説明

オイルレベル把握装置

【課題】ガイド管3とオイルレベルゲージ2とを備えるオイルレベル把握装置において、オイル貯留部30の種類毎にガイド管3からのオイルレベルゲージ2の先端側の突出代を調整可能にする構成を、安価に提供可能とする。
【解決手段】オイルレベルゲージ2の先端側はガイド管3の底壁3aに設けられる貫通孔3bから外側に突出させられている。オイルレベルゲージ2の長手方向途中には底上げ部材7に当接されることでオイルレベルゲージ2先端側の突出代を規定するためのストッパ4が設けられている。オイルレベルゲージ2はオイル貯留部30の種類に関係なく共通使用するために全長寸法が一定とされている。底上げ部材7の底上げ寸法およびガイド管3の全長寸法はオイル貯留部30の種類毎に予め規定されるオイルレベルゲージ2先端側の突出代を確保するように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエンジンまたはトランスミッションなどに備えるオイル貯留部内のオイルレベル(油面高さ)を把握するためのオイルレベル把握装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オイルレベルゲージは、その先端側にオイルレベル把握用の目盛りが設けられて、前記先端と反対側の端部に摘みが設けられるような構成になっている。
【0003】
このオイルレベルゲージは、エンジンまたはトランスミッションなどのオイル貯留部に取り付けられているガイド管内に取り外し可能に差し入れられて、このオイルレベルゲージの摘みが前記ガイド管の外端開口に取り外し可能に装着されるようになっている。
【0004】
そして、オイルレベルゲージの先端をエンジンのオイル貯留部内のオイルに漬けたままにしているような場合、オイルレベルを調べるときの作業としては、一旦、オイル貯留部内からオイルレベルゲージを取り外し、その先端に付着しているオイルをふき取り、再度、このオイルレベルゲージをオイル貯留部内に差し入れて、その先端をオイルに漬けた後、オイル貯留部内からオイルレベルゲージを取り外して、その先端に付着しているオイルがどの目盛り位置にまで達しているかを作業者が目視にて調べることにより、オイルレベルを把握するようにしている。
【0005】
この他、例えば特許文献1に示すようなオイルレベルゲージがある。この特許文献1に示すオイルレベルゲージは、オイルタンクに取り付けられるガイド管の外側開口から差し入れられるオイルレベルゲージ本体と、このオイルレベルゲージ本体の上端に設けられる伸縮機構とを備えた構成になっている。
【0006】
なお、前記伸縮機構は、通常時にオイルレベルゲージ本体の先端をガイド管の上側開口(オイルタンク内の開口)から飛び出さないように完全に引っ込めるように隠していて、前記伸縮機構の摘みが下側に押し込み操作されたときにオイルレベルゲージ本体の先端がガイド管の内側開口から飛び出すようになる。
【0007】
このような構成では、オイルタンクに取り付けられるガイド管にオイルレベルゲージを装着しただけの状態だと、オイルレベルゲージ本体の先端がオイルタンク内のオイルに漬からないようになっている。そして、オイルレベルを調べるときには、オイルレベルゲージの伸縮機構の摘みを弾性的に下側に押し込み操作することによって前記伸縮機構における外蓋内のスプリングを圧縮させることによって、オイルレベルゲージ本体の先端をガイド管の下側開口から飛び出させてオイルタンク内のオイルに漬けるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−2021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に係る従来例では、オイルタンクを備えるエンジンまたはトランスミッションの種類毎に適合する専用のオイルレベルゲージとガイド管とを用意する必要がある。
【0010】
