説明

オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールに基づく硬質ポリウレタンフォームシステム

オルト−シクロヘキサンジアミン系化合物(例えば、1,2−ジアミノシクロヘキサンなど)により開始されるポリエーテルポリオールが、芳香族アミン開始ポリオール、ポリエステルポリオール又は再生可能資源由来のポリオールとの併用で硬質ポリウレタンフォーム配合物において使用される。そのようなポリオール混合物は、硬質ポリウレタンフォームを作製することにおいて有用であり、特に、硬質ポリウレタンフォームにより、低いk因子及び短い型出し時間の良好な組合せが与えられる現場注入(pour-in-place)用途のためのフォームを作製することにおいて有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年7月30日に出願された米国仮特許出願第084,654号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームを製造するために有用であるポリオール、同様にまた、そのようなポリオールから作製される硬質フォームに関する。
【背景技術】
【0003】
硬質ポリウレタンフォームが、家庭用電気器具及び他の用途における断熱フォームとして、同様にまた、様々な他の使用として数十年にわたって広く使用されている。これらのフォームは、ポリイソシアナートと、1つ又はそれ以上のポリオール化合物、ポリアミン化合物又はアミノアルコール化合物との反応で調製される。これらのポリオール化合物、ポリアミン化合物又はアミノアルコール化合物は、約300に至るまでのイソシアナート反応性基あたりの当量重量と、分子あたり平均して3個を超えるイソシアナート反応性基とを有するとして特徴づけることができる。反応は、反応が進むにつれてガスを生じさせる発泡剤の存在下で行われる。ガスは反応中の混合物を膨張させ、気泡構造にする。
【0004】
当初、一般に好まれた発泡剤が、「硬い」クロロフルオロカーボン(CFC)(例えば、トリクロロフルオロメタン又はジクロロジフルオロメタンなど)であった。これらのCFCは加工が非常に容易であり、また、非常に良好な断熱性を有するフォームをもたらした。しかしながら、CFC系発泡剤は、環境上の様々な問題のために徐々に使用されなくなってきている。
【0005】
CFCが他の発泡剤と置き換えられており、例えば、ヒドロフルオロカーボン、低沸点の炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、エーテル化合物及び水(これはイソシナートと反応して、二酸化炭素を生じさせる)などと置き換えられている。大体において、これらの代替発泡剤は、それらのCFC系の前身化合物よりも効果が劣る断熱材である。断熱をもたらすフォームの能力は「k因子」によって表されることが多く、この場合、「k因子」は、フォームの厚さ及びフォームの厚さ方向の両端での加えられた温度差を考慮に入れて、単位時間について単位面積あたりフォームを通って移動する熱の量の尺度である。代替発泡剤を使用して製造されるフォームは、「硬い」CFC系発泡剤を使用して製造されるフォームよりも大きいk因子を有する傾向がある。このことが、硬質フォーム製造者に、そのフォーム配合物を、発泡剤における変化から生じる断熱値の喪失を補償するために他の様式で変更することを余儀なくさせている。これらの変更の多くが、フォームにおける気泡サイズを小さくする。より小さいサイズの気泡は、より良好な断熱性をもたらす傾向がある。
【0006】
k因子を改善する、硬質フォーム配合物に対する変更は、配合物の加工特性に、望ましくない様式で影響を及ぼす傾向があることが見出されている。配合物の硬化特性が、特に、現場注入(pour-in-place)適用において、例えば、家庭用電気器具のフォームなどにおいて重要である。例えば、冷蔵庫及び冷凍庫のキャビネットは通常、外側の外板及び内側のライナーを部分的に組み立て、それらを、空隙がそれらの間で形成されるように所定の位置に保持することによって断熱される。これが多くの場合、治具又は他の装置を使用して行われる。フォーム配合物が空隙に導入され、空隙で、フォーム配合物が膨張して、空隙を満たす。フォームによって組立て物は断熱され、かつ、構造的強度を組立て物は有する。フォーム配合物が硬化する様式は、少なくとも2つの点で重要である。第1には、完成したキャビネットが治具から取り出され得るように、フォーム配合物は迅速に硬化して、寸法的に安定なフォームを形成しなければならない。この特徴は、一般には「型出し」時間として示され、キャビネットが製造され得る速度に直接影響する。
【0007】
加えて、系の硬化特性は、「フローインデックス」又は単に「フロー」として公知である性質に影響する。フォーム配合物は、最小限の制約に逆らって膨張することが許されるならば、(「自由上昇密度(free rise density)」として公知である)ある特定の密度にまで膨張する。配合物が冷蔵庫又は冷凍庫のキャビネットを満たさなければならないとき、その膨張はいくつかの様式で幾分か制約される。フォームは、狭い空隙の内部において、主に、(水平方向ではなく、むしろ)垂直方向で膨張しなければならない。結果として、配合物はそれ自身の重量の著しい量に逆らって膨張しなければならない。フォーム配合物はまた、隅の周りに、また、壁空隙のすべての部分の中に流れなければならない。加えて、空隙は多くの場合、ガス抜きが限られているか、又は、ガス抜きがないので、空隙内の空気がさらなる圧力を膨張中のフォームに及ぼす。これらの制約のために、自由上昇密度だけから予測されるよりも多くの量のフォーム配合物が、空隙を満たすために必要になる。空隙を最小限で満たすために必要になるフォーム配合物の量は最小充填密度(空隙体積によって除される配合物の重量)として表すことができる。最小充填密度対自由上昇密度の比率がフローインデックスである。フローインデックスは理想的には1.0であるが、商業的に実用的な配合物では1.5程度である。すべての他のことが等しいならば、より低いフローインデックスが好ましい。これは、より少ない重量のフォームが必要となるとき、原料コストがより低くなるからである。
【0008】
低いk因子に有利に働く、フォーム配合物に対する変更は、型出し時間又はフローインデックス又は両方に悪影響を及ぼす傾向がある。従って、k因子において従来のCFC型配合物ときっちり一致する配合物が開発されているが、これらの配合物を使用する際の総コストが多くの場合、(より大きい型出し時間のための)より低い生産性に起因して、又は、(より大きいフローインデックスのための)より高い原料コストに起因して、又は、両方に起因して、より高くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
所望されるものが、低いフローインデックス及び短い型出し時間を有する低k因子フォームをもたらす硬質フォーム配合物である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
A)少なくとも、下記の成分:
1)下記のa)及びb)を含有するポリオール混合物:
a)前記ポリオール混合物の重量に基づいて少なくとも3重量%の、平均官能性が3.0を超え、4.0に至るまでであり、かつ、ヒドロキシル当量重量が75〜560であるオルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオール(但し、前記オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールは、少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドをオルト−シクロヘキサンジアミン系開始剤化合物と反応させることによって、又は、少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドをオルト−フェニレンジアミン系化合物と反応させ、その後、フェニレンジアミン基の芳香族環を水素化することによって製造される)、及び
b)下記のb1)、b2)及びb3)のうちの少なくとも1つ、ここで、
b1)は、分子あたり2個〜6個のヒドロキシル基及び75〜1000のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの再生可能資源ポリオールであり、かつ、前記ポリオール混合物の少なくとも1重量%の量で存在する;
b2)は、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの芳香族アミン開始ポリオールであり、かつ、前記ポリオール混合物の1重量%〜15重量%の量で存在する;及び
b3)は、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールであり、かつ、前記ポリオール混合物の3重量%〜10重量%の量で存在する;
2)少なくとも1つの炭化水素系物理的発泡剤、ヒドロフルオロカーボン系物理的発泡剤、ヒドロクロロフルオロカーボン系物理的発泡剤、フルオロカーボン系物理的発泡剤、ジアルキルエーテル系物理的発泡剤又はフッ素置換ジアルキルエーテル系物理的発泡剤、及び
3)少なくとも1つのポリイソシアナート
を含有する反応性混合物を形成すること;及び
b)前記反応性混合物を、前記反応性混合物が膨張し、硬化して、硬質ポリウレタンフォームを形成するような条件に供すること
を含む方法である。
【0011】
特定の実施形態において、本発明は、硬質ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
A)少なくとも、下記の成分:
1)下記のa)、b)及びc)を含有するポリオール混合物:
a)前記ポリオール混合物の重量に基づいて3重量%〜40重量%の、平均官能性が3.0を超え、4.0に至るまでであり、かつ、ヒドロキシル当量重量が75〜560であるオルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオール(但し、前記オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールは、少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドをオルト−シクロヘキサンジアミン系開始剤化合物と反応させることによって、又は、少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドをオルト−フェニレンジアミン系化合物と反応させ、その後、フェニレンジアミン基の芳香族環を水素化することによって製造される);
b)下記のb1)、b2)及びb3)のうちの少なくとも1つ、ここで、
b1)は、分子あたり2個〜6個のヒドロキシル基及び75〜1000のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの再生可能資源ポリオールであり、かつ、前記ポリオール混合物の重量に基づいて2重量部〜15重量部の量で存在する;
b2)は、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの芳香族アミン開始ポリオールであり、かつ、前記ポリオール混合物の1重量%〜15重量%の量で存在する;
b3)は、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールであり、かつ、前記ポリオール混合物の1重量%〜10重量%の量で存在する;及び
c)前記ポリオール混合物の重量に基づいて30重量%〜70重量%の、4.7〜7の平均ヒドロキシル官能性及び100〜175のヒドロキシル当量重量を有する非アミン開始ポリエーテルポリオール;
2)少なくとも1つの炭化水素系物理的発泡剤、ヒドロフルオロカーボン系物理的発泡剤、ヒドロクロロフルオロカーボン系物理的発泡剤、フルオロカーボン系物理的発泡剤、ジアルキルエーテル系物理的発泡剤又はフッ素置換ジアルキルエーテル系物理的発泡剤、及び
3)少なくとも1つのポリイソシアナート
を含有する反応性混合物を形成すること;及び
b)前記反応性混合物を、前記反応性混合物が膨張し、硬化して、硬質ポリウレタンフォームを形成するような条件に供すること
を含む方法である。
【0012】
別の態様において、本発明は、前記方法のいずれかに従って作製される硬質フォームである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記のポリオール混合物を含む硬質フォーム配合物は多くの場合、(1.8未満のフローインデックス及び短い型出し時間によって示されるような)望ましい硬化特性を示し、かつ、硬化して、優れた断熱性(すなわち、低いk因子)を有するフォームを形成することが見出されている。
【0014】
オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールは、下記の構造I:
【化1】

