説明

エンドレスベルト及び回転搬送体

【課題】可とう性と、耐久性とを有し、搭載するドライバーICの破損のないエンドレスベルト及び回転搬送体を提供する。
【解決手段】パネル基板11の裏側(外側)に駆動回路側との接続用電極が配線されたL字型フレキシブルケーブル24を配置し、このL字型フレキシブルケーブル24の一端とパネル基板12の情報表示画面領域外側に形成された接続用電極とを、異方導電接続部材で接続し、このL字型フレキシブルケーブル24のもう一方端とパネル基板11の情報表示画面領域外側に形成された接続用電極とがパネル構造体の同じ1辺であって、短辺側に配置されるようにパネル基板11,12およびL字型フレキシブルケーブル24が接合されるように構成するとともに、短辺側のL字型フレキシブルケーブル24とパネル基板11の接続用電極とにドライバーIC32をその長手方向がエンドレスベルトの進行方向と直交するよう装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察可能なエンドレスベルト表面に情報表示部を設けたエンドレスベルト及び回転搬送体に関し、特に、帯電粒子移動方式のドットマトリックス配置電極から電界を付与して帯電粒子を移動させて情報表示を行う情報表示用パネルからなる情報表示部を搭載したエスカレータベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、観察可能なエンドレスベルト表面に情報表示部を設けたエンドレスベルトを用いた回転搬送体の一例として、エスカレータのハンドレールに任意の表示内容を表示するために電子ペーパ装置を設け、電子ペーパ装置の表示内容を変更するために、電子ペーパ装置に表示内容を書き込む書込装置と、電子ペーパ装置に書き込んだ表示内容をリセットするリセット装置とを設けた乗客搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−75574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1記載の技術では、エスカレータのハンドレールに任意の表示内容を表示するために電子ペーパ装置を設けている。エスカレータのハンドレールのようにエンドレスで回転し続けるものに電子ペーパ装置を搭載する場合、電子ペーパ装置には、回転に伴いUターン時に曲げられることに対応できる可とう性と、Uターンする度に曲げと曲げからの戻しとが繰り返し働くことに対する耐久性とが要求されるが、特許文献1記載の電子ペーパ装置は、これらの可とう性および耐久性を満足できるものではなかった。
【0005】
また、電子ペーパ装置を駆動させるチップ状のドライバーICは直方体形状でリジッドであり、長手方向に曲げられると容易に破損してしまう。そのため、従来のようにパネル面の隣接する2辺にドライバーICが実装されていると、エスカレータの手摺りベルトが進行する方向に対してその長手方向が平行になるように搭載されたドライバーICには曲げが加わることになり、ドライバーICが破損してしまう不具合があった。
【0006】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、Uターン時に曲げられることに対応できる可とう性と、Uターンする度に曲げと曲げからの戻しとが繰り返し働くことに対する耐久性とを有し、さらに、搭載するドライバーICの破損のないエンドレスベルト及び回転搬送体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエンドレスベルトは、長辺と短辺とを備える情報表示部を有するエンドレスベルトであって、情報表示部は、フレキシブルで透明な観察側パネル基板とフレキシブルで透明であることを要しない背面側パネル基板とにより形成された空間に表示媒体が封入され、観察側パネル基板の情報表示画面領域に形成された透明なストライプ電極に続く情報表示画面領域外側に形成された観察側接続用電極の端部が、情報表示部の長辺側に配置されるとともに、背面側パネル基板の情報表示画面領域に形成されたストライプ電極に続く情報表示画面領域外側に形成された背面側接続用電極の端部が、情報表示部の短辺側に配置され、背面側パネル基板の裏側に外部回路との接続用電極が配線されたL字型フレキシブルケーブルを配置し、このL字型フレキシブルケーブルの一方の端部と観察側接続用電極とを、情報表示部の長辺側の端部で異方導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste; ACP)や異方導電膜(Anisotropic Conductive Film; ACF)などの異方導電接続部材で接続し、このL字型フレキシブルケーブルのもう一方の端部と背面側接続用電極の端部とを、情報表示部の短辺側に配置し、情報表示部の短辺側に配置されたL字型フレキシブルケーブルの端部および背面側接続用電極の端部に、情報表示部に配置された表示媒体を駆動させる直方体形状のドライバーICを接続搭載し、ドライバーICの長辺側がエンドレスベルトの進行方向に直角の方向となるよう配置したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明のエンドレスベルトの好適例は、前記長辺と短辺とを備える情報表示部の透明な観察側パネル基板に設ける透明なストライプ電極は、情報表示部の短辺に平行に設けること、前記情報表示部の観察側パネル基板と背面側パネル基板との間の情報表示画面領域は隔壁により複数のセルに区切られており、前記隔壁を、基板間ギャップに対応する高さを有し、情報表示画面領域の基板間ギャップを保持するための基板間ギャップ確保用部分と、基板間ギャップを保持する機能を有しないセル形成専用部分とで構成し、前記隔壁のセル形成専用部分には、観察側パネル基板と背面側パネル基板との間で隙間を有するようになっていること、前記情報表示部の短辺側に配置されたL字型フレキシブルケーブルの端部および背面側接続用電極の端部に接続搭載されたドライバーICのもう一方の接続側と駆動回路基板とを接続し、この駆動回路基板が、駆動回路を構成する電子部品を配置した間に、エンドレスベルトの進行方向に直角な方向に屈曲可能な屈曲可能部位を設けて、各電子部品間の電気的接続はフレキシブルな導電部材で行っていること、前記駆動回路基板を、フレキシブルシート基板に、駆動回路を構成する電子部品を、エンドレスベルトの進行方向に直角な方向に間隔を持って分割実装し、前記屈曲可能部位をフレキシブルシート基板の電子部品間の位置に形成するとともに、各電子部品間の電気的接続はフレキシブルな導電部材で行っていること、前記駆動回路基板を、分割した基板に、駆動回路を構成する電子部品を分割実装し、少なくともエンドレスベルトの進行方向に直角な方向に前記分割した基板を並べて配置し、各分割基板に分割実装された電子部品間の電気的接続を行うとともに、各分割基板を連結するフレキシブル配線プリントフィルムシートを各分割基板に貼り合せて屈曲可能な屈曲可能部位としたこと、前記駆動回路基板を、基板に、駆動回路を構成する電子部品を、エンドレスベルトの進行方向に直角な方向に間隔を持って分割実装し、前記屈曲可能部位を基板の電子部品間の位置に線状の溝を形成することで構成するとともに、各電子部品間の電気的接続は前記線状の溝を含んだ基板表面に形成されたフレキシブルな導電部材で行っていること、前記駆動回路基板を、基板に、駆動回路を構成する電子部品を、エンドレスベルトの進行方向に直角な方向に間隔を持って分割実装し、前記屈曲可能部位を基板裏面側であって、基板上の電子部品間の位置に線状の溝を形成することで構成するとともに、各電子部品間の電気的接続は基板表面側であって、基板上の電子部品間の位置に形成されたフレキシブルな導電部材で行っていること、がある。
【0009】
また、本発明の回転搬送体は、上述した構成を有するエンドレスベルトを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、背面側パネル基板の裏側(外側)に駆動回路側との接続用電極が配線されたL字型フレキシブルケーブルを配置し、このL字型フレキシブルケーブルの一端と前記観察側パネル基板の情報表示画面領域外側に形成された接続用電極とを、異方導電接続部材で接続し、このL字型フレキシブルケーブルのもう一方端と前記背面側パネル基板の情報表示画面領域外側に形成された接続用電極とがパネル構造体の同じ1辺であって、短辺側に配置されるように2枚のパネル基板およびL字型フレキシブルケーブルが接合されるようにしたパネル構造の情報表示部としたので、ドライバーICを配置する際に、ドライバーICの長手方向に曲げられることがなく、ドライバーICの破損を防止することができる。
【0011】
また、本発明の好適例によれば、表示媒体を電気的に駆動させて情報表示を行う情報表示部として、対向する2枚のパネル基板をフレキシブルな樹脂フィルム基板とし、セルを形成専用の隔壁部分には少なくとも2枚の基板間に隙間を持つようにし、基板間ギャップを確保するための隔壁部分のみで2枚の基板が接合されるようにしたフレキシブルなパネル構造の情報表示部と、少なくとも一方向に曲げられる構造の駆動回路基板とをフレキシブルケーブルで接続した構成の情報表示装置としたので、エスカレータのハンドレールのようなエンドレスベルトに搭載する場合のようにUターン時に曲げられても、また、Uターンする度に曲げと曲げからの戻しとが繰り返し働いても不具合が発生しない耐久性に優れたエンドレスベルトを得ることができる。
