説明

オーダ用表示端末、注文システム、プログラムおよび記録媒体

【課題】省スペース化を図ることで、飲食のためのスペースを広く確保することができる表示端末を実現する。
【解決手段】本発明のオーダ用表示端末3bは、加熱調理装置5の加熱調整をするための加熱調整画面をディスプレイ32に表示させる火力調整画面表示部361と、加熱調整画面が表示されている時に、タッチパネル33を介した操作入力を受け付けて加熱調理装置5の加熱調整をする火力調整受付部362とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物の注文を行なうためのタッチパネル式のオーダ用表示端末に関するものである。
【0002】
なお、本明細書において調理開始とは、客が着席してから実際に加熱調理装置を操作して加熱を開始するまでのいずれかを意味するものとする。
【背景技術】
【0003】
従来から、飲食物の加熱調理が客席において行われる焼肉店やお好み焼き店などでは、加熱調理装置に設けられたダイアル式の火力調整用つまみを回転させることにより加熱調整を行なっていた。この場合、火力調整用つまみは客席テーブルの一方側面に設けられることが多いため、火力調整用つまみを操作できる者が、火力調整用つまみに手が届く席に座った者に限られてしまう。
【0004】
そこで、特許文献1には、加熱部が設けられたテーブル表面にパネル式のスイッチのような機械スイッチを併設し、パネル式スイッチにより加熱力の調整、オーダ、および精算を行なうことができるようにするとともに、パネル式スイッチに併設して文字や図柄を表示する表示部を設けた加熱調理装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−199676号公報(2003年7月15日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、パネル式スイッチと文字や図柄を表示する表示部とが別々に設けられているために、客席の飲食スペースが狭くなるという問題を生じる。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、省スペース化を図ることで、飲食のためのスペースを広く確保することができるオーダ用表示端末を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るオーダ用表示端末は、上記課題を解決するために、加熱調理装置が併設された飲食席に備えられ、飲食物を注文するための注文入力画面が表示されるタッチパネル付きのディスプレイを有するオーダ用表示端末において、上記加熱調理装置の加熱力を調整するための加熱力調整画面を上記ディスプレイに表示させる加熱力調整画面表示手段と、上記加熱力調整画面が表示されている時に、上記タッチパネルを介した操作入力を受け付けて上記加熱調理装置の加熱力を調整する加熱力調整受付手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、注文入力画面が表示されるタッチパネル付きのディスプレイに、加熱調理装置の加熱力を調整するための加熱力調整画面もイメージ表示され、タッチパネルを介して加熱調理装置の加熱力を調整することができる。これにより、1台の表示端末で、メニューの注文操作だけでなく、飲食席毎の加熱調理装置の加熱力を調整することができる。したがって、省スペース化を図ることで、飲食のためのスペースを広く確保することができるオーダ用表示端末を実現できるという効果を奏する。
【0009】
本発明に係るオーダ用表示端末では、上記加熱調理装置を用いた加熱調理で発生した煙を排気する排気手段と、当該排気手段の排気量を調整するための排気量調整画面を上記ディスプレイに表示させる排気量調整画面表示手段と、上記排気量調整画面が表示されている時に、上記タッチパネルを介した操作入力を受け付けて上記排気手段の排気量を調整する排気量調整受付手段とをさらに備えることが好ましい。
【0010】
排気手段の排気量を調整する機能は客席には備わっていないことが多く、調整を希望する場合には、その都度、店員を呼び出さなければならなかった。これに対し、上記の構成によれば、注文入力画面が表示されるタッチパネル付きのディスプレイに、排気手段の排気量を調整するための排気量調整画面も表示され、さらに排気量調整受付手段によって、客が自らタッチパネルを介して排気手段の排気量を調整することができるので、店員を呼び出す必要がない。
【0011】
本発明に係るオーダ用表示端末では、上記加熱調理装置の加熱部の温度分布を示す温度分布画面を上記ディスプレイに表示させる温度分布画面表示手段をさらに備えることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、加熱調理装置の加熱部の温度分布がディスプレイにイメージ表示されるので、客は加熱部の温度分布を容易に把握することができる。
