説明

オキサゾリドン基を含む付着、高反応性硬質ポリウレタンフォーム

発泡剤の存在下でポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させるが、ポリウレタンフォームを製造し、開口空洞を有する基材に付着させる。ポリイソシアネート成分は、少なくとも1種のイソシアネート末端、オキサゾリドン含有中間体を含む。この方法は、音または振動を減衰するためおよび構造補強のための、例えば車両部品および組立部品上に非常に高速に硬化し、高品質な、付着性のフォームを生成させることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2005年9月15日に出願された米国仮特許出願第60/717508号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、硬質ポリウレタンフォーム(発泡体)に関し、特に、自動車産業などにおける補強材として有用な硬質ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタンフォームは自動車および他の産業において多くの目的のために使用されている。例えば、硬質フォームは構造補強、腐食防止ならびに音および振動の減衰のために使用されている。一般的にこれらのフォームは、部品に反応性フォーム配合物を施すことおよび配合物をその場所で発泡させることによって形成する。フォームが施されるとき、しばしば部品は、すでに車両に組み立てられている。このことは、フォーム配合物が混合および分注(dispense)しやすくなければならないこと、部品から流出する前に急速に硬化しなければならないこと、ならびに好ましくは適温で硬化を始めることを意味する。作業者の化学物質暴露を最小限にするために、揮発性有機化合物、とりわけ揮発性イソシアネートおよびアミンの少ない配合物であることが好ましい。個々の成分は、室温で長期間にわたり貯蔵安定性があることが好ましい。
【0004】
これらの用途のための1種の発泡システムは、Rizk他により米国特許第5817860号に記載されているプレポリマーをベースにしている。その特許に記載のプレポリマーは、イソシアネートと単官能アルコールおよびポリオールとの反応によって製造される。フォームはこのプレポリマーから水との反応により製造される。高品質の硬質フォームは、この手法を用いて製造することができるが、いくつかの欠点を有している。第1に、プレポリマーは水流(water stream)で硬化されるので、反応物(プレポリマーおよび水)の体積比が、しばしば15:1以上など極めて高くなる。市販の分注装置の多くは、このように高い成分比のものを扱うことができない。第2に、このシステムで十分に高速な反応を得るためには、80℃以上の温度に成分を予熱することがしばしば必要である。これはエネルギー費を増加し、作業者を高温の反応物にさらし、システムの粘度を低減させることになり、その結果流出をひき起こす。
【0005】
米国特許第5817860号のシステムを改良または修正するための手法は、国際公開第02/079340(A1)号、国際公開第03/037948(A1)号および米国特許第6541534号および6423755号に記載されている。これらの手法は、硬化温度を低くすることができる特別なアクリレートまたはメタクリレート機能材料の使用、および密度と圧縮強度との均衡を保つための中空微小球体の使用を含む。
【0006】
別の手法は、エポキシ樹脂からフォームを調製するものである。エポキシ樹脂は優れた熱特性という利点を有している。しかしながら、エポキシ樹脂では遅い硬化、大きい発熱および脆性を含むいくつかの問題点に苦しむ。結果として、エポキシフォームは多くの用途、特に車両補強の用途に適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高速硬化がこれらの用途の多くで必要とされるので、フォームシステム(foam system)の硬化する速度をさらに増加することが継続して望まれている。高速硬化では、基材に施したとき流出する前にフォーム配合物を凝固させるので、より高速な硬化によって、より低い粘度の成分を使用することが可能になる。より低い粘度の成分は、多くの場合より容易に混合され、少ないエネルギーおよびしばしばそれらを分注するのにそれほど頑丈でない装置しか必要としない。しかしながら、望ましいフォーム密度および必要な物理的特性を犠牲にして、より高速な硬化を達成すべきではない。
【0008】
非常に急速な硬化は、触媒濃度を増加することおよび/または高反応性成分を使用することによって得ることができる。これらの手法に伴う問題は、手法が発泡反応およびゲル化反応の連続(sequencing)を乱すことである。これにより、フォームが予想よりも高い密度、不十分な物理的特性を有し、時には不完全な硬化の原因となる。
【0009】
したがって、非常に急速に高品質硬質フォームに硬化する硬質ポリウレタンシステム、特により低い体積比で施すことができ、適度な作業温度で施すことができるものを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、発泡剤(a blowing agent)およびポリオールとポリイソシアネートとの反応のための少なくとも1種の触媒の存在下でポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合するステップと、得られた混合物を基材(substrate)の空洞(cavity)の中に分注するステップと、混合物を硬化させて、基材に付着した1.5〜40ポンド毎立方フィート(24〜640kg/m)のかさ密度を有するフォームを形成させるのに十分な条件に付すステップとを含む、基材の開口空洞(open cavity)に付着した硬質ポリウレタンフォームを形成する方法であり、ここで
(a)ポリイソシアネート成分が、オキサゾリドン基および遊離(free)イソシアネート基を含むプレポリマーを含み、
(b)ポリオール成分が、少なくとも約2.0の平均官能基数(average functionality)を有しかつ少なくとも1種のポリオールを含むイソシアネート反応性物質を含み、
(c)ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基とポリオール成分中のイソシアネート反応性基の数との比は、約0.7:1〜約1.5:1である。
【0011】
別の態様において、本発明はオキサゾリドン含有イソシアネート末端(isocyanate-terminated)プレポリマー、ポリオール成分および少なくとも1種の発泡剤を含む反応混合物の反応生成物である硬質ポリウレタンフォームであり、ここでポリイソシアネート成分中のイソシアネート基とポリオール成分中のイソシアネート反応性基(isocyanate-reactive groups)の数との比が約0.7:1〜約1.5:1であり、さらにここで硬質フォームはイソシアヌレート基を本質的にもたない。
