説明

オレフィン重合触媒およびポリオレフィンパウダーの製造方法

【課題】従来公知の技術と比較して低い嵩密度となるように粒子形状が制御され、通気抵抗の低い多孔質体の原料として有用なポリオレフィンパウダーの重合を可能とするオレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いたポリオレフィンパウダーの製造方法の提供。
【解決手段】ある特定の比率で混合した不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物と塩化珪素化合物を接触させて得られる担体にチタン化合物を担持することを特徴とする、オレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いたポリオレフィンパウダーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いたポリオレフィンパウダーの製造方法に関する。さらに詳しくは、低い嵩密度となるように粒子形状が制御され、通気抵抗の低い多孔質体の原料として有用なポリオレフィンパウダーの提供を可能とするオレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いたポリオレフィンパウダーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合触媒として、周期律表第4〜6族の遷移金属化合物と周期律表第1族、第2族、第3族、および第13族からなる群に含まれる有機金属化合物からなるチーグラー触媒系が一般に知られている。高活性を有するオレフィン重合触媒としては、有機マグネシウム化合物を使用した触媒系が多数提案されており、例えば、特許文献1や特許文献2等においては、有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物とを反応させて得られる担体に、チタン化合物を担持したオレフィン重合触媒が記載されている。
【0003】
こうした触媒系を用いてオレフィンを重合もしくは共重合し、ポリオレフィンを製造する方法としては、溶液中に固体触媒成分を懸濁させて重合を行ういわゆるスラリー重合が一般に用いられる。この重合方法によって得られるポリオレフィンは、ある程度形状および粒径がそろったパウダーであり、粉末成形用材料、焼結成形用材料、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の充填剤、塗料、接着剤、潤滑剤、ろ過剤、洗浄剤、分析カラム用吸着剤、被覆剤、液晶のスペーサー、トナー、触媒担体、化粧品基材等、幅広い分野における有用な素材として注目されている。
【0004】
このうち焼結成形用材料の分野においては、ポリオレフィンパウダーの嵩密度が焼結成形によって得られる多孔質体の通気抵抗に大きく関係しており、多孔質体の通気抵抗を下げるためには嵩密度の低いポリオレフィンパウダーを選択する必要がある。スラリー重合によって得られるポリオレフィンパウダーの粒子形状および嵩密度は固体触媒成分の粒子性状に大きく依存しているため、更なる品質向上には固体触媒成分の改良が必要不可欠である。しかしながら、従来の触媒技術では、より精密に粒子性状が制御された嵩密度の低いポリオレフィンパウダーを高効率で得ることは困難であり、生産性の低い触媒の使用や、分級機や二次加工等の処理が必要であった。
【0005】
【特許文献1】特公平2−42366号公報
【特許文献2】特開2004−143289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、従来公知の技術と比較して低い嵩密度となるように粒子形状が制御され、通気抵抗の低い多孔質体の原料として有用なポリオレフィンパウダーが高効率で得られるオレフィン重合触媒の製造方法と該触媒およびこれを用いたポリオレフィンパウダーの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ある特定の比率で混合した不活性炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物と塩化珪素化合物を接触させて得られる担体にチタン化合物を担持することによって得られるオレ
フィン重合触媒を用いてオレフィンを重合すると、分級機や二次加工等の処理を必要とせず嵩密度の低いポリオレフィンパウダーが高効率で得られることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合触媒において、固体触媒成分[A]が、
Mg・・・・・(1)
(上記一般式(1)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、第12族および第13族からなる群に含まれるマグネシウム以外の金属原子、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基、E、G、p、およびqは、E≧0、G>0、p≧0、q≧0、kE+2G=p+q(kはMの原子価)を満たす数である。)
で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物およびシリカを、
J<L≦2J・・・・・(2)
(上記一般式(2)中、Jはシリカ1gあたりに含まれる表面水酸基のモル数、Lはシリカ1gあたりに混合する有機マグネシウム化合物に含まれるマグネシウム原子のモル数である。)
を満たす混合比で混合した混合物と、
SiCl4−(a+b)・・・・・(3)
(上記一般式(3)中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、aとbは、a>0、b>0、a+b≦4を満たす数である。)
で示される塩化珪素化合物を接触させて得られる担体に、
Ti(OR4−w・・・・・(4)
(上記一般式(4)中、Rは炭化水素基、Zはハロゲン、wは0≦w≦4を満たす数である。)
で示されるチタン化合物を担持することによって調製され、有機金属化合物成分[B]が、
AlR3−f・・・・・(5)
(上記一般式(5)中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基、Tは水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基より選ばれた基であり、fは2〜3の数である。)
で示される有機アルミニウム化合物であることを特徴とするオレフィン重合触媒の製造方法。
【0009】
(2)該チタン化合物の担持が、上記一般式(4)で示されるチタン化合物と、
Mg・・・・・(6)
(上記一般式(6)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、第12族および第13族からなる群に含まれるマグネシウム以外の金属原子、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基、XおよびYは同一または異なるOR、OSiR1011、NR1213、SR14、ハロゲンから選ばれた官能基、RおよびR14は炭素数1〜20の炭化水素基、R、R10、R11、R12、およびR13は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、Q、U、r、s、t、およびvは、Q≧0、U>0、r≧0、s≧0、t≧0、v≧0、r+s>0、0≦(t+v)/(Q+U)≦2、hQ+2U=r+s+t+v(hはMの原子価)を満たす数である。)
で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物との接触によって行われることを特徴とする、(1)に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
