説明

オゾン発生装置用放電セル

【課題】オゾン発生装置用板型放電セルにおいて、製造コストの低減を可能にし、合わせて高濃度オゾンガスの生成を可能にする。
【解決手段】 高圧電極140と、低圧側の冷却板を兼ねる低圧電極120との間に誘電体130,130を配置して放電空隙70を形成する。高圧電極140の背面側に、高圧側の冷却板160と絶縁のために高圧絶縁板150を配置する。これらの板材をタイロッド170により締め付けて固定する。高圧絶縁板150の厚みを、高圧電極150と低圧電極120との間に配置される誘電体130,130の合計厚みの0.5倍以上、3.5倍以下とする。高圧電極140の厚みを誘電体130,130の合計厚みの5倍以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン発生装置に使用される板型の放電セルに関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン発生装置に使用される放電セルは板型と管型に大別され、板型はさらに円板型と角板型に細分される。板型放電セルは、高圧電極と低圧電極の間に誘電体を用いて形成される放電空隙を狭くしやすいこと、その放電空隙寸法を面内で均等化しやすいことなどから、高濃度オゾンの生成に多用されている。板型放電セルの典型的な構造を以下に説明する。
【0003】
四角形のセラミック板などからなる板状の誘電体を所定の隙間をあけて対向配置する。1対の誘電体は、背面側の各表面に被覆形成された電極層を有しており、これにより誘電体間に放電空隙を形成する。一対の電極層は一方が高圧電極、他方が低圧電極であり、両者の間に所定の高周波高電圧を印加することにより、誘電体の間の放電空隙で放電を発生させ、ここを通過する原料ガスをオゾン化する。低圧電極の側の誘電体を省略する場合もあり、この場合は高圧電極の側の誘電体と低圧電極との間に放電空隙が形成される。
【0004】
放電空隙は、オゾン発生効率を高めるために、両面側、すなわち両電極の背面側から強制的に冷却されることが多い。この両面冷却のために、高圧電極及び低圧電極の各背面側に絶縁板を介して冷媒流路が形成される。そして、通常はこのような両面冷却構造をもつ板型放電セルを単位セルとして、その複数を板材積層方向に積層した積層型セルとして使用される。このような両面冷却構造をもつ板型放電セルの一つが特許文献1に記載されたセラミックブロック構造の放電セルである。
【0005】
このような板型放電セルにおける設計因子としては、高圧電極と低圧電極の間に配置される1対の誘電体の厚み、1対の誘電体間に形成される放電空隙のギャップ量、高圧電極及び低圧電極の各背面側に配置される高圧絶縁板及び低圧絶縁板の各板厚等がある。
【0006】
誘電体は、電極間で無声放電を発生させるためにこの間の誘電率を高めることを目的としており、電極間距離を小さくして放電電圧を下げるために、誘電体の板厚は薄い方が良いとされている。但し、誘電体を薄くし過ぎると、平坦度の低下等が生じ、現状は1枚当たり0.1〜2mm程度に選択されている。
【0007】
誘電体は又、原料ガス及びオゾンガスが電極と接触するのを回避するために、高圧電極及び低圧電極の両方に接して設けられることが多い。すなわち両電極を誘電体で覆い、両誘電体の間に放電空隙を形成する。しかし、オゾンガスのクリーン度が要求されない場合は、前述したとおり片方の電極側(通常は高圧電極側)にのみ設けられることもある。
【0008】
放電空隙のギャップ量については、冷却によるオゾン発生効率向上のために小さい方が良いとされており、この観点から現状は0.4mm以下まで小さくされており、0.1mm以下の場合も珍しくない。
【0009】
絶縁板の厚みに関しては、高圧絶縁板の厚みが重要である。高圧絶縁板は、内側の高圧電極と外側(背面側)の冷媒(冷却水)との間を電気的に絶縁するものである。高圧電極と背面側の冷却水との間の絶縁が不十分であると、背面側の冷却水の方へ無効電流が流れ、放電空隙への電流が減少する結果、オゾン発生効率が低下する。このために、高圧絶縁板の厚みは、現状でも数mm以上と十分に厚くされている。
【0010】
しかしながら、厚肉の高圧絶縁板は非常に高価であり、製法面から1mmを超えると急激に高価となる。すなわち、高圧絶縁板についてはアルミナ板などが使用されるが、1mm以下のものはドクターブレード法等により大量生産が可能で、いきおい製造コストも安価となるが、1mmを超える厚板は鋳込み・削り出しなどによる製法が必要となり、急激に高価となるのである。
【0011】
なお、低圧絶縁板については、低圧電極と外側(背面側)の冷媒(冷却水)とが同電位であるために、電気的な面からは不要であり、むしろ低圧電極に冷媒(冷却水)が直接接触するのを阻止する観点や機械的強度を確保する観点から使用されている。このため、厚いものは必要はなく、もっぱら経済性の点から1mm以下の薄いものが多用されており、膜状のものでもよい。
【0012】