一般に、オイルタンクを備えるエンジンまたはトランスミッションは、その種類(エンジンまたはトランスミッションの姿勢、オイルパンの位置など)毎、あるいは製造メーカー毎に、オイルレベルゲージ装着位置(ガイド管の外側開口の位置)が異なる場合がある。そのために、前記種類毎に、前記ガイド管の外側開口の位置から適正なオイルレベル(油面高さ)までの距離などが異なる場合がある。それにもかかわらず、エンジンまたはトランスミッションの種類に関係なく、例えば全長寸法を一定にした共通のオイルレベルゲージを使おうとすると、前記種類によってはガイド管の内側開口からのオイルレベルゲージ本体の先端側の突出代が短くなったり、長くなったりすることがあり、そのために、オイルレベルゲージ本体の先端側に設けてある目盛りの位置が前記種類毎に適合しなくなる。このようなことから、従来ではエンジンまたはトランスミッションの種類毎にオイルレベルゲージおよびガイド管の全長寸法をそれぞれ変更する必要があった。そのため、前記種類毎に適合する専用のオイルレベルゲージとガイド管とが多数必要になっているのである。
【0011】
このように、専用のオイルレベルゲージとガイド管とを製作するにあたっては、それらの製造ラインまたは製造金型が多く必要になって製造コストが嵩むことになる。また、前記多数の専用のオイルレベルゲージとガイド管とを品番を付けて個別に保管する必要があるなど、保管に要する管理コストが嵩む結果になっている。
【0012】
このような事情に鑑み、本発明は、オイル貯留部に取り付けられるガイド管と、このガイド管内に取り外し可能に差し入れられるオイルレベルゲージとを備えるオイルレベル把握装置において、前記オイル貯留部の種類毎にガイド管からのオイルレベルゲージの先端側の突出代を調整可能にする構成を、安価に提供可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、オイル貯留部の内外に跨って取り付けられるガイド管と、このガイド管内に取り外し可能に差し入れられかつ先端側にオイルレベル把握用の目印が設けられるオイルレベルゲージとを備え、かつ前記オイルレベルゲージの先端側が前記ガイド管の底壁の貫通孔から突出して前記オイル貯留部内のオイルに浸けられていて、当該先端側に対するオイルの付着位置に基づいてオイルレベルを把握するオイルレベル把握装置であって、前記ガイド管の底壁内側には、底上げ部材が取り付けられており、前記オイルレベルゲージの長手方向途中には、前記底上げ部材に当接されることで当該オイルレベルゲージ先端側の前記突出代を規定するためのストッパが設けられており、前記オイルレベルゲージは、前記オイル貯留部の種類に関係なく共通使用するために全長寸法が一定とされていて、前記底上げ部材の底上げ寸法およびガイド管の全長寸法は、前記オイル貯留部の種類毎に予め規定される前記オイルレベルゲージ先端側の前記突出代を確保するように設定されている、ことを特徴としている。
【0014】
一般に、オイル貯留部の種類つまりオイル貯留部を備える機器(例えばエンジンまたはトランスミッションなど)の種類によって、前記ガイド管の底壁から前記オイル貯留部内のオイルの上面までの距離が異なることが多いので、前記機器の種類毎に前記オイルレベルゲージの先端側の突出代を変更する必要がある。
【0015】
この構成では、前記オイル貯留部の種類に関係なく共通使用するためのオイルレベルゲージを用いながら、前記オイル貯留部の種類毎に底上げ部材の底上げ寸法を大小変更することによって、前記ガイド管の底壁からのオイルレベルゲージ先端側の突出代を調整することが可能になる。そして、前記底上げ部材の底上げ寸法を変更する場合には、前記ガイド管の外側開口からオイルレベルゲージが飛び出さないようにするために、前記底上げ寸法の変更分に合わせて前記ガイド管の全長寸法を長短変更するようにする。
【0016】
このように、本発明では、オイル貯留部の種類毎に適合するオイルレベル把握装置を作成するにあたって、共通のオイルレベルゲージを用いながら、前記底上げ部材の底上げ寸法および前記ガイド管の全長寸法を変更するようにしている。つまり、共通のオイルレベルゲージを用いることにより、従来例のようにオイル貯留部の種類毎に専用のオイルレベルゲージとガイド管とを用いる場合に比べて、製造コストならびに管理コストを低減することを可能にしている。
【0017】
したがって、本発明では、汎用性の高いオイルレベル把握装置を前記従来例に比べて安価に提供することが可能になる。
【0018】
