説明

オレフィンの三量化触媒およびその触媒を用いたオレフィンの三量化方法

【課題】 (a)タンタル化合物と(b)添加剤と必要に応じ(c)活性化剤とを混合して得られるオレフィンの三量化触媒であって、高選択率、高活性で反応が進行するという優れた特徴を有するオレフィンの三量化触媒、およびその触媒を用いたオレフィンの三量化方法を提供する。
【解決手段】 (a)タンタル化合物と(b)式(1)で示される添加剤と、必要に応じ(c)活性化剤とを混合して得られるオレフィンの三量化触媒。


(式中、iは0又は1を表し、iが1のときjは0であり、iが0のときjは0〜2の整数を表し、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、隣接するR1は任意に結合して環を形成してもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオレフィンの三量化触媒およびその触媒を用いたオレフィンの三量化方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、タンタル化合物および添加剤あるいはタンタル化合物、活性化剤および添加剤を混合して得られるオレフィンの三量化触媒であって、高選択率で反応が進行するという優れた特徴を有するオレフィンの三量化触媒、およびその触媒を用いたオレフィンの三量化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンタル化合物を用いてオレフィン、特にエチレンを選択的に三量化する方法は公知である。例えば、特許文献1および非特許文献1には、タンタル化合物とアルキル化剤からなる触媒組成物を用いる方法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6344594号明細書
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 7423
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記2件の開示情報で示されているオレフィンの三量化触媒を用いたオレフィンの三量化反応では、その触媒活性が十分であるとは言えなかった。
【0005】
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、タンタル化合物および添加剤あるいはタンタル化合物、活性化剤および添加剤を混合して得られるオレフィンの三量化触媒であって、高選択率で反応が進行するという優れた特徴を有するオレフィンの三量化触媒、およびその触媒を用いたオレフィンの三量化方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明のうち第一の発明は、(a)タンタル化合物と(b)式(1)で示される添加剤と、必要に応じ(c)活性化剤とを混合して得られるオレフィンの三量化触媒に係るものである。


(式中、iは0又は1を表し、iが1のときjは0であり、iが0のときjは0〜2の整数を表し、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、隣接するR1は任意に結合して環を形成してもよい。)
また、本発明のうち第二の発明は、上記のオレフィンの三量化触媒の存在下でオレフィンを三量化するオレフィンの三量化方法に係るものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、(a)タンタル化合物と(b)添加剤と必要に応じ(c)活性化剤とを混合して得られるオレフィンの三量化触媒であって、高選択率、高活性で反応が進行するという優れた特徴を有するオレフィンの三量化触媒、およびその触媒を用いたオレフィンの三量化方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のタンタル化合物として好ましくは3価または5価のタンタル化合物が挙げられ、より好ましくは5価のタンタル化合物が挙げられる。
【0009】
3価のタンタル化合物としては、通常リン原子または硫黄原子を含有した中性配位子を有するハロゲン化タンタル化合物、リン原子または硫黄原子を含有した中性配位子を有するアルキルタンタルハライド、リン原子または硫黄原子を含有した中性配位子を有するアルキルタンタルが挙げられ、好ましくはリン原子または硫黄原子を含有した中性配位子を有するハロゲン化タンタル化合物であり、その具体例としてはTaCl3(PMe33、TaCl3(C24)(PMe32、TaCl3(tetrahydrothiophene)3、TaBr3(PMe33、TaBr3(C24)(PMe32、TaBr3(tetrahydrothiophene)3、Ta2Cl6(tetrahydrothiophene)3、Ta2Br6(tetrahydrothiophene)3、Ta2Cl6(PMe33またはTa2Br6(PMe33が挙げられ、活性が高いという観点から最も好ましくはTa2Cl6(tetrahydrothiophene)3が挙げられる。
【0010】
5価のタンタル化合物としては、ハロゲン化タンタル類、シクロペンタジエニルタンタル類、タンタルアミド類、タンタルアルコキシド類、酸化タンタル類またはアルキルタンタルハライド類などが挙げられ以下にそれぞれの具体例を挙げる。
【0011】
ハロゲン化タンタル類の具体例としてはフッ化タンタル(V)、塩化タンタル(V)、臭化タンタル(V)またはヨウ化タンタル(V)が挙げられる。シクロペンタジエニルタンタル類の具体例としてはシクロペンタジエニルタンタルテトラクロライドまたはペンタメチルシクロペンタジエニルタンタルテトラクロライドが挙げられる。タンタルアミド類の具体例としてはペンタキス(ジメチルアミノ)タンタルが挙げられる。タンタルアルコキシド類の具体例としてはタンタル(V)メトキシドまたはタンタル(V)エトキシドが挙げられる。酸化タンタル類の具体例としては酸化タンタル(V)が挙げられる。アルキルタンタルハライド類の具体例としてはメチルテトラクロロタンタル、ジメチルトリクロロタンタル、トリメチルジクロロタンタル、エチルテトラクロロタンタル、ジエチルトリクロロタンタル、トリエチルジクロロタンタル、ネオペンチルテトラクロロタンタル、ビスネオペンチルトリクロロタンタル、トリスネオペンチルジクロロタンタル、メチルテトラブロモタンタル、ジメチルトリブロモタンタル、トリメチルジブロモタンタル、エチルテトラブロモタンタル、ジエチルトリブロモタンタル、トリエチルジブロモタンタル、ネオペンチルテトラブロモタンタル、ビスネオペンチルトリブロモタンタルまたはトリスネオペンチルジブロモタンタルが挙げられる。
