説明

オルガノポリシロキサン及びその製造方法

【課題】モノマー含有量及び高分子量体も少なく、分子量分布がシャープであり、環状体ポリシロキサン成分の多いオルガノポリシロキサン及びその製造方法を提供する。
【解決手段】式(1)XSi(OR13・・・(1)(Xは官能基を含んでいてもよい1価炭化水素基、R1は1価炭化水素基)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を含む有機ケイ素化合物原料を加水分解、重縮合することによって得られるオルガノポリシロキサンであって、Mw/Mnが1.2以下であり、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における式(1)で表される化合物由来のピークのアルコキシ基が2つ加水分解縮合し、シロキサン単位となった成分(T2)において、環状体成分を表すピーク成分(T2a)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b)との比率(T2a/T2b)が0.9以上であるオルガノポリシロキサン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー含有量及び高分子量体も少なく、分子量分布がシャープであり、環状体ポリシロキサン成分の多いオルガノポリシロキサン及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オルガノポリシロキサンの製造方法として、オルガノクロロシラン或いはオルガノアルコキシシランを種々の触媒を使用し、加水分解、重縮合し、製造することができることは知られている。例えば、特開2002−226490号公報(特許文献1)では、n−プロピルエトキシシロキサンを製造する際に、n−プロピルトリエトキシシランを塩酸触媒を用いて、エタノール及び水を加え、還流下で反応させることで合成している。また、特許第3474007号公報(特許文献2)においては、有機官能基含有アルコキシシランを中性の含フッ素化合物存在下で加水分解、重縮合させることでポリシロキサンが製造可能であることが開示されている。その他、加水分解縮合触媒としては、酸、塩基、金属触媒等各種化合物が提案されているが、これら従来知られている触媒を使用した場合、モノマーを含めた低重合度化合物を選択的に加水分解、重縮合させる方法ではなく、モノマーが残存するにもかかわらず、高分子量体が生成する製造方法であり、モノマー含有量が少なく、かつ高分子量体の少ないポリシロキサンの製造方法は見出されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−226490号公報
【特許文献2】特許第3474007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、モノマー含有量が少なく、高分子量体も少なく、環状体ポリシロキサン成分の多いオルガノポリシロキサン及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)
XSi(OR13・・・(1)
(式中、Xは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、及び、
場合により下記一般式(2)
r2sSi(OR1(4-r-s)・・・(2)
(式中、Yは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R2はYとは異なる炭素原子数1〜3の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基であり、rは0、1又は2、sは0又は1、r+sは0、1、2又は3である。但し、rが1の場合には、Yは式(1)におけるXとは異なる基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を含む有機ケイ素化合物原料を加水分解、重縮合し、オルガノポリシロキサンを製造する際に、オルガノポリシロキサンと分離状態となる液状の加水分解縮合触媒を使用することで、液状の触媒に溶解しやすいモノマーを含めた低分子量化合物を選択的に加水分解でき、溶解しにくいオルガノポリシロキサンが加水分解されにくいことから高分子量体が生成せず、環状体成分量が多く、分子量分布がシャープなオルガノポリシロキサンが製造可能であることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
従って、本発明は、下記オルガノポリシロキサン及びその製造方法を提供する。
〔請求項1〕
下記一般式(1)
XSi(OR13・・・(1)
(式中、Xは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、又は該有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と、下記一般式(2)
r2sSi(OR1(4-r-s)・・・(2)
(式中、Yは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R2はYとは異なる炭素原子数1〜3の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基であり、rは0、1又は2、sは0又は1、r+sは0、1、2又は3である。但し、rが1の場合には、Yは式(1)におけるXとは異なる基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と
を含む有機ケイ素化合物原料を加水分解、重縮合することによって得られる環状体オルガノポリシロキサンとリニア体オルガノポリシロキサンを含むオルガノポリシロキサンであって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析によるポリスチレン換算分子量における重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が1.2以下であり、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における式(1)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来のピークのアルコキシ基が2つ加水分解縮合し、シロキサン単位となった成分(T2成分)において、環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)が0.9以上であることを特徴とするオルガノポリシロキサン。