(3)エチレンの単独重合あるいはエチレンと炭素数が3以上のオレフィンとを共重合する際に、(1)または(2)に記載のオレフィン重合触媒を用い、嵩密度が0.2〜0.3グラム/ミリリットルのポリオレフィンパウダーを得ることを特徴とする、ポリオレフィンパウダーの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によって得られるオレフィン重合触媒を用いてオレフィンを重合すると、低い嵩密度となるように粒子形状が制御され、通気抵抗の低い多孔質体の原料として有用なポリオレフィンパウダーが高効率で得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願発明について具体的に説明する。なお、本発明において「重合」という語は単独重合のみならず共重合を包含した意味で用いられることがあり、また、「重合体」という語は単独重合体のみならず、共重合体を包含した意味で用いられることがある。
本発明における炭化水素溶媒は不活性であることが重要であり、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、または、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が挙げられる。
【0012】
本発明におけるシリカについて特に制限はなく、通常市販されているシリカ担体で何ら問題はないが、市販の高活性触媒用シリカ(高表面積、高細孔容積)が好ましい。シリカの形状に関して特に制限はなく、顆粒状、球状、凝集状、ヒューム状など、いかなる形状であってもよい。市販されているシリカの好ましい例としては、SD3216.30、SP−9−10046、デビソンサイロイドTM(Syloid TM)245、デビソン948またはデビソン952[以上全て、グレースデビソン社(W.R.デビソン社(米国)の支社)製]、アエロジル812[デグザAG社(ドイツ)製造]、ES70X[クロスフィールド社(米国)製]、P−6及びP−10[富士シリシア社(日本国)製]等が挙げられる。
【0013】
本発明において用いられるシリカの、B.E.T.(Brunauer−Emmett−Teller)による窒素ガス吸着法で求められる比表面積について特に制限はないが、5〜1000平方メートル/グラムが好ましく、100〜600平方メートル/グラムが特に好ましい。
本発明において用いられるシリカの、窒素ガス吸着法で求められる細孔容積について特に制限はないが、通常は5立方センチメートル/グラム以下であり、0.1〜3立方センチメートル/グラムが好ましく、0.2〜2立方センチメートル/グラムが特に好ましい。
【0014】
本発明において用いられるシリカの平均粒径について特に制限はなく、通常0.5〜500マイクロメートルのシリカが用いられるが、1〜200マイクロメートルが好ましく、10〜100マイクロメートルが特に好ましい。
さらに、本発明においては、シリカを加熱処理して事前に水(結晶水、吸着水等)を除去しておくことが好ましい。シリカの加熱処理は、例えば、不活性雰囲気下または還元雰囲気下に、好ましくは150℃〜1000℃、より好ましくは250℃〜800℃の温度で、1時間〜50時間の処理によって行うことができる。加熱処理後におけるシリカの表面水酸基量は、シリカ1グラム当たり0.05〜10ミリモルであることが好ましく、0.1〜5ミリモルであることが特に好ましく、0.5〜2ミリモルであることがさらに好ましい。なお、本発明におけるシリカの表面水酸基量は、以下に示す方法によって求めた。まず、シリカを溶媒中に分散させることによって得られるスラリーに過剰量のエトキシジエチルアルミニウムを添加して、シリカの表面水酸基をエトキシジエチルアルミニウムと反応させ、次いで、シリカの表面水酸基と反応したエトキシジエチルアルミニウムの量を求めるために、発生したエタンガスの量をガスビュレットで測定してから、反応したエトキシジエチルアルミニウムの量に基づいてシリカの表面水酸基量を求めた。
本発明おいてシリカと混合する炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物としては、
【0015】
Mg・・・・・(1)
(上記一般式(1)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、第12族および第13族からなる群に含まれるマグネシウム以外の金属原子、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基、E、G、p、およびqは、E≧0、G>0、p≧0、q≧0、kE+2G=p+q(kはMの原子価)を満たす数である。)
で表される有機マグネシウム化合物が用いられる。なお、周期律表の族番号は、IUPAC(国際純正および応用化学連合)無機化学命名法で1989年に定められた命名法を用いた。この化合物は、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号E、G、p、およびqの関係式kE+2G=p+qは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
【0016】
上記の式中RおよびRで表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、Rはアルキル基であることが好ましい。
E>0の場合、金属原子Mとしては、周期律表第1族、第2族、第3族、第12族、および第13族からなる群に含まれる金属元素を使用することができ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。金属原子Mに対するマグネシウムの比G/Eは、任意に設定可能であるが、0.1〜30の範囲が好ましく、特に0.5〜10の範囲が好ましい。
【0017】
本発明においてこれらの有機マグネシウム化合物は、一般式RMgZおよびRMg(式中、Rは前述の意味であり、Zはハロゲンである)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と一般式MおよびMk−1H(式中、M、R、およびkは前述の意味である)からなる群に属する有機金属化合物とを不活性炭化水素溶媒中、室温〜150℃の間で反応させることによって合成される。
一般的には有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶媒に不活性であり、E>0であるところの有機マグネシウム化合物は可溶性である。また、E=0となる有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、Rが1−メチルプロピル等の場合には炭化水素溶媒に可溶性であり、このような化合物も本発明に好ましい結果を与える。
【0018】
上記一般式(1)において、E=0の場合のR、Rは、以下に示す三つの群(i)、(ii)、(iii)のいずれか一つであることが推奨される。
(i)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR、Rがともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(ii)R、Rが、炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはRが炭素原子数2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(iii)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR、Rに含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
