説明

オルガノシランの製造方法

本発明の主題は、一般式(1) R2SiX2(1)のジオルガニルジハロゲンシランを製造するにあたり、一般式(2) X2SiH2(2)のジハロゲンジヒドロゲンシランを、一般式(3) R′3SiH(3)のシランと混合して、一般式(4) R−X(4)のハロゲン炭化水素と、アルカン、ジアゼン及びオルガノジシランから選択したラジカル開始剤の存在下で反応させ、前記式中、Rは、一価のC1〜C18−炭化水素基を意味し、R′は、一価のC1〜C18−炭化水素基、水素又はハロゲンを意味し、そして、Xはハロゲンを意味する、一般式(1)のジオルガニルジハロゲンシランを製造する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル開始剤の存在下でのヒドロゲンシラン及びハロゲン炭化水素からのオルガノシランの製造方法に関する。
【0002】
先行技術については、公開公報DE 10349286 A1における導入部が参照される。この公開公報では、特にフェニルクロロシランを、そのつど相応する水素クロロシランから出発してクロロベンゼンを用いてラジカル開始剤の存在下で製造することが記載されている。
【0003】
ジフェニルジクロロシランの製造には、例えばこの場合に、その高い発火能(発火温度55℃)のために設備安全性に関する試練が大きいジクロロシランから出発しなくてはならない。工業的規模においては、方法に典型的な条件下での物質放出に伴う−即ち、通常はジクロロシランの発火温度の遙か上方にある表面温度に伴う−運転障害が、これによって、破滅的な影響を有することがある。
【0004】
本発明の課題は、高い特異的収率でもって、不所望な副生成物をほとんど形成せず、かつ安全に取り扱い可能である、ジオルガニルジハロゲンシランを製造する方法を提供することである。
【0005】
本発明の主題は、一般式(1)
【化1】

のジオルガニルジハロゲンシランを製造するにあたり、
一般式(2)
【化2】

のジハロゲンジヒドロゲンシランを
一般式(3)
【化3】

のシランと混合して、
一般式(4)
【化4】

のハロゲン炭化水素と、
アルカン、ジアゼン及びオルガノジシランから選択したラジカル開始剤の存在下で反応させ、
前記式中、
Rは、一価のC1〜C18−炭化水素基を意味し、
R′は、一価のC1〜C18−炭化水素基、水素又はハロゲンを意味し、そして
Xはハロゲンを意味する、
一般式(1)のジオルガニルジハロゲンシランを製造する方法である。
【0006】
一般式(2)のジハロゲンジヒドロゲンシラン、特にジクロロシランと、一般式(3)のシラン、特にトリクロロシランとの混合物は、一般式(3)のシランの割合が増加すると共に、発火温度の上昇を示す。例えば、10質量%のジクロロシランと90質量%のトリクロロシランからの混合物は既に発火温度130℃を有する。5〜50質量%のジクロロシランと、相応して95〜50質量%のトリクロロシランを有する混合物は、例えば、蒸留物として、半導体産業又は光起電産業のための超純シリコンの製造のためのクロロシラン製造の際に大量に生じる。
【0007】
このクロロシラン混合物を使用すると、本発明の方法によって、クロロベンゼンとの反応によって、ジフェニルジクロロシランもフェニルトリクロロシランも含有する混合物が得られる。この両方の生成物が必要とされるので、ジクロロシラン及びトリクロロシランからの混合物を用いて進行し、従って一工程で両方の反応生成物を製造する、フェニルトリクロロシランを生ずるために用いられる製造設備が適当である。場合によって必要な精製は、この製造に続いて、例えば蒸留により行われることができる。この運転方式によって、時間及びコスト集約的な搬入相及び搬出相並びに投資額は完全な新設備において回避される。
【0008】
意外なことに、一般式(2)のシランと一般式(3)のシランとからの混合物を使用すると、一般式(2)のまじりけのないシランの使用に比較して、−一般式(4)のSiH/ハロゲン炭化水素の同じ比で−、一般式(2)のシランの反応量に対して、一般式(1)のジオルガニルジハロゲンシランのより高い収率が生ずることが見出された。
【0009】
同時に、不所望な副生成物の形成、例えばジクロロシランからのジフェニルジクロロシランの製造の場合の不所望なフェニルジクロロシランの形成、並びに、ベンゼン及び塩素化ビフェニルの発生、が抑制され、このことは精製を簡易化する。
【0010】
好ましくは、500℃で少なくとも5秒間、特に少なくとも3秒間、好ましくは最長で30秒間、特に最長で15秒間のうちに半分だけ分解するラジカル開始剤が使用される。
【0011】
好ましくは、ラジカル開始剤として、
一般式(5)
【化5】

