説明

オキシブチニンを含んで成る剤形

【課題】尿失禁の治療のために有用な新規な剤形を提供する。
【解決手段】オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至150,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及びオスマジェント1mg乃至50mgを含んで成る治療用組成物であって、オキシブチニンを制御して放出する組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオキシブチニンを含んで成る新規な剤形に関する。本発明はまたオキシブチニンを含んで成る治療用組成物に関し、また本発明は、更に、オキシブチニンを必要としている患者にオキシブチニンを投与する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの人々が尿失禁を患っている。失禁は、特に、老人に普通に見られるものであって、尿失禁はナーシングホームの患者の約50パーセントに認められ、また尿失禁は周知の婦人の泌尿器問題である。この尿失禁はほとんど全ての婦人をその生涯中に何らかの形で襲う病気であって、それに罹るあらゆる人にとって社会的関心の大きいものである。
【0003】
尿失禁は、膀胱と括約筋から構成される尿路の解剖学的構造と生理機能に由来する。膀胱は、解剖学的には、排尿筋としても知られる膀胱筋肉と膀胱三角より成る。括約筋は膀胱頸と近位尿道を含む。排尿筋は副交感神経系を経由して骨盤神経によって支配され、他方膀胱頸と近位尿道は交感神経系の支配を受ける。
【0004】
膀胱の主要な機能は尿の貯蔵とその圧出である。膀胱は増加していく尿の容量を低圧で調節する役割を担う。膀胱は、普通、膀胱が満たされつつある間は閉じたままになっており、排泄抑制能力は膀胱頸と尿道の圧力が膀胱内圧力を越えている限り維持される。随意排尿は膀胱内圧力が膀胱頸と尿道の圧力を越えたときに起こり、他方不随意排尿は膀胱内圧力が膀胱頸と尿道の圧力を越えたときに起こる。
【0005】
逼迫性失禁としても知られる不随意失禁は大量の尿の損失を伴って起こり、これには、膀胱が不安定なこと、即ち排尿筋の不安定性が原因となって起こる逼迫性排尿、頻尿及び夜間多尿の症状が付随する。患者は位置の変更或いは聴覚の刺激によって尿を漏らすこともある。少量の尿を漏らすことは、通常、膀胱がオーバーフロー失禁と称される大量の残尿により膨満過度状態になるために起こる。
【0006】
失禁の処置法は、コリン作動性レセプタに対して遠位の部位にある平滑筋に直接作用するオキシブチニンのような平滑筋弛緩薬を投与することにある。薬理学的処置における通常の投薬法は、オキシブチニンで1日当たり2回から4回反復投薬するものである。これにはリジッドなコンプライアンス(rigid compliance)が必要とされ、しかもそれはコスト効果が低いので、この方法は達成困難である。また、オキシブチニンは光で悪影響を受け、かつ空気から保護する必要がある。空気の性質は、オキシブチニンを、予定された治療効果を生む、既知の、制御された単位時間当たりの速度で投与可能とする剤形にそのオキシブチニンを処方することには力にならないのである。
【0007】
上記の提示に鑑み、本発明が係わる医療技術分野及び製剤投薬技術分野の当業者であれば、失禁の処置を医療上必要としている患者に有価薬物であるオキシブチニンを速度制御された用量で送り出し得る剤形について差し迫った必要が存在することは認められるであろう。この差し迫った必要は、また、経口投与用剤形や、オキシブチニンを、制御された速度で、その有利な治療効果に関して実質的に一定の単位時間当たり用量で送り出し得る治療方法についても存在する。この必要は、更に、完全用量のオキシブチニンが患者に確実に投与され、なおかつそれが胃腸管の変化している環境とは実質的に関係のない状態に止まっていることを保証するために、光から実質的に保護されたオキシブチニンを送り出すことが可能な剤形についても存在する。加えて、上記の必要は、オキシブチニンをその予定された効果のために治療用量で送り出すこともでき、またその薬物に伴われる可能性のある副作用を少なくすることができる剤形についても存在する。投薬技術分野の当業者であれば、更に、もしオキシブチニンを時間に対して速度制御された用量で投与することができ、同時にオキシブチニンをして失禁の偶発を少なくするようにすることができるそのような新規かつ特異な剤形と方法が利用可能となれば、その剤形とそれに伴われる方法は医療の技術分野に進歩と価値のある貢献をなすことになるだろうことも認められるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の目的
従って、上記の提示に鑑み、オキシブチニンを速度制御された用量で送り出すための、従来技術に関連した欠陥とそこでなされなかった問題を実質的に克服する剤形を提供することが、本発明の直接の目的である。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、失禁に悩んでいる人を非外科的に失禁治療すべく、オキシブチニンを速度制御された用量で経口投与するための剤形を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、失禁の薬理学的処置用に指定される、オキシブチニンを含んで成る薬理学的組成物を提供することである。
【0011】
本発明のもう1つの目的は、失禁の偶発を少なくする目的から人に投与することが可能なオキシブチニン、そのラセミ化合物、そのR−鏡像異性体及びS−鏡像異性体を含んで成る薬理学的組成物を提供することである。
【0012】
