説明

オーサリング装置

【課題】入稿データをレイアウトに合わせたフォーマットに変換するための情報を出力できるオーサリング装置を提供する。
【解決手段】オーサリング装置10は、印刷物のレイアウトを編集するレイアウト編集手段100と、レイアウト編集手段100によって編集された前記レイアウトの中から、印刷物ごとに可変なデータが代入されるバリアブルデータを含むオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトに含まれるバリアブルデータの項目を記述した構文データと、バリアブルデータの項目を記述したフォーマットデータを含むデータ変換仕様ファイルを生成するデータ変換仕様ファイル生成手段101を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DTP(Desktop publishing)ソフトウェアが実装されたオーサリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客毎のニーズに合わせてアプローチを行うOne to Oneマーケティングや、顧客に対するサポート業務においては、顧客毎に内容の異なるダイレクトメールを郵送することが必要になり、このような分野においては、顧客ごとに異なる内容を印刷できるバリアブル印刷システムが利用されている。
【0003】
バリアブル印刷システムでは、DTP(Desktop publishing)ソフトウェアが実装されたオーサリング装置を用いて、ダイレクトメールなどの印刷物のレイアウトデータが生成され、このレイアウトデータからバリアブルプリンタ用のプリンタ制御コードが生成された後、顧客毎に異なるバリアブルデータがこのレイアウトデータに組込まれ、ダイレクトメールなどの印刷物がバリアブルプリンタで出力される。
【0004】
バリアブルプリンタすべてにおいてプリンタ制御コードの仕様が同一ならばよいが、実際は、バリアブルプリンタはその機種(例えば、メーカ)毎にプリンタ制御コードの仕様は異なる。よって、機種の異なる複数のバリアブルプリンタを有している印刷会社では、バリアブルプリンタごとにレイアウトデータを生成するのは大変不効率であるため、本出願人はすでに特許文献1において、オーサリング装置によって生成され、汎用的に利用できるレイアウトデータである汎用レイアウト定義データを、バリアブルプリンタごとに個別なプリンタ制御コードに変換できる装置を開示している。
【0005】
特許文献1で開示されている装置を利用することで、機種の異なる複数のバリアブルプリンタを有している印刷会社では、バリアブルプリンタごとにレイアウトデータを作成・管理する必要はなくなり、例えば、一つの品目を複数台のバリアブルプリンタに分けて印刷することが可能になり、業務効率の向上を図ることができるようになる。
【特許文献1】特開2007−148845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、バリアブル印刷システムにおいては、顧客毎に異なるバリアブルデータが利用されるため、オーサリング装置や特許文献1で開示されている装置に加え、顧客から入稿される入稿データを印刷物のレイアウトに合わせたフォーマットに変換する入稿データ変換装置が印刷会社に設置される。
【0007】
しかし、顧客から入稿される入稿データのフォーマットは定まってはおらず、例えば、表計算ソフトのファイルフォーマットで入稿データが入稿されるケースもあるし、同じ表計算ソフトのファイルフォーマットでもデータの並び順が異なる。
【0008】
そこで、印刷会社においては、様々なファイル形式で入稿される入稿データをレイアウトに合わせたフォーマットに変換するコンピュータプログラムである変換プログラムを品目ごとに作成し、作成した変換プログラムを入稿データ変換装置に実装して利用する。
【0009】
レイアウトに合わせたフォーマットに入稿データを変換する変換プログラムを作成するときは、レイアウトの仕様を参照しなければならないが、レイアウトの仕様書は複雑で、変換プログラムを生成するために、レイアウトの仕様書を確実に把握するのに長時間を必要としていたばかりか、レイアウトの仕様の解釈ミスが起因で、バリアブルプリンタで印刷ミスが発生してしまうケースもあった。
【0010】
