オーディオ情報記録装置
【課題】 本発明は、CDなどからリッピングした互いに異なる録音レベルを有する複数の楽曲の音楽データに対して、該録音レベルを所定レベルに補正した音楽データを内蔵HDDに記録するオーディオ情報記録装置を提供する。
【解決手段】 音楽データを内蔵HDDに記録するオーディオ情報記録装置に、取り込まれた前記音楽データを一時的に格納するテンポラリバッファ部Bと、該テンポラリバッファ部から読み出した音楽データの平均音信号レベルを補正する補正部Kを備え、該補正部で所定レベルに揃えられた音楽データを前記HDDに記録する。該HDDに記録された楽曲データを再生するとき、各楽曲の音楽データを同一音量条件で再生システムに提供できる。
【解決手段】 音楽データを内蔵HDDに記録するオーディオ情報記録装置に、取り込まれた前記音楽データを一時的に格納するテンポラリバッファ部Bと、該テンポラリバッファ部から読み出した音楽データの平均音信号レベルを補正する補正部Kを備え、該補正部で所定レベルに揃えられた音楽データを前記HDDに記録する。該HDDに記録された楽曲データを再生するとき、各楽曲の音楽データを同一音量条件で再生システムに提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ情報記録装置に関し、特に、ハードディスクなどの記録媒体を内蔵し、音楽などのオーディオ情報を、該記録媒体に記録することができ、記録されたオーディオ情報から所望のものを随時選択して読み出し、オーディオ再生処理に供給することができるオーディオ情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、装置に内蔵された記録媒体に、オーディオ情報ファイルとして、例えば、多数の楽曲の音楽データを記録しておき、その音楽データの検索を容易に行えるようにした記録再生装置が広く使用されている。
【0003】
従来でも、多数のコンパクト・ディスク(CD)を収納し、CDの自動再生を行えるようにした、所謂、CDチェンジャが実用化されている。このCDチェンジャでは、数10枚乃至数100枚のCDを一つの筐体に収納し、所定の操作により選択されたCDの再生を自動的に行う。CDの再生は、CD毎に行うこともできるし、複数枚のCDを選択して、CD単位、あるいは収録されている曲単位でランダム再生を行うようにもできる。このCDチェンジャは、主に固定的に、すなわち室内に設置されて使用されることが多い。
【0004】
このCDチェンジャにおいては、自動再生の際にも、CDの交換時間が発生してしまうため、連続再生を実現するのが困難であった。また、100枚や200枚のCDを収納するようなCDチェンジャは、筐体が大きく、且つ重くなってしまい、持ち運びや設置に非常に不便であった。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、比較的小型で記録容量が大きいハードディスクドライブ(HDD)などの記録媒体を用いたオーディオ情報記録装置が提案された。この提案されているオーディオ情報記録装置のシステム構成の例を、図13に示した。同図のシステム構成は、オーディオ情報記録装置が自動車の車室内に搭載されるステレオ再生システムに組み込まれた場合である。
【0006】
図13に示されたステレオ再生システムは、オーディオ情報ソースからリッピングされたオーディオ情報に基づいて、自動車の車室内に設置された4個のスピーカを音響駆動するように構成されている。例えば、4個のスピーカのうち、スピーカFSP1とFSP2が、左右のフロントドアの下部に夫々取り付けられ、さらに、スピーカRSP1とRSP2が、後部座席の背部の左右に夫々設置される。これらの4個のスピーカを駆動するステレオ再生システムは、A/D変換部1、ディジタル・インタフェース・レシーバ(DIR)2、ディジタル・シグナル処理部(DSP)3、D/A変換部4、音量制御部5、そして、パワーアンプ部6を備えている。
【0007】
一般に、自動車に搭載されるステレオ再生システムには、アナログカセットデッキ、CDプレーヤ、MDプレーヤ、衛星テレビ放送受信チューナ、FM/AM放送受信チューナなど、種々のオーディオ情報ソースを多数接続可能となっている。そして、ユーザが所望のオーディオ情報ソースを選択すると、所望のオーディオ情報ソースから入力したオーディオ信号が選択され、例えば、音場制御用のDSP3で処理可能な所定のディジタルオーディオ信号の形式に変換されて、当該DSP3に入力されるようになっている。
【0008】
アナログカセットデッキ、衛星テレビ放送受信チューナ、FM/AM放送受信チューナのいずれかが選択された場合には、それから取り込まれたオーディオ信号が、A/D変換部1でディジタル信号に変換されてDSP3に入力される。また、CDプレーヤ又はMDプレーヤが選択された場合には、それからリッピングされたオーディオ信号は、DIR2を介してDSP3に入力される。
【0009】