【0013】
本発明に係るオーダ用表示端末では、上記加熱調理装置の加熱調理が終了した場合、所定の操作を受け付けるためのメッセージ画面を上記ディスプレイに表示させるメッセージ画面表示手段を備えることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、加熱調理終了後に、例えば、会計処理、デザートの注文、お土産の注文といった所定の操作を受け付けるためのメッセージが表示されたメッセージ画面を上記ディスプレイに表示させる。これにより、客はメッセージ画面を表示させるための操作を行なう必要がなく、食事の流れに応じたサービスの提供が可能となる。
【0015】
本発明に係るオーダ用表示端末では、調理開始から一定時間経過後に、所定の操作を受け付けるためのメッセージ画面を上記ディスプレイに表示させるメッセージ画面表示手段を備えることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、調理開始からの一定時間を設定し、当該一定時間が経過後に、例えば、上記のような会計処理、デザートの注文、お土産の注文といった所定の操作を受け付けるためのメッセージが表示されたメッセージ画面を上記ディスプレイに表示させるため、飲食提供者は、メッセージ画面の表示により、次の入力操作を客に促すことができ、食事の流れをコントロールすることが可能となる。
【0017】
本発明に係る注文システムは、上記オーダ用表示端末を複数備え、さらに各オーダ用表示端末に接続されるサーバ装置を備えることを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、各表示端末から飲食物の注文だけでなく、加熱調理装置の加熱調整やダクトの排気量調整が可能な注文システムを構築できる。
【0019】
本発明に係る注文システムは、上記飲食席に客が在席しているか否かを検知する在席検知手段と、上記加熱調理装置が使用状態にあるか否かを検知する使用状態検知手段と、上記在席検知手段により検知された客の在席の有無および上記使用状態検知手段により検知された上記加熱調理装置の使用状態を表示する表示手段とを備えることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、飲食席に客が在席しているか否か、および加熱調理装置が使用状態にあるか否かが表示されるので、例えば、客がいないにもかかわらず使用状態にある加熱調理装置が存在しているか否か、または、在席しているにもかかわらず加熱調理装置を使用していない客が存在しているか否か等を把握することができる。
【0021】
本発明に係る注文システムでは、上記加熱調理装置のエネルギ使用量を記憶するエネルギ使用量記憶手段を備えることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、加熱調理装置のエネルギ使用量、例えばガス使用量や電力使用量が注文システム内に蓄積されるので、加熱調理装置のメンテナンス時期を容易に管理することができる。
【0023】
ところで、上記表示端末は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコンピュータに実行させることによって実現してもよい。具体的には、本発明に係るプログラムは、上記いずれかの構成の各手段としてコンピュータを動作させるプログラムであり、本発明に係る記録媒体には、当該プログラムが記録されている。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るオーダ用表示端末は、以上のように、上記加熱調理装置の加熱力を調整するための加熱力調整画面を上記ディスプレイに表示させる加熱力調整画面表示手段と、上記加熱力調整画面が表示されている時に、上記タッチパネルを介した操作入力を受け付けて上記加熱調理装置の加熱力を調整する加熱力調整受付手段とを備えているので、省スペース化を図ることで、飲食のためのスペースを広く確保することができる表示端末を実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の一実施形態について図1〜図12に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、本発明に係るオーダ用表示端末または注文システムを鉄板焼店における注文処理に適用した例について説明する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る注文システム1の概略構成を示すブロック図である。注文システム1は、サーバ装置2、複数のキッチン用表示端末3aおよび複数のオーダ用のオーダ用表示端末3bを備えており、これらはネットワーク4を介して互いに接続されている。ネットワーク4は、イーサネット(登録商標)などからなるローカルエリアネットワーク(LAN)を含むような通信ネットワークである。