[式中、
1〜R6は、アルキル基、又は
1及びR4はフェニル基、R2、R3、R5及びR6は水素基又はアルキル基、又は
1及びR4はフェニル基、R2及びR5はフェニル基又はアルキル基、R3及びR6はトリアルコキシシロキシ基、又は
1、R2、R4及びR5はフェニル基、R3及びR6は水素基、アルキル基又はトリアルキルシロキシ基であってよい]のアルカン、又は、
一般式(6)
【化6】

[式中、R7及びR8は、C1〜C18−炭化水素基であってよい]
のジアゼン、又は
一般式(7)
【化7】

[式中、R9及びR10は、ハロゲン基又はC1〜C18−炭化水素基であってよい]
のオルガノジシラン、が使用される。
【0012】
好ましいアルキル基はこの場合に、C1〜C6−アルキル基、特にメチル基、エチル基又はn−プロピル基、そして好ましいトリアルキルシロキシ基はトリメチルシロキシ基である。R7及びR8は、好ましくはアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。R9及びR10は、好ましくはC1〜C6−アルキル基、特にメチル基又はエチル基又は塩素である。
【0013】
特に良好な結果は、1,2−ジフェニルエタン、2,3−ジフェニル−2,3−ジメチルブタン、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、3,4−ジメチル−3−ジフェニルヘキサン、ジシクロヘキシルジアゼン及びジ−t−ブチルジアゼンで達成される。
【0014】
X及びR′はこの意味合いにおいてハロゲン、好ましくはフッ素、塩素及び臭素、特に塩素である。特に好ましくは一般式(2)のシランはジクロロシランである。
【0015】
好ましくは基R′はフェニル基又はC1〜C6−アルキル基、特にメチル基又はエチル基又は塩素である。一般式(3)の好ましい化合物は、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン及びエチルジクロロシランである。
【0016】
特に好ましくは一般式(3)のシランはトリクロロシランである。しかし、一般式(3)の様々な化合物の混合物も本発明の方法において使用できる。
【0017】
好ましくは基RはC=C二重結合を有する。基Rは好ましくはアルケニル基であって好ましくは2〜6個の炭素原子を有するもの、例えばビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、5−ヘキセニル基、エチニル基、ブタジエニル基、ヘキサジエニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、好ましくはビニル基及びアリル基;アリール基、例えばフェニル基;アルカリール基、アラルキル基、アルケニルアリール基又はアリールアルケニル基;フェニルアルケニル基である。
【0018】
特に好ましくは、一般式(4)のハロゲン炭化水素は、ハロゲンベンゼン、特にクロロベンゼンである。
【0019】
好ましくは、一般式(4)のハロゲン炭化水素を、一般式(2)及び(3)のヒドロゲンシランの混合物と、ハロゲン:Si結合した水素のモル比最高4:1、特に最高1.5:1.0、少なくとも1:4、特に好ましくは最高3:1で反応させる。ラジカル開始剤として使用されるアルカン又はジアゼンの量はこの場合に好ましくは、一般式(4)のハロゲン炭化水素及び一般式(2)及び(3)のヒドロゲンシランの使用される混合物に対して、少なくとも0.005質量%、特に少なくとも0.01質量%、最高で3質量%、特に最高で0.5質量%である。オルガノジシラン、特にジシラン(例えば、ジクロロジメチルシランのRochow合成の蒸留残留物からの高沸性分画)のラジカル開始剤としての使用では、一般式(4)のハロゲン炭化水素及び一般式(2)及び(3)のヒドロゲンシランの使用される混合物に対して、好ましくは少なくとも1質量%、特に少なくとも2質量%、最高15質量%、特に最高10質量%が使用される。
【0020】
特にジフェニルジクロロシランが、ジクロロシランからクロロベンゼンとの反応によって本発明の方法により製造される。
【0021】
クロロベンゼンと、ジクロロシラン及びトリクロロシランからの混合物との反応によるフェニルトリクロロシランと混合したジフェニルジクロロシランの製造では、本発明の方法の好ましい一実施態様では、超純シリコン製造のためのクロロシラン蒸留からの製造流が使用される。これは、ジクロロシラン及びトリクロロシランの他に、好ましくは最大50%までの割合で、冶金学的ケイ素と塩化水素から出発したクロロシラン合成由来の他のクロロシランを含有し、これは好ましくはテトラクロロシラン及びメチルジクロロシランである。
【0022】
この他に、少ない程度(untergeordnet Masse)で、金属塩化物、例えば塩化アルミニウム、塩化チタン及び塩化鉄が含まれていることができる。一般式(2)のジハロゲンジヒドロゲンシラン:一般式(3)のシランの質量比は好ましくは少なくとも1:99、特に少なくとも5:95、好ましくは最高90:10、特に好ましくは最高50:50、特に最高30:70である。このそのつど所望される混合比は任意に、様々なシラン品質/−混合物の混合により実現されることができる。
【0023】
本発明の方法は好ましくは少なくとも300℃、特に少なくとも400℃、好ましくは最高800℃、特に好ましくは最高600℃の温度で実施される。好ましくは周囲雰囲気の圧力で又はより低い、スクラバーシステム及び吸排気システムによって調節される過圧、即ち約1000〜1200hPaで、任意に、より高い圧力でも実施され、かつ、好ましくは以下工程に分けられる:
1.出発材料の混合工程
2.反応混合物の加熱工程
3.反応混合物の冷却/凝縮工程
4.任意の、蒸留又は結晶化による個々の成分の精製工程。
【0024】
本発明の方法は好ましくは鋼製の反応器中で実施され、その際、一般式(2)及び(3)のヒドロゲンシランと一般式(4)のハロゲン炭化水素からの混合物、好ましくはクロロベンゼン並びにジクロロシランとトリクロロシラン及びラジカル開始剤からの混合物を好ましくは蒸気状で供給する。このために好ましくは、この液状成分−混合装置(固定ミキサー又は能動ミキサー(Aktivmischer))中で所望の比で混合されるか又は直接的に混合物としてプロセス中で生じる−が蒸発器(Verdampfer)を通じて送られ、そしてこの蒸気が引き続き熱交換器を通じて送られ、これによって、ほぼ反応温度でもって反応区域中に入り込む。この配置はさらに、難揮発性開始剤も反応器中に輸送されることを確実にする。室温で固形のラジカル開始剤が好ましい一実施態様においてクロロベンゼン中の溶液の形で使用される。反応器中の反応混合物の滞留時間は好ましくは少なくとも2秒間、特に少なくとも5秒間、最高80秒間、特に最高50秒間である。
【0025】
反応混合物の個々の成分の精製を、好ましくは揮発性成分、特に反応の際に形成されるハロゲン水素の分離後に、蒸留又は結晶化によって、特に好ましくは減圧下での蒸留によって行う。この形成されるハロゲン水素は好ましくはスクラバーシステム中に結合し、任意に中和されるか又は特に好ましくは利用に供される。好ましくは本発明の方法は連続的に実施される。この場合に、例えば反応の完全化のために、この反応混合物の後処理からの部分流を再度反応器中に供給することが好ましくあることがある。例えば、ジクロロシラン−トリクロロシラン−混合物とクロロベンゼンとの反応の際には本発明の方法では、不完全な反応でフェニルジクロロシランが生じ、これは、出発材料混合物と混合して蒸留により単離され、再度反応器中に供給されることができる。
【0026】
部材中の材料は支配的な圧力及び温度でこの媒体に対して抵抗性がなくてはならない。鋼の他に、石英、グラファイト、シリコン、炭化ケイ素及び窒化ケイ素が好ましく考慮される。
【0027】
ハロゲンシランの加水分解感受性に基づき、出発材料中の湿分は大幅に排除されなくてはならない。この使用物質中の水濃度は、ケイ酸及びオリゴマーの又はポリマーのシロキサンの形成を回避するために、好ましくは0.5質量%を超えない。同様に、酸素及び酸素含有化合物が、可能性のある不所望な副反応のために、好ましくは痕跡量範囲においてだけ寛容できる(<0.2%)。