そして、DSP3において、例えば、音場処理されたディジタルオーディオ信号は、フロントスピーカFSP1とFSP2、リアスピーカRSP1とRSP2などを音響駆動するために、D/A変換部4において、チャンネル別にDA変換されて、音量制御部5を経てパワーアンプ部6に入力される。音量制御部5は、4個のスピーカから放音される音のレベルについて、ユーザが設定した所望音レベルに制御する。
【0010】
一方、オーディオ再生システムに組み込まれるオーディオ情報記録装置は、一般的に、オーディオ制御部11、ROM12、RAM13、圧縮エンコーダ/デコーダ部14、表示制御部15、表示部16、HDD制御部17、そして、ハードディスクドライブ(HDD)18を備え、これらは、バス19に接続されて、データを伝送し、互いに通信することができる。
【0011】
CPUを有しているオーディオ制御部11は、ROM12に格納されているプログラムに従って、RAM13を該プログラムの動作領域メモリとして使用しながら、オーディオ情報記録装置全体を制御する。表示制御部15は、表示ドライバを備えており、オーディオ制御部11の指示に従って、液晶ディスプレイなどによる表示部16を表示駆動する。表示部16には、オーディオ関連情報や、記録操作情報などが表示される。
【0012】
HDD制御部17は、HDD・I/Fドライバ、HDDマイコンを備えており、オーディオ情報ファイルについて、HDD18への記録、HDD18からの読み出しを制御する。圧縮エンコーダ/デコーダ部14は、HDD制御部17の指示に従って、オーディオ情報のHDD18への記録時には、オーディオ情報ファイルを圧縮処理し、また、オーディオ情報のHDD18への記録時には、オーディオ情報ファイルを圧縮エンコードコード処理し、また、オーディオ情報ファイルをHDD18から読み出す時には、オーディオ情報ファイルを圧縮デコード処理する。
【0013】
以上のような構成のオーディオ情報記録装置では、例えば、CDに記録されているオーディオ情報ファイルを取り出し、取り出されたオーディオ情報ファイルを所定の方法で圧縮符号化し、HDD18に記録し、蓄積する。6GB程度の記録容量を有するHDDを用いることにより、1000曲程度の音楽データを記録することができる。オーディオ情報記録装置では、上述のCDチェンジャのように、CDを交換する手間が要らないので、連続再生が容易であり、1台のHDDに多数のオーディオ情報ファイルを記録することができるため、筐体を小型化することが出来るという利点がある。
【0014】
ところで、この様なオーディオ情報記録装置においては、オーディオ情報ソース、例えば、複数のCDから再生されたオーディオ情報ファイルがHDD18に記録されるが、各CDの音楽データ再生時の音量レベルは、個々のCDの編集条件等が必ずしも同じでないため、CD毎に異なっている。従来のオーディオ情報記録装置では、CDなどが入力手段に挿入されると同時に、CDなどに記録されているオーディオ情報ファイルがリッピングされ、HDDに記録される仕様になっている。従って、オーディオ情報記録装置内に記録された複数枚のCDのオーディオ情報ファイルは、それらの音量レベルが互いに異なる。音量レベルは、通常、時々刻々変化する音楽の音信号のレベルであるが、ここでは、音量レベルとは、オーディオ情報ファイルに係る音信号の所定時間内における平均値を指している。
【0015】
そこで、音量レベルが互いに異なる複数のCDから所望の複数の曲をランダムに選択して再生すると、再生時の音量レベルが曲により異なるので、音量が大きくなったり、小さくなったりする。このため、ユーザは、所望の音量を保つために、音量制御部5のボリュームコントロールを頻繁に行わなければならないという煩わしさがあった。また、HDD18に記録されている複数のCDからコピーした曲を指定し、MD等の他のメディアに記録して、オリジナルアルバムを作成した場合に、作成されたメディアを再生すると楽曲毎に音量レベルが異なってしまう。
【0016】
そのため、それぞれ異なる音量レベルで記録された複数の楽曲を、オーディオ情報記録装置内のHDDに記録し、再生するとき、常に、一定の音量レベルで再生されるようにしたオーディオ情報記録装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0017】
この提案されたオーディオ情報記録装置では、異なる音量レベルで記録されたオーディオ情報ソースの複数を装置内に記録して再生すると、再生音が楽曲によって大きかったり小さかったりしてユーザに不快感を与えるといった課題を解決するものとして、オーディオ情報の入力手段から入力される信号の音量レベルを検出するレベル検出手段を設け、入力されたオーディオ情報ファイルをHDDに記録する際に、付加情報として音量レベル情報を記録しておき、再生時に、記録された音量レベル情報を用いて当該オーディオ情報に係る再生音のレベルを制御するようにしている。
【0018】