【0012】
さらに、本発明の他の好適例によれば、駆動回路基板は所定の複数箇所で基板の長手方向と直角な方向に曲げられるように構成し、バッテリー、ドライバー、CPU、通信回路、表示情報保持回路および定期的に表示情報を書換えるためのクロックなどの電子部品を、前記所定の曲げられる箇所を外した位置に実装するようにしたので、少なくとも一方向に曲げられる駆動回路基板が得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトを用いる回転搬送体の一例として手摺りベルトを用いるエスカレータの例を説明するための図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれL字型フレキシブルケーブルを用いた情報表示部を備える本発明のエンドレスベルトの一例を説明するための図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトを用いる回転搬送体の情報表示部として使用する情報表示用パネルの一例を示す図である。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部を構成する観察側パネル基板、背面側パネル基板およびL字型フレキシブルケーブルの一例を説明するための図である。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部における異方導電接続部材による接続の一例を説明するための図である。
【図6】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部におけるL字型フレキシブルケーブルの状態を説明するための図である。
【図7】(a)〜(c)はそれぞれ図5(c)に示した例以外の本発明の情報表示用パネルの端部におけるフレキシブルケーブルの他の配置例を説明するための図である。
【図8】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部におけるL字型フレキシブルケーブルの形状の一例を示す図である。
【図9】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトにおいて情報表示部に付加する屈曲可能な駆動回路基板の一例を説明するための図である。
【図10】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトにおいて情報表示部に付加する屈曲可能な駆動回路基板の他の例を説明するための図である。
【図11】(a)〜(e)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトで用いる駆動回路基板における屈曲可能部位の構成の一例を説明するための図である。
【図12】本発明で用いる情報表示部を構成する情報表示用パネルに表示すべき情報の通信を可能とする構成の一例を説明するための図である。
【図13】本発明で用いる情報表示部を構成する情報表示用パネルに表示すべき情報の通信を可能とする構成の他の例を説明するための図である。
【図14】本発明で用いる情報表示部を構成する情報表示用パネルに表示すべき情報の通信を可能とする構成のさらに他の例を説明するための図である。
【図15】本発明のエンドレスベルトとしてのエスカレータの手摺りベルトに情報表示部および屈曲可能な駆動回路基板を実装した状態を説明するための図である。
【図16】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部として使用する帯電粒子移動方式の情報表示用パネルにおいて情報表示用パネルに可とう性を持たせるための隔壁構成の改良の一例を説明するための図である。
【図17】(a)、(b)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部として使用する帯電粒子移動方式の情報表示用パネルにおいて情報表示用パネルに可とう性を持たせるための隔壁構成の改良の他の例を説明するための図である。
【図18】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部として使用する帯電粒子移動方式の情報表示用パネルにおいて情報表示用パネルに可とう性を持たせるための隔壁構成の改良のさらに他の例を説明するための図である。
【図19】(a)〜(c)はそれぞれ本発明で情報表示部として用いる情報表示用パネルの製造方法の一例を説明するための図である。
【図20】(a)〜(c)はそれぞれ本発明で情報表示部として用いる情報表示用パネルの製造方法の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1(a)〜(c)は、それぞれ、本発明のエンドレスベルトを用いる回転搬送体の一例として、手摺りベルトを用いるエスカレータの例を説明するための図である。図1(a)に示す例では、外部から観察可能な、エンドレスに回転する手摺りベルト1の表面に、可とう性を有する情報表示部2を複数個設けたエスカレータとして、回転搬送体を構成している。利用者3は、エスカレータ乗車時に、手摺りベルト1に設けられた情報表示部2の表示情報を見る事が出来る。図1(b)、(c)は、それぞれ、図1(a)に示したエスカレータに設けた情報表示部2に表示する情報の一例を説明している。図1(b)に示す例では、エスカレータの手摺りベルト1に設けられた情報表示部2のうち、太い点線4で囲んだ位置にある情報表示部2に表示する情報の一例を説明している。図1(c)に示す例では、エスカレータの手摺りベルト1に設けられた情報表示部2のうち、細い点線5で囲んだ位置にある情報表示部2に表示する情報の一例を説明している。図1(b)、(c)に示す例において、エスカレータの手摺りベルト1に設けられた情報表示部2のうち、太い点線4で囲んだ位置にある情報表示部2には「イベント情報」の表示を行い、細い点線5で囲んだ位置にある情報表示部2には「イベント情報」の表示を横書きおよび縦書きの「注意情報」の表示に書き換えて表示している。
【0015】
なお、図1(a)〜(c)に示す例では、本発明のエンドレスベルトを用いる回転搬送体の一例として、手摺りベルトを用いる回転搬送体の例を示したが、水平方向に移動させるマンコンベヤの手摺りベルトおよびマンコンベヤや、その他のエンドレスベルトおよび回転搬送体にも本発明を適用することができる。例えば、エンドレスに回転するコンベアベルトに可とう性のある情報表示部を搭載して、その位置にある製品の表示を情報表示部で行うことで、製品の識別に本発明を用いることもできる。
【0016】
図2(a)、(b)は、本発明のエンドレスベルトを、回転搬送体ではなく情報表示部が回転移動するエンドレスベルト方式の情報表示装置としている例を示している。図2(a)では、エンドレスベルト20の外側表面に情報表示部2が4個設けられたエンドレスベルト20をコーナー部4箇所で移動方向を変えて回転移動させ、エンドレスベルト20の外側から情報表示部2に表示された情報を観察することができる。図8(b)では、エンドレスベルト20の内側表面に情報表示部2が4個設けられたエンドレスベルト20をコーナー部4箇所で移動方向を変えて回転移動させ、エンドレスベルト20の内側から情報表示部2に表示された情報を観察することができる。
【0017】
次に、本発明のエンドレスベルトの情報表示部として使用する一例である帯電粒子移動方式の情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。前記情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0018】
以下、本発明のエンドレスベルトの情報表示部として使用する一例である帯電粒子移動方式の情報表示用パネルの例を、図3(a)〜(c)に基づき説明する。図3(a)〜(c)に示す例では、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む粒子群であって、互いに光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子13Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体13Wと正帯電性黒色粒子13Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体13Bを示す)を、フレキシブルで透明な樹脂フィルム基板と、フレキシブルな樹脂フィルム基板との間の隔壁14で格子状に仕切られたセル17内に配置し、背面側パネル基板11に設けた電極15(ストライプ電極、可とう性のある金属製)と透明な観察側パネル基板12に設けた透明な電極16(ストライプ電極)とが対向直交交差して形成する画素電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、背面側パネル基板11と観察側パネル基板12との間を垂直に移動させる。そして、図3(a)に示すように、白色表示媒体13Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図3(b)に示すように、黒色表示媒体13Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図3(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。また、対向電極対で形成する画素とセルとが1対1に対応する例を示したが、画素とセルとは1対1に対応させなくてもよい。