【0012】
5価のタンタル化合物として好ましくはハロゲン化タンタル類またはアルキルタンタルハライド類であり、より好ましくは塩化タンタル、臭化タンタル、ジメチルタンタルトリクロライドである。
【0013】
本発明における(b)添加剤とは一般式(1)で示される化合物である。


(式中、iは0又は1を表し、iが1のときjは0であり、iが0のときjは0〜2の整数を表し、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、隣接するR1は任意に結合して環を形成してもよい。)
【0014】
式(1)で示される添加剤において、iは0又は1、iが1のときjは0、iが0のときjは0〜2の整数であり、好ましくは、i=0かつj=0である。
【0015】
一般式(1)における置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、具体的にメチル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、ブロモメチル基、エチル基、1−フルオロエチル基、1−クロロエチル基、1−ブロモエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、n−プロピル基、3−フルオロ−n−プロピル基、3−クロロ−n−プロピル基、3−ブロモ−n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ラウリル基、n−トリデシル基、n−セチル基、n−ステアリル基、ベンジル基又は2−フェニルエチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基又はsec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
【0016】
一般式(1)における置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基としては、具体的にビニル基、1−フルオロエテニル基、1−クロロエテニル基、1−ブロモエテニル基、2−フルオロエテニル基、2−クロロエテニル基、2−ブロモエテニル基、1−メチルエテニル基、2−メチルエテニル基、アリル基などが挙げら、好ましくはビニル基、1−フルオロエテニル基、1−クロロエテニル基、1−ブロモエテニル基などが挙げられる。
【0017】
一般式(1)における置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、具体的にフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基又は3,5−キシリル基などが挙げられ、更に好ましくはフェニル基が挙げられる。
【0018】
一般式(1)で示される添加剤としては、具体的に
ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジ−n−プロピルスルフィド、ジ−i−プロピルスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−i−ブチルスルフィド、ジ−sec−ブチルスルフィド、ジ−tert−ブチルスルフィド、ジ−n−ペンチルスルフィド、ジ−n−ヘキシルスルフィド、ジシクロヘキシルスルフィド、ジ−n−ヘプチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジ−n−ノニルスルフィド、ジ−n−デシルスルフィド、ジ−n−ウンデシルスルフィド、ジ−n−ラウリルスルフィド、ジ−n−トリデシルスルフィド、ジ−n−セチルスルフィド、ジ−n−ステアリルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、ペンタメチレンスルフィド、ジベンジルスルフィド、ビス(β−フェニルエチル)スルフィド、アリルスルフィド、チオフェン、2−クロロチオフェン、2-フルオロチオフェン、2−ブロモチオフェン、2,5−ジクロロチオフェン、2,5−ジフルオロチオフェン、2,5−ジブロモチオフェン、2,4−ジクロロチオフェン、2,4−ジフルオロチオフェン、2,4−ジブロモチオフェン、2,5−ジメチルチオフェン、2,4−ジメチルチオフェン、フェニルスルフィド、2−トリルスルフィド、3−トリルスルフィド、4−トリルスルフィド、2,3−キシリルスルフィド、2,4−キシリルスルフィド、2,5−キシリルスフィド、2,6−キシリルスルフィド、3,4−キシリルスルフィド、3,5−キシリルスルフィド、2,3,4−トリメチルフェニルスルフィド、2,3,5−トリメチルフェニルスルフィド、2,3,6−トリメチルフェニルスルフィド、2,4,6−トリメチルフェニルスルフィド、3,4,5−トリメチルフェニルスルフィド、2,3,4,5−テトラメチルフェニルスルフィド、2,3,4,6−テトラメチルフェニルスルフィド、2,3,5,6−テトラメチルフェニルスルフィド、ペンタメチルフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、n−プロピルフェニルスルフィド、イソプロピルフェニルスルフィド、2−メトキシフェニルスルフィド、3−メトキシフェニルスルフィド、4−メトキシフェニルスルフィド、2,5−ジメトキシフェニルスルフィド、2,4−ジメトキシフェニルスルフィド、2−フルオロフェニルスルフィド、3−フルオロフェニルスルフィド、4−フルオロフェニルスルフィド、2,5−ジフルオロフェニルスルフィド、2,4−ジフルオロフェニルスルフィド、ペンタフルオロフェニルスルフィド、2−クロロフェニルスルフィド、3−クロロフェニルスルフィド、4−クロロフェニルスルフィド、2−ブロモフェニルスルフィド、3−ブロモフェニルスルフィド、4−ブロモフェニルスルフィド等が挙げられ、好ましくはフェニルスルフィドが挙げられる。
【0019】
