説明

エンジニアリング支援装置およびエンジニアリング支援方法

【課題】エンジニアリング作業の容易化および短縮化を図る。
【解決手段】対象機器が未選択の未設定領域を有した典型的な対象システムをグラフィカルに表示し、該対象システムに対応した全体制御を行うプログラムが記述された複数のテンプレートプログラム50と、前記未設定領域に設定可能な対象機器を示すシンボルをグラフィカルに表示し、該対象機器に対する制御が記述された複数のシンボル対応プログラムモジュール52とを予め記憶した記憶部32と、テンプレート選択画面を表示し、選択された1つのテンプレートプログラムに対応する典型的な対象システムをグラフィカルに表示するとともに、該対象システムの未設定領域に設定可能な対象機器をグラフィカルに表示し、前記未設定領域に、前記シンボルが設定された場合に、該シンボルに対応する対象機器の制御を挿入した全体制御プログラムを生成するエンジニアリング支援制御部40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種プラントに対応したエンジニアリング作業を容易かつ短縮して行うことができるエンジニアリング支援装置およびエンジニアリング支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種プラントの制御システムを構築する場合、そのシステムを仕様を紙レベルで決定し、その後、制御システムがプログラマブルコントローラ(PLC)を用いることから、ラダー図などの特殊な技術を有する者がプログラミングツールを用いてパーソナルコンピュータなどでプログラミングを行って自動制御回路や入出力割付などを行い、さらにこの生成したプログラムをPLCにローディングしていた。さらに、このPLCにローディングされたプログラムに対しては、ローディング後、さらには現地でデバッグを行っていた。
【0003】
なお、特許文献1には、ネットワーク構成情報とプロファイルデータの中のプログラム部品情報とを利用して、プログラミング対象の機器において利用可能なプログラム部品を特定できるようにし、これによって利用可能なプログラム部品を識別する手間がかからずにプログラミングを容易に行うことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−152799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プラントなどの制御システムの仕様の決定から、設計、さらに試験を行う従来の一連のエンジニアリング作業では、そもそも個々のプラント毎にシステム全体構成を決定していたため、たとえプログラミングの迅速化を図ったとしても、全体的なエンジニアリング作業の容易化を達成することができない場合があるという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プラントなどの制御システム構築にかかるエンジニアリング作業の容易化および短縮化を図ることができるエンジニアリング支援装置およびエンジニアリング支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるエンジニアリング支援装置は、表示出力および操作入力を行う表示器と、制御対象機器および/または監視対象機器が選択されていない未設定領域を有した典型的な対象システムを前記表示器の表示画面にグラフィカルに表示するとともに、該表示された典型的な対象システムに対応した全体制御を行うプログラムが記述された複数のテンプレートプログラムを予め記憶したテンプレート記憶部と、前記未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器を示すシンボルを前記表示器の表示画面にグラフィカルに表示するとともに、該制御対象機器および/または監視対象機器に対して行う制御が設定可能に記述された複数の機器対応プログラムモジュールを予め記憶したモジュール記憶部と、前記複数のテンプレートプログラムの選択依頼を示すテンプレート選択画面を前記表示器の表示画面に表示し、該テンプレート選択画面で選択された1つのテンプレートプログラムに対応する典型的な対象システムをグラフィカルに表示するとともに、該表示された対象システムの未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器をグラフィカルに表示し、表示された対象システム内の前記未設定領域に、前記シンボルが表示画面上で設定された場合に、該設定されたシンボルに対応する制御対象機器および/または監視対象機器の制御を挿入した全体制御プログラムを生成するエンジニアリング支援制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援装置は、上記の発明において、前記機器対応プログラムモジュールは、機能毎に詳細設定可能な設定画面をグラフィカルに表示するとともに、制御対象機器および/または監視対象機器に対して行う機能毎の詳細制御が設定可能に記述された複数の詳細設定モジュールをさらに有し、前記エンジニアリング支援制御部は、前記未設定領域に設定されたシンボルが選択された場合に前記詳細設定モジュールの設定画面を表示することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援装置は、上記の発明において、前記エンジニアリング支援制御部は、生成された全体制御プログラムをローディングすることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援方法は、上記の発明において、前記表示器は、プログラマブル表示器であり、前記テンプレート記憶部、前記モジュール記憶部、および前記エンジニアリング支援制御部は、プログラマブルコントローラの制御ユニット内に設けられることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援方法は、上記の発明において、前記機器対応プログラムモジュールは、前記プログラマブルコントローラの入出力ユニットに対応した制御プログラムであることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援方法は、上記の発明において、前記複数のテンプレートプログラムおよび複数の機器対応プログラムは、プラント毎に設けられ、前記エンジニアリング支援制御部は、複数のプラントのなかから1つのプラントの選択依頼を示すプラント選択画面を前記表示器の表示画面に表示し、その後該プラント選択画面で選択されたプラントに対応する前記テンプレート選択画面を前記表示器の表示画面に表示することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援方法は、制御対象機器および/または監視対象機器が選択されていない未設定領域を有した典型的な対象システムをグラフィカルに表示するとともに、該表示された典型的な対象システムに対応した全体制御を行うプログラムが記述された複数のテンプレートプログラムと、前記未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器を示すシンボルをグラフィカルに表示するとともに、該制御対象機器および/または監視対象機器に対して行う制御が設定可能に記述された複数の機器対応プログラムモジュールとを予め記憶する記憶ステップと、前記複数のテンプレートプログラムの選択依頼を示すテンプレート選択画面を表示し、該テンプレート選択画面で選択された1つのテンプレートプログラムに対応する典型的な対象システムをグラフィカルに表示するとともに、該表示された対象システムの未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器をグラフィカルに表示し、表示された対象システム内の前記未設定領域に、前記シンボルが表示画面上で設定された場合に、該設定されたシンボルに対応する制御対象機器および/または監視対象機器の制御を挿入した全体制御プログラムを生成するエンジニアリング支援制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援方法は、上記の発明において、前記機器対応プログラムモジュール内に、機能毎に詳細設定可能な設定画面をグラフィカルに表示するとともに、制御対象機器および/または監視対象機器に対して行う機能毎の詳細制御が設定可能に記述された複数の詳細設定モジュールを予め記憶する詳細設定モジュール記憶ステップをさらに含み、前記エンジニアリング支援制御ステップは、前記未設定領域に設定されたシンボルが選択された場合に前記詳細設定モジュールの設定画面を表示することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援方法は、上記の発明において、前記エンジニアリング支援制御ステップによって生成された全体制御プログラムをローディングするローディングステップを含むことを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援方法は、上記の発明において、前記機器対応プログラムモジュールは、プログラマブルコントローラの入出力ユニットに対応した制御プログラムであることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるエンジニアリング支援方法は、上記の発明において、前記複数のテンプレートプログラムおよび複数の機器対応プログラムは、プラント毎に設けられ、前記エンジニアリング支援制御ステップは、複数のプラントのなかから1つのプラントの選択依頼を示すプラント選択画面を前記表示器の表示画面に表示し、その後該プラント選択画面で選択されたプラントに対応する前記テンプレート選択画面を前記表示器の表示画面に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、テンプレート記憶部に、制御対象機器および/または監視対象機器が選択されていない未設定領域を有した典型的な対象システムを前記表示器の表示画面にグラフィカルに表示するとともに、該表示された典型的な対象システムに対応した全体制御を行うプログラムが記述された複数のテンプレートプログラムを予め記憶し、モジュール記憶部に、前記未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器を示すシンボルを前記表示器の表示画面にグラフィカルに表示するとともに、該制御対象機器および/または監視対象機器に対して行う制御が設定可能に記述された複数の機器対応プログラムモジュールを予め記憶し、エンジニアリング支援制御部が、前記複数のテンプレートプログラムの選択依頼を示すテンプレート選択画面を前記表示器の表示画面に表示し、該テンプレート選択画面で選択された1つのテンプレートプログラムに対応する典型的な対象システムをグラフィカルに表示するとともに、該表示された対象システムの未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器をグラフィカルに表示し、表示された対象システム内の前記未設定領域に、前記シンボルが表示画面上で設定された場合に、該設定されたシンボルに対応する制御対象機器および/または監視対象機器の制御を挿入した全体制御プログラムを生成するようにしているので、プラントなどの制御システム構築にかかるエンジニアリング作業の容易化および短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、この発明の実施の形態にかかるエンジニアリング支援装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示した制御ユニットの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、テンプレート画面および詳細設定画面を示す模式図である。
【図4】図4は、エンジニアリング支援制御部によるエンジニアリング支援制御処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、初期画面、プラント選択画面、テンプレート選択画面への遷移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態であるエンジニアリング支援装置およびエンジニアリング支援方法について説明する。
【0021】
図1は、この発明の実施の形態にかかるエンジニアリング支援装置の概要構成を示す模式図である。図1に示すように、このエンジニアリング支援装置は、PLC1と、表示画面23を含む表示部21と入力部22とを有したプログラマブル表示器2とを備える。
【0022】
PLC1は、複数のユニットから構成され、各種機器群3に接続され、各種機器群3からの信号を取り込む入力ユニットや各種機器群3に対して制御出力などの信号を出力する出力ユニットなどからなる入出力ユニット群12と、PLC1全体を制御する制御ユニット11とを有する。なお、制御ユニット11は、プログラマブル表示器2と接続するI/O機能を有する。もちろん、PLC1は、電源ユニットを有し、入出力ユニット12群は、他のPLCとも接続可能である。
【0023】
プログラマブル表示器2は、PLC1に接続され、PLC1に接続されている各種機器群3の稼働状況を表示する機能を有するとともに、制御指示を与えるための入力操作画面を表示して入力を受け付ける機能を有する。さらに、プログラマブル表示器2は、制御ユニット11の制御のもとに、エンジニアリング作業を支援する画面を表示することができる。なお、入力部22は、マウスなどのポインティングデバイスなどで実現され、各種入力指示情報を入力する。また、入力部22を持たず、表示画面23をタッチパネルなどによって入力機能と出力機能とを兼ね備えるようにしてもよい。
【0024】
図2は、図1に示した制御ユニットの詳細構成を示すブロック図である。図2に示すように、制御ユニット11は、制御部30と、この制御部30にそれぞれ接続される入出力部31および記憶部32とを有する。入出力部31は、PLC1との間の入出力制御を行う。また、制御部30は、エンジニアリング支援制御部40を有し、エンジニアリング支援制御部40は、PLC1を用いてプラントを制御する制御システムのエンジニアリングを支援する制御を行う。
【0025】
記憶部32は、PLC1を用いて制御や監視が可能な3つのプラント毎にプラントブロック41〜43を有する。また、記憶部32は、エンジニアリング支援制御処理によって生成途中の全体制御プログラムを一時格納する一時格納部44と、ローディング済みの完成した全体制御プログラム45とを有する。
【0026】
各プラントブロック41〜43は、たとえば、プラント種別やプラントの規模などによって複数設けられるが、ここでは、3つのプラントブロック41〜43を有する。各プラントブロック41〜43は、複数のテンプレートプログラム50からなるテンプレートプログラム群51と、複数のシンボル対応プログラムモジュール52からなるシンボル対応プログラムモジュール群53とを有する。
【0027】
テンプレートプログラム50は、たとえば、図3に示したテンプレート画面100のように、制御対象機器や監視対象機器などの機器が空白状態となって領域E1〜E4を有する典型的な全体制御システムをグラフィカルに表示する機能を有するとともに、この表示された典型的な全体制御システムの自動制御プログラムを有する。この自動制御プログラムは、ラダー回路などのシーケンス用プログラムで記述され、上述した空白の機器の部分を除いた全体制御プログラムである。
【0028】