【0019】
本発明のエンドレスベルト及び回転搬送体の特徴は、(1)情報表示部2を構成する情報表示用パネルにおいて、L字型フレキシブルケーブルを使用してドライバーICの破損を防止した点、(2)(1)で示した情報表示部2を構成する情報表示用パネルの構成に加えて、屈曲可能な駆動回路基板を構成した点、(3)情報表示部2を構成する情報表示用パネルにおいて、隔壁の構成を改良して、情報表示用パネルに可とう性をもたせた点、にある。以下、これらの本発明の特徴を順に説明する。
【0020】
<L字型フレキシブルケーブルの使用とドライバーICの配置について>
図4(a)〜(c)は、それぞれ、本発明のエンドレスベルトの情報表示部を構成する観察側パネル基板、背面側パネル基板およびL字型フレキシブルケーブルの一例を説明するための図である。図4(a)〜(c)に示すように、本発明のエンドレスベルトの情報表示部は長辺と短辺とを備える長方形形状としており、その長辺側を手摺りベルトに沿って平行に配置させることで、エンドレスベルトの手摺りベルトに実装できる形状としている。
【0021】
図4(a)に示す観察側パネル基板12は、情報表示画面領域(図中点線で囲まれた領域)に透明なストライプ電極(透明導電膜)16が形成され、情報表示画面領域以外の領域にストライプ電極16から引き出したストライプ状の観察側接続用電極21が形成された透明基板として構成される。観察側接続用電極21の端部は情報表示部の長辺側に配置され、情報表示部2の長辺側端部においてACF接続部31を形成している。
【0022】
図4(b)に示す背面側パネル基板11は、情報表示画面領域にストライプ電極(可とう性を有する金属膜)15が形成され、情報表示画面領域以外の領域にストライプ電極15から引き出したストライプ状の背面側接続用電極22が形成されたフィルム状の基板として構成される。背面側接続用電極22の端部は情報表示部2の短辺側に配置され、ドライバーICの接続端子数に対応してまとめられた背面側接続用電極22は、情報表示部2の短辺側において、外部の駆動回路側と接続されるドライバーIC32がTape Automated Bonding(TAB)実装されたフレキシブルケーブル23に接続されている。ここでは、必要なドライバーIC32の数に合わせて4枚のフレキシブルケーブル23を用いている。
【0023】
図4(c)に示すL字型フレキシブルケーブル24は、駆動回路側への接続配線用のL字形状のストライプ電極(可とう性を有する金属膜)25が形成されたフレキシブルケーブルである。ここでは必要なドライバーICの数に合わせて6枚のL字型フレキシブルケーブル24を用いている。L字型フレキシブルケーブル24の一方の端部は、情報表示部2の長辺側において導電粒子を含んだ異方導電膜(ACF)による接続部33を形成している。L字型フレキシブルケーブル24のもう一方の端部は情報表示部2の短辺側に配置され、L字型フレキシブルケーブル24の電極25はドライバーICの接続端子数に対応して形成されており、背面側パネル基板11のフレキシブルケーブル23を配置した辺と同じ短辺において、外部の駆動回路側と接続されるドライバーIC32がTAB実装されたフレキシブルケーブル26に接続されている。
【0024】
本発明のエンドレスベルトの情報表示部は、図4(a)に示す観察側パネル基板12、図4(b)に示す背面側パネル基板11および図4(c)に示すL字型フレキシブルケーブル24を、重ね合わせることで構成することができる。重ね合わせた際、L字型フレキシブルケーブル24の一方の端部に形成したACF接続部33と観察側接続用電極21の端部に形成したACF接続部31とを、情報表示部2の長辺側の端部で異方導電膜(ACF)を異方導電接続部材として用いて接続している。
【0025】
図4には、背面側パネル基板のストライプ電極の接続端子部にドライバーIC32が実装されたフレキシブルケーブル23の駆動回路側との接続端子部側およびL字型フレキシブルケーブルのドライバーIC32が実装された駆動回路との接続端子部側を、情報表示部2の同じ短辺にすべて配置する構成を示したが、背面側パネル基板のストライプ電極の接続端子部にドライバーIC32が実装されたフレキシブルケーブル23の駆動回路側との接続端子部側とL字型フレキシブルケーブルのドライバーIC32が実装された駆動回路との接続端子部側とをそれぞれ対向する短辺に配置する構成としてもよいし、背面側パネル基板のストライプ電極の接続端子部にドライバーIC32が実装されたフレキシブルケーブル23の駆動回路側との接続端子部側と一部のL字型フレキシブルケーブルのドライバーIC32が実装された駆動回路との接続端子部側とをすべて同じ短辺に配置して、残りのL字型フレキシブルケーブルのドライバーIC32が実装された駆動回路との接続端子部側を対向する短辺に配置する構成としてもよい。
【0026】
上述した図4(a)〜(c)に示す観察側パネル基板12、背面側パネル基板11およびL字型フレキシブルケーブル24を重ね合わせて構成した情報表示部2では、ドライバーIC32を実装したフレキシブルケーブル23および26のすべてを、情報表示部2の短辺側に集合させることができる。従って、上述した情報表示部2をその長辺がエンドレスベルトの長手方向に沿って平行になるよう配置することで、ドライバーIC32の長手方向とエンドレスベルトの幅方向とが揃うこととなる。そのため、例えば、エンドレスベルトとしてエスカレータの手摺りベルトを考えた場合、手摺りベルトが進行する方向に対してその長手方向が直交する方向にドライバーIC32を配置できるため、Uターンする際の曲げや戻しに対して、ドライバーIC32の破損を防止することができる。
【0027】
図5(a)、(b)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部における異方導電接続部材による接続の一例を説明するための図である。図5(a)、(b)において、図5(a)は情報表示部を構成する情報表示用パネルを観察側から見た図を示し、図5(b)は図5(a)におけるA−A線に沿った断面を模式的に示す図である。図5(a)、(b)に示す例では、本発明のエンドレスベルトの情報表示部の特徴をより良く理解できるように、各構成部材を実際の寸法とは異なる寸法の比率で表示するとともに、部分的に構成部材を省いて表示している。図5(a)、(b)に示す例は、図4(a)〜(c)に示す観察側パネル基板12、背面側パネル基板11およびL字型フレキシブルケーブル24をこの順に重ね合わせて情報表示用パネルを構成している。
【0028】
図5(a)、(b)に示す例において、観察側パネル基板12、背面側パネル基板11およびL字型フレキシブルケーブル24を重ね合わせた状態で、情報表示画面領域の外周部において、観察側パネル基板12と背面側パネル基板11との間の、基板間ギャップ確保用隔壁部分41の外周部に枠状シール剤42を設けている。また、観察側パネル基板12と背面側パネル基板11との間の表示媒体配置層43には帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体が封止されており、観察側パネル基板12に形成した透明ストライプ電極16と背面側パネル基板11に形成したストライプ電極15とを対向直交交差させて形成した電極対から電界を付与してパッシブ駆動でドットマトリックス表示させるドットマトリックス表示方式の情報表示用パネルとしている。なお、図5(a)、(b)に示す例では、表示媒体配置層43を示すのみとして表示媒体を表示していない。基板間ギャップ確保用隔壁部分41、枠状シール剤42および表示媒体さらには表示媒体の封入は、いずれも、従来から知られている情報表示用パネルの構成および封入方法を用いることができる。
【0029】
図5(a)、(b)に示す例において、観察側パネル基板12の情報表示画面領域以外の領域にストライプ電極16から引き出した観察側接続用電極21(ACF接続部31)と、L字型フレキシブルケーブル24の情報表示画面領域以外の領域であってフレキシブルケーブル26に接続された側と反対側の領域に設けられている電極25の先端部25−A(ACF接続部32)とを、基板間ギャップ確保用隔壁部分41および枠状シール剤42の外部の長辺側において、異方導電性膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)などの異方導電接続材44により電気的に接続して基板間導通を行っている。異方導電性膜(ACF)は、導電性粒子を非導電性樹脂に含ませた構成の異方導電接続材から構成され、これを用いた電気的接続は従来から知られている例と同じである。なお、異方導電性膜(ACF)の代わりに異方導電性ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)を用いても良い。
【0030】