このように、従来のオゾン発生装置用放電セルでは、厚みの大きい高圧絶縁板の使用が不可欠とされており、その使用による絶縁板コストの増大が放電セルコストを押し上げる一因となっているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−268902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、オゾン発生効率の低下を回避しつつ、絶縁板コストの低減を可能にする高性能で経済的なオゾン発生装置用放電セルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、以前よりオゾン発生装置用放電セルにおける誘電体の厚み及び絶縁板の厚みの、オゾン生成効率に及ぼす影響を種々調査してきた。その結果、絶縁板の厚み、特に、放電セルの製造コストを押し上げる一因になってきた高圧絶縁板の厚みが、従来から考えられているようにオゾン発生効率上、不可欠であるとは言えないことが明らかになってきた。
【0016】
すなわち、高圧絶縁板は、前述したとおり、内側の高圧電極と外側(背面側)の冷媒(冷却水)との間を電気的に絶縁するものであり、十分な厚みを確保しないと、冷媒(冷却水)の側へ無効電流が流れ、放電空隙における放電電流が減少して、オゾン発生効率を低下させる結果になるのは事実である。しかし、その一方で、この高圧絶縁板は内側の高圧電極と外側の冷却水との間にあって、冷却水による高圧電極側からの放電空隙の冷却を阻害する最大の原因になっている。このため、高圧絶縁板を薄くすると高圧電極側からの冷却が促進され、オゾン発生効率が向上することになる。
【0017】
つまり、高圧絶縁板は、放電空隙における高効率な放電の点からは厚い方がよく、一方、放電空隙の冷却の点からは薄い方がよいのである。そして、従来は前者の電気的な面が一義的に重要視され、この観点から高圧絶縁板は数mm以上というように十分に厚くされてきた。
【0018】
ところが、オゾン発生装置用放電セルにおける高圧絶縁板の厚みとオゾン発生効率の関係を、本発明者が詳細に調査した結果は、放電空隙の冷却を重視して高圧絶縁板を薄くする方が、放電空隙における電気的ロスは生じるものの、トータルとしては放電空隙におけるオゾン発生効率が上がり、結果として高濃度のオゾンガスが得られるという、非常に意外なものであった。
【0019】
このような調査結果から、本発明者は所定の交流電圧が印加される高圧電極と低圧電極の間に放電空隙を形成するべく少なくとも一方の電極に接して電極間に誘電体が配置されており、且つ放電空隙を両面側から冷却するべく両電極の外側に冷媒流路が形成されると共に、高圧側の冷媒流路を高圧電極から絶縁するために両者の間に高圧絶縁板が配置されたオゾン発生装置用放電セルにおいて、高圧絶縁板の板厚を、高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚の0.5倍以上、3.5倍以下としたオゾン発生装置用放電セルを開発した。
【0020】
このオゾン発生装置用放電セルにおいては、高圧絶縁板の板厚が従来より薄くされる。より具体的には、高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚との関係において従来より薄くされ、これにより放電空隙における冷却能が上がり、電流ロスを補って余りあることからオゾン発生効率が向上する。誘電体の総厚と高圧絶縁板の板厚を関連させることの正当性は後で詳しく説明する。
【0021】
高圧絶縁板の板厚を高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚の0.5倍以上、3.5倍以下としたのは、0.5倍未満では背面側(冷媒側)への無効電流が増大して、放電空隙における冷却促進による効率向上を打ち消すことによりオゾン発生効率が低下し、逆に3.5倍超の場合は高圧電極側からの冷却が極端に不足し、無効電流は実質生じないものの、全体としてオゾン発生効率が低下するからである。特に好ましい倍率は0.5倍以上、2倍以下、より好ましい倍率は1倍以上、1.5倍以下である。
【0022】
高圧絶縁板の板厚を薄くすることの利点は以上のとおりであるが、その一方では高圧絶縁板の機械的強度の低下が生じる。従来の板厚が厚い高圧絶縁板は、機械的強度が高く、放電セルにおける平面度の確保に寄与しており、その結果として放電空隙におけるギャップ量分布の均一化にも寄与している。このため、高圧絶縁板の板厚を薄くすると、放電セルにおける平面度、ギャップ量分布の均一性を低下させるおそれが生じる。
【0023】
より詳しく説明すると、特許文献1に示すようなブロック一体構造の放電セルの場合は、セル全体で機械的強度を確保するモノコック構造であるため、本来的に機械的強度が高い。このため、高圧絶縁板の板厚減少による平面度低下の問題は生じ難い。ところが、板材を板厚方向に重ね合わせてタイロッドにより締め付け固定した組立タイプの放電セルの場合は、モノコック構造にはならず、剛性確保の中心となる部材を必要とするフレーム構造となる。そして、そのフレームとして、これまでは高圧絶縁板の寄与度が大きく、これが薄くなることにより平面度低下等の問題が発生するのである。