〔請求項2〕
式(1)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来のピークのアルコキシ基が2つ加水分解縮合し、シロキサン単位となった成分(T2成分)において、環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)が2.0以上である請求項1記載のオルガノポリシロキサン。
〔請求項3〕
下記一般式(1)
XSi(OR13・・・(1)
(式中、Xは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、又は該有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と、下記一般式(2)
r2sSi(OR1(4-r-s)・・・(2)
(式中、Yは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R2はYとは異なる炭素原子数1〜3の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基であり、rは0、1又は2、sは0又は1、r+sは0、1、2又は3である。但し、rが1の場合には、Yは式(1)におけるXとは異なる基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と
を含む有機ケイ素化合物原料を生成するオルガノポリシロキサンと分離状態となる液状の加水分解縮合触媒を使用して加水分解、重縮合を行うことを特徴とする請求項1記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
〔請求項4〕
加水分解縮合触媒が、尿素塩酸塩であることを特徴とする請求項3記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
〔請求項5〕
尿素塩酸塩が、尿素塩酸塩のアルコール溶液であることを特徴とする請求項4記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モノマー含有量及び高分子量体が少なく、分子量分布がシャープであり、環状体ポリシロキサン成分の多いオルガノポリシロキサンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1、比較例1のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析結果を示したものである。
【図2】実施例3におけるケイ素核磁気共鳴スペクトル分析結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明のオルガノポリシロキサンは、上述したように下記一般式(1)
XSi(OR13・・・(1)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、又は該有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と、下記一般式(2)
r2sSi(OR1(4-r-s)・・・(2)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とを含む有機ケイ素化合物原料を加水分解縮合し、オルガノポリシロキサンを製造する際にオルガノポリシロキサンと分離状態となる液状の加水分解縮合触媒を使用して加水分解、重縮合するものである。
【0010】
式(1)におけるXは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18、特に1〜14の1価炭化水素基を表しており、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等やこれらの1価炭化水素基の水素原子の1個又は2個以上が上記官能基によって置換された基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、ビニル基、アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、グリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキシルエチル基、メタクリロキシプロピル基、アクリロキシプロピル基、クロロプロピル基、メルカプトプロピル基、ウレイドプロピル基、イソシアネートプロピル基、フェニル基、アミノフェニル基、スチリル基、トリフロロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基等が挙げられ、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0011】
このような化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、エポキシヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0012】
式(2)におけるYは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基を表しており、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等やこれらの1価炭化水素基の水素原子の1個又は2個以上が上記官能基によって置換された基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、ビニル基、アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、グリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキシルエチル基、メタクリロキシプロピル基、アクリロキシプロピル基、クロロプロピル基、メルカプトプロピル基、ウレイドプロピル基、イソシアネートプロピル基、フェニル基、アミノフェニル基、スチリル基、トリフロロプロピル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基等が挙げられる。但し、rが1の場合、Yは式(1)におけるXと異なる基である。R2はYとは異なる炭素原子数1〜3の1価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。rは0、1又は2、sは0又は1、r+sは0、1、2又は3であり、好ましくは0、1又は2である。