図5(a)、(b)に示す例によれば、観察側パネル基板12のストライプ電極16から引き出した観察側接続電極21と、L字型フレキシブルケーブル24の電極25の先端部25−Aとを、異方導電接続材44により接続することで、L字型フレキシブルケーブル24の電極25、異方導電接続材44、観察側接続用電極21を介して観察側パネル基板12のストライプ電極16に駆動用の電圧を印加することができる。駆動回路側との接続を同じ長辺側で行う場合、フレキシブルケーブル23とフレキシブルケーブル26とは、それぞれ、短辺側の別の面に形成されているため、フレキシブルケーブル23とフレキシブルケーブル26との重なり合いを許容することができる。
【0031】
図6(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部におけるL字型フレキシブルケーブルの状態を説明するための図である。図6(a)〜(c)に示す例において、図6(a)はL字型フレキシブルケーブル24を示し、図6(b)は観察側パネル基板12と背面側パネル基板11とを重ね合わせた情報表示用パネルを示し、図6(c)は図6(b)においてA側から見た情報表示用パネルの端面を模式的に示す図である。本例のL字型フレキシブルケーブル24は4枚のL字型フレキシブルケーブル24−1〜24−4とし、異方導電接続材(ACF)44とは反対側のフレキシブルケーブル26−1〜26−4に接続する電極25(図中には記載していない)の端子部は、フレキシブルケーブル24−1と24−2とが、また、フレキシブルケーブル24−3と24−4とが、それぞれ重なり合うように、パネルの短辺側であって背面側パネル基板11に設けたフレキシブルケーブル23−1、23−2とさらに重なり合うように設けている。A側から見た図6(c)に示す例では、L字型フレキシブルケーブル24−1〜24−4に実装した4個のドライバーIC32を搭載したフレキシブルケーブル26−1〜26−4が、フレキシブルケーブル26−1と26−2および背面側パネル基板11のフレキシブルケーブル23−1とが、また、フレキシブルケーブル26−3と26−4および背面側パネル基板11のフレキシブルケーブル23−2とが、それぞれ重なり合うよう配置されている。
【0032】
図7(a)〜(c)は、それぞれ、図6(c)に示した例以外の本発明の情報表示部の端部におけるフレキシブルケーブルの他の配置例を説明するための図である。図7(a)〜(c)に示す例では、それぞれにドライバーIC32を搭載したフレキシブルケーブル23−1〜23−4とそれぞれにドライバーIC32を搭載したフレキシブルケーブル26−1〜26−3とを互い違いに2段に配置している。図7(a)に示す例では、ドライバーIC32を搭載したフレキシブルケーブル(TCPともいう)が2段に配置されるので幅を取らない。図7(b)に示す例では、ドライバーIC32を搭載したフレキシブルケーブル23−1〜23−4とドライバーIC32を搭載したフレキシブルケーブル26−1〜26−3とを、それぞれ同じ面毎に同じ1辺にそれぞれ並列に並べて2段に配置している。本例では、パネルの1辺の長さに制約がある場合であっても、パネル1辺の長さに合わせて必要な数のドライバーICをパネルの1辺に並べることができる。図7(c)に示す例では、ドライバーIC32を搭載したフレキシブルケーブル23−1〜23−4とドライバーIC32を搭載したフレキシブルケーブル26−3とを、互い違いにTCPに搭載したドライバーIC32が重なるように同じ1辺に並列に配置している。本例では、TCP全体が重ならないように並べなければならなかった従来の並べ方に比べて、パネル1辺において、ドライバーIC32を重ねることなく短い長さで1辺に並べられる。
【0033】
図8(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトの情報表示部におけるL字型フレキシブルケーブルの形状の一例を示す図であり、図4(c)、図6(a)に示すL字型フレキシブルケーブル24として用いられるものである。図8(a)に示す例において、本発明のエンドレスベルトの情報表示部におけるL字型フレキシブルケーブル24は、屈曲する部分が直角のL字型を有する形状となっている。図8(b)に示す例において、本発明のエンドレスベルトの情報表示部におけるL字型フレキシブルケーブル24は、屈曲する部分が円弧状のL字型を有する形状となっている。図8(c)に示す例において、本発明のエンドレスベルトの情報表示部におけるL字型フレキシブルケーブル24は、屈曲する部分が面取り部から構成されるL字型を有する形状となっている。
【0034】
<屈曲可能な駆動回路基板について>
図9(a)〜(c)および図10(a)〜(c)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトにおいて上述した構成の情報表示部2に付加する屈曲可能な駆動回路基板の一例を説明するための図である。
【0035】
図9(a)〜(c)に示す例では、背面側パネル基板11のドライバーICを搭載したフレキシブルケーブル23およびL字型フレキシブルケーブル26に対し、コネクター51を介して、屈曲可能な駆動回路基板52を接続している。図9(a)に示す例では、バッテリー53、ドライバー54、CPU55、通信回路56のリジッドな装置を、ライン状の屈曲可能部位57を介して、それぞれ点在配置している。図9(b)に示す例では、バッテリー53、ドライバー54、CPU55、表示情報保持回路58、通信回路56のリジッドな装置を、ライン状の屈曲可能部位57を介して、それぞれ点在配置している。図9(c)に示す例では、二次電池59、ドライバー54、CPU55、通信回路56のリジッドな装置を、ライン状の屈曲可能部位57を介して、それぞれ点在配置している。ここで、ライン状の屈曲可能部位57は、エンドレスベルトに実装したときに、その長手方向がエンドレスベルトの幅方向に沿って平行になるよう配置する。それにより、各装置の破損を防止することができる。
【0036】
図10(a)〜(c)に示す例では、背面側パネル基板11のドライバーICを搭載したフレキシブルケーブル23およびL字型フレキシブルケーブル26に対し、コネクター51を介して、屈曲可能な駆動回路基板52を背面側パネル基板11と重ねて接続している。情報表示部2と駆動回路基板52とは、フレキシブルな接着剤や粘着剤を用いて互いに貼り合わせてもよいし、ただ単に重ね合わせて使用することもできる。なお、図10(a)〜(c)の各々は、図9(a)〜(c)の例において屈曲可能な駆動回路基板52を情報表示部2と重ねて接続した構成であり、同一の部材には同一の符号を付す。
【0037】
図11(a)〜(e)はそれぞれ本発明のエンドレスベルトで用いる駆動回路基板における屈曲可能部位の構成の一例を説明するための図である。図11(a)に示す例では、フレキシブルシート基板61に電子部品62を分割実装し、屈曲可能部位57をフレキシブルシート基板61の電子部品62間の位置に形成することで構成している。屈曲可能部位57を跨ぐ電子部品62間の接続は、フレキシブルケーブル70やフレキシブルプリント配線69で行うことができる。ここではフレキシブル配線69を用いている。図11(b)に示す例では、分割した基板63に電子部品62を実装し、フレキシブルケーブル70で各電子部品62を接続するとともに、各分割基板63をフレキシブルケーブル70で連結し、屈曲可能部位57を各分割基板63間の隙間に形成することで構成している。図11(c)に示す例では、分割した基板63に電子部品62を実装し、フレキシブルケーブル70で各電子部品62を接続するとともに、各分割基板63の背面側にフレキシブルフィルムシート64を貼り合わせて各分割基板63を連結し、屈曲可能部位57を各分割基板63間に形成することで構成している。図11(d)に示す例では、フレキシブルシート基板61に電子部品62を分割実装し、屈曲可能部位57を、分割実装した電子部品62間の位置であってフレキシブルシート基板61の電子部品62を設けた側に線状の溝66(例えばV字型の溝)を形成することで構成している。本例では、溝66を跨ぐ電子部品62間の接続はフレキシブルケーブル70で行うことができる。図11(e)に示す例では、フレキシブルシート基板61に電子部品62を分割実装し、屈曲可能部位57を、分割実装した電子部品62間の位置であってフレキシブルシート基板61の電子部品62を設けていない側に線状の溝66(例えばV字型の溝)を形成することで構成している。本例では、溝66を跨ぐ電子部品62間の接続はフレキシブルケーブル70やフレキシブルプリント配線69で行うことができる。ここではフレキシブルプリント配線69を用いている。
【0038】
図12〜図14に示す例は、それぞれ、本発明で用いる情報表示部2を構成する情報表示用パネルに表示すべき情報の通信を可能とする構成の一例を示している。本発明のエンドレスベルトを用いる回転搬送体では、情報表示部2を構成する情報表示用パネルはエンドレスに回転するため、以下に示すような構成の通信手段を備えることで、情報表示部2に表示する情報の通信を無線で行うことが好ましい。
【0039】