【0024】
本発明のオゾン発生装置用放電セルは、かかる知見を基礎として完成されたものであり、所定の交流電圧が印加される高圧電極と低圧電極の間に放電空隙を形成するべく少なくとも一方の電極に接して電極間に誘電体が配置されており、且つ放電空隙を両面側から冷却するべく両電極の外側に冷媒流路が形成されると共に、高圧側の冷媒流路を高圧電極から絶縁するために両者の間に高圧絶縁板が配置されたオゾン発生装置用放電セルにおいて、高圧電極の厚みを、高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚の5倍以上としたものである。
【0025】
本発明のオゾン発生装置用放電セルにおいては、高圧電極の厚みを、高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚に比して5倍以上と厚くしたので、機械的強度が向上し、高い平面度及びギャップ量分布の均一性が確保される。このため、本発明のオゾン発生装置用放電セルは、高圧電極を高圧側の冷媒から絶縁する高圧絶縁板の板厚を、高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚との関係において0.5倍以上、3.5倍以下と薄くした場合に有効であり、特に、板材を板厚方向に重ね合わせてタイロッドにより締め付け固定した組立タイプの放電セルにおいて、高圧絶縁板の板厚を薄くした場合に有効である。高圧電極の望ましい厚みは誘電体の総厚の10倍以上である。高圧電極はアルミニウムなどの金属板からなり、熱伝導性も良好なので、これを厚くすることは、放電空隙の高圧電極側からの冷却を阻害する原因には殆どならない。
【0026】
誘電体は、高圧電極側と低圧電極側の両方に配置されていてもよいし、片側だけでもよい。クリーン度が要求される場合は両側に配置するのがよく、特に高いクリーン度が要求されない場合は片側だけでもよい。片側の場合は高圧電極側に設けられることが多い。
【0027】
低圧側の冷媒流路と低圧電極との間の低圧絶縁板は必ずしも必要でない。なぜなら、低圧側の冷媒流路と低圧電極が同電位(接地電位)であるからである。低圧側からの冷却促進、絶縁板コストの点からも、低圧絶縁板は不要であり、使用する場合も薄い方がよい。しかし、機械的強度の確保、低圧電極の被覆という点からは存在した方がよく、その板厚としては0.1mm以上、1mm以下が好ましく、剛性が要求されない場合はμmオーダー(薄膜レベル)でもよい。厚過ぎる場合は必要以上に機械的強度が増大し、冷却能、経済性が悪化する。
【0028】
そして今一つ重要なことは、高圧絶縁板を薄くした本発明の放電セルの場合、これを複数段に積層することにより、オゾン濃度が更に上昇するという事実である。この点から、高圧絶縁板を薄くした本発明の放電セルを単位セルとして、これを複数段に積層した積層構造が好ましい。換言すれば、両面冷却構造をもつ板型放電セルを単位セルとして、その複数を板材積層方向に積層した積層型セルにおいて、本発明は特に効果的である。
【0029】
誘電体、絶縁板等は通常セラミックスで構成される。そのセラミックスは純度80%以上のアルミナが好ましく、純度90%以上、なかでも95%以上のアルミナが特に好ましい。アルミナが適する理由はセラミックスのなかでは安価であり、かつ耐薬品性及び耐スパッタ性をもつ材料だからである。また高純度が好ましいのはオゾンガスのクリーン度を高めるためである。セラミックス板を積層する際の接合には無機系接合材が好適であり、その無機系接合材は接合性、汚染防止の点からガラス系接合材が好ましい。
【0030】
セラミック板のうちの誘電板については誘電板中の不純物を低減すると、オゾン濃度の低下が問題になる。この問題を解決するために、誘電板の少なくとも放電空隙と接する表層部分に酸化チタンを含有させるのがよく、アルミナ基板中に酸化チタンをTi元素量比率で0.006〜6重量%含有させた焼結体が、オゾン発生特性及びクリーン度の両面から特に好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明のオゾン発生装置用放電セルは、高圧電極の厚みを、高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚との関係において厚くすることにより、第1に、機械的強度が向上し、高い平面度及びギャップ量分布の均一性を確保できるので、オゾン発生効率に好影響を与える。高圧電極は熱伝導性の良好なアルミニウム板などからなるため、これを厚くしても放電空隙の高圧側からの冷却を阻害する問題は生じない。第2に、組立式放電セルで高圧絶縁板を薄くした場合に問題となる機械的強度の低下等を回避でき、高い平面度及びギャップ量分布の均一性を確保することができる。高圧電極を高圧側の冷媒から絶縁する高圧絶縁板の板厚を、高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚との関係において従来より薄くすることにより、オゾン発生効率を高め、オゾンガスの高濃度化を可能にする。また、高圧絶縁板の板厚の減少により絶縁板コストをさげ、放電セルコストの低減を可能にする。これらにより高性能で経済的なオゾン発生装置の提供を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】高圧絶縁板の板厚と誘電体の総厚との関係を調査するための放電セルの分解斜視図である。
