説明

オゾン水濃度測定装置

【課題】オゾン濃度の経時的変化傾向をより容易に把握させることができるオゾン水濃度測定装置を提供する。
【解決手段】筐体としての測定装置本体1と、該測定装置本体1内に形成され、オゾン水を流通させるオゾン水流路(オゾン水導入路5及び排出路7)と、該オゾン水流路を流通するオゾン水のオゾン濃度を測定する濃度測定手段9とを具備したオゾン水濃度測定装置において、濃度測定手段9で測定されたオゾン濃度を経時的な変化傾向を示すグラフとしてリアルタイムに表示する表示手段10を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水のオゾン濃度を測定するためのオゾン水濃度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オゾンを水に溶解させたオゾン水は、その殺菌消毒効果が顕著であることから、厳しい衛生管理が必要とされる調理場や医療施設等の殺菌消毒剤として使用されている。かかるオゾン水は、例えば対向する電極に電圧を印加させて放電させ、その間に酸素を流通させることによりオゾンを発生させた後、当該オゾンを水に溶解させることにより得られるものとされている。
【0003】
然るに、オゾン水のオゾン濃度(溶存オゾン濃度)は、使用環境等によって変化する可能性があるため、例えば特許文献1で開示されているように、使用する現場において当該オゾン濃度を測定することができるオゾン水濃度測定装置が提案されるに至っている。このようなオゾン水濃度測定装置によれば、被測定対象としてのオゾン水を流通させる過程において、そのオゾン濃度を測定し、その測定値を数字でデジタル表示するよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−209125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のオゾン水濃度測定装置においては、オゾン濃度を測定し、その測定値を数字でデジタル表示するものでるので、その測定時点でのオゾン濃度を把握することができるものの、経時的な変化傾向(オゾン濃度が時間経過と共に高くなっているのか或いは低くなっているのか等の傾向)を把握するのが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、オゾン濃度の経時的変化傾向をより容易に把握させることができるオゾン水濃度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、筐体としての測定装置本体と、該測定装置本体内に形成され、オゾン水を流通させるオゾン水流路と、該オゾン水流路を流通するオゾン水のオゾン濃度を測定する濃度測定手段とを具備したオゾン水濃度測定装置において、前記濃度測定手段で測定されたオゾン濃度を経時的な変化傾向を示すグラフとしてリアルタイムに表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のオゾン水濃度測定装置において、前記表示手段は、指で触れて所定の入力が可能なタッチパネルから成ることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のオゾン水濃度測定装置において、前記濃度測定手段で所定時間毎に測定されたオゾン濃度を記憶する記憶手段を具備するとともに、当該記憶手段が前記測定装置本体に対して脱着自在とされて成ることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のオゾン水濃度測定装置において、前記記憶手段は、独立した電源を有することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4記載のオゾン水濃度測定装置において、前記記憶手段は、所定時間毎に記憶したオゾン濃度のデータを外部に出力するための出力端子を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、濃度測定手段で測定されたオゾン濃度を経時的な変化傾向を示すグラフとしてリアルタイムに表示する表示手段を備えたので、オゾン濃度の経時的変化傾向をより容易に把握させることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、表示手段は、指で触れて所定の入力が可能なタッチパネルから成るので、オゾン濃度の経時的な変化傾向を示すグラフの表示に加え、所定の入力を行うことができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、濃度測定手段で所定時間毎に測定されたオゾン濃度を記憶する記憶手段を具備するとともに、当該記憶手段が測定装置本体に対して脱着自在とされて成るので、当該記憶手段を測定装置本体から取り外して作業者が携帯することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、記憶手段は、独立した電源を有するので、当該記憶手段を測定装置本体から取り出した状態で種々作動及び駆動等を単独で行わせることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、記憶手段は、所定時間毎に記憶したオゾン濃度のデータを外部に出力するための出力端子を具備したので、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)等にオゾン濃度のデータを出力させて、過去のオゾン濃度の変化を情報化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るオゾン水濃度測定装置を示す側面図及び正面図