上述した課題を鑑みて、本発明は、レイアウトの仕様書を読まずとも、顧客から入稿される入稿データをレイアウトに合わせたフォーマットに変換するための情報を出力できるオーサリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決する第1の発明は、印刷物のレイアウトを編集するために利用されるオーサリング装置であって、印刷物のレイアウトを編集するレイアウト編集手段と、前記レイアウト編集手段によって編集された前記レイアウトの中から、印刷物ごとに可変なデータが代入されるバリアブルデータを含むオブジェクトを抽出し、抽出した前記オブジェクトに含まれる前記バリアブルデータの項目を記述した構文データを含むデータ変換仕様ファイルを生成するデータ変換仕様ファイル生成手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に記載のオーサリング装置であって、前記オーサリング装置に備えられたデータ変換仕様ファイル生成手段は、前記バリアブルデータの名称を要素名とする空要素タグを用いて前記構文データを記述することを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明に記載のオーサリング装置であって、前記オーサリング装置に備えられたデータ変換仕様ファイル生成手段が生成するデータ変換仕様ファイルには、前記構文データに加え、定められたスキームに従い、前記バリアブルデータのフォーマットを記述したフォーマット定義データが含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レイアウトの仕様書を読まずとも、顧客から入稿される入稿データをレイアウトに合わせたフォーマットに変換するための情報を出力できるオーサリング装置を提供できる。
【0015】
すなわち、オーサリング装置が生成するデータ仕様ファイルに含まれる構文データによって、印刷物の配置されたオブジェクトに含まれるバリアブルデータの項目が示されるため、この構文データを参照するようにデータ変換プログラムを作成すれば、印刷物のレイアウトに含まれるバリアブルデータに対応する入稿データの項目の指定ミス、項目の抜けおよび項目の並び順のミスをチェックできるようになる。
【0016】
また、データ仕様ファイルに含まれるフォーマットデータでは、バリアブルデータのフォーマットが記述されるため、フォーマットデータを参照し、印刷物データに含ませるデータをチェックようにデータ変換プログラムを作成すれば、入稿データをレイアウトの内容に合わせて変換する段階で、入稿データに発生しているミスをチェックすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここから、本発明に係るオーサリング装置について、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、オーサリング装置10を配置したバリアブル印刷システム1の構成とデータの流れを説明する図で、図1で図示したバリアブル印刷システム1は特許文献1で開示されているシステムと同様のシステムである。
【0018】
図1で図示したバリアブル印刷システム1は、出版用のDTP(DTP: Desktop Publishing)ソフトウェアがインストールされたコンピュータであるオーサリング装置10と、バリアブルプリンタ12と、オーサリング装置10の出力で、汎用的なレイアウトファイルである汎用レイアウト定義ファイル32を、バリアブルプリンタ12に対応したプリンタ制御データ34に変換する機能を備えたレイアウト変換装置11と、テキストデータや画像データなどの入稿データ31をバリアブルプリンタ12に適したデータ形式に変換する入稿データ変換装置13とから少なくとも構成されている。
【0019】
オーサリング装置10への入力となるレイアウト設計書30には、印刷のロット番号、印刷物のレイアウト図が含まれ、このレイアウト図を参照しながら、オーサリング装置10のオペレータは、テキストデータや画像データなどのオブジェクトを配置することで印刷物のレイアウトを決定する。
【0020】
オーサリング装置10のオペレータは印刷物のレイアウト作業を終了すると、オーサリング装置10に対して汎用レイアウト定義ファイル32の出力を指示し、オーサリング装置10は、XMLを利用したマークアップ言語で記述された汎用レイアウト定義ファイル32を、レイアウト変換装置11に送信し、レイアウト変換装置11は、オーサリング装置10から出力される汎用レイアウト定義ファイル32を記憶する。
【0021】
図1で図示したレイアウト変換装置11は、汎用レイアウト定義ファイル32をプリンタ制御データに変換するための変換テンプレートをバリアブルプリンタ12毎に記憶し、 レイアウト変換装置11のオペレータからバリアブルプリンタ12が指定されると、指定されたバリアブルプリンタ12の変換テンプレートを選択し、選択された汎用レイアウト定義ファイル32を、指定されたバリアブルプリンタ12に対応するプリンタ制御データ34に変換する。
【0022】
オーサリング装置10で印刷物にレイアウトされたオブジェクトに、得意先から入稿した入稿データ31のデータが代入されるバリアブルデータが含まれるとき、バリアブルプリンタ12で印刷をする前に、入稿データ変換装置13を用いて、バリアブルプリンタ12が受け付け可能な印刷用データ35に入稿データ31を変換する処理が必要となる。
【0023】