【特許文献1】特開2003−162883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
この提案されたオーディオ情報記録装置では、CDからリッピングされたオーディオ情報ファイルをHDDに記録するときには、TOC情報から楽曲の終点を検知するまで、指定された楽曲のCDから、再生とHDDへの記録を繰り返す。楽曲の終点を検知すると、CDの再生動作を停止させ、HDDに記録した楽曲のファイル情報をHDDに登録する。CDの再生システムから出力され、HDDに記録中の再生データは、レベル検出回路にも入力され、再生データの音量レベルが検出される。
【0020】
レベル検出回路で検出された音量レベルのデータは、楽曲毎に所定時間中の平均値が算出され、音量レベル情報として読み込まれ、指定された楽曲のHDDへの記録が完了すると、当該音量レベル情報は、その音量レベル情報を記録された楽曲の付加情報としてHDDに記録される。
【0021】
次に、HDDに記録された楽曲の再生する場合には、ユーザにより所望の楽曲が指定されると、HDDに記録されているオーディオ情報ファイルの音楽データが読み出され、当該音楽データが圧縮エンコード処理されている場合には、圧縮デコード処理されてレベル変換回路に入力される。レベル変換回路は、HDDに付加情報として記録された当該楽曲に係る音量レベル情報に基づいた乗算係数と、HDDから読み出された音楽データの音量レベルとの乗算を行う。この乗算によって音量レベルが変換された音楽データがD/A変換部に出力される。
【0022】
この様にして、この提案されたオーディオ情報記録装置では、HDDに記録した音楽データ毎に、音量レベル情報を付加情報として記録しておき、当該音楽データを再生するときに、この付加情報を使用して、読み出された音楽データの音量レベルを一定になるように補正するようにしている。これにより、記録された楽曲の音量レベルがそれぞれ異なっていても、ユーザに快適なオーディオ再生が実現される。
【0023】
この提案されたオーディオ情報記録装置においては、異なる音量レベルで記録された複数のCDの音楽データをHDDにコピーして、コピーされた楽曲をランダムに選択して再生した場合であっても同じ音量レベルでの再生が可能になるので、ユーザは、この音量レベルの違いに応じた音量調整をしなければならないという煩わしさが無くなる。
【0024】
しかしながら、このオーディオ情報記録装置は、内蔵しているHDDに記録された楽曲データの再生時における音量レベルを調整することを可能にしているが、オーディオ情報ファイルに対して必ず付加情報として音量レベル情報を記録する必要があり、この音量レベル情報が存在しないと、オーディオ情報ファイルの音楽データの再生時に音量レベルを一定に補正できないため、この補正する機能を備えたオーディオ再生システムでなければ、音量調整の煩わしさから解放されないという問題がある。
【0025】
そこで、本発明は、互いに異なる録音レベルで記録された複数のCDなどからリッピングした楽曲に対して、音量レベルが所定のレベルに補正された楽曲をHDDに記録するようにして、録音レベルの大きい楽曲の後で、録音レベルの小さい楽曲を再生するとき、或いは、録音レベルの小さい楽曲の後で、録音レベルの大きい楽曲を再生するとき、ユーザが、その都度、音量を調整するという煩わしさを解消し、ステレオ再生システム側に音量レベルを一定化する特別の機能を備える必要をなくしたオーディオ情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
以上の課題を解決するため、本発明では、取り込まれたオーディオ情報を記録媒体に記録するオーディオ情報記録装置において、取り込まれた前記オーディオ情報を一時的に格納するテンポラリバッファ部と、前記テンポラリバッファ部から読み出した前記オーディオ情報に含まれる音信号の平均音信号レベルを補正し、該補正された前記音信号を含む当該オーディオ情報を前記記録媒体に記録する記録部とを備えた。
【0027】
そして、取り込まれた前記オーディオ情報は、オーディオ情報ファイル毎に前記テンポラリバッファ部に格納されるものとした。
【0028】
前記記憶部は、補正部を有し、該補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納された前記オーディオ情報ファイル毎に平均音信号レベルを検出し、該平均音信号レベルに基づいて前記補正を実行することとした。
【0029】
さらに、前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、検出された前記平均音信号レベルを、任意に設定された基準音信号レベルに一致させる補正を実行することとした。
【0030】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、検出された前記平均音信号レベルを、設定された標準の基準音信号レベルに一致させる補正を実行することとした。