【0027】
焼肉店は、厨房エリアKAおよび飲食エリアEAを有している。厨房エリアKAには、サーバ装置2およびキッチン用表示端末3aが設けられている。飲食エリアEAには、複数の飲食席ESが設けられており、各飲食席ESには、オーダ用表示端末3b、加熱調理装置5およびダクト6が併設されている。なお、サーバ装置2は、厨房エリアKAから離れた事務室などに設けてもよい。
【0028】
加熱調理装置5は、飲食用テーブルと一体になっており、客が肉や野菜等の加熱対象物を加熱するための調理加熱部が組み込まれている。ダクト(排気手段)6は、加熱調理装置5の真上の天井等に設けられており、加熱調理の際に発生する煙や熱気を飲食エリアEAの外部に排出する。
【0029】
サーバ装置2は、キッチン用表示端末3aおよびオーダ用表示端末3bに表示するための画面データを作成・編集する機能のほか、各飲食席ESの加熱調理装置5のガス使用量を管理する機能を有する汎用のコンピュータである。なお、サーバ装置2は、上記機能を有する専用のコンピュータであってもよい。
【0030】
キッチン用表示端末3aおよびオーダ用表示端末3bは、CPUなどの演算処理装置を備えたタッチパネル式の表示装置であり、サーバ装置2において作成された画面データに基づいて、特有の操作機能および表示機能を実現する専用コンピュータである。キッチン用表示端末3aには、各オーダ用表示端末3bからの注文状況を示す一覧表などが表示される。オーダ用表示端末3bは、飲食席ESで飲食する客が操作できるように、飲食用テーブル上や飲食用テーブル傍の壁などに設けられている。客は、オーダ用表示端末3bを操作することにより、所望のメニューを注文することができると共に、加熱調理装置5の火力調整や、ダクト6の排気量調整が可能となっている。
【0031】
続いて、サーバ装置2、キッチン用表示端末3aおよびオーダ用表示端末3bの構成について説明する。
【0032】
図3は、サーバ装置2の構成を示すブロック図である。サーバ装置2は、通信処理部21、操作受付部22、画面データ作成・編集部23、画面データ記憶部24および使用状況管理部25を備えている。
【0033】
通信処理部21は、キッチン用表示端末3aおよびオーダ用表示端末3bと通信するためのインターフェースである。操作受付部22は、例えばユーザの操作を受け付けるための入力キーによって構成される。
【0034】
画面データ作成・編集部23は、操作受付部22において受け付けられた操作に基づいて、キッチン用表示端末3aおよびオーダ用表示端末3bに表示するための画面データを作成・編集する。この画面データは、画面データ記憶部24に格納され、ネットワーク4を介して、キッチン用表示端末3aおよびオーダ用表示端末3bに転送される。なお、画面データの転送は、CFカード等で行ってもよい。なお、ここではサーバ装置2において画面データを作成・編集する場合について説明したが、これに限らず、サーバ装置2以外のコンピュータにおいて画面データを作成・編集し、その画面データをサーバ装置2にダウンロードしてもよい。
【0035】
使用状況管理部25は、各飲食席ESの加熱調理装置5のガス使用量を管理する機能を有している。加熱調理装置5のガス使用量の検知等については、後述する。
【0036】
続いて、オーダ用表示端末3b、加熱調理装置5およびダクト6の具体的な構成について説明する。
【0037】
図1は、オーダ用表示端末3b、加熱調理装置5およびダクト6の構成を示すブロック図である。オーダ用表示端末3bは、通信処理部31、ディスプレイ32、タッチパネル33、画面データ記憶部34、ガス使用量記憶部35およびHMI処理部36を備えている。
【0038】
オーダ用表示端末3bの通信処理部31は3つ設けられており、各通信処理部31はそれぞれ、オーダ用表示端末3bがネットワーク4、加熱調理装置5およびダクト6と通信するためのインターフェースである。ディスプレイ32は、キッチン用表示端末3aおよびオーダ用表示端末3bを薄型に構成するために、液晶ディスプレイや、ELディスプレイや、プラズマディスプレイのような平板型ディスプレイが好適に用いられる。タッチパネル33は、ディスプレイ32の表示画面上でタッチ入力を行うために設けられている入力装置である。
【0039】
画面データ記憶部34は、サーバ装置2から転送された画面データを格納するメモリである。ガス使用量記憶部35は、後述する加熱調理装置5のガス使用量を記憶する。
【0040】
HMI処理部36は、画面データ記憶部34に記憶された画面データに基づいてディスプレイ32に画像を表示させたり、タッチパネル33を介した操作に基づいて注文処理や加熱調整処理等を行ったりする機能ブロックである。具体的には、HMI処理部36は、火力調整画面表示部361、火力調整受付部362、排気量調整画面表示部363、排気量調整受付部364、温度分布画面表示部365、警告画面表示部366、メッセージ画面表示部367、ガス使用量算出部368および使用時間計測部369を備えている。これら各部の機能については後述する。