【0012】
別の態様において、本発明はオキサゾリドン含有イソシアネート末端プレポリマー、ポリオール成分および少なくとも1種の発泡剤を含む反応混合物の反応生成物である硬質ポリウレタンフォームであり、ここで発泡剤がアルカノールアミンの少なくとも1種のカルバメートを含む。
【0013】
別の態様において、本発明は、発泡剤およびポリオールとポリイソシアネートとの反応のための少なくとも1種の触媒の存在下でポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合するステップと、混合物を硬化させて、1.5〜40ポンド毎立方フィート(24〜640kg/m)のかさ密度を有するフォームを形成させるのに十分な条件に付すステップとを含む、硬質ポリウレタンフォームの調製方法であり、ここで(1)ポリイソシアネート成分は、イソシアヌレート基を本質的にもたないオキサゾリドン含有イソシアネート末端プレポリマーを含み、(2)ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基とポリオール成分中のイソシアネート反応性基の数との比が、約0.7:1〜約1.5:1であり、(3)混合物がイソシアヌレート基の形成のための触媒を本質的にもたない。
【発明の効果】
【0014】
本発明は急速に硬化して、様々な基材にしっかり接着し、垂れ(sag)が最小限の量であり、高破砕性ではなく、優れた耐熱性を有するフォームを形成する硬質ポリウレタンフォーム配合物を提供する。本発明は補強が必要とされる場所で容易に発泡するので、特に自動車用途のために現場発泡(foamed-in-place)の補強フォームまたは音もしくは振動を減衰するフォームを製造するのにとりわけ適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
フォーム配合物は、下記のようにポリイソシアネート成分、ポリオール成分および発泡剤を含む。
【0016】
ポリイソシアネート成分は、ポリイソシアネート化合物またはその混合物を含む。ポリイソシアネート化合物の少なくとも1種は、遊離のイソシアネート基およびオキサゾリドン基を含む中間体である。典型的には、中間体は、オキサゾリドン基を含まない他のポリイソシアネート化合物との混合物として存在することになる。一般的にポリイソシアネート化合物は、オキサゾリドン基/イソシアネート基を平均して約0.05〜約1.0で含むことになる。この範囲の最高値は、1モルのジエポキシドを2モルのジイソシアネート化合物と反応させた場合を表している。より典型的には、ポリイソシアネート化合物中にイソシアネート基1当量当たり約0.05〜約0.33当量、特に約0.05〜約0.18当量のオキサゾリドン基が存在している。
【0017】
中間体は、過剰のポリイソシアネート化合物とポリエポキシドとの反応で都合よく形成される。ポリエポキシド化合物とポリイソシアネート化合物との当量比は、一般的に約0.05〜約0.5:1であり、好ましくは約0.05〜約0.25:1であり、さらにより好ましくは約0.05〜約0.15:1である。この反応の生成物は、通常、出発ポリイソシアネート化合物の未反応量と混合されたオキサゾリドン含有中間体である。
【0018】
オキサゾリドン含有物質を形成するポリエポキシドとポリイソシアネートとの反応は、公知である。オキサゾリドンを形成するポリエポキシドとポリイソシアネートとの反応のための適当な条件は、例えば米国特許第4022721号、4766158号および4568703号に記載されている。これらの条件は一般に、適当な触媒の存在および数時間までの間に例えば40〜200℃、特に70〜150℃の温度上昇になるように加熱することを含む。ポリエポキシドのエポキシ基が実質的にすべて消費されるまで、反応を実施するのが好ましい。窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気下で、反応を実施するのが好ましい。
【0019】
反応条件については、中間体中のイソシアヌレート基の形成を最小限にまたは回避するように選択するのが好ましい。イソシアヌレート形成は、強い三量化触媒(trimerization catalysts)を反応混合物から除くことにより最も容易に、および程度は劣るが適度な反応温度を用いることによって防ぐ。ポリイソシアネート成分は、イソシアネート基1当量当たりイソシアヌレート基の当量0.05未満、特に0.025未満、および好ましくは0.01未満しか含まないのが好ましい。
【0020】
少なくとも1種の有機ポリイソシアネート化合物を、中間体の調製において使用する。有機ポリイソシアネートは、好ましくはイソシアヌレート結合をもっていないものであり、より好ましくはウレタン結合ももっていないものである。適当なポリイソシアネート化合物には、芳香族、脂肪族および脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートは光安定性が重要な場合に好まれるが、芳香族ポリイソシアネートは、一般に費用、有用性および特性に基づき好まれる。典型的なポリイソシアネート化合物には、例えばm−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の種々の異性体、いわゆるポリメリックMDI生成物(モノメリック(monomeric)MDIにポリメチレンポリフェニレンイソシアネートの混合物である)、カルボジイミド変性MDI生成物(135〜170の範囲のイソシアネート当価重量(equivalent weight)を有するいわゆる「液状MDI」生成物など)、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI(H12 MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタンジイソシアネート、水素化ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネートおよび4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートが挙げられる。特に適当なポリメリックMDI生成物は、約5〜約40重量%、より好ましくは約10〜約25重量%の遊離MDI含有量を有し、約2.7〜4.0、より好ましくは約2.8〜約3.4の平均官能基数(1分子当たりのイソシアネート基の数)を有する。このようなポリメリックMDI生成物は、The Dow Chemical Companyから商品名PAPI(登録商標)として入手可能である。
【0021】
プレポリマーを製造するのに使用するポリエポキシドは、1分子当たり平均で少なくとも約1.8、好ましくは少なくとも約2.0のエポキシ基を有する。ポリエポキシドの混合物を使用するならば、混合物中の各ポリエポキシドが、少なくとも1.8エポキシ基/分子を含むことが好ましい。