【0031】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に最初に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルから検出された平均音信号レベルを基準音信号レベルとし、前記テンポラリバッファ部に以後に格納されたオーディオ情報ファイルの音信号データに対して、該オーディオ情報ファイルの各平均音信号レベルを前記基準音信号レベルに一致させる補正を実行することとした。
【0032】
前記補正部は、当該オーディオ情報ファイルに係る前記平均音信号レベルと前記基準音信号レベルに基づいて補正係数を求め、当該オーディオ情報に含まれる音信号に該補正係数を乗算して音信号レベルの補正を実行することとした。
【0033】
前記記憶部は、前記補正係数を当該オーディオ情報ファイルに関連付けたテーブルで記憶し、管理するようにし、或いは、前記補正係数を当該オーディオ情報ファイルとともに前記記憶媒体に記憶するようにした。
【0034】
前記補正部は、前記記録媒体に記録された前記オーディオ情報ファイルに含まれる音信号の平均音信号レベルを、ユーザが指定した基準音信号レベルに補正することができ、前記記録媒体に複数のオーディオ情報ファイルが記録されている場合、該各オーディオ情報ファイルの平均音信号レベルを一括して補正することができることとした。
【0035】
前記補正部は、ユーザによる禁止又は許可の設定に応じて前記オーディオ情報ファイルに対する前記補正を実行することとした。
【0036】
前記補正部は、前記基準音信号レベルが、前記テンポラリバッファ部に格納された前記オーディオ情報ファイルに係る前記平均音信号レベルのうちの最大音信号レベルを超える場合に、該最大音信号レベルに基づいて、当該オーディオ情報ファイルに含まれる音信号データに対する前記補正係数を求めることとした。
【0037】
前記記録部は、前記補正部が前記テンポラリバッファ部から読み出された当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して前記補正を実行したときに、該音信号の記録時にクリッピングが発生する場合に、該オーディオ情報ファイルの前記記録媒体への記録に関するクリッピング報知情報を出力することとした。
【0038】
前記記録部は、ユーザの出力可否の設定に従って、前記クリッピング報知情報を出力するようにした。
【0039】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の許可が選択された場合、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させることとし、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、ユーザが設定した基準音信号レベルに従って、前記補正部に当該オーディオ情報の音信号に対する前記補正を実行させることとした。
【0040】
前記記録部は、ユーザが前記基準音信号レベルを設定した場合、前記記録媒体に記録された前記オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、前記補正部に前記基準音信号レベルに従った前記補正を実行させることとした。
【0041】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させないようにし、或いは、前記オーディオ情報の前記記録媒体への記録を停止することとした。
【0042】
前記記録部は、前記補正部が前記オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行し、前記記録媒体に前記オーディオ情報を記録している間、電源が切断されないように監視し、警告情報を出力することとした。
【0043】
また、本発明のオーディオ情報記録装置では、前記記録媒体を、書込み及び読出しが自在な記憶手段とし、前記テンポラリバッファ部が、前記記録媒体の一部であることとし、前記記録部は、補正された前記音信号を含む前記オーディオ情報を前記記録媒体に記録した後、前記テンポラリバッファ部に一時的に格納された前記オーディオ情報を消去するようにした。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明では、取り込まれたオーディオ情報を記録媒体に記録するオーディオ情報記録装置において、取り込まれた前記オーディオ情報を一時的にテンポラリバッファ部に格納し、該テンポラリバッファ部から読み出したオーディオ情報に含まれる音信号の平均音信号レベルを補正し、該補正された前記音信号を含む当該オーディオ情報を前記記録媒体に記録するようにしたので、記録媒体に記録したオーディオ情報を再生するときに読み出されたオーディオ情報の出力レベルのバラツキが無くなり、どのオーディオ情報を選択してもその出力の平均音信号レベルは所定レベルに揃えられている。