(式中、それぞれのRが独立して、水素又はC−Cアルキルである)によって表すことができるポリエーテルである。それぞれのAは独立して、水素又は(CO)H(式中、xは2〜4であり、yは2xに等しく、zは1〜5であり、但し、A基の少なくとも2つが(CO)H基である)である。A基の少なくとも3つが(CO)H基であることが可能であり、また、4つすべてのA基が(CO)H基であることが可能である。
【0015】
オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールはオルト−シクロヘキサンジアミン系開始剤化合物から調製することができ、この場合、用語「オルト」は、アミノ基がシクロヘキサン環上の隣接する炭素原子に結合することを示す。この開始剤化合物は、下記の構造II:
【化2】

(式中、それぞれのRが独立して、水素又はC−Cアルキルである)によって表すことができる。それぞれのRは好ましくは、水素又はメチルである。それぞれのRは最も好ましくは、開始剤化合物が1,2−ジアミノシクロヘキサンであるように水素である。前記構造に対応する2つ又はそれ以上の開始剤化合物の混合物を使用することができる。
【0016】
前記構造の開始剤は、アミノ基がシス配置(この場合、アミノ基が、構造IIIによって例示されるように環の同じ側に存在する)又はトランス配置(この場合、アミノ基が、構造IVによって例示されるように環の反対側に存在する)であり得るので、2つ又はそれ以上のジアステレオ異性形態で存在する。加えて、R基がすべて同じでないときには、他のジアステレオマー構造が可能である。そのような場合には、ジアステレオ異性形態のいずれか、又は、ジアステレオ異性形態のいずれか2つ又はそれ以上の混合物を使用することができる。構造III及び構造IVは、
【化3】

【化4】

であり、Rは、上記の構造I及び構造IIに関して有するのと同じ意味を構造III及び構造IVにおいて有する。
【0017】
市販されているオルト−シクロヘキサンジアミン化合物は、少量(典型的には3重量%未満)の不純物を含有する傾向があり、この場合、そのような不純物は、主として他のアミン化合物又はジアミン化合物である傾向がある。これらの商用物質は、本発明における開始剤として好適である。
【0018】
開始剤化合物は、オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールをもたらすために少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドと反応する。アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド又は2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、或いは、それらの2つ又はそれ以上の組合せであり得る。2つ又はそれ以上のアルキレンオキシドが使用されるならば、それらは、開始剤化合物に、(ランダムコポリマーを形成するために)同時に、又は、(ブロックコポリマーを形成するために)逐次的に加えることができる。ブチレンオキシド及びテトラメチレンオキシドは一般にあまり好ましくない。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び、それらの混合物がより好ましい。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物はこれらのオキシドを任意の割合で含有することができる。例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物は10モルパーセント〜90モルパーセントのエチレンオキシドを含有することができ、好ましくは、30モルパーセント〜70モルパーセントのエチレンオキシド又は40モルパーセント〜60モルパーセントのエチレンオキシドを含有することができる。
【0019】
十分な量のアルキレンオキシドが、分子あたりのヒドロキシル基が少なくとも2.0個の平均ヒドロキシル官能性を有するポリオールを製造するために、好ましくは、分子あたりのヒドロキシル基が3.0個を超え、4.0個もの多さに至るまでの平均ヒドロキシル官能性を有するポリオールを製造するために開始剤に加えられる。ポリオールについての好ましい平均ヒドロキシル官能性が3.3〜4.0であり、より好ましい平均官能性が3.7〜4.0である。オルト−シクロヘキサンジアミン開始は好適には、75〜560のヒドロキシル当量重量を有する。好ましいヒドロキシル当量重量が90〜175であり、硬質フォーム製造のためのより好ましいヒドロキシル当量重量が100〜130である。
【0020】
アルコキシル化反応が、アルキレンオキシド及び開始剤化合物の混合物を形成し、この混合物を高温及び加圧圧力の条件に供することによって都合よく行われる。重合温度は、例えば、110℃〜170℃であり得、圧力は、例えば、2bar〜10bar(200kPa〜1000kPa)であり得る。触媒を使用することができる(特に、1モルを超えるアルキレンオキシドが開始剤化合物におけるアミン水素の1当量あたり加えられることになるならば)。好適なアルコキシル化触媒には、強塩基、例えば、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム)、同様にまた、いわゆる複金属シアニド(double metal cyanide)触媒(それらの中で、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体が最も注目される)が含まれる。反応を2つ又はそれ以上の段階で行うことができ、この場合、触媒が最初の段階では使用されず、0.5モル〜1.0モルのアルキレンオキシドがアミン水素の1当量あたり開始剤に加えられ、その後に、さらなるアルキレンオキシドが、記載されるような触媒の存在下で加えられる1つ又はそれ以上のその後の段階が続く。反応が完了した後、触媒は不活化及び/又は除去することができる。アルカリ金属水酸化物触媒は除去してもよく、又は、生成物に残したままにしてもよく、又は、酸で中和し、これらの残渣を生成物に残したままにしてもよい。複金属シアニド触媒の残渣を生成物に残したままにしてもよいが、所望するならば、その代わりに除去することができる。
【0021】
代替では、オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールは、下記の構造V:
【化5】