得意先から入稿する入稿データ31の仕様が、印刷物ごとに同一ならば、入稿データ31を印刷用データ35に変換するためのコンピュータプログラム33(以下、「データ変換プログラム33」と記す。)は、バリアブルプリンタ12ごとに一つで済むが、得意先から入稿される入稿データ31の形式は品目ごとに様々であるため、印刷物の品目ごとに、入稿データ31の形式に合わせて、データ変換プログラム33を作成し、作成したデータ変換プログラム33を入稿データ変換装置13にインストールする必要がある。
【0024】
そこで、本実施形態に係るオーサリング装置10は、印刷物のレイアウトを編集する機能に加え、上述したデータ変換プログラム33を作成するときに参照されるデータ変換仕様ファイル20を生成する機能を備えている。
【0025】
ここから、オーサリング装置10に備えられたデータ変換仕様ファイル20を生成する機能について詳しく説明する。図2は、オーサリング装置10の回路ブロック図である。図2に図示したように、オーサリング装置10はコンピュータで実現される装置で、オーサリング装置10は、中央演算処理装置11(CPU: Central Processing Unit)、ランダムアクセスメモリ12(RAM: Random Access Memory)、大容量の記憶装置16(例えば、ハードディスク)、ディスプレイ13、マウス14、キーボード15などを備えている。
【0026】
図3は、オーサリング装置10の機能ブロック図である。オーサリング装置10には、本発明を実現するために、印刷物のレイアウトを編集するレイアウト編集手段100と、レイアウト編集手段100で編集されたレイアウトに基づくデータ変換仕様ファイル20を生成し出力するデータ変換仕様ファイル生成手段101を備え、加え、バリアブルプリントシステム1に対応するべく、レイアウト編集手段100で編集されたレイアウトに基づく汎用レイアウト定義ファイル32を生成し出力する汎用レイアウト定義ファイル生成手段102を備えている。
【0027】
オーサリング装置10のレイアウト編集手段100は、オーサリング装置10にインストールされたDTPソフトウェアで実現される手段で、オーサリング装置10のディスプレイ13に表示されるレイアウト画面上で、印刷物のレイアウトを編集する機能を備えている。
【0028】
オーサリング装置10のレイアウト編集手段100として、オーサリング装置10にインストールされるDTPソフトウェアは市販のソフトウェアでよく、DTPソフトウェアとしては、アドビシステムズ社製の「Adobe InDesign(登録商標)」が利用できる。
【0029】
オーサリング装置10のデータ変換仕様ファイル生成手段101は、オーサリング装置10にインストールされたDTPソフトウェアのプラグイン(plug-in)で実現される手段である。
【0030】
まず、データ変換仕様ファイル生成手段101が生成するデータ変換仕様ファイル20について説明する。図4は、データ変換仕様ファイル20の構成を説明する図である。図4に図示したように、データ変換仕様ファイル20には、印刷物のレイアウトに配置されたオブジェクトに含まれているバリアブルデータの構文を記述した構文データ21と、バリアブルデータのフォーマットが記述されたフォーマットデータ22が含まれる。
【0031】
図5は、データ変換仕様ファイル20に含まれる構文データ21を説明する図である。 図5に図したように、構文データ21は、タグを用いて記述される構造化テキストで、構文データ21の<システム名>タグは、印刷物の品目名を示すタグで、構文定義ファイルの<ファイル名>タグは、<システム名>タグで示される品目における用紙名を示すタグである。
【0032】
構文データ21において、バリアブルデータの構文は<レコード>タグ間に記述され、印刷物のレイアウトに配置されたオブジェクトに含まれているバリアブルデータそれぞれは、バリアブルデータの名称を要素名とする空要素タグを用いて記述される。
【0033】
図6は、データ変換仕様ファイル20に含まれるフォーマットデータ22を説明する図である。フォーマットデータ22では、印刷物のレイアウトに配置されたオブジェクトに含まれているバリアブルデータそれぞれのフォーマット(データ形式や文字数など)が、XMLなどのスキーマ言語を用いて記述される。
【0034】
フォーマットデータ22において、すべてのバリアブルデータのフォーマットは、name属性が「レコード」である<element>タグ22a間に記述され、各々のバリアブルデータに設定されているフォーマットは、バリアブルデータの名称をname属性に持つ<element>タグ22b、22fを用いて記述される。
【0035】
テキストデータが代入されるバリアブルデータにおいては、データ形式と最大文字数がバリアブルデータのフォーマットとして記述され、テキストデータのデータ形式は「string」(固定)で、テキストデータの文字数は、テキストデータが代入されるバリアブルデータを定義するオブジェクトであるテキストフレームに設定されている文字数か、或いは、テキストフレームで表示可能な最大文字数となる。
【0036】