図3に示したテンプレート画面100では、低い位置にある池201の水を高い位置にある池202に揚げる水処理システムを示している。この水処理システムでは、池201,202と、池201,202間を接続する配管203,204が表示されるとともに、配管203,204間にポンプを配置することができる領域E1,E2と、弁を配置することができる領域E3,E4とが空白状態となって表示されている。テンプレートプログラム50によって表示されたテンプレート画面100は、GUI機能を有し、領域E1〜E4の配置状態を検出することができる。
【0029】
なお、図3に示したテンプレート画面100では、2つのポンプと2つの弁とを配置することができるシステムを表示しているが、他のテンプレートプログラム50によって、たとえば、3つのポンプと3つの弁とを配置することができるシステムや、配管203,204上に監視機器を配置できる空白領域を有したシステムや、さらには、ポンプを直列配置と並列配置とを組み合わせたシステムを表示することができる。
【0030】
一方、シンボル対応プログラムモジュール52は、上述したテンプレート画面100に組み込まれることが可能な機器毎のプログラムモジュールであり、たとえば上述したポンプや弁などの機器毎のプロガラムモジュールである。シンボル対応プログラムモジュール52は、テンプレート画面100の所定領域に、各機器をグラフィカルに示したシンボルを表示する機能と有するとともに、各機器に対応したファンクションブロックなどのシーケンス用プログラムを有する。
【0031】
図3では、テンプレート画面100の右端に領域E10,E20を設け、領域E10には、ポンプP1〜P3のシンボルが表示され、領域E2には、弁B1,B2のシンボルが表示されている。
【0032】
ここで、図3では、領域E2にポンプP1が設定された状態となっており、領域E3には、弁B1が設定された状態となっている。この空白領域に対するシンボルの設定は、たとえば、配置すべき空白領域である領域E1をカーソルで選択し、この選択状態で、領域E1に配置すべきポンプP2をカーソルで選択すると、このポンプP2が領域E1に設定される。この設定動作は、たとえば、ポンプP2を選択して領域E1にドラッグアンドリリースしてもよい。
【0033】
また、シンボル対応プログラムモジュール52は、各モジュール毎に、複数の詳細設定モジュール54からなる詳細設定モジュール群55を有する。各詳細設定モジュール54は、機器に対する入出力割付や、PLCの配置関係を設定するモード設定や、各種信号割付などの詳細な設定を行うプログラムであり、この設定のためのGUI表示を行う。
【0034】
この詳細設定プログラム54を起動するには、たとえば、テンプレート画面100内に設定されたシンボル、たとえば領域E2内のシンボルを選択することによって、このシンボルに対応する複数の詳細設定画面101が表示される。各詳細設定画面101の切替は、各詳細設定画面101内の切替部102を用いて切り替えて、各詳細設定を行うことができる。
【0035】
ここで、図4に示すフローチャートを参照して、制御部30内のエンジニアリング支援制御部40によるエンジニアリング支援制御処理手順について説明する。まず、エンジニアリング支援制御部40は、図5(a)に示した初期画面においてエンジニアリング支援処理を選択するエンジニアリングボタン301が選択されたか否かを判断する(ステップS101)。エンジニアリングボタン301が選択された場合(ステップS101,Yes)には、図5(b)に示すように、プラント選択画面を表示し(ステップS102)、このプラント選択画面でいずれかのプラントボタンが選択されたか否かを判断する(ステップS103)。プラントボタンが選択された場合(ステップS103,Yes)には、図5(c)に示すように、この選択されたプラントボタンに対応するテンプレート選択画面を表示する(ステップS104)。たとえば、図5(b)に示すプラント選択画面で、Aプラントボタン311が選択された場合、こんおAプラントボタン311に対応する、図5(c)に示すテンプレート選択画面が表示される。
【0036】
さらに、エンジニアリング支援制御部40は、テンプレート選択画面の中から1つのテンプレートボタンが選択されたか否かを判断する(ステップS105)。1つのテンプレートボタンが選択された場合(ステップS105,Yes)には、この選択されたテンプレートボタンに対応するテンプレート画面を表示する(ステップS106)。たとえば、図5(c)に示すポンプ1型のテンプレートボタン321が選択された場合、図3の上段に示すようなテンプレート画面100を表示する。このテンプレート画面の表示は、対応するテンプレートプログラム50を読み出すことによって行われる。
【0037】
その後、上述したように、空白領域である所望の設定位置と、この設定位置に配置するシンボルとが選択されたか否かを判断する(ステップS107)。この設定位置とシンボルとが選択された場合(ステップS107,Yes)には、この設定シンボルに対応するシンボル対応プログラム52を読み込んで、テンプレートプログラム50が有する全体制御プログラム内に組み込む処理を行うとともに、上述したように、このシンボルを選択して詳細設定モジュール54を読み込み、各種詳細設定処理を行う。