【0019】
以下、これらの基を具体的に示す。(i)において炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、2−メチルブチル基、2−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2−メチル−2−エチルプロピル基等が用いられ、1−メチルプロピル基が特に好ましい。次に
(ii)において炭素原子数2または3のアルキル基としては、エチル基、1−メチルエチル基、プロピル基等が挙げられ、エチル基が特に好ましい。また炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられ、ブチル基、ヘキシル基が特に好ましい。さらに、(iii)において炭素原子数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、2−ナフチル基等が挙げられ、炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でもヘキシル基、オクチル基が特に好ましい。
【0020】
一般に、アルキル基に含まれる炭素原子数が増えると炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘性が高くなるため、溶解性を満足させる範囲で炭素原子数の少ないアルキル基を用いることが好ましい。なお、上記有機マグネシウム化合物は炭化水素溶液として使用されるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のコンプレックス化剤がわずかに含有されあるいは残存していても差し支えなく用いることができる。
なお、本発明においてシリカと混合する炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物は、固体触媒成分[A]の触媒機能を工業的なレベルにまで増幅させる点において極めて重要な役割を果たしている。
【0021】
本発明における炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とシリカの混合は、シリカをあらかじめ反応溶媒、例えば、不活性炭化水素溶媒、1,2−ジクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、ジクロロメタン等の塩素化炭化水素溶媒、もしくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒を用いてスラリーとした後に混合することが好ましい。反応溶媒としては、触媒の性能上、不活性炭化水素溶媒が特に好ましい。混合の温度について特に制限はないが、10℃〜70℃が好ましく、15℃〜55℃が特に好ましい。混合の方法については、有機マグネシウム化合物とシリカスラリーとを同時に反応器に導入しつつ混合する同時添加の方法、もしくはシリカスラリーを事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物を反応器に導入させる方法、または有機マグネシウム化合物を事前に反応器に仕込んだ後にシリカスラリーを反応器に導入させる方法等があるが、シリカスラリーを事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物を反応器に導入させる方法が好ましい。上記混合後は、ろ過やデカンテーション等による分離・洗浄操作を行わず、そのまま塩化珪素化合物との接触に用いることが好ましい。
【0022】
本発明では、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物とシリカの混合比が、
J<L≦2J・・・・・(2)
(上記一般式(2)中、Jはシリカ1gあたりに含まれる表面水酸基のモル数、Lはシリカ1gあたりに混合する有機マグネシウム化合物に含まれるマグネシウム原子のモル数である。)
を満たすことを特徴としている。J<Lの場合には、シリカ粒子間に有機マグネシウム化合物と塩化珪素化合物との反応物がネットワーク構造を形成し、触媒粒子形状を制御する要素として好適に作用する。また、L≦2Jの場合には、反応溶媒中における担体粒子の沈降性が阻害されず操作性に優れた触媒が得られるとともに、重合によって得られるポリオレフィンパウダーの大幅な嵩密度の低下を回避できる。なお、一般に嵩密度が低いポリオレフィンパウダーの製造はポリオレフィンパウダーおよびスラリーの流動性、輸送時の包装等、工業的な観点で難易度が高いため、ポリオレフィンパウダーの嵩密度が0.2グラム/ミリリットルより高い必要がある。
【0023】
本発明において担体を得るために用いられる塩化珪素化合物としては、
SiCl4−(a+b)・・・・・(3)
(上記一般式(3)中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、aとbは、a>0、b>0、a+b≦4を満たす数である。)
で示される塩化珪素化合物が用いられる。上記の式中Rで表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基等の低級アルキル基が特に好ましい。また、aおよびbはa+b≦4の関係を満たす0より大きな数であり、bが2または3であることが特に好ましい。これらの化合物としては、HSiCl、HSiClCH、HSiCl、HSiCl、HSiCl(1−CH)、HSiCl、HSiCl、HSiCl(4−Cl−C)、HSiClCH=CH、HSiClCH、HSiCl(1−C10)、HSiClCHCH=CH、HSiClCH、HSiClC、HSiCl(CH、HSiCl(C、HSiClCH(1−CH)、HSiClCH(C)、HSiCl(C等が挙げられ、これらの化合物またはこれらの化合物から選ばれた二種類以上の混合物からなる塩化珪素化合物が使用される。塩化珪素化合物としては、トリクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、エチルジクロロシランが好ましく、トリクロロシラン、モノメチルジクロロシランが特に好ましい。
【0024】
本発明における有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物と塩化珪素化合物との接触に際して特に制限はないが、塩化珪素化合物をあらかじめ反応溶媒、例えば、不活性炭化水素溶媒、1,2−ジクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、ジクロロメタン等の塩素化炭化水素溶媒、もしくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒を用いて希釈した後使用することが好ましい。さらに、触媒の性能上、不活性炭化水素溶媒が特に好ましい。接触する温度について特に制限はないが、好ましくは塩化珪素化合物の沸点以上もしくは20℃以上で実施される。有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物と塩化珪素化合物との接触比率にも特に制限はないが、有機マグネシウム化合物に含まれるマグネシウム原子1モルに対し、塩化珪素化合物0.1〜10モルの範囲が好ましく、1〜5モルの範囲が特に好ましい。
【0025】