【0022】
ポリエポキシドは室温で固体または液体であり得る。固体ならば、ポリエポキシドは約50℃〜150℃の昇温で好ましくは熱軟化性である。固体および液体(室温で)ポリエポキシドの混合物を使用することができる。
【0023】
適当なポリエポキシドまたはこれらの混合物は、150〜800、特に170〜400およびより好ましくは170〜250の平均エポキシ当量を有している。混合物に含まれる個々のポリエポキシドは、この範囲外の当量を有してもよい。
【0024】
脂環式エポキシド、エポキシ化ノボラック樹脂、エポキシ化ビスフェノールAもしくはビスフェノールF樹脂、ブタンジオールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテルまたは軟化するポリエポキシドなどの多種多様なポリエポキシド化合物を使用することができるが、一般に費用および有用性に基づいて好ましいのは、ビスフェノールAまたはビスフェノールFなどの液体または固体のビスフェノールのグリシジルエーテルである。ハロゲン化、特に臭素化ポリエポキシドは、所望であれば難燃性を付与するために使用できる。特に興味深いポリエポキシドは、約1500〜約800のエポキシ当量を有するビスフェノールAまたはビスフェノールFのポリグリシジルエーテルである。ビスフェノールAまたはビスフェノールFの1種または複数のポリグリシジルエーテルとエポキシ末端ポリアルキレンオキシド、特にエポキシ末端ポリ(プロピレンオキシド)とのブレンドは、とりわけ興味深い。耐燃性を付与するために所望であれば、エポキシ樹脂をハロゲン化(特に、臭素化)することができる。
【0025】
適当なポリエポキシドは、市販されている。これらの中には、The Dow Chemical Companyからすべて購入できるD.E.R.317、D.E.R.330、D.E.R.331、D.E.R.332、D.E.R.336、D.E.R.337およびD.E.R.383などの液体のポリエポキシド、D.E.R.642U、D.E.R.661、D.E.R.662、D.E.R.663、D.E.R.671、D.E.R.672U、D.E.R.692、D.E.R.6155、D.E.R.666E、D.E.R.667−20、D.E.R.667E、D.E.R.668−20、D.E.R.669−60、D.E.R.669EおよびD.E.R.6225などの固体のポリエポキシド、D.E.R.542、D.E.R.560およびD.E.R.593などの臭素化ポリエポキシド、D.E.R.732、D.E.R.736、D.E.R.750およびD.E.R.755などのポリグリコールジエポキシド、ならびにD.E.N.425、D.E.N.431、D.E.N.438およびD.E.N.439などのエポキシノボラック樹脂(epoxy novalac resins)が入る。
【0026】
通常、ポリエポキシドとポリイソシアネートの反応は、触媒を必要とする。この反応のための様々な触媒は、既知であり、米国特許第3313747号に記載されているような第4級ハロゲン化アンモニウム、Sandler、J.Polymer Science A−1、第5巻、1481(1967)に記載されているようなある種のルイス酸、Gulbins他、Chem.Ber.93、1975(1960)およびDileone、J.Polymer Science A−1、第8巻、609(1970)に記載されているようなある種のリチウム化合物;米国特許第4022721号に記載されているように、ルイス塩基がエーテル、チオエーテル、アミン、ラクタム、N−アルキルラクタム、N−アルキルアミド、またはある種のリン化合物もしくは硫黄化合物であるルイス酸/ルイス塩基錯体;ならびにトリフェニルアンチモン/ヨード錯体を含むある種のアンチモン錯体が挙げられる。ポリイソシアネート化合物の三量化を最小限にまたは三量化せずに、適度な反応速度およびエポキシ基からオキサゾリドン基への高度な変換を提供する触媒の量を使用する。
【0027】
総合すれば、ポリイソシアネート成分中のポリイソシアネート含有物質は、約150から、好ましくは約175から、約500まで、好ましくは約350まで、より好ましくは約250までの平均イソシアネート当価重量(average isocyanate equivalent weight)を有するのが有利である。これらのイソシアネート当価重量は、約28〜8.4重量%、好ましくは24〜12重量%、より好ましくは約24〜16.8重量%の−NCO含有量に相当する。
【0028】
ポリイソシアネート成分は、可塑剤を含んでもよい。可塑剤はプレポリマーの製造後に加えてもよく、またはその形成の間に存在してもよい。可塑剤は、ポリイソシアネート成分をより加工および扱いがしやすいように粘度を低下させること、発泡反応の速度を変更すること、または柔軟にすることもしくは得られるポリウレタンフォームの物理的特性をその他に変更することなどのいくつかの機能を果たすことができる。可塑剤は一般に、フォーム配合物の他の成分と反応する基をもっていない。可塑剤の例としては、フタル酸エステル(例えば、商品名PLATINOL(商標)(Platinol(商標)79Pなど)でBASF Corporation、Mt Olive、NJにより販売されているようなフタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチルおよびフタル酸エステルの混合物)、リン酸エステル(例えばリン酸トリブチル、リン酸トリフェニルおよびリン酸クレジルジフェニル)、塩化ビフェニル、ならびにVYCUL(商標)U−V(Crowley Chemicalsにより販売)およびJayflex(商標)L9P(Exxon Chemicalsにより販売)などの芳香族油が挙げられる。使用する可塑剤の量は、所望のフォーム特性に応じて幅広い範囲にわたってもよい。一般に、存在する可塑剤は、ポリイソシアネート成分の約1から多くても約50重量%まで、好ましくは約15〜約45重量%を構成する。
【0029】
プレポリマーは、米国特許第4390645号に記載されているような界面活性剤の存在下でも調製することができる。界面活性剤は、一般的にプレポリマーの製造に使用する他の成分の相溶化を助けるために、所望であれば使用する。加えて、界面活性剤はプレポリマーからフォームを形成するのに有益な役割を果たすものであることもできる。界面活性剤の例としては、プロピレングリコール、固体または液体の有機ケイ素、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アルキル酸硫酸エステルの第3級アミンまたはアルキロールアミン塩、アルキルスルホン酸エステルおよびアルキルアリールスルホン酸にプロピレンオキシドおよび次いでエチレンオキシドを連続して加えることにより調製するような非イオン界面活性剤ならびに潤滑剤が挙げられる。固体または液体の有機ケイ素と同様に、プロピレングリコールにプロピレンオキシドおよび次いでエチレンオキシドを連続して加えることにより調製する界面活性剤が好ましい。非加水分解性の液体有機ケイ素は、より好ましい。界面活性剤を使用するとき、一般的にプレポリマー成分の約0.0015〜約1重量パーセントの量で存在させる。