テキストデータが代入されるバリアブルデータのフォーマットには、データ形式と最大文字数が含まれるため、テキストデータが代入されるバリアブルデータの名称をname属性に持つ<element>タグ22b間には、<xsd:restriction>タグ22cが記述され、<xsd:restriction>22cタグのbase属性は、テキストデータのデータ形式を示し、その値は「string」である。
【0037】
また、テキストデータの最大文字数が制約となるときは<xsd:restriction>タグ22c間には、テキストデータの最大文字数を制約するタグとして、<xsd:maxlength>タグ22dが記述され、テキストデータの文字数が固定であるときは、<xsd:length>タグ22eが記述される。
【0038】
画像データが代入されるバリアブルデータにおいては、画像データのデータ形式が画像データのフォーマットとして記述され、画像データが代入されるバリアブルデータの名称をname属性に持つ<element>タグ22fのtype属性によって、画像データのデータ形式が記述され、このtype属性に記述されるデータ形式は、画像データが代入されるバリアブルデータを定義するオブジェクトである画像フレームに設定されているデータ形式である。
【0039】
このように、データ変換仕様ファイル20に構文データ21とフォーマットデータ22の2つのデータを含ませるには意味がある。構文データ21で、印刷物の配置されたオブジェクトに含まれるバリアブルデータの構文が示されるため、この構文データ21を参照するようにデータ変換プログラム33を作成すれば、印刷物のレイアウトに含まれるバリアブルデータに対応する入稿データ31の項目の指定ミス、項目の抜けおよび項目の並び順のミスをチェックできるようになる。
【0040】
また、フォーマットデータ22では、バリアブルデータのフォーマットが記述されるため、フォーマットデータ22を参照し、印刷物データに含ませるデータをチェックようににデータ変換プログラム33を作成すれば、入稿データ31を印刷用データ35に変換する段階で、入稿データ31に発生しているミスをチェックすることができるようになる。
【0041】
ここから、具体例を例示しながら上述した内容について詳細に説明する。まず、オーサリング装置10のレイアウト編集手段100が作動したときに、オーサリング装置10のディスプレイ13に表示されるレイアウト編集画面について説明する。
【0042】
図7は、オーサリング装置10のレイアウト編集画面40の一例である。図7のレイアウト編集画面40では、レイアウト編集作業のメニューを表示するツールバー41と、レイアウト編集作業に利用するツールアイコンを表示するツールボックス42と、印刷物(ここでは、葉書き)のレイアウトを表示するレイアウト領域43とが設けられている。
【0043】
図7のツールバー41には、レイアウトの読込みや保存などが表示されるファイルメニュー41aに加え、汎用レイアウト定義ファイル32を出力するための汎用レイアウト定義ファイルメニュー41bや、データ変換仕様ファイル20を出力するためのデータ変換仕様ファイルメニュー41cが例示されている。
【0044】
更に、図7のツールボックス42には、オブジェクトを選択するためのツールアイコン42a、操作を戻すためのツールアイコン42b、選択されたオブジェクトを切り取るためのツールアイコン42c、テキストデータであるオブジェクトを定義するテキストフレームを設定するためのツールアイコン42d、画像データであるオブジェクトを定義する画像フレームを設定するためのツールアイコン42e、線を描写するためのツールアイコン42fが例示されている。
【0045】
テキストフレームを設定するためのツールアイコン42dをクリックすると、印刷物のレイアウト内にテキストフレームを設定することができ、設定されたテキストフレームをクリックすることで、テキストフレーム内で表示される文字のフォント、サイズなどを設定するためのテキスト設定パレットが表示される。
【0046】
図8は、テキスト設定パレット50を説明する図である。図8で図示したテキスト設定パレット50には、テキストフレーム内に表示するテキストデータを設定するために、テキストフレームの名称を入力するための編集ボックス51と、利用するバリアブルデータの名称として入稿データ31の項目名を選択するためのリストボックス52aと、テキストフレーム内に表示するテキストデータの本文を入力する編集ボックス53とが設けられている。
【0047】
テキスト設定パレット50が表示されると、編集ボックス53にテキストデータの本文の入力が可能になり、テキストデータに用いる入稿データ31の項目名は、リストボックス52aを用いて、編集ボックス53に挿入される。
【0048】
リストボックス52aがクリックされると、印刷物で利用される入稿データ31の項目名のリストがリストボックス52aに表示され、リストに含まれる一つの入稿データ31の項目名がクリックされることで、一つの入稿データ31の項目名が選択された後、追加ボタン52bがクリックされると、テキストデータの本文を入力するための編集ボックス53に、クリックされた入稿データ31の項目名が2重括弧で括られて挿入される。図8では、入稿データ31の項目名である「郵便番号」がリストボックス52a内で選択され、編集ボックス53内には〔〔郵便番号〕〕が挿入されている。