本発明における有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物と塩化珪素化合物との接触方法については、有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物と塩化珪素化合物とを同時に反応器に導入しつつ接触させる同時添加の方法、もしくは塩化珪素化合物を事前に反応器に仕込んだ後に有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物を反応器に導入させる方法、または有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物を事前に反応器に仕込んだ後に塩化珪素化合物を反応器に導入させる方法等があり、特に制限はないが、有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物を事前に反応器に仕込んだ後に塩化珪素化合物を反応器に導入させる方法が好ましい。上記接触によって得られる担体は、ろ過またはデカンテーション法により分離した後、不活性炭化水素溶媒を用いて充分に洗浄し、未反応物あるいは副生成物等を除去することが好ましい。
【0026】
本発明における担体成分であるチタン化合物について説明する。本発明に用いられるチタン化合物としては、
Ti(OR4−w・・・・・(4)
(上記一般式(4)中、Rは炭化水素基、Zはハロゲン、wは0≦w≦4を満たす数である。)
で示されるチタン化合物が用いられる。Rで表される炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、アリル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が特に好ましい。Z
で表されるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、塩素が特に好ましい。また、上記から選ばれたチタン化合物を2種以上混合した形で用いることも可能である。チタン化合物の総使用量は、シリカ1gに対して、0.01〜5ミリモルの範囲が好ましく、0.1〜3ミリモルの範囲が特に好ましい。担持反応は不活性炭化水素溶媒中で行われるが、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒を用いることが好ましい。
【0027】
本発明における上記一般式(4)で示されるチタン化合物の担持方法として特に制限はなく、担体に対して過剰な該チタン化合物を接触させる方法や、第三成分を使用することにより該チタン化合物を効率的に担持する方法を用いても良いが、担体に対するチタン化合物の担持が、チタン化合物と、
Mg・・・・・(6)
(上記一般式(6)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、第12族および第13族からなる群に含まれるマグネシウム以外の金属原子、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基、XおよびYは同一または異なるOR、OSiR1011、NR1213、SR14、ハロゲンから選ばれた官能基、RおよびR14は炭素数1〜20の炭化水素基、R、R10、R11、R12、およびR13は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、Q、U、r、s、t、およびvは、Q≧0、U>0、r≧0、s≧0、t≧0、v≧0、r+s>0、0≦(t+v)/(Q+U)≦2、hQ+2U=r+s+t+v(hはMの原子価)を満たす数である。)
で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物との接触によって実施されることが好ましい。この化合物は、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、ジヒドロカルビルマグネシウム化合物およびこの化合物と他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号Q、U、r、s、t、およびvの関係式hQ+2U=r+s+t+vは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。全金属原子に対するXとYのモル組成比(t+v)/(Q+U)の範囲は0≦(t+v)/(Q+U)≦2であり、特に0≦(t+v)/(Q+U)≦1が好ましい。
【0028】
上記の式中R、R、R、およびR14で表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられ、Rはアルキル基であることが好ましい。また、R、R10、R11、R12、およびR13が炭化水素基である場合は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、アルキル基またはアリール基が好ましい。
Q>0の場合、金属原子Mとしては、周期律表第1族、第2族、第3族、第12族、および第13族からなる群に含まれる金属元素を使用することができ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。金属原子Mに対するマグネシウムの比U/Qは、任意に設定可能であるが、0.1〜30の範囲が好ましく、特に0.5〜10の範囲が好ましい。
【0029】
本発明においてこれらの有機マグネシウム化合物は、一般式RMgZおよびRMg(式中、Rは前述の意味であり、Zはハロゲンである)からなる群に属する有機マグネシウム化合物と一般式MおよびMh−1H(式中、M、R、およびhは前述の意味である)からなる群に属する有機金属化合物とを不活性炭化水素溶媒中、室温〜150℃の間で反応させ、必要な場合には続いて、これをさらにアルコール、水、シロキサン、アミン、イミン、メルカプタン、またはジチオ化合物等の追加成分と反応させることによって合成される。追加成分との反応の順序については、有機マグネシウム化合物中に追加成分を加えていく方法、追加成分に有機マグネシウム化合物を加えていく方法、または両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。さらに、これらの有機マグネシウム化合物は、一般式MgXおよびRMgXからなる群に属す
る有機マグネシウム化合物と一般式MおよびMh−1Hからなる群に属する有機金属化合物との反応、または、一般式RMgXおよびRMgからなる群に属する有機マグネシウム化合物と一般式Rh−dからなる群に属する有機金属化合物との反応、または、一般式RMgXおよびRMgからなる群に属する有機マグネシウム化合物と一般式Yh−d(式中、M、R、R、X、およびYは前述の意味であって、XおよびYがハロゲンである場合を含み、dは0〜hの数である。)からなる群に属する有機金属化合物との反応によっても合成することができる。
一般的には有機マグネシウム化合物は不活性炭化水素溶媒に不活性であり、Q>0であるところの有機マグネシウム化合物は可溶性である。また、Q=0となる有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、Rが1−メチルプロピル等の場合には炭化水素溶媒に可溶性であり、このような化合物も本発明に好ましい結果を与える。
【0030】
上記一般式(6)において、Q=0の場合のR、Rは、以下に示す三つの群(iv)、(v)、(vi)のいずれか一つであることが推奨される。
(iv)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR、Rがともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(v)R、Rが、炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはRが炭素原子数2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数4以上のアルキル基であること。
【0031】
(vi)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR、Rに含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
以下、これらの基を具体的に示す。(iv)において炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、2−メチルブチル基、2−エチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2−メチル−2−エチルプロピル基等が用いられ、1−メチルプロピル基が特に好ましい。次に(v)において炭素原子数2または3のアルキル基としては、エチル基、1−メチルエチル基、プロピル基等が挙げられ、エチル基が特に好ましい。また炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられ、ブチル基、ヘキシル基が特に好ましい。さらに、(vi)において炭素原子数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、2−ナフチル基等が挙げられ、炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、アルキル基の中でもヘキシル基、オクチル基が特に好ましい。
【0032】
一般に、アルキル基に含まれる炭素原子数が増えると炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘性が高くなるため、溶解性を満足させる範囲で炭素原子数の少ないアルキル基を用いることが好ましい。なお、上記有機マグネシウム化合物は炭化水素溶液として使用されるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のコンプレックス化剤がわずかに含有されあるいは残存していても差し支えなく用いることができる。
【0033】
本発明においてチタン化合物と接触させる炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物としては、上記一般式(6)で示される有機マグネシウム化合物を用いることが好ましいが、上記一般式(6)においてv=0、X=OR(v、X、およびRは前述の意味である。)となる有機マグネシウム化合物、あるいは上記一般式(6)においてt=v=0となる有機マグネシウム化合物と、
【0034】
【化1】

(上記一般式(7)中、R15、R16は水素または炭素数1〜10の炭化水素基、eは2〜40の整数である。)
【0035】
で示される鎖状または環状のシロキサン化合物との反応物を用いることもできる。上記の式中、R15およびR16で表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等が挙げられる。メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基および炭素数7以下の芳香族炭化水素基が好ましく、メチル基およびフェニル基が特に好ましい。シロキサン化合物としてはポリヒドロメチルシロキサン、ポリヒドロフェニルシロキサンが好ましい。また、eについて特に制限はないが、4〜20が好ましく、7〜15が特に好ましい。
【0036】
上記一般式(6)においてt=v=0となる有機マグネシウム化合物と、上記一般式(7)で表される鎖状または環状のシロキサン化合物との反応は、不活性炭化水素溶媒中で行われることが好ましい。反応温度は10℃〜150℃が好ましく、40℃〜90℃が特に好ましい。反応時間について特に制限はないが、3時間以上であることが好ましい。また、上記一般式(7)で表される鎖状または環状のシロキサン化合物の使用量は、上記一般式(6)においてt=v=0となる有機マグネシウム化合物中の全金属原子に対するモル比で0.3〜5の範囲が好ましく、0.5〜2の範囲が特に好ましい。
【0037】
本発明におけるチタン化合物と炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物の添加方法としては、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物に続いてチタン化合物を添加する方法、チタン化合物に続いて炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物を添加する方法、両方を同時に添加する方法、のいずれの方法も可能であるが、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物に続いてチタン化合物を添加する方法、または両方を同時に添加する方法が好ましい。接触させる温度について特に制限はないが、−80℃〜150℃の範囲で行うことが好ましく、−40℃〜100℃の範囲で行うことが特に好ましい。チタン化合物と炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物との接触比率にも特に制限はないが、チタン化合物に対するモル比で0.01〜100の範囲であることが好ましく、0.1〜10の範囲であることが特に好ましい。
【0038】
本発明におけるチタン化合物の担持は、2回以上に分けて行うことも可能である。この場合、1回目の担持は、チタン化合物の総使用量に対するモル比で0.05〜0.5の範囲が好ましく、0.1〜0.4の範囲が特に好ましい。また、有機マグネシウム化合物を共存させる場合、有機マグネシウム化合物に対するチタン化合物のモル比は、0.1〜10の範囲が好ましく、0.5〜5の範囲が特に好ましい。
かくして得られた固体触媒成分[A]は、不活性炭化水素溶媒を用いたスラリー溶液として使用される。本発明の固体触媒成分[A]は、有機金属化合物成分[B]と組み合わ
せることにより、さらに高活性な重合用触媒となる。
【0039】
本発明における有機金属化合物成分[B]としては、
AlR3−f・・・・・(5)
(上記一般式(5)中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基、Tは水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基より選ばれた基であり、fは2〜3の数である。)
で示される有機アルミニウム化合物が用いられる。なお、上記の有機アルミニウム化合物は、単独で用いてもよいし、複数の有機アルミニウム化合物からなる混合物として用いてもよい。
【0040】
上記の式中Rで表される炭素数1〜20の炭化水素基は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素を包含するものである。これらの化合物を具体的に示すと、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリス(3−メチルブチル)アルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のハロゲン化アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムブトキシド等のアルコキシアルミニウム化合物、ジメチルヒドロシロキシアルミニウムジメチル、エチルメチルヒドロシロキシアルミニウムジエチル、エチルジメチルシロキシアルミニウムジエチル等のシロキシアルミニウム化合物およびこれらの混合物が好ましく、トリアルキルアルミニウム化合物、水素化アルミニウム化合物およびこれらの混合物が特に好ましい。
【0041】
本発明において、固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]は、重合条件下に重合系内に添加してもよいし、あらかじめ重合に先立って組み合わせてもよい。また組み合わせる両成分の比率は、固体触媒成分[A]1gに対し有機金属化合物[B]が1〜3000ミリモルの範囲で行うのが好ましい。