(c)活性化剤としては、タンタル化合物をアルキル化または還元できるものであれば特に限定されない。例えば、一般式(2)で示される金属化合物、アルキルアルミノキサン、一般式(3)で示されるアリルシラン類、また、三塩化チタン、ヨウ化サマリウムに代表される低原子価金属塩、水素ガス、一酸化炭素に代表される還元性ガス、ヒドラジン類、アルデヒド類等に代表される有機還元剤、ヨウ化水素に代表されるハロゲン化水素、硫化水素、硫化ナトリウムに代表されるイオウ化合物、三硫化りんまたは亜リン酸に代表されるりん化合物、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、リチウムなどの金属等が挙げられ、好ましくは一般式(2)で示される金属化合物、アルキルアルミノキサンまたは一般式(3)で示されるアリルシラン類が挙げられる。これら活性化剤は単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
1xR2yM2Yz (2)
(式中R2はそれぞれ独立に同一または相異なり水素または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M1はアルカリ金属を表し、M2はリチウム原子、マグネシウム原子、ホウ素原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、スズ原子または亜鉛原子を表し、Yはハロゲン原子またはシアノ基を表す。xは0または1でありyおよびzはy+z−xがM2の価数となる正の整数である。)


(式中、R3はそれぞれ独立して同一または相異なり水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。立体構造は特に限定されず、syn体、anti体のいずれでも良くまた混合物であっても良い。隣接するR3同士は任意に結合して環を形成してもよい。)
【0020】
一般式(2)で示される金属化合物としては、ヒドロカルビル金属類、金属水素化物が例示されヒドロカルビル金属類の具体例としてはアルキルリチウム類、アルキルマグネシウム類、アルキルスズ類、アルキルアルミニウム類またはアルキル亜鉛類などが挙げられる。
【0021】
アルキルリチウム類の具体例としてはメチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、シクロペンチルリチウム、シクロヘキシルリチウムまたはフェニルリチウムなどが挙げられ、好ましくは、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、またはフェニルリチウムなどが挙げられる。
【0022】
アルキルマグネシウム類の具体例としてはメチルマグネシウムハライド、エチルマグネシウムハライド、イソプロピルマグネシウムハライドまたはフェニルマグネシウムハライドなどが挙げられ、好ましくは、メチルマグネシウムハライド、エチルマグネシウムハライドまたはフェニルマグネシウムハライドが挙げられる。上記アルキルマグネシウムハライドのハライドとしては、塩素、臭素またはヨウ素などが挙げられる。
【0023】
アルキルスズ類の具体例としてはテトラメチルスズ、テトラエチルスズ、テトライソプロピルスズ、アリルトリブチルスズ、テトライソブチルスズ、ジブチルジクロロスズ、フェニルトリブチルスズなどが挙げられ、好ましくはテトラメチルスズ、テトラエチルスズ、アリルトリブチルスズまたはフェニルトリブチルスズなどが挙げられる。
【0024】
アルキルアルミニウム類の具体例としてはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムブロマイド、メチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイドが挙げられ、好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが挙げられる。
【0025】
アルキル亜鉛の具体例としてはジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛またはジイソブチル亜鉛等が挙げられ、好ましくはジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛等が挙げられる。
【0026】
金属水素化物としては、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属水素化ホウ素化合物、アルカリ金属水素化アルミニウム化合物、ジアルキルアルミニウムヒドリド、スズヒドリド、シリルヒドリドなどが挙げられ、その具体例としては水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、リチウムアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、トリブチルスズヒドリド、トリフェニルスズヒドリド、トリエチルシラン、トリクロロシラン、クロロシラン、トリフェニルシランなどが挙げられ、好ましくは水素化ホウ素ナトリウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、トリブチルスズヒドリド、トリエチルシランが挙げられる。なおこれら金属水素化物はAIBNまたはEt3B等ラジカル開始剤と一緒に使用しても良い。
【0027】
なお一層高い活性を得るという観点からは、アルキル亜鉛、アルキルアルミニウム類、アルキルスズ類が挙げられ、化合物の入手性という観点からは、好ましくはジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、テトラメチルスズ、テトラフェニルスズが挙げられる。
【0028】
アルキルアルミノキサンとしては、一般式(4)で示される構造を有する環状のアルミノキサン、または一般式(5)で示される構造を有する線状のアルミノキサンが挙げられる。
{−Al(R4a(R51-a−O−}b (4)
(式中R4、R5は水素原子もしくは炭素数1〜8の炭化水素基を表し、aは0以上1以下の数を、bは2以上の整数を表す)
6{−Al(R4a(R51-a−O−}c Al(R7)(R8) (5)
(式中、R4、R5、aは上記と同じ意味を表し、R6、R7、R8は同一または相異なって水素原子もしくは炭素数1〜8の炭化水素基を表し、cは1以上の整数を表す。)
【0029】