【0038】
その後、テンプレート選択画面100内の一時格納ボタン212が選択されたか否かを判断する(ステップS109)。この一時格納ボタン212が選択された場合(ステップS109,Yes)には、この全体制御プログラムを一時格納部44に格納し(ステップS111)、本処理を終了する。一方、一時格納ボタン212が選択されない場合(ステップS109,No)には、さらに全体制御プログラムの完了を示す決定ボタン211が選択されたか否かを判断する(ステップS110)。決定ボタン211が選択された場合(ステップS110,Yes)には、この全体制御プログラムを、制御プログラム45としてローディングし(ステップS112)、本処理を終了する。一方、決定ボタン211が選択されない場合(ステップS110,No)には、ステップS107に移行し、他の空白領域に対するシンボルの設定処理を行い、上述した全体制御プログラムの生成処理を続行する。なお、初期化ボタン213を選択すると、これまで設定されたプログラムが全てクリアされ、初期のテンプレート画面に戻る。
【0039】
この実施の形態では、典型的なプラントのシステム構成を示すテンプレート画面と、このテンプレート画面に組み込み設定が可能な機器とをテンプレート画面上で設定することによって、予め設定されたテンプレート画面に対応する全体制御プログラムに、設定された各機器のシンボル対応プログラムモジュールを組み込んだ全体制御プログラムを生成するようにしているので、システム使用と全体制御プログラムとを一度に生成することができる。
【0040】
また、このテンプレート画面では、シーケンス用プログラムの記述を各プラントに対応してその都度記述する必要がないので、自動制御回路の設計を短縮化することができる。さらに、シーケンス用プログラムの記述をしらない者でも、テンプレート画面を用いて容易に全体制御プログラムを生成することができる。
【0041】
さらに、全体制御プログラム生成の際に、プログラマブル表示器2の表示画面を用いているので、パーソナルコンピュータなどで専用のプログラムツールを用いて生成する必要がなく、しかもPLC1に接続したままであるので、オンラインで修正することができ、デバッグを事前に行うことができる。これは、PLC1が組み込まれた各入出力ユニットなどの状態をオンラインで検知しているからである。
【0042】
すなわち、この実施の形態では、プラントの制御システムを構築する場合に、テンプレート画面上の選択等の簡易な処理によって、短期間でシステムの仕様決定から全体制御プログラムの生成、さらにはローディングまでのエンジニアリング作業を容易かつ短期間で行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 プログラマブルコントローラ(PLC)
2 プログラマブル表示器
3 各種機器群
11 制御ユニット
12 入出力ユニット群
21 表示部
22 入力部
23 表示画面
30 制御部
31 入出力部
32 記憶部
40 エンジニアリング支援制御部
41〜43 プラントブロック
44 一時格納部
45 制御プログラム
50 テンプレートプログラム
51 テンプレートプログラム群
52 シンボル対応プログラムモジュール
53 シンボル対応プログラムモジュール群
54 詳細設定モジュール
55 詳細設定モジュール群
100 テンプレート画面
101 詳細設定画面
102 切替部
211 決定ボタン
212 一時格納ボタン
213 初期化ボタン
E1〜E4,E10,E20 領域
P1〜P3 ポンプ
B1,B2 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示出力および操作入力を行う表示器と、
制御対象機器および/または監視対象機器が選択されていない未設定領域を有した典型的な対象システムを前記表示器の表示画面にグラフィカルに表示するとともに、該表示された典型的な対象システムに対応した全体制御を行うプログラムが記述された複数のテンプレートプログラムを予め記憶したテンプレート記憶部と、
前記未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器を示すシンボルを前記表示器の表示画面にグラフィカルに表示するとともに、該制御対象機器および/または監視対象機器に対して行う制御が設定可能に記述された複数の機器対応プログラムモジュールを予め記憶したモジュール記憶部と、
前記複数のテンプレートプログラムの選択依頼を示すテンプレート選択画面を前記表示器の表示画面に表示し、該テンプレート選択画面で選択された1つのテンプレートプログラムに対応する典型的な対象システムをグラフィカルに表示するとともに、該表示された対象システムの未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器をグラフィカルに表示し、表示された対象システム内の前記未設定領域に、前記シンボルが表示画面上で設定された場合に、該設定されたシンボルに対応する制御対象機器および/または監視対象機器の制御を挿入した全体制御プログラムを生成するエンジニアリング支援制御部と、
を備えたことを特徴とするエンジニアリング支援装置。
【請求項2】