【図2】同放電セルの模式断面図である。
【図3】同放電セルの等価回路である。
【図4】本発明の実施形態を示す放電セルの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は高圧絶縁板の板厚と誘電体の総厚との関係を調査するためのオゾン発生装置用放電セルの分解斜視図、図2は同放電セルの模式断面図、図3は同放電セルの等価回路である。
【0034】
本オゾン発生装置用放電セルは、図1及び図2に示すように、正方形をした複数枚の板材を板厚方向に一体的に積層したブロック構造の板型放電セルである。複数枚の板材は、いずれも高純度アルミナの焼成板であり、ガラス系の接合層50を介して接合されている。各板材の四隅部には位置決め用の貫通孔が設けられており、その角部は丸みを付与されている。
【0035】
中間の2枚の板材は誘電体10A,10Bである。その厚みは例えば0.3mmである。各誘電体10の平行な両側縁部には、各側縁に沿った長孔形状の貫通孔11,11が設けられている。貫通孔11,11はガス流通用であり、両側縁部の両端部を除くほぼ全域に連続的、直線的に設けられている。各誘電体10の他の平行な両側縁部、すなわち前記貫通孔11,11に直角な両側縁部には、各側縁に沿った長孔形状の貫通孔12,12が設けられている。貫通孔12,12は冷媒流通用であり、両側縁部の両端部を除くほぼ全域に連続的、直線的に設けられている。
【0036】
誘電体10,10の対向面には、貫通孔11,11の一方から他方に至る多数の並列したガス流路13,13を形成するために、ガス流路13,13の部分を除いてセラミックス層14,14が積層されておる。ガス流路13,13は合体して誘電体10,10の間に放電空隙70を形成する。
【0037】
セラミックス層14は、アルミナ粉末とガラス粉末とで製造したペーストを対向面のガス流路以外の部分に印刷し、これを所定厚まで繰り返した後、ガラス粉末の融点以上の温度で焼成することにより形成されている。セラミックス層14,14の各厚み、すなわちガス流路13を形成するためのリブ高は例えば35μmである。
【0038】
誘電体10,10の背面側の表面には電極層15A,15Bが被覆形成されている。電極層15Aは高圧電極、15Bは低圧電極であり、いずれもが例えば銀ペーストの印刷塗布・焼成により形成される厚みが5μmの金属薄膜であり、貫通孔11,11,12,12に囲まれた正方形の領域に設けられている。電極層15の隣り合う2つのコーナー部は、誘電板10のコーナー部に張り出して、円形の端子部16,16を形成している。そして、一方の電極層15Aにおける端子部16,16は、誘電板10Aの隣り合う2つのコーナー部に設けられており、他方の電極層15Bにおける端子部16,16は、電極層15Aにおける端子部16,16と重ならないように、誘電体10Bの別の隣り合う2つのコーナー部に設けられている。
【0039】
誘電体10A,10Bの外側に配置される板材は、絶縁板20A,20Bである。一方の絶縁板20Aは高圧絶縁板、他方の絶縁板20Bは低圧絶縁板であり、高圧絶縁板20Aは内側の高圧電極15Aを外側の冷媒と絶縁することを目的としており、その厚みは従来より薄い例えば0.9mmとされている。低圧絶縁板20Bは専ら機械的強度の確保を目的としており、その厚みは例えば0.3mmとされている。すなわち、高圧絶縁板20Aの厚みは、電極層15A,15Bの間に配置された誘電体10A,10Bの合計厚み(0.6mm)の1.5倍とされている。
【0040】
絶縁板20A,20Bの平行な両側縁部には、貫通孔11,11に対応する長孔形状のガス流通用の貫通孔21,21が設けられている。絶縁板20A,20Bの他の平行な両側縁部には、貫通孔12,12に対応する長孔形状の冷媒流通用の貫通孔22,22が設けられている。
【0041】
絶縁板20A,20Bの外側に配置される板材は冷媒流路を形成するためのスリット板30A,30Bである。その厚みは例えば0.5mmである。各スリット板30の平行な両側縁部には、貫通孔11,11,21,21に対応する長孔形状のガス流通用の貫通孔31,31が設けられている。貫通孔31,31の間には、冷媒流路を形成するために多数のスリット33,33・・が平行に設けられている。スリット33,33・・の両端部は、冷媒流通用の貫通孔22,22とオーバーラップするように、各スリット板30の他の平行な両側縁部に到達している。
【0042】