【図2】同オゾン水濃度測定装置の内部構成を上方から見た状態を示す透視図
【図3】同オゾン水濃度測定装置の内部構成を示す模式図
【図4】同オゾン水濃度測定装置における記憶手段を示す側面図及び正面図
【図5】同オゾン水濃度測定装置における表示手段(グラフ表示した画面)を示す正面図
【図6】同オゾン水濃度測定装置における表示手段(設定時の画面)を示す正面図
【図7】本発明の他の実施形態に係るオゾン水濃度測定装置を示す模式図
【図8】本発明の更に他の実施形態に係るオゾン水濃度測定装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るオゾン水濃度測定装置は、オゾン水のオゾン濃度(溶存オゾン濃度)を測定するためのもので、図1〜3に示すように、筐体としての測定装置本体1と、該測定装置本体1内に配設されて液体(オゾン水及び水)を流通可能なオゾン水導入路5、水導入路6及び排出路7と、濃度測定手段9と、表示手段10と、記憶手段12とから主に構成されている。尚、オゾン水導入路5と排出路7とで本発明の「オゾン水流路」が構成されている。
【0019】
測定装置本体1は、本オゾン水濃度測定装置を構成する種々構成要素を収容した箱状のもので、当該測定装置本体1の正面に配設されて開閉可能な扉1a、保護部材1b及び電源スイッチSと、オゾン水を導入可能なオゾン水導入口2と、水(原水)を導入可能な水導入口3と、オゾン水又は水を排出可能な排水口4とを有して構成されている。尚、オゾン水導入口2には、圧力が付与されたオゾン水を導入可能な流路(不図示)、水導入口3には、圧力が付与された水(水道水等の原水)を導入可能な流路(不図示)がそれぞれ接続可能とされている。更に、測定装置本体1には、その内部に冷却ファンFや故障表示手段15が配設されているとともに、運転出力端子a、上限警報出力端子b及び下限警報出力端子cがそれぞれ形成されている。尚、故障表示手段15は、扉1aに配設されてもよい。
【0020】
オゾン水導入路5、水導入路6及び排出路7は、測定装置本体1内に配設された可撓性の管状部材から成るもので、当該オゾン水導入路5の途中には切換弁8が接続され、該切換弁8に水導入路6が接続されている。これにより、切換弁8を作動させることにより、濃度測定手段9に導入する液体をオゾン水から原水或いは原水からオゾン水に切り換え可能とされている。尚、水導入路6の途中には止水弁14が接続されており、当該水導入路6の流路を任意に開閉可能とされている。
【0021】
濃度測定手段9は、オゾン水導入路5及び排出路7(オゾン水流路)を流通するオゾン水のオゾン濃度を測定するためのもので、例えば流通するオゾン水を挟んで対向して配設された発光手段(紫外線ランプ等)及び受光手段(受光素子等)から成るセンサと、該センサで検出された値からオゾン濃度を算出可能な演算部とを有している。これにより、オゾン水導入口2からオゾン水導入路5を介して導入されたオゾン水は、そのオゾン濃度が濃度測定手段9にて測定された後、排出路7を介して排水口4から排出されることとなる。
【0022】
また、切換弁8を作動させて濃度測定手段9に導入する液体をオゾン水から原水に切り換えることにより、当該濃度測定手段9の校正等を図ることができる。然るに、本実施形態においては、圧力が付与されたオゾン水及び圧力が付与された水(水道水等の原水)が導入されるため、これら流路を流通させるための駆動源は不要とされるが、例えば図7に示すように、溜水手段Aに収容されたオゾン水をオゾン水導入口2から導入する場合、或いは図8に示すように、溜水手段Aに収容されたオゾン水に加え、溜水手段Bに収容された水(原水)を水導入口3から導入する場合は、ポンプPの如き駆動源を接続するようにしてもよい。尚、この場合のポンプPは、図示の如く測定装置本体1内に配設されていても、或いは当該測定装置本体1外に配設されていてもよい。
【0023】
表示手段10は、制御部11を介して濃度測定手段9と電気的に接続されたものであり、本実施形態においては、指で触れて所定の入力が可能なタッチパネルから成る。この表示手段10は、図5に示すように、濃度測定手段9で測定されたオゾン濃度を経時的な変化傾向を示すグラフ(折れ線グラフ)としてリアルタイムに表示可能とされている。即ち、濃度測定手段9にて測定されたオゾン濃度は、所定時間毎に表示手段10に表示され、過去の測定結果と共にグラフとして表示されるようになっているのである。表示されるグラフは、横軸が経過時間及び縦軸がオゾン濃度の測定値を示す折れ線グラフから成るものであるが、当該折れ線グラフに代えて他のグラフ(棒グラフ等)としてもよい。
【0024】
然るに、表示手段10においては、上記の如くオゾン濃度の経時的な変化傾向を示すグラフの他、現在の測定値を数字で示す表示部10a、及び所定の指示を行わせる表示部10b、10cが表示される。例えば表示部10bを指等で触れると、設定されているレンジが変更されるとともに、表示部10cを指等で触れると、グラフ表示を停止させ得るようになっている。また、表示手段10は、図6に示すように、その画面を設定モードとすることができ、上限設定値や下限設定値、或いはホールドタイム(設定値の継続時間)等を設定することができるようになっている。
【0025】
記憶手段12は、濃度測定手段9で所定時間毎に測定されたオゾン濃度を記憶するためのもの(所謂データロガーと称されるもの)であり、図4に示すように、電源スイッチ12aと、出力端子12bと、外部機器と接続してデータ(種々設定のためのデータ等)の入力が可能な入力端子12c、12dと、ディスプレイ12eとを有して構成されている。このうち出力端子12bは、所定時間毎に記憶したオゾン濃度のデータを例えば外部のパーソナルコンピュータ(パソコン)に出力するための端子から成る。