【0013】
このような化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、エポキシヘキシルエチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。また、これらの式(2)に挙げた有機ケイ素化合物の混合物を使用することも可能である。
【0014】
本発明は、式(1)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、又はこれと式(1)とは異なる式(2)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とを含む有機ケイ素化合物原料を加水分解、重縮合するものであるが、その際、更に他の各種アルコキシシリル基含有有機ケイ素化合物を加えて加水分解、重縮合することも任意である。他の有機ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等のアルコキシシランやアルコキシシリル基含有ポリシロキサンが挙げられる。
【0015】
加水分解、縮合において各有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物のモル比は特に限定されない。式(1)の化合物単独でもよいが、各種特性を付与する目的で式(2)の化合物を加えてもよく、更に他の特性を付与する目的でその他の有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を加えることも任意であり、その際のモル比は、式(1):式(2):その他の有機ケイ素化合物=0.01〜1.0:0〜1.0:0〜1.0程度であるが、特に式(2)の有機ケイ素化合物を併用する場合は式(1)1モルに対し式(2)が0.01モル〜1.0モル、特に0.1モル〜1.0モルが好ましい。
【0016】
本発明は、オルガノポリシロキサンを製造する際にこのオルガノポリシロキサンと分離状態となる液状の加水分解縮合触媒を使用する。このようなオルガノポリシロキサンと分離状態となる液状の加水分解触媒であれば、特に限定されないが、特に尿素と塩酸との塩である尿素塩酸塩が好ましく、更に好ましくは尿素塩酸塩のアルコール溶液が好ましい。使用されるアルコールは、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いる加水分解縮合触媒の使用量も特に限定されず、触媒量でよいが、好ましくは式(1)の有機ケイ素化合物1mol(式(2)の有機ケイ素化合物を用いる場合は式(1)の有機ケイ素化合物と(2)式の有機ケイ素化合物の合計1モル)に対し0.001mol以上、より好ましくは0.01〜20mol、特に好ましくは0.1〜5molである。少なすぎると、加水分解縮合に時間がかかり、またモノマー残存量が多くなるおそれがあり、これよりも多い場合、オルガノポリシロキサンと分離状態が悪くなるおそれがあり、また経済的にも不利である。
【0018】
アルコール添加量も任意であるが、加水分解縮合触媒とアルコールとの合計量中に1〜99質量%程度であり、特に10〜60質量%程度が好ましい。
【0019】
特に好ましく使用する触媒である尿素塩酸塩の調製方法は、特に限定されないが、尿素をアルコール中に分散させ、濃塩酸或いは塩酸水を加えて調製した尿素塩酸塩の含水アルコール溶液を使用してもよく、又はハロゲノシランと尿素を分散させた中に、アルコールを加えてハロゲノシランをアルコキシ化し、その際に生成する尿素塩酸塩をそのまま加水分解縮合触媒として使用してもよく、また、他のハロゲノシランと尿素を分散させた中にアルコールを加え、ハロゲノシランをアルコキシ化し、その際に生成した尿素塩酸塩を分離し、本発明における有機ケイ素化合物の加水分解縮合触媒として使用することも可能である。
【0020】
本発明で製造されるオルガノポリシロキサンは、加水分解、重縮合に使用する水の量によって平均重合度を決めることができる。例えば、使用する有機ケイ素化合物原料が全てケイ素原子1個のモノマーである場合、平均重合度Zのオルガノポリシロキサンを調製するためには、Zモルのアルコキシシラン原料に対して(Z−1)モルの水を使用して部分加水分解、重縮合を行えばよい。また、Zモルのアルコキシシラン原料に対してZモルの水を使用して部分加水分解、重縮合を行えば理論的には環状体設定のオルガノポリシロキサンを製造することが可能になる。
【0021】
加水分解に使用する水の量が過剰すぎるとその分のアルコキシ基が加水分解され、分岐構造の多いレジン体となって、目的とするオルガノポリシロキサンが得られなくなることがあるため、加水分解に使用する水の量はアルコキシシラン原料1モルに対して1.5モル以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.5モル、特に好ましくは0.2〜1.2モルである。
【0022】
加水分解反応を行う際の水の添加方法は任意であり、例えば、有機ケイ素化合物と無水状態の加水分解縮合触媒存在下に、水を加えて加水分解反応を行えばよく、その際アルコール等の溶剤に希釈して加えてもよい。
【0023】
また、前述したように尿素と濃塩酸或いは塩酸水を混合することで加水分解縮合触媒を調製した場合には、有機ケイ素化合物に調製した含水加水分解縮合触媒を加えることで反応を行ってもよい。
【0024】
また、調製した含水加水分解縮合触媒中に有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を加えて、加水分解、重縮合反応を行ってもよい。
【0025】
加水分解、重縮合反応の際、必要に応じてアルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類などの有機溶媒を使用してもよい。これらの有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。但し、これらの溶媒を加えた場合も有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物から得られるポリシロキサンと加水分解縮合触媒とが分離状態となっている必要があるため、このような溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等がより好ましい。
【0026】