(式中、Rは前記で定義される通りである)を有するオルト−フェニレンジアミン系化合物をアルコキシル化し、その後、芳香族環を水素化することによって製造することができる。
【0022】
好ましいオルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールが、(a)1,2−ジアミノシクロヘキサンと、エチレンオキシドとの反応生成物、(b)1,2−ジアミノシクロヘキサンと、プロピレンオキシドとの反応生成物、及び、(c)1,2−ジアミノシクロヘキサンと、30モルパーセント〜70モルパーセントのエチレンオキシド及び70モルパーセント〜30モルパーセントのプロピレンオキシドの混合物との反応生成物であり、但し、これらの反応生成物は、それぞれの場合に、3.3〜4.0(特に、3.7〜4.0)の官能性及び90〜175(特に、100〜130)のヒドロキシル当量重量を有する。前記場合のそれぞれにおいて、1,2−ジアミノシクロヘキサンは最も好ましくは、25%〜75%のシス型ジアステレオ異性体及び75%〜25%のトランス型ジアステレオ異性体を有する、シス型ジアステレオ異性体及びトランス型ジアステレオ異性体の混合物である。
【0023】
硬質ポリウレタンフォームは、(1)オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールを含有するポリオール混合物、(2)少なくとも1つの有機ポリイソシアナート、及び、(3)下記においてより詳しく記載されるような少なくとも1つの物理的発泡剤を少なくとも含有するポリウレタン形成組成物から調製される。
【0024】
オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールがポリオール混合物の一部として存在する。アミン開始ポリオールは好適には、ポリオール混合物に存在する全ポリオールの少なくとも3重量パーセントを構成する。このレベルよりも少ない場合、このポリオールを使用することの利益はわずかである。ほとんどの場合、オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールはポリオール混合物の約3重量%〜約50重量%を構成する。例えば、オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールはポリオール混合物の5重量%〜約40重量%を構成することができる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態において、ポリオール混合物は、分子あたり2個〜6個のヒドロキシル基及び75〜1000のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの再生可能資源ポリオールを含有する。そのような実施形態における再生可能資源ポリオールはポリオール混合物の少なくとも1重量%を構成し、好ましくは、その1%重量パーセント〜15%重量パーセントを構成する。
【0026】
「再生可能資源ポリオール」は、本発明の目的のためには、再生可能な生物学的資源(例えば、動物性脂肪、植物性脂肪、リグノセルロース系物質又は炭水化物(例えば、デンプンなど)など)であるポリオール、或いは、そのような再生可能な生物学的資源から製造されるポリオールである。再生可能資源ポリオールの質量の少なくとも50%が、再生可能な生物学的資源に由来しなければならない。様々なタイプの再生可能資源ポリオールが有用であり、これらには、Ionescu、Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes (Rapra Publishers、2005)に記載される再生可能資源ポリオールが含まれる。これらには、下記のものが含まれる:
【0027】
1.ひまし油;
【0028】
2.国際公開公報第2004/096882号及び同第2004/096883号に記載されるようなヒドロキシメチル基含有ポリオール。そのようなポリオールは、12個〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸又はそのようなヒドロキシメチル基含有脂肪酸のエステルを、平均して少なくとも2つのヒドロキシル基、第一級アミン基及び/又は第二級アミン基を有するポリオール系開始剤化合物又はポリアミン系開始剤化合物と反応させ、その結果、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、開始剤化合物におけるヒドロキシル基、第一級アミン基及び第二級アミン基の総数あたり平均して少なくとも1.3個のヒドロキシメチル基含有脂肪酸由来又はヒドロキシメチル基含有脂肪酸エステル由来の繰り返しユニットを含有し、かつ、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが少なくとも400から15,000に至るまでの当量重量を有するようにすることによって調製される。好ましいそのようなポリオールは下記の平均構造を有する:
[H−X](n−p)−R−[X−Z] (VI)
式中、Rは、n個のヒドロキシル基及び/又は第一級アミン基又は第二級アミン基を有する開始剤化合物の残基であり、この場合、nは少なくとも2である;それぞれのXは独立して、−O−、−NH−又は−NR’−(式中、R’は、不活性置換アルキル基、アリール基、シクロアルキル基又はアラルキル基である)であり、pは、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール分子あたりの[X−Z]基の平均数を表す、1からnまでの数であり、Zは、1つ又はそれ以上のA基を含有する直鎖又は分岐鎖であり、但し、分子あたりのA基の平均数はnの1.3倍以上であり、かつ、それぞれのAが独立して、A1、A2、A3、A4及びA5からなる群から選択され、但し、少なくともいくつかのA基が、A1、A2又はA3であり、この場合、A1は、
【化6】

(式中、BはHであるか、又は、別のA基のカルボニル炭素原子への共有結合である;mは3よりも大きい数であり、nはゼロ以上であり、m+nが11〜19である)
である;A2は、
【化7】