図12に示す例において、屈曲可能な駆動回路基板52と表示メモリー性のある表示器(情報表示用パネル)を備える情報表示部2とが接続されており、屈曲可能な駆動回路基板52は、ドライバー回路54、CPU55、通信回路56、バッテリー53を搭載した少なくとも一方向にフレキシブルな回路基板とから構成されている。上述した構成の本発明で用いる屈曲可能な駆動回路基板52は、離れた位置にある外部装置67から、無線LAN、赤外線などにより表示情報を送信および/または受信できるよう構成されている。図12に示す例において、情報表示部2の表示メモリー性のある表示器は表示書き換えの時だけ電力を必要とし、表示を維持する際には全くエネルギーを必要としない。ドットマトリクス電極を有し任意のパターンを表示できるドットマトリクス表示方式を用いる。また、図12に示す例において、ドライバー回路54は、情報表示部2の表示器の各々の電極に対して個別に電圧を印加するための回路である。印加電圧がバッテリー53などの電圧と異なる場合、必要な電圧に変換する回路も含んでいる。さらに、図12に示す例において、CPU55はドライバー回路54および通信回路56をコントロールする回路であり、通信回路56は外部装置67と画像などの情報を無線でやりとりする回路である。通信回路56は無線方式別のアンテナもしくは受発光素子を含んでいる。ここで、無線方式としては、無線LAN、赤外線通信、Bluetooth、RFなどが考えられる。表示器と回路基板とは重ねて配置してもよいし、並列に配置してもよい。いずれの配置においても曲げられる方向が揃うようにする。
【0040】
図13に示す例では、屈曲可能な駆動回路基板52を、図12に示すドライバー回路54、CPU55、通信回路56、バッテリー53の構成に加えて、表示情報を保持する表示情報保持回路58を設けた回路基板とで構成している。表示情報保持回路58は、電気的に表示情報を記録・読み出しできる装置であり、いわゆるSRAMやEEPROMなどで構成することができる。そして、無線により受信した情報を書き込む。また、製造時に書き込まれ、使用時には書き換えないこともある(いわゆるROM)。表示器と回路基板とは重ねて配置してもよいし、並列に配置してもよい。いずれの配置においても曲げられる方向が揃うようにする。
【0041】
図14に示す例では、屈曲可能な駆動回路基板52を、図12に示すドライバー回路54、CPU55、通信回路56の構成に加えて、バッテリー53の代わりにエネルギー源として2次電池59を設けた回路基板とで構成している。2次電池59は、充電可能な電池であり、無線としてRFを使用する場合は搬送波を整流して電池を充電することや、太陽電池を別途搭載し、この電力で充電することができる。なお、2次電池59のほかにコンデンサーをエネルギー源として使用することもできる。表示器と回路基板とは重ねて配置してもよいし、並列に配置してもよい。いずれの配置においても曲げられる方向が揃うようにする。
【0042】
図15は、本発明のエンドレスベルトとしてのエスカレータの手摺りベルトに、上述した情報表示部2および屈曲可能な駆動回路基板52を実装した状態を説明するための図である。図15に示す例では、手摺りベルト68の表面に情報表示部2と駆動回路基板52とを装着している。本例において、フレキシブルケーブル23−1(26−1、26−2)およびフレキシブルケーブル23−2(26−3、26−4)の各々が情報表示部2の短辺側に配置されているため、各々に搭載すべきドライバーIC32をドライバーIC32の長手方向が手摺りベルト68の進行方向と直交する方向となるよう装着することができる。また、駆動回路基板52のライン状の屈曲可能部位57のライン方向を手摺りベルト68の進行方向と直交する方向とすることができる。この結果、手摺りベルト68が進行方向に向かって屈曲しても、情報表示部2に搭載するドライバーIC32および駆動回路基板52に搭載する電子部品62の破損を防止することができる。
【0043】
<情報表示用パネルに可とう性を持たせるための隔壁構成の改良について>
以下、本発明のエンドレスベルトの情報表示部として使用する一例である帯電粒子移動方式の情報表示用パネルにおいて、情報表示用パネルに可とう性を持たせるための隔壁構成の改良について、図16(a)〜(c)、図17(a)、(b)および図18(a)〜(c)に基づき説明する。なお、以下の例では表示媒体として電気的に駆動可能で光学反射率を有した粒子として帯電粒子を用いた情報表示用パネルの例を説明するが、情報表示部の表示媒体はこれに限定されるものではなく、他の方式、例えばマイクロカプセル内に絶縁液体と帯電性粒子とを充填する方式や、従来からある液晶方式をも用いることができる。情報表示用パネルをフレキシブルに構成するために、リジッドなTFT基板を用いるアクティブ駆動方式よりも構造が簡単でTFT基板を必要としないパッシブ駆動方式が好ましい。もちろん、フレキシブルなTFT基板(例えば有機TFT基板)を用いてアクティブ駆動させることもできる。
【0044】
図16(a)〜(c)に示す例では、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む粒子群であって、互いに光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子13Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体13Wと正帯電性黒色粒子13Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体13Bを示す)を、観察側パネル基板12と背面側パネル基板11間の隔壁14で格子状に仕切られたセル17内に配置し、背面側パネル基板11に設けた電極15(ストライプ電極)と観察側パネル基板12に設けた電極16(ストライプ電極)とが対向直交交差して形成する画素電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、パネル基板11、12と垂直に移動させる。そして、図16(a)に示すように、白色表示媒体13Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図16(b)に示すように、黒色表示媒体13Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図16(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0045】
本実施例の特徴は、図16(a)、(b)に基板間ギャップ確保用として配置する隔壁部分の間に、セル形成専用の隔壁部分(仕切り部材)を2本設けた例を示すように、隔壁14を、(1)複数のセル17(本例では、図16(c)にパネルを上から見た図を示すように、3×3=9個のセル17)に対応して形成され、所望の基板間ギャップに対応する高さを有し、情報表示用パネルの基板間ギャップを保持するための基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1と、(2)基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1以外の部分で形成され、パネル基板11、12間で隙間18を有し、情報表示用パネルの各セル17を形成するための隔壁部分(セル形成専用仕切り部材)14−2と、から構成した点である。ここでは隙間18の位置を基板間の中央付近とした例を示している。また、本実施例では、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1を、背面側パネル基板11に所望の基板間ギャップに対応する高さで形成し、その他の基板間空間をセル17に仕切るための隙間18を有する仕切り部材14−2を、双方のパネル基板11、12に互いに対向して重なる位置に、双方の仕切り部材14−2−1、14−2−2の高さを合わせた長さが基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1の長さ以下になるよう形成し、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1の頂上と基板12との間にのみ接着剤19を配置してもう一方の背面側パネル基板12とを貼り合わせてパネル構造体としている。
【0046】
図17(a)、(b)に示す例では、3個のセル(ピクセル)で表示単位(1ドット)を構成するカラー表示の例を示している。図17(a)、(b)に示す例では、表示媒体としてはセル71−1〜71−3の全てに白色表示媒体13Wと黒色表示媒体13Bとを充填し、第1のセル71−1の観察者側に赤色カラーフィルター72Rを設け、第2のセル71−2の観察者側に緑色カラーフィルター72Gを設け、第3のセル71−3の観察者側に青色カラーフィルター72BLを設け、第1のセル71−1、第2のセル71−2および第3のセル71−3の3個のセル(ピクセル)で表示単位(1ドット)を構成している。各ピクセルに対応する位置にカラーフィルター72R、72G、72BLを設けている。また、隔壁14−1、14−2に対応してカラーフィルターと同層にリブ状黒色遮光材73を形成している。本例では、カラー表示を行う際に、図17(b)に示すように、観察者側に、第1セル71−1〜第3のセル71−3の全てにおいて白色表示媒体13Wを移動すると、観察者に対し白色ドット表示を行うことができ、図17(b)の状態から白色表示媒体13Wと黒色表示媒体13Bとを反転させることで、観察者側に、第1セル71−1〜第3のセル71−3の全てにおいて黒色表示媒体13Bを移動すると、観察者に対し黒色ドット表示を行うことができる。ピクセルごとに配置した表示媒体の移動のさせ方で、多色カラーのドットマトリックス表示を行うことができる。なお、74は観察側の最外層に設けた保護層である。