【0041】
加熱調理装置5は、通信処理部51、ガス量調整部52、ガスバーナ53、調理加熱部54、温度センサ55およびガス量センサ56を備えている。通信処理部51は、加熱調理装置5が、オーダ用表示端末3bと通信するためのインターフェースである。ガス量調整部52は、ガスバーナ53に供給されるガス量を調整する。調理加熱部54としては、加熱対象物が載せられる鉄板が設けられており、ガスバーナ53からの熱により加熱対象物が加熱される。なお、調理加熱部54としては、たとえば、鉄板の他、網や鍋などが用いられる。温度センサ55は、上記鉄板の温度を検知するセンサであり、ガス量センサ56は、ガスバーナに供給されるガス量を計測するセンサである。ガス量センサ56は、加熱調理装置5が使用状態にあるか否かを検知する使用状態検知手段としても作動する。すなわちガス量センサ56により検出されるガス量が0より大きければ加熱調理装置5は、使用状態にあると判断される。
【0042】
ダクト6は、通信処理部61、電流調整部62およびファン63を備えている。通信処理部61は、ダクト6が、オーダ用表示端末3bと通信するためのインターフェースである。電流調整部62は、ファン63のモータに供給される電流を調整するインバータである。
【0043】
続いて、オーダ用表示端末3bのHMI処理部36の各部の機能について説明する。
【0044】
火力調整画面表示部361は、加熱調理装置5の火力を調整するための火力調整画面をディスプレイ32に表示させる。火力調整画面が表示されている時に、客がタッチパネル33を介して火力調整操作を行うと、火力調整受付部362は、当該操作を受け付けて、加熱調理装置5のガス量調整部52において通常用いられるガス量センサ56と通常用いられる温度センサ55の計測値から、ガスバーナ53へ送るガス量を調整させる。これにより、調理加熱部54の温度が調整される。
【0045】
排気量調整画面表示部363は、ダクト6の排気量を調整するための排気量調整画面をディスプレイ32に表示させる。排気量調整画面が表示されている時に、客がタッチパネル33を介して排気量調整操作を行うと、排気量調整受付部364は、当該操作を受け付けて、ダクト6の電流調整部62を制御して、ファン63のモータに供給される電流を調整する。これにより、ファン63の回転速度が制御され、ダクト6の排気量が調整される。
【0046】
温度センサ55は、たとえば、調理加熱部54としての鉄板の内部に鉄板表面の各部の温度計測を可能とするように張りめぐらされている。
【0047】
温度分布画面表示部365は、加熱調理装置5の温度センサ55によって検知される調理加熱部54の温度情報に基づき、調理加熱部54の温度分布を示す温度分布画面をディスプレイ32に表示させる。これにより、客は調理加熱部54の鉄板の温度分布を容易に把握することができる。
【0048】
また、温度分布の測定は、これに限らない。たとえば、加熱調理装置5の上部に通常用いられる赤外線カメラを設置し、調理加熱部54の表面の温度分布を測定するようにしてもよい。
【0049】
警告画面表示部366は、温度センサ55によって検出される調理加熱部54の温度が所定の温度を超えた場合、すなわち火力が強すぎて加熱対象物に焦げが生じる温度になっている場合、その旨を示す警告画面をディスプレイ32に表示させる。これにより、客は火力を弱める必要があることを知ることができる。
【0050】
メッセージ画面表示部367は、加熱調理装置5の加熱調理の終了を検知すると、所定の操作を受け付けるためのメッセージ画面をディスプレイ32に表示させる。すなわち、加熱調理装置5のガスバーナ53が消火されたことをトリガとして、メッセージ画面が表示される。本実施形態では、メッセージ画面として、デザートメニューを注文するためのデザートメニュー注文入力画面が表示される。なお、加熱調理の終了とは、加熱調理装置5のガスバーナ53が消化されたときに限らず、例えば、加熱調理装置5の加熱力が保温程度まで弱められたときであってもよい。またなお、メッセージ画面としては、デザートメニュー注文入力画面に限らず、例えば、会計処理をするための会計処理入力画面や、お土産を注文するためのお土産注文入力画面などを表示してもよい。また、メッセージ画面表示部367は、加熱開始から一定時間経過後に、所定の操作を受け付けるためのメッセージ画面をディスプレイ32に表示させてもよい。すなわち、加熱開始から予め設定された一定時間が経過したことをトリガとして、メッセージ画面が表示される。
【0051】
なお、加熱調理装置5による加熱調理の終了は、ガス量センサ56によるガス使用量により判定される。たとえばガス使用量が0になった場合あるいはガス使用量が、加熱調理を行なうには不充分な量となったときに、加熱調理の終了と判断される。前記不充分な量とは加熱調理装置5の大きさ等により適宜設定すればよい。