スリット板30A,30Bの更に外側に配置される板材は蓋板40A,40Bである。一方の蓋板40Aの厚みは例えば4〜5mm、他方の蓋板40Bの厚みは例えば2mmである。一方の蓋板40Aには、内側のスリット板30Aの貫通孔31,31にそれぞれ連通するガス供給孔41a及びガス排出孔41bが設けられている。蓋板40Aの裏面には、スリット33,33・・の両端部、すなわち貫通孔12,12,22,22に対応するように1対の凹部が設けられている。そして蓋板40Aには、裏面側の1対の凹部に各連通する冷媒供給孔42a及び冷媒排出孔42bが設けられている。
【0043】
これらの板材(高純度アルミナの焼結板)は次のようにして接合されている。
【0044】
各板材の接合面にガラス系の接合用ペーストを例えば30μm程度の厚みに塗布する。接合用ペーストは、ガラス粉末をバインダーと混練して所定粘度に調整したものである。接合用ペーストの塗布が終わると、板材を加熱炉に装入し、接合用ペーストをガラス粉末の融点である例えば850℃以上の温度で焼成する。接合用ペーストの焼成が終わると、各板材を重ね合せ、四隅部の貫通孔に位置決めピン60を刺し通す。4本の位置決めピン60は棒状リードを兼ねており、そのうちの2本は、高圧電極層15Aの端子部16,16と導通し、残りの2本は、低圧電極層15Bの2つの端子部16,16と導通する。最後に、重ね合わせた板材を加熱炉に装入し、接合用ペーストをガラス粉末の融点である例えば850℃以上の温度で焼成する。
【0045】
この焼成により、誘電体10A,10B、その外側の絶縁板20A,20B、その外側のスリット板30A,30B、更にその外側の蓋板40A,40Bが、ガラス系の接合層50を介して接合されることになり、本実施形態の放電セルが完成する。完成した放電セルの特徴は以下のとおりである。
【0046】
誘電体10A,10Bの間でガス流路13,13が合体することにより、誘電体10A,10Bの間に放電用の閉空間、すなわち放電空隙70が形成される。ガス流路13,13を形成するセラミック層14,14の各厚みは例えば35μmであり、この場合の放電空隙70のギャップ量は70μmとなる。セラミック層14,14の一方を省略することが可能であり、この場合の放電空隙70のギャップ量は半分の35μmとなる。誘電板10A,10Bの背面側の表面に被覆形成された電極層15A,15Bは、端子部16,16と共に、誘電板10とその外側に接合された絶縁板20との間にガラス系の接合層50により封入され絶縁される。
【0047】
誘電板10Aの背面側に設けられた高圧電極層15Aの端子部16,16は2本の棒状リード60,60により蓋板40Aの外側に引き出されて電源と接続される。一方、誘電板10Bの背面側に設けられた低圧電極層15Bの端子部16,16は別の2本の棒状リード60,60により蓋板40Aの外側に引き出されて接地される。
【0048】
誘電体10の貫通孔11,11、絶縁板20の貫通孔21,21、スリット板30の貫通孔31,31が板材積層方向に連続することにより、放電空隙70に連通する縦向きで横長のガス流路80,80が積層体内に形成される。また、誘電体10の貫通孔12,12、絶縁板20の貫通孔22,22が板材積層方向に連続することにより、スリット板30におけるスリット33,33・・の両端部に連通する縦向きで横長の冷媒流路が積層体内に形成される。
【0049】
放電セルの運転では、2本の棒状リード60,60を介して、高圧電極層15Aに所定の高周波高電圧を印加する。これと共に、積層方向に形成された2つの縦向きガス流路80,80の一方に、蓋板40Aのガス供給孔41aから原料ガスを導入し、積層方向に形成された2つの縦向き冷媒流路の一方に、蓋板40Aの冷媒供給孔42aから冷却水を導入する。
【0050】
ガス流路80,80の一方に導入された原料ガスは、誘電体10A,10Bの間に形成された放電空隙70を一端部から他端部へ向かい、この間にオゾン化されてガス流路80,80の他方に至り、蓋板40Aのガス排出孔41bから外部へ排出される。2つの冷媒流路の一方に導入された冷却水は、スリット板30A,30Bの各スリット33,33・・を長手方向に流通し、2つの冷媒流路の他方を通って蓋板40Aの冷媒排出孔42bから排出される。これにより、電極層15A,15Bの間の誘電体10A,10B間に形成された放電空隙70が、両面側から絶縁板20A,20Bを介して冷却される。
【0051】
本オゾン発生装置用放電セルでは、高圧電極層15Aに所定の高周波高電圧が印加され、低圧電極層15Bは冷却水と共に接地されている。このため、放電セルにおける等価回路は図3のようになる。すなわち、誘電体10A,放電空隙70及び誘電体10Bの直列回路に高圧絶縁板20Aが並列に挿入されることになる。図中、C10A は誘電体10Aのコンデンサ容量、C70は放電空隙70のコンデンサ容量、C10B は誘電体10Bのコンデンサ容量、C20A は高圧絶縁板20Aのコンデンサ容量である。放電空隙70のコンデンサ容量C70は、誘電体10A,10Bのコンデンサ容量C10A ,C10B に比して小さく、直列回路のコンデンサ容量に大きな影響を与えない。直列回路のコンデンサ容量は誘電体10A,10Bのコンデンサ容量C10A ,C10B に支配されるわけである。