【0047】
本実施例の特徴は、図17(b)に基板間ギャップ確保用として配置する隔壁部分の間に、セル形成用の隔壁(仕切り部材)を2本設けた例を示すように、隔壁14を、(1)複数のセル(本例では、図17(a)にパネルを上から見た図を示すように、3×1=3個のセル72−1〜72−3)に対応して形成され、所望の基板間ギャップに対応する高さを有し、情報表示用パネルの基板間ギャップを保持するための基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1と、(2)基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1以外の部分で形成され、パネル基板11、12間で隙間18を有し、情報表示用パネルの各セル72−1〜72−3を形成するための隔壁部分(セル形成専用仕切り部材)14−2と、から構成した点である。また、本実施例では、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1を、背面側パネル基板11に所望の基板間ギャップに対応する高さで形成し、その他の基板間空間をセル72−1〜72−3に仕切るための隙間18を有する仕切り部材14−2を、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1の長さ以下になるよう形成し、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1の頂上と基板11との間にのみ接着剤19を配置してもう一方の基板11とを貼り合わせてパネル構造体としている。
【0048】
図18(a)〜(c)に示す例では、4個のセル(ピクセル)で表示単位(1ドット)を構成するカラー表示の例を示している。図18(a)〜(c)に示す例では、表示媒体としてはセル71−1〜71−4の全てに白色表示媒体13Wと黒色表示媒体13Bとを充填し、第1のセル71−1の観察者側に赤色カラーフィルター72Rを設け、第2のセル71−2の観察者側に緑色カラーフィルター72Gを設け、第3のセル71−3の観察者側に青色カラーフィルター72BLを設け、第4のセル71−4の観察者側に透明カラーフィルター72Tを設け、第1のセル71−1、第2のセル71−2、第3のセル71−3および第4のセル71−4の4個のセル(ピクセル)で表示単位(1ドット)を構成している。各ピクセルに対応する位置にカラーフィルター72R、72G、72BLを設けている。また、隔壁14−1、14−2に対応してカラーフィルターと同層に白色遮光材76を形成している。最外層にはフレキシブルで透明な接着剤75を用いてフレキシブルで透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを保護層として設けている。本例では、カラー表示を行う際に、図18(a)、(b)に示すように、観察者側に、第1セル71−1〜第4のセル71−4の全てにおいて白色表示媒体13Wを移動すると、観察者に対し白色ドット表示を行うことができ、図18(a)、(b)の状態から白色表示媒体13Wと黒色表示媒体13Bとを反転させることで、観察者側に、第1セル71−1〜第4のセル71−4の全てにおいて黒色表示媒体13Bを移動すると、観察者に対し黒色ドット表示を行うことができる。ピクセルごとに配置した表示媒体の移動のさせ方で、多色カラーのドットマトリックス表示を行うことができる。
【0049】
本実施例の特徴は、図18(a)〜(c)に基板間ギャップ確保用として配置する隔壁部分の間に、セル形成用の隔壁(仕切り部材)を1本設けた例を示すように、隔壁14を、(1)複数のセル(本例では、図18(c)にパネルを上から見た図を示すように、2×2=4個のセル71−1〜71−4)に対応して形成され、所望の基板間ギャップに対応する高さを有し、情報表示用パネルの基板間ギャップを保持するための基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1と、(2)基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1以外の部分で形成され、基板11、12間で隙間18を有し、情報表示用パネルの各セル71−1〜71−4を形成するための隔壁部分(セル形成専用仕切り部材)14−2と、から構成した点にある。ここでは隙間18の位置を基板間の中央とした例を示している。また、本実施例では、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1を、基板11に所望の基板間ギャップに対応する高さで形成し、その他の基板間空間をセル71−1〜71−4に仕切るための隙間18を有する仕切り部材14−2を、双方の基板11、12に互いに対向して重なる位置に、双方の仕切り部材14−2−1、14−2−2の高さを合わせた長さが基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1の長さ以下になるよう形成し、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1の頂上と基板11との間にのみ接着剤9を配置してもう一方の基板11とを貼り合わせてパネル構造体としている。
【0050】
図19(a)〜(c)および図20(a)〜(c)はそれぞれ本発明で情報表示部として用いる情報表示用パネルの製造方法の一例を説明するための図である。まず、図19(a)〜(c)および図20(a)〜(c)に示す例において、観察側パネル基板12は透明でフレキシブルな樹脂フィルム基板とし、観察側ストライプ電極16は透明な電極とする。背面側パネル基板11は透明基板でなくてもよくフレキシブルな樹脂フィルム基板とする。背面側ストライプ電極15は透明でなくても良いので、可とう性のある金属電極が好ましい。情報表示画面領域に設ける観察側ストライプ電極を情報表示部の短辺に平行となるようにすれば、ストライプ電極が曲げられることがないので可とう性に乏しい透明導電膜でも電極として配置することができるので好ましい。また、透明導電膜は金属膜に比べると電気抵抗が大きいので、長さを短く配置できる点からも、情報表示部の短辺に平行となるようにするのが好ましい。また、観察側パネル基板と背面側パネル基板とは、図19(a)〜(c)および図20(a)〜(c)に示す例と反対の構成でもよい。
【0051】
図19(a)〜(c)に示す例では、まず、図19(a)に示すように、ストライプ電極16を設けた観察側パネル基板12とストライプ電極15を設けた背面側パネル基板11との双方に、それぞれ、隙間18を有する仕切り部材14−2を形成するための仕切り部材14−2−1と仕切り部材14−2−2とを対向して設けるとともに、背面側パネル基板11に基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1を設けて、観察側パネル基板12と背面側パネル基板11とを準備する。次に、図19(b)に示すように、黒色表示媒体13Bと白色表示媒体13Wとを、背面側パネル基板11のセル対応部分に順次配置する。最後に、図19(c)に示すように、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1の頂上部に接着剤19を設け、2枚のパネル基板11、12を接着剤19で貼り合わせることで、本発明で用いる情報表示部を得ることができる。本例では、セル形成専用部材14−2−1と14−2−2との間に、1μm以上で、表示媒体を構成する粒子群の平均粒子径以下の隙間18を設けた。
【0052】
図20(a)〜(c)に示す例では、まず、図20(a)に示すように、ストライプ電極16を設けた観察側パネル基板12と、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1とその高さ以下の高さの仕切り部材14−2とを形成したストライプ電極15を設けた少なくとも一方向に曲げられる背面側パネル基板11とを準備する。次に、図20(b)に示すように、黒色表示媒体13Bと白色表示媒体13Wとを、背面側パネル基板11のセル対応部分に順次配置する。最後に、図20(c)に示すように、基板間ギャップ確保用隔壁部分14−1の頂上部に接着剤19を設け、2枚のパネル基板11、12を接着剤19で貼り合わせることで、本発明で用いる情報表示部を得ることができる。本例では、セル形成専用部材14−2と基板12との間に、1μm以上で、表示媒体を構成する粒子群の平均粒子径以下の隙間18を設けた。
【0053】
以下、本発明のエンドレスベルトに搭載する情報表示部に使用する情報表示用パネルを構成する各部材の材料等について、さらに詳細に説明する。
【0054】
少なくとも一方向に曲げられる情報表示部(情報表示用パネル)と、少なくとも一方向に曲げられる駆動回路基板とを並列に配置するような構成の情報表示装置として、エスカレータの手摺りベルトのような回転体に搭載するようにすると、少なくとも一方向に曲げられる情報表示部と駆動回路基板とを重ねて配置した構成の情報表示装置に比べて、装置全体として曲がりやすくなって応力の分散が図られるためか、情報表示装置としての使用耐久性が向上するので好ましい。