好ましくは、前記底上げ部材は前記底壁の形状に対応した筒形とされ、前記ストッパには、前記オイルレベルゲージの先端側に当該オイルレベルゲージの前記突出部分を包囲しつつ前記先端側を露呈するように相対変位可能に外装されるゲージカバーがスプリングを介して取り付けられており、前記ゲージカバーは、前記底上げ部材の中心孔および前記底壁の貫通孔内に挿通されて下端側が前記底壁から外側に突出される状態とされ、かつ上端側が前記底上げ部材の中心孔内に軸方向で引っ掛けられて抜け止めされることで前記下端側の外側突出代が規定されるものであり、このゲージカバーの前記下端縁位置が前記オイルレベル把握用の上限目印位置とされ、また、前記オイルレベルゲージの前記露呈領域の所定位置が前記オイルレベル把握用の下限目印位置とされる。
【0019】
この構成では、前記底上げ部材に対する前記ゲージカバーの引っ掛かり位置を適宜変更することにより、ゲージカバーの下端側の外側突出代が変更されるようになる。これにより、ゲージカバーの下端縁位置(オイルレベル把握用の上限目印位置)から前記オイルレベル把握用の下限目印位置までの離隔寸法(いわゆるF−L間距離に相当)が変更されるようになる。
【0020】
好ましくは、前記底上げ部材の中心孔の下側には径方向内向きに張り出す内向き張り出し部が設けられていて、この底上げ部材の底上げ寸法つまり軸方向に沿う寸法と前記内向き張り出し部の軸方向に沿う寸法とが、前記オイル貯留部の種類毎に予め規定される値に設定される。
【0021】
この構成では、オイルレベル把握用の上限目印位置から下限目印位置までの離隔寸法(F−L間距離)を変更するための要素を特定している。つまり、この構成において、前記底上げ部材における内向き張り出し部の軸方向に沿う寸法を変更すると、前記ゲージカバーの下端側の外側突出代が変更されるので、前記ゲージカバーの下端縁位置(オイルレベル把握用の上限目印位置)が変更されることになる。これにより、F−L間距離が変更されることになる。
【0022】
好ましくは、前記ゲージカバーは、筒形に形成され、その上端開口に径方向外向きに張り出す外向きフランジが設けられていて、このゲージカバーの外向きフランジが前記底上げ部材の前記内向き張り出し部に軸方向で引っ掛けられる。
【0023】
ここでは、ゲージカバーの形状を特定している。このような形状のゲージカバーであれば、前記底上げ部材に対する抜け止めの形態が明確になる他、その製造が簡易となり、製造コストを低減するうえで有利になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、オイル貯留部に取り付けられるガイド管と、このガイド管内に取り外し可能に差し入れられるオイルレベルゲージとを備えるオイルレベル把握装置において、オイルレベル把握装置の構成のうち、オイルレベルゲージをオイル貯留部の種類に関係なく共通とし、ガイド管および底上げ部材を前記オイル貯留部の種類毎に適合するものに変更することにより、前記オイル貯留部の種類毎にガイド管からのオイルレベルゲージの先端側の突出代を調整可能にしている。これにより、本発明では、従来例のようにオイル貯留部の種類毎に専用化されたオイルレベルゲージとガイド管とを用いる場合に比べて、オイルレベル把握装置の製造コストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るオイルレベル把握装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図2】図1のオイルレベル把握装置のみの外観を示す図である。
【図3】図2のオイルレベル把握装置のオイルレベルゲージをガイド管から取り外した状態を示す図である。
【図4】図2のオイルレベル把握装置を分解して示す斜視図である。
【図5】図2の一点鎖線で示す円内を拡大して断面にした図であり、第1仕様のオイルレベル把握装置の例を示している。
【図6】図2の一点鎖線で示す円内を拡大して断面にした図であり、第2仕様のオイルレベル把握装置の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1から図6に、本発明の一実施形態を示している。この実施形態のオイルレベル把握装置1は、オイルレベルゲージ2、ガイド管3などを備えている。