【0030】
十分に処方したポリイソシアネート成分は有利には、約150から、好ましくは約175から、約750まで、好ましくは約500まで、より好ましくは約400までのイソシアネート当価重量を有する。イソシアネートの官能基数(functionality)(可塑剤、界面活性剤および同類のものなどの非反応性物質を除外)は、平均で有利には少なくとも約2.0、好ましくは少なくとも2.5で、約4.0まで、好ましくは約3.5まで、より好ましくは約3.2までのイソシアネート基/分子である。
【0031】
ポリイソシアネート成分はまた、分子量300以下を有するイソシアネート含有化合物を25重量%未満、より好ましくは約15重量%未満、とりわけ5重量%以下含んでもよい。このようにモノメリック(monomeric)イソシアネート含有量が低いことは、実質的にポリイソシアネート吸入暴露の危険を低減させるので、ダウンドラフト式排気などの高価な工学的制御を実質的に低減することができ、または排除できる可能性がある。
【0032】
ポリオール成分はポリオールまたはポリオールの混合物を含む。ポリオール成分は2種以上の異なるポリオールのブレンドを含むのが、最も典型的であろう。ポリオール成分(下記のようなポリオール、水(存在するならば)およびアミン官能化合物(amine-functinal compounds)を含み、しかし非イソシアネート反応性物質(存在するならば)を除外)の官能基数(イソシアネート反応性基/分子の平均数)は、少なくとも約2.0であり、好ましくは少なくとも2.3であり、より好ましくは少なくとも2.5である。
【0033】
ポリオール成分が、少なくとも約2.0、好ましくは少なくとも2.3、およびより好ましくは少なくとも約2.5で、約6.0まで、好ましくは約4.0までの平均官能基数を有するならば、適当なポリオールは、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート反応性ヒドロキシル基を有する化合物である。個々のポリオールの官能基数は、好ましくは約2〜約12、より好ましくは約2〜約8の範囲である。個々のポリオールのヒドロキシル当量は、約31〜約2000またはそれ以上の範囲でもよい。好ましくは、個々のポリオールのヒドロキシル当量は、約31〜約500であり、より好ましくは約31〜約250であり、さらにより好ましくは約31〜約200である。
【0034】
適当なポリオールには、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび同類のもの)、グリコールエーテル(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよび同類なものなど)、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの第3級アミン含有ポリオール、エチレンジアミン、トルエンジアミンおよび同類のもののエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加体、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ならびに同類のものなどの化合物が挙げられる。適当なポリエーテルポリオールの中には、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび1,2−ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドまたはこのようなアルキレンオキシドの混合物のポリマーがある。好ましいポリエーテルは、ポリプロピレンオキシドまたはプロピレンオキシドと少量(約12重量パーセントまで)のエチレンオキシドとの混合物のポリマーである。これらの好ましいポリエーテルは、約30重量%までのエチレンオキシドでキャップすることができる。
【0035】
ポリエステルポリオールも適している。これらのポリエステルポリオールには、ポリオール、好ましくはジオールと、ポリカルボン酸またはそれらの無水物、好ましくはジカルボン酸またはジカルボン酸無水物との反応生成物が挙げられる。ポリカルボン酸または無水物は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であってもよく、ハロゲン原子などで置換することができる。ポリカルボン酸は不飽和であってもよい。これらのポリカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびフマル酸が挙げられる。ポリエステルポリオールを製造するのに用いるポリオールは、好ましくは約150以下の当量を有し、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,4−および2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール(quinitol)、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよび同類のものが挙げられる。The Dow Chemical Companyにより商品名「Tone」で販売されているこれらなどのポリカプロラクトンポリオールも有用である。
【0036】
好ましくはポリオール成分が、第3級アミン含有ポリオールおよび/またはアミン官能化合物を含む。これらの物質の存在は、ポリイソシアネート成分との反応の初期段階にポリオール成分の反応性を増加する傾向がある。次にこれは、最初に混合し、施すときに、過度にクリームタイム(cream time)を縮小させることなく反応混合物がより迅速に粘度を上昇させるのを助け、したがって流出または漏れを低減させる。
【0037】
このような第3級アミン含有ポリオールには、例えばトリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンならびに約800まで、好ましくは約400までの分子量を有するエチレンジアミン、トルエンジアミンまたはアミノエチルピペラジンのエチレンおよび/またはプロピレンオキシド付加体が挙げられる。フェノール、ホルムアルデヒドおよび第2級アミンをアルコキシル化した反応生成物である、いわゆる「マンニッヒ(Mannich)」ポリオールも興味深い。存在するならば、第3級アミン含有ポリオールは、ポリオール成分の微量成分または主成分を構成してもよい。(本発明では、「主」もしくは「主要」量または「主」もしくは「主要」成分とは、全ポリオール成分の少なくとも50重量パーセントを構成するものである。)例えば、第3級アミン含有ポリオールは、ポリオール成分の約1〜約80重量%または50〜80重量%を構成してもよい。