加水分解、重縮合反応は−10〜150℃の温度範囲で実施すればよいが、一般的には、0℃より低い温度では反応の進行が遅くなるため実用的でなく、また高温すぎる場合もゲル状物となったり、有機官能基への悪影響が発生するため、0〜130℃の温度範囲とすることが好ましく、更に好ましくは10〜100℃の温度範囲である。
【0027】
反応後、使用した触媒は分離して除去すればよく、また加水分解して生成したアルコール類、あるいは使用した溶剤、低沸点類の留去などによる精製工程を行った後、触媒を分離してもよい。
【0028】
本発明における加水分解、重縮合反応は、加水分解縮合触媒と生成したポリシロキサンとが分離状態となることが重要であり、これにより加水分解縮合触媒の溶液に溶解しやすいモノマー或いは低分子量体が優先的に加水分解されることでモノマー或いは低分子量体成分含有量が少なく、かつ高分子量体の生成量も少ない環状体オルガノポリシロキサンとリニア体オルガノポリシロキサンを含むオルガノポリシロキサンが製造可能となる。
【0029】
このような製造方法を行うことで、本発明のオルガノポリシロキサンは、重合度が好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10、特に好ましくは4〜7であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析におけるポリスチレン換算分子量における重量平均分子量(Mw)が好ましくは300〜3,000、より好ましくは500〜2,000、更に好ましくは700〜1,000である。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が1.2以下であり、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における式(1)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来のピークのアルコキシ基が2つ加水分解縮合し、シロキサン単位となった成分(T2成分)において、環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)が0.9以上となり、分子量分布がシャープであり、高分子量体が少なく、環状体成分量の多いオルガノポリシロキサン混合物が得られる。
【0030】
なお、T2成分、T2a成分、T2b成分は下記のように表すことができる。
【化1】

(式中、Xは上記と同様であり、Aはケイ素原子であり、Bは水素原子又はR1(R1は上記と同様である)であり、nは3以上の整数であり、mは3以上の整数である。)
【0031】
また、式(1)で表される有機ケイ素化合物と式(2)で表される有機ケイ素化合物を共加水分解縮合した場合は、式(1)由来のシロキサン単位と式(2)由来のシロキサン単位を有する環状体と式(1)由来のシロキサン単位と式(2)由来のシロキサン単位を有するリニア体の混合物となるが、この場合も(T2a成分/T2b成分)が0.9以上であることが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を合成例、実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、実施例は本発明の単なる例示を意図するものに過ぎない。本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されることはない。なお、実施例で得られたオルガノポリシロキサンの分析は、以下に示した方法で実施した。
【0033】
(1)オルガノポリシロキサンの平均分子量であるポリスチレン換算分子量における重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により、ポリスチレン標準サンプルから作成した検量線を基準として算出した。
(2)ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析におけるアルコキシ基が2つ加水分解縮合し、シロキサン単位となった成分(T2成分)は、例えば官能基がアルキル基の場合、−55〜−61ppmのピークであり、環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)はT2成分のうちの前半部分のピークであり、例えば官能基がアルキル基の場合、−55〜−59ppmの範囲のピークの積分値であり、リニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)は−59〜−61ppmの範囲のピークの積分値である。このT2成分のピーク範囲は官能基の種類によって異なるが、全体のピーク形状からどの位置がT2成分であり、そのうちの前半部分がT2a成分であることは判断可能である(図2を参考例として示す))。
【0034】
[合成例1]
触媒の調製
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量300mLのフラスコに、メタノール60g(1.875mol)、尿素66g(1.1mol)を仕込み、内温22℃にて、濃塩酸(塩酸濃度35質量%)100gをゆっくり滴下した。溶液は発熱し、35℃まで上昇した。滴下終了後、撹拌を続けたところ、30分で25℃まで温度が低下したことから撹拌を停止し、尿素塩酸塩の含水メタノール溶液を得た。
【0035】
[実施例1]
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量1Lのフラスコに、フェニルトリメトキシシラン198g(1.0mol)を仕込み、65℃にて、合成例1にて調製した尿素塩酸塩の含水メタノール溶液62.6g(水1.0mol)をゆっくり滴下した。滴下には30分を要した。滴下終了後、70〜65℃にて3時間撹拌を続けた。撹拌を停止すると、生成したポリシロキサンと尿素塩酸塩触媒層は分離状態であった。その後、冷却を行い、トルエン200gを加えて静置し、下層の触媒層を分離した。得られた上層を90℃、減圧度0.7kPaにて減圧濃縮を行い、更に濾過による精製を行ったところ、得られたポリシロキサンは145gであった。
収率は95.3%であった。このもののキャノンフェンスケ粘度計による(以下同じ)25℃における粘度は338mm2/sであり、25℃における比重は1.213、25℃における屈折率は1.5354であった。また、このもののゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析における重量平均分子量(Mw)は658であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)は1.10であった。図1にゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析チャートを示した。モノマー成分であるフェニルトリメトキシシランは1%以下であり、高分子量体も含まれていないことが確認できた。