(式中、Bは前記と同様であり、vは3よりも大きい数であり、r及びsはそれぞれがゼロ以上の数であり、v+r+sが10〜18である)
である;A3は、
【化8】

(式中、B、v、それぞれのr及びsは上記で定義される通りであり、tはゼロ以上の数であり、v、r、s及びtの和が10〜18である)
である;A4は、
【化9】

(式中、wは10〜24である)
である;かつ、A5は、
【化10】

(式中、R’は、少なくとも1つの環式エーテル基及び必要な場合には1つ又はそれ以上のヒドロキシル基又は他のエーテル基と置換される線状アルキル基又は分岐アルキル基である)
である。
【0029】
3.国際公開公報第2007/019063号に記載されるようなアミド基含有ポリオール。これらには、(1)少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する第一級アミン化合物又は第二級アミン化合物と、(2)少なくとも1つのヒドロキシメチル基を含有する脂肪酸とのアミドとして便宜的に記載される、ヒドロキシメチル基を有するアミド化合物がある。このタイプのアミドは、アミド窒素に結合する少なくとも1つのヒドロキシル置換有機基を有する。直鎖のC7〜23炭化水素基がアミド基のカルボニル炭素に結合する。直鎖のC7〜23炭化水素基は、それ自体が少なくとも1つのヒドロキシメチル基と置換される。他のアミド基含有ポリオールが、脂肪酸(又はエステル)と、ヒドロキシル含有の第一級アミン又は第二級アミンとのアミドとして便宜的に記載され、この場合、脂肪酸基は、1つ又はそれ以上の(N−ヒドロキシアルキル)アミノアルキル基を導入するために修飾されている。
【0030】
4.国際公開公報第2007/019051号に記載されるようなヒドロキシルエステル置換脂肪酸エステル。この物質は、少なくとも2つの異なるタイプのエステル基を含有する。一方のタイプのエステル基が、脂肪酸のカルボン酸基と、2つ又はそれ以上のヒドロキシル基を有する化合物との反応生成物に対応する。第2のタイプのエステル基が、エステル基の−O−原子を介して脂肪酸鎖に結合して脂肪酸鎖からぶら下がっている。このぶら下がっているエステル基は、脂肪酸を(脂肪酸鎖における炭素−炭素不飽和部位で)エポキシ化すること、それに続く、ヒドロキシ酸又はヒドロキシ酸前駆体との反応によって都合よく形成される。このぶら下がっているエステル基は、少なくとも1つのフリーのヒドロキシル基を含む。これらの物質は下記の構造によって表すことができる:
[HO](p−x)−R−[O−C(O)−R (XII)
式中、Rは、p個のヒドロキシル基を有する化合物の、ヒドロキシル基を除いた後の残基を表し、Rは脂肪酸の炭化水素部分を表し、xは1からpまでの数である。pは、前記で議論されるように、2又はそれ以上である。それぞれの−R−O−C(O)−連結が、上記で議論される第1のタイプのエステル基を表す。R鎖の少なくとも一部分が、
−O−C(O)−R−OH (XII)
(式中、Rは、不活性置換され得るヒドロカルビル基であり、yは1又はそれ以上であり、好ましくは1又は2である)
として表すことができる少なくとも1つのヒドロキシル含有エステル基と置換される。構造の左側に示される結合は脂肪酸鎖の炭素原子に結合する。この関連における不活性な置換基は、この物質の形成、又は、ポリウレタンを作製することにおけるその使用を妨げない置換基である。
【0031】
5.米国特許出願公開第2002/0121328号、同第2002/0119321号及び同第2002/0090488号に記載されるような「ブローン(blown)」ダイズ油。
【0032】
6.国際公開公報第06/116456号に記載されるようなオリゴマー化された植物油又は動物性脂肪。このような油又は脂肪は、出発物質における炭素−炭素二重結合の一部又はすべてをエポキシ化し、その後、開環反応を、オリゴマー化を促進させる条件のもとで行うことによってオリゴマー化される。いくつかの残留エポキシド基が多くの場合、この物質に残っている。約4.4のヒドロキシル官能性及び約1100の分子量を有するこのタイプの物質が、Cargill Inc.からBiOHの商品名で入手可能である。
【0033】
7.ヒドロキシル含有のセルロース−リグニン物質。
【0034】
8.ヒドロキシル含有の修飾されたデンプン。
【0035】
他の実施形態において、ポリオール混合物は、ポリオール混合物の重量に基づいて1重量%〜15重量%の、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの芳香族アミン開始ポリオールを含有する。芳香族アミンは、例えば、トルエンジアミンのいずれかの異性体(例えば、o−トルエンジアミンなど)、フェニレンジアミンのいずれかの異性体、2,2’−、2,4’−及び/又は2,6’−ジアミノジフェニルメタン、並びに、ジエチルトルエンジアミンなどであり得る。
【0036】
さらに他の実施形態において、ポリオール混合物は、ポリオール混合物の重量に基づいて3重量%〜10重量%の、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールを含有する。そのようなポリエステルポリオールには、ポリオール(好ましくは、ジオール)と、ポリカルボン酸又はその無水物(好ましくは、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物)との反応生成物が含まれる。ポリカルボン酸又はポリカルボン酸無水物は、脂肪族、脂環族、芳香族及び/又は複素環式であってもよく、また、例えば、ハロゲン原子などと置換されていてもよい。ポリカルボン酸は不飽和であってもよい。これらのポリカルボン酸の例には、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリト酸無水物、フタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物及びフマル酸が含まれる。ポリエステルポリオールを作製する際に使用されるポリオールには、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール及び1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及び2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、並びに、ジブチレングリコールなどが含まれる。
【0037】
ポリオール混合物は、既に記載されたポリオールに加えて、複数のポリオールを含有することができる。これらの1つに、アルキレンオキシドを、多数の活性水素原子を有する開始剤化合物(又は開始剤化合物の混合物)に対して重合することによって都合よく作製されるポリエーテルポリオールがある。開始剤化合物には、アルキレングリコール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールなど)、グリコールエーテル類(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールなど)、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、フルクトース又は他の糖などが含まれ得る。開始剤化合物の一部分が、脂肪族の第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基を含有する部分であってもよい(例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、ジイソプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、メタノールアミン及びジメタノールアミンなど)。これらのタイプのアミン開始ポリオールは、幾分か自己触媒性である傾向がある。さらなるポリオールを作製するために使用されるアルキレンオキシドが、オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールに関して以前に記載される通りである。一般に好まれるアルキレンオキシドがプロピレンオキシドであり、又は、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの混合物である。特に注目されるポリエーテルが、分子あたり4.5個〜7個のヒドロキシル基の平均官能性及び100〜175のヒドロキシル当量重量を有する非アミン開始ポリオールである。そのような他のポリエーテルポリオールが、例えば、ソルビトール開始ポリエーテル又はスクロース/グリセリン開始ポリエーテルであり得る。本発明のアミン開始ポリオールはこの場合に混合物の重量の10%〜70%を構成することができる。使用することができる好適なソルビトール開始ポリエーテル又はスクロース/グリセリン開始ポリエーテルの例には、Voranol(登録商標)360ポリオール、Voranol(登録商標)RN411ポリオール、Voranol(登録商標)RN490ポリオール、Voranol(登録商標)370ポリオール、Voranol(登録商標)446ポリオール、Voranol(登録商標)520ポリオール、Voranol(登録商標)550ポリオール及びVoranol(登録商標)482ポリオールが含まれる(すべてが、Dow Chemicalから入手可能である)。
【0038】
別の好ましい実施形態において、本発明のオルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールは、分子あたり4.5個〜7個のヒドロキシル基の平均官能性及び100〜175のヒドロキシル当量重量を有し、かつ、アミン開始でない少なくとも1つの他のポリエーテルポリオールと、2.0〜4.0の平均官能性(好ましくは、3.0〜4.0の平均官能性)及び100〜225のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの他の脂肪族アミン開始ポリオールとを同様に含有するポリオール混合物において使用される。そのような他の脂肪族アミン開始ポリオールは、例えば、アンモニア、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、ジイソプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、メタノールアミン及びジメタノールアミンなどにより開始することができる。エチレンジアミン開始ポリオールがこの場合に好ましい。ポリオール混合物は、5重量%〜50重量%の本発明のアミン開始ポリオール、20重量%〜70重量%の非アミン開始ポリオール、及び、2重量%〜20重量%の他のアミン開始ポリオールを含有することができる。ポリオール混合物は、15重量%に至るまでのさらに別のポリオールを含有することができ、この場合、さらに別のポリオールはアミン開始ではなく、かつ、2.0〜3.0のヒドロキシル官能性及び90〜500のヒドロキシル当量重量(好ましくは、200〜500のヒドロキシル当量重量)を有する。ちょうど記載されるようなポリオール混合物の具体的な例には、5重量%〜50重量%の本発明のオルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールと、20重量%〜70重量%の、分子あたり4.5個〜7個のヒドロキシル基の平均官能性及び100〜175のヒドロキシル当量重量を有するソルビトール開始ポリエーテルポリオール又はスクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールと、2重量%〜20重量%の、100〜225の当量重量を有するエチレンジアミン開始ポリオールと、0重量%〜15重量%の、2.0〜3.0の官能性及び200〜500のヒドロキシル当量重量を有する非アミン開始ポリオールとの混合物が含まれる。