【0052】
高圧絶縁板20Aが従来のように厚い場合は、そのコンデンサ容量が大きく、高圧側の冷却水への無効電流は殆ど生じない。しかし、本放電セルでは、高圧絶縁板20Aを従来より薄くしている。具体的には、高圧電極層15Aと低圧電極層15Bとの間に配置される誘電体10A,10Bの総厚(0.6mm)の1.5倍弱に相当する0.8mmとされている。このため、誘電体10A,放電空隙70及び誘電体10Bの合計容量に比して高圧絶縁板20Aのコンデンサ容量が減少し、高圧側の冷却水への無効電流の発生が無視できなくなる。しかし、高圧電極層15Aに印加される電圧は交流であるために、絶縁性の低下による電気的な悪影響は比較的少ない。むしろ、スリット板30Aの各スリット33,33・を流通する冷却水(高圧側の冷却水)により、誘電体10A,10Bの間の放電空隙70が従来より効果的に冷却され、無効電流によるロスを十分に補うことにより、オゾン発生効率が向上し、向上しないまでも効率低下は生じない。
【0053】
すなわち、高圧絶縁板20Aを薄くすることによる空隙冷却能の向上、これによるオゾン発生効率上のメリットが、絶縁性低下による放電空隙70での放電電流の減少、これによるオゾン発生効率上のデメリットを相殺、乃至は凌ぎ、結果としてオゾン発生効率が向上乃至は維持されるのである。
【0054】
加えて、本オゾン発生装置用放電セルでは、原料ガス及びオゾンガスは縦向きガス流路80,80の一方から誘電体10A,10B間の放電空隙70を通り縦向きガス流路80,80の一方に至る。ここで、縦向きガス流路80,80は高純度アルミナの板材をガラス接合層50で接合した積層体内に形成されており、高純度アルミナの板材もガラス接合層50も汚染源を含まないクリーンな無機系の非金属材料である。また、放電空隙70は、高純度アルミナ板からなる誘電体10A,10Bの間にリブ構造のセラミック層14及びガラス接合層50により形成されており、セラミック層14もガラス接合層50と同じくクリーンな無機系の非金属材料である。更に、電極層15は誘電板20とその背面側の絶縁板20との間にガラス接合層50により封入されている。
【0055】
これらのため、原料ガス及びオゾンガスは、金属に直接接触しないことはもとより、汚染源を含まないクリーンな無機系の非金属材料により形成されたクリーンな流通経路のみを通過する。換言すれば、接ガス部は全てクリーン材料により構成されている。したがって、放電セルによる原料ガス及びオゾンガスの汚染の危険がなく、クリーン度の高いオゾンガスが生成される。
【0056】
図4は本発明の実施形態を示すオゾン発生装置用放電セルの模式断面図である。
【0057】
本実施形態のオゾン発生装置用放電セルは、板状部材を板厚方向に積層して機械的に締め付け固定した組立式の放電セルである。この放電セルは、ボトムプレート100とトッププレート110の間に、低圧側の冷却板を兼ねる低圧電極120、一対の誘電板130,130、高圧電極140、高圧絶縁板150及び高圧側の冷却板160を下から上へ順番に重ねた積層体を配置した構成になっている。
【0058】
ボトムプレート100とトッププレート110は複数本のタイロッド170により、離間距離が変わらないように連結されており、トッププレート110にねじ込まれたボルト状の固定具180で高圧側の冷却板160を圧下することにより積層体を積層方向に押圧してボトムプレート100上に固定している。
【0059】
低圧側の冷却板を兼ねる低圧電極120と高圧側の冷却板160は実質的に同じ構成であり、2枚のステンレス鋼板の接合面間にエッチング等により冷媒流路を形成した構成になっている。一対の誘電板130,130は、アルミナなどのセラミック板からなり、間に放電空隙70を形成するために複数のスペーサー190を挟んでいる。この誘電板130,130は、第1実施形態における誘電板10A,10Bと同様にリブを介して接合した一体構造でもよい。
【0060】
高圧電極140は導電性及び熱伝導性に優れたアルミニウムなどの厚板からなり、その上の高圧絶縁板150はアルミナなどのセラミック板からなる。そして、高圧絶縁板150の板厚は、誘電板130,130の総厚の0.5倍以上、3.5倍以下に低減されており、一方、高圧電極140の厚みは誘電板130,130の総厚の5倍以上に厚くされている。
【0061】
具体的に説明すると、誘電板130,130の各板厚を0.3mm、総厚を0.6mmとすると、高圧絶縁板150の板厚はその総厚の1.5倍の0.9mmとされており、一方、高圧電極140の厚みは誘電板130,130の総厚の10倍である6mmに設定されている。また、ステンレス鋼板などの金属板からなる低圧側の冷却板を兼ねる低圧電極120及び高圧側の冷却板160の板厚はいずれも2mmと薄くされている。
【0062】
