説明

オーディオアンプ

【課題】マイク音声に対するエコー等の音声信号処理を、他のオーディオソースの入力に合わせて自動的に切り換え可能なオーディオアンプを提供する。
【解決手段】オーディオソース入力端子34,35,36には、カラオケ再生装置4、DVD再生装置5、BGM再生装置6が接続されている。また、マイク2,3の音声信号は、エコー発生器12に入力される。マイコン10は、ADポート10Aで検出した電圧に基づいてカラオケ演奏音が入力されているか否かを検出する。カラオケ演奏音が入力されていると検出した場合、入力切換器15によってオーディオソース入力端子34(カラオケ)を選択するとともに、エコー発生器12をオンしてマイク入力にエコーを付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力された複数のオーディオソースから1つを自動選択するオーディオアンプに関する。
【背景技術】
【0002】
宴会場等に設置されるオーディオアンプは、複数のオーディオソースの入力端子を備え、各入力端子から入力されるオーディオソースを場面に応じて適宜切り換えて使用される。たとえば、挨拶やスピーチの場面では静かなBGMを流し、余興の場面では、カラオケ曲を流す等の切り換えが行われる。
【0003】
この切り換えを係員が手動で行うのは面倒であるため、カラオケ装置からカラオケの楽音が入力されたとき、オーディオソースの選択を自動的にBGMからカラオケに切り換える機能を有するオーディオアンプが実用化されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−148155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結婚披露宴等の宴会等では、来賓がカラオケ曲を歌唱するまえに挨拶をする場合がよくある。この場合、同じマイクを使用して挨拶とカラオケ曲の歌唱が行われるのが通常である。マイクの入力信号に対しては、挨拶時はスピーチ用の設定でエコーをオフする必要があり、一方、カラオケ歌唱時はボーカル用の設定でエコーをオンする必要がある。
【0006】
従来は、挨拶の終了を見計らって係員が、カラオケ曲をスタートさせるとともに、マイクのエコーをオンする操作を行っていた。このためカラオケ曲スタート時の係員の作業が多いうえ、時によっては係員がエコーのオンを忘れてしまうという場合もあった。
【0007】
この発明は、マイク音声に対するエコー等の音声信号処理を、他のオーディオソースの入力に合わせて自動的に切り換え可能なオーディオアンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、複数のオーディオソース入力端子と、マイク音声入力端子と、前記マイク音声入力端子から入力された音声信号に対して所定の信号処理を行う音声信号処理部と、前記複数のオーディオソース入力端子のうち特定のオーディオソース入力端子から信号が入力されたか否かを検出し、入力を検出したとき前記音声信号処理部の機能を変更すべく制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記音声信号処理部は、エコー発生部を含み、前記制御部は、前記特定のオーディオソース入力端子からの信号入力を検出したとき前記エコー発生部の機能をオンすることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1、2の発明において、前記音声信号処理部は、イコライザを含み、前記特定のオーディオソース入力端子は、カラオケ再生装置を接続する入力端子であり、前記制御部は、前記特定のオーディオソース入力端子からの信号入力を検出したとき前記イコライザの設定をボーカル用に設定変更し、前記特定のオーディオソース入力端子からの信号入力を検出しないとき前記イコライザの設定をスピーチ用に設定変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、特定のオーディオソース入力端子から信号が入力されれば、自動的に音声信号処理が切り換わるため、たとえば、カラオケ演奏スタート時に係員がマイク入力のエコーをオンする(カラオケ演奏終了時にマイク入力のエコーをオフする)という作業が不要になり、係員の手間を省くことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1はこの発明の実施形態であるカラオケアンプのブロック図である。