【0028】
この流速(kg/h)は反応器モデル(容積、圧損)に応じて、限度内で変動可能に調節でき、かつ、経済的観点において最適化できる。例えば、より良好な空時収率を達成すべき場合には、流量を低下させ、これによって、滞留時間を高めることが有用であり得る。反対に、ここから、反応器システム中の固形物質の沈殿を生じることがある、不所望な反応が生じ得る。
【0029】
以下実施例及び比較例において、そのつど他のことが記載されていない限りは、全ての量及びパーセントの記載は質量に対し、かつ、全体的な反応は0.10MPa(abs.)の周囲圧及び20℃の周囲温度で実施される。
【0030】
実施例
装置:
アルゴン又は窒素のための導入弁を備える蒸発器フラスコ、反応区域として加熱ジャケットを備える取付管、冷却ジャケットを備えるブリッジ部、凝縮可能な反応生成物のための試料採取フラスコ及び冷却ジャケットを備える排ガス管からなる石英ガラス装置中で、ジクロロシラン並びにトリクロロシラン及びジクロロシランからの混合物とクロロベンゼンとの反応を様々な条件で実施できる。蒸発器フラスコ周囲のシリコーンオイルで稼働する加熱浴を170℃に温度調節し、この冷却を(同様にシリコーンオイルを用いて)−35℃に温度調節した。組み込んだスクラバーを備える排ガスシステムを介して、この装置中に雰囲気圧力に対して約60mbarの過圧が設定される。反応区域中の温度を熱電対を用いて算出し、このサーモスタットは加熱反応区域中に突出する。この試料を試料採取フラスコから底部弁を通じて排気した試料容器を用いて取り出し、かつ、ガスクロマトグラフィで分析する。
【0031】
手順:
アルゴンでの不活性化後に、この石英管を電気的加熱手段を用いて所望の温度にする。貯蔵コンテナからハロゲンシラン/ハロゲン炭化水素/開始剤−混合物(クロロシランはWacker Chemie AGの製品である)を蒸発器フラスコ中に計量供給する。この液体計量供給を、計量供給した量が可能な限り迅速に完全に蒸発される速度で行う。さらに、不活性化のために5l/hのアルゴンを導入する。この凝縮物は数秒間後に試料採取フラスコ中に集まる。代表的な量が集まるとすぐに、この計量供給を停止し、試料をこの液状凝縮物からアルゴン付加下で取り出し、ガスクロマトグラフ中に注入する。
【0032】
実施例1
クロロベンゼン354g、トリクロロシラン75g、ジクロロシラン25g(モル比SiH:クロロベンゼン=1:3)及び1,2−ジフェニルエタン0.5gからの混合物を、速度80g/hで蒸発器フラスコ中に計量供給した。反応区域中の温度は600℃であり、滞留時間は10秒であった。30分後に、この計量供給を終了した。約40gの黄色凝縮物が貯蔵フラスコ中に集まった。ガスクロマトグラフィ分析によれば、この凝縮物は未反応ジクロロシラン(0.28%)の他、トリクロロシラン(4.11%)及びクロロベンゼン(68.9%)
12.33% フェニルトリクロロシラン
1.83% ジフェニルジクロロシラン
1.97% フェニルジクロロシラン
3.37% テトラクロロシラン
4.95% ベンゼン及び0.372% モノクロロビフェニル異性体混合物を含有した。
ここから、ジクロロシラン変換率95%及びジフェニルジクロロシランに関する収率15%(理論の)が算出される。
【0033】
比較例1
クロロベンゼン468g、ジクロロシラン70g(モル比SiH:クロロベンゼン=1:3)及び1,2−ジフェニルエタン0.5gからの混合物を80g/hの速度で蒸発器フラスコ中に計量供給した。反応区域中の温度は600℃であり、滞留時間は10秒であった。30分後に、この計量供給を終了した。38gの黄色凝縮物が貯蔵フラスコ中に集まった。ガスクロマトグラフィ分析によれば、この凝縮物は未反応ジクロロシラン(1.17%)の他、トリクロロシラン(1.69%)及びクロロベンゼン(74%)
6.17g フェニルトリクロロシラン
3.61g ジフェニルジクロロシラン
4.8% フェニルジクロロシラン
5.64% ベンゼン及び0.445% モノクロロビフェニル異性体混合物を含有した。