【0049】
更に、テキスト設定パレット50には、テキストフレーム内に表示するテキストデータのフォントを選択するためのリストボックス54aと、フォントサイズを選択するためのリストボックス54bと、フォントの垂直方向倍率および横方向倍率をそれぞれ設定するための2つのスピンボックス58a、bと、テキストフレーム内に表示するテキストデータの文字数が固定のときにチェックされるチェックボックス54dと、固定の文字数を入力する編集ボックス54eと、テキストフレームに表示可能な文字数を表示する領域54cが設けられている。
【0050】
レイアウト編集手段100は、チェックボックス54dがチェックされていた場合は、編集ボックス54eに入力された数値を領域54cに表示し、チェックボックス54dがチェックされていない場合は、テキストデータのフォント、フォントサイズ、フォントの垂直方向倍率および横方向倍率の設定値から、1文字のフォントのサイズを算出し、テキストフレームのサイズと比較して、テキストフレームに表示可能な最大文字数を算出し、算出した最大文字数を領域54cに表示する。
【0051】
更に、図8で図示したテキスト設定パレット50には、図7のレイアウト画面40で設定されるテキストフレームの回転角度を表示する領域55と、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびクロ(K)それぞれの網点パーセントを設定するための4つのリストボックス56a〜dと、4つのリストボックス56a〜dで設定された内容によって一意に決定される色を表示する領域56eと、テキストフレームにおける文字寄せを設定するための4つのチェックボックス57a〜dとが設けられている。
【0052】
上述したようなツールによって設定されたテキストフレームのプロパティは、テキスト設定パレットのOKボタン59aがクリックされたときに、テキストフレームに関連付けて記憶され、キャンセルボタン59bがクリックされると、テキストフレームのプロパティは記憶されない。
【0053】
図7で図示したレイアウト編集画面40においては、バリアブルデータを含むテキストフレームとして、入稿データ31の項目名が「郵便番号」であるテキストフレームと、入稿データ31の項目名が「住所」であるテキストフレーム、入稿データ31の項目名が「苗字」であるテキストフレーム、入稿データ31の項目名が「名前」であるテキストフレーム、入稿データ31の項目名が「電話番号」であるテキストフレームが設定され、更に、バリアブルデータを含まないテキストフレームとして、固定のテキストデータが「バーゲンセール」であるテキストフレームと、固定のテキストデータが「バーゲンセールの日付(平成19年12月01日〜平成19年12月07日)」であるテキストフレームが設定されている。
【0054】
図7のレイアウト編集画面40において、画像フレームを設定するためのツールアイコン42eをクリックすると、印刷物のレイアウト内に画像フレームを設定することができ、設定された画像フレームをクリックすることで、画像フレームに表示する画像データのファイル名やデータ形式などを設定するための画像設定パレットが表示される。
【0055】
図9は、画像設定パレット60を説明する図である。図9で図示した画像設定パレット60には、画像フレーム内に表示する画像データを設定するために、画像フレームの名称を入力するための編集ボック61と、画像フレーム内に表示する画像データを、オーサリング装置10の記憶装置16から読み込んで利用するときにチェックするチェックボックス62と、画像フレーム内に表示する画像データにバリアブルデータを利用するときにチェックするチェックボックス63と、画像フレームの設定を完了するときにクリックされるOKボタン64aと、画像フレームの設定をキャンセルするときにクリックされるキャンセルボタン64bとが設けられている。
【0056】
チェックボックス62がチェックされると、画像フレーム内に表示する画像データを読み込むための開くボタン62bと、読み込んだ画像データのファイル名を表示する編集ボックス62aが有効になる。更に、チェックボックス63がチェックされると、画像データとして利用するバリアブルデータの名称(ここでは、入稿データ31の項目名)を入力する編集ボックス63aが有効になり、入稿データ31の項目名は2重括弧で括られて編集ボックス内に記述される。
【0057】
画像設定パレットで画像データの内容が設定されると、オーサリング装置10のレイアウト編集手段100は、画像設定パレット60の内容を、画像フレームに関連付けて記憶する。
【0058】
図7で図示したレイアウト編集画面40においては、バリアブルデータを含む画像フレームとして、入稿データ31の項目名が「画像」である画像フレームが設定されている。
【0059】