4、R5、R6、R7、R8における炭素数1〜8の炭化水素基の具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、イソブチル基などが挙げられる。aは0以上1以下の数を表し、bは2以上の整数であり、cは1以上の整数を表す。好ましくは、bは2〜40の整数、cは1〜40の整数である。
【0030】
アルミノキサンの具体例としてはメチルアルミノキサン、モディファイドメチルアルミノキサン(メチルアルミノキサンのメチル基の一部がイソブチル基で置換されたアルミノキサン)、イソブチルアルミノキサンが挙げられる。
【0031】
上記のアルミノキサンは各種の方法で造られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて造ることができる。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させることにより造ることができる。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリイソブチルアルミニウムなど)を、結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて造る方法が例示できる。なお、市販品を用いることもできる。
【0032】
式(3)で示されるアリルシラン類においてR3で表される炭素数1〜20の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、シクロヘキシル基などのアルキル基、アリル基、ビニル基などのアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基などのアリール基が挙げられ、好ましくはメチル基、tert−ブチル基、フェニル基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基が挙げられる。
【0033】
式(3)で示されるアリルシラン類の具体例としては、1,4−ビストリメチルシリル−2−ブテン、1,4−ビストリメチルシリル−2−メチル−2−ブテン、1,4−ビストリメチルシリル−2,3−ジメチル−2−ブテン、3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1−メチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1,2−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1,5−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1,4−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1,2,4−トリメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1,2,4,5−テトラメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1−エチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1−tert−ブチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1−イソプロピル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,4−ジヒドロナフタレン、9,10−ビス(トリメチルシリル)−9,10−ジヒドロアントラセン、2,2,3,3−テトラメチル−1−フェニル−2,3−ジシラビシクロ[2.2.2]オクタ−5,8−ジエン、上記化合物のトリメチルシリルをtert−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルに変更した化合物等が挙げられ、好ましくは3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1−メチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエン、1,4−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエンが挙げられ最も好ましくは1−メチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)−1,4−シクロヘキサジエンである。
【0034】
活性化剤の使用量は活性化剤の種類により異なるが、通常5価のタンタル塩に対して、0.1モル倍〜50モル倍、好ましくは0.2モル倍〜10モル倍、更に好ましくは0.5モル倍〜5モル倍である。還元剤は単独で使用しても良く、あるいは複数の還元剤を混合して使用しても良い。
【0035】
(a)タンタル化合物と(b)添加剤と必要に応じ(c)活性化剤とを混合する際には溶媒を使用することが好ましい。ここで使用される溶媒の例としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタンまたはデカリン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼンまたはジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素並びにジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素またはジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。また、三量化反応原料のオレフィン類そのもの、あるいは反応生成物例えば、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテン等のオレフィン類を溶媒とすることもできる。
【0036】