かくして得られた触媒は、オレフィンの重合、特にエチレンの重合、およびエチレンと炭素数3以上のオレフィンとの共重合に対して、チタン当たりの活性が高く、かつ触媒当たりの活性が非常に高く、得られるポリオレフィンが高品質かつ均質であるという特徴を有する。本発明の触媒系で重合する炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。このうちのいくつかを組み合わせて、エチレンと共重合することもできる。また、ブタジエン、イソプレン等のジエンの共存下にオレフィンを重合することも可能であり、さらにはジエンを重合することも可能である。
【0042】
本発明におけるポリオレフィンの製造方法について特に制限はなく、一般的に用いられている溶液法、高圧法、高圧バルク法、ガス法、スラリー法のいずれの製造方法を用いてもよい。ポリオレフィンパウダーを直接的に得る場合にはガス法またはスラリー法を用いるが、スラリー重合が特に好ましい。本発明における重合圧力について特に制限はなく、通常はゲージ圧として0.1MPa〜300MPaであるが、スラリー重合の場合には常圧〜10MPaが好ましい。本発明における重合温度について特に制限はなく、通常は25℃〜300℃であるが、スラリー重合の場合には25℃〜120℃が好ましく、50℃〜100℃が特に好ましい。本発明におけるスラリー重合の溶媒として特に制限はないが、通常使用される不活性炭化水素溶媒が用いられる。
【0043】
本発明によって得られる重合体の分子量は、重合系に存在させる水素の濃度を変化させるか、重合温度を変化させるか、または有機金属化合物[B]の濃度を変化させることによって調節することができる。また、二個以上の反応器を直列および/または並列につなぎこむことによって、分子量分布、側鎖分布等を制御することができる。
本発明におけるポリオレフィンパウダーの分子量について特に制限はないが、焼結成形材料として用いる場合には粘度平均分子量が5万〜700万であることが好ましく、30万〜500万であることが特に好ましく、100万〜400万であることがさらに好ましい。なお、本発明における粘度平均分子量は、ポリマー溶液の比粘度から求めた極限粘度を粘度平均分子量に換算した値を指す。本発明におけるポリオレフィンパウダーの粘度平均分子量が5万より小さい場合には、焼結成形時に樹脂の流動が生じやすく、空孔の形成を妨げることがある。粘度平均分子量が700万より大きい場合には、焼結成形時に隣り合うポリオレフィンパウダーの融着強度が低下することがある。
【0044】
本発明のオレフィン重合触媒によって得られるポリオレフィンパウダーは、嵩密度が0.2〜0.3グラム/ミリリットルであることを特徴としている。嵩密度が0.3グラム/ミリリットルより低いポリオレフィンパウダーは粉体素材として有用であるが、特に焼結成形用材料に適しており、焼結成形によって通気抵抗の低い多孔質体を得ることができる。また、一般に嵩密度が低いポリオレフィンパウダーの製造はポリオレフィンパウダーおよびスラリーの流動性、輸送時の包装等、工業的な観点で難易度が高いため、ポリオレフィンパウダーの嵩密度が0.2グラム/ミリリットルより高い必要がある。なお、本発明におけるポリオレフィンパウダーにより成形された多孔質体の通気抵抗とは、後述する方法に基づいて測定した圧力損失の値であり、特に制限はないが、該多孔体の通気抵抗としては、180〜800ミリメートルAqであることが好ましく、200〜700ミリメートルAqであることが特に好ましく、250〜500ミリメートルAqであることがさらに好ましい。
【0045】
本発明におけるポリオレフィンパウダーを焼結成形する場合には、ポリオレフィンパウダーを所望の形状に堆積もしくは金型中に充填した後、粒子間に間隙を残しつつ無加圧または加圧の状態で融点以上に加熱すればよい。ポリオレフィンパウダーの表層が加熱融着することによって、連続空孔を容易に形成することができる。なお、本発明における連続空孔とは、多孔質体のある面からその他の面へ連続している空孔である。この空孔は、直線的であっても曲線的であっても良い。また、全体が均一な寸法であっても良いし、例えば表層と内部、あるいは一方の表層と他方の表層とで空孔の寸法を変えたものであっても良い。
次に、実施例および比較例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
本発明の実施例および比較例で使用したヘキサンはユニオン昭和株式会社製MS−13Xを用いて脱水したものを使用した。
本発明の実施例および比較例で使用したエチレンはユニオン昭和株式会社製MS−3Aを用いて脱水したものを使用した。
[表面水酸基量の測定]
本発明の実施例および比較例におけるシリカの表面水酸基量は、窒素雰囲気下、20℃にて、エトキシジエチルアルミニウム5ミリリットル(32.7ミリモル)とシリカ1gの表面水酸基とを反応させてエタンガスを発生させ、ガスビュレットを用いて測定した発生エタンガスの量から算出した。
【0047】
[平均粒径の測定]
本発明の実施例および比較例における固体触媒成分[A]およびポリオレフィンパウダーの平均粒径は、株式会社島津製作所製SALD−2100を用いて測定した。
[粘度平均分子量の測定]
本発明の実施例および比較例におけるポリオレフィン樹脂粒子の粘度平均分子量は、以下に示す方法によって求めた。まず、20cmのデカリン(デカヒドロナフタレン)にポリマー10mgをいれ、150℃で2時間攪拌してポリマーを溶解させた。その溶液を135℃の恒温槽で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(t)を測定した。同様に、ポリマー5mgの場合についても測定した。ブランクとしてポリマーを入れていない、デカリンのみの落下時間(t)を測定した。以下の式に従って求めたポリマーの比粘度(ηsp/C)をそれぞれプロットして濃度(C)とポリマーの比粘度(ηsp/C)の直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度(η)を求めた。
ηsp/C=(t/t−1)/0.1
この極限粘度(η)から以下の式に従い、粘度平均分子量(Mv)を求めた。
Mv=5.34×10η1.49
【0048】
[嵩密度の測定]
本発明の実施例および比較例におけるポリオレフィンパウダーの嵩密度は、該ポリオレフィンパウダーに滑剤等の添加剤を添加することなく、JIS K6892に従って測定した。
[表面観察写真の撮影]
本発明の実施例および比較例におけるポリオレフィンパウダーの表面観察写真は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製TM−1000を用い、帯電軽減モードで、加速電圧15kV、倍率300倍の条件で撮影した。
【0049】
[通気抵抗の測定]
本発明の実施例および比較例における焼結シートの通気抵抗は、以下に示す方法によって求めた。まず、内径6ミリメートルの塩ビホースを用い、流量計、圧力計、および内径20ミリメートルのゴムカップを図1のように接続した。25℃にて1キログラム/平方センチメートルの圧縮空気を50ノルマルリットル/分の流量で流し、ゴムカップの縁全面がふさがれるようにして焼結シートに密着させ、圧力計が示す値を測定した。1枚の焼結シートについて等間隔に計6点測定して平均値を算出し、通気抵抗とした。
【0050】
[実施例1]
(1)担体の調製