【0052】
ガス使用量算出部368は、ガス量センサ56における検知結果に基づき、ガスバーナ53に供給されるガス量を算出する。この算出結果は、ガス使用量記憶部35に記憶される。また、ガス使用量は使用の都度記憶され、履歴として累積ガス使用量も記憶される。
【0053】
使用時間計測部369は、加熱調理装置5の使用時間を計測する。計測された使用時間は、累積使用時間としてガス使用量記憶部35に記憶される。
【0054】
図4は、キッチン用表示端末3aの構成を示すブロック図である。キッチン用表示端末3aは、通信処理部31、ディスプレイ32、タッチパネル33、画面データ記憶部34およびHMI処理部37を備えている。通信処理部31、ディスプレイ32、タッチパネル33、画面データ記憶部34は、図1に示すオーダ用表示端末3bにおけるものと略同一であるので、細部の説明は省略する。
【0055】
HMI処理部37は、在席状況表示部371および使用状態表示部372を備えている。飲食席の各いすの座面には公知の感圧スイッチ(在席検知手段)が埋め込まれており、飲食席に客が在席しているか否かを検知するようになっている。在席状況表示部371は、感圧スイッチの検知結果に基づき、飲食席に客が在席しているか否かをディスプレイ32に表示する。また、使用状態表示部372は、ガス量センサ56により検知された加熱調理装置5が使用状態であるか否かの検出結果をディスプレイ32に表示する。これにより、たとえば、客がいないにもかかわらず使用状態にある加熱調理装置5が存在しているか否かを検知できる。また、在席しているにもかかわらず加熱調理装置5を使用していない客の存在などを検知できる。
【0056】
なお、在席状況表示部371および使用状態表示部372は、図3に示すサーバ装置2に設けてもよい。
【0057】
続いて、オーダ用表示端末3bにおける操作を、ディスプレイ32に表示される操作画面に基づいて説明する。
【0058】
新規の客がオーダ用表示端末3bのオープニング画面をタッチすると、図5に示すメニュー選択画面が表示される。メニュー選択画面には、各メニューの種類および画像が表示されるメニュー表示欄A1や、選択したメニューおよび数量が表示される選択メニュー一覧A2が表示される。メニューの選択後、「メニューを注文する」を選択すると、注文が確定し、厨房エリアKAのキッチン用表示端末3aに注文内容が表示される。
【0059】
さらに、メニュー選択画面には、火力調整ボタンA3、ダクト調整ボタンA4および温度表示ボタンA5が設けられている。
【0060】
火力調整ボタンA3を選択すると、図6に示す火力調整画面が表示される。火力調整画面には、火力調整ボタンB1が設けられており、火力調整ボタンB1を適宜選択することにより、加熱調理装置5の火力を調整することができる。また、消火ボタンB2を選択すると、加熱調理装置5の加熱調理を終了させることができる。
【0061】
ダクト調整ボタンA4を選択すると、図7に示す排気量調整画面が表示される。排気量調整画面には、排気量調整ボタンC1が設けられており、排気量調整ボタンC1を適宜選択することにより、ダクト6の排気量を調整することができる。
【0062】
温度表示ボタンA5を選択すると、図8に示す温度分布画面が表示される。温度分布画面には、加熱対象物が載せられる鉄板の温度分布が表示される。このように、鉄板の温度がイメージ表示されるので、加熱状況をディスプレイ32で確認でき、焼き加減の調整が容易となる。さらに、温度の高い部分に加熱の足りない肉を載せ、温度の低い部分に十分加熱した肉を載せるといった、適切な調理が可能となる。
【0063】
このように、1台のオーダ用表示端末で、メニューの注文操作だけでなく、飲食席毎の加熱調理装置の火力やダクトの排気量を調整することができるため、省スペース化を図ることができ、飲食のためのスペースを広く確保することができる。
【0064】
また、火力が強すぎて加熱対象物が載せられる鉄板の温度が所定の温度を超えた場合、図9に示す警告画面が表示され、警告画面内の「火力調整画面へ」を選択すると、図6に示す火力調整画面に切り替わる。これにより、客は火力を弱める必要があることを知ることができ、テーブルごとの調理作業を支援することができる。
【0065】
また、図6に示す火力調整画面において消火ボタンB2を選択して、加熱調理装置5の加熱調理を終了させると、図10に示すように、メッセージ画面としてデザートメニュー注文入力画面が自動的に表示される。これにより、客は、加熱調理の終了後にデザートを注文する場合、デザートメニュー注文入力画面を表示させるための操作を行う必要がなく、食事の流れに応じたサービスの提供が可能となる。
【0066】
また、デザートメニュー注文入力画面などのメッセージ画面を、加熱調理の開始から一定時間経過後に表示させてもよい。当該一定時間は、例えば、加熱開始からデザート以外の料理を食べ終わるまでの平均的な時間に設定してもよい。メッセージ画面の表示により飲食提供者は、次の入力操作を客に促すことができ、食事の流れをコントロールすることが可能となる。