カラオケアンプ1には、マイク入力端子32、22を備えているとともにオーディオソース入力端子34,35,36を備えている。
マイク入力端子32、33には、それぞれマイク2、3が接続される。マイク入力端 32、33はA/Dコンバータ11を介してエコー発生器12に接続されている。エコー発生部12は、マイク入力端子32、33から入力されたマイクの音声信号にエコー効果を付与する機能部である。エコー発生器12は、マイコン10の制御によりそのエコー付与機能をオン/オフされる。エコー発生器12から出力されたマイクの音声信号はイコライザ13に入力される。イコライザ13はマイク音声信号の音質を調整する。イコライザ13から出力された音声信号はミキサ14に入力される。
【0013】
一方、オーディオソース入力端子34,35,36には、それぞれカラオケ再生装置4、DVD再生装置5、BGM再生装置6が接続される。各オーディオソース入力端子34,35,36は入力切換器15に接続されている。入力切換器15はマイコン10の制御により、3つのオーディオソース入力のうち1つを選択する機能部である。入力切換器15で選択された1つのオーディオソースの音声信号は、A/Dコンバータ16によってデジタル音声信号に変換されたのちキーコン回路17に入力される。キーコン回路17は、オーディオソースのキー(調)すなわち周波数を変化させる機能部であり、専らカラオケ演奏音が入力されたときに使用される機能部である。オーディオソースのキーを変換するか否か、どれだけ変換するかはマイコン10によって制御される。キーコン回路17が出力したオーディオソースの音声信号はイコライザ18に入力される。イコライザ18はオーディオソース音声信号の音質を調整する。イコライザ18から出力された音声信号はミキサ14に入力される。
【0014】
ミキサ14は、イコライザ13から入力されたマイクの音声信号とイコライザ18から入力されたオーディオソースの音声信号とを適切なバランスでミキシングし、1系統の音声信号にして出力する。なお、オーディオソースがステレオ信号の場合、ミキサ14は、このステレオ信号にマイク音声をミキシングする。
【0015】
ミキサ14が出力した音声信号はD/Aコンバータ19を介してアナログ増幅回路20に入力される。アナログ増幅回路20は、入力されたアナログの音声信号を増幅して出力端子37を介してスピーカ7に出力する。
【0016】
また、マイコン10は、2つのADポート10A,10Bを有している。ADポートは、アナログの電圧値を入力し、その電圧値をA/D変換してマイコン10に取り込むポートである。
【0017】
ADポート10Aには、オーディオソース入力端子34が積分回路を介して接続されている。積分回路はダイオード21、コンデンサ22で構成されている。ダイオード21は、オーディオソース入力端子34から入力された音声信号の正側半波を整流する素子である。コンデンサ22は大容量のケミカルコンデンサで構成され、ダイオード21で整流された正側半波の電圧を蓄電する。この構成により、コンデンサ22の端子間電圧をオーディオソース入力端子34に入力されている音声信号の平均的なレベルとみなすことができる。マイコン10は、ADポート10Aの検出電圧が、所定のしきい値を超えたときオーディオソース入力端子34すなわちカラオケ再生装置4の信号入力ありと判定する。
【0018】
ADポート10Bには、オーディオソース入力端子35が積分回路を介して接続されている。積分回路の構成はADポート10Aに接続されているものと同様である。マイコン10は、ADポート10Bの検出電圧が、所定のしきい値を超えたときオーディオソース入力端子35すなわちDVD再生装置5の信号入力ありと判定する。
【0019】
マイコン10は、カラオケ>DVD>BGMの優先順位で入力切換器15を制御して、オーディオソースを切り換える。すなわち、カラオケ再生装置4から信号が入力されているときは、DVD再生装置5から信号が入力されているか否かにかかわらずカラオケ再生装置4(オーディオソース入力端子34)を選択する。カラオケ再生装置4から信号が入力されていないときには、DVD再生装置5が入力されていればDVD再生装置5(オーディオソース入力端子35)を選択する。両方とも入力されていないときにはBGM再生装置6(オーディオソース入力端子36)を選択する。BGM再生装置6は、たとえばFMチューナや有線放送受信機のような装置で常時再生信号が出力されている装置である。一方、カラオケ再生装置4やDVD再生装置5は操作によって適宜再生信号が出力される装置である。
【0020】