【0026】
かかる記憶手段12は、作業者が携帯可能な大きさとされるとともに、測定装置本体1内の取付部材13に取り付けられて濃度測定手段9と電気的に接続可能とされている。即ち、記憶手段12は、測定装置本体1に対して脱着自在とされており、必要時、取付部材13から取り外されて外部に携行可能とされるとともに、当該取付部材13に戻して再び濃度測定手段9で所定時間毎に測定されたオゾン濃度を記憶し得るようになっている。
【0027】
更に、本実施形態に係る記憶手段12は、内部に独立した電源E(図4参照)を有しており、取付部材13から取り外された状態においても、データの入出力動作や表示動作等を可能としている。この電源Eは、例えばボタン電池等の乾電池から成るものとされ、寿命時に交換が容易に可能とされたものとされるが、これに代え、充電可能な二次電池とすることができる。
【0028】
上記実施形態によれば、濃度測定手段9で測定されたオゾン濃度を経時的な変化傾向を示すグラフとしてリアルタイムに表示する表示手段10を備えたので、作業者が当該表示手段10で表示されたグラフを視認することで、オゾン濃度の経時的変化傾向をより容易に把握させることができる。従って、例えば測定されたオゾン濃度が規定値に達しない場合やオゾン濃度が所期より過多の場合、その対処を早急且つスムーズに行わせることができる。
【0029】
また、表示手段10は、指で触れて所定の入力が可能なタッチパネルから成るので、オゾン濃度の経時的な変化傾向を示すグラフの表示に加え、条件設定等の所定の入力を行うことができる。更に、濃度測定手段9で所定時間毎に測定されたオゾン濃度を記憶する記憶手段12を具備するとともに、当該記憶手段12が測定装置本体1に対して脱着自在とされて成るので、当該記憶手段12を測定装置本体1から取り外して作業者が携帯することができる。
【0030】
また、記憶手段12は、独立した電源Eを有するので、当該記憶手段12を測定装置本体1から取り出した状態で種々作動及び駆動等を単独で行わせることができる。更に、記憶手段12は、所定時間毎に記憶したオゾン濃度のデータを外部に出力するための出力端子12bを具備したので、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)等にオゾン濃度のデータを出力させて、過去のオゾン濃度の変化を情報化することができる。
【0031】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば表示手段がタッチパネルから成るものでなく単にグラフを表示するもの、或いは記憶手段を具備しないもの等としてもよい。また、本実施形態おいては、校正のために原水を流通させる水導入路6を具備しているが、他の手段或いは方法により校正可能なものであれば、当該水導入路6を具備しないものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
濃度測定手段で測定されたオゾン濃度を経時的な変化傾向を示すグラフとしてリアルタイムに表示する表示手段を備えたオゾン水濃度測定装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 測定装置本体
2 オゾン水導入口
3 水導入口
4 排水口
5 オゾン水導入路(オゾン水流路)
6 水導入路
7 排出路(オゾン水流路)
8 切換弁
9 濃度測定手段
10 表示手段(タッチパネル)
11 制御部
12 記憶手段
12b 出力端子
13 取付部材
14 止水弁
15 故障表示手段
E 電源
F 冷却ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体としての測定装置本体と、
該測定装置本体内に形成され、オゾン水を流通させるオゾン水流路と、
該オゾン水流路を流通するオゾン水のオゾン濃度を測定する濃度測定手段と、
を具備したオゾン水濃度測定装置において、
前記濃度測定手段で測定されたオゾン濃度を経時的な変化傾向を示すグラフとしてリアルタイムに表示する表示手段を備えたことを特徴とするオゾン水濃度測定装置。
【請求項2】
前記表示手段は、指で触れて所定の入力が可能なタッチパネルから成ることを特徴とする請求項1記載のオゾン水濃度測定装置。
【請求項3】
前記濃度測定手段で所定時間毎に測定されたオゾン濃度を記憶する記憶手段を具備するとともに、当該記憶手段が前記測定装置本体に対して脱着自在とされて成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のオゾン水濃度測定装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、独立した電源を有することを特徴とする請求項3記載のオゾン水濃度測定装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、所定時間毎に記憶したオゾン濃度のデータを外部に出力するための出力端子を具備したことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のオゾン水濃度測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−160090(P2010−160090A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3228(P2009−3228)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(592245904)株式会社ハマネツ (11)
【Fターム(参考)】