【0067】
また、図11に示すように、メンテナンス用画面として、ガス使用量記憶部35に記憶されたガス使用量をディスプレイ32に表示することもできる。メンテナンス用画面には、現時点での使用開始からの使用時間、累積使用時間および累積ガス使用量が表示される。これにより、ロースタの網の交換等、メンテナンス時期を容易に管理することができる。
【0068】
さらにディスプレイ32には、ガス使用量が所定の値を超えたときにメッセージが表示されるようにしてもよい。メッセージとは、ロースタの網の交換を促すメッセージであったり、加熱調理装置5自体のメンテナンスを促すメッセージであったりする。なお、所定の値とは、適宜設定すればよい。たとえばロースタの網の交換のメッセージであれば網が焦げ付く可能性が高いと考えられる量であり、加熱調理装置5のメンテナンスを促すメッセージであれば、たとえば加熱調理装置のメーカが設定したメンテナンスが必要となる量である。
【0069】
さらに、各オーダ用表示端末3bのガス使用量記憶部35に記憶されたガス使用量を、図3に示すサーバ装置2の使用状況管理部25に送信することにより、図12に示すように、サーバ装置2のディスプレイに管理画面を表示させてもよい。当該管理画面には、各飲食席ESのオーダ用表示端末3bにおける使用時間、累積使用時間および累積ガス使用量を示す一覧が表示される。
【0070】
在席検知手段は上記のような感圧スイッチには限られない。たとえば、レジにて清算が終わった飲食席の情報をサーバ装置等に送ることで、飲食席に客がいないかをどうかを検知することができる。また、店員が客を飲食席に案内したさいに、店員が携帯している携帯端末にどの飲食席に客が着席したかを入力し、この入力結果をサーバ装置等に記憶させることでどの飲食席に客がいるかを検知することができる。
【0071】
なお、オーダ用表示端末3bのHMI処理部36の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0072】
すなわち、オーダ用表示端末3bは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるオーダ用表示端末3bの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記オーダ用表示端末3bに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0073】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0074】
また、オーダ用表示端末3bを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0075】
〔実施形態の総括〕
上記の実施形態では、本発明に係る注文システムを鉄板焼店における注文処理に適用した例について説明したが、これに限定されず、焼肉店、お好み焼き店や鍋料理店等、各飲食席に加熱調理装置が併設される飲食店に適用可能である。
【0076】
また、上記の実施形態では、通常のメニュー選択画面と火力調整画面等とを画面切替えにより別々に表示する構成としていたが、メニュー選択画面と火力調整画面等とを同時に表示してもよい。
【0077】
また、上記の実施形態では、加熱調理装置はガスによって加熱対象物を加熱する構成であったが、加熱調理装置が電力によって加熱対象物を加熱する場合は、表示端末の操作によって加熱調理装置に供給される電力を調整する構成としてもよい。
【0078】
また、加熱調理装置が炭火によって加熱対象物を加熱する場合は、表示端末の操作によってダクトの排気量を調整することにより炭に供給する空気量を調整する構成としてもよい。
【0079】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、飲食物の注文を行うためのタッチパネル式の表示端末に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係るオーダ用表示端末、加熱調理装置およびダクトの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る注文システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】上記注文システムのサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】上記注文システムのキッチン用表示端末の構成を示すブロック図である。
【図5】上記オーダ用表示端末に表示されるメニュー選択画面の一例を示す図である。
【図6】上記オーダ用表示端末に表示される火力調整画面の一例を示す図である。