【0039】
特に好ましいポリオール混合物は、
a)ポリオール混合物の重量に基づいて3重量%〜40重量%の、平均官能性が3.0を超え、4.0に至るまでであり、かつ、ヒドロキシル当量重量が75〜560であるオルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオール(但し、前記オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールは、少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドと、オルト−シクロヘキサンジアミン系開始剤化合物との反応生成物である);
b)下記のb1)、b2)及びb3)のうちの少なくとも1つ、但し、
b1)は、分子あたり2個〜6個のヒドロキシル基及び75〜1000のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの再生可能資源ポリオールであり、かつ、ポリオール混合物の重量に基づいて2重量部〜15重量部の量で存在する;
b2)は、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの芳香族アミン開始ポリオールであり、かつ、ポリオール混合物の1重量%〜15重量%の量で存在する;
b3)は、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールであり、かつ、ポリオール混合物の1重量%〜10重量%の量で存在する;及び
c)ポリオール混合物の重量に基づいて30重量%〜70重量%の、4.7〜7の平均ヒドロキシル官能性及び100〜175のヒドロキシル当量重量を有する非アミン開始ポリエーテルポリオール
を含有する。
【0040】
これらの特に好ましいポリオール混合物において、成分c)は好ましくは、スクロース/グリセリン開始ポリオールである。これらの特に好ましいポリオール混合物において、成分b2)は好ましくは、トルエンジアミン開始ポリオールであり、一層より好ましくはオルト−トルエンジアミン開始ポリオールである。
【0041】
ポリオール混合物は好ましくは、平均して分子あたり3.5個〜約7個のヒドロキシル基及び約90〜約175の平均ヒドロキシル当量重量を有する。混合物がこれらのパラメーターを満たすならば、混合物に含まれるどのような個々のポリオールも、官能性及び/又は当量重量をそれらの範囲の範囲外に有することができる。水は、ポリマー混合物の官能性又は当量重量を求める際には考慮されない。
【0042】
ポリオール混合物のためのより好ましい平均ヒドロキシル官能性が分子あたり約3.8個〜約6個のヒドロキシル基である。ポリオール混合物のための一層より好ましい平均ヒドロキシル官能性が分子あたり約3.8個〜約5個のヒドロキシル基である。ポリオール混合物のためのより好ましい平均ヒドロキシル当量重量が約110〜約130である。
【0043】
記載されるようなポリオール混合物は、構成成分のポリオールを個々に作製し、その後、それらをブレンド混合して一緒にすることによって調製することができる。代替では、ポリオール混合物を、それぞれの開始剤化合物の混合物を形成し、その後、開始剤混合物をアルコキシル化して、ポリオール混合物を直接に形成することによって調製することができる。そのような「共開始」ポリオールは、アミン開始ポリオールのブレンド混合物を形成するために、オルト−シクロヘキサンジアミン系化合物及び別のアミンを開始剤として使用して調製することができる。これらの方法の組合せもまた使用することができる。
【0044】
ポリウレタン形成組成物は、少なくとも1つの有機ポリイソシナートを含有する。有機ポリイソシナート又はその混合物は好都合には、平均して分子あたり少なくとも2.5個のイソシアナート基を含有する。好ましいイソシアナート官能性が分子あたり約2.5個〜約3.6個のイソシアナート基であり、又は、分子あたり約2.6個〜約3.3個のイソシアナート基である。ポリイソシナート又はその混合物は好都合には、イソシアナート当量重量が約130〜200である。これは好ましくは130〜185であり、より好ましくは130〜170である。これらの官能性及び当量重量の値は、全体としての混合物がこれらの値を満たすならば、混合物におけるいずれか1つだけのポリイソシアナートに関して当てはまる必要はない。
【0045】
好適なポリイソシナートには、芳香族ポリイソシナート、脂肪族ポリイソシナート及び脂環式ポリイソシナートが含まれる。芳香族ポリイソシナートが一般に好ましい。例示的なポリイソシナートには、例えば、m−フェニレンジイソシアナート、2,4−及び/又は2,6−トルエンジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)の様々な異性体、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアナート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアナート、水素化MDI(H12MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアナート、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアナート、4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメチオキシ(dimethyoxy)−4,4’−ビフェニルジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、4,4’,4”−トリフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、水素化ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、トルエン−2,4,6−トリイソシアナート、並びに、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアナートが含まれる。好ましいポリイソシナートが、いわゆるポリマー状MDI生成物であり、これはモノマー状MDIにおけるポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートの混合物である。特に好適なポリマー状MDI生成物は、フリーMDI含有量が5重量%〜50重量%であり、より好ましくは10重量%〜40重量%である。そのようなポリマー状MDI生成物が、The Dow Chemical Companyから、PAPI(登録商標)及びVoranate(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0046】
特に好ましいポリイソシアナートが、分子あたり2.6個〜3.3個のイソシアナート基の平均イソシアナート官能性及び130〜170のイソシアナート当量重量を有するポリマー状MDI生成物である。そのようなタイプの好適な市販されている製品には、PAPI(商標)27、Voranate(商標)M229、Voranate(商標)220、Voranate(商標)290、Voranate(商標)M595及びVoranate(商標)M600が含まれる(これらのすべてが、Dow Chemicalから入手可能である)。
【0047】
イソシアナート末端を有するプレポリマー及び準プレポリマー(プレポリマーと、未反応のポリイソシアナート化合物との混合物)もまた使用することができる。これらは、化学量論的過剰の有機ポリイソシアナートをポリオール(例えば、上記で記載されるポリオールなど)と反応させることによって調製される。これらのプレポリマーを調製するための好適な方法が周知である。そのようなプレポリマー又は準プレポリマーは好ましくは、2.5〜3.6のイソシアナート官能性及び130〜200のイソシアナート当量重量を有する。
【0048】
ポリイソシアナートは、80〜600のイソシアナートインデックスをもたらすために十分な量で使用される。イソシアナートインデックスは、(イソシアナート反応性発泡剤(例えば、水など)によって含有されるイソシアナート反応性基を含めて)ポリウレタン形成組成物におけるイソシアナート反応性基の数によって除され、100を乗じる、ポリイソシアナート成分によって提供される反応性イソシアナート基の数として計算される。水は、イソシアナートインデックスを計算する目的のためには、分子あたり2つのイソシアナート反応性基を有すると見なされる。好ましいイソシアナートインデックスが90〜400であり、より好ましいイソシアナートインデックスが100〜150である。
【0049】
ポリウレタン形成組成物において使用される発泡剤には、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテル又はフッ素置換ジアルキルエーテル、或いは、それらの2つ又はそれ以上の混合物である少なくとも1つの物理的発泡剤が含まれる。これらのタイプの発泡剤には、例えば、プロパン、イソペンタン、n−ペンタン、n−ブタン、イソブテン、イソブテン、シクロペンタン、ジメチルエーテル、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)が含まれる。炭化水素系発泡剤及びヒドロフルオロカーボン系発泡剤が好ましい。物理的発泡剤に加えて、水を配合物においてさらに含むことが一般に好ましい。
【0050】