【0038】
アミン官能化合物は、少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有する化合物であり、そのうち少なくとも1個は第1級または第2級アミン基である。これらの中には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンおよび同類のもの、ならびにアミノエチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンおよびテトラエチレンペンタアミンなどの脂肪族ポリアミンがある。ポリエーテルポリオールのヒドロキシル基のすべてまたは一部が第1級または第2級アミン基に変換されているいわゆるアミノ化ポリエーテルも、これらの化合物の中に含まれる。適当なこのようなアミノ化ポリエーテルは、Huntsman Chemicalsにより商品名JEFFAMINE(登録商標)で販売されている。これらの市販の物質についてヒドロキシル基のアミン基への典型的な変換は、約70〜95%の範囲であり、したがってこれらの市販の生成物は、アミン基に加えていくらかの残余ヒドロキシル基を含む。アミノ化ポリエーテルの中で、約100〜1700ダルトン(daltons)、特に約100〜250ダルトンのイソシアネート反応性基1個当たりの重量を有し、1分子当たり2〜4個のイソシアネート反応性基を有するものが好ましい。
【0039】
これらのアミン官能化合物は、有利にポリオール成分の総重量の約30重量パーセント以下、好ましくは約0.25〜約15重量パーセント、特に約1〜約5重量パーセントを構成する。
【0040】
フォームに強靭性を与えるために、その上、少量の高当価重量(すなわち800以上、好ましくは約1500〜3000)ポリオールをポリオール成分に加えてもよい。この高当価重量ポリオールは、好ましくは1分子当たり2〜3個のヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオールである。より好ましいのは、30%(ポリオールの重量による)までのポリ(エチレンオキシド)でエンドキャップすることができるポリ(プロピレンオキシド)である。高当価重量ポリオールは分散ポリマー粒子を含んでもよい。これらの物質は、市販が知られており、一般に「ポリマーポリオール」(または、時に「コポリマーポリオール」)と呼ばれている。分散ポリマー粒子は、例えばビニルモノマー(スチレン、アクリロニトリルもしくはスチレンアクリロニトリル粒子など)からのポリマー、ポリ尿素粒子またはポリウレタン粒子でもよい。約2〜約50重量%またはそれ以上の分散ポリマー粒子を含むポリマーまたはコポリマーポリオールが適している。使用するとき、このポリマーまたはコポリマーポリオールが、ポリオール成分中のすべてのイソシアネート反応性物質の約45重量%まで、好ましくは約5〜約40重量%を構成してもよい。
【0041】
ポリイソシアネートおよびポリオール成分は、少なくとも1種の発泡剤の存在下で反応させる。水、各種炭化水素、各種ヒドロフルオロカーボン、発泡反応の条件下で窒素または二酸化炭素を生じるさまざまな化学発泡剤、および同類のものを含む、幅広い種類の発泡剤を使用することができる。
【0042】
好ましくは、発泡剤が少なくとも1個のヒドロキシル基を含むアミンのカルバメートを含む。好ましくはアミンが、1分子当たり少なくとも1個、好ましくは1個または2個のエーテル基も含む。適当なカルバメートは、例えば米国特許第4735970号、5464880号、5587117号および5859285号に記載されているように、アルカノールアミンを二酸化炭素と反応させることにより好都合に調製される。興味深いアルカノールアミンには、例えばN−メチル−2−アミノエタノール、N−エチル−2−アミノエタノール、2−(2−N−メチル−アミノエチル)−1,2−エタンジオール、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−エチレンジアミン、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−1,2−プロピレンジアミン、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシエチル)−1−メチル−2,4−および−2,6−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ビス−(β−ヒドロキシプロピル)−p−キシリレンジアミン、N−(β−ヒドロキシエチル−N’−(β−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンまたはトリス−(β−ヒドロキシエチル)−1,6,11トリアミノウンデカンが挙げられる。他の適当なアルカノールアミンは、一般的な構造
HRN−(CR−OH (I)
を有し、式中Rは水素、C〜Cアルキル基または構造(CRの基であり、Rは各々独立して水素またはC〜Cアルキル基であり、nは2〜6の整数である。
【0043】
特に好ましいアルカノールアミンは、構造
N−[(CHR’−CHR”−O−)−(CH−OH] (II)
を有し、式中yは少なくとも1であり、z+yは3に等しく、R’およびR”は、独立して水素、エチルまたはメチルであり、xは1〜4の数字であり、aは1または2であり、ただしa×yが2以下という条件である。この種類の特に好ましいアルカノールアミンは、2−(2−アミノエトキシ)エタノールおよび2(2−(2−アミノエトキシル)エトキシ)エタノールである。
【0044】
所望の水準にその粘度を低減するために、カルバメートは非水性液体媒質に含まれることが好都合である。「非水性」により、液体媒質が0.5重量パーセント未満の水、好ましくは0.2重量パーセント未満の水しか含まないことを意味している。液体媒質は非プロトン性またはプロトン性の物質でもよい。プロトン性物質は、本発明の目的のために、イソシアネート反応性基、特に1個または複数のヒドロキシル基を含むものである。ジオールおよびトリオール液体媒質は、アルキレングリコールもしくはトリオール;ポリ(オキシエチレン)グリコールもしくはトリオールまたはポリ(オキシプロピレン)グリコールもしくはトリオールなどのポリオキシアルキレンジオールもしくはトリオールなどが好ましい。好ましくはジオールまたはトリオールが、約31〜約1000、好ましくは31〜600およびより好ましくは31〜約400の分子量を有する。適当なジオールおよびトリオールの例として、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびこれらすべてのエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシド付加物が挙げられる。液体媒質は、媒質およびカルバメートの総合重量の5〜95%、好ましくは約25〜75%、およびより好ましくは約40〜60%を構成してもよい。