【0028】
図1に示すように、ガイド管3は、エンジンまたはトランスミッションなどのオイル貯留部30の取り付け孔31に内外に跨った状態で差し込み装着され、このガイド管3内にオイルレベルゲージ2が差し入れられて、このオイルレベルゲージ2の先端側(下側)がオイル貯留部30内のオイルに漬けられるようになっている。
【0029】
オイルレベルゲージ2は、その横断面つまり径方向(あるいは長手方向と直交する方向)に沿う断面が円形とされている。このオイルレベルゲージ2の上端側には、例えば作業者が指で掴むための摘み2aが一体に設けられており、この摘み2aよりも適宜下側には径方向外向きに張り出す蓋状部2bが一体に設けられている。
【0030】
ガイド管3は、その横断面つまり径方向(あるいは長手方向と直交する方向)に沿う断面が円形とされている。このガイド管3の上端は開放されているが、このガイド管3の下端は底壁3aで閉塞されている。但し、この底壁3aの中心には、オイルレベルゲージ2が挿通可能な大きさの貫通孔3bが設けられている。
【0031】
図2および図3に示すように、オイルレベルゲージ2の先端側には、ストッパ4が一体に取り付けられており、このストッパ4にはゲージカバー5がスプリング6を介して取り付けられている。また、ガイド管3の底壁3aの内側には、底上げ部材としてのスペーサ7が取り付けられている。これにより、オイルレベルゲージ2をガイド管3の上側開口から内部に差し入れると、ストッパ4がスペーサ7に当接することになり、それによりガイド管3の底壁3aの貫通孔3bからのオイルレベルゲージ2の先端側およびゲージカバー5の突出代が規定されるようになっている。
【0032】
なお、ガイド管3の上端開口(外側開口)はオイルレベルゲージ2の蓋状部2bが当接されて閉塞されるようになっている。ガイド管3の上端外側には、ガイド管3の上端開口をオイルレベルゲージ2の蓋状部2bで閉塞した状態で固定するための留め具8が設けられている。
【0033】
この留め具8は、ガイド管3の上端外側にビスなどで取り付けられるボディ8aと、このボディ8aに一体に形成されるフック8bとを備えている。ボディ8aは真っ直ぐな形状に形成され、フック8bは鈎針のように屈曲した形状に形成されている。この留め具8において少なくともフック8bは、例えばばね性を有する材料で形成されていて、ガイド管3内にオイルレベルゲージ2を差し入れた状態においてオイルレベルゲージ2の蓋状部2bの上面に、引っ掛けられる。フック8bの引っ掛け状態を解除するには、フック8bをガイド管3の径方向外向きに弾性変形させることによりオイルレベルゲージ2の蓋状部2bから引き離せばよい。
【0034】
次に、前記各構成(4〜7)を詳しく説明する。
【0035】
ストッパ4は、円環状のプレートとされており、オイルレベルゲージ2の下側所定位置の外周に嵌合された状態で例えば圧入または加締めなどにより固定されている。このストッパ4の下端面は、ガイド筒3の底壁3a側に一体に取り付けられるスペーサ7の上端面に当接される。
【0036】
ゲージカバー5は、円筒形とされているが、その軸方向に沿う寸法が外径寸法よりも大きい長筒形状とされている。このゲージカバー5の上端外周には、径方向外向きに張り出す外向きフランジ5aが設けられている。
【0037】
このような形状のゲージカバー5はスペーサ7の中心孔およびガイド管3の底壁3aの貫通孔3bに挿通されるが、ゲージカバー5の外向きフランジ5aがスペーサ7の内向き張り出し部7aの上面に引っ掛けられることによって、ゲージカバー5がスペーサ7の中心孔から下側に抜け出ないように組み付けられる。
【0038】
このゲージカバー5は、オイルレベルゲージ2に相対変位可能に外装されている。詳しくは、このゲージカバー5は、オイルレベルゲージ2においてガイド管3の底壁3aの貫通孔3bから外側に突出する部分を包囲しているものの、オイルレベルゲージ2の先端側を露呈するようになっている。
【0039】