発泡剤は好ましくは、配合物が硬化して、16kg/m〜160kg/mの成形密度(molded density)、好ましくは16kg/m〜64kg/mの成形密度、特に20kg/m〜48kg/mの成形密度を有するフォームを形成するような量で使用される。これらの密度を達成するために、都合よくは炭化水素系発泡剤又はヒドロフルオロカーボン系発泡剤が、100重量部のポリオールあたり約10重量部から約40重量部にまで及ぶ量で使用され、好ましくは約12重量部から約35重量部にまで及ぶ量で使用される。水はイソシアナート基と反応して、膨張するガスとして作用する二酸化炭素を生じさせる。水は好適には、100重量部のポリオールあたり0.5重量部〜3.5重量部の範囲内の量で使用され、好ましくは1.5重量部〜3.0重量部の範囲内の量で使用される。
【0051】
ポリウレタン形成組成物は典型的には、ポリオール及び/又は水と、ポリイソシアナートとの反応のために、少なくとも1つの触媒を含む。好適なウレタン形成触媒には、米国特許第4,390,645号によって記載されるウレタン形成触媒、及び、国際公開公報第02/079340号に記載されるウレタン形成触媒が含まれる(これらはともに、参照によって本明細書中に組み込まれる)。代表的な触媒には、第三級アミン化合物及びホスフィン化合物、様々な金属のキレート、強酸の酸性金属塩、強塩基、様々な金属のアルコラート及びフェノラート、有機酸と、様々な金属との塩、四価スズ、三価及び五価のAs、Sb及びBiの有機金属誘導体、並びに、鉄及びコバルトの金属カルボニルが含まれる。
【0052】
第三級アミン触媒が一般に好ましい。第三級アミン触媒には、ジメチルベンジルアミン(例えば、Rhine Chemieから得られるDesmorapid(登録商標)DBなど)、1,8−ジアザ(5,4,0)ウンデカン−7(例えば、Air Productsから得られるPolycat(登録商標)SA−1など)、ペンタメチルジエチレントリアミン(例えば、Air Productsから得られるPolycat(登録商標)5など)、ジメチルシクロヘキシルアミン(例えば、Air Productsから得られるPolycat(登録商標)8など)、トリエチレンジアミン(例えば、Air Productsから得られるDabco(登録商標)33LVなど)、ジメチルエチルアミン、n−エチルモルホリン、N−アルキルジメチルアミン化合物(例えば、N−エチル−N,N−ジメチルアミン及びN−セチル−N,N−ジメチルアミンなど)、及び、N−アルキルモルホリン化合物(例えば、N−エチルモルホリン及びN−ココモルホリンなど)などが含まれる。有用である他の第三級アミン触媒には、Air Productsによって、Dabco(登録商標)NE1060、Dabco(登録商標)NE1070、Dabco(登録商標)NE500、Dabco(登録商標)TMR−2、Dabco(登録商標)TMR30、Polycat(登録商標)1058、Polycat(登録商標)11、Polycat 15、Polycat(登録商標)33、Polycat(登録商標)41及びDabco(登録商標)MD45の商品名で販売される第三級アミン触媒、並びに、Huntsmanによって、ZR50及びZR70の商品名で販売される第三級アミン触媒が含まれる。加えて、ある種のアミン開始ポリオールを触媒物質として本明細書では使用することができ、これらには、国際公開公報第01/58976A号に記載されるアミン開始ポリオールが含まれる。前記の2つ又はそれ以上の混合物を使用することができる。
【0053】
触媒は、触媒的に十分な量で使用される。好ましい第三級アミン触媒については、触媒の好適な量が100重量部のポリオールあたり約1部〜約4部の第三級アミン触媒であり、特に、約1.5部〜約3部の第三級アミン触媒である。一部の場合には、良好な加工を得るために要求される触媒量が、オルト−シクロヘキサンジアミンポリオールが存在しないときよりも少なくなり得ることが見出されている。
【0054】
ポリウレタン形成組成物はまた好ましくは、ガスが生成して、泡を形成し、かつ、フォームを膨張させる際に組成物の気泡を安定化させることを助ける少なくとも1つの界面活性剤を含有する。好適な界面活性剤の例には、脂肪酸のアルカリ金属塩及びアミン塩、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、ジエタノールアミンオレアート、ジエタノールアミンステアラート及びジエタノールアミンリシノレアートなど;スルホン酸(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸及びジナフチルメタンジスルホン酸など)のアルカリ金属塩及びアミン塩;リシノール酸;シロキサン−オキサルキレン(oxalkylene)のポリマー又はコポリマー及び他の有機ポリシロキサン;オキシエチル化アルキルフェノール(例えば、The Dow Chemical Companyから得られるTergitol NP9及びTriton X100など);オキシエチル化脂肪アルコール、例えば、The Dow Chemical Companyから得られるTergitol 15−S−9など;パラフィン油;ひまし油;リシノール酸エステル;ロート油;ピーナッツ油;パラフィン;脂肪アルコール;ポリオキシアルキレン側鎖基及びフルオロアルカン側鎖基を有するジメチルポリシロキサン及びオリゴマー状アクリラートが含まれる。これらの界面活性剤は一般には、100重量部のポリオールに基づいて0.01重量部〜6重量部の量で使用される。
【0055】
有機シリコーン系界面活性剤が一般に好ましいタイプである。幅広い様々なこれらの有機シリコーン系界面活性剤が市販されており、これらには、GoldschmidtによってTegostab(登録商標)の名称で販売される有機シリコーン系界面活性剤(例えば、Tegostab B−8462界面活性剤、同B8427界面活性剤、同B8433界面活性剤及び同B−8404界面活性剤など)、OSi SpecialtiesによってNiax(登録商標)の名称で販売される有機シリコーン系界面活性剤(例えば、Niax(登録商標)L6900界面活性剤及び同L6988界面活性剤など)、並びに、Air Products and Chemicalsから市販されている様々な界面活性剤製品、例えば、LK−221E界面活性剤、LK−443E界面活性剤、DC−193界面活性剤、DC−198界面活性剤、DC−5000界面活性剤、DC−5043界面活性剤及びDC−5098界面活性剤などが含まれる。
【0056】
前記成分に加えて、ポリウレタン形成組成物は様々な補助的成分を含むことができ、例えば、充填剤、着色剤、臭気遮蔽剤(odor mask)、難燃剤、殺生物剤、酸化防止剤、UV安定剤、帯電防止剤及び粘度調節剤などを含むことができる。
【0057】
好適な難燃剤の例には、リン化合物、ハロゲン含有化合物及びメラミンが含まれる。
【0058】
充填剤及び顔料の例には、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ色素、フタロシアニン系化合物、ジオキサジン系化合物、再利用硬質ポリウレタンフォーム及びカーボンブラックが含まれる。
【0059】
UV安定剤の例には、ヒドロキシベンゾトリアゾール系化合物、亜鉛ジブチルチオカルバマート、2,6−ジ第三級ブチルカテコール、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン及びホスフィト系化合物が含まれる。
【0060】
充填剤を別にすれば、前記添加物は一般には少量で使用され、例えば、それぞれがポリウレタン配合物の重量比で0.01パーセント〜3パーセントなどで使用される。充填剤はポリウレタン配合物の50重量%もの多くの量で使用することができる。
【0061】
ポリウレタン形成組成物は、様々な成分を、ポリオール及びイソシアナートが反応し、発泡剤がガスを生じさせ、かつ、組成物が膨張及び硬化するような条件のもとで一緒にすることによって調製される。ポリイソシアナートを除くすべての成分(又はその何らかの部分組合せ)を、所望するならば、配合されたポリオール組成物に予備混合することができ、この配合されたポリオール組成物がその後、フォームが調製されることになるときにポリイソシアナートと混合される。成分は、所望するならば、事前に加熱することができるが、これは通常の場合には必要はなく、成分は、反応を行うために、およそ室温(約22℃)で一緒にすることができる。硬化を行わせるために熱を組成物に加えることは通常の場合には必要はないが、所望するならば、これもまた行うことができる。
【0062】
本発明は、ポリウレタン形成組成物が空隙に分注され、空隙内で発泡して、空隙を満たし、構造的属性及び/又は断熱的属性を組立て物に与えるいわゆる「現場注入」用途において特に有用である。「現場注入」の術語は、フォームが1つの工程で作られ、後で、別個の製造工程で所定の位置に組み立てられるのではなく、むしろ、フォームが必要とされる場所に、フォームが作られるという事実を示す。様々な現場注入方法が、家庭用電気器具製品を作製するために、例えば、断熱フォームを含有する壁を有する冷蔵庫、冷凍庫、並びに、クーラー及び類似する製造物などを作製するために一般に使用される。ポリウレタン形成組成物におけるアミン開始ポリオールの存在は、同時に低いk因子のフォームをもたらしながら、良好なフロー及び短い型出し時間を有する配合物を提供する傾向がある。
【0063】
家庭用電気器具(例えば、冷蔵庫、冷凍庫及びクーラーなど)の壁は、最初に外側の外板及び内側のライナーを組み立てて一緒にして、その結果、空隙が、外板と、ライナーとの間で形成されるようにすることによって本発明に従って最も都合よく断熱される。空隙により、断熱されるための空間、並びに、製造されるフォームの大きさ及び形状が規定される。典型的には、外板及びライナーは、フォーム配合物の導入に先立って、何らかの様式で、例えば、溶着、又は、溶融結合、又は、何らかの接着剤の使用(或いは、これらの何らかの組合せ)などによって結合される。外板及びライナーは、治具又は他の装置を使用して、正しい相対的位置で担持又は保持することができる。空隙への1つ又はそれ以上の入口が設けられ、この入口を介して、フォーム配合物を導入することができる。通常、1つ又はそれ以上の出口が、空隙がフォーム配合物で満たされ、フォーム配合物が膨張する際に空隙内の空気が逃げることを可能にするように設けられる。
【0064】
