説明

エンブレム収納部、及び電子機器

【課題】 エンブレムやエンブレムカバーの外観品質を損なうことなく、環境保護にも適する、製品に同梱し取着するエンブレム収納部およびこれを備えた製品を提供する。
【解決手段】 ブランド名や商品名を含む情報が記載されたエンブレム1やエンブレムの外観品質を向上するために装着されるエンブレムカバー1aが、工場からの出荷時は製品に装着されずに同梱され、生産工場とは異なる場所で製品に装着されるエンブレム構体Bにおいて、同梱される前記エンブレム1や前記エンブレムカバー1aを複数枚収納可能な収納部3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンブレムおよびエンブレムカバーを収納する収納部の構造、及びこれが装着される、画像形成装置、電気製品、その他の販売製品を含むあらゆる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、製品の出荷時に装着されないエンブレムやエンブレムカバーは、製品の操作説明書や設置手順書等と一緒にポリ袋等に入れて同梱されているのが一般的である。
また、輸送時の振動等によりエンブレムやエンブレムカバーの表面に傷が付き易いため、エンブレムやエンブレムカバーの表面を保護シートで覆ったり、発泡ウレタンやエアーパッキン等の緩衝材で作られた袋を用いて個別包装したりしているのが一般的であった。
図7は商品名やブランド名が表記されたエンブレムとこれを装着する前カバーの表面を示す概略分解図である。図7において、商品名やブランド名が表記されたエンブレム1とこれを装着する前カバー2の表面が示されている。エンブレム1の裏面には粘着材が付いており、エンブレム1の裏面を前カバー2に貼付することで固定している。
例えば、日本で生産され海外へ出荷される製品で、海外では1つの製品を複数のブランドで売り出す場合があるが、現地販売区では製品をノーブランドとして入荷しておけば、エンブレムのみ変更して売り分けることができるため、複数のブランドの在庫を抱える必要がないというメリットがある。
その場合、ブランド名や商品名が表記された複数のエンブレムは製品に装着せずに、通常はマニュアル等と一緒に同梱して出荷している。製品(例えば、図1の画像形成装置A)が到着した現地では、所望のブランドのエンブレムのみを取り出して貼り付け、不要なエンブレムは破棄している。
従来は図7のようにエンブレムカバーを設けず、例えばポリカーボネート製の素材の裏側からブランド名や商品名等を直接印刷し、さらにその裏に粘着材を付ける構成となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この構成ではエンブレムが高額となるが、上述したように複数枚のエンブレムを製品に同梱して工場から出荷する場合、この高額なエンブレムを破棄しなければならず無駄となっていた。
また、保護シートや個別包装している袋はエンブレムやエンブレムカバー装着後、ゴミとして廃棄処理する必要があるため、環境面からは最善の策ではなかった。また保護シートは剥がさずに使用されることが多く、エンブレムの外観品質を損なう結果となっていた。
本発明の目的は、上述した実情を考慮して、エンブレムやエンブレムカバーの外観品質を損なうことなく、環境保護にも適する、製品に同梱し取着するエンブレム収納部、及びそれを使用した各種製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、電子機器の外装部品に少なくとも一枚のエンブレム、或いはエンブレムカバーを着脱自在に収納する収納部を設けたことを特徴とする。即ち、ブランド名や商品名を含む情報が記載されたエンブレムやエンブレムの外観品質を向上するために装着されるエンブレムカバーが、工場からの出荷時は製品に装着されずに同梱され、生産工場とは異なる場所で製品に装着されるエンブレム構体において、同梱される前記エンブレムや前記エンブレムカバーを複数枚収納可能な収納部を備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記外装部品は、電気機器本体に対して開閉自在に支持された部品であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記収納部を前記外装部の内側に設けたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記外装部品に設けた前記収納部が、前記エンブレムや前記エンブレムカバーの要保護面にも接触せずにそれらを収納可能であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項記載のエンブレム収納部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、エンブレムやエンブレムカバーを製品自体に収納可能としたことにより、保護シートや個別包装が不要となり、破棄処理するゴミを削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の電子機器を画像形成装置の場合として示す斜視図である。図1において、画像形成装置本体(製品)Aの前面にはエンブレムやエンブレムカバー1が装着される前カバー2を備えている。
図2はエンブレム構体の第1の実施の形態(エンブレムを前カバーの前面に取り付ける場合の取り付け部)を示す概略分解図である。この実施の形態はエンブレムカバー1aと粘着材を用いないエンブレム1とこれを装着する前カバー2の表面からなるエンブレム構体Bを示している。ここで、エンブレム構体Bとはエンブレム1やエンブレムカバー1a、およびこれらが装着される前カバー2周辺を差して称する。
エンブレム1の外観品質向上と固定を目的に装着されるエンブレムカバー1aは透明のポリカーボネート等の材質で造られているため、粘着材を利用して固定することはできない。
そのため、エンブレムカバー1aの上下に複数個の係止爪1bが設けられており、前カバー2に開けられた開口部(凹所)2aの内壁に設けた係合部2a’にこの係止爪1bを引掛けることで固定している。この場合、エンブレム構体Bはエンブレム1、エンブレムカバー1a、係止爪1b、前カバー2に開けられた開口部2aを包含する。