【0045】
カルバメートは米国特許第4735970号、5464880号、5587117号および5859285号に記載の方法を用いて調製することができる。一般に、大気圧または超大気圧下、温度0〜100℃で、液体媒質の存在下(もしあれば)、二酸化炭素をアミンと組み合わせる。0〜40℃の範囲の温度が好ましい。反応はしばしば発熱を伴うので、冷却または他の温度制御手段を、適温にするために使用してもよい。化学量論的な二酸化炭素の量まで、使用することができる。しかしながら、化学量論的レベル未満の二酸化炭素を使用することが可能であり、この場合にはいくらかの未反応アミンがカルバメート混合物中に残留してもよい。
【0046】
適当な市販のカルバメート混合物は、THE Dow Chemical Companyから入手できるSpecflex(商標)NR 566である。この製品は上記構造IIのアルカノールアミンのカルバメートを含み、約45%のグリコール液体媒質を含む。
【0047】
カルバメートが唯一の発泡剤であってもよい。このような場合には、所望の密度を有するフォームを提供するのに十分なカルバメートを使用する。唯一の発泡剤として使用するとき、約10〜約40ポンド/立方フィート(160〜640kg/m)の範囲のフォーム密度に、容易に調製することができる。カルバメートが唯一の発泡剤であるとき、好ましいフォーム密度は、約10〜約25ポンド/立方フィート(192〜400kg/m)である。正味量(すなわち存在してもよいすべての液体媒質を除外)では、適当なカルバメート量は、ポリオール成分100重量部当たり約0.5〜約10重量部である。より適当な範囲は、ポリオール成分100重量部当たり約0.75〜約5部のカルバメートである。
【0048】
以前に記載しているような他の発泡剤は、カルバメート化合物と併せて使用することができる。水はプレポリマーのイソシアネート基と反応して、二酸化炭素および架橋ポリマーを生成することになるので、補助的な発泡剤として有用である。補助的な発泡剤を使用すると、1.5ポンド/立方フィート(24kg/m)以下、好ましくは3ポンド/立方フィート(48kg/m)のいくらか低いフォーム密度を得ることができる。追加的な発泡剤が存在する場合であっても、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを混合すると非常に迅速に反応するシステムを得るためには、以前示したカルバメート発泡剤の量を使用するのが好ましい。
【0049】
ポリオールとイソシアネートとの反応のための触媒を、ほとんどの場合で、本発明の方法に使用することになる。最も典型的には、この触媒をポリオール成分中に組み入れることになるが、ある場合には、ポリイソシアネート成分中に混合してもよく、または別の流れとして加えることもできる。
【0050】
適当な触媒には、米国特許第4390645号に記載されているものが挙げられる。代表的な触媒には、
(a)トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、モルホリン、4,4’−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビスおよびトリエチレンジアミンなどの第3級アミン、
(b)トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィンなどの第3級ホスフィン、
(c)Be、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、CoおよびNiなどの金属とアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチルおよび同類のものから得ることができるものなどの各種金属のキレート、
(d)塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化第一スズ、三塩化アンチモン、硝酸ビスマスおよび塩化ビスマスなどの強酸の酸性金属塩、
(e)アルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物、アルコキシドならびにフェノキシドなどの強塩基、
(f)Ti(OR)、Sn(OR)およびAl(OR)などの各種金属のアルコラートおよびフェノラート(式中Rはアルキルまたはアリールであり、アルコラートとカルボン酸、β−ジケトンおよび2−(N,N−ジアルキルアミノ)アルコールとの反応生成物である。)、
(g)例えば酢酸ナトリウム、オクチル酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、オクチル酸鉛、ナフテン酸マンガンおよびナフテン酸コバルトなどの金属乾燥剤を含む、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、NiおよびCuなどの様々な金属の有機酸塩、ならびに
(h)四価のスズ、三価および五価のAs、SbおよびBiならびに鉄およびコバルトの金属カルボニルの有機金属誘導体
が挙げられる。
【0051】
第3級アミン触媒が好ましく、特に好ましいのは、イソシアネートと反応して、化学的結合を生じフォームとなることができるヒドロキシル基または第1級もしくは第2級アミン基を含むいわゆる「反応性型」アミン触媒である。これらの中で特に好ましい触媒は、N,N,N―トリメチル―N−ヒドロキシエチル−ビス(アミノエチル)エーテル(商品名ZF−10でHuntsman Chemicalから入手可能)およびジメチル1−2(2−アミノエトキシ)エタノール(商品名NP−70でNitrol−Europeから入手可能)、ならびに商品名Dabco(商標)8154およびDabco(商標)TでAir Productsにより販売されているこれらである。
【0052】
以前に述べたように、フォーム中のイソシアヌレート基の形成を強力に促進する触媒は、望ましくなく、存在しないのが好ましい。
【0053】
触媒の量は、所望の反応性を提供するために他の成分と併せて選択する。非常に高速なクリームタイムを達成するためにフォーム配合物を処方することが、一般に好ましい。クリームタイム、すなわちポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合した後、可視反応が起きるまでに過ぎる時間は、好ましくは2秒以下であり、より好ましくは1.5秒以下であり、さらにより好ましくは1秒以下である。必要とされる触媒の量は、具体的な触媒および配合物中の他の成分の性質に多少依存することになる。例えば使用する触媒の総量は、約0.0015〜約5重量パーセント、好ましくは約0.01〜約1重量パーセントであってもよい。
【0054】