本発明のもう1つの目的は、オキシブチニンによる治療を必要としている患者に対してオキシブチニンの制御され、かつ持続した治療活性を利用できるようにする新規な組成物を提供することである。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、オキシブチニンを生物学的レセプタに投与して希望されるオキシブチニン効果を生むことができる浸透圧ディバイス(osmotic device)として製造される新規な剤形を提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの目的は、剤形中にオキシブチニン及びオキシブチニンの治療上許容できる塩類を保持して置く浸透圧剤形(osmotic dosage form)として製造されるそのような剤形を提供し、そしてオキシブチニンがその剤形から放出されるまで光から保護するようにして、使用胃腸環境の所望とされない影響を実質的に小さくし及び/又は実質的に無くし、しかもなおもオキシブチニンを時間に対して制御して投与せしめるようにすることである。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、オキシブチニンを、起こり得る所望とされない副作用の軽減を伴うその治療効果のために、時間に対して制御された速度で投与する剤形を提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの目的は、耐光性の半透過性高分子壁で光から保護された、結晶性のオキシブチニン塩を初めに含有している、時間に対して制御された用量で投与することができる剤形を提供することである。
【0017】
本発明のもう1つの目的は、α−シクロヘキシル−α−ヒドロキシ−ベンゼン酢酸4−(ジエチルアミノ)−2−ブチニルエステル塩の制御された投与のために連携して作動する第二の力を発生する第二の組成物と、層状に接触して配置されている第一の組成物中のその有利なエステル塩の経口投与に合った剤形を提供することである。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、ドラッグデリバリー用剤形(drug delivery dosage form)から投薬できるオキシブチニンを含んで成る組成物から成る完成製剤オキシブチニン養生法(regimen)を提供することであって、その使用にはその養生法の開始と、多分終結に関してのみ関与が必要になる。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、失禁の治療を必要としている温血動物にオキシブチニンをデリバリーディバイスから速度制御された単位時間当たりの量で経口投与することにより失禁を治療する方法を提供することである。
【0020】
ドラッグデリバリー技術分野の当業者には、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付請求の範囲と共に次の詳細な説明から更に明白になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
明細書の詳細な開示
1つの面では、本発明は1ng乃至450mg(ナノグラム乃至ミリグラム)の、オキシブチニン、又は酢酸塩、二酒石酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシレート(edisylate)、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭酸塩、塩酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、メチル硝酸塩、ムチン酸塩、ナプシレート(napsylate)、硝酸塩、パモエート、パントテン酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩及び酒石酸塩より成る群から選ばれるオキシブチニンの治療上許容できる塩を含んで成る治療用組成物を提供する。オキシブチニンはラセミ化合物、R−鏡像異性体及びS−鏡像異性体として存在することができる。この治療用組成物は、分子量200,000のポリエチレンオキシド又は分子量300,000のポリエチレンオキシドより成る群から選ばれるポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース及びヒドロキシプロピルペンチルセルロースより成る群から選ばれる9,000乃至150,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酸性リン酸カリウム、酒石酸、クエン酸、ラフィノース、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、尿素、イノシトール、スクロース、グルコール及びソルビトールより成る浸透圧上有効な化合物から選ばれる浸透圧性溶質(osmotic solute)1mg乃至40mg、並びにステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、スベリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、脂肪酸の塩類、脂環式酸の塩類、芳香族酸の塩類、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸;並びに脂肪酸、脂環式酸又は芳香族酸の塩と脂肪酸、脂環式酸又は芳香族酸との混合物のような滑剤0.01mg乃至5mgを更に含有する。
【0022】
本発明は、尿の膀胱容量を上げるのに、排尿筋の非束縛性(uninhibited)収縮の頻度を少なくするのに、そしてその非束縛性収縮に付随する排尿欲求の遅延を少なくするのに効果的な組成物として投与されるべき、オキシブチニンを含んで成る前記治療用組成物を提供するものである。本発明は、また、治療用層としての前記治療用組成物を提供するもので、その治療用層はこの層を支持して2層化マトリックスをもたらすヒドロゲル層と層状配置されている。ヒドロゲル層は、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドより成る群から選ばれる分子量3,000,000乃至8,000,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、又はナトリウム・カルボキシメチルセルロース若しくはカリウム・カルボキシメチルセルロースのような分子量10,000乃至6,000,000のアルカリ・カルボキシメチルセルロース40mg乃至250mg、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酸性リン酸カリウム、酒石酸、クエン酸、ラフィノース、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、尿素、イノシトール、スクロース、グルコース及びソルビトールより成る群から選ばれるオスマジェント(osmagent)1mg乃至50mg、酸化第二鉄0mg乃至5mg、分子量7,500乃至175,000のヒドロキシアルキルセルロース0.1mg乃至30mg又はヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルエチルセルロースより成る群から選ばれる分子量9,000乃至225,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース0.1mg乃至30mg、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシキノン、ブチルヒドロキシアニソール、ヒドロキシコマリン(hydroxycomarin)、ブチル化ヒドロキシトルエン、セファルム(cephalm)、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ラウリル、プロピルヒドロキシベンゾエート、トリヒドロキシブチルロフェノン(trihydroxybutylrophenone)、ジメチルフェノール、ジ−tert−ブチルフェノール(diterlbulylphenol)、ビタミンE、レシチン及びエタノールアミンより成る群から選ばれる酸化防止剤0.00乃至1.5mg、並びにステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、スベリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、脂肪酸の塩類、脂環式酸の塩類、芳香族酸の塩類、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸;脂肪酸、脂環式酸又は芳香族酸の塩と脂肪酸、脂環式酸又は芳香族酸との混合物より成る群から選ばれる滑剤0.2mg乃至7mgを含んで成る。
【0023】
本発明は、更に、オキシブチニンを含んで成る治療用組成物を送り出すためのデリバリーディバイスを提供するものである。このデリバリーディバイスは内部区画室を包囲している壁を含んで成る。この壁は流体の通過に対しては透過性であり、そしてオキシブチニンの通過に対しては不透過性であるので、半透過性である。この壁は無毒であって、セルロースアシレート(cellulose acylate)、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート及びセルローストリアセテートより成る群から選ばれる重合体を含んで成る。この壁はそのセルロース系壁形成性重合体を75重量パーセント(wt%)乃至100wt%含んで成るか、又はその壁はポリエチレングリコールを0.01wt%乃至10wt%或いはヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースより成る群から選ばれるセルロースエーテルを1wt%乃至25wt%含んでいることができる。壁を構成する全成分の総重量パーセントは100wt%に等しい。上記内部区画室は前記の膨張性ヒドロゲル組成物と層状に位置決めされている前記の治療用オキシブチニン組成物を含んで成る。区画室中の膨張性ヒドロゲル組成物は寸法が大きくなり、それによってその区画室中の空間を塞ぐ。この治療用層と膨張性層とは、患者にオキシブチニンを時間の経過中に制御して放出するためのデリバリーディバイスの作動中に一緒に作用する。このデリバリーディバイスは壁の中にそのデリバリーディバイスの外部と内部区画室とを接続する通路を含む。本発明によって提供されるデリバリーディバイスは、そのディバイスからオキシブチニンを患者に24時間の期間にわたって実質的にゼロ次(zero order)の放出速度で送り出す。
【0024】
通路なる表現には、剤形の区画室から治療薬を計量して放出するのに適した手段と方法が含まれる。出口手段13は少なくとも1つの通路、オリフィス、内腔(bore)、開口、細孔(pore)、多孔質要素(porous element)、中空繊維、毛細管、多孔質上塗層、及びオキシブチニンを浸透圧的に制御して放出させる多孔質要素を含む。通路なる表現には、壁を侵食し、又は壁から使用流体環境中に浸出されて少なくとも1つの特定の寸法となった通路を生成させる材料が含まれる。1つの通路又は多数の通路を形成するのに適した代表的な材料は、壁中の浸出性のポリ(グリコール)酸又はポリ(乳)酸の重合体、ゼラチンフィラメント、ポリ(ビニルアルコール)、浸出性多糖類、塩類及び酸化物である。1つの細孔通路又は1つより多い細孔通路は、壁からソルビトールのような浸出性化合物を浸出することにより形成することができる。通路は、オキシブチニンのデリバリーディバイスからの計量放出のために、円、三角、四角、楕円等々のような制御された放出寸法を有する。このデリバリーディバイスは、壁の1つの表面又は1つより多い表面に、離間関係にある1つ又はそれ以上の通路を設けて作ることができる。通路及び通路を形成するための装置は米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第4,063,064号、同第4,088,864号及び同第4,816,263号明細書に開示されている。浸出によって形成される通路は米国特許第4,200,098号及び同第4,285,987号明細書に開示されている。
【0025】
本発明の剤形を製造する方法の説明
デリバリーディバイスの壁は空気懸濁法(air suspension procedure)を使用する1つの技術で形成することができる。この空気懸濁法は、圧縮された層を空気と壁形成性組成物との流れの中に、壁がオキシブチニン形成用の区画室に適用されるまで懸濁、混転させることにある。この空気懸濁法は壁を独立に作るのによく適している。空気懸濁法は米国特許第2,799,241号明細書;J.Am.Pharm.Assoc.、第48巻、451〜459頁、1959年;及び同書第49巻、82〜84頁、1960年に説明されている。壁は、また、壁形成性組成物をwt:wtで90:10のアセトン−水共溶媒を用い、2.5乃至7wt%の重合体固形分を使用して、ワースター(Wurster:登録商標)空気懸濁コーターで形成することもできる。v:vで87:13のメチレンジクロリド−メタノール共溶媒を用いるエーロマティック(Aeromatic:登録商標)空気懸濁コーターも壁を適用するために使用することができる。前記デリバリーディバイスを提供するために、パン・コーティング法(pan coating)のような他の壁形成技術を用いることもできる。このパン・コーティング系では、壁形成性組成物は2層化区画室上にその組成物を連続噴霧することにより付着せしめられるが、その連続噴霧には回転しているパン中での混転が伴われる。より大容量の共溶媒を用いて重合体固形分の濃度を下げ、より薄い壁を作るためにることができる。最後に、壁被覆区画室はレーザーで、又は機械的に孔があけられ、次いで強制空気炉又は同湿潤炉(humidity oven)中で3日乃至1週間乾燥されて溶媒が取り除かれる。一般的には、これらの技術で形成された壁は2乃至20ミル(0.051乃至0.51mm)の厚さを有し、2乃至6ミル(0.051乃至0.15mm)の厚さが現在のところ好ましい。
【0026】
本発明のデリバリーディバイスは標準的な製造技術で製造される。例えば、1つの製造例では、出口手段に面する第一層を構成する有益なオキシブチニン及び他の成分がブレンドされ、そして固体層にプレス成形される。そのオキシブチニンと他の成分は溶媒を用いることによってもブレンドすることができ、ボールミル粉砕法、カレンダリング法、撹拌法又はロール練り法のような常用の方法で固体又は半固体となし、次いで予め選択された形状にプレス成形される。この層はその層がデリバリーディバイス中に占める領域の内部寸法に相当する寸法を有し、またその層と接触配置をなすための第二層に相当する寸法も有する。次に、オキシブチニンヒドロゲル層がオキシブチニン層と接触配置される。オキシブチニン層とヒドロゲル層との層形成は、常用のプレス−層形成技術で行うことができる。最後に、その2層区画室形成性部材が外壁で包囲、被覆される。オキシブチニン層を接触させるためにレーザーで通路が壁を貫通してあけられ、その場合そのデリバリーディバイスは予め選択された表面に通路を形成するためのレーザー装置で自動的に、光学的に配向される。
【0027】
もう1つの製造例では、デリバリーディバイスは湿式造粒技術で製造される。この湿式造粒技術では、第一層を構成する前記のオキシブチニンと成分とが、造粒流体として80/20v/vのイソプロピルアルコール−メチレンジクロリドのような有機又は無機の溶媒を用いてブレンドされる。この目的には、水又は100%変性アルコールのような他の造粒流体も用いることができる。第一層を形成する成分は個別に40メッシュの篩に通され、次いでミキサー中で完全にブレンドされる。次に、第一層を構成する他の成分が前記の共溶媒のような造粒流体の一部に溶解される。次いで、後者の、調製された湿潤ブレンドが、そのブレンダー中で連続混合されながら、前記のオキシブチニンブレンドにゆっくり加えられる。その造粒流体は湿潤ブレンドが生成されるまで加えられ、その湿潤物は次いで20メッシュの篩を通して複数のオーブントレー(oven tray)上に強制挿通される。そのブレンドは25℃乃至40℃で18乃至24時間乾燥される。その乾燥粒体は次いで16メッシュの篩で篩分けされる。次に、滑剤が60メッシュの篩に通され、上記の篩分けされた乾燥粒体ブレンドに加えられる。その粒体はミリングジャー(milling jar)に入れられ、ジャーミル(jar mill)で2乃至10分間混合される。第一層と第二層の組成物は、例えばマネスティー(Manesty:登録商標)層プレス成形機で層状錠剤にプレス成形される。
【0028】
前記のオキシブチニン及びヒドロゲルの組成物を提供するために用いることができるもう1つの製造法は、粉末状にされたそれら成分を流動床グラニュレーター中でブレンドすることから成る。粉末状成分をグラニュレーター中でブレンドした後、それぞれの粉末に造粒流体、例えば水中ポリ(ビニルピロリドン)を噴霧する。これらの被覆された粉末を次いでグラニュレーター中で乾燥する。このプロセスは、造粒流体を噴霧しながら、グラニュレーター中に存在する全ての成分を被覆−凝集させる。粒体が乾燥された後に、その混合物にステアリン酸又はステアリン酸マグネシウムのような滑剤が上記のようにしてブレンドされる。その粒体は次に前記のようにしてプレス成形される。1つの態様では、この流動床造粒法を用いてヒドロゲル層を製造するとき、製造者は初めに酸化防止剤をポリアルキレンオキシド中に存在させるが、それは加工中に除去されてしまう。従って、酸化防止剤が所望とされる場合は、そのヒドロゲル配合物に追加の酸化防止剤を加えることが必要になるが、この添加は上記の流動床による造粒中に遂行することができる。
【0029】
もう1つの態様では、本発明のディバイスは、オキシブチニンを組成物形成性成分と混合し、そして得られた組成物をプレス成形して、区画室の通路に隣接する空間の内部寸法に相当する寸法を有する固体層となすことにより製造される。もう1つの態様では、オキシブチニンと他の第一組成物形成性成分及び溶媒が、ボールミル粉砕法、カレンダリング法、撹拌法又はロール練り法のような常用の方法で混合されて固体又は半固体とされ、次いで予め選択された層形成用形状にプレス成形される。
【0030】
上記に与えられた諸製造例において、オスモポリマー(osmopolymer)ヒドロゲルと、場合によってはオスマジェントとを含んで成る組成物の層を含む製造物が薬物のオキシブチニンを含む層と接触して配置され、これらの層から成るその2層が半透過性の壁で包囲される。第一薬物であるオキシブチニンの組成物、及びオスモポリマーヒドロゲルと任意成分のオスマジェントから成る第二組成物の層形成は、常用の2層錠剤プレス成形技術を用いることにより遂行することができる。壁は前記プレス成形形状物を成形し、噴霧し、又は浸漬して壁形成性材料となすことにより適用することができる。壁の適用に使用することができるもう1つの、現在のところ好ましい技術は空気懸濁被覆法である。この方法は、その2層を空気流の中に、壁形成用組成物がそれら層を包囲するまで懸濁、混転させることにある。製造方法は、モダーン プラスチックス エンサイクロペディア(Modern Plastics Encyclopedia)、第46巻、62−70頁(1969年)及びペンシルバニア州(PA)、イーストン(Easton)のマック パブリッシング社(Mack Publishing Co.)の刊行になる、レミングトン(Remington)著・製剤科学(Pharmaceutical Science)、第14版、1626−1979頁(1970年)に記載されている。前記デリバリーディバイスは、米国特許第4,327,725号、同第4,612,008号、同第4,783,337号、同第4,863,456号及び同第4,902,514号明細書の教示に従って製造することができる。
【0031】
壁、ラミネート及び単層の製造に適した模範的溶媒に、最終の積層された壁の材料とその最終の壁に有害な作用を及ぼさない不活性な無機及び有機の溶媒がある。この溶媒は広範囲に及び、水系溶媒、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、脂環式化合物、芳香族化合物、複素環系溶媒及びそれらの混合物より成る群から選ばれるものがある。典型的な溶媒に、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、メチレンジクロリド、エチレンジクロリド、プロピレンジクロリド、カーボン クロロホルム、ニトロエタン、ニトロプロパン、テトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、それらの水系及び非水系混合物、例えばアセトンと水、アセトンとメタノール、アセトンとエチルアルコール、メチレンジクロリドとメタノール及びエチレンジクロリドとメタノールがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明により提供される実施例の詳細な開示
次の実施例は本発明を単に例証するものであり、これらの実施例とその均等物は本発明の開示、図面及び添付請求の範囲に照らして見れば当業者に明らかになるものであるので、それら実施例をいかなる意味でも本発明の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【0033】
実施例1
本発明により提供される治療用オキシブチニン組成物を次のようにして調製した:まず、オキシブチニン塩酸塩103グラムを無水のエタノール1200ミリメートルに溶解した。別に、分子量200,000のポリエチレンオキシド2,280g、分子量9,200のヒドロキシプロピルメチルセルロース150g及び塩化ナトリウム450gを、常用のブレンダー中で10分間乾式ブレンドして均質なブレンドを得た。次に、上記オキシブチニンのエタノール溶液をゆっくり加え、その溶液が全部上記3成分乾燥ブレンドに加えられるまでミキサーにより連続ブレンドし、その混合を更に8乃至10分間続けた。そのブレンドされた湿潤組成物を16メッシュの篩に通し、そして72°F(22.2℃)の室温で一晩にわたり乾燥させた。次いで、その乾燥粒体を20メッシュの篩に通し、そしてステアリン酸マグネシウム18gを加え、その全成分を再度5分間ブレンドした。このできたばかりの粒体は治療用オキシブチニン組成物にそのまま調合できるものである。この治療用組成物は、オキシブチニン塩酸塩3.4wt%、分子量200,000のポリエチレンオキシド76wt%、分子量9,200のヒドロキシプロピルメチルセルロース5wt%、塩化ナトリウム15wt%及びステアリン酸マグネシウム0.6wt%から成る。この治療用組成物はその意図された治療のための組成物として投与することができる。
【0034】
実施例2
本発明により提供されるオスモポリマー、ヒドロゲル組成物を次のようにして調製した:まず、分子量7,500,000の製剤上許容できるポリエチレンオキシド1274g、塩化ナトリウム600g及び酸化第二鉄20gを、別々に40メッシュの篩で篩分けした。次いで、全ての篩分けされた成分を分子量11,200のヒドロキシプロピルメチルセルロース100gと混合して均質なブレンドを生成させた。次に、そのブレンドに無水の変性アルコール300mLを5分間連続混合しながらゆっくり加えた。次いで、ブチル化ヒドロキシトルエン1.6gを加え、続いて更にブレンドし、そしてステアリン酸マグネシウム5gを5分間のブレンド操作で加えて均質なブレンドを得た。この新しく調製された粒体を20メッシュの篩に通し、そして22.2℃で20時間乾燥させた。この最終組成物は、ポリエチレンオキシド63.67wt%、塩化ナトリウム30wt%、酸化第二鉄1wt%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース5mg、ブチル化ヒドロキシトルエン0.08wt%及びステアリン酸マグネシウム0.25mgを含んで成るものであった。
【0035】
実施例3
本発明により提供されるオスモポリマー、ヒドロゲル組成物を次のようにして調製した:まず、分子量5,250,000の製剤上許容できるナトリウム・カルボキシメチルセルロース1274g、塩化ナトリウム600g及び酸化第二鉄20gを、別々に40メッシュの篩で篩分けした。次いで、全ての篩分けされた成分を分子量11,200のヒドロキシプロピルメチルセルロース100g及び分子量30,000のヒドロキシプロピルセルロース100gと混合して均質なブレンドを生成させた。次に、そのブレンドに無水の変性アルコール300mLを5分間連続混合しながらゆっくり加えた。次いで、ブチル化ヒドロキシトルエン1.6gを加え、続いて更にブレンドし、そしてステアリン酸マグネシウム5gを5分間のブレンド操作で加えて均質なブレンドを得た。この新しく調製された粒体を20メッシュの篩に通し、そして22.2℃で20時間乾燥させた。この最終組成物は、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース58.67wt%、塩化ナトリウム30wt%、酸化第二鉄1wt%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース5mg、ヒドロキシプロピルセルロース5mg、ブチル化ヒドロキシトルエン0.08wt%及びステアリン酸マグネシウム0.25mgを含んで成るものであった。
【0036】
実施例4
前記の治療用オキシブチニン組成物とオスモポリマーヒドロゲル組成物とを次のようにして二層錠剤にした:まず、オキシブチニン組成物147mgをパンチダイセット(punch die set)に加え、突き固め、次いでヒドロゲル組成物98mgを加え、そしてその2層を1.0トン(1000kg)の圧力ヘッドの下で圧縮して直径11/32インチ(0.873cm)の密接している二層化錠剤となした。
【0037】
実施例5
上記の二層化錠剤を次のようにしてデリバリーディバイスに製造した:まず、アセチル含有量39.8%の酢酸セルロース95wt%と分子量3350のポリエチレングリコール5wt%から成る半透過性の壁形成性組成物を、それら成分を90:10wt:wt組成のアセトンと水から成る共溶媒に溶解して4%固形分の溶液を作ることにより調製した。この壁形成性組成物を上記の二層化芯の上、それらのぐるりに噴霧して26.4mgの半透過性の壁を得た。