図2では、合成紙等を用いた簡素な作りの、安価なエンブレム1と外観品質を高めるエンブレムカバー1aの2層構造としている。この構成であれば複数枚のエンブレムを同梱する場合でも破棄するのは安価なエンブレムのみとなるため、無駄は最小限に抑えることができる。
【0007】
図3はエンブレム収納部の実施形態を示す概略分解図である。図4はエンブレムを収納した状態を示す断面図である。図3および図4において、前カバー2の裏側には収納部3が設けられる。つまり、使用時にはエンブレムを図2に示した如き取り付け部に取り付ける一方で、使用前にはカバーの裏側に設けた収納部3に取り付けて運搬等を行う。
なお、収納部3は、電子機器の外装部品であれば取り付け可能であり、カバーに限らないが、本例ではカバーに収納部を設けた例を説明する。
エンブレム1(エンブレムカバー1a)は、収納部3により支持されている。即ち、エンブレム1は、図3のように前カバー2に設けた矩形環状のリブ4と、リブ4の内壁に突設した複数個の突起5とから成る収納部3により、これら(エンブレム1、エンブレムカバー1a)が外れるのを防止している。この場合、エンブレム構体Bはエンブレム1、エンブレムカバー1a、前カバー2に設けたリブ4、複数個の突起5、および収納部3を包含する。
突起5のうち少なくとも1つは図4中、矢印方向に弾性変形可能な形状部分5aとすることでエンブレム1、エンブレムカバー1aの着脱をスムーズに行えるようにしている。エンブレム1、エンブレムカバー1aは複数枚収納されるため、表面(要保護面)同士を向かい合わせにして重ね合わせて収納すれば表面に傷が付くことはない。
複数枚のエンブレムをその表面同志(要保護面同志)を密着させた状態で積層し収納して運搬に供する。このため収納部を構成する突起等によってエンブレムの表面が損傷することがなくなる。
【0008】
図5はエンブレム収納部の他の実施の形態を示す概略分解図である。図6はエンブレムを収納した状態を示す断面図である。図5および図6において、前カバー2の裏側には収納部3が設けられる。
エンブレムカバー1aが図2に示すように係止爪1bを有する場合は、図5のように前カバーに設けたリブ4とエンブレムカバー1aの係止爪1bの位置に複数の穴6を設け、エンブレムカバー1aとエンブレム1が外れるのを防止している。
穴のうち少なくとも1つは図6中、矢印方向に弾性変形可能な形状部分6aとすることでエンブレム1やエンブレムカバー1aの着脱をスムーズに行えるようにしている。
複数枚のエンブレム1は、エンブレムカバー1aの内側に、表面をエンブレムカバー1a側に向けて重ね合せて収納すればエンブレムカバー1aにもエンブレム1にも傷が付くことはない。
【0009】
本発明によれば、収納部3を回動自在に固定された外装部品(カバー)に設けたことにより、収納したエンブレム1やエンブレムカバー1aを工具等の使用なしで簡単に取り出すことが可能となる。
本発明によれば、外装部品の内側に収納部3を設けたことにより、製品の外観品質を損なうことがない。また、エンブレム1やエンブレムカバー1aの表面(要保護面)を機器側の硬い部分のどこにも接触することなく収納可能なため、輸送時や運搬時の振動等で傷が付くことがない。つまり、エンブレムやエンブレムカバーを製品自体に収納可能としたことにより、保護シートや個別包装が不要となり、破棄処理するゴミを削減することが可能となる。また、使用時には収納部内に収納された複数のエンブレムの中から使用するもの(海外等で売れ行きのよいブランドを表示したエンブレム)だけを取り出して表面側に設けた取り付け部に取り付けることができる。このため、同一機器でありながら別ブランドで販売する場合に、機器自体の裏側に予め収納したエンブレムの中から使用するものを取出し、そのエンブレムを表面に取り付けて使用することができるので便利である。
本発明はあらゆる電子機器の外装部品に適用することができる。また、本発明は電子機器に限らず、ブランドを変更することにより製品の売れ行きが変わることがある製品一般(機械装置、家具、乗り物、玩具、遊戯具等々)に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の電子機器を画像形成装置の場合として示す斜視図である。
【図2】エンブレム取り付け部の第1の実施の形態を示す概略分解図である。
【図3】エンブレム収納部の実施の形態を示す概略分解図である。
【図4】エンブレムを収納した状態を示す断面図である。
【図5】エンブレム収納部の他の実施の形態を示す概略分解図である。
【図6】エンブレムを収納した状態を示す断面図である。
【図7】商品名やブランド名が表記されたエンブレムとこれを装着する前カバーの表面を示す概略分解図である。
【符号の説明】
【0011】
A 製品(画像形成装置)、B エンブレム構体、1 エンブレム、1a エンブレムカバー、1b 係止爪、2 前カバー、3 収納部、4 リブ(前カバーの)、5 突起
5a 弾性変形可能な形状部分を含む突起、6 穴、6a 弾性変形可能な形状部分を含む穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の外装部品に少なくとも一枚のエンブレム、或いはエンブレムカバーを着脱自在に収納する収納部を設けたことを特徴とするエンブレム収納部。
【請求項2】
前記外装部品は、電気機器本体に対して開閉自在に支持された部品であることを特徴とする請求項1記載のエンブレム収納部。
【請求項3】
前記収納部を前記外装部の内側に設けたことを特徴とする請求項1または2記載のエンブレム収納部。
【請求項4】
前記外装部品に設けた前記収納部が、前記エンブレムや前記エンブレムカバーの要保護面にも接触せずにそれらを収納可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のエンブレム収納部。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のエンブレム収納部を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−58689(P2006−58689A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241544(P2004−241544)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】