【0055】
少なくとも一方向に曲げられる情報表示部と、少なくとも一方向に曲げられる駆動回路基板とを並列に配置するような構成の情報表示装置として、エスカレータの手摺りベルトのような回転体に搭載するようにすると、少なくとも一方向に曲げられる情報表示部と駆動回路基板とを重ねて配置した構成の情報表示装置に比べて、電子部品が発熱しても放熱しやすいためか、情報表示装置としての使用耐久性が向上するので好ましい。
【0056】
観察側のパネル基板は透明で少なくとも一方向に曲げられる必要があり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのエステル系樹脂や、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂やポリカーボネート(PC)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)などの透明なポリマーフィルムや透明なポリマーシートを用いることが出来る。また、200μm厚以下に薄くしたガラスシートも長手方向に対しては曲げられるので使用することができる。
【0057】
背面側のパネル基板は透明性を必要としないので、前述と同じ材料のポリマーフィルムやポリマーシートであって透明でないものも可とう性があれば使用することができるほか、その他種々の材料で構成したフィルムを使用できる。観察側のパネル基板とパネル裏面に配置するL字型フレキシブルケーブルとを異方導電性接続材を用いて接続するので両者間の距離は短い方が好ましく、両者の間に配置する背面側のパネル基板は薄いことが望ましい。そのため、背面側のパネル基板としては厚さが25μm〜200μmのフィルム状の基板が好適である。背面側のパネル基板の厚さが200μmを超えると上記理由から異方導電性接続材を用いた基板間導通において不具合が起こることがあり、背面側のパネル基板の厚さが25μmより薄いとパネル作製時の取り扱いが難しくなる不都合がある。
【0058】
L字型フレキシブルケーブルは透明性を必要としないので、幅広く選択した材料を好適に使用することができる。パネルサイズに合わせて、このL字型フレキシブルケーブル同士の一部を重ねて用いる場合には重ねても厚みを取らないポリマーフィルムを用いることが好ましい。L字型フレキシブルケーブル同士の一部を重ねて用いる場合のL字型フレキシブルケーブルとしては厚さが25μm〜200μmのフィルムが好適である。L字型フレキシブルケーブルの厚さが200μmを超えると上記理由から重ねた厚さが厚くなり異方導電性接続材を用いて基板間導通を行った接続部分において不具合が起こることがあり、L字型フレキシブルケーブルの厚さが25μmより薄いとパネル作製時の取り扱いが難しくなる不都合がある。
【0059】
異方導電性接続材料としては、非導電性の熱硬化性樹脂に導電粒子を分散させてフィルム状に成型した異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)やフィルム状に成型せずに、非導電性の熱硬化性樹脂に導電性粒子を分散させペースト状にした異方導電性ペースト(Anisotropic Conductive Paste:ACP)などが好適に用いられる。導電粒子としては、平均粒子径3〜5μm程度の球形樹脂の表面にニッケルや金がめっきされたものや、平均粒子径3〜5μm程度の球形樹脂の外側を導電性材料でコートしたものが用いられる。また、観察側のパネル基板やL字型フレキシブルケーブルの接続用電極部分にバンプを作製する場合は、導電粒子を含まない非導電性フィルム(Non Conductive Film:NCF)や、非導電性ペースト(Non Conductive Paste:NCP)なども使用できる。
【0060】
対向して配置する電極の材料に関して、観察側となる透明基板側の情報表示画面領域に設ける透明電極材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の透明導電性高分子類が挙げられる。
【0061】
背面側基板や情報表示画面領域外に設ける電極材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子類や、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金が挙げられ、このうち可とう性に優れた金属が好ましく用いられる。背面側基板に設ける電極は透明であってもよいし、透明でなくても良い。
【0062】
電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。パターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、観察側となる透明基板の情報表示画面領域に設ける電極の厚さは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。また、背面側基板や情報表示画面領域外に設ける電極の厚さは、導電性が確保できれば良く、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。
【0063】
情報表示画面領域に設けるストライプ電極では、ストライプ電極の幅、厚さが電気抵抗に係り、ストライプ電極長が長くなると電気抵抗による電圧降下の影響が顕著になるため、画素サイズに影響しない電極厚さは、光透過性に影響しない範囲でできるだけ厚くして電気抵抗を小さくすることが好ましい。
【0064】
また、本発明に係る情報表示部のように情報表示画面領域のアスペクト比が大きい場合には、ITOのような透明なストライプ電極を短辺に平行方向に配置し、金属電極のような電気抵抗が小さいストライプ電極を長辺に平行方向に配置することが好ましい。基板間ギャップ確保用として設ける隔壁部分や、セル形成専用の隔壁部分の形成材料としては、液状レジスト材やドライフィルムレジスト材が好適に用いられる。一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。形成したい隔壁部分の高さに合せた厚みのドライフィルムレジスト材をパネル基板に積層し、所定形状のフォトマスクを用いてフォトリソ法によってパターニングしたり、金型を用いて隔壁を転写形成したりすることができる。
【0065】
本発明のエンドレスベルトの情報表示部を帯電粒子移動方式の情報表示用パネルとする場合の表示媒体を構成する帯電性粒子について説明する。粒子群は、帯電性粒子だけで構成したり、その他の粒子と合わせて構成した粒子群としたりして用いられる。帯電性粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、荷電制御剤、顔料系着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。また、この粒子を母粒子としてその表面に、帯電特性を付与するための子粒子を固着させた複合型の帯電性粒子とすることも好ましく用いられる。以下に、樹脂、荷電制御剤、顔料系着色剤、その他添加剤を例示する。
【0066】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0067】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0068】
本発明において粒子群は平均粒子径d(0.5)が、1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。さらに、各粒子群の平均粒子径は同程度にすることが好ましい。
【0069】
更に本発明では、各粒子群の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、表示媒体としての均一な移動が可能となる。
【0070】
さらにまた、各粒子群のなかでも、組み合せた粒子群の一方の粒子群の平均粒子径にするもう一方の粒子群の平均粒子径の比を10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子群が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズを同程度にすれば、互いの粒子が反対方向に容易に移動できるようになり好適である。
【0071】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行うことができる。
【0072】
帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として気体中空間で駆動させる場合には、表示媒体とする粒子群を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、粒子群を配置したセル空間で、いわゆる粒子群(表示媒体)が接する気体部分を指すものとする。空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、粒子群(表示媒体)の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0073】