さらに、マイコン10は、カラオケ再生装置4から信号が入力されているとき、すなわち、入力切換器15をカラオケ再生装置4(オーディオソース入力端子34)に切り換えているとき、エコー発生器12の機能をオンする。それ以外のオーディオソース入力端子を選択しているときは、エコー発生器12の機能をオフする。エコー発生器12の機能がオフしているときは、入力された音声信号はそのまま出力される。これにより、カラオケ再生装置4から音声信号が入力されているとき、すなわち、カラオケ曲が演奏されているときのみエコー発生器12が機能してマイク2、3から入力された音声信号にエコーを付与して歌唱を上手く聴かせるようにし、それ以外の場面ではマイク入力にエコーを付与しないで明瞭度の高い音声を出力するようにしている。
【0021】
また、オーディオソースの選択に対応してイコライザ13、18の設定を切り換えてもよい。すなわち、マイク用のイコライザ13は、BGMまたはDVDが選択されているときスピーチ用に設定し、カラオケが選択されているときボーカル用に設定する。オーディオソース用のイコライザ18についても、カラオケ/DVD/BGMの選択に応じて適宜設定を変更する。
【0022】
また、キーコン回路17のキーコン量は、ユーザインタフェース31による係員の操作に応じて切り換えられる。
【0023】
以上の構成のカラオケアンプをたとえば結婚式場に設置した場合、披露宴で来賓が挨拶したのち、同じマイクでカラオケ曲を歌唱するような場合、ゲストが挨拶しているときはエコーオフ・スピーチ用の設定でマイクの音声信号が出力され、挨拶が終了して係員がカラオケ曲をスタートさせると、カラオケアンプは自動的にオーディオソースをカラオケ再生音に切り換え、エコーオン・ボーカル用の設定でマイクの音声信号が出力される。
【0024】
このように、係員は来賓の挨拶終了のタイミングに合わせてカラオケ曲をスタートさせるのみで、オーディオソースの入力の切り換えおよびマイク音声のエコーオンが自動的に行われ、係員の手間を省くことができるとともに、操作ミスを無くすことができる。
【0025】
なお、上記実施形態では、オーディオソースの入力に応じてエコーのオン/オフ、イコライザの設定を自動切り換えする構成について説明したが、自動切り換えする項目はこれに限定されない。たとえば、BGMが選択されたときオーディオソース側のボリュームを小さくする、カラオケ以外のオーディオソースが選択されたときキーコン回路17の機能をオフする、カラオケが選択されたときマイクゲインを上げてダイナミックレンジを大きくする等の動作をさせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施形態であるカラオケアンプのブロック図
【符号の説明】
【0027】
1…カラオケアンプ
2,3…マイク
4…カラオケ再生装置
5…DVD再生装置
6…BGM再生装置
12…エコー発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオーディオソース入力端子と、
マイク音声入力端子と、
前記マイク音声入力端子から入力された音声信号に対して所定の信号処理を行う音声信号処理部と、
前記複数のオーディオソース入力端子のうち特定のオーディオソース入力端子から信号が入力されたか否かを検出し、入力を検出したとき前記音声信号処理部の機能を変更すべく制御する制御部と、
を備えたオーディオアンプ。
【請求項2】
前記音声信号処理部は、エコー発生部を含み、
前記制御部は、前記特定のオーディオソース入力端子からの信号入力を検出したとき前記エコー発生部の機能をオンする請求項1に記載のオーディオアンプ。
【請求項3】
前記音声信号処理部は、イコライザを含み、
前記特定のオーディオソース入力端子は、カラオケ再生装置を接続する入力端子であり、
前記制御部は、前記特定のオーディオソース入力端子からの信号入力を検出したとき前記イコライザの設定をボーカル用に設定変更し、前記特定のオーディオソース入力端子からの信号入力を検出しないとき前記イコライザの設定をスピーチ用に設定変更する請求項1または請求項2に記載のオーディオアンプ。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−72270(P2010−72270A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238951(P2008−238951)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】