【0045】
また、MDなどの他の記録媒体にコピーする機能を持つオーディオ再生システムであれば、本発明のオーディオ情報記録装置が組み込まれると、平均音信号レベルが揃った記録媒体を作成することができ、ユーザの利便性を向上することができる。さらに、テンポラリバッファ部を記録媒体中に一時的に割り当てることにより、大容量のバッファメモリを別途設け無くて済み、コスト低減を図ることができる。
【0046】
また、本発明のオーディオ情報記録装置によれば、互いに異なる録音レベルで記録された種々の記録媒体から取り込まれたオーディオ情報を、内蔵された記録媒体に録音レベルをユーザの希望する所定レベルに自動補正しながら記録することができ、或いは、ユーザによって希望する所定レベルが設定されていなくとも、予め設定された所定レベルに自動補正される。
【0047】
さらに、本発明のオーディオ情報記録装置によれば、オーディオ情報に含まれる音信号の平均音信号レベルを補正する際に、該オーディオ情報に含まれる楽曲の最大音信号レベルを加味するようにしたので、記録媒体に記録されるオーディオ情報の音信号にクリッピングが起こることを抑制できる。
【0048】
そして、取り込まれオーディオ情報を内蔵記録媒体に記録する際に、記録媒体内蔵記録媒体に記録されるオーディオ情報の音信号にクリッピングが起こるときには、クリッピング発生のアラート表示がなされるので、ユーザは、記録されるオーディオ情報にクリッピングが発生したことを知ることができ、クリッピングが発生した状態で、或いは、クリッピングが発生しない状態で記録することを選択することができ、ユーザの利便性が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
次に、本発明によるオーディオ情報記録装置の実施形態について、図を参照しながら説明する。図1には、本発明によるオーディオ情報記録装置における基本的概念を表したシステム構成図が示されている。
【0050】
図1に示されたオーディオ情報記録装置の基本的概念構成は、図13に示されたオーディオ情報記録装置のシステム構成に基づいているが、図1の基本的概念構成が図13のシステム構成と異なるところは、テンポラリバッファ部Bと補正部Kを備えていることである。リッピング部Rは、図13に示されるように、アナログ入力信号が入力されるA/D変換部1と、ディジタル入力信号が入力されるDIR2とに対応している。
【0051】
図1では、基本的概念のみを示しているので、HDD18に、オーディオ情報、例えば、CDなどからリッピングされたオーディオ情報ファイルの音信号である音楽データを記録し、或いは、HDD18から該音楽データを読み出すシステム構成の詳細についての図示が省略されている。なお、以下の実施形態では、オーディオ情報記録装置に内蔵される記録媒体として、HDDを使用した場合で説明されるが、その記録媒体としては、HDDに限られず、例えば、メモリカードなど、他のタイプの記録媒体を使用できる。
【0052】
図13のオーディオ情報記録装置では、リッピング部RでCDから取り込まれたオーディオ情報ファイルの音信号である音楽データは、HDD制御部17を介して、直接に内蔵されたHDD18に記録される。この様子は、図1においては、破線の矢印で示されている。この記録の仕方では、HDD18に音楽データの録音レベルは、リッピング部Rで取り込まれたままである。
【0053】
そこで、本発明のオーディオ情報記録装置の実施形態では、リッピング部RでCDから取り込まれた音楽データをHDD18に記録する前に、当該音楽データの録音レベルを所定レベルに補正し、その録音レベルが補正された音楽データをHDD18に記録するようにした。
【0054】
この補正を実現するため、図1に示されるように、リッピング部RでCDから取り込まれた複数の楽曲に係る音楽データが、一旦、テンポラリバッファ部Bに格納される。次いで、楽曲単位で、該音楽データの音信号レベルに関する平均音信号レベルが求められる。補正部Kにおいて、この平均音信号レベルが所定レベルに一致するように、音楽データに対して補正係数を乗算し、平均音信号レベルを補正される。平均音信号レベルが補正された各音楽データが、HDD18に記録される。
【0055】
この補正により、HDD18に記録される楽曲データは、いずれも所定レベルに揃えられた状態で記録される。例えば、CD間で録音デベルが異なることにより、互いに異なる録音レベルの音楽データがリッピング部Rで取り込まれても、HDD18には、所定レベルに統一された平均音信号レベルを有する音楽データが記録される。
【0056】
そして、HDD18に記録された音楽データを選択して読み出した場合、どの音楽データの記録レベルも同じである。そのため、音楽データがオーディオ再生システムに供給されて楽曲が再生される際に、録音レベルの大きい楽曲の後で、録音レベルの小さい楽曲を再生するとき、或いは、録音レベルの小さい楽曲の後で、録音レベルの大きい楽曲を再生するとき、ユーザが、その都度、音量を調整するという煩わしさが解消される。