ここから、91%のジクロロシラン変換率及びジフェニルジクロロシランに関する収率11.5%(理論の)が算出される。
【0034】
実施例2
クロロベンゼン354g、トリクロロシラン75g、ジクロロシラン25g(モル比SiH:クロロベンゼン=1:3)及び1,2−ジフェニルエタン0.5gからの混合物を、速度80g/hで蒸発器フラスコ中に計量供給した。反応区域中のこの温度は650℃であり、この滞留時間は10秒であった。30分間後に、この計量供給を停止した。37gの黄色凝縮物が貯蔵フラスコ中に集まった。ガスクロマトグラフィ分析によれば、この凝縮物は未反応ジクロロシラン(0.03%)の他、トリクロロシラン(1.22%)及びクロロベンゼン(69%)
17.9% フェニルトリクロロシラン
2.6% ジフェニルジクロロシラン
0.66% フェニルジクロロシラン
5.1% テトラクロロシラン
7.53% ベンゼン及び0.634% モノクロロビフェニル異性体混合物を含有した。
ここから、ジクロロシラン変換率99%及びジフェニルジクロロシランに関する収率17.5%(理論の)が算出される。
【0035】
比較例2
クロロベンゼン468g、ジクロロシラン70g(モル比SiH:クロロベンゼン=1:3)及び1,2−ジフェニルエタン0.5gからの混合物を80g/hの速度で蒸発器フラスコ中に計量供給した。反応区域中のこの温度は650℃であり、この滞留時間は10秒であった。30分間後に、この計量供給を停止した。33gの黄色凝縮物が貯蔵フラスコ中に集まった。ガスクロマトグラフィ分析によれば、この凝縮物は未反応ジクロロシラン(0.19%)の他、トリクロロシラン(0.80%)及びクロロベンゼン(66%)
10.7% フェニルトリクロロシラン
5.11% ジフェニルジクロロシラン
1.82% フェニルジクロロシラン
8.87% ベンゼン及び0.738% モノクロロビフェニル異性体混合物を含有した。
ここから、ジクロロシラン変換率99%及びジフェニルジクロロシランに関する収率13%(理論の)が算出される。
【0036】
実施例3
クロロベンゼン354g、トリクロロシラン75g、ジクロロシラン25g(モル比SiH:クロロベンゼン=1:3)及び1,2−ジフェニルエタン0.5gからの混合物を100g/hの速度で蒸発器フラスコ中に計量供給した。反応区域中のこの温度は600℃であり、この滞留時間は8秒であった。30分間後に、この計量供給を停止した。48gの黄色凝縮物が貯蔵フラスコ中に集まった。ガスクロマトグラフィ分析によれば、この凝縮物は未反応ジクロロシラン(0.45%)の他、トリクロロシラン(5.29%)及びクロロベンゼン(68.4%)
11.82% フェニルトリクロロシラン
1.67% ジフェニルジクロロシラン
2.28% フェニルジクロロシラン
3.42% テトラクロロシラン
4.82% ベンゼン及び0.334% モノクロロビフェニル異性体混合物を含有した。
ここから、ジクロロシラン変換率92%及びジフェニルジクロロシランに関する収率13%(理論の)が算出される。
【0037】
比較例3
クロロベンゼン468g、ジクロロシラン70g(モル比SiH:クロロベンゼン=1:3)及び1,2−ジフェニルエタン0.5gからの混合物を100g/hの速度で蒸発器フラスコ中に計量供給した。反応区域中のこの温度は600℃であり、この滞留時間は8秒であった。30分間後に、この計量供給を停止した。48gの黄色凝縮物が貯蔵フラスコ中に集まった。ガスクロマトグラフィ分析によれば、この凝縮物は未反応ジクロロシラン(1.15%)の他、トリクロロシラン(1.83%)及びクロロベンゼン(73.54%)
6.21g フェニルトリクロロシラン
3.56g ジフェニルジクロロシラン
4.79% フェニルジクロロシラン
5.79% ベンゼン及び0.459% モノクロロビフェニル異性体混合物を含有した。
ここから、ジクロロシラン変換率91%及びジフェニルジクロロシランに関する収率10%(理論の)が算出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

