説明

オゾン含有氷を利用した食品などの保冷方法

【課題】オゾン含有氷を食品などの保冷剤として利用する場合にオゾン含有氷に含まれるオゾンの殺菌効果や脱臭効果などを長時間にわたって持続させることができるようにする。
【解決手段】オゾン含有氷11を利用して食品などを保冷するに際して、オゾン含有氷11の表面を厚さが経時的に減少し且つ温度が摂氏零度以下の低温被覆体12により被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン含有氷を用いて生鮮食品や水産物あるいは遺体などを保冷する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン(O)は、強い酸化力を有することから、殺菌、脱臭、脱色、鮮度保持などの目的で広く利用されるようになってきている。しかし、オゾンは非常に不安定な気体であり、分解が早く、大気中では十数時間で半減してしまうため、オゾンをボンベなどの容器に貯蔵しながら利用するという形態を採ることができない。そこで、オゾンが溶解した水を凍らせてオゾン含有氷を得、これを生鮮食品の輸送時における保冷剤などに利用することが例えば下記文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2000−39239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、オゾン含有氷に含まれるオゾンは雰囲気温度が−20℃を越えるとオゾン含有氷の表面から放出され、比較的短時間で消失してしまうため、オゾンの殺菌効果や脱臭効果などを長時間にわたって持続させることが困難であった。
本発明は上述した問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、オゾン含有氷を食品などの保冷剤として利用する場合にオゾン含有氷に含まれるオゾンの殺菌効果や脱臭効果などを長時間にわたって持続させることのできる保冷方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明は、オゾン含有氷を利用して食品などを保冷するに際して、前記オゾン含有氷の表面を厚さが経時的に減少し且つ温度が摂氏零度以下の低温被覆体により被覆することを特徴とする。
本発明において、オゾン含有氷はスティック状に形成されたものを用いることができ、低温被覆体は筒状に形成されたものを用いることができる。また、低温被覆体はオゾンを含有しない氷もしくはドライアイスからなるものを用いることができる。さらに、低温被覆体はその外周面から内周面に向かって複数の色に着色されたものを用いることができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、オゾン含有氷に含まれるオゾンの放出が低温被覆体によって抑制され、低温被覆体の厚さが減少するに従ってオゾン含有氷から放出されるオゾンの放出量が増大する。したがって、オゾン含有氷を食品などの保冷剤として利用する場合にオゾン含有氷に含まれるオゾンの殺菌効果や脱臭効果などを長時間にわたって持続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に係る保冷方法を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る保冷方法の一実施形態を説明するための説明図である。同図において、符号11は図示しない製氷機によりスティック状に製氷されたオゾン含有氷であって、このオゾン含有氷11を食品などの保冷剤として利用する場合は、先ず、オゾンを含まない水(例えば水道水など)を凍らせて図1(a)に示すような低温被覆体、すなわち筒状の低温被覆体12を予め作製しておく。次に、図1(b)に示すように、円筒容器13内に収容された低温被覆体12をコンベヤ14によりオゾン含有氷装填ノズル15の下方位置に移送した後、オゾン含有氷装填ノズル15から低温被覆体12内にオゾン含有氷11を挿入する。なお、低温被覆体12内へのオゾン含有氷11の挿入作業は−20℃以下の温度雰囲気で行なうことが望ましい。
【0007】
このようにしてオゾン含有氷11を低温被覆体12内に挿入したならば、次に、図1(c)に示すように、コンベヤ14により低温被覆体12を給水ノズル16の下方位置に移送し、オゾン含有氷11と低温被覆体12との間に形成された間隙17に少量の水を給水ノズル16から供給する。その後、図1(d)に示すように、コンベヤ14により低温被覆体12を冷気噴出ノズル18の下方位置に移送し、冷気噴出ノズル18から低温被覆体12に例えば−20℃の冷気をブローすると、間隙17に注水された水が氷結することによってオゾン含有氷11と低温被覆体12が一体化される。
【0008】
上述のように、オゾン含有氷11を食品などの保冷剤として利用する場合に、オゾンを含有しない氷からなる低温被覆体12によりオゾン含有氷11の表面を被覆すると、オゾン含有氷11に含まれるオゾンの放出が低温被覆体12によって抑制される。そして、低温被覆体12が融け出し、低温被覆体12の厚さが薄くなると、これに伴ってオゾン含有氷11から放出されるオゾンの放出量が増大するため、オゾン含有氷11を食品などの保冷剤として利用する場合にオゾン含有氷11に含まれるオゾンの殺菌効果や脱臭効果などを長時間にわたって持続させることができる。
【0009】
上述した実施の形態ではオゾン含有氷として柱状(スティック状)のものを例示したが、スティック状に限定されるものではなく、例えばブロック状や球状のオゾン含有氷を用いてもよい。さらに、オゾン含有氷11の表面を被覆する低温被覆体12として筒状のものを例示したが、低温被覆体12の形状は特に限定されるものではない。さらに、オゾン含有氷11の表面を被覆する低温被覆体12としてオゾンを含有しない氷からなるものを例示したが、これに限定されるものではなく、例えばドライアイスから低温被覆体を形成してもよい。また、図示を省略したが、オゾン含有氷11の表面を被覆する低温被覆体12として、外周面から内周面に向かって複数の色が着色された低温被覆体を用いれば、低温被覆体の融解の様子を目視により判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る食品などの保冷方法の一実施形態を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0011】
11 オゾン含有氷
12 低温被覆体
13 円筒容器
14 コンベヤ
15 オゾン含有氷装填ノズル
16 給水ノズル
17 間隙
18 冷気噴出ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン含有氷を利用して食品などを保冷するに際して、前記オゾン含有氷の表面を厚さが経時的に減少し且つ温度が摂氏零度以下の低温被覆体により被覆することを特徴とする食品などの保冷方法。
【請求項2】
前記オゾン含有氷はスティック状に形成され、前記低温被覆体は筒状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の食品などの保冷方法。
【請求項3】
前記低温被覆体はオゾンを含有しない氷もしくはドライアイスからなることを特徴とする請求項1または2記載の食品などの保冷方法。
【請求項4】
前記低温被覆体はその外周面から内周面に向かって複数の色に着色されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の食品などの保冷方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−17084(P2007−17084A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199031(P2005−199031)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(305034890)
【Fターム(参考)】