このような構成のオゾン発生装置用放電セルでは、積層体がトッププレート110と共に、エンドプレート100上のカバー200内に収容されている。カバー200はエンドプレート100と共に圧力容器を構成しており、その圧力容器内に原料ガスである酸素ガスが供給される。また、誘電板130,130の間の放電空隙70に放電を発生させるべく、低圧電極120と高圧電極140の間に所定の高周波高電圧が印加される。更に、低圧側の冷却板を兼ねる低圧電極120及び高圧側の冷却板160に冷媒としての冷却水が供給される。
【0063】
圧力容器内に供給された酸素ガスは誘電板130,130の間の放電空隙70を通過し、この間にオゾン化されてオゾンガスとなる。オゾンガスは下側の誘電板130、低圧電極120及びボトムプレート100に形成されたガス流路210を通って圧力容器の外へ導出される。
【0064】
ここで、高圧絶縁板150の板厚はその総厚の1.5倍の0.9mmと薄くされている。このため、誘電体130、放電空隙70及び誘電体130の合計容量に比して高圧絶縁板150のコンデンサ容量が減少し、高圧側の冷却水への無効電流の発生が無視できなくなる。しかし、高圧電極150に印加される電圧は交流であるために、絶縁性の低下による電気的な悪影響は比較的少ない。むしろ、高圧絶縁板150を薄くしたことにより、低圧電極120及び高圧側の冷却板160による両面側からの冷却効率が上がり、無効電流によるロスを十分に補うことにより、オゾン発生効率が向上し、向上しないまでも効率低下は生じない。
【0065】
一方、低圧側の冷却板を兼ねる低圧電極120及び高圧側の冷却板160は薄い金属板であるために、それらの剛性は低い。誘電板130,130の厚みも小さく剛性が低い。その上、高圧絶縁板150が薄くされている。このままだと、固定具180による固定に伴ってこれらの平面度が低下し、放電空隙70におけるギャップの均一性が低下し、オゾン発生効率に悪影響を与える。しかし、本実施形態のオゾン発生装置用放電セルでは、高圧電極150を厚くしているので、これがフレームとなって剛性を確保し、固定具180による固定に伴う平面度の低下、これによる放電空隙70におけるギャップの均一性低下を回避する。また、高圧電極150は熱伝導性の良好なアルミニウム板などからなるため、これを厚くしても放電空隙70の高圧側からの冷却を阻害する問題は生じない。
【0066】
次に、高圧絶縁板の厚みがオゾン濃度に及ぼす影響を定量的に示す比較試験について説明し、高圧絶縁板の厚みを薄くすることがオゾン濃度に悪影響を及ぼさないことを明らかにする。
【0067】
比較試験1として、図1及び図2に示す放電セルにおいて高圧絶縁板20Aの厚みを種々変更した。誘電体10A,10Bの各厚みは0.3mm、総厚は0.6mmとした。放電空隙70におけるギャップ量は35μm、低圧絶縁板20Bの厚みは0.3mm、スリット板30A,30Bの各厚みは0.5mmとした。高圧絶縁板20Aの厚みは、誘電体10A,10Bの総厚(0.6mm)に対し、3.3倍の2mm、1.3倍の0.8mm、0.5倍の0.3mmの3種類とした。
【0068】
原料ガスは高純度酸素ガス(6N)、その流量は0.5L/min(N)、入口圧力は0.25MPaとした。冷却水は水量3L/min、温度20℃とした。誘電体10A,10Bの材質はTiO2 添加アルミナとした。放電電圧とオゾン濃度の関係は、放電電圧を大きくするに従ってオゾン濃度が上昇し、ある放電電圧をピークとしてその後はオゾン濃度が低下する傾向を示す。この最大オゾン濃度を示す放電電圧は、セル仕様により変わるが、ここでは高圧絶縁板20Aの厚みが0.8mmの場合にオゾン濃度が最大となる放電電圧を基準電圧として、この放電電圧時のオゾン濃度を測定し、この濃度にて高圧絶縁板20Aの厚みとオゾン濃度との関係を調査した。
【0069】
オゾン濃度は、高圧絶縁板20Aの板厚が誘電体総厚の3.3倍の2mmの場合で348g/m3 (N)、1.3倍の0.8mmの場合で357g/m3 (N)、0.5倍の0.3mmの場合で343g/m3 (N)であった。これからわかるように、高圧絶縁板の減厚はオゾン濃度低下の原因にならず、その減厚により絶縁板コストを低下できる。
【0070】
比較試験2として、放電空隙70におけるギャップ量を70μmとした。他の条件は同じである。オゾン濃度は、高圧絶縁板20Aの板厚が誘電体総厚の3.3倍の2mmの場合で287g/m3 (N)、1.3倍の0.8mmの場合で282g/m3 (N)、0.5倍の0.3mmの場合で290g/m3 (N)であった。この場合も、高圧絶縁板の減厚はオゾン濃度低下の原因にならず、その減厚により絶縁板コストを低下できることが分かる。
【0071】
比較試験3として、実施例1における誘電体10A,10B、その外側の絶縁板20A,20B、及びその外側のスリット板30A,30Bを単位セルとして10段に積層し、蓋板40A,40Bの間に挟んだ。隣接する単位セル間では、スリット板30A,30Bを共用した。放電空隙70におけるギャップ量は35μmである。放電電圧、放電空隙70におけるガス量、スリット板30A,30Bにおける冷却水量を含め、他の条件は比較試験1と同じとした。