オーサリング装置10に備えられたマウス14によって、図7で図示したレイアウト編集画面40の汎用レイアウト定義ファイルメニュー41bに記述されているメニューの中から、汎用レイアウト定義ファイル32を出力するメニューが選択されると、オーサリング装置10の汎用レイアウト定義ファイル生成手段102が作動し、レイアウト編集画面で表示されている印刷物のレイアウトの内容が記述された汎用レイアウト定義データを記憶装置16に出力する。
【0060】
また、オーサリング装置10のマウス14によって、図7で図示したレイアウト編集画面40のデータ変換仕様ファイルメニュー41cに記述されているメニューの中から、データ変換仕様ファイル20を出力するメニューが選択されると、オーサリング装置10のデータ変換仕様ファイル生成手段101が作動し、データ変換仕様ファイル生成手段101は、レイアウト編集画面40で表示されている印刷物のレイアウトの内容に従い、データ変換仕様ファイル20を生成し、生成したデータ変換仕様ファイル20を記憶装置16に出力する。
【0061】
データ変換仕様ファイル20を生成するとき、オーサリング装置10のデータ変換仕様ファイル生成手段101は、レイアウトに含まれるオブジェクトの中から、バリアブルデータを含むオブジェクトを抽出する。例えば、データ変換仕様ファイル20は、テキストフレームによって定義されているオブジェクトの中から、2重括弧で括られたテキストデータが記述されているテキストフレームを、バリアブルデータを含むオブジェクトとして抽出し、画像フレームによって定義されているオブジェクトの中から、バリアブルデータを利用するにチェックされている画像フレームを、バリアブルデータを含むオブジェクトとして抽出する。
【0062】
データ変換仕様ファイル生成手段101は、バリアブルデータを含むオブジェクトを抽出すると、抽出したオブジェクトに含まれるバリアブルデータの名称、すなわち、2重括弧で括られたテキストデータを要素名とした空要素タグを用いて構文データ21を生成する。
【0063】
また、データ変換仕様ファイル生成手段101は、抽出したオブジェクトに含まれるバリアブルデータのフォーマットを記述したフォーマットデータ22を生成する。テキストフレームで定義されているオブジェクトに含まれるバリアブルデータに関しては、テキストフレームに関連付けられて記憶されている固定の文字数或いは最大文字数と、文字であることを示す「string」を利用して、バリアブルデータに代入されるバリアブルデータの名称をname属性の値とし、図6で図示したような<element>タグ22bをフォーマットデータ22に記述する。
【0064】
また、画像フレームで定義されているオブジェクトに含まれるバリアブルデータに関しては、画像フレームに関連付けられて記憶されているデータ形式を利用して、図6で図示したような<element>タグ22fをフォーマットデータ22に記述する。
【0065】
データ変換仕様ファイル生成手段101は、構文データ21とフォーマットデータ22を生成すると、生成したこれらのファイルを含むデータ変換仕様ファイル20をオーサリング装置10の記憶装置16に出力する。
【0066】
図10は、図7のレイアウト編集画面40から生成される構文データ210を説明する図で、図11は、図7のレイアウト編集画面40から生成されるフォーマットデータ220を説明する図である。
【0067】
図10に図示した構文データ210には、テキストフレームで定義されるオブジェクトに含まれるバリアブルデータに対応した空要素タグとして、要素名が「郵便番号」である空要素タグ212aと、要素名が「住所」である空要素タグ212bと、要素名が「苗字」である空要素タグ212cと、要素名が「名前」である空要素タグ212dと、要素名が「電話番号」である空要素タグ212eと、画像フレームで定義されるオブジェクトに含まれるバリアブルデータに対応した空要素タグとして、要素名が「画像」である空要素タグ212fとが、<レコード>タグ211間に記述されている。
【0068】
また、図11に図示したフォーマットデータ220には、図7で図示したレイアウト編集画面40において、テキストフレームで定義されているオブジェクトに含まれるバリアブルデータのフォーマットとして、名称が「郵便番号」であるバリアブルデータのフォーマットと、名称が「住所」であるバリアブルデータのフォーマット、名称が「苗字」であるバリアブルデータのフォーマット、名称が「名前」であるバリアブルデータのフォーマット、名称が「電話番号」であるバリアブルデータのフォーマットそれぞれが、<element>タグ221を用いて記述されている。
【0069】
テキストフレームで定義されているオブジェクトに含まれるバリアブルデータのフォーマットを記述する<element>タグ221間には、<xsd:restriction>タグ221aのbase属性の値に、テキストデータであることを示す「string」が記述され、<xsd:restriction>タグ221a間には、図8のチェックボックスがチェックされているときは、<xsd:length>タグ221bが記述され、それ以外のときは<xsd:maxlength>タグ221cが記述される。