使用する溶媒の好ましいものとしてはハロゲンで置換されても良い芳香族炭化水素が挙げられ、さらに好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンまたはオルトジクロロベンゼンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量に関しては、特に制限はないが、使用量があまりに多すぎる場合は容積効率等の面で好ましくない。通常は5価のタンタル塩に対し、1500重量倍以下、好ましくは1000重量倍以下、更に好ましくは500重量倍以下である。なお、(a)タンタル化合物、(b)添加剤および(c)活性化剤の加える順番は特に限定されないが、活性化剤として求核性を有する金属化合物を使用する場合は添加剤と活性化剤で反応してしまい反応を阻害する場合があるため(a)タンタル化合物と(c)活性化剤を混合したのち(b)添加剤を混合することが好ましい。
【0037】
本発明の(a)タンタル化合物と(b)添加剤と必要に応じ(c)活性化剤とを混合して得られるオレフィンの三量化触媒を用いたオレフィンの三量化反応は、三量化触媒を調製した後オレフィンと接触させて実施することもできるが、(a)タンタル化合物と(b)添加剤と必要に応じ(c)活性化剤との混合をオレフィン存在下で実施することもできる。なお、これら原料の混合順序は特に制限されない。
【0038】
本発明の(a)タンタル化合物と(b)添加剤と必要に応じ(c)活性化剤とを混合して得られるオレフィンの三量化触媒は担体を含んでいても良い。担体とは無機または有機化合物であって、顆粒状もしくは微粒子状の固体である。
【0039】
担体として用いることができる無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が挙げられる。多孔質酸化物としては、具体的にSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaOまたはThO2などが挙げられる。また、これらを含む複合物または混合物、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V2O5、SiO2−Cr23またはSiO2−TiO2−MgOなどを用いることができる。さらに、上記化合物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2OまたはLi2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩または酸化物を含有していても良い。
【0040】
このような多孔質酸化物の性状は種類および製法により異なるが、本発明に用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gであり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが好ましい。このような担体は必要に応じて焼成して使用される。
【0041】
本発明で使用される無機塩化物としては、具体的にMgCl2、MgBr2、MnCl2またはMnBr2などが用いられる。これら無機塩化物はそのまま用いても良いし、必要に応じてボールミル、振動ミルなどにより粉砕して用いても良い。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させ、析出剤によって微粒子状に析出させたものを使用しても良い。
【0042】
本発明で用いられる粘土としては、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物としては、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、合成品を用いても良いし、天然品を用いても良い。
【0043】
粘土、粘土鉱物としては、具体的にベントナイト、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフェライト、雲母鉱物、アロフェン、モンモリロナイト、バーミキュライト、リョクデイ石群、木節粘土、パリゴルスカイト、カオリン、カオリナイト、ナクライト、ディッカイトまたはハロイサイトなどが挙げられる。
【0044】
イオン交換性層状化合物としては、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型またはCdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを挙げることができる。具体的には、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO4232O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42またはγ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0045】
これら粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は特に処理を行うことなくそのまま使用しても良いし、ボールミル、篩い分けなどの処理を行った後に使用しても良い。また単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0046】
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物は化学処理を施しても良い。化学処理としては、具体的に酸処理、アルカリ処理、塩類処理または有機物処理などが挙げられる。酸処理では表面の不純物を除去するほか、結晶構造のAl、Fe、MgまたはLiなどの陽イオンを一部溶出させることにより表面積を増大させる効果がある。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。塩類処理、有機物処理ではイオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0047】