前記機器対応プログラムモジュールは、機能毎に詳細設定可能な設定画面をグラフィカルに表示するとともに、制御対象機器および/または監視対象機器に対して行う機能毎の詳細制御が設定可能に記述された複数の詳細設定モジュールをさらに有し、
前記エンジニアリング支援制御部は、前記未設定領域に設定されたシンボルが選択された場合に前記詳細設定モジュールの設定画面を表示することを特徴とする請求項1に記載のエンジニアリング支援装置。
【請求項3】
前記エンジニアリング支援制御部は、生成された全体制御プログラムをローディングすることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジニアリング支援装置。
【請求項4】
前記表示器は、プログラマブル表示器であり、
前記テンプレート記憶部、前記モジュール記憶部、および前記エンジニアリング支援制御部は、プログラマブルコントローラの制御ユニット内に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のエンジニアリング支援装置。
【請求項5】
前記機器対応プログラムモジュールは、前記プログラマブルコントローラの入出力ユニットに対応した制御プログラムであることを特徴とする請求項4に記載のエンジニアリング支援装置。
【請求項6】
前記複数のテンプレートプログラムおよび複数の機器対応プログラムは、プラント毎に設けられ、
前記エンジニアリング支援制御部は、複数のプラントのなかから1つのプラントの選択依頼を示すプラント選択画面を前記表示器の表示画面に表示し、その後該プラント選択画面で選択されたプラントに対応する前記テンプレート選択画面を前記表示器の表示画面に表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のエンジニアリング支援装置。
【請求項7】
制御対象機器および/または監視対象機器が選択されていない未設定領域を有した典型的な対象システムをグラフィカルに表示するとともに、該表示された典型的な対象システムに対応した全体制御を行うプログラムが記述された複数のテンプレートプログラムと、前記未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器を示すシンボルをグラフィカルに表示するとともに、該制御対象機器および/または監視対象機器に対して行う制御が設定可能に記述された複数の機器対応プログラムモジュールとを予め記憶する記憶ステップと、
前記複数のテンプレートプログラムの選択依頼を示すテンプレート選択画面を表示し、該テンプレート選択画面で選択された1つのテンプレートプログラムに対応する典型的な対象システムをグラフィカルに表示するとともに、該表示された対象システムの未設定領域に設定可能な制御対象機器および/または監視対象機器をグラフィカルに表示し、表示された対象システム内の前記未設定領域に、前記シンボルが表示画面上で設定された場合に、該設定されたシンボルに対応する制御対象機器および/または監視対象機器の制御を挿入した全体制御プログラムを生成するエンジニアリング支援制御ステップと、
を含むことを特徴とするエンジニアリング支援方法。
【請求項8】
前記機器対応プログラムモジュール内に、機能毎に詳細設定可能な設定画面をグラフィカルに表示するとともに、制御対象機器および/または監視対象機器に対して行う機能毎の詳細制御が設定可能に記述された複数の詳細設定モジュールを予め記憶する詳細設定モジュール記憶ステップをさらに含み、
前記エンジニアリング支援制御ステップは、前記未設定領域に設定されたシンボルが選択された場合に前記詳細設定モジュールの設定画面を表示することを特徴とする請求項7に記載のエンジニアリング支援方法。
【請求項9】
前記エンジニアリング支援制御ステップによって生成された全体制御プログラムをローディングするローディングステップを含むことを特徴とする請求項7または8に記載のエンジニアリング支援方法。
【請求項10】
前記機器対応プログラムモジュールは、プログラマブルコントローラの入出力ユニットに対応した制御プログラムであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載のエンジニアリング支援方法。
【請求項11】
前記複数のテンプレートプログラムおよび複数の機器対応プログラムは、プラント毎に設けられ、
前記エンジニアリング支援制御ステップは、複数のプラントのなかから1つのプラントの選択依頼を示すプラント選択画面を前記表示器の表示画面に表示し、その後該プラント選択画面で選択されたプラントに対応する前記テンプレート選択画面を前記表示器の表示画面に表示することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一つに記載のエンジニアリング支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−231670(P2010−231670A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80638(P2009−80638)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】