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を窒素雰囲気下400℃にて5時間焼成した。脱水シリカの表面水酸基量は、脱水シリカ1グラムあたり1.39ミリモル/グラムであった。この脱水シリカ1グラムを窒素雰囲気下ヘキサン40ミリリットル中に分散させシリカスラリーを得た。このシリカスラリーを20℃で攪拌しながら組成式AlMg(C12(Cで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液5.1ミリリットル(マグネシウム2.6ミリモル相当、脱水シリカの表面水酸基モル量に対し1.85倍)を加え、1時間攪拌した。その後、ヘキサンを適量加え、有機マグネシウム化合物およびシリカの混合物のヘキサンスラリー50ミリリットルを得た。充分に窒素置換された200ミリリットルガラス製丸底フラスコに上記スラリーを仕込み、50℃で攪拌しながら、0.5モル/リットルのトリクロロシランヘキサン溶液6.7ミリリットルを30分かけて滴下した。滴下後、さらに50℃で1時間攪拌した。その後、上澄み液を除去し、ヘキサン30ミリリットルでの洗浄を4回行った。
【0051】
(2)固体触媒成分[A]の調製
上記担体スラリーを−10℃で攪拌しながら、組成式AlMg(C12(Cで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1.2ミリリットル(マグ
ネシウム0.6ミリモル相当)を添加し、30分攪拌した。その後、0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液1.3ミリリットルを10分かけて滴下した。滴下後、さらに1時間攪拌した。この際、最終的に10℃となるよう徐々に昇温させた。その後、上澄み液を除去し、ヘキサン30ミリリットルでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は26.8マイクロメートルであった。
【0052】
(3)オレフィンの重合
トリイソブチルアルミニウム0.4ミリモルと上記の固体触媒成分[A]20mgを、脱水脱酸素したヘキサン0.8リットルとともに、内部を真空脱気し窒素置換した内容積1.5リットルのオートクレーブに入れた。オートクレーブの内温を70℃に保ち、エチレンを添加して全圧を0.2MPaとすることにより重合を開始した。エチレンを補給することにより全圧を0.2MPaに保ちつつ1時間重合を行った。重合後、ろ過によってポリマーを回収し、メタノール洗浄および乾燥を経てポリオレフィンパウダーを得た。この重合により得られたポリオレフィンパウダーの収量、平均粒径、粘度平均分子量、および嵩密度を表1に示す。
【0053】
(4)焼結シートの作成
厚さ2ミリメートルのアルミニウム板を用いて、外寸が厚さ6ミリメートル、幅112ミリメートル、高さ108ミリメートル、内寸が厚さ2ミリメートル、幅100ミリメートル、高さ100ミリメートルの金型を作成した。金型の上蓋となるアルミニウム板を外し、30秒間バイブレーターで振動を与えながら上記ポリオレフィンパウダーを充填した。上蓋を元に戻した後、150℃のオーブンで25分間加熱して平板状の焼結シートを得た。得られた焼結シートの通気抵抗は300ミリメートルAqであった。
【0054】
[比較例1]
上記シリカP−10に混合する組成式AlMg(C12(Cで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液を6.9ミリリットル(マグネシウム3.4ミリモル相当、脱水シリカの表面水酸基モル量に対し2.47倍)、0.5モル/リットルのトリクロロシランヘキサン溶液を8.9ミリリットルとした以外は、実施例1と同様の操作で固体触媒成分[A]の調製およびオレフィンの重合を行った。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は27.2マイクロメートルであった。この重合により得られたポリオレフィンパウダーの収量、平均粒径、粘度平均分子量、および嵩密度を表1に示す。ポリオレフィンパウダーの嵩密度は非常に低く、工業的な観点から望まれる0.2グラム/ミリリットル以上の嵩密度を大きく下回っていた。
実施例1と同様の操作で上記ポリオレフィンパウダーの焼結シートを得た。得られた焼結シートの通気抵抗は280ミリメートルAqであった。
【0055】
【表1】

【0056】
[実施例2]
(1)担体の調製
上記シリカP−10に混合する組成式AlMg(C12(Cで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液を3.4ミリリットル(マグネシウム1.7ミリモル相当、脱水シリカの表面水酸基モル量に対し1.23倍)、0.5モル/リットルのトリクロロシランヘキサン溶液を3.8ミリリットルとした以外は、実施例1と同様の操作で担体を調製した。
【0057】
(2)固体触媒成分[A]の調製
200mlのフラスコに、組成式AlMg(C12(Cで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液40ミリリットル(アルミニウムとマグネシウムの総量として37.8ミリモル相当)を仕込み、25℃で攪拌しながら、メチルヒドロポリシロキサン2.27グラム(37.8ミリモル)を含有するヘキサン40ミリリットルを30分かけて滴下した。滴下後、80℃に昇温し、3時間攪拌しながら反応させることにより、チタン化合物と接触させる有機マグネシウム化合物を得た。
【0058】
上記担体スラリーを−10℃で攪拌しながら、上記有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1.9ミリリットル(マグネシウム0.9ミリモル相当)を添加し、30分攪拌した。その後、0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液2.0ミリリットルを10分かけて滴下した。滴下後、さらに1時間攪拌した。この際、最終的に10℃となるよう徐々に昇温させた。その後、上澄み液を除去し、ヘキサン30ミリリットルでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A]を調製した。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は24.5マイクロメートルであった。
【0059】
(3)オレフィンの重合
この固体触媒成分[A]を使用した以外は、実施例1と同様の操作で重合を行った。この重合により得られたポリオレフィンパウダーの収量、平均粒径、粘度平均分子量、および嵩密度を表2に示す。また、得られたポリオレフィンパウダーの表面観察写真を図2に示す。ポリオレフィンパウダーの表面には焼結成形材料として好ましい形態である網目状の細孔が多数認められた。
(4)焼結シートの作成
実施例1と同様の操作で上記ポリオレフィンパウダーの焼結シートを得た。得られた焼結シートの通気抵抗は440ミリメートルAqであった。
【0060】
[実施例3]
(1)担体の調製
シリカQ−6[富士シリシア社(日本国)製]を窒素雰囲気下400℃にて5時間焼成した。脱水シリカの表面水酸基量は、脱水シリカ1グラムあたり1.85ミリモル/グラムであった。この脱水シリカを使用した以外は、実施例1と同様の操作で担体を調製した。なお、使用した有機マグネシウム化合物中のマグネシウムモル量は、脱水シリカの表面水酸基モル量に対し1.39倍であった。
【0061】
(2)固体触媒成分[A]の調製
上記担体スラリーを−10℃で攪拌しながら、組成式AlMg(C(C(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1.9ミリリットル(マグネシウム0.9ミリモル相当)を添加し、30分攪拌した。その後、0.5モル/リットルの四塩化チタンヘキサン溶液2.0ミリリットルを10分かけて滴下した。滴下後、さらに1時間攪拌した。この際、最終的に10℃となるよう徐々に昇温させた。その後、上澄み液を除去し、ヘキサン30ミリリットルでの洗浄を4回行うことによ