【0057】
なお、図1に示されたオーディオ情報記録装置では、リッピング部Rで取り込んだ各楽曲データは、一時的にテンポラリバッファ部Bに格納されるとしたが、このテンポラリバッファ部Bは、図13に示されたRAM13を利用することもでき、或いは、バス19に接続された別のバッファメモリとすることもできる。また、上述の補正処理については、オーディオ制御部11がROM12に記憶された補正処理プログラムに従って実行するものとする。
【0058】
次に、上述した本実施形態において実行される補正処理と、記録レベルが補正された楽曲データのHDDへの記録における補正処理の説明をする前に、本実施形態によるオーディオ情報記録装置における補正処理に関わる入力設定について説明する。本実施形態では、装置に接続されている表示部16のディスプレイがタッチパネルで構成され、表示画面上でユーザ設定入力の操作ができるようになっている。そのユーザ設定画面の例が、図2に示されている。図2に示された例では、表示部16の表示画面に、補正処理に係る設定入力画面が表示され、「レベル自動補正」、「ユーザレベル補正」、「HDD録音レベル」、「クリッピング」及び「クリッピング・アラート表示」の各機能を設定するための入力設定用アイコンが並んでいる。
【0059】
「レベル自動補正」の機能設定欄には、「ON」と「OFF」のボタンが備えられ、ユーザがHDD18に楽曲データを記録するとき、レベル自動補正のオン・オフの選択ができるようになっている。「OFF」ボタンが押されると、レベル自動補正が解除される。ユーザが、録音レベルのままでHDD18に記録することを希望する場合に、レベル自動補正をオフに設定にする。例えば、意図的に0dBから−6dBまで1dBステップの正弦波テスト信号をHDD18に記録する場合、レベル自動補正オフ機能が無いと、全て同レベルの信号に補正されてしまうため、ユーザが期待したとおりに記録することができないことになる。これを回避するためには、レベル自動補正オフ機能が必要となる。
【0060】
「ユーザレベル設定」は、HDD18に記録される楽曲の記録レベルが、装置に初期設定されている標準の所定レベルに補正される他に、ユーザが所望する所定レベルに補正されることを選択する機能である。「ON」ボタンが押されると、「HDD記録レベル」の入力欄で、ユーザが、所望する所定レベルの値を選択入力することができ、HDD18に記録される音楽データの録音レベルが、設定された該所定レベルに補正される。「NO」ボタンが押されると、レベル補正は、装置に初期設定され、例えば、製造者推奨の標準の所定レベルに設定される。
【0061】
図3には、ユーザレベル設定に関するオーディオ制御部11の処理フローが示されている。「ユーザレベル設定」の「ON」ボタンが押されると、「HDD記録レベル」の入力欄を有効にして、ユーザが記録レベル値を入力することができる(ステップS1)。
【0062】
また、「クリッピング」は、HDD18に記録される音楽データの記録レベルが、所定レベルに補正された結果、そのレベルによっては、音楽データの音信号がクリッピングされることがあり得る。このクリッピングは、音楽として歪を与えることになるので、敢えて、レベル補正を希望しないで、リッピングされた状態の音信号レベルでHDD18に記録することもできる。この場合には、「禁止」ボタンを押し、クリッピングしないようにレベル補正を行う。「許可」ボタンを押した場合には、クリッピングが発生する可能性を承知の上で、レベル補正の実行を優先する。
【0063】
図4には、クリッピングの禁止又は許可設定に関するオーディオ制御部11の処理フローが示されている。「クリッピング」の「許可」ボタンが押されると、クリッピングの発生に関係無く、設定された所定レベルに基づいたレベル補正の実行が設定され、「禁止」ボタンが押されると、クリッピングが発生しない状態でレベル補正を実行する設定となる(ステップS2)。
【0064】
「クリッピング・アラート表示」は、「クリッピング」の「許可」ボタンが押されている場合であって、リッピングされた楽曲データにレベル補正が行われた結果、クリッピングが発生したことを、ユーザに報知することを選択設定できる。「ON」ボタンが押されると、表示部16の画面に、例えば、『このTRACKには8箇所のクリッピングポイントが存在します。HDD記録レベルの見直し等を検討して下さい。』というクリッピング・アラート表示がなされる。特に、クリッピングが発生しても、気にしない場合には、「OFF」ボタンを押して、アラート表示をさせないように設定することができる。
【0065】
図5には、クリッピング・アラート表示のオン・オフ設定に関するオーディオ制御部11の処理フローが示されている。「クリッピング・アラート表示」の「ON」ボタンが押されると、クリッピングが発生したときアラート表示されるように設定し、