スプリング6は、圧縮ばねであって、例えば円筒形のコイルスプリングとされており、ストッパ4の下端面とゲージカバー5の外向きフランジ5aの上端面とに固着されている。このスプリング6は、オイルレベルゲージ2の蓋状部2bをガイド管3の上端開口に留め具8で固定することによってストッパ4の下端面とゲージカバー5の外向きフランジ5aの上端面との軸方向対向間に圧縮された状態とされる。この状態では、スプリング6の圧縮の反力つまり弾性復元力でもって、スペーサ7の中心孔に挿通されるゲージカバー5の外向きフランジ5aをスペーサ7の内向き張り出し部7aに押し付けるように付勢するようになる。
【0040】
スペーサ7は、円筒形とされているが、その軸方向に沿う寸法(または厚み寸法)が外径寸法よりも小さい短筒形状とされている。このスペーサ7の下端内周には、径方向内向きに張り出す内向き張り出し部7aが設けられている。このスペーサ7は、適宜の耐油性および機械的強度を有するものであれば、任意の材料(金属または樹脂など)で形成することが可能である。このような形状のスペーサ7は、ガイド管3の底壁3aの内側に一体となるように例えば接着剤などで取り付けられている。
【0041】
そして、図2に示すように、オイルレベルゲージ2の先端側は、ゲージカバー5の下側開口から所定量突出して露呈されるようになっている。このゲージカバー5の下端縁5bの位置がオイルレベルのFullレベル位置(F)に、また、オイルレベルゲージ2の前記露呈領域の所定位置(例えば棒状本体部分と半球形状部分との境界となる位置)がオイルレベルのLowレベル位置(L)にそれぞれ設定される。なお、Fullレベル位置(F)が請求項に記載の「上限目印位置」に相当し、また、Lowレベル位置(L)が請求項に記載の「下限目印位置」に相当する。
【0042】
このオイルレベルゲージ2において前記Lowレベル位置(L)とされる位置には、目印ライン2cが設けられている。この目印ライン2cは、例えば塗料、貼り付けテープ、溝あるいは突起などとすることが可能である。
【0043】
ゲージカバー5の下端縁5bの位置からオイルレベルゲージ2の目印ライン2cまでの離隔寸法、つまりFullレベル位置(F)からLowレベル位置(L)までの離隔寸法(F−L間寸法)は、任意に設定される。このF−L間寸法で示す範囲が、請求項に記載の「オイルレベル把握用の目印」に相当する。
【0044】
一般に、オイルレベルゲージ2の先端側の突出部分においてF−L間寸法で示す範囲内に、オイル貯留部30内のオイルが付着した部分の上端が位置している場合、オイル貯留部30内のオイルレベルが適正であるとして把握するように、予め取り決められている。
【0045】
このような構成において、例えば図5および図6に示すように、スペーサ7の軸方向に沿う寸法または厚み寸法(A1,A2)を適宜変更すると、ガイド管3の底壁3aの外面(下面)からオイルレベルゲージ2のLowレベル位置(L)までの離隔寸法(C1,C2)を変更することが可能になる。なお、前記厚み寸法A1,A2が請求項に記載の「底上げ寸法」に相当し、また、離隔寸法C1,C2が請求項に記載の「オイルレベルゲージ2の先端側の突出代」に相当する。また、スペーサ7の内向き張り出し部7aの軸方向に沿う寸法または厚み寸法(B1,B2)を適宜変更すると、F−L間寸法(D1,D2)を変更することが可能になる。
【0046】
この実施形態では、オイル貯留部30の種類に関係なく全長寸法を一定とした共通のオイルレベルゲージ2を用いながら、スペーサ7およびガイド管3を変更することにより、オイル貯留部30の種類毎に適合するオイルレベル把握装置1を作成することが可能になっている。
【0047】
具体的に、図5および図6を参照して、2つの仕様のオイルレベル把握装置1を作成する形態を説明する。
【0048】
ここでの説明に関しては、説明を判りやすくするために、図5に示すオイルレベル把握装置1を「第1仕様のオイルレベル把握装置1A」とし、図6に示すオイルレベル把握装置1を「第2仕様のオイルレベル把握装置1B」とする。
【0049】
まず、オイルレベルゲージ2は、第1仕様のオイルレベル把握装置1Aと第2仕様のオイルレベル把握装置1Bとに関係なく、共通で使用する。このオイルレベルゲージ2に取り付けるストッパ4、ゲージカバー5、スプリング6についてもオイルレベルゲージ2と同様にそれぞれ共通部品として予め規定された寸法で製作される。