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、層間の交換性イオンを別のかさ高いイオンと交換することで、層間が拡大した状態の層状物質でもよい。このようなかさ高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションと言う。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4またはZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR”)4、Zr(OR”)4、PO(OR”)3またはB(OR”)3などの金属アルコキシド(ここで、R”は炭化水素基を表す)並びに[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+または[Fe3O(OCOCH36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの化合物をインターカレーションする際には、Si(OR”)4、Al(OR”)3またはGe(OR”)4などの金属アルコキシド(ここでRは炭化水素基を表す)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0048】
これら粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物としては、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上、特に0.3〜5cc/gであることが好ましい。通常、粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は吸着水および層間水を含む。ここで吸着水とは、表面あるいは結晶破面に吸着された水であり、層間水とは結晶の層間に存在する水である。
【0049】
本発明において、粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は上記のような吸着水または層間水を除去してから使用することがこのましい。脱水方法は特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水または有機溶媒との共沸脱水などの方法が使用される。加熱温度は、吸着水および層間水が残存しないような温度範囲であり、通常100℃以上、好ましくは150℃以上であるが、結晶構造を破壊するような高温条件は好ましくない。
【0050】
本発明で担体として用いられる有機化合物としては、粒径が10〜300μmである顆粒状または微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテンまたは4−メチルペンテンなどの炭素数2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体、またはビニルシクロヘキサンまたはスチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変性体を挙げることができる。
【0051】
本発明の(a)タンタル化合物と(b)添加剤と必要に応じ(c)活性化剤とを混合して得られるオレフィンの三量化触媒を用いて三量化反応を行う際には溶媒が使用される。ここで使用される溶媒の例としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタンまたはデカリン等の脂肪族炭化水素並びにベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、モノクロロベンゼンまたはジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。また、三量化反応原料のオレフィン類そのもの、あるいは反応生成物例えば、1−ブテン、1−ヘキセンまたは1−オクテン等のオレフィン類を溶媒とすることもできる。
【0052】
使用する溶媒の好ましいものとしては芳香族炭化水素が挙げられ、さらに好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンまたはジクロロベンゼンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0053】
本発明の(a)タンタル化合物と(b)添加剤と必要に応じ(c)活性化剤とを混合して得られるオレフィンの三量化触媒を用いて、オレフィンの三量化を実施する際の(a) タンタル化合物の濃度は、特に制限されないが、通常溶媒1リットルあたり、0.0001マイクロモル〜100ミリモル、好ましくは0.001マイクロモル〜10ミリモルの範囲である。低原子化タンタルの濃度が高すぎても低すぎてもオレフィンの三量化活性や選択率が低下することがある。
【0054】
本発明において原料として使用されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンまたは1−デセン等のα−オレフィン類、2−ブテン、2−ペンテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン等の内部オレフィン、イソブチレン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンまたは2−エチル−1−ヘキセン等の分岐オレフィン類等、並びに1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエンまたは1,5−ヘキサジエン等のジオレフィン類等が挙げられる。
【0055】
本反応の触媒は、特にエチレンの三量化反応に好適であり、高活性かつ高選択的に1−ヘキセンを得ることができる。
【0056】
本発明の三量化反応の温度は、通常−100〜250℃、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは0〜150℃であり、更に好ましくは20〜120℃である。反応圧力は、通常、絶対圧力が常圧〜加圧条件下であり、好ましくは常圧〜300MPaであり、より好ましくは常圧〜30MPaである。反応時間は特に限定されないが、通常24時間以内である。
【0057】
原料オレフィンは、前記圧力を保つように連続的に供給してもよいし、反応開始時に前記圧力で封入して反応させてもよい。また、窒素、アルゴンまたはヘリウムなどで希釈したオレフィンを使用してもよい。
【0058】
本反応は、回分式、半連続式または連続式のいずれでも実施しうる。反応終了後、反応液に例えば、水、アルコール、塩酸または水酸化ナトリウム水溶液等の失活剤を添加して反応を停止させる。反応停止後、失活した触媒を、水またはアルカリ水溶液による抽出等の公知の脱灰処理方法により除去後、蒸留や抽出といった公知の操作により目的とするオレフィンを分離することができる。
【0059】
