続いて、図8を参照して、エレベータの第3の実施形態について説明する。第3の実施形態のエレベータ11は、第1の交流発電機35および第2の交流発電機36で発電された電気を一旦バッテリ71に充電する点などで第1の実施形態と構成が異なっているが、他の部分は共通している。このため、主として第1の実施形態と異なる部分について説明し、共通する箇所については共通の符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、エレベータ11は、複数の第1の交流発電機35または複数の第2の交流発電機36のそれぞれに接続された複数のバッテリ71と、複数のバッテリ71に接続されて複数のバッテリ71からメインレール25またはカウンターレール27に電流を流したり、複数のバッテリ71からの電流を遮断したりする複数のスイッチ64と、複数のスイッチ64にそれぞれ接続された複数のタイマー72と、を有している。各バッテリ71のプラス極47(陽極)はメインレール25またはカウンターレール27の頭部25A(27A)に接続されている。各バッテリ71のマイナス極48(陰極)はメインレール25またはカウンターレール27の底部25B(27B)に接続されている。複数の第1の交流発電機35および複数の第2の交流発電機36の配置は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態のエレベータの防錆作用について説明する。本実施形態では、複数の第1の交流発電機35および複数の第2の交流発電機36で発電された電気は、例えばダイオード等で構成される整流器38を通して直流に変換され、一旦バッテリ71に充電される。バッテリ71に充電された電力は、タイマー72の制御によって作動するスイッチ64によって、例えば、数時間に一度、数秒間電流がメインレール25或いはカウンターレール27に流される。なお、電流を流す間隔および流す時間については、建物内の湿度等の状況に応じて適宜に設定することができる。
【0046】
第3の実施形態によれば、エレベータ11は、昇降路内を昇降する昇降ユニットと、昇降ユニットの昇降を案内するガイドレールと、昇降ユニット側に設けられる磁石部と、ガイドレール側に設けられるコイル部と、を有し、昇降ユニットの昇降によって発電する複数の発電機と、複数の発電機で発電された電気が蓄えられる複数のバッテリ71と、一定の時間間隔で複数のバッテリ71からガイドレールに電流を流すタイマー72と、を備えた。
【0047】
この構成によれば、発電機で発電された電力を一旦バッテリ71に充填して蓄積することができるため、例えばエレベータ11がある一定の期間休止するような場合であっても、バッテリ71内の電力が続く限度で、ガイドレールに一定の期間、防錆効果を発揮させることができる。同様に、エレベータ11が稼働する頻度の少ない夜間においても防錆効果を発揮させることができ、錆の発生率をより一層低下させることができる。これによって、ガイドレールの寿命をさらに延ばすことができる。
【0048】
本発明のエレベータ11は、前記実施の形態に限定されるものではなく、前記実施形態に登場する発電機は一例に過ぎない。その他、昇降ユニット(乗りかご14、つり合い重り22)の昇降時の運動エネルギーおよびこれから派生したエネルギー(振動、風力、回生電力)のいずれかを利用して発電を行って、この発電された電力(電流)をガイドレール(メインレール25、カウンターレール27)に流して防錆を行っても良い。
【0049】
具体的には、乗りかご14およびつり合い重り22の昇降時にメインレール25およびカウンターレール27に発生する振動を利用して、例えばこれらに隣接して設けた圧電素子を発電機として発電を行って、メインレール25およびカウンターレール27に微弱電流を流してもある程度防錆効果が期待できる。この振動は、例えば、乗りかご14およびつり合い重り22が昇降する際に、乗りかご14およびつり合い重り22に設けられるローラ式のガイドシューがメインレール25およびカウンターレール27に接触することで発生する。
【0050】
同様に、乗りかご14およびつり合い重り22の昇降時に発生する風力を利用する小型の風力発電機によって発電を行って、それによって微弱電流をメインレール25およびカウンターレール27に流しても、同様に防錆効果が期待できる。
【0051】
さらには、移動する乗りかご14を停止させる際に巻上機16において発生する回生電力を利用して、当該電力に変圧および整流を行った後、さらに必要であればバッテリ71に蓄積した上で、メインレール25およびカウンターレール27に微弱電流として流しても防錆効果がある。このほか、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
11…エレベータ、12…昇降路、13…壁部、14…乗りかご、17…制御盤、22…つり合い重り、25…メインレール、26…メインレールブラケット、27…カウンターレール、28…カウンターレールブラケット、35…第1の交流発電機、36…第2の交流発電機、41…第1の絶縁体、42…第2の絶縁体、43…第3の絶縁体、44…第4の絶縁体、45…第1のコイル部、46…第1の磁石部、51…第2のコイル部、52…第2の磁石部、61…外部電源、62…第1の取得部、63…第2の取得部、64…スイッチ、71…バッテリ、72…タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降する昇降ユニットと、
前記昇降ユニットの昇降を案内するガイドレールと、
前記昇降ユニット側に設けられる磁石部と、前記ガイドレール側に設けられるコイル部と、を有し、前記昇降ユニットの昇降によって発電するとともに、前記ガイドレールに電流を流す複数の発電機と、
を備えるエレベータ。
【請求項2】
前記昇降路を取り囲んだ壁部と、
前記ガイドレールを前記壁部に取り付けるブラケットと、
前記ガイドレールと前記壁部との間および前記ガイドレールと前記ブラケットとの間の少なくとも一方に設けられる絶縁体と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記コイル部は、前記ガイドレールの長さ方向に沿って略均一ピッチで設けられる請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記コイル部は、前記ガイドレールの両端部に近づくにつれて密に設けられる請求項3に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記ガイドレール側は、前記ガイドレール自体と、前記ガイドレールの近傍に位置するとともに前記昇降路を取り囲んだ壁部と、を含む請求項1に記載のエレベータ。
【請求項6】
昇降路内を昇降する昇降ユニットと、
前記昇降ユニットの昇降を案内するガイドレールと、
前記昇降ユニット側に設けられる磁石部と、前記ガイドレール側に設けられるコイル部と、自らの発電量を取得する取得部と、を有し、前記昇降ユニットの昇降によって発電するとともに、前記ガイドレールに電流を流す複数の発電機と、
前記ガイドレールに電流を流すことが可能な複数の外部電源と、
前記取得部で取得された前記発電量が所定の値よりも小さいときに前記複数の外部電源から前記ガイドレールに電流を流す制御部と、
を備えるエレベータ。
【請求項7】
前記複数の外部電源のうちの1つは、前記ガイドレールの一方の端部の近傍に設けられ、前記複数の外部電源のうちの1つは、前記ガイドレールの他方の端部の近傍に設けられる請求項6に記載のエレベータ。
【請求項8】
昇降路内を昇降する昇降ユニットと、
前記昇降ユニットの昇降を案内するガイドレールと、
前記昇降ユニット側に設けられる磁石部と、前記ガイドレール側に設けられるコイル部と、を有し、前記昇降ユニットの昇降によって発電する複数の発電機と、
前記複数の発電機で発電された電気が蓄えられる複数のバッテリと、
一定の時間間隔で前記複数のバッテリから前記ガイドレールに電流を流すタイマーと、
を備えたエレベータ。
【請求項9】
昇降路内を昇降する昇降ユニットと、
前記昇降ユニットの昇降を案内するガイドレールと、
前記昇降ユニットの昇降時の運動エネルギーおよび該運動エネルギーから派生したエネルギーのいずれかによって発電するとともに、電流を前記ガイドレールに流す複数の発電機と、
を備えるエレベータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate