オストメイト用汚物流しユニット
【課題】汚物流し部が下降した場合でも排水管のためのスペースを別途必要としないオストメイト用汚物流しユニットを提供する。
【解決手段】前面に汚物流し部１１０を設けたパネルプレート１００と、前記パネルプレートを昇降させる昇降手段と、前記パネルプレートの昇降をガイドするガイド手段と、入れ子状に嵌め合わされ、かつ、互いに摺動自在な複数のパイプ部材を有する排水管と、可撓性を有し、両端部を前記汚物流し部と前記排水管とに接続可能な接続管と、を備えたことを特徴とするオストメイト用汚物流しユニット１が提供される。
【解決手段】前面に汚物流し部１１０を設けたパネルプレート１００と、前記パネルプレートを昇降させる昇降手段と、前記パネルプレートの昇降をガイドするガイド手段と、入れ子状に嵌め合わされ、かつ、互いに摺動自在な複数のパイプ部材を有する排水管と、可撓性を有し、両端部を前記汚物流し部と前記排水管とに接続可能な接続管と、を備えたことを特徴とするオストメイト用汚物流しユニット１が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人工肛門や人工膀胱などの保持者である「オストメイト」と呼ばれる人々のための汚物流しユニットに関する。
【背景技術】
【０００２】
人工肛門や人工膀胱などの保持者であるオストメイトと呼ばれる人々は、身体の腹部に排泄物（以下、汚物という）を溜めておくための袋、いわゆるパウチを装着しており、時折、トイレにおいて溜まった汚物を廃棄したり、パウチの内面や取出し口に付着した汚物を洗い流すなどの作業を行う必要がある。
【０００３】
ここで、このパウチを装着する位置や高さには個人差があり、パウチの装着高さと便器などの高さが同程度でないと前述の作業がしにくくなる。そのため、パウチの装着高さに応じてシンクを昇降させ、汚物を処理する技術が提案されている（特許文献１を参照）。
【０００４】
しかしながら、特許文献１に開示されている技術では、排出ホースのスペースについての考慮が全くされていなかった。そのため、シンクの下降の際に撓んだ排出ホースの処理のためのスペースが別途必要となり、装置の大型化を招くおそれがあった。
【特許文献１】特開２００３−５６０１８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、汚物流し部が下降した場合でも排水管のためのスペースを別途必要としないオストメイト用汚物流しユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の一態様によれば、前面に汚物流し部を設けたパネルプレートと、前記パネルプレートを昇降させる昇降手段と、前記パネルプレートの昇降をガイドするガイド手段と、入れ子状に嵌め合わされ、かつ、互いに摺動自在な複数のパイプ部材を有する排水管と、可撓性を有し、両端部を前記汚物流し部と前記排水管とに接続可能な接続管と、を備えたことを特徴とするオストメイト用汚物流しユニットが提供される。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、汚物流し部が下降した場合でも排水管のためのスペースを別途必要としないオストメイト用汚物流しユニットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
図１は、本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの背面側を説明するための模式図である。
図２は、本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの背面側を説明するための模式斜視図である。
【０００９】
図１に示すように、オストメイト用汚物流しユニット１の装置本体２００の内部には、昇降手段２４５、排水管４００、フラッシュバルブ２５０、電気温水器２７０、ホース１１２ａなどが設けられている。
尚、図１及び図２は、パネルプレート１００（汚物流し部１１０）が下降端にあるときを示している。
【００１０】
図３及び図４は、本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの正面側を説明するための模式斜視図である。
また、図５は、このオストメイト用汚物流しユニットを側面からみた模式図である。
これらの図に示すように、パネルプレート１００の前面には、汚物流し部１１０、温度・流量調整用レバー１３１、シャワー水栓１４０、棚１４１、水石けん用タンク１５０、洗浄ボタン２１１、トイレットペーパーホルダ２１２などが設けられている。また、正面の左上方には、上昇操作スイッチ２６０、下降操作スイッチ２６１が設けられている。
【００１１】
略矩形形状のパネルプレート１００は硬質樹脂などから成り、その前面には陶製の汚物流し部１１０が設けられている。また、パネルプレート１００の前面であって、汚物流し部１１０の直上には棚１４１が設けられている。棚１４１には、汚物流し部１１０に洗浄水を流したりパウチを洗浄したりするためのシャワー水栓１４０と、温度・流量調整用レバー１３１と、半固定鏡１５１とが設けられている。棚１４１の左側であって、汚物流し部１１０の直上には水石けん用タンク１５０が設けられている。パネルプレート１００の右側上方にはフラッシュバルブ２５０（図１参照）を作動させるための洗浄ボタン２１１が設けられ、その下方にはトイレットペーパーホルダ２１２が設けられている。
【００１２】
また、半固定鏡１５１の鏡の角度は可変可能となっている。尚、鏡を凸面鏡とすれば、映し出される範囲が大きくなるので鏡も小型ですみ、また、オストメイトの目の高さ、ストーマ位置に関係無く所望の視点からストーマ及びその近傍を見ることができるので、洗浄作業が更に行い易くなる。
【００１３】
略クランク形状の洗浄管１１２の一端は、汚物流し部１１０の上部側面に設けられた給水口１１０ａに接続されている。洗浄管１１２の他端はパネルプレート１００を貫通して装置本体２００の内部で、可撓性を有するホース１１２ａ（図１参照）によりフラッシュバルブ２５０（図１参照）と接続されている。フラッシュバルブ２５０（図１参照）が作動すると、洗浄管１１２を介して汚物流し部１１０に洗浄水が供給される。供給された洗浄水は、汚物流し部１１０の内面の上部全周に設けられたリム部の穴（図示せず）から汚物流し部１１０の内側面に流出して汚物が洗い流されるようになっている。
【００１４】
そして、これらパネルプレート１００の前面に設けられたものとパネルプレート１００とが一体的に昇降可能となっている。図３は、パネルプレート１００が上昇端にある場合を示し、図４は、パネルプレート１００が下降端にある場合を示している。
【００１５】
汚物流し部１１０は、汚物の洗浄がしやすいように上面が大きく開口され、リップ部１１１が設けられている。リップ部１１１は、オストメイトがこのリップ部１１１に腹部を押し当てて汚物処理を行うのに適した形状、すなわち、汚物処理中に汚物が漏出しても汚物が汚物流し部１１０の中に自然に入っていくのに適した形状となっている。また、汚物流し部１１０の下部に設けられた排水部１１０ｂには図示しない封水手段が設けられ、異臭の発生が防止できるようになっている。
【００１６】
リップ部１１１は、汚物流し部１１０の溢れ面を形成している。ここでいう溢れ面とは、排水部が詰まった時などに、汚物流し部１１０の外に汚水が流れ出す面のことである。このような溢れ面が形成されていると、排水部が詰まるという異常事態が起きても、汚水は溢れ面から外に流れ出し他の部分が汚れることを抑制することができる。本実施の形態においては、図５に示すように、汚物流し部１１０の上面形状が前面方向に下方傾斜しているため前面側にあるリップ部１１１の高さが上面では一番低くなり、リップ部１１１が溢れ面となる。そのため、排水部が詰まるという異常事態が起きても、汚水がパネルプレート１００側に流れ出ることがなく、装置本体２００の汚れを抑制することができる。
【００１７】
図６は、シャワー水栓１４０を説明するための模式斜視図である。
図６に示すように、シャワー水栓１４０には、ホース１４２と、水栓取り付け部１４４と、蛇口１４５とが設けられている。蛇口１４５は、水栓取り付け部１４４からホース１４２とともに引き出して使用することができ、洗浄水を所望の位置や向きで流出させることができる。蛇口１４５が水栓取り付け部１４４に装着されている状態では、洗浄水が汚物流し部１１０内に落下しやすいように、蛇口１４５は若干前向きに傾斜して設置されている。そのため、蛇口１４５が水栓取り付け部１４４に装着されているままでもパウチ内の洗浄がしやすいようになっている。また、蛇口１４５を引き出すことで、オストメイトが服を脱いでストーマやストーマ周辺を洗浄したり、汚物流し部１１０内部を局所的に洗浄したりすることがしやすいようになっている。
【００１８】
温度・流量調整用レバー１３１は、水道水と電気温水器２７０（図１参照）により加熱された水道水（湯）との混合水栓となっている。シャワー水栓１４０から流出する洗浄水の温度は、温度・流量調整用レバー１３１を左右にひねる量により調整可能となっている。また、洗浄水の流量は、温度・流量調整用レバー１３１の引き起こし量により調整可能となっている。
【００１９】
装置本体２００の外壁部は、例えば、木材から成る合板を用いて形成させることができる。ただし、甲板と呼ばれる天板２０１には、荷物や着替え等が載せられるようにある程度強度の高い樹脂製の合板を用いることが好ましい。また、装置本体２００の左側面の上部にはフック２２１が設けられており、帽子や衣類等を引っ掛けられるようになっている。 次に、図１に戻ってオストメイト用汚物流しユニット１の背面側、すなわち装置本体２００の内部の説明をする。
【００２０】
図１に示すように、装置本体２００の内部には、パネルプレート１００を昇降させるための昇降手段２４５が設けられている。昇降手段２４５に内蔵された昇降ロッド２４５ａの先端にはパネルプレート取り付け部３００が設けられ、パネルプレート取り付け部３００を介して昇降ロッド２４５ａとパネルプレート１００とが連結されている。昇降手段２４５には、例えば、図示しない水圧シリンダが内蔵されており、これも図示しないピストンが水圧により押し上げられることで昇降ロッド２４５ａが押し上げられ、パネルプレート１００が上昇するようになっている。尚、水圧シリンダの水圧を減ずれば（排水すれば）、パネルプレート１００が自重により下降するようになっている。
【００２１】
昇降ロッド２４５ａの断面形状は矩形であり、昇降ロッド２４５ａが挿入されている昇降手段２４５の穴部の断面形状もこれよりわずかに寸法が大きい矩形をしている。そのため、この穴部がガイド手段の役割を果たし、本実施の形態においては、ガイド手段と昇降手段２４５とが一体化されていることになる。このガイド手段（穴部）により、昇降ロッド２４５ａの回転方向と倒れ方向の動きが抑えられ、パネルプレート１００をほぼ直線的に昇降させることができるようになる。尚、昇降手段２４５の穴部の他にも補助的なガイド手段を設けるようにすることもできるし、昇降ロッドの断面形状を円形として別途ガイド手段を設けるようにすることもできる。
【００２２】
図７は、昇降動作部分の構成を説明するための模式図である。
前述したように、昇降手段２４５には図示しない水圧シリンダが内蔵されており、水圧シリンダには２ポート電磁弁２４７ａと２ポート電磁弁２４７ｂとが配管を介して接続されている。そのため、一次側水道水が２ポート電磁弁２４７ａを介して水圧シリンダに供給できるようになっており、また、水圧シリンダからの排水も２ポート電磁弁２４７ｂを介して行えるようになっている。パネルプレート１００を上昇させるための上昇操作スイッチ２６０と、パネルプレート１００を下降させるための下降操作スイッチ２６１は、コントローラ２６２に電気的に接続されており、また、２ポート電磁弁２４７ａと２ポート電磁弁２４７ｂもコントローラ２６２に電気的に接続されている。そのため、上昇操作スイッチ２６０または下降操作スイッチ２６１からの信号を受けたコントローラ２６２により２ポート電磁弁２４７ａまたは２ポート電磁弁２４７ｂが操作され、水圧シリンダへの給排水を制御して昇降手段２４５の昇降操作が行えるようになっている。
【００２３】
図８は、昇降操作を説明するための模式的なタイミングチャートである。
【００２４】
昇降手段２４５の昇降操作は、正面側に設けられた上昇操作スイッチ２６０や下降操作スイッチ２６１により行う。図８に示すように、図示しない水圧シリンダは、上昇操作スイッチ２６０が押されている間だけ上昇し、下降操作スイッチ２６１を意識的に操作者が押している間だけ下降するようになっており、操作者による昇降動作中に汚物流し部１１０等による人体や物体の挟み込みが生じ難いようになっている。さらに、これらスイッチはタッチレススイッチであり、図示しない人体検知手段もしくは動作検知手段へ手をかざすだけで昇降を行えるようになっており衛生的である。タッチレススイッチで使用する人体検知手段もしくは動作検知手段としては赤外線、ミリ波、マイクロ波、静電容量式等を利用したものがあげられる。安全性に関しては、汚物流し部１１０の下方において汚物流し部１１０の下部、もしくは汚物流し部１１０の下方付近のパネルプレート１００に図示しないテープスイッチ等の物体検知手段が設けられ、汚物流し部１１０の下方に物体を検知している間は下降しないように制御的工夫がされている。また、上昇端と下降端は図示しない検出手段で検出してもよいし、タイマーなどにより時間で制御してもよい。
【００２５】
ここで、水圧シリンダは洗浄水として使用する一次側水道水の水圧をそのまま利用して昇降動作をさせるようにすることもできるが、これに限定されるわけではない。例えば、ポンプ等を用いて圧力を印加するようにしてもよいし、圧力調整弁を設けて圧力を調整するようにしてもよい。また、水圧シリンダへの水の供給、停止、排水は２ポート電磁弁２４７ａ、２４７ｂ（図１、図７参照）により行われる。電磁弁２４７ａ（図１、図７参照）により、水圧シリンダへ水が供給されれば、パネルプレート１００を上昇させることができる。２ポート電磁弁２４７ｂを閉止することで水の供給を停止させればパネルプレート１００の昇降位置を保持することができる。そして、２ポート電磁弁２４７ａを閉止し、２ポート電磁弁２４７ｂを開にして水を排出させれば、パネルプレート１００を下降させることができる。水圧シリンダからの排水は、図示しない配管を介して装置本体２００の外部に排出される。尚、昇降は水圧シリンダに限られず、電動モータと減速機構を組み合わせたもの、エアシリンダ、油圧シリンダなどを用いるようにしてもよい。
【００２６】
また、装置本体２００の内部には、汚物流し部１１０からの汚物を洗浄水とともに装置本体２００の外部に排出するための排水管４００が設けられている。排水管４００の一端は汚物流し部１１０の下部に設けられた排水部１１０ｂ（図３参照）に接続され、他端は外部排出口Ｄに接続されている。尚、外部排出口Ｄは、装置本体２００が設置される施設側に設けてもよい。排水管４００の構成などの詳細は後述することにする。
【００２７】
装置本体２００の内部の上方には、電気温水器２７０が設けられている。電気温水器２７０は、冬場の身体洗浄という観点や汚物の洗浄性という観点からも設けられていた方が好ましい。電気温水器２７０は、昇降手段２４５の上方に設けることもできるが、昇降ロッド２４５ａの上昇により残余のスペースが少なくなること、少ないスペースでの配管や配線が煩雑となり、また、配管・配線の作業性も悪いことなどを考慮すれば、昇降手段２４５の上方を避けて設けるようにすることが好ましい。
【００２８】
また、装置本体２００に設けられる電気温水器２７０は、パネルプレート１００の昇降動作に追従できるように、可撓性を有するホースで温度・流量調整用レバー１３１と接続されている。
【００２９】
また、電気温水器２７０の膨張水の排出方法として、装置本体２００の内部に吐水口空間を設け、トラップを介して膨張水の排出管を排水管４００に接続させるようにすることもできる。そのようにすれば、汚物流し部１１０に膨張水の排出管を別途設ける必要がなくなり、洗浄用途の水栓との混同をも防止することができる。
【００３０】
装置本体２００の内部の右上方部にはフラッシュバルブ２５０が設けられており、フラッシュバルブ２５０には、図示しないバキュームブレーカが設けられている。フラッシュバルブ２５０は、汚物流し部１１０に付着した汚物を一次側水道水の水圧を利用して一気に洗い流すためのものであり、洗浄ボタン２１１を押すことで、洗浄水が洗浄管１１２を介して汚物流し部１１０の内面上部全周に形成されたリム部の穴（図示せず）から汚物流し部１１０の内側面全体にわたって一定時間流出するようになっている。ここで、洗浄管１１２とフラッシュバルブ２５０とが可撓性を有するホース１１２ａで接続されているため、パネルプレート１００が昇降してもホース１１２ａが撓みその接続を維持することができるようになっている。このようにすれば、フラッシュバルブ２５０を装置本体２００内に固定することができるようになり、パネルプレート１００の昇降動作に関わらず一次側水道水の配管２５２を固定管（例えば、硬質樹脂製の管）とすることができ、常に水圧がかかる一次側水道水の配管２５２の信頼性を向上させることができる。
【００３１】
また、バキュームブレーカは、汚物流し部１１０が上昇端位置にあるときに汚物流し部１１０のリップ部１１１よりも上方に位置するように設けられている。そのため、汚水がバキュームブレーカの空気取り入れ口から侵入したり、上流側（水道水側）が汚水で汚されたりすることを確実に防ぐことができる。バキュームブレーカとしては、スイング弁を用いたものやダックビルを用いたものなどを採用することができる。
【００３２】
また、装置本体２００の内部には、一次側水道水の配管を温度・流量調整用レバー１３１などと接続するための可撓性を有するホース（図示せず）や、その他の配管・配線部材などが収容されている。
【００３３】
次に、排水管４００の説明をする。
図９は、排水管４００を説明するための模式斜視図であり、左側の図は汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき（排水管４００が縮んだとき）、中央の図は汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき（排水管４００が伸びたとき）を示している。また、右側の図はスライド部の詳細を示す模式断面図である。
【００３４】
排水管４００は、略Ｌ字状をした第１のパイプ部材４００ａと、第１のパイプ部材４００ａの外径よりわずかに大きな内径を有する第２のパイプ部材４００ｂと、第２のパイプ部材４００ｂの外径よりわずかに大きな内径を有する第３のパイプ部材４００ｃと、を備えている。
【００３５】
第１のパイプ部材４００ａの一端には、可撓性を有する接続管４０１が設けられ、他の一端は第２のパイプ部材４００ｂに嵌め合わされている。第２のパイプ部材４００ｂの他の一端は第３のパイプ部材４００ｃに嵌め合わされ、第３のパイプ部材４００ｃの他の一端は外部排出口Ｄに接続されている。このように、各パイプ部材は入れ子状に嵌め合わされ、かつ、互いに摺動自在となっている。そのため、一のパイプ部材を他のパイプ部材に対して軸方向に摺動させることにより排水管４００の全長寸法を変化させることができ、汚物流し部１１０が下降した場合でも排水管のためのスペースが別途必要となることがないようになっている。
【００３６】
また、図９の右側の図に示すように、パイプ部材の端面に、互いに当接させることにより抜けを防止するストッパ４００ｄを設けるようにすることもできる。
【００３７】
シール部材４０２は、各パイプ部材の摺動面に設けられ、摺動時に内側のパイプ部材と外側のパイプ部材との間の隙間をシールするようになっている。尚、シール部材４０２は、内側パイプ部材または外側パイプ部材に設けられた溝４０２ａに取り付けられる。尚、例示したものは、内側パイプ部材に設けた場合であるが、外側パイプ部材に設けてもよい。このシール部材４０２により、汚物や洗浄水、臭いなどがパイプ部材の外部に漏れることが抑制される。
【００３８】
第１のパイプ部材４００ａ、第２のパイプ部材４００ｂ、第３のパイプ部材４００ｃの材質は、耐食性、強度、軽量性などを考慮して、例えば、硬質樹脂などとすることができる。可撓性を有する接続管４０１も軟質樹脂などとすることもできるが、後述する芯ズレ補正作用を重視すれば、蛇腹管を用いることが好ましい。
【００３９】
図９の右側の図に例示したシール部材４０２は、ゴムなどの弾性材料からなり、断面が略Ｘ字形状をしたものである。このような断面形状を有するシール部材４０２は、少ないつぶししろでも良好なシール性を有し、始動、運動摩擦とも小さく、ねじりにも強いので、本実施の形態に係る排水管４００に用いるのに好適である。ただし、これに限定されるわけではなく、断面が略Ｏ字形状をしたもの、略Ｄ字形状をしたもの、略Ｔ字形状をしたものなどであってもよい。
【００４０】
尚、パイプ部材の数は図示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【００４１】
図１０は、排水管４００の取り付けを説明するための模式図である。
また、図１１は、排水管４００の伸縮状態を説明するための模式図であり、左側の図は排水管４００が縮んだとき（汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき）、右側の図は排水管４００が伸びたとき（汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき）を示している。
【００４２】
図１０に示すように、可撓性を有する接続管４０１を介して、第１のパイプ部材４００ａと汚物流し部１１０の下部に設けられた排水部１１０ｂとが接続されている。そして、排水管４００の伸縮作用により、汚物流し部１１０が上昇端位置と下降端位置との間のいかなる位置にあっても、汚物を洗浄水とともに確実に排出できるようになっている。
【００４３】
ここで、オストメイトがパウチを装着する高さには大きな個人差があるため、汚物流し部１１０の昇降寸法も通常の高さ調整式の便器などと比べてかなり大きなものとなる。そのため、特許文献１に開示されている技術のように、単に可撓性を有する排出ホースを用いるだけでは、下降時に撓んだ排出ホースを邪魔にならないよう処理することができず、結局は別途スペースが必要になるなどの不都合が生じる。
【００４４】
これに対し、前述したように、本実施の形態に係る排水管４００は、別途スペースを必要とすることなく大きな昇降寸法にも対応することができる。そのため、装置の小型化が図れ、駅のトイレや街の公衆トイレなどの比較的狭いスペースしか確保できないような場所にも設置が可能となる。
【００４５】
図１２は、芯ズレ補正を説明するための模式図であり、左側の図は排水管４００をオストメイト用汚物流しユニット１に取り付けた状態を示し、右側の図は芯ズレ補正の様子を示したものである。
図１２に示すように、第３のパイプ部材４００ｃの一端が接続される外部排出口Ｄは、装置本体２００が設置される施設側に設けられる場合がある。この場合、施行工事の精度によっては設計上の寸法から狂いが生じる場合がある。このような寸法の狂い（芯ズレ）の影響は、パイプ部材の倒れなどとあいまって昇降寸法が大きくなるほど顕著となり、摺動抵抗の増大による円滑な動作の阻害原因となり、場合によっては昇降動作に追従できず排水管４００が破損するなどの不都合を生じるおそれもある。
【００４６】
本実施の形態に係る排水管４００においては、可撓性を有する接続管４０１を介して、第１のパイプ部材４００ａと汚物流し部１１０の下部に設けられた排水部１１０ｂとが接続されている。そのため、図１２の右側の図に示したように、芯ズレ量分だけ接続管４０１が撓んで芯ズレの補正をすることができ、円滑な昇降動作をさせることが可能となる。ここで、狭いスペースで大きな芯ズレ量にも対応できようにすることを考慮すれば、接続管４０１には撓み性に優れた蛇腹管を用いることが好ましい。尚、芯ズレ量が無視できる程度であれば、接続管４０１を省略することもできる。
【００４７】
また、本実施の形態では、第１のパイプ部材４００ａと排水部１１０ｂとの間に接続管４０１を設けるようにしたが、これに限定されるわけではなく、外部排出口Ｄと第３のパイプ部材４００ｃとの接続部分、各パイプ部材や各パイプ部材間などに設けるようにすることもできる。
【００４８】
図１３及び図１４は、接続管４０１を設けた排水管４００の昇降時の状態を説明するための模式図である。
図１３の左側の図は、汚物流し部１１０が下降端位置にあるときの様子を示し、右側の図は下降端側から上昇しているときの様子を示している。
また、図１４の左側の図は、汚物流し部１１０が上昇端位置にあるときの様子を示し、右側の図は上昇端側から下降しているときの様子を示している。
図１３及び図１４に示すように、芯ズレ量などによっては排水管４００の各パイプ部材の摺動抵抗が大きくなり、汚物流し部１１０の昇降に排水管４００の伸縮が追従できず、接続管４０１が上下方向に変形する場合がある。この場合、大きな変形が起こった場合や繰り返し変形を受けたような場合には、接続管４０１が破損するおそれがある。
【００４９】
本発明者は、検討の結果、芯ズレ量などが大きく接続管４０１の変形が大きくなるような場合であっても、接続管４０１を保持する保持手段を設けるようにすれば、昇降時の接続管４０１の変形を抑え、破損などを抑制することができるとの知見を得た。
【００５０】
図１５は、保持手段の一例を説明するための模式斜視図である。
図１６は、図１５で例示をした保持手段の模式斜視拡大図である。
図１５及び図１６に示すように、可撓性を有する接続管４０１の上側には第２の保持手段４０８ａが、下側には第１の保持手段４０９ａが設けられている。第２の保持手段４０８ａ、第１の保持手段４０９ａは、略Ｌ字状断面を有する板状部材であり、パネルプレート１００に設けられた取り付け板３００にボルトなどで取り付けられている。本具体例においては、第２の保持手段４０８ａの当接面Ａ１、第１の保持手段４０９ａの当接面Ｂ１は平坦である。また、当接面Ａ１と当接面Ｂ１との間の寸法Ｌ１は、接続管４０１の外径寸法より大きくなっている。そのため、上昇時には第１の保持手段４０９ａの当接面Ｂ１のみが接続管４０１と当接し、下降時には第２の保持手段４０８ａの当接面Ａ１のみが接続管４０１と当接することになり、無理な力が接続管４０１に加わることを抑制することができる。尚、当接面間の寸法Ｌ１は、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５１】
図１７は、保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
図１７に示すように、可撓性を有する接続管４０１の上側には第２の保持手段４０８ｂが、下側には第１の保持手段４０９ｂが設けられている。図１６で説明をした保持手段と本具体例とでは、当接面Ａ２、当接面Ｂ２の形状が異なる。図１７に示すように、当接面Ａ２、当接面Ｂ２は接続管４０１の直径方向に所定の曲率を持った曲面となっている。そのため、接続管４０１が曲面の頂点位置に誘導され自動的に位置決めと保持ができるようになっている。また、当接面Ａ２の頂点位置（当接が起こる部分）と当接面Ｂ２の頂点位置（当接が起こる部分）との間の寸法Ｌ２は、接続管４０１の外径寸法より大きくなっている。そのため、本具体例においても、昇降時に無理な力が接続管４０１に加わることを抑制することができる。尚、当接面間の寸法Ｌ２は、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５２】
また、当接面Ａ２、当接面Ｂ２が有する曲率も適宜選択が可能である。例えば、前述した頂点位置への誘導性を高めるためには曲率半径を小さくすればよいし、昇降時に接続管４０１にかかる力を軽減させたい場合は曲率半径を大きくすればよい。尚、頂点位置への誘導性を重視して、頂点位置を中心とした斜面を有する当接面（Ｖ字状の当接面）とすることもできる。
【００５３】
図１８は、保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
図１８に示すように、可撓性を有する接続管４０１の上側には第２の保持手段４０８ｃが、下側には第１の保持手段４０９ｃが設けられている。図１６で説明をした保持手段と本具体例とでは、当接面Ａ３、当接面Ｂ３の幅方向両端面に、立ち上がり部４０８ｃ１、立ち上がり部４０９ｃ１がそれぞれ設けられていることが異なる。そのため、接続管４０１の左右方向振動時に、接続管４０１と立ち上がり部４０８ｃ１、立ち上がり部４０９ｃ１とを当接させて振動を抑制することができる。また、当接面Ａ３と当接面Ｂ３との間の寸法Ｌ３は、接続管４０１の外径寸法より大きくなっている。そのため、本具体例においても、昇降時に無理な力が接続管４０１に加わることを抑制することができる。尚、当接面間の寸法Ｌ３は、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５４】
また、それぞれの立ち上がり部間の幅方向寸法Ｗ１も適宜選択が可能である。例えば、立ち上がり部間の幅方向寸法Ｗ１を接続管４０１の外径寸法に近づければ、前述の振動抑制効果を高めることができる。
【００５５】
図１９は、保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
図１９に示すように、可撓性を有する接続管４０１の上側には第２の保持手段４０８ｄが、下側には第１の保持手段４０９ｄが設けられている。図１６で説明をした保持手段と本具体例とでは、第２の保持手段４０８ｄと第１の保持手段４０９ｄとが弾性体材料からなることが異なる。そのため、接続管４０１に第２の保持手段４０８ｄと第１の保持手段４０９ｄとを当接させても、昇降時に無理な力が接続管４０１に加わることがない。また、図１９に示すように、第２の保持手段４０８ｄと第１の保持手段４０９ｄとの先端部に、互いに近接する方向に働く弾性力を付与する手段４１１（例えば、ゴムバンドなど）を設ければ、保持力が弱くなる先端部の補助をすることができる。尚、弾性力を付与する手段４１１はコイルバネを巻き付けるようにしたものであってもよい。また、接続管４０１と第２の保持手段４０８ｄ、第１の保持手段４０９ｄとを当接させず隙間を設けるようにしたものであってもよい。また、第２の保持手段４０８ｄ、第１の保持手段４０９ｄ、弾性力を付与する手段４１１の弾性力は、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５６】
図２０は、保持手段の他の具体例を説明するための模式断面図であり、図１６で説明をした第２の保持手段４０８ａ、第１の保持手段４０９ｄの幅方向中央部の断面を示している。 本具体例においては、図１６で説明をした第２の保持手段４０８ａの当接面Ａ１、第１の保持手段４０９ｄの当接面Ｂ１に弾性部材４１０が設けられている。そのため、昇降時における接続管４０１の保護をさらに図ることができる。この場合、弾性部材４１０の表面（第２の保持手段４０８ａ、第１の保持手段４０９ｄに設ける側とは反対側の面）が当接面となる。尚、弾性部材４１０の材質としては、ゴムやスポンジなどの軟質性樹脂材料を例示することができる。その場合、弾性部材４１０の厚さや硬さなどは適宜選択することができる。また、図１７〜図１９で説明をした各保持手段に弾性部材４１０を設けるようにすることもできる。
図２１は、保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
図２１に示すように、排水管４００の最上部の（最も内側に嵌め合わされた）パイプ部材４００ａの外周面には上下寸法（高さ寸法）がＬ４の突部４０５が設けられている。また、突部４０５の上側には上部保持手段４０８ｅが、下側には下部保持手段４０９ｅが、排水管４００の垂直部を挿通するようにして設けられている。上部保持手段４０８ｅ、下部保持手段４０９ｅは、突部４０５と当接するように設けられ、上部保持手段４０８ｅと下部保持手段４０９ｅとの間の寸法は突部４０５の上下寸法（高さ寸法）Ｌ４より大きくなっている。また、排水管４００の垂直部が挿通される部分の寸法Ｗは、排水管４００の垂直部の外径寸法より大きく、突部４０５の外径寸法より小さくなっている。そのため、上昇時には下部保持手段４０９ｅと突部４０５の下面のみが当接し、下降時には上部保持手段４０８ｅと突部４０５の上面のみが当接することになり、無理な力が排水管４００の垂直部や接続管４０１に加わることを抑制することができる。尚、突部４０５の寸法や寸法Ｗなどは、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５７】
図２２は、排水管４００に設けられた清掃手段を説明するための模式図であり、左側の図は汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき（排水管４００が縮んだとき）、中央の図は汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき（排水管４００が伸びたとき）を示している。また、右側の図はスライド部の詳細を示す模式断面図である。
【００５８】
図７で説明をしたものと本具体例とでは、パイプ部材（右側の図で説明をするものでは、パイプ部材４００ｂ、パイプ部材４００ｃ）の端面に、パイプ部材の外側を清掃するための清掃手段４１２ａと、パイプ部材の内側を清掃するための清掃手段４１２ｂとが設けられていることが異なる。そのため、本具体例においては、パイプ部材４００ａ、パイプ部材４００ｂ、パイプ部材４００ｃの昇降時に各パイプ部材に付着した汚物が掻き落とされ、昇降時における各パイプ部材の動作不良や臭いの発生の抑制、シール部材４０２の保護などを図ることができる。特に、パイプ部材の内側を清掃するための清掃手段４１２ｂを設けるようにすれば、付着した汚物がパイプ部材内に掻き落とされ外部排出口Ｄから装置の外部に排出されるので、衛生面からも好適である。清掃手段４１２ａ、清掃手段４１２ｂはゴムなどの弾性体材料からなるが、弾性力付与のための金属板やバネなども別途設けることができる。また、その形状も図２２に例示をしたリング状のものに限定されるわけではなく、リップ部４１２ｃがパイプ部材と当接するようなものであればよい。
【００５９】
図２３は、排水管伸縮部のカバーを説明するための模式図であり、左側の図は汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき（排水管４００が縮んだとき）、右側の図は汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき（排水管４００が伸びたとき）を示している。
本具体例では、図２３に示すように、排水管４００の伸縮部を覆うようにカバー４１３が設けられている。カバー４１３は蛇腹管や可撓性材料からなる伸縮自在の管状部材であり、その両端が排水管４００の伸縮部分の最上段のパイプ部材（図示したものでは、パイプ部材４００ａ）と最下段のパイプ部材（図示したものでは、パイプ部材４００ｃ）に固定されている。そのため、パイプ部材内部からの臭いなどが外部に漏れるのを抑制するとともに、外部からの異物がパイプ部材に付着することで生じる昇降動作不良をも抑制することができる。
【００６０】
図２４は、排水管の補強について説明をするための模式斜視図であり、左側の図は汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき（排水管４００が縮んだとき）、右側の図は汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき（排水管４００が伸びたとき）を示している。
【００６１】
排水管４００を昇降させる場合には、パイプ部材４００ａの曲部Ｃの応力が最も大きくなる。そのため、この部分の肉厚を厚くしたり、この部分に金属などの高剛性の材料を使用したりして補強することが好ましい。また、図２５に示すように、曲部Ｃに板状のリブ４１４を設けるようにすることもできる。
【００６２】
次に、オストメイト用汚物流しユニット１の作用について説明をする。オストメイト用汚物流しユニット１は駅のトイレや街の公衆トイレなどのパブリックスペースに設置され、不特定のオストメイトに利用されるものである。
【００６３】
ここで、前述したような排水管が設けられている本実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニット１は、ユニット自体の外径寸法が小さいので、比較的狭いスペースしか確保できないような場所にも設置が可能となる。
このオストメイト用汚物流しユニット１をオストメイトが使用する際には、ジャケットなどの衣類をフック２２１に引っ掛けるとともに、荷物や着替えをユニット上面の天板２０１上に載せておくことができる。
【００６４】
まず、昇降手段２４５により汚物流し部１１０を昇降させて、リップ部１１１の高さが適切となるように汚物流し部１１０の高さを調整する。例えば、オストメイトのストーマのすぐ下にリップ部１１１がくるように汚物流し部１１０の高さを調整する。
尚、汚物流し部１１０の高さの調整は、図示しない操作スイッチなどを操作することにより行う。
【００６５】
本実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニット１においては、前述した可撓性を有する接続管４０１、図１５〜図２１で説明をした保持手段、図２２で説明をした清掃手段、図２３で説明をした排水管伸縮部のカバー、図２４と図２５で説明をしたパイプ部材曲部の補強の作用により円滑な昇降動作を行うことができ、また、破損、異臭の発生、汚物や洗浄水の漏れなどを抑制することができる。そのため、駅のトイレや街の公衆トイレなどのパブリックスペースにおける公衆衛生の向上に寄与することもできる。
【００６６】
オストメイトは、汚物流し部１１０を最適な高さまで昇降させた後に、身体に装着していたパウチを外して、図６に示したようにシャワー水栓１４０からの洗浄水でこのパウチの内部を洗浄したり、ストーマ及びその周辺を洗浄したりする。この際、半固定鏡１５１を用いてストーマ及びその周辺を見ながら洗浄を行うことができるし、冬場などにおいては、シャワー水栓１４０から所望の温度の洗浄水を流すこともできる。また、水石けん用タンク１５０から水石けんを出して、手やパウチなどの洗浄を行うこともできるので、衛生上の観点からも好ましい。
【００６７】
また、前述したように、蛇口１４５を引き出さない状態での吐水方向が、汚物流し部１１０の内壁部に向かうようになっているため、汚物流し部１１０の内壁部が常に洗い流され衛生上の観点からも好ましい。
【００６８】
こうした汚物処理動作を行っている最中に、例えば、汚物がストーマから勢い良く飛び出したり、パウチ内やストーマ廻りの汚物の量、状態、洗い方などによっては汚物が周囲に飛び散ったりして、不本意にも周辺を汚してしまうことがあるが、シャワー水栓１４０は汚物流し部１１０より上方に配置されているので、このような場合であっても汚物がシャワー水栓１４０に付着することはなく、衛生性を確保することができる。
【００６９】
次に、シャワー水栓１４０を用いてストーマ及びその周辺を洗った後、トイレットペーパーなどでストーマやその周辺に付いた洗浄水を拭き取り、新しいパウチをストーマに装着する。
次に、洗浄水をシャワー水栓１４０から流出させると同時に、または、その後に、洗浄ボタン２１１を押してフラッシュバルブ２５０を作動させて汚物流し部１１０の内壁面を洗い流すとともに、排水管４００を介して汚物をユニットの外部に一気に排出させる。
【００７０】
尚、これら一連の作業において必要となるもの、例えば、温度・流量調整用レバー１３１、シャワー水栓１４０、水石けん用タンク１５０、半固定鏡１５１、洗浄ボタン２１１、トイレットペーパーホルダ２１２なども汚物流し部１１０と共に昇降するため、オストメイトにとって使い易いシステムとなっている。
【００７１】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
前述の具体例に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【００７２】
例えば、オストメイト用汚物流しユニット１、パネルプレート１００、汚物流し部１１０、給水口１１０ａ、排水部１１０ｂ、リップ部１１１、洗浄管１１２、ホース１１２ａ、温度・流量調整用レバー１３１、シャワー水栓１４０、棚１４１、ホース１４２、水栓取り付け部１４４、蛇口１４５、水石けん用タンク１５０、半固定鏡１５１、装置本体２００、天板２０１、洗浄ボタン２１１、トイレットペーパーホルダ２１２、フック２２１、昇降手段２４５、昇降ロッド２４５ａ、２ポート電磁弁２４７ａ、２ポート電磁弁２４７ｂ、フラッシュバルブ２５０、配管２５２、上昇操作スイッチ２６０、下降操作スイッチ２６１、コントローラ２６２、電気温水器２７０、パネルプレート取り付け部３００、排水管４００、パイプ部材４００ａ、パイプ部材４００ｂ、パイプ部材４００ｃ、ストッパ４００ｄ、接続管４０１、シール部材４０２、溝４０２ａ、突部４０５、第２の保持手段４０８ａ〜４０８ｅ、第１の保持手段４０９ａ〜４０９ｅ、立ち上がり部４０８ｃ１、立ち上がり部４０９ｃ１、弾性部材４１０、弾性力を付与する手段４１１、清掃手段４１２ａ、清掃手段４１２ｂ、リップ部４１２ｃ、カバー４１３、当接面Ａ１〜Ａ３、当接面Ｂ１〜Ｂ３などの形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。具体的には、例えば、汚物流し部１１０の材質は陶製の代わりに硬質樹脂等であってもよい。
【００７３】
また、外部排出口Ｄの位置も例示したものに限定されるわけではなくオストメイト用汚物流しユニットが設置される施設に合わせて適宜変更することができる。例えば、外部排出口Ｄを左側、昇降手段を右側に設けるようにしたものであってもよい。
また、パネルプレート１００は厳密な意味で垂直方向に昇降する必要はなく、垂直に近い斜め方向に昇降してもよい。
【００７４】
また、オストメイト用汚物流しユニット１にシャワー水栓１４０以外の固定水栓を設けるようにしてもよい。
また、前述した各具体例が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【００７５】
【図１】本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの背面側を説明するための模式図である。
【図２】本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの背面側を説明するための模式斜視図である。
【図３】本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの正面側を説明するための模式斜視図である。
【図４】本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの正面側を説明するための模式斜視図である。
【図５】オストメイト用汚物流しユニットを側面からみた模式図である。
【図６】シャワー水栓を説明するための模式斜視図である。
【図７】昇降動作部分の構成を説明するための模式図である。
【図８】昇降操作を説明するための模式的なタイミングチャートである。
【図９】排水管を説明するための模式斜視図である。
【図１０】排水管の取り付けを説明するための模式図である。
【図１１】排水管の伸縮状態を説明するための模式図である。
【図１２】芯ズレ補正を説明するための模式図である。
【図１３】パイプ部材を設けた排水管の昇降時の状態を説明するための模式図である。
【図１４】パイプ部材を設けた排水管の昇降時の状態を説明するための模式図である。
【図１５】保持手段の一例を説明するための模式斜視図である。
【図１６】図１５で例示をした保持手段の模式斜視拡大図である。
【図１７】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図１８】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図１９】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図２０】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図２１】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図２２】排水管に設けられた清掃手段を説明するための模式図である。
【図２３】排水管伸縮部のカバーを説明するための模式図である。
【図２４】排水管の補強について説明をするための模式斜視図である。
【図２５】パイプ部材の曲部に板状のリブを設けることを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【００７６】
１ オストメイト用汚物流しユニット、１００ パネルプレート、１１０ 汚物流し部、４００ 排水管、４００ａ パイプ部材、４００ｂ パイプ部材、４００ｃ パイプ部材、４０１ 接続管、４０２ シール部材、４０２ａ 溝、４０５ 突部、４０８ａ〜４０８ｅ 保持手段、４０９ａ〜４０９ｅ 保持手段、４１２ａ 清掃手段、４１２ｂ 清掃手段、４１２ｃ リップ部、４１３ カバー
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人工肛門や人工膀胱などの保持者である「オストメイト」と呼ばれる人々のための汚物流しユニットに関する。
【背景技術】
【０００２】
人工肛門や人工膀胱などの保持者であるオストメイトと呼ばれる人々は、身体の腹部に排泄物（以下、汚物という）を溜めておくための袋、いわゆるパウチを装着しており、時折、トイレにおいて溜まった汚物を廃棄したり、パウチの内面や取出し口に付着した汚物を洗い流すなどの作業を行う必要がある。
【０００３】
ここで、このパウチを装着する位置や高さには個人差があり、パウチの装着高さと便器などの高さが同程度でないと前述の作業がしにくくなる。そのため、パウチの装着高さに応じてシンクを昇降させ、汚物を処理する技術が提案されている（特許文献１を参照）。
【０００４】
しかしながら、特許文献１に開示されている技術では、排出ホースのスペースについての考慮が全くされていなかった。そのため、シンクの下降の際に撓んだ排出ホースの処理のためのスペースが別途必要となり、装置の大型化を招くおそれがあった。
【特許文献１】特開２００３−５６０１８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、汚物流し部が下降した場合でも排水管のためのスペースを別途必要としないオストメイト用汚物流しユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の一態様によれば、前面に汚物流し部を設けたパネルプレートと、前記パネルプレートを昇降させる昇降手段と、前記パネルプレートの昇降をガイドするガイド手段と、入れ子状に嵌め合わされ、かつ、互いに摺動自在な複数のパイプ部材を有する排水管と、可撓性を有し、両端部を前記汚物流し部と前記排水管とに接続可能な接続管と、を備えたことを特徴とするオストメイト用汚物流しユニットが提供される。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、汚物流し部が下降した場合でも排水管のためのスペースを別途必要としないオストメイト用汚物流しユニットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
図１は、本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの背面側を説明するための模式図である。
図２は、本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの背面側を説明するための模式斜視図である。
【０００９】
図１に示すように、オストメイト用汚物流しユニット１の装置本体２００の内部には、昇降手段２４５、排水管４００、フラッシュバルブ２５０、電気温水器２７０、ホース１１２ａなどが設けられている。
尚、図１及び図２は、パネルプレート１００（汚物流し部１１０）が下降端にあるときを示している。
【００１０】
図３及び図４は、本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの正面側を説明するための模式斜視図である。
また、図５は、このオストメイト用汚物流しユニットを側面からみた模式図である。
これらの図に示すように、パネルプレート１００の前面には、汚物流し部１１０、温度・流量調整用レバー１３１、シャワー水栓１４０、棚１４１、水石けん用タンク１５０、洗浄ボタン２１１、トイレットペーパーホルダ２１２などが設けられている。また、正面の左上方には、上昇操作スイッチ２６０、下降操作スイッチ２６１が設けられている。
【００１１】
略矩形形状のパネルプレート１００は硬質樹脂などから成り、その前面には陶製の汚物流し部１１０が設けられている。また、パネルプレート１００の前面であって、汚物流し部１１０の直上には棚１４１が設けられている。棚１４１には、汚物流し部１１０に洗浄水を流したりパウチを洗浄したりするためのシャワー水栓１４０と、温度・流量調整用レバー１３１と、半固定鏡１５１とが設けられている。棚１４１の左側であって、汚物流し部１１０の直上には水石けん用タンク１５０が設けられている。パネルプレート１００の右側上方にはフラッシュバルブ２５０（図１参照）を作動させるための洗浄ボタン２１１が設けられ、その下方にはトイレットペーパーホルダ２１２が設けられている。
【００１２】
また、半固定鏡１５１の鏡の角度は可変可能となっている。尚、鏡を凸面鏡とすれば、映し出される範囲が大きくなるので鏡も小型ですみ、また、オストメイトの目の高さ、ストーマ位置に関係無く所望の視点からストーマ及びその近傍を見ることができるので、洗浄作業が更に行い易くなる。
【００１３】
略クランク形状の洗浄管１１２の一端は、汚物流し部１１０の上部側面に設けられた給水口１１０ａに接続されている。洗浄管１１２の他端はパネルプレート１００を貫通して装置本体２００の内部で、可撓性を有するホース１１２ａ（図１参照）によりフラッシュバルブ２５０（図１参照）と接続されている。フラッシュバルブ２５０（図１参照）が作動すると、洗浄管１１２を介して汚物流し部１１０に洗浄水が供給される。供給された洗浄水は、汚物流し部１１０の内面の上部全周に設けられたリム部の穴（図示せず）から汚物流し部１１０の内側面に流出して汚物が洗い流されるようになっている。
【００１４】
そして、これらパネルプレート１００の前面に設けられたものとパネルプレート１００とが一体的に昇降可能となっている。図３は、パネルプレート１００が上昇端にある場合を示し、図４は、パネルプレート１００が下降端にある場合を示している。
【００１５】
汚物流し部１１０は、汚物の洗浄がしやすいように上面が大きく開口され、リップ部１１１が設けられている。リップ部１１１は、オストメイトがこのリップ部１１１に腹部を押し当てて汚物処理を行うのに適した形状、すなわち、汚物処理中に汚物が漏出しても汚物が汚物流し部１１０の中に自然に入っていくのに適した形状となっている。また、汚物流し部１１０の下部に設けられた排水部１１０ｂには図示しない封水手段が設けられ、異臭の発生が防止できるようになっている。
【００１６】
リップ部１１１は、汚物流し部１１０の溢れ面を形成している。ここでいう溢れ面とは、排水部が詰まった時などに、汚物流し部１１０の外に汚水が流れ出す面のことである。このような溢れ面が形成されていると、排水部が詰まるという異常事態が起きても、汚水は溢れ面から外に流れ出し他の部分が汚れることを抑制することができる。本実施の形態においては、図５に示すように、汚物流し部１１０の上面形状が前面方向に下方傾斜しているため前面側にあるリップ部１１１の高さが上面では一番低くなり、リップ部１１１が溢れ面となる。そのため、排水部が詰まるという異常事態が起きても、汚水がパネルプレート１００側に流れ出ることがなく、装置本体２００の汚れを抑制することができる。
【００１７】
図６は、シャワー水栓１４０を説明するための模式斜視図である。
図６に示すように、シャワー水栓１４０には、ホース１４２と、水栓取り付け部１４４と、蛇口１４５とが設けられている。蛇口１４５は、水栓取り付け部１４４からホース１４２とともに引き出して使用することができ、洗浄水を所望の位置や向きで流出させることができる。蛇口１４５が水栓取り付け部１４４に装着されている状態では、洗浄水が汚物流し部１１０内に落下しやすいように、蛇口１４５は若干前向きに傾斜して設置されている。そのため、蛇口１４５が水栓取り付け部１４４に装着されているままでもパウチ内の洗浄がしやすいようになっている。また、蛇口１４５を引き出すことで、オストメイトが服を脱いでストーマやストーマ周辺を洗浄したり、汚物流し部１１０内部を局所的に洗浄したりすることがしやすいようになっている。
【００１８】
温度・流量調整用レバー１３１は、水道水と電気温水器２７０（図１参照）により加熱された水道水（湯）との混合水栓となっている。シャワー水栓１４０から流出する洗浄水の温度は、温度・流量調整用レバー１３１を左右にひねる量により調整可能となっている。また、洗浄水の流量は、温度・流量調整用レバー１３１の引き起こし量により調整可能となっている。
【００１９】
装置本体２００の外壁部は、例えば、木材から成る合板を用いて形成させることができる。ただし、甲板と呼ばれる天板２０１には、荷物や着替え等が載せられるようにある程度強度の高い樹脂製の合板を用いることが好ましい。また、装置本体２００の左側面の上部にはフック２２１が設けられており、帽子や衣類等を引っ掛けられるようになっている。 次に、図１に戻ってオストメイト用汚物流しユニット１の背面側、すなわち装置本体２００の内部の説明をする。
【００２０】
図１に示すように、装置本体２００の内部には、パネルプレート１００を昇降させるための昇降手段２４５が設けられている。昇降手段２４５に内蔵された昇降ロッド２４５ａの先端にはパネルプレート取り付け部３００が設けられ、パネルプレート取り付け部３００を介して昇降ロッド２４５ａとパネルプレート１００とが連結されている。昇降手段２４５には、例えば、図示しない水圧シリンダが内蔵されており、これも図示しないピストンが水圧により押し上げられることで昇降ロッド２４５ａが押し上げられ、パネルプレート１００が上昇するようになっている。尚、水圧シリンダの水圧を減ずれば（排水すれば）、パネルプレート１００が自重により下降するようになっている。
【００２１】
昇降ロッド２４５ａの断面形状は矩形であり、昇降ロッド２４５ａが挿入されている昇降手段２４５の穴部の断面形状もこれよりわずかに寸法が大きい矩形をしている。そのため、この穴部がガイド手段の役割を果たし、本実施の形態においては、ガイド手段と昇降手段２４５とが一体化されていることになる。このガイド手段（穴部）により、昇降ロッド２４５ａの回転方向と倒れ方向の動きが抑えられ、パネルプレート１００をほぼ直線的に昇降させることができるようになる。尚、昇降手段２４５の穴部の他にも補助的なガイド手段を設けるようにすることもできるし、昇降ロッドの断面形状を円形として別途ガイド手段を設けるようにすることもできる。
【００２２】
図７は、昇降動作部分の構成を説明するための模式図である。
前述したように、昇降手段２４５には図示しない水圧シリンダが内蔵されており、水圧シリンダには２ポート電磁弁２４７ａと２ポート電磁弁２４７ｂとが配管を介して接続されている。そのため、一次側水道水が２ポート電磁弁２４７ａを介して水圧シリンダに供給できるようになっており、また、水圧シリンダからの排水も２ポート電磁弁２４７ｂを介して行えるようになっている。パネルプレート１００を上昇させるための上昇操作スイッチ２６０と、パネルプレート１００を下降させるための下降操作スイッチ２６１は、コントローラ２６２に電気的に接続されており、また、２ポート電磁弁２４７ａと２ポート電磁弁２４７ｂもコントローラ２６２に電気的に接続されている。そのため、上昇操作スイッチ２６０または下降操作スイッチ２６１からの信号を受けたコントローラ２６２により２ポート電磁弁２４７ａまたは２ポート電磁弁２４７ｂが操作され、水圧シリンダへの給排水を制御して昇降手段２４５の昇降操作が行えるようになっている。
【００２３】
図８は、昇降操作を説明するための模式的なタイミングチャートである。
【００２４】
昇降手段２４５の昇降操作は、正面側に設けられた上昇操作スイッチ２６０や下降操作スイッチ２６１により行う。図８に示すように、図示しない水圧シリンダは、上昇操作スイッチ２６０が押されている間だけ上昇し、下降操作スイッチ２６１を意識的に操作者が押している間だけ下降するようになっており、操作者による昇降動作中に汚物流し部１１０等による人体や物体の挟み込みが生じ難いようになっている。さらに、これらスイッチはタッチレススイッチであり、図示しない人体検知手段もしくは動作検知手段へ手をかざすだけで昇降を行えるようになっており衛生的である。タッチレススイッチで使用する人体検知手段もしくは動作検知手段としては赤外線、ミリ波、マイクロ波、静電容量式等を利用したものがあげられる。安全性に関しては、汚物流し部１１０の下方において汚物流し部１１０の下部、もしくは汚物流し部１１０の下方付近のパネルプレート１００に図示しないテープスイッチ等の物体検知手段が設けられ、汚物流し部１１０の下方に物体を検知している間は下降しないように制御的工夫がされている。また、上昇端と下降端は図示しない検出手段で検出してもよいし、タイマーなどにより時間で制御してもよい。
【００２５】
ここで、水圧シリンダは洗浄水として使用する一次側水道水の水圧をそのまま利用して昇降動作をさせるようにすることもできるが、これに限定されるわけではない。例えば、ポンプ等を用いて圧力を印加するようにしてもよいし、圧力調整弁を設けて圧力を調整するようにしてもよい。また、水圧シリンダへの水の供給、停止、排水は２ポート電磁弁２４７ａ、２４７ｂ（図１、図７参照）により行われる。電磁弁２４７ａ（図１、図７参照）により、水圧シリンダへ水が供給されれば、パネルプレート１００を上昇させることができる。２ポート電磁弁２４７ｂを閉止することで水の供給を停止させればパネルプレート１００の昇降位置を保持することができる。そして、２ポート電磁弁２４７ａを閉止し、２ポート電磁弁２４７ｂを開にして水を排出させれば、パネルプレート１００を下降させることができる。水圧シリンダからの排水は、図示しない配管を介して装置本体２００の外部に排出される。尚、昇降は水圧シリンダに限られず、電動モータと減速機構を組み合わせたもの、エアシリンダ、油圧シリンダなどを用いるようにしてもよい。
【００２６】
また、装置本体２００の内部には、汚物流し部１１０からの汚物を洗浄水とともに装置本体２００の外部に排出するための排水管４００が設けられている。排水管４００の一端は汚物流し部１１０の下部に設けられた排水部１１０ｂ（図３参照）に接続され、他端は外部排出口Ｄに接続されている。尚、外部排出口Ｄは、装置本体２００が設置される施設側に設けてもよい。排水管４００の構成などの詳細は後述することにする。
【００２７】
装置本体２００の内部の上方には、電気温水器２７０が設けられている。電気温水器２７０は、冬場の身体洗浄という観点や汚物の洗浄性という観点からも設けられていた方が好ましい。電気温水器２７０は、昇降手段２４５の上方に設けることもできるが、昇降ロッド２４５ａの上昇により残余のスペースが少なくなること、少ないスペースでの配管や配線が煩雑となり、また、配管・配線の作業性も悪いことなどを考慮すれば、昇降手段２４５の上方を避けて設けるようにすることが好ましい。
【００２８】
また、装置本体２００に設けられる電気温水器２７０は、パネルプレート１００の昇降動作に追従できるように、可撓性を有するホースで温度・流量調整用レバー１３１と接続されている。
【００２９】
また、電気温水器２７０の膨張水の排出方法として、装置本体２００の内部に吐水口空間を設け、トラップを介して膨張水の排出管を排水管４００に接続させるようにすることもできる。そのようにすれば、汚物流し部１１０に膨張水の排出管を別途設ける必要がなくなり、洗浄用途の水栓との混同をも防止することができる。
【００３０】
装置本体２００の内部の右上方部にはフラッシュバルブ２５０が設けられており、フラッシュバルブ２５０には、図示しないバキュームブレーカが設けられている。フラッシュバルブ２５０は、汚物流し部１１０に付着した汚物を一次側水道水の水圧を利用して一気に洗い流すためのものであり、洗浄ボタン２１１を押すことで、洗浄水が洗浄管１１２を介して汚物流し部１１０の内面上部全周に形成されたリム部の穴（図示せず）から汚物流し部１１０の内側面全体にわたって一定時間流出するようになっている。ここで、洗浄管１１２とフラッシュバルブ２５０とが可撓性を有するホース１１２ａで接続されているため、パネルプレート１００が昇降してもホース１１２ａが撓みその接続を維持することができるようになっている。このようにすれば、フラッシュバルブ２５０を装置本体２００内に固定することができるようになり、パネルプレート１００の昇降動作に関わらず一次側水道水の配管２５２を固定管（例えば、硬質樹脂製の管）とすることができ、常に水圧がかかる一次側水道水の配管２５２の信頼性を向上させることができる。
【００３１】
また、バキュームブレーカは、汚物流し部１１０が上昇端位置にあるときに汚物流し部１１０のリップ部１１１よりも上方に位置するように設けられている。そのため、汚水がバキュームブレーカの空気取り入れ口から侵入したり、上流側（水道水側）が汚水で汚されたりすることを確実に防ぐことができる。バキュームブレーカとしては、スイング弁を用いたものやダックビルを用いたものなどを採用することができる。
【００３２】
また、装置本体２００の内部には、一次側水道水の配管を温度・流量調整用レバー１３１などと接続するための可撓性を有するホース（図示せず）や、その他の配管・配線部材などが収容されている。
【００３３】
次に、排水管４００の説明をする。
図９は、排水管４００を説明するための模式斜視図であり、左側の図は汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき（排水管４００が縮んだとき）、中央の図は汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき（排水管４００が伸びたとき）を示している。また、右側の図はスライド部の詳細を示す模式断面図である。
【００３４】
排水管４００は、略Ｌ字状をした第１のパイプ部材４００ａと、第１のパイプ部材４００ａの外径よりわずかに大きな内径を有する第２のパイプ部材４００ｂと、第２のパイプ部材４００ｂの外径よりわずかに大きな内径を有する第３のパイプ部材４００ｃと、を備えている。
【００３５】
第１のパイプ部材４００ａの一端には、可撓性を有する接続管４０１が設けられ、他の一端は第２のパイプ部材４００ｂに嵌め合わされている。第２のパイプ部材４００ｂの他の一端は第３のパイプ部材４００ｃに嵌め合わされ、第３のパイプ部材４００ｃの他の一端は外部排出口Ｄに接続されている。このように、各パイプ部材は入れ子状に嵌め合わされ、かつ、互いに摺動自在となっている。そのため、一のパイプ部材を他のパイプ部材に対して軸方向に摺動させることにより排水管４００の全長寸法を変化させることができ、汚物流し部１１０が下降した場合でも排水管のためのスペースが別途必要となることがないようになっている。
【００３６】
また、図９の右側の図に示すように、パイプ部材の端面に、互いに当接させることにより抜けを防止するストッパ４００ｄを設けるようにすることもできる。
【００３７】
シール部材４０２は、各パイプ部材の摺動面に設けられ、摺動時に内側のパイプ部材と外側のパイプ部材との間の隙間をシールするようになっている。尚、シール部材４０２は、内側パイプ部材または外側パイプ部材に設けられた溝４０２ａに取り付けられる。尚、例示したものは、内側パイプ部材に設けた場合であるが、外側パイプ部材に設けてもよい。このシール部材４０２により、汚物や洗浄水、臭いなどがパイプ部材の外部に漏れることが抑制される。
【００３８】
第１のパイプ部材４００ａ、第２のパイプ部材４００ｂ、第３のパイプ部材４００ｃの材質は、耐食性、強度、軽量性などを考慮して、例えば、硬質樹脂などとすることができる。可撓性を有する接続管４０１も軟質樹脂などとすることもできるが、後述する芯ズレ補正作用を重視すれば、蛇腹管を用いることが好ましい。
【００３９】
図９の右側の図に例示したシール部材４０２は、ゴムなどの弾性材料からなり、断面が略Ｘ字形状をしたものである。このような断面形状を有するシール部材４０２は、少ないつぶししろでも良好なシール性を有し、始動、運動摩擦とも小さく、ねじりにも強いので、本実施の形態に係る排水管４００に用いるのに好適である。ただし、これに限定されるわけではなく、断面が略Ｏ字形状をしたもの、略Ｄ字形状をしたもの、略Ｔ字形状をしたものなどであってもよい。
【００４０】
尚、パイプ部材の数は図示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【００４１】
図１０は、排水管４００の取り付けを説明するための模式図である。
また、図１１は、排水管４００の伸縮状態を説明するための模式図であり、左側の図は排水管４００が縮んだとき（汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき）、右側の図は排水管４００が伸びたとき（汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき）を示している。
【００４２】
図１０に示すように、可撓性を有する接続管４０１を介して、第１のパイプ部材４００ａと汚物流し部１１０の下部に設けられた排水部１１０ｂとが接続されている。そして、排水管４００の伸縮作用により、汚物流し部１１０が上昇端位置と下降端位置との間のいかなる位置にあっても、汚物を洗浄水とともに確実に排出できるようになっている。
【００４３】
ここで、オストメイトがパウチを装着する高さには大きな個人差があるため、汚物流し部１１０の昇降寸法も通常の高さ調整式の便器などと比べてかなり大きなものとなる。そのため、特許文献１に開示されている技術のように、単に可撓性を有する排出ホースを用いるだけでは、下降時に撓んだ排出ホースを邪魔にならないよう処理することができず、結局は別途スペースが必要になるなどの不都合が生じる。
【００４４】
これに対し、前述したように、本実施の形態に係る排水管４００は、別途スペースを必要とすることなく大きな昇降寸法にも対応することができる。そのため、装置の小型化が図れ、駅のトイレや街の公衆トイレなどの比較的狭いスペースしか確保できないような場所にも設置が可能となる。
【００４５】
図１２は、芯ズレ補正を説明するための模式図であり、左側の図は排水管４００をオストメイト用汚物流しユニット１に取り付けた状態を示し、右側の図は芯ズレ補正の様子を示したものである。
図１２に示すように、第３のパイプ部材４００ｃの一端が接続される外部排出口Ｄは、装置本体２００が設置される施設側に設けられる場合がある。この場合、施行工事の精度によっては設計上の寸法から狂いが生じる場合がある。このような寸法の狂い（芯ズレ）の影響は、パイプ部材の倒れなどとあいまって昇降寸法が大きくなるほど顕著となり、摺動抵抗の増大による円滑な動作の阻害原因となり、場合によっては昇降動作に追従できず排水管４００が破損するなどの不都合を生じるおそれもある。
【００４６】
本実施の形態に係る排水管４００においては、可撓性を有する接続管４０１を介して、第１のパイプ部材４００ａと汚物流し部１１０の下部に設けられた排水部１１０ｂとが接続されている。そのため、図１２の右側の図に示したように、芯ズレ量分だけ接続管４０１が撓んで芯ズレの補正をすることができ、円滑な昇降動作をさせることが可能となる。ここで、狭いスペースで大きな芯ズレ量にも対応できようにすることを考慮すれば、接続管４０１には撓み性に優れた蛇腹管を用いることが好ましい。尚、芯ズレ量が無視できる程度であれば、接続管４０１を省略することもできる。
【００４７】
また、本実施の形態では、第１のパイプ部材４００ａと排水部１１０ｂとの間に接続管４０１を設けるようにしたが、これに限定されるわけではなく、外部排出口Ｄと第３のパイプ部材４００ｃとの接続部分、各パイプ部材や各パイプ部材間などに設けるようにすることもできる。
【００４８】
図１３及び図１４は、接続管４０１を設けた排水管４００の昇降時の状態を説明するための模式図である。
図１３の左側の図は、汚物流し部１１０が下降端位置にあるときの様子を示し、右側の図は下降端側から上昇しているときの様子を示している。
また、図１４の左側の図は、汚物流し部１１０が上昇端位置にあるときの様子を示し、右側の図は上昇端側から下降しているときの様子を示している。
図１３及び図１４に示すように、芯ズレ量などによっては排水管４００の各パイプ部材の摺動抵抗が大きくなり、汚物流し部１１０の昇降に排水管４００の伸縮が追従できず、接続管４０１が上下方向に変形する場合がある。この場合、大きな変形が起こった場合や繰り返し変形を受けたような場合には、接続管４０１が破損するおそれがある。
【００４９】
本発明者は、検討の結果、芯ズレ量などが大きく接続管４０１の変形が大きくなるような場合であっても、接続管４０１を保持する保持手段を設けるようにすれば、昇降時の接続管４０１の変形を抑え、破損などを抑制することができるとの知見を得た。
【００５０】
図１５は、保持手段の一例を説明するための模式斜視図である。
図１６は、図１５で例示をした保持手段の模式斜視拡大図である。
図１５及び図１６に示すように、可撓性を有する接続管４０１の上側には第２の保持手段４０８ａが、下側には第１の保持手段４０９ａが設けられている。第２の保持手段４０８ａ、第１の保持手段４０９ａは、略Ｌ字状断面を有する板状部材であり、パネルプレート１００に設けられた取り付け板３００にボルトなどで取り付けられている。本具体例においては、第２の保持手段４０８ａの当接面Ａ１、第１の保持手段４０９ａの当接面Ｂ１は平坦である。また、当接面Ａ１と当接面Ｂ１との間の寸法Ｌ１は、接続管４０１の外径寸法より大きくなっている。そのため、上昇時には第１の保持手段４０９ａの当接面Ｂ１のみが接続管４０１と当接し、下降時には第２の保持手段４０８ａの当接面Ａ１のみが接続管４０１と当接することになり、無理な力が接続管４０１に加わることを抑制することができる。尚、当接面間の寸法Ｌ１は、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５１】
図１７は、保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
図１７に示すように、可撓性を有する接続管４０１の上側には第２の保持手段４０８ｂが、下側には第１の保持手段４０９ｂが設けられている。図１６で説明をした保持手段と本具体例とでは、当接面Ａ２、当接面Ｂ２の形状が異なる。図１７に示すように、当接面Ａ２、当接面Ｂ２は接続管４０１の直径方向に所定の曲率を持った曲面となっている。そのため、接続管４０１が曲面の頂点位置に誘導され自動的に位置決めと保持ができるようになっている。また、当接面Ａ２の頂点位置（当接が起こる部分）と当接面Ｂ２の頂点位置（当接が起こる部分）との間の寸法Ｌ２は、接続管４０１の外径寸法より大きくなっている。そのため、本具体例においても、昇降時に無理な力が接続管４０１に加わることを抑制することができる。尚、当接面間の寸法Ｌ２は、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５２】
また、当接面Ａ２、当接面Ｂ２が有する曲率も適宜選択が可能である。例えば、前述した頂点位置への誘導性を高めるためには曲率半径を小さくすればよいし、昇降時に接続管４０１にかかる力を軽減させたい場合は曲率半径を大きくすればよい。尚、頂点位置への誘導性を重視して、頂点位置を中心とした斜面を有する当接面（Ｖ字状の当接面）とすることもできる。
【００５３】
図１８は、保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
図１８に示すように、可撓性を有する接続管４０１の上側には第２の保持手段４０８ｃが、下側には第１の保持手段４０９ｃが設けられている。図１６で説明をした保持手段と本具体例とでは、当接面Ａ３、当接面Ｂ３の幅方向両端面に、立ち上がり部４０８ｃ１、立ち上がり部４０９ｃ１がそれぞれ設けられていることが異なる。そのため、接続管４０１の左右方向振動時に、接続管４０１と立ち上がり部４０８ｃ１、立ち上がり部４０９ｃ１とを当接させて振動を抑制することができる。また、当接面Ａ３と当接面Ｂ３との間の寸法Ｌ３は、接続管４０１の外径寸法より大きくなっている。そのため、本具体例においても、昇降時に無理な力が接続管４０１に加わることを抑制することができる。尚、当接面間の寸法Ｌ３は、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５４】
また、それぞれの立ち上がり部間の幅方向寸法Ｗ１も適宜選択が可能である。例えば、立ち上がり部間の幅方向寸法Ｗ１を接続管４０１の外径寸法に近づければ、前述の振動抑制効果を高めることができる。
【００５５】
図１９は、保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
図１９に示すように、可撓性を有する接続管４０１の上側には第２の保持手段４０８ｄが、下側には第１の保持手段４０９ｄが設けられている。図１６で説明をした保持手段と本具体例とでは、第２の保持手段４０８ｄと第１の保持手段４０９ｄとが弾性体材料からなることが異なる。そのため、接続管４０１に第２の保持手段４０８ｄと第１の保持手段４０９ｄとを当接させても、昇降時に無理な力が接続管４０１に加わることがない。また、図１９に示すように、第２の保持手段４０８ｄと第１の保持手段４０９ｄとの先端部に、互いに近接する方向に働く弾性力を付与する手段４１１（例えば、ゴムバンドなど）を設ければ、保持力が弱くなる先端部の補助をすることができる。尚、弾性力を付与する手段４１１はコイルバネを巻き付けるようにしたものであってもよい。また、接続管４０１と第２の保持手段４０８ｄ、第１の保持手段４０９ｄとを当接させず隙間を設けるようにしたものであってもよい。また、第２の保持手段４０８ｄ、第１の保持手段４０９ｄ、弾性力を付与する手段４１１の弾性力は、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５６】
図２０は、保持手段の他の具体例を説明するための模式断面図であり、図１６で説明をした第２の保持手段４０８ａ、第１の保持手段４０９ｄの幅方向中央部の断面を示している。 本具体例においては、図１６で説明をした第２の保持手段４０８ａの当接面Ａ１、第１の保持手段４０９ｄの当接面Ｂ１に弾性部材４１０が設けられている。そのため、昇降時における接続管４０１の保護をさらに図ることができる。この場合、弾性部材４１０の表面（第２の保持手段４０８ａ、第１の保持手段４０９ｄに設ける側とは反対側の面）が当接面となる。尚、弾性部材４１０の材質としては、ゴムやスポンジなどの軟質性樹脂材料を例示することができる。その場合、弾性部材４１０の厚さや硬さなどは適宜選択することができる。また、図１７〜図１９で説明をした各保持手段に弾性部材４１０を設けるようにすることもできる。
図２１は、保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
図２１に示すように、排水管４００の最上部の（最も内側に嵌め合わされた）パイプ部材４００ａの外周面には上下寸法（高さ寸法）がＬ４の突部４０５が設けられている。また、突部４０５の上側には上部保持手段４０８ｅが、下側には下部保持手段４０９ｅが、排水管４００の垂直部を挿通するようにして設けられている。上部保持手段４０８ｅ、下部保持手段４０９ｅは、突部４０５と当接するように設けられ、上部保持手段４０８ｅと下部保持手段４０９ｅとの間の寸法は突部４０５の上下寸法（高さ寸法）Ｌ４より大きくなっている。また、排水管４００の垂直部が挿通される部分の寸法Ｗは、排水管４００の垂直部の外径寸法より大きく、突部４０５の外径寸法より小さくなっている。そのため、上昇時には下部保持手段４０９ｅと突部４０５の下面のみが当接し、下降時には上部保持手段４０８ｅと突部４０５の上面のみが当接することになり、無理な力が排水管４００の垂直部や接続管４０１に加わることを抑制することができる。尚、突部４０５の寸法や寸法Ｗなどは、芯ズレの程度、接続管４０１の強度などを考慮の上、適宜決定される。
【００５７】
図２２は、排水管４００に設けられた清掃手段を説明するための模式図であり、左側の図は汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき（排水管４００が縮んだとき）、中央の図は汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき（排水管４００が伸びたとき）を示している。また、右側の図はスライド部の詳細を示す模式断面図である。
【００５８】
図７で説明をしたものと本具体例とでは、パイプ部材（右側の図で説明をするものでは、パイプ部材４００ｂ、パイプ部材４００ｃ）の端面に、パイプ部材の外側を清掃するための清掃手段４１２ａと、パイプ部材の内側を清掃するための清掃手段４１２ｂとが設けられていることが異なる。そのため、本具体例においては、パイプ部材４００ａ、パイプ部材４００ｂ、パイプ部材４００ｃの昇降時に各パイプ部材に付着した汚物が掻き落とされ、昇降時における各パイプ部材の動作不良や臭いの発生の抑制、シール部材４０２の保護などを図ることができる。特に、パイプ部材の内側を清掃するための清掃手段４１２ｂを設けるようにすれば、付着した汚物がパイプ部材内に掻き落とされ外部排出口Ｄから装置の外部に排出されるので、衛生面からも好適である。清掃手段４１２ａ、清掃手段４１２ｂはゴムなどの弾性体材料からなるが、弾性力付与のための金属板やバネなども別途設けることができる。また、その形状も図２２に例示をしたリング状のものに限定されるわけではなく、リップ部４１２ｃがパイプ部材と当接するようなものであればよい。
【００５９】
図２３は、排水管伸縮部のカバーを説明するための模式図であり、左側の図は汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき（排水管４００が縮んだとき）、右側の図は汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき（排水管４００が伸びたとき）を示している。
本具体例では、図２３に示すように、排水管４００の伸縮部を覆うようにカバー４１３が設けられている。カバー４１３は蛇腹管や可撓性材料からなる伸縮自在の管状部材であり、その両端が排水管４００の伸縮部分の最上段のパイプ部材（図示したものでは、パイプ部材４００ａ）と最下段のパイプ部材（図示したものでは、パイプ部材４００ｃ）に固定されている。そのため、パイプ部材内部からの臭いなどが外部に漏れるのを抑制するとともに、外部からの異物がパイプ部材に付着することで生じる昇降動作不良をも抑制することができる。
【００６０】
図２４は、排水管の補強について説明をするための模式斜視図であり、左側の図は汚物流し部１１０が下降端位置にあるとき（排水管４００が縮んだとき）、右側の図は汚物流し部１１０が上昇端位置にあるとき（排水管４００が伸びたとき）を示している。
【００６１】
排水管４００を昇降させる場合には、パイプ部材４００ａの曲部Ｃの応力が最も大きくなる。そのため、この部分の肉厚を厚くしたり、この部分に金属などの高剛性の材料を使用したりして補強することが好ましい。また、図２５に示すように、曲部Ｃに板状のリブ４１４を設けるようにすることもできる。
【００６２】
次に、オストメイト用汚物流しユニット１の作用について説明をする。オストメイト用汚物流しユニット１は駅のトイレや街の公衆トイレなどのパブリックスペースに設置され、不特定のオストメイトに利用されるものである。
【００６３】
ここで、前述したような排水管が設けられている本実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニット１は、ユニット自体の外径寸法が小さいので、比較的狭いスペースしか確保できないような場所にも設置が可能となる。
このオストメイト用汚物流しユニット１をオストメイトが使用する際には、ジャケットなどの衣類をフック２２１に引っ掛けるとともに、荷物や着替えをユニット上面の天板２０１上に載せておくことができる。
【００６４】
まず、昇降手段２４５により汚物流し部１１０を昇降させて、リップ部１１１の高さが適切となるように汚物流し部１１０の高さを調整する。例えば、オストメイトのストーマのすぐ下にリップ部１１１がくるように汚物流し部１１０の高さを調整する。
尚、汚物流し部１１０の高さの調整は、図示しない操作スイッチなどを操作することにより行う。
【００６５】
本実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニット１においては、前述した可撓性を有する接続管４０１、図１５〜図２１で説明をした保持手段、図２２で説明をした清掃手段、図２３で説明をした排水管伸縮部のカバー、図２４と図２５で説明をしたパイプ部材曲部の補強の作用により円滑な昇降動作を行うことができ、また、破損、異臭の発生、汚物や洗浄水の漏れなどを抑制することができる。そのため、駅のトイレや街の公衆トイレなどのパブリックスペースにおける公衆衛生の向上に寄与することもできる。
【００６６】
オストメイトは、汚物流し部１１０を最適な高さまで昇降させた後に、身体に装着していたパウチを外して、図６に示したようにシャワー水栓１４０からの洗浄水でこのパウチの内部を洗浄したり、ストーマ及びその周辺を洗浄したりする。この際、半固定鏡１５１を用いてストーマ及びその周辺を見ながら洗浄を行うことができるし、冬場などにおいては、シャワー水栓１４０から所望の温度の洗浄水を流すこともできる。また、水石けん用タンク１５０から水石けんを出して、手やパウチなどの洗浄を行うこともできるので、衛生上の観点からも好ましい。
【００６７】
また、前述したように、蛇口１４５を引き出さない状態での吐水方向が、汚物流し部１１０の内壁部に向かうようになっているため、汚物流し部１１０の内壁部が常に洗い流され衛生上の観点からも好ましい。
【００６８】
こうした汚物処理動作を行っている最中に、例えば、汚物がストーマから勢い良く飛び出したり、パウチ内やストーマ廻りの汚物の量、状態、洗い方などによっては汚物が周囲に飛び散ったりして、不本意にも周辺を汚してしまうことがあるが、シャワー水栓１４０は汚物流し部１１０より上方に配置されているので、このような場合であっても汚物がシャワー水栓１４０に付着することはなく、衛生性を確保することができる。
【００６９】
次に、シャワー水栓１４０を用いてストーマ及びその周辺を洗った後、トイレットペーパーなどでストーマやその周辺に付いた洗浄水を拭き取り、新しいパウチをストーマに装着する。
次に、洗浄水をシャワー水栓１４０から流出させると同時に、または、その後に、洗浄ボタン２１１を押してフラッシュバルブ２５０を作動させて汚物流し部１１０の内壁面を洗い流すとともに、排水管４００を介して汚物をユニットの外部に一気に排出させる。
【００７０】
尚、これら一連の作業において必要となるもの、例えば、温度・流量調整用レバー１３１、シャワー水栓１４０、水石けん用タンク１５０、半固定鏡１５１、洗浄ボタン２１１、トイレットペーパーホルダ２１２なども汚物流し部１１０と共に昇降するため、オストメイトにとって使い易いシステムとなっている。
【００７１】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
前述の具体例に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【００７２】
例えば、オストメイト用汚物流しユニット１、パネルプレート１００、汚物流し部１１０、給水口１１０ａ、排水部１１０ｂ、リップ部１１１、洗浄管１１２、ホース１１２ａ、温度・流量調整用レバー１３１、シャワー水栓１４０、棚１４１、ホース１４２、水栓取り付け部１４４、蛇口１４５、水石けん用タンク１５０、半固定鏡１５１、装置本体２００、天板２０１、洗浄ボタン２１１、トイレットペーパーホルダ２１２、フック２２１、昇降手段２４５、昇降ロッド２４５ａ、２ポート電磁弁２４７ａ、２ポート電磁弁２４７ｂ、フラッシュバルブ２５０、配管２５２、上昇操作スイッチ２６０、下降操作スイッチ２６１、コントローラ２６２、電気温水器２７０、パネルプレート取り付け部３００、排水管４００、パイプ部材４００ａ、パイプ部材４００ｂ、パイプ部材４００ｃ、ストッパ４００ｄ、接続管４０１、シール部材４０２、溝４０２ａ、突部４０５、第２の保持手段４０８ａ〜４０８ｅ、第１の保持手段４０９ａ〜４０９ｅ、立ち上がり部４０８ｃ１、立ち上がり部４０９ｃ１、弾性部材４１０、弾性力を付与する手段４１１、清掃手段４１２ａ、清掃手段４１２ｂ、リップ部４１２ｃ、カバー４１３、当接面Ａ１〜Ａ３、当接面Ｂ１〜Ｂ３などの形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。具体的には、例えば、汚物流し部１１０の材質は陶製の代わりに硬質樹脂等であってもよい。
【００７３】
また、外部排出口Ｄの位置も例示したものに限定されるわけではなくオストメイト用汚物流しユニットが設置される施設に合わせて適宜変更することができる。例えば、外部排出口Ｄを左側、昇降手段を右側に設けるようにしたものであってもよい。
また、パネルプレート１００は厳密な意味で垂直方向に昇降する必要はなく、垂直に近い斜め方向に昇降してもよい。
【００７４】
また、オストメイト用汚物流しユニット１にシャワー水栓１４０以外の固定水栓を設けるようにしてもよい。
また、前述した各具体例が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【００７５】
【図１】本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの背面側を説明するための模式図である。
【図２】本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの背面側を説明するための模式斜視図である。
【図３】本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの正面側を説明するための模式斜視図である。
【図４】本発明の実施の形態に係るオストメイト用汚物流しユニットの正面側を説明するための模式斜視図である。
【図５】オストメイト用汚物流しユニットを側面からみた模式図である。
【図６】シャワー水栓を説明するための模式斜視図である。
【図７】昇降動作部分の構成を説明するための模式図である。
【図８】昇降操作を説明するための模式的なタイミングチャートである。
【図９】排水管を説明するための模式斜視図である。
【図１０】排水管の取り付けを説明するための模式図である。
【図１１】排水管の伸縮状態を説明するための模式図である。
【図１２】芯ズレ補正を説明するための模式図である。
【図１３】パイプ部材を設けた排水管の昇降時の状態を説明するための模式図である。
【図１４】パイプ部材を設けた排水管の昇降時の状態を説明するための模式図である。
【図１５】保持手段の一例を説明するための模式斜視図である。
【図１６】図１５で例示をした保持手段の模式斜視拡大図である。
【図１７】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図１８】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図１９】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図２０】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図２１】保持手段の他の具体例を説明するための模式斜視図である。
【図２２】排水管に設けられた清掃手段を説明するための模式図である。
【図２３】排水管伸縮部のカバーを説明するための模式図である。
【図２４】排水管の補強について説明をするための模式斜視図である。
【図２５】パイプ部材の曲部に板状のリブを設けることを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【００７６】
１ オストメイト用汚物流しユニット、１００ パネルプレート、１１０ 汚物流し部、４００ 排水管、４００ａ パイプ部材、４００ｂ パイプ部材、４００ｃ パイプ部材、４０１ 接続管、４０２ シール部材、４０２ａ 溝、４０５ 突部、４０８ａ〜４０８ｅ 保持手段、４０９ａ〜４０９ｅ 保持手段、４１２ａ 清掃手段、４１２ｂ 清掃手段、４１２ｃ リップ部、４１３ カバー
【特許請求の範囲】
【請求項１】
前面に汚物流し部を設けたパネルプレートと、
前記パネルプレートを昇降させる昇降手段と、
前記パネルプレートの昇降をガイドするガイド手段と、
入れ子状に嵌め合わされ、かつ、互いに摺動自在な複数のパイプ部材を有する排水管と、
可撓性を有し、両端部を前記汚物流し部と前記排水管とに接続可能な接続管と、
を備えたことを特徴とするオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項２】
前記排水管の下方に設けられ、前記排水管に当接する当接面を有する第１の保持手段と、
前記排水管を挟んで前記第１の保持手段に対向するように設けられ、前記排水管に当接する当接面を有する第２の保持手段と、
をさらに備え、
前記第１の保持手段の当接面が前記排水管と当接する部分と、前記第２の保持手段の当接面が前記排水管と当接する部分と、の間の寸法が、前記排水管の外径寸法より大きいことを特徴とする請求項１記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項３】
前記排水管の最も内側に嵌め合わされたパイプ部材の外周面に設けられた突部と、
前記突部の下方に設けられ、前記突部に当接する当接面を有する下部保持手段と、
前記突部を挟んで前記下部保持手段に対向するように設けられ、前記突部に当接する当接面を有する上部保持手段と、
をさらに備え、
前記下部保持手段の当接面と、前記上部保持手段の当接面と、の間の寸法が、前記突部の上下寸法より大きいことを特徴とする請求項１記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項４】
前記入れ子状に嵌め合わされたパイプ部材の摺動面に設けられた溝と、
前記溝に保持され、前記嵌め合わされたパイプ部材間の隙間をシールするシール部材とを設けたことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項５】
前記摺動面に当接するリップ部を備えた清掃手段を前記パイプ部材の端面に設けたことを特徴とする請求項１〜４のいずれか１つに記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項６】
前記排水管の伸縮部分を覆うようにカバーを設けたことを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項７】
前記接続管は、蛇腹管であることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１つに記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項１】
前面に汚物流し部を設けたパネルプレートと、
前記パネルプレートを昇降させる昇降手段と、
前記パネルプレートの昇降をガイドするガイド手段と、
入れ子状に嵌め合わされ、かつ、互いに摺動自在な複数のパイプ部材を有する排水管と、
可撓性を有し、両端部を前記汚物流し部と前記排水管とに接続可能な接続管と、
を備えたことを特徴とするオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項２】
前記排水管の下方に設けられ、前記排水管に当接する当接面を有する第１の保持手段と、
前記排水管を挟んで前記第１の保持手段に対向するように設けられ、前記排水管に当接する当接面を有する第２の保持手段と、
をさらに備え、
前記第１の保持手段の当接面が前記排水管と当接する部分と、前記第２の保持手段の当接面が前記排水管と当接する部分と、の間の寸法が、前記排水管の外径寸法より大きいことを特徴とする請求項１記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項３】
前記排水管の最も内側に嵌め合わされたパイプ部材の外周面に設けられた突部と、
前記突部の下方に設けられ、前記突部に当接する当接面を有する下部保持手段と、
前記突部を挟んで前記下部保持手段に対向するように設けられ、前記突部に当接する当接面を有する上部保持手段と、
をさらに備え、
前記下部保持手段の当接面と、前記上部保持手段の当接面と、の間の寸法が、前記突部の上下寸法より大きいことを特徴とする請求項１記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項４】
前記入れ子状に嵌め合わされたパイプ部材の摺動面に設けられた溝と、
前記溝に保持され、前記嵌め合わされたパイプ部材間の隙間をシールするシール部材とを設けたことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項５】
前記摺動面に当接するリップ部を備えた清掃手段を前記パイプ部材の端面に設けたことを特徴とする請求項１〜４のいずれか１つに記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項６】
前記排水管の伸縮部分を覆うようにカバーを設けたことを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【請求項７】
前記接続管は、蛇腹管であることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１つに記載のオストメイト用汚物流しユニット。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【公開番号】特開２００８−１０９９６０（Ｐ２００８−１０９９６０Ａ）
【公開日】平成２０年５月１５日（２００８．５．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２９３３１７（Ｐ２００６−２９３３１７）
【出願日】平成１８年１０月２７日（２００６．１０．２７）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年５月１５日（２００８．５．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１０月２７日（２００６．１０．２７）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
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