り、固体触媒成分[A]を調製した。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は10.2マイクロメートルであった。
【0062】
(3)オレフィンの重合
この固体触媒成分[A]を使用した以外は、実施例1と同様の操作で重合を行った。この重合により得られたポリオレフィンパウダーの収量、平均粒径、粘度平均分子量、および嵩密度を表2に示す。
(4)焼結シートの作成
実施例1と同様の操作で上記ポリオレフィンパウダーの焼結シートを得た。得られた焼結シートの通気抵抗は305ミリメートルAqであった。
【0063】
[比較例2]
上記シリカP−10に混合する組成式AlMg(C12(Cで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液を2.6ミリリットル(マグネシウム1.3ミリモル相当、脱水シリカの表面水酸基モル量に対し0.92倍)、0.5モル/リットルのトリクロロシランヘキサン溶液を2.8ミリリットルとした以外は、実施例2と同様の操作で固体触媒成分[A]の調製およびオレフィンの重合を行った。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は23.4マイクロメートルであった。この重合により得られたポリオレフィンパウダーの収量、平均粒径、粘度平均分子量、および嵩密度を表2に示す。また、得られたポリオレフィンパウダーの表面観察写真を図3に示す。ポリオレフィンパウダーの表面には実施例2で得られたポリオレフィンパウダーのような網目状の細孔は認められず、パウダー形状も整いすぎていた。
実施例1と同様の操作で上記ポリオレフィンパウダーの焼結シートを得た。得られた焼結シートの通気抵抗は910ミリメートルAqと大きな値を示した。
【0064】
【表2】

【0065】
[比較例3]
シリカQ−6[富士シリシア社(日本国)製]を窒素雰囲気下400℃にて5時間焼成した。脱水シリカの表面水酸基量は、脱水シリカ1グラムあたり1.85ミリモル/グラムであった。この脱水シリカ1グラムを窒素雰囲気下ヘキサン40ミリリットル中に分散させシリカスラリーを得た。このシリカスラリーを20℃で攪拌しながら0.5モル/リットルのトリエチルアルミニウムヘキサン溶液5.1ミリリットルを加え、1時間攪拌した。その後、上澄み液を除去し、ヘキサン30ミリリットルでの洗浄を4回行い、ヘキサンを適量加えて50ミリリットルの担体スラリーを得た。この担体スラリーを使用した以外は、実施例3と同様の操作で固体触媒成分[A]を調製した。得られた固体触媒成分[A]の平均粒径は9.4マイクロメートルであった。また、実施例3と同様の操作で重合を行ったが、重合モノマーがほとんど消費されず、途中で重合を停止した。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のオレフィン重合触媒によって得られるポリオレフィンパウダーは工業的に生産可能な範囲で嵩密度が低く、粉体素材として有用である。特に、このポリオレフィンパウダーは焼結成形材料に適しており、焼結成形によって通気抵抗の低い多孔質体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明において通気抵抗を測定する設備の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例2において得られるポリオレフィンパウダーの表面観察写真である。
【図3】本発明の比較例2において得られるポリオレフィンパウダーの表面観察写真である。
【図4】本発明における触媒の構成を示すフローシート図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体触媒成分[A]および有機金属化合物成分[B]からなるオレフィン重合触媒において、固体触媒成分[A]が、
Mg・・・・・(1)
(上記一般式(1)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、第12族および第13族からなる群に含まれるマグネシウム以外の金属原子、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基、E、G、p、およびqは、E≧0、G>0、p≧0、q≧0、kE+2G=p+q(kはMの原子価)を満たす数である。)
で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物およびシリカを、
J<L≦2J・・・・・(2)
(上記一般式(2)中、Jはシリカ1gあたりに含まれる表面水酸基のモル数、Lはシリカ1gあたりに混合する有機マグネシウム化合物に含まれるマグネシウム原子のモル数である。)
を満たす混合比で混合した混合物と、
SiCl4−(a+b)・・・・・(3)
(上記一般式(3)中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、aとbは、a>0、b>0、a+b≦4を満たす数である。)
で示される塩化珪素化合物を接触させて得られる担体に、
Ti(OR4−w・・・・・(4)
(上記一般式(4)中、Rは炭化水素基、Zはハロゲン、wは0≦w≦4を満たす数である。)
で示されるチタン化合物を担持することによって調製され、有機金属化合物成分[B]が、
AlR3−f・・・・・(5)
(上記一般式(5)中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基、Tは水素、ハロゲン、アルコキシ、アリロキシ、シロキシ基より選ばれた基であり、fは2〜3の数である。)
で示される有機アルミニウム化合物であることを特徴とするオレフィン重合触媒の製造方法。
【請求項2】
該チタン化合物の担持が、上記一般式(4)で示されるチタン化合物と、
Mg・・・・・(6)
(上記一般式(6)中、Mは周期律表第1族、第2族、第3族、第12族および第13族からなる群に含まれるマグネシウム以外の金属原子、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基、XおよびYは同一または異なるOR、OSiR1011、NR1213、SR14、ハロゲンから選ばれた官能基、RおよびR14は炭素数1〜20の炭化水素基、R、R10、R11、R12、およびR13は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、Q、U、r、s、t、およびvは、Q≧0、U>0、r≧0、s≧0、t≧0、v≧0、r+s>0、0≦(t+v)/(Q+U)≦2、hQ+2U=r+s+t+v(hはMの原子価)を満たす数である。)
で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物との接触によって行われることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
【請求項3】
エチレンの単独重合あるいはエチレンと炭素数が3以上のオレフィンとを共重合する際に、請求項1または請求項2に記載のオレフィン重合触媒を用い、嵩密度が0.2〜0.3グラム/ミリリットルのポリオレフィンパウダーを得ることを特徴とする、ポリオレフィンパウダーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−56908(P2008−56908A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192875(P2007−192875)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】