更に、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)は2.65であった。
【0036】
[実施例2]
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量1Lのフラスコに、フェニルトリクロロシラン211.5g(1.0mol)を仕込み、65℃にて、メタノール62g(2.0mol)を滴下し、脱塩酸反応を行った。その後、尿素を66g(1.1mol)添加し、撹拌を続けた。更に、65℃にて、メタノール38.4g(1.2mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、更に65℃にて2時間撹拌を続けた。撹拌を停止すると、フラスコ内は、メトキシ化して生じたフェニルトリメトキシシランと発生した塩酸により生成した尿素塩酸塩が分離した状態であることが確認できた。この反応液を再度撹拌し、65℃にて、水18g(1mol)をゆっくり滴下した。滴下には15分を要した。滴下終了後、65℃にて3時間撹拌を続けた。その後、冷却を行い、トルエン200gを加えて静置し、下層の触媒層を分離した。得られた上層を90℃、減圧度0.7kPaにて減圧濃縮を行い、更に濾過による精製を行ったところ、得られたポリシロキサンは141gであった。
収率は92.8%であった。このものの25℃における粘度は343mm2/sであり、25℃における比重は1.216、25℃における屈折率は1.5368であった。また、このもののゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析における重量平均分子量(Mw)は678であり、Mw/Mnは1.10であった。本合成方法でも、モノマー成分であるフェニルトリメトキシシランは1%以下であり、高分子量体も含まれていないことが確認できた。
更に、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)は2.03であった。
【0037】
[実施例3]
実施例1におけるフェニルトリメトキシシランを、n−ヘキシルトリメトキシシラン206g(1.0mol)とし、合成例1で調製した触媒を56.3g(水0.9mol)とした他は同様に操作を行ったところ、n−へキシル官能性ポリシロキサンを158g得た。
収率は96.0%であった。このものの25℃における粘度は9.36mm2/sであり、25℃における比重は0.973、25℃における屈折率は1.4303であった。また、このもののゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析における重量平均分子量(Mw)は863であり、Mw/Mnは1.09であった。本化合物においても、モノマー成分であるn−ヘキシルトリメトキシシランは1%以下であり、高分子量体も含まれていないことが確認できた。
更に、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析結果を図2に示すが、その分析における環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)は2.00であった。
【0038】
[実施例4]
実施例1におけるフェニルトリメトキシシランを、n−デシルトリメトキシシラン262g(1.0mol)とした他は同様に操作を行ったところ、n−デシル官能性ポリシロキサンを205g得た。
収率は94.9%であった。このものの25℃における粘度は33.8mm2/sであり、25℃における比重は0.942、25℃における屈折率は1.4444であった。このもののゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行った結果、重量平均分子量(Mw)は1,405、Mw/Mnは1.14、モノマー成分であるn−デシルトリメトキシシランは1%以下であり、高分子量体も含まれていないことが確認できた。
更に、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)は1.10であった。
【0039】
[実施例5]
実施例2におけるフェニルトリクロロシランを、n−プロピルトリクロロシラン177.5g(1.0mol)とした他は同様に操作を行ったところ、n−プロピル官能性ポリシロキサンを110g得た。
収率は87.5%であった。このもののゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行った結果、重量平均分子量(Mw)は537、Mw/Mnは1.07であり、モノマー成分であるn−プロピルトリメトキシシランは1%以下であり、高分子量体も含まれていないことが確認できた。
更に、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)は3.35であった。
【0040】
[実施例6]
実施例2におけるフェニルトリクロロシランを137.5g(0.65mol)とし、65℃にて、メタノール41.6g(1.3mol)を滴下し、脱塩酸反応を行った。その後、尿素を43.0g(0.72mol)添加し、撹拌を続けた。更に、65℃にて、メタノール25.0g(0.78mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、更に65℃にて2時間撹拌を続けた。撹拌を停止すると、フラスコ内は、メトキシ化して生じたフェニルトリメトキシシランと発生した塩酸により生成した尿素塩酸塩が分離した状態であることが確認できた。この反応液にジメチルジメトキシシランを42.0g(0.35mol)加え、再度撹拌し、65℃にて、水15g(0.83mol)をゆっくり滴下した。滴下には15分を要した。滴下終了後、65℃にて3時間撹拌を続けた。その後、冷却を行い、トルエン200gを加えて静置し、下層の触媒層を分離した。得られた上層を90℃、減圧度0.7kPaにて減圧濃縮を行い、更に濾過による精製を行ったところ、得られたポリシロキサンは120gであった。
このもののゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行った結果、Mw/Mnは1.04であり、モノマー成分であるフェニルトリメトキシシランは1%以下であり、高分子量体も含まれていないことが確認できた。