外板及びライナーの構成材料は、それらがフォーム配合物の硬化反応及び膨張反応の条件に耐え得るならば、特に重要ではない。ほとんどの場合において、構成材料は、最終的な製造物において所望される特定の性能属性に関して選択される。金属、例えば、スチールなどが、より大型の家庭用電気器具(例えば、冷凍庫又は冷蔵庫など)では特に、外板として一般に使用される。プラスチック、例えば、ポリカーボナート、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレン−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂又は耐衝撃性ポリスチレンなどが、より多くの場合、より小型の家庭用電気器具(例えば、クーラーなど)のための、又は、低重量が重要である家庭用電気器具のための外板を作製するために使用される。ライナーは金属であってもよいが、より典型的には、ちょうど記載されたようなプラスチックである。
【0065】
その後、フォーム配合物が空隙に導入される。フォーム配合物の様々な成分が一緒に混合され、混合物が空隙に迅速に導入され、空隙の中で、成分が反応し、膨張する。ポリオールを水及び発泡剤(並びに、多くの場合には同様に、触媒及び/又は界面活性剤)と一緒に予備混合して、配合されたポリオールを製造することが一般的である。配合されたポリオールは、フォームを調製するときまで貯蔵することができ、そのようなときに、配合されたポリオールはポリイソシアナートと混合され、空隙に導入される。成分を空隙内への成分の導入に先立って加熱することは通常の場合には要求されず、また、硬化を行わせるために空隙内の配合物を加熱することも通常の場合には要求されない。だが、所望するならば、これらの工程のどちらか又は両方を用いることができる。外板及びライナーはいくつかの場合にはヒートシンクとして作用することができ、熱を反応中のフォーム配合物から取り除くことができる。必要ならば、外板及び/又はライナーは、このヒートシンク効果を低下させるために、又は、硬化を行わせるために、(例えば、50℃に至るまで、より典型的には35℃〜40℃にまで)少し加熱することができる。
【0066】
十分な量のフォーム配合物が導入され、その結果、フォーム配合物が膨張した後、生じたフォームが、フォームが所望される空隙のそのような部分を満たす。最も典型的には、本質的には空隙全体がフォームで満たされる。一般には、空隙を、空隙を満たすために最小限に必要とされるよりも多くのフォーム配合物を導入することによってわずかに「過剰充填」し、それにより、フォーム密度をわずかに増大させることが好ましい。過剰充填は様々な利益をもたらし、例えば、特に、型出し後の期間におけるフォームのより良好な寸法安定性などをもたらす。一般には、空隙は4重量%〜20重量%だけ過剰充填される。ほとんどの家庭用電気器具用途のための最終的なフォーム密度は好ましくは、28kg/m〜40kg/mの範囲にある。
【0067】
フォーム配合物が膨張し、かつ、寸法的に安定であるように十分に硬化した後、得られた組立て物は、外板及びライナーをそれらの正しい相対的位置で維持するために使用される治具又は他の支持物から取り出すことによって「型出し」することができる。短い型出し時間が家庭用電気器具産業にとって重要である。これは、より短い型出し時間により、より多くの部品が所与の製造設備で単位時間あたりに作製されることが可能になるからである。
【0068】
型出し時間は下記のように評価することができる:離型剤が塗布された28リットルの「特大」Brett鋳型が、45℃の温度に条件調節される。896g±4gのフォーム配合物が、32kg/mの密度のフォームを得るために鋳型に注入される。6分後、フォームが鋳型から取り出され、フォームの厚さが測定される。さらに24時間後、フォームの厚さが再測定される。24時間後の厚さと、最初の厚さとの差が、フォームの型出し後の膨張の目安である。型出し時間は、型出し後の膨張がこの試験で最大でも4mmであるならば、十分に長いと見なされる。
【0069】
述べられたように、フローがフォーム配合物の別の重要な属性である。本発明の目的のために、フローが、200cm×20cm×5cm(約6’6”×8”×2”)の大きさを有する長方形の「Brett」鋳型を使用して評価される。ポリウレタン形成組成物が形成され、Brett鋳型に直ちに注入される。この場合、Brett鋳型は垂直に向けられ(すなわち、200cmの方向が垂直に向けられ)、45±5℃に予熱される。組成物は、自身の重量に逆らって膨張し、鋳型の内部で硬化することが許される。ポリウレタン形成組成物の量が、生じたフォームが鋳型をちょうど満たすように選択される。その後、生じたフォームの密度が測定され、同じ配合物から(配合物を、配合物が大気圧に逆らって垂直方向及び水平方向に自由に膨張することができるプラスチック製バッグ又は開放された厚紙ボックスに注入することによって)作製される自由上昇フォームの密度と比較される。自由上昇密度に対するBrett鋳型でのフォーム密度の比率が、配合物の「フローインデックス」を表すと見なされる。本発明に関して、フローインデックスの値は典型的には1.8未満であり、好ましくは1.2〜1.5である。
【0070】
本発明のポリウレタンフォームは好都合には、低いk因子を示す。フォームのk因子はいくつかの変数に依存し得る。それらの中で、密度が重要な変数である。多くの用途については、28.8kg/m〜40kg/m(1.8ポンド/立方フィート〜2.5ポンド/立方フィート)の密度を有する硬質ポリウレタンフォームが、物理的特性、寸法安定性及びコストの良好な組合せを示す。本発明によるフォームは、密度がそのような範囲の範囲内である場合には好ましくは、最大でも22mW/m−℃(好ましくは最大でも20mW/m−℃、より好ましくは最大でも19.5mW/m−℃)の10℃ k因子を示す。より高密度のフォームが、ややより大きいk因子を示すことができる。
【0071】
上記で記載される家庭用電気器具フォーム及び断熱フォームに加えて、本発明はまた、車輌の騒音吸収フォーム、積層ボードの1つ又はそれ以上の層、パイプ用断熱材及び他のフォーム製造物を製造するために有用である。本発明は、迅速な硬化が望まれるとき、及び/又は、良好な断熱性がフォームにおいて望まれるとき、特に注目される。
【0072】
所望するならば、本発明の方法は、例えば、反応混合物が、減圧された圧力にある密閉された鋳型空隙の中に注入される、国際公開公報第07/058793号に記載される方法と併せて実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリウレタンフォームを調製するための方法であって、
A)少なくとも、下記の成分:
1)下記のa)及びb)を含有するポリオール混合物:
a)前記ポリオール混合物の重量に基づいて少なくとも3重量%の、平均官能性が3.0を超え、4.0に至るまでであり、かつ、ヒドロキシル当量重量が75〜560であるオルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオール(但し、前記オルト−シクロヘキサンジアミン開始ポリオールは、少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドをオルト−シクロヘキサンジアミン系開始剤化合物と反応させることによって、又は、少なくとも1つのC−Cアルキレンオキシドをオルト−フェニレンジアミンと反応させ、その後、フェニレンジアミン基の芳香族環を水素化することによって製造される)、及び
b)下記のb1)、b2)及びb3)のうちの少なくとも1つ、ここで、
b1)は、分子あたり2個〜6個のヒドロキシル基及び75〜1000のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの再生可能資源ポリオールであり、かつ、前記ポリオール混合物の少なくとも1重量%の量で存在する;
b2)は、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つの芳香族アミン開始ポリオールであり、かつ、前記ポリオール混合物の1重量%〜15重量%の量で存在する;及び
b3)は、分子あたり2個〜4個のヒドロキシル基及び75〜560のヒドロキシル当量重量を有する少なくとも1つのポリエステルポリオールであり、かつ、前記ポリオール混合物の3重量%〜10重量%の量で存在する;
2)少なくとも1つの炭化水素系物理的発泡剤、ヒドロフルオロカーボン系物理的発泡剤、ヒドロクロロフルオロカーボン系物理的発泡剤、フルオロカーボン系物理的発泡剤、ジアルキルエーテル系物理的発泡剤又はフッ素置換ジアルキルエーテル系物理的発泡剤、及び
3)少なくとも1つのポリイソシアナート
を含有する反応性混合物を形成すること;及び
b)前記反応性混合物を、前記反応性混合物が膨張し、硬化して、硬質ポリウレタンフォームを形成するような条件に供すること
を含む方法。
【請求項2】
前記再生可能資源ポリオールが、ひまし油を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再生可能資源ポリオールが、12個〜26個の炭素原子を有するヒドロキシメチル基含有脂肪酸又はそのようなヒドロキシメチル基含有脂肪酸のエステルを、平均して少なくとも2つのヒドロキシル基、第一級アミン基及び/又は第二級アミン基を有するポリオール系開始剤化合物又はポリアミン系開始剤化合物と反応させることによって調製されるヒドロキシメチル基含有ポリオールを含有し、その結果、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが、前記開始剤化合物におけるヒドロキシル基、第一級アミン基及び第二級アミン基の総数あたり平均して少なくとも1.3個の前記ヒドロキシメチル基含有脂肪酸由来又は前記ヒドロキシメチル基含有脂肪酸エステル由来の繰り返しユニットを含有し、かつ、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオールが少なくとも400から15,000に至るまでの当量重量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒドロキシメチル基含有ポリオールが、下記の平均構造:
[H−X](n−p)−R−[X−Z] (I)
(式中、Rは、n個のヒドロキシル基及び/又は第一級アミン基又は第二級アミン基を有する開始剤化合物の残基であり、この場合、nは少なくとも2である;それぞれのXは独立して、−O−、−NH−又は−NR’−(式中、R’は、不活性置換アルキル基、アリール基、シクロアルキル基又はアラルキル基である)であり、pは、ヒドロキシメチル含有ポリエステルポリオール分子あたりの[X−Z]基の平均数を表す、1からnまでの数であり、Zは、1つ又はそれ以上のA基を含有する直鎖又は分岐鎖であり、但し、分子あたりのA基の平均数はnの1.3倍以上であり、かつ、それぞれのAが独立して、A1、A2、A3、A4及びA5からなる群から選択され、但し、少なくともいくつかのA基が、A1、A2又はA3であり、この場合、A1は、
【化1】