【0050】
そして、第1仕様のオイルレベル把握装置1Aに用いるスペーサ7の軸方向寸法A1を第2仕様のオイルレベル把握装置1Bに用いるスペーサ7の軸方向寸法A2に比べて小さく設定することにより、第1仕様のオイルレベル把握装置1Aの離隔寸法C1を第2仕様のオイルレベル把握装置1Bの離隔寸法C2よりも大きくする。
【0051】
また、第1仕様のオイルレベル把握装置1Aに用いるスペーサ7の内向き張り出し部7aの軸方向寸法B1を第2仕様のオイルレベル把握装置ゲージ1Bに用いるスペーサ7の内向き張り出し部7aの軸方向寸法B2に比べて大きく設定することにより、第1仕様のオイルレベル把握装置1AのF−L間寸法D1を第2仕様のオイルレベル把握装置1BのF−L間寸法D2よりも大きくする。
【0052】
さらに、第1仕様のオイルレベル把握装置1Aに用いるスペーサ7の軸方向寸法A1を第2仕様のオイルレベル把握装置1Bに用いるスペーサ7の軸方向寸法A2に比べて小さく設定していることに合わせて、第1仕様のオイルレベル把握装置1Aに用いるガイド管3の全長寸法を第2仕様のオイルレベル把握装置ゲージ1Bに用いるガイド管3の全長寸法に比べて小さく設定することにより、各ガイド管3の上側開口にオイルレベルゲージ2の蓋状部2bを密着させて浮き上がらないようにする。
【0053】
ちなみに、オイルレベルゲージ2の全長寸法を一定にしたまま、スペーサ7の厚み寸法を図5に示すA1から図6に示すA2に大きくすると、ガイド管3の上端開口(外側開口)からオイルレベルゲージ2の蓋状部2bが離れて浮き上がってしまうので、このような浮き上がりを防止するために、スペーサ7の厚み寸法A1,A2の大小変更分に応じて、前記したようにガイド管3の全長寸法を長短変更している。そもそも、ガイド管3の全長寸法は、従来例で説明したようにオイル貯留部30の種類毎に変更するが、この実施形態ではそのことに加えて前記したスペーサ7の厚み寸法A1,A2の大小変更分を加味して変更するようにしている。
【0054】
特に、この実施形態では、前記したような2つの仕様のオイルレベル把握装置1A,1Bを作成するにあたり、予め前記寸法(A1,A2,B1,B2)をオイル貯留部30の種類毎に小刻みに変更した多数のスペーサ7と、予め全長寸法をオイル貯留部30の種類毎に小刻みに変更した多数のガイド管3とを用意しておいて、オイル貯留部30の種類毎に予め規定される離隔寸法C1,C2およびF−L間寸法D1,D2を確保するためのスペーサ7およびガイド管3を選択して使用するようにしている。このようにすれば、オイルレベル把握装置1A,1Bを比較的簡単に作成することが可能になる。
【0055】
以上説明したように本発明を適用した実施形態に係るオイルレベル把握装置1では、オイル貯留部30の種類に関係なく共通のオイルレベルゲージ2を使用できるようにしているから、従来例のようにオイル貯留部の種類毎に専用のオイルレベルゲージを多数製作する場合に比べて、製造コストならびに管理コストを低減することが可能になる。したがって、汎用性の高いオイルレベル把握装置1を安価に提供することが可能になる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
【0057】
(1)上記実施形態では、オイルレベル把握装置1について、エンジンまたはトランスミッションなどに備えるオイル貯留部30に使用する場合を例に挙げているが、本発明はそれに限定されるものではない。本発明に係るオイルレベル把握装置1は、前記以外のいろいろな機器に備えるオイル貯留部30のオイルレベルを把握するために用いることが可能である。
【0058】
(2)上記実施形態では、オイルレベルゲージ2の横断面形状を円形とした例を挙げているが、それに限定されることはなく、例えば楕円形、正方形、長方形などとすることが可能である。
【0059】
(3)上記実施形態ではガイド管3、ゲージカバー5、スペーサ7の横断面形状についても円筒形とした例を挙げているが、それに限定されることはなく、例えば楕円形、正方形、長方形などとすることが可能である。
【0060】