のジオルガニルジハロゲンシランを製造するにあたり、
一般式(2)
【化2】

のジハロゲンジヒドロゲンシランを
一般式(3)
【化3】

のシランと混合して、
一般式(4)
【化4】

のハロゲン炭化水素と、
アルカン、ジアゼン及びオルガノジシランから選択したラジカル開始剤の存在下で反応させ、
前記式中、
Rは、一価のC1〜C18−炭化水素基を意味し、
R′は、一価のC1〜C18−炭化水素基、水素又はハロゲンを意味し、そして
Xはハロゲンを意味する、
一般式(1)のジオルガニルジハロゲンシランを製造する方法。
【請求項2】
500℃で少なくとも5〜30秒間の間に半分分解するラジカル開始剤を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ラジカル開始剤として、
一般式(5)
【化5】

[式中、
1〜R6は、アルキル基、又は
1及びR4はフェニル基、R2、R3、R5及びR6は水素基又はアルキル基、又は
1及びR4はフェニル基、R2及びR5はフェニル基又はアルキル基、R3及びR6はトリアルコキシシロキシ基、又は
1、R2、R4及びR5はフェニル基、R3及びR6は水素基、アルキル基又はトリアルキルシロキシ基であってよい]のアルカン、又は、
一般式(6)
【化6】

[式中、R7及びR8は、C1〜C18−炭化水素基であってよい]
のジアゼン、又は
一般式(7)
【化7】

[式中、R9及びR10は、ハロゲン基又はC1〜C18−炭化水素基であってよい]
のオルガノジシラン、が使用される請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
一般式(4)のハロゲン炭化水素がクロロベンゼンである、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
一般式(4)のハロゲン炭化水素を、一般式(2)及び(3)のヒドロゲンシランの混合物と、ハロゲン:Si結合した水素のモル比4:1〜1:4で反応させる、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ジクロロシランとクロロベンゼンとの反応によりジフェニルジクロロシランを製造する、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
一般式(2)のジハロゲンジヒドロゲンシランと一般式(3)のシランの質量比が1:99〜50:50である、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
温度300℃〜800℃で実施する請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
一般式(4)のハロゲン炭化水素と一般式(2)及び(3)のヒドロゲンシランの使用される混合物に対して、ラジカル開始剤としてアルカン又はジアゼンを0.005質量%〜3質量%使用する、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2013−508433(P2013−508433A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535740(P2012−535740)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065668
【国際公開番号】WO2011/051133
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】