(式中、BはHであるか、又は、別のA基のカルボニル炭素原子への共有結合である;mは3よりも大きい数であり、nはゼロ以上であり、m+nが11〜19である)
である;A2は、
【化2】

(式中、Bは前記と同様であり、vは3よりも大きい数であり、r及びsはそれぞれがゼロ以上の数であり、v+r+sが10〜18である)
である;A3は、
【化3】

(式中、B、v、それぞれのr及びsは上記で定義される通りであり、tはゼロ以上の数であり、v、r、s及びtの和が10〜18である)
である;A4は、
【化4】

(式中、wは10〜24である)
である;かつ、A5は、
【化5】

(式中、R’は、少なくとも1つの環式エーテル基及び必要な場合には1つ又はそれ以上のヒドロキシル基又は他のエーテル基と置換される線状アルキル基又は分岐アルキル基である)
を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記再生可能資源ポリオールが、(1)少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する第一級アミン化合物又は第二級アミン化合物と、(2)少なくとも1つのヒドロキシメチル基を含有する脂肪酸とのアミド、或いは、脂肪酸(又はエステル)と、ヒドロキシル含有の第一級アミン又は第二級アミンとのアミド(但し、前記脂肪酸基は、1つ又はそれ以上の(N−ヒドロキシアルキル)アミノアルキル基を導入するために修飾されている)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記再生可能資源ポリオールが、下記の構造:
[HO](p−x)−R−[O−C(O)−R
(式中、Rは、p個のヒドロキシル基を有する化合物の、ヒドロキシル基を除いた後の残基を表し、Rは脂肪酸の炭化水素部分を表し、xは1からpまでの数であり、pは、前記で議論されるように、2又はそれ以上であり、R鎖の少なくとも一部分が、
−O−C(O)−R−OH
(式中、Rは、不活性置換され得るヒドロカルビル基であり、yは1又はそれ以上であり、前記構造の左側に示される結合が脂肪酸鎖の炭素原子に結合する)
として表される少なくとも1つのヒドロキシル含有エステル基と置換される)
によって表されるヒドロキシルエステル置換脂肪酸エステルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記再生可能資源ポリオールが、ブローン(blown)ダイズ油を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記再生可能資源ポリオールが、修飾されたデンプンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記再生可能資源ポリオールが、セルロース−リグニン物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記再生可能資源ポリオールが、オリゴマー化された植物油又は動物性脂肪を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記芳香族アミンがトルエンジアミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記芳香族アミンがオルト−トルエンジアミンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリオール混合物がさらに、
c)前記ポリオール混合物の重量に基づいて30重量%〜70重量%の、4.7〜7の平均ヒドロキシル官能性及び100〜175のヒドロキシル当量重量を有する非アミン開始ポリエーテルポリオール
を含有する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529983(P2011−529983A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521278(P2011−521278)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/052082
【国際公開番号】WO2010/014691
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】