次に、上記の半透過性の壁を持つ二層化錠剤に、そのオキシブチニン層をそのデリバリーディバイスの外部と接触させるべく、その半透過性壁を通してレーザーで20ミル(0.51mm)の孔をあけた。残っている溶媒は、50℃、50%相対湿度で48時間乾燥することにより除去した。次に、このデリバリーディバイスを50℃で1時間更に乾燥して過剰の水分を除去した。この製造法で提供されたデリバリーディバイスは、オキシブチニン塩酸塩3.4wt%、分子量200,000のポリエチレンオキシド76wt%、分子量9,200のヒドロキシプロピルメチルセルロース5wt%、ステアリン酸マグネシウム0.6wt%及び塩化ナトリウム15wt%を治療用オキシブチニン組成物に与えるものである。そのオスモポリマーヒドロゲル推進(push)用組成物は、分子量7,500,000のポリエチレンオキシド63.67wt%、塩化ナトリウム30wt%、酸化第二鉄1wt%、分子量9,200のヒドロキシプロピルメチルセルロース5wt%、ブチル化ヒドロキシトルエン0.08wt%及びステアリン酸マグネシウム0.25wt%から成る。その半透過性壁は、アセチル含有量39.8%の酢酸セルロース95wt%及び分子量3,350のポリエチレングリコール5wt%から成る。このデリバリーディバイスは20ミル(0.50mm)の出口通路を含み、23.8時間につき0.260mg/時の平均放出速度を有する。その半透過性壁はデリバリーディバイス中のオキシブチニンをホト(光)分解から実質的に保護する。
【0038】
実施例6
上記の方法に従って製造した1つの剤形は、オキシブチニン塩酸塩6.67wt%、分子量200,000のポリエチレンオキシド87.83wt%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース5.00wt%及びステアリン酸マグネシウム0.50wt%より成る薬物層を含む;この薬物層は、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース58.75wt%、塩化ナトリウム30wt%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース5.00wt%、酸化第二鉄1.00wt%、ヒドロキシプロピルセルロース5.00wt%及びステアリン酸マグネシウム0.25wt%から成る推進層と層状接触している;この二層化芯は酢酸セルロースとポリエチレングリコールから成る半透過性壁で取り囲まれ;オキシブチニンを30日間にわたり制御された速度で送り出すための、その壁を貫通する出口を有する。
【0039】
実施例7
請求の範囲第6項による、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが分子量が9,200と11,200のものより成る群から選ばれた1員である剤形:ここで、そのポリエチレンオキシドは分子量が300,000である;そのナトリウムカルボキシメチルセルロースは分子量が700,000若しくは800,000又は900,000或いは1,000,000のものより成る群から選ばれる1員である;そのヒドロキシプロピルセルロースは分子量が25,000若しくは30,000又は40,000のものより成る群から選ばれる1員である;そしてその剤形はオキシブチニンの製剤上許容できる塩を5mg乃至250mg含んでいる。
【0040】
本発明の実施法を遂行するための剤形の開示と使用
本発明は、更に、デリバリーディバイスの使用に関し、それはオキシブチニンによる治療を必要としている温血動物に経口でオキシブチニンを制御された速度で送り出す方法を提供することによる。ここで、その使用は、(A)温血動物に剤形をなしているデリバリーディバイスを入れる工程;ここで、その剤形は、(1)区画室を包囲している、流体の通過に対しては透過性であるが、オキシブチニンの通過に対しては実質的に不透過性である半透過性の高分子組成物を含んで成る壁;(2)上記区画室中の、オキシブチニンを含んで成るオキシブチニン層;(3)オキシブチニン組成物を上記デリバリーディバイスから押し出すために、大きさを拡大するために流体を吸収、吸着する浸透圧配合物から成る、上記区画室中のヒドロゲル推進層;(4)上記壁中にある、オキシブチニンを放出するための少なくとも1つの通路を含んで成る;(B)上記半透過性壁の透過性と、上記推進層を膨張させる、その半透過性壁を横断する浸透圧とで定まる流体吸収速度で流体をその半透過性壁を通して吸収する工程;及び(C)治療活性のあるオキシブチニンを上記デリバリーディバイスからその出口通路を通して温血動物に24時間までの長時間にわたって送り出す工程を含んで成る。オキシブチニンは抗痙攣治療のために本発明の方法により投与される。オキシブチニンは、非拘束神経因性及び反射性神経因性の膀胱障害を持つ患者に、排尿筋の非拘束性収縮の頻度を少なくし、かつ排尿の欲求を遅らせる高ベシュアル容量(vesual capacity)に資すために投与される。本発明の剤形は、神経因性膀胱障害の患者における逼迫性排尿、逼迫失禁、頻尿、夜間多尿及び失禁のような排尿と関連した症状の軽減目的に指示される。
【0041】
上記の開示から分かるように、本発明の剤形は薬物を経口ルートで投与する方法で使用することができ、またもう1つの方法では、その剤形は薬物を舌下ルートと頬側ルートで投与するためにその大きさと形状を調整することができる。舌下及び頬側ルートはより速やかな治療に使用することができ、またそれらは、即座の治療のためにより小用量が必要とされるときに使用することができる。後者の2つのルートは薬物を肝臓で代謝する第一パスのバイパスとして使用することができる。
【0042】
要約すると、認められるだろうように、本発明は、この技術分野に、実用性を有し、薬物を時間当たりの用量計量放出速度で投与することができる非自明の剤形を提供するものである。以上、本発明をその有効な態様を参照して詳細に説明、指摘したが、当業者であれば、種々の変更、修正、置換及び省略が本発明の精神から逸脱することなくなし得ることを理解されるであろう。従って、本発明はそれらの均等な態様も以下に述べられる請求の範囲内に包含することを意図するものである。
【0043】
本発明の好ましい態様は以下のようなものである。
1.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至150,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及び滑剤0.01mg乃至5mgを含んで成る治療用組成物。
2.オキシブチニンが酢酸塩、二酒石酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭酸塩、塩酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、メチル硝酸塩、ムチン酸塩、ナプシレート、硝酸塩、パモエート、パントテン酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩及び酒石酸塩より成る群から選ばれる治療上許容できる塩である、1に記載の治療用組成物。
3.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至450mg、分子量9,000乃至150,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及び滑剤0.01mg乃至5mgを含んで成る治療用層を、分子量3,000,000乃至8,000,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、オスマジェント10mg乃至50mg、分子量9,000乃至225,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース0.1mg乃至20mg、酸化防止剤0.0ng乃至1.5mg及び滑剤0.2mg乃至7mgを含んで成るヒドロゲル層と接触して含んで成る二層化錠剤。
4.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至150,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及び滑剤0.01mg乃至5mgを含んで成る治療用層を含む二層化錠剤にして、該層が分子量10,000乃至6,000,000のアルカリ・カルボキシメチルセルロース40mg乃至250mg、オスマジェント10mg乃至50mg、分子量9,000乃至225,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース0.1mg乃至20mg、分子量7,500乃至175,000のヒドロキシアルキルセルロース0.1mg乃至30mg、酸化防止剤0.0ng乃至1.5mg及び滑剤0.2mg乃至7mgを含んで成る推進層と接触している、上記の二層化錠剤。
5.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至250,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及びオスマジェント1mg乃至50mgを含んで成る層と、オスモポリマー40mg乃至250mg及びオスマジェント10mg乃至50mgを含んで成る接触層;それら層を包囲している、流体の通過に対しては透過性であるが、オキシブチニンの通過に対しては不透過性である半透過性の壁と、該半透過性壁を貫通する、オキシブチニンを患者に時間の経過に対して制御された速度で投与するための出口;を含んで成る、オキシブチニンを必要としている患者にオキシブチニンを投与するためのデリバリーディバイス。
6.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至250,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg、オスマジェント1mg乃至50mgを含んで成る薬物層と、分子量10,000乃至6,000,000のカルボキシメチルセルロース40mg乃至250mg及びオスマジェント10mg乃至50mgを含んで成る接触置換層;それら層を包囲している、流体の通過に対しては透過性であるが、オキシブチニンの通過に対しては不透過性である半透過性の壁と、該半透過性壁を貫通する、オキシブチニンを患者に時間の経過に対して制御された速度で投与するための出口;を含んで成る、オキシブチニンを必要としている患者にオキシブチニンを投与するためのデリバリーディバイス。
7.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至250,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg、オスマジェント1mg乃至50mgを含んで成る薬物層と、分子量3,000,000乃至8,000,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg及びオスマジェント10mg乃至50mgを含んで成る収縮性置換層;その層を包囲している、流体の通過に対しては透過性であるが、オキシブチニンの通過に対しては不透過性である半透過性の壁と、該半透過性壁を貫通する、オキシブチニンを患者に時間の経過に対して制御された速度で投与するための出口;を含んで成る、オキシブチニンを必要としている患者にオキシブチニンを投与するためのデリバリーディバイス。
【0044】
本発明の好ましい態様はまた、以下のようなものである。
1.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至150,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及び滑剤0.01mg乃至5mgを含んで成る治療用組成物。
2.オキシブチニンが酢酸塩、二酒石酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭酸塩、塩酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、メチル硝酸塩、ムチン酸塩、ナプシレート、硝酸塩、パモエート、パントテン酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩及び酒石酸塩より成る群から選ばれる治療上許容できる塩である、1に記載の治療用組成物。