【0072】
放電空隙70におけるギャップ量が35μmの場合で比較して、セル構造が単層から10層に変わることにより、オゾン濃度は高圧絶縁板20Aの板厚が2mmの場合には348g/m3 (N)から358g/m3 (N)に、0.8mmの場合には357g/m3 (N)から405g/m3 (N)に、0.3mmの場合には343g/m3 (N)から352g/m3 (N)にそれぞれ上昇した。
【0073】
比較試験4として、実施例2における誘電体10A,10B、その外側の絶縁板20A,20B、及びその外側のスリット板30A,30Bを単位セルとして10段に積層し、蓋板40A,40Bの間に挟んだ。隣接する単位セル間では、スリット板30A,30Bを共用した。放電空隙70におけるギャップ量は70μmである。放電電圧、放電空隙70におけるガス量、スリット板30A,30Bにおける冷却水量を含め、他の条件は比較試験2と同じとした。
【0074】
放電空隙70におけるギャップ量が70μmの場合で比較しても、セル構造が単層から10層に変わることにより、オゾン濃度は高圧絶縁板の板厚が2mmの場合には287g/m3 (N)から297g/m3 (N)に、0.8mmの場合には282g/m3 (N)から325g/m3 (N)に、0.3mmの場合には290g/m3 (N)から295g/m3 (N)にそれぞれ上昇した。
【0075】
このように、現時点で理由は明確ではないが、放電セル構造の多層化はオゾン濃度の向上に有効である。
【0076】
図1及び図2に示したオゾン発生装置用放電セルは角板型放電セルであるが、円板型放電セルでもよい。この放電セルでは、高圧電極層15Aと低圧電極層15Bとの間に誘電体10A,10Bを電極層15A,15Bに接して設けたが、片方を省略してもよい。また設計上、十分なセル強度が得られるならば、低圧絶縁板20Bを省略することも可能である。
【0077】
同様に、図4に示した本実施形態のオゾン発生装置用放電セルも、角板型放電セル、円板型放電セルのいずれでもよい。また、高圧側の冷却板160、或いは低圧側の冷却板を兼ねる低圧電極120を共用する形で、放電セルを背中合わせに積層することも可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 誘電板
11,12 貫通孔
13 ガス流路
14 セラミック層
15 電極層
16 端子部
20 絶縁板
21,22 貫通孔
30 スリット板
31 貫通孔
33 スリット
40 蓋板
41 ガス孔
42 冷媒孔
50 ガラス接合層
60 棒状リード
70 放電空隙
80 縦向きガス流路
100 エンドプレート
110 トッププレート
120 低圧側の冷却板を兼ねる低圧電極
130 誘電板
140 高圧電極
150 高圧絶縁板
160 高圧側の冷却板
170 タイロッド
180 固定具
190 スペーサー
200 カバー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の交流電圧が印加される高圧電極と低圧電極の間に放電空隙を形成するべく少なくとも一方の電極に接して電極間に誘電体が配置されており、且つ放電空隙を両面側から冷却するべく両電極の外側に冷媒流路が形成されると共に、高圧側の冷媒流路を高圧電極から絶縁するために両者の間に高圧絶縁板が配置されたオゾン発生装置用放電セルにおいて、高圧電極の厚みが、高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚の5倍以上であるオゾン発生装置用放電セル。
【請求項2】
板材を板厚方向に重ね合わせてタイロッドにより締め付け固定した組立型であり、且つ高圧絶縁板の板厚が、高圧電極と低圧電極の間に配置された誘電体の総厚の0.5倍以上、3.5倍以下である請求項1に記載のオゾン発生装置用放電セル。
【請求項3】
高圧電極と低圧電極の間に両電極に接して一対の誘電体が配置されており、一対の誘電体の間に放電空隙が形成されている請求項1又は2に記載のオゾン発生装置用放電セル。
【請求項4】
高圧電極と低圧電極の間に、高圧電極のみに接して1枚の誘電体が配置されており、該誘電体と前記低圧電極の間に放電空隙が形成されている請求項1又は2に記載のオゾン発生装置用放電セル。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−167009(P2012−167009A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87460(P2012−87460)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2006−76576(P2006−76576)の分割
【原出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】