【0070】
<xsd:length>タグ221bのValue属性の値には、テキストフレームに関連付けられ記憶されている固定の文字数が記述され、<xsd:maxlength>タグ221cのValue属性の値に、テキストフレームに関連付けられ記憶されている最大文字数が記述される。
【0071】
更に、また、図11に図示したフォーマットデータ220には、画像フレームによって定義されているオブジェクトに含まれるバリアブルデータのフォーマットとして、名称が「画像」である画像フレームで定義されているバリアブルデータのフォーマットが、<element>タグ222を用いて記述され、そのtype属性の値に、画像データのデータ形式(ここでは、「base64Binary」)が記述されている。
【0072】
データ変換プログラム33を作成するとき、データ変換仕様ファイル20に含まれる構文データ21およびフォーマットデータ22が利用できる。データ変換プログラム33を作成するときに、構文データ21に記述されている空要素名と入稿データ31の項目名を対応付け、入稿データ31の項目名のデータを対応する空要素名の要素の値として代入すればよい。
【0073】
また、入稿データ31の項目名のデータを対応する空要素名の要素の値として代入するときに、フォーマットデータ22の内容に従い、代入する入稿データ31のデータをチェックすることで、入稿データ31に発生しているミスをチェックできる。
【0074】
例えば、図10および図11に従えば、要素名が「郵便番号」である空要素タグに代入するデータは、データ形式が「string」であることと、文字数が8文字(必須)であることがチェックされる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】バリアブル印刷システムの構成とデータの流れを説明する図。
【図2】オーサリング装置の回路ブロック図。
【図3】オーサリング装置の機能ブロック図。
【図4】データ変換仕様ファイルの構成を説明する図。
【図5】データ変換仕様ファイルに含まれる構文データを説明する図。
【図6】データ変換仕様ファイルに含まれるフォーマットデータを説明する図。
【図7】オーサリング装置のレイアウト編集画面の一例を示した図。
【図8】テキスト設定パレットを説明する図。
【図9】画像設定パレットを説明する図。
【図10】図7のレイアウト編集画面から生成される構文データを説明する図。
【図11】図7のレイアウト編集画面から生成されるフォーマットデータを説明する図。
【符号の説明】
【0076】
1 バリアブル印刷システム
10 オーサリング装置
12 バリアブルプリンタ
13 入稿データ変換装置
20 データ変換仕様ファイル
21 構文ファイル
22 フォーマットデータ
30 レイアウト設計書
31 入稿データ
32 汎用レイアウト定義ファイル
34 プリンタ制御データ
35 印刷用データ
100 レイアウト編集手段
101 データ変換仕様ファイル生成手段
102 汎用レイアウト定義ファイル生成手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物のレイアウトを編集するために利用されるオーサリング装置であって、印刷物のレイアウトを編集するレイアウト編集手段と、前記レイアウト編集手段によって編集された前記レイアウトの中から、印刷物ごとに可変なデータが代入されるバリアブルデータを含むオブジェクトを抽出し、抽出した前記オブジェクトに含まれる前記バリアブルデータの項目を記述した構文データを含むデータ変換仕様ファイルを生成するデータ変換仕様ファイル生成手段を備えていることを特徴とするオーサリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオーサリング装置であって、前記オーサリング装置に備えられたデータ変換仕様ファイル生成手段は、前記バリアブルデータの名称を要素名とする空要素タグを用いて前記構文データを記述することを特徴とするオーサリング装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のオーサリング装置であって、前記オーサリング装置に備えられたデータ変換仕様ファイル生成手段が生成するデータ変換仕様ファイルには、前記構文データに加え、定められたスキームに従い、前記バリアブルデータのフォーマットを記述したフォーマット定義データが含まれることを特徴とするオーサリング装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−169810(P2009−169810A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9011(P2008−9011)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】