更に、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)は2.20であった。
【0041】
[比較例1]
撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付けた容量1Lのフラスコに、フェニルトリクロロシラン211.5g(1.0mol)を仕込み、65℃にて、メタノール62g(2.0mol)及び水15gを滴下し、脱塩酸加水分解縮合反応を行った(尿素塩酸塩が存在しない状態で加水分解縮合反応)。
その後、尿素を66g(1.1mol)添加し、撹拌を続けた。更に、65℃にて、メタノール38.4g(1.2mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、更に65℃にて2時間撹拌を続けた。撹拌を停止すると、フラスコ内は、フェニルトリメトキシシラン加水分解縮合物と発生した塩酸により生成した尿素塩酸塩が分離した状態であることが確認できた。その後、冷却を行い、トルエン200gを加えて静置し、下層の触媒層を分離した。得られた上層を90℃、減圧度0.7kPaにて減圧濃縮を行い、更に濾過による精製を行ったところ、得られたポリシロキサンは152gであった。
このもののゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析における重量平均分子量(Mw)は750であり、Mw/Mnは1.44であった。本合成方法では、モノマー成分であるフェニルトリメトキシシランが18.6%含まれていた。
更に、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)は0.84であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
XSi(OR13・・・(1)
(式中、Xは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、又は該有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と、下記一般式(2)
r2sSi(OR1(4-r-s)・・・(2)
(式中、Yは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R2はYとは異なる炭素原子数1〜3の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基であり、rは0、1又は2、sは0又は1、r+sは0、1、2又は3である。但し、rが1の場合には、Yは式(1)におけるXとは異なる基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と
を含む有機ケイ素化合物原料を加水分解、重縮合することによって得られる環状体オルガノポリシロキサンとリニア体オルガノポリシロキサンを含むオルガノポリシロキサンであって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析によるポリスチレン換算分子量における重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が1.2以下であり、ケイ素核磁気共鳴スペクトル分析における式(1)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来のピークのアルコキシ基が2つ加水分解縮合し、シロキサン単位となった成分(T2成分)において、環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)が0.9以上であることを特徴とするオルガノポリシロキサン。
【請求項2】
式(1)で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物由来のピークのアルコキシ基が2つ加水分解縮合し、シロキサン単位となった成分(T2成分)において、環状体成分を表すピーク成分(T2a成分)とリニア体成分を表すピーク成分(T2b成分)との比率(T2a成分/T2b成分)が2.0以上である請求項1記載のオルガノポリシロキサン。
【請求項3】
下記一般式(1)
XSi(OR13・・・(1)
(式中、Xは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、又は該有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と、下記一般式(2)
r2sSi(OR1(4-r-s)・・・(2)
(式中、Yは、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アルケニル基、アミノ基、及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1〜18の1価炭化水素基であり、R2はYとは異なる炭素原子数1〜3の1価炭化水素基であり、R1は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基であり、rは0、1又は2、sは0又は1、r+sは0、1、2又は3である。但し、rが1の場合には、Yは式(1)におけるXとは異なる基である。)
で表される有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と
を含む有機ケイ素化合物原料を生成するオルガノポリシロキサンと分離状態となる液状の加水分解縮合触媒を使用して加水分解、重縮合を行うことを特徴とする請求項1記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項4】
加水分解縮合触媒が、尿素塩酸塩であることを特徴とする請求項3記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項5】
尿素塩酸塩が、尿素塩酸塩のアルコール溶液であることを特徴とする請求項4記載のオルガノポリシロキサンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−26401(P2011−26401A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172006(P2009−172006)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】