加えて、ポリオール成分および/またはプレポリマー成分は、界面活性剤、充てん剤、着色剤、臭気マスク、難燃剤、殺生物剤、酸化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤、チキソトロープ剤およびセルオープナーなどの、硬質フォームを製造するのに有用となり得る各種補助的な成分を含んでもよい。
【0055】
適当な界面活性剤には、Tegostab(Goldschmidt Chemical Corp.の商標)B−8462およびB−8404、ならびにDow Corningから入手可能なDC−198およびDC−5043界面活性剤などの市販のポリシロキサン/ポリエーテルコポリマーが挙げられる。
【0056】
適当な難燃剤の例としては、リン化合物、ハロゲン含有化合物およびメラミンが挙げられる。
【0057】
充てん剤および顔料の例としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジンおよびカーボンブラックが挙げられる。
【0058】
UV安定剤の例としては、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジブチルチオカーバメート亜鉛、2,6−ジ第3ブチルカテコール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒンダードアミンおよび亜リン酸塩が挙げられる。
【0059】
セルオープナーの例としては、シリコンベースの消泡剤、ワックス、微粉固体、液体ペルフルオロカーボン、パラフィン油および長鎖脂肪酸が挙げられる。
【0060】
前述の添加剤は、一般にポリイソシアネート成分の約0.01重量パーセント〜約1重量パーセントなどの少量で使用する。
【0061】
本発明によるフォームは、触媒およびカルバメート(およびその他、任意選択の成分)の存在下でポリオール成分とポリイソシアネート成分とを混合し、反応物を反応させフォームを形成させることにより調製する。本発明はどのような理論にも限定されないが、カルバメートがイソシアネート基と非常に急速に反応し、イソシアネート基に尿素結合を形成すると同時にCOを放出すると考えられる。単一反応がゲル化と発泡の両方をひき起こすので、これらの反応の連続は、重要な問題ではなくなる。イソシアネート基とカルバメートから遊離したアミン基との反応に起因して、最初に粘度が非常に高速に上昇する。このことが発生した気体の反応混合物中への同伴を可能にし、その結果それを膨張させる。
【0062】
本発明の別の利点は、成分が約20〜約75℃、好ましくは約20〜60℃などの常温から緩やかに上昇した温度で混合するときでさえも、非常に高速なクリームタイムを得られることである。このことがフォームの取扱いおよび施すことを簡単にする。
【0063】
加えて好ましくはフォーム配合物が、20秒未満、好ましくは15秒未満およびより好ましくは約9〜12秒の不粘着時間(tack-free time)を有する。
【0064】
硬化を速めることを望むならば加熱をすることもできるが、フォーム配合物は一般に、硬化のための追加的な熱またはエネルギーのさらなる利用なしで硬化する。通常は、完全な膨張および硬化を果たすために熱を加える必要はない。
【0065】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との比は、約0.7、好ましくは約0.85、より好ましくは約0.95から、約1.5まで、好ましくは約1.35まで、より好ましくは約1.25までのイソシアネート指数(NCOのイソシアネート反応性基に対する比)を提供するように有利に選択する。好ましくはポリオール成分およびイソシアネート成分を、5:1〜1:5、好ましくは4:1〜1:4、より好ましくは約2:1〜1:2、さらにより好ましくは約1.5:1〜1:1.5の体積比で混合する。したがって所望のイソシアネート指数および体積比を同時に満たすように、好ましくはポリオールおよびイソシアネート成分の当量を確立する。
【0066】
発泡反応の間にイソシアヌレート基の形成を最小限にするまたは回避するように、好ましくは発泡反応の条件を選択する。
【0067】
本発明の態様では、開口空洞を有する基材上にポリウレタンフォーム配合物を分注することが特に興味深い。「開口空洞」によって、フォームが反応し、膨張しかつ硬化するときに、ポリウレタンフォーム配合物を分注する基材の一部が、大気に開放されていることを意味している。「空洞」という用語は、大気に開放されていること以外いかなる具体的な形状または外形も意味するものではない。「空洞」は実質上平面領域、曲面領域、部分的にくぼんだ場所、または他の適当な形状であってもよい。空洞はその形状または配向に起因して、流体を保持することができないものであってもよい。
【0068】
興味深い基材は、付着性のポリウレタンフォームを付着することが望ましいすべての部品または組立部品である。特に興味深いのは、車両の部品および組立部品であり、とりわけ構造補強、振動減衰または音の減衰が望ましい自動車およびトラックの部品および組立部品である。このような車両部品の例としては、ピラー、ロッカー、枠、帆、カウル、プレナム(plenum)、シーム、フレームレール、車両サブアセンブリー、ハイドロフォーム部品、クロスカービーム(cross car beams)およびエンジンクレードル(engine cradles)が挙げられる。フォーム配合物を施しかつ発泡させるときに、これらを車両または車両フレーム上に組み立てることができる。
【0069】
次の実施例は本発明を例示するためのものであって、これらの範囲を限定する意図はない。すべての部および百分率は、他に指示されていない限り重量による。
【実施例1】
【0070】
オキサゾリドン含有イソシアネート成分は、100重量部(0.7当量)の143当量カルボジイミド変性MDI(Isonate(登録商標)143L、Dow Chemicalから)、13重量部(0.07当量)の180までのエポキシ当量を有するポリエポキシド(ビスフェノールAのグリシジルエーテル、D.E.R.331(商標)としてDow Chemicalより入手可能)、1.5部のトリフェニルアンチモンおよび0.5部のヨウ素を混合することにより調製する。混合物を100℃に50分間加熱して、約23部のオキサゾリドン基を有するイソシアネート末端の中間体と約90部の未反応の出発ポリイソシアネートとの混合物(触媒残留物の除去)を生成する。得られたポリイソシアネート成分は、およそ182のイソシアネート当価重量を有する。
【0071】
ポリオール成分は、80部(0.55当量)のヒドロキシル価391を有するトルエンジアミン開始ポリエーテル(Voranol(商標)391、Dow Chemicalから)、11.5部(0.16当量)のヒドロキシル価800を有するアミン開始ポリエーテルポリオール(Voranol(商標)800、Dow Chemicalから)、約45重量%のエチレングリコールを含む4部のカルバメート/エチレングリコール混合物(Specflex NR 566、Dow Chemicalから)、0.5部のシリコーン界面活性剤および2.5部(0.28当量)の水を混合することにより調製する。ポリオール成分は、およそ100の当量を有する。