【図7】上記オーダ用表示端末に表示される排気量調整画面の一例を示す図である。
【図8】上記オーダ用表示端末に表示される温度分布画面の一例を示す図である。
【図9】上記オーダ用表示端末に表示される警告画面の一例を示す図である。
【図10】上記オーダ用表示端末に表示されるメッセージ画面の一例を示す図である。
【図11】上記オーダ用表示端末に表示されるメンテナンス用画面の一例を示す図である。
【図12】上記サーバ装置のディスプレイに表示される管理画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
1 注文システム
2 サーバ装置
3b オーダ用表示端末
5 加熱調理装置
6 ダクト(排気手段)
32 ディスプレイ
33 タッチパネル
35 ガス使用量記憶部(エネルギ使用量記憶手段)
361 火力調整画面表示部(加熱力調整画面表示手段)
362 火力調整受付部(加熱力調整受付手段)
363 排気量調整画面表示部(排気量調整画面表示手段)
364 排気量調整受付部(排気量調整受付手段)
365 温度分布画面表示部(温度分布画面表示手段)
366 警告画面表示部(警告画面表示手段)
367 メッセージ画面表示部(メッセージ画面表示手段)
37 HMI処理部(表示手段)
54 調理加熱部(加熱部)
56 ガス量センサ(使用状態検知手段)
ES 飲食席

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理装置が併設された飲食席に備えられ、飲食物を注文するための注文入力画面が表示されるタッチパネル付きのディスプレイを有するオーダ用表示端末において、
上記加熱調理装置の加熱力を調整するための加熱力調整画面を上記ディスプレイに表示させる加熱力調整画面表示手段と、
上記加熱力調整画面が表示されている時に、上記タッチパネルを介した操作入力を受け付けて上記加熱調理装置の加熱力を調整する加熱力調整受付手段とを備えることを特徴とするオーダ用表示端末。
【請求項2】
上記加熱調理装置を用いた加熱調理で発生した煙を排気する排気手段と、
当該排気手段の排気量を調整するための排気量調整画面を上記ディスプレイに表示させる排気量調整画面表示手段と、
上記排気量調整画面が表示されている時に、上記タッチパネルを介した操作入力を受け付けて上記排気手段の排気量を調整する排気量調整受付手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のオーダ用表示端末。
【請求項3】
上記加熱調理装置の加熱部の温度分布を示す温度分布画面を上記ディスプレイに表示させる温度分布画面表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のオーダ用表示端末。
【請求項4】
上記加熱調理装置の加熱調理が終了した場合、所定の操作を受け付けるためのメッセージ画面を上記ディスプレイに表示させるメッセージ画面表示手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオーダ用表示端末。
【請求項5】
調理開始から一定時間経過後に、所定の操作を受け付けるためのメッセージ画面を上記ディスプレイに表示させるメッセージ画面表示手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオーダ用表示端末。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のオーダ用表示端末を複数備え、さらに各オーダ用表示端末に接続されるサーバ装置を備えることを特徴とする注文システム。
【請求項7】
上記飲食席に客が在席しているか否かを検知する在席検知手段と、
上記加熱調理装置が使用状態にあるか否かを検知する使用状態検知手段と、
上記在席検知手段により検知された客の在席の有無および上記使用状態検知手段により検知された上記加熱調理装置の使用状態を表示する表示手段とを備えることを特徴とする請求項6に記載の注文システム。
【請求項8】
上記加熱調理装置のエネルギ使用量を記憶するエネルギ使用量記憶手段を備えることを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の注文システム。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のオーダ用表示端末の各手段としてコンピュータを動作させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−289213(P2009−289213A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143765(P2008−143765)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】