3.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至450mg、分子量9,000乃至150,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及び滑剤0.01mg乃至5mgを含んで成る治療用層を、分子量3,000,000乃至8,000,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、浸透圧性溶質10mg乃至50mg、分子量9,000乃至225,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース0.1mg乃至20mg、酸化防止剤0.0ng乃至1.5mg及び滑剤0.2mg乃至7mgを含んで成るヒドロゲル層と接触して含んで成る二層化錠剤。
4.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至150,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及び滑剤0.01mg乃至5mgを含んで成る治療用層を含む二層化錠剤にして、該層が分子量10,000乃至6,000,000のアルカリ金属・カルボキシメチルセルロース40mg乃至250mg、オスマジェント10mg乃至50mg、分子量9,000乃至225,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース0.1mg乃至20mg、分子量7,500乃至175,000のヒドロキシアルキルセルロース0.1mg乃至30mg、酸化防止剤0.0ng乃至1.5mg及び滑剤0.2mg乃至7mgを含んで成る推進層と接触している、上記の二層化錠剤。
5.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至250,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及び浸透圧性溶質1mg乃至50mgを含んで成る層と、ヒドロゲル40mg乃至250mg及び浸透圧性溶質10mg乃至50mgを含んで成る接触層;それら層を包囲している、流体の通過に対しては透過性であるが、オキシブチニンの通過に対しては不透過性である半透過性の壁と、該半透過性壁を貫通する、オキシブチニンを患者に時間の経過に対して制御された速度で投与するための出口;を含んで成る、オキシブチニンを必要としている患者にオキシブチニンを投与するためのデリバリーディバイス。
6.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至250,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg、オスマジェント1mg乃至50mgを含んで成る薬物層と、分子量10,000乃至6,000,000のカルボキシメチルセルロース40mg乃至250mg及びオスマジェント10mg乃至50mgを含んで成る接触置換層;それら層を包囲している、流体の通過に対しては透過性であるが、オキシブチニンの通過に対しては不透過性である半透過性の壁と、該半透過性壁を貫通する、オキシブチニンを患者に時間の経過に対して制御された速度で投与するための出口;を含んで成る、オキシブチニンを必要としている患者にオキシブチニンを投与するためのデリバリーディバイス。
7.オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至250,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg、オスマジェント1mg乃至50mgを含んで成る薬物層と、分子量3,000,000乃至8,000,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg及びオスマジェント10mg乃至50mgを含んで成る収縮性置換層;その層を包囲している、流体の通過に対しては透過性であるが、オキシブチニンの通過に対しては不透過性である半透過性の壁と、該半透過性壁を貫通する、オキシブチニンを患者に時間の経過に対して制御された速度で投与するための出口;を含んで成る、オキシブチニンを必要としている患者にオキシブチニンを投与するためのデリバリーディバイス。
8.オキシブチニンとポリアルキレンオキシドを含んで成る層;ヒドロゲルと浸透圧性溶質を含んで成る層;それら層を包囲している半透過性の壁;及びオキシブチニンを患者に投与するための、該壁中の出口を含んで成る患者治療用剤形の失禁軽減のための使用。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば尿失禁治療のための有用な剤形が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシブチニン1ng乃至450mg、分子量200,000乃至300,000のポリアルキレンオキシド40mg乃至250mg、分子量9,000乃至150,000のヒドロキシプロピルアルキルセルロース1mg乃至25mg及びオスマジェント1mg乃至50mgを含んで成る治療用組成物。
【請求項2】
オキシブチニンが酢酸塩、二酒石酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭酸塩、塩酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、メチル硝酸塩、ムチン酸塩、ナプシレート、硝酸塩、パモエート、パントテン酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩及び酒石酸塩より成る群から選ばれる治療上許容できる塩である、特許請求の範囲第1項に記載の治療用組成物。




【公開番号】特開2007−197462(P2007−197462A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122013(P2007−122013)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【分割の表示】特願平8−535714の分割
【原出願日】平成8年5月8日(1996.5.8)
【出願人】(500215838)アルザ コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】