【0072】
イソシアネートおよびポリオール成分を、42/17の重量比で混合して120のイソシアネート指数を与え、カップの中に注ぐと、自由に隆起かつ硬化する。
【0073】
混合物は発泡して、約2ポンド/立方フィート(32kg/m)の密度を有するフォームを形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤およびポリオールとポリイソシアネートとの反応のための少なくとも1種の触媒の存在下でポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合するステップと、得られた混合物を基材の空洞の中に分注する(dispensing)ステップと、混合物を硬化させて、基材に付着した1.5〜40ポンド毎立方フィート(24〜640kg/m)のかさ密度を有するフォーム(発泡体)を形成させるのに十分な条件に付すステップとを含む、基材の開口空洞に付着した硬質ポリウレタンフォームを形成する方法であって、
(a)ポリイソシアネート成分が、ポリイソシアネート化合物またはオキサゾリドン基および遊離イソシアネート基を含む少なくとも1種の中間体を含むその混合物を含み、
(b)ポリオール成分が、少なくとも約2.0の平均官能基数を有し、少なくとも1種のポリオールを含むイソシアネート反応性物質を含み、
(c)ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基とポリオール成分中のイソシアネート反応性基の数との比は、約0.7:1〜約1.5:1である方法。
【請求項2】
ポリイソシアネート成分が、150〜400のイソシアネート当価重量(equivalent weight)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリイソシアネート化合物またはその混合物が、イソシアネート基1個当たり約0.05〜約0.33個のオキサゾリドン基を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポリイソシアネート化合物またはその混合物が、イソシアネート基1当量当たり0〜0.025当量のイソシアヌレート基を含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ポリイソシアネート化合物またはその混合物が、イソシアネート基1当量当たり0〜0.01当量のイソシアヌレート基を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ポリオール成分中のイソシアネート反応性物質が、少なくとも2.5の平均官能基数を有する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ポリオール成分中のイソシアネート反応性物質が、少なくとも1種の第3級アミン含有ポリオールまたはアミン官能化合物(amine-functional compound)を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
発泡剤がアルカノールアミンの少なくとも1種のカルバメートを含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
混合物が、イソシアネート基からイソシアヌレート基を形成する反応のための触媒を本質的にもたない、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分と少なくとも1種の発泡剤との混合物の反応生成物である硬質ポリウレタンフォームであって、ポリイソシアネート成分が、ポリイソシアネート化合物またはオキサゾリドン含有イソシアネート末端中間体を含むその混合物を含み、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基とポリオール成分中のイソシアネート反応性基の数との比が、約0.7:1〜約1.5:1であり、さらに硬質フォームがイソシアヌレート基を本質的にもたない硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項11】
ポリイソシアネート化合物またはその混合物が、イソシアネート基1個当たり約0.05〜約0.33個のオキサゾリドン基を含む、請求項10に記載のフォーム。
【請求項12】
約1.5〜約40ポンド/立方フィート(24〜640kg/m)の密度を有する、請求項11に記載のフォーム。
【請求項13】
オキサゾリドン含有イソシアネート末端中間体、ポリオール成分および少なくとも1種の発泡剤を含む反応混合物の反応生成物である硬質ポリウレタンフォームであって、発泡剤がアルカノールアミンの少なくとも1種のカルバメートを含む硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項14】
反応混合物中のイソシアネート官能化合物が、イソシアネート基1個当たり平均で約0.05〜約0.33個のオキサゾリドン基を含む、請求項13に記載のフォーム。
【請求項15】
約1.5〜約40ポンド/立方フィート(24〜640kg/m)の密度を有する、請求項14に記載のフォーム。
【請求項16】
発泡剤およびポリオールとポリイソシアネートとの反応のための少なくとも1種の触媒の存在下でポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合するステップと、混合物を硬化させて、1.5〜40ポンド毎立方フィート(24〜640kg/m)のかさ密度を有するフォームを形成させるのに十分な条件に付すステップとを含む、硬質ポリウレタンフォームの調製方法であって、(1)ポリイソシアネート成分が、イソシアヌレート基を本質的にもたないオキサゾリドン含有イソシアネート末端中間体を含み、(2)ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基とポリオール成分中のイソシアネート反応性基の数との比が、約0.7:1〜約1.5:1であり、(3)混合物がイソシアヌレート基の形成のための触媒を本質的にもたない、方法。

【公表番号】特表2009−508979(P2009−508979A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531080(P2008−531080)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/013781
【国際公開番号】WO2007/040617
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】