なお、オレフィンの三量化反応を実施するに際し、反応系内の水分量がタンタル原子の50モル倍以下であること、反応系内の分子状酸素がタンタル原子の10モル倍以下であることが好ましい。
【実施例】
【0060】
以下に、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
実施例1、2(Me2Zn+添加剤)
オートクレーブに常圧エチレン雰囲気下で、全量が3mlとなるようにトルエンを仕込み、ここに五塩化タンタル17.9mgをトルエン5mlに溶解させた溶液0.3ml(五塩化タンタルとして3μmol)を加え、温度を表1に示した反応温度に安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。そこにジメチル亜鉛(0.018mol/l−トルエン溶液)171μl(3μmol)を仕込み、最後に表1に示した添加剤(0.03mol/l−トルエン溶液)を表1に示した量加え、3時間反応させた。反応容器を室温まで冷却し、次いで常圧に戻した。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。また、反応液に含まれる固体分を、ろ紙を用いてろ別し、これを風乾後、減圧下で乾燥してその重量を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
比較例1
実施例1において、添加剤を加えないこと以外は実施例1と同様に操作した。結果を表1に示す。
【0063】
比較例2
実施例2において、添加剤を加えないこと以外は実施例2と同様に操作した。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
実施例3(iBu3Al+添加剤)
オートクレーブに常圧エチレン雰囲気下で、全量が5mlとなるようにトルエンを仕込み、ここに五塩化タンタル100.3mgをトルエン14mlに溶解させた溶液0.13ml(五塩化タンタルとして2.5μmol)を加え、反応温度を70℃に安定させた後、エチレンを0.6MPaまで加圧し安定させた。そこにトリイソブチルアルムニウム(0.025mol/l−トルエン溶液)67μl(1.7μmol)を仕込み、最後に表2に示した添加剤(0.03mol/l−トルエン溶液)を表2に示した量加え、3時間反応させた。反応容器を室温まで冷却し、次いで常圧に戻した。反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。また、反応液に含まれる固体分を、ろ紙を用いてろ別し、これを風乾後、減圧下で乾燥してその重量を測定した。結果を表2に示す。
【0066】
比較例3
実施例3において、添加剤を加えないこと以外は実施例3と同様に操作した。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)タンタル化合物と(b)式(1)で示される添加剤と、必要に応じ(c)活性化剤とを混合して得られるオレフィンの三量化触媒。

(式中、iは0又は1を表し、iが1のときjは0であり、iが0のときjは0〜2の整数を表し、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、隣接するR1は任意に結合して環を形成してもよい。)
【請求項2】
式(1)で表される化合物において、i=0である請求項1に記載のオレフィンの三量化触媒。
【請求項3】
式(1)で表される化合物において、j=0である請求項1または請求項2に記載のオレフィンの三量化触媒。
【請求項4】
式(1)で表される化合物において、R1が置換基を有していてもよい6〜20のアリール基である請求項1〜3のうち一の請求項に記載のオレフィンの三量化触媒。
【請求項5】
(a)タンタル化合物が5価のタンタル化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン三量化触媒。
【請求項6】
(a)タンタル化合物がハロゲン化タンタルまたはアルキルタンタルハライドである請求項5に記載のオレフィン三量化触媒。
【請求項7】
(a)タンタル化合物が五塩化タンタルである請求項5に記載のオレフィン三量化触媒。
【請求項8】
(c)活性化剤が、式(2)で示される金属化合物、アルキルアルミノキサン、または式(3)で示されるアリルシラン類である請求項1〜7のいずれかに記載のオレフィン三量化触媒。
1xR2yM2Yz (2)
(式中R2はそれぞれ独立に同一または相異なり水素または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M1はアルカリ金属を表し、M2はリチウム原子、マグネシウム原子、ホウ素原子、アルミニウム原子、ケイ素原子、スズ原子または亜鉛原子を表し、Yはハロゲン原子またはシアノ基を表す。xは0または1でありyおよびzはy+z−xがM2の価数となる正の整数である。)

(式中、R3はそれぞれ独立して同一または相異なり水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。立体構造は特に限定されず、syn体、anti体のいずれでも良くまた混合物であっても良い。隣接するR3同士は任意に結合して環を形成してもよい。)
【請求項9】
式(2)におけるxおよびzが0、R2がメチル基、エチル基、イソブチル基またはフェニル基、M2が亜鉛原子、アルミニウム、スズ原子である請求項8に記載のオレフィン三量化触媒。
【請求項10】
式(3)におけるR3が水素原子またはメチル基である請求項8または請求項9に記載のオレフィン三量化触媒。
【請求項11】
(b)式(1)で示される添加剤の使用量が(a)タンタル化合物の0.2から50モル倍である請求項1〜10のいずれかに記載のオレフィンの三量化触媒。
【請求項12】
請求項1〜11のうちのいずれかに記載のオレフィンの三量化触媒存在下でオレフィンを三量化するオレフィンの三量化方法。
【請求項13】
オレフィンがエチレンである請求項12に記載のオレフィン三量化方法。

【公開番号】特開2006−218437(P2006−218437A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35805(P2005−35805)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】