(4)上記実施形態では、スプリング6を円筒形のコイルスプリングとした例を挙げているが、それに限定されることはなく、例えば皿ばねや適宜の弾性体とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えばエンジンまたはトランスミッションなどに備えるオイル貯留部30に取り付けられるガイド管3と、このガイド管3内に取り外し可能に差し入れられるオイルレベルゲージ2とを備えるオイルレベル把握装置1として好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
2 オイルレベルゲージ
2a オイルレベルゲージの摘み
2b オイルレベルゲージの蓋状部
2c オイルレベルゲージの目印ライン(Lowレベル位置L)
3 ガイド管
3a ガイド管の底壁
4 ストッパ
5 ゲージカバー
5a ゲージカバーの外向きフランジ
5b ゲージカバーの下端縁(Fullレベル位置F)
6 スプリング
7 スペーサ(底上げ部材に相当)
7a スペーサの内向き張り出し部
8 留め具
30 オイル貯留部
31 オイル貯留部の取り付け孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイル貯留部の内外に跨って取り付けられるガイド管と、このガイド管内に取り外し可能に差し入れられかつ先端側にオイルレベル把握用の目印が設けられるオイルレベルゲージとを備え、かつ前記オイルレベルゲージの先端側が前記ガイド管の底壁の貫通孔から突出して前記オイル貯留部内のオイルに浸けられていて、当該先端側に対するオイルの付着位置に基づいてオイルレベルを把握するオイルレベル把握装置であって、
前記ガイド管の底壁内側には、底上げ部材が取り付けられており、前記オイルレベルゲージの長手方向途中には、前記底上げ部材に当接されることで当該オイルレベルゲージ先端側の前記突出代を規定するためのストッパが設けられており、
前記オイルレベルゲージは、前記オイル貯留部の種類に関係なく共通使用するために全長寸法が一定とされていて、
前記底上げ部材の底上げ寸法およびガイド管の全長寸法は、前記オイル貯留部の種類毎に予め規定される前記オイルレベルゲージ先端側の前記突出代を確保するように設定されている、ことを特徴とするオイルレベル把握装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオイルレベル把握装置において、
前記底上げ部材は前記底壁の形状に対応した筒形とされ、
前記ストッパには、前記オイルレベルゲージの先端側に当該オイルレベルゲージの前記突出部分を包囲しつつ前記先端側を露呈するように相対変位可能に外装されるゲージカバーがスプリングを介して取り付けられており、
前記ゲージカバーは、前記底上げ部材の中心孔および前記底壁の貫通孔内に挿通されて下端側が前記底壁から外側に突出される状態とされ、かつ上端側が前記底上げ部材の中心孔内に軸方向で引っ掛けられて抜け止めされることで前記下端側の外側突出代が規定されるものであり、
このゲージカバーの前記下端縁位置が前記オイルレベル把握用の上限目印位置とされ、また、前記オイルレベルゲージの前記露呈領域の所定位置が前記オイルレベル把握用の下限目印位置とされる、ことを特徴とするオイルレベル把握装置。
【請求項3】
請求項2に記載のオイルレベル把握装置において、
前記底上げ部材の中心孔の下側には径方向内向きに張り出す内向き張り出し部が設けられていて、
この底上げ部材の底上げ寸法つまり軸方向に沿う寸法と前記内向き張り出し部の軸方向に沿う寸法とが、前記オイル貯留部の種類毎に予め規定される値に設定される、ことを特徴とするオイルレベル把握装置。
【請求項4】
請求項3に記載のオイルレベル把握装置において、
前記ゲージカバーは、筒形に形成され、その上端開口に径方向外向きに張り出す外向きフランジが設けられていて、
このゲージカバーの外向きフランジが前記底上げ部材の前記内向き張り出し部に軸方向で引っ掛けられる、ことを特徴とするオイルレベル把握装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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