本発明に係る情報表示部における基板と基板との間隔は、帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として移動することができて、コントラストを維持できればよく、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは10〜100μmに調整される。フレキシブルな情報表示部とするにはパネル構造体全体を薄くすることが効果的であり、基板を薄くするとともに、基板間も短くするのが好ましく、帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体とする本発明では、基板間を10〜50μmにするのが特に好ましい。
【0074】
背面側パネル基板を薄くしたり、基板間距離を短くしたりすると、観察側パネル基板の電極端子部と、L字型フレキシブルケーブルの配線端子部との異方導電接続が容易にできるとともに、電気的接続の信頼性も上がるので好ましい。これは、異方導電接続する際にL字型フレキシブルケーブルの配線端子部側を観察側パネル基板の電極端子部側に近づけるように変形する異方導電接続ができるので、異方導電接続材が含む導電粒子として粒子径が小さいものを採用できるようになり、隣接電極間のリークを起こさない異方導電接続が行えるようになるからである。また、背面側パネル基板を薄くしたり、基板間距離を短くしたりすると、異方導電接続する際にL字型フレキシブルケーブルの配線端子部側を観察側パネル基板の電極端子部側に近づけるように変形する変形量も小さくでき、接続部に掛かるL字型フレキシブルケーブルの配線端子部側変形戻りによる負荷を小さくすることができ、接続信頼性が向上する。
【0075】
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動の支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明のエンドレスベルトは、エスカレータや動く歩道のようなマンコンベヤの手摺りベルトのほか、物品を搬送するコンベアベルトなど、Uターン時に曲げられ、人や物品を搬送している時には平坦になるといった、曲げと戻りとが繰り返される回転搬送機能を有する装置に用いる回転型エンドレスベルトの表面で、情報表示用パネルによって情報表示できるようにした構成の回転型エンドレスベルトとして好適に用いることができる。
【0077】
また、本発明の情報表示部を搭載した回転型エンドレスベルトは、Uターン時に曲げられ、それ以外の時には平坦になるといった、曲げと戻りとが繰り返されるベルト部に情報表示部が搭載された回転型エンドレスベルトとしても好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 手摺りベルト
2 情報表示部
3 利用者
4 太い点線
5 細い点線
11、12 パネル基板
13W 白色表示媒体
13Wa 白色負帯電性粒子
13B 黒色表示媒体
13Ba 黒色正帯電性粒子
14 隔壁
14−1 基板間ギャップ確保用隔壁部分
14−2、14−2−1、14−2−2 仕切り部材
15、16、25 電極
17 セル
18 隙間
19 接着剤
20 エンドレスベルト
21 観察側接続用電極
22 背面側接続用電極
23、23−1〜23−4、26、26−1〜26−3 フレキシブルケーブル
24 L字型フレキシブルケーブル
25−A 先端部
31、33 ACF接続部
32 ドライバーIC
41 基板間ギャップ確保用隔壁部分
42 枠状シール剤
43 表示媒体配置層
44 異方導電接続材
51 コネクター
52 屈曲可能な駆動回路基板
53 バッテリー
54 ドライバー
55 CPU
56 通信回路
57 屈曲可能部位
58 表示情報保持回路
59 二次電池
61 フレキシブルシート基板
62 電子部品
63 分割基板
64 フレキシブルフィルムシート
65 基板
66 溝
67 外部装置
68 手摺りベルト
69 フレキシブルプリント配線
70 フレキシブルケーブル
71−1〜71−4 セル
72R 赤色カラーフィルター
72G 緑色カラーフィルター
72BL 青色カラーフィルター
72T 透明カラーフィルター
73 黒色遮光材
74 保護層
75 透明接着材
76 白色遮光材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長辺と短辺とを備える情報表示部を有するエンドレスベルトであって、情報表示部は、フレキシブルで透明な観察側パネル基板とフレキシブルで透明であることを要しない背面側パネル基板とにより形成された空間に表示媒体が封入され、観察側パネル基板の情報表示画面領域に形成された透明なストライプ電極に続く情報表示画面領域外側に形成された観察側接続用電極の端部が、情報表示部の長辺側に配置されるとともに、背面側パネル基板の情報表示画面領域に形成されたストライプ電極に続く情報表示画面領域外側に形成された背面側接続用電極の端部が、情報表示部の短辺側に配置され、背面側パネル基板の裏側に外部回路との接続用電極が配線されたL字型フレキシブルケーブルを配置し、このL字型フレキシブルケーブルの一方の端部と観察側接続用電極とを、情報表示部の長辺側の端部で異方導電接続部材で接続し、このL字型フレキシブルケーブルのもう一方の端部と背面側接続用電極の端部とを、情報表示部の短辺側に配置し、情報表示部の短辺側に配置されたL字型フレキシブルケーブルの端部および背面側接続用電極の端部に、情報表示部に配置された表示媒体を駆動させる直方体形状のドライバーICを接続搭載し、ドライバーICの長辺側がエンドレスベルトの進行方向に直角の方向となるよう配置したことを特徴とするエンドレスベルト。
【請求項2】
前記長辺と短辺とを備える情報表示部の透明な観察側パネル基板に設ける透明なストライプ電極は、情報表示部の短辺に平行に設けることを特徴とする請求項1に記載のエンドレスベルト。
【請求項3】
前記情報表示部の観察側パネル基板と背面側パネル基板との間の情報表示画面領域は隔壁により複数のセルに区切られており、前記隔壁を、基板間ギャップに対応する高さを有し、情報表示画面領域の基板間ギャップを保持するための基板間ギャップ確保用部分と、基板間ギャップを保持する機能を有しないセル形成専用部分とで構成し、前記隔壁のセル形成専用部分には、観察側パネル基板と背面側パネル基板との間で隙間を有するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンドレスベルト。
【請求項4】
前記情報表示部の短辺側に配置されたL字型フレキシブルケーブルの端部および背面側接続用電極の端部に接続搭載されたドライバーICのもう一方の接続側と駆動回路基板とを接続し、この駆動回路基板が、駆動回路を構成する電子部品を配置した間に、エンドレスベルトの進行方向に直角な方向に屈曲可能な屈曲可能部位を設けて、各電子部品間の電気的接続はフレキシブルな導電部材で行っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンドレスベルト。
【請求項5】
前記駆動回路基板を、フレキシブルシート基板に、駆動回路を構成する電子部品を、エンドレスベルトの進行方向に直角な方向に間隔を持って分割実装し、前記屈曲可能部位をフレキシブルシート基板の電子部品間の位置に形成するとともに、各電子部品間の電気的接続はフレキシブルな導電部材で行っていることを特徴とする請求項4に記載のエンドレスベルト。
【請求項6】
前記駆動回路基板を、分割した基板に、駆動回路を構成する電子部品を分割実装し、少なくともエンドレスベルトの進行方向に直角な方向に前記分割した基板を並べて配置し、各分割基板に分割実装された電子部品間の電気的接続を行うとともに、各分割基板を連結するフレキシブル配線プリントフィルムシートを各分割基板に貼り合せて屈曲可能な屈曲可能部位としたことを特徴とする請求項4に記載のエンドレスベルト。
【請求項7】
前記駆動回路基板を、基板に、駆動回路を構成する電子部品を、エンドレスベルトの進行方向に直角な方向に間隔を持って分割実装し、前記屈曲可能部位を基板の電子部品間の位置に線状の溝を形成することで構成するとともに、各電子部品間の電気的接続は前記線状の溝を含んだ基板表面に形成されたフレキシブルな導電部材で行っていることを特徴とする請求項4に記載のエンドレスベルト。
【請求項8】
前記駆動回路基板を、基板に、駆動回路を構成する電子部品を、エンドレスベルトの進行方向に直角な方向に間隔を持って分割実装し、前記屈曲可能部位を基板裏面側であって、基板上の電子部品間の位置に線状の溝を形成することで構成するとともに、各電子部品間の電気的接続は基板表面側であって、基板上の電子部品間の位置に形成されたフレキシブルな導電部材で行っていることを特徴とする請求項4に記載のエンドレスベルト。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のエンドレスベルトを用いたことを特徴とする回転搬送体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−265106(P2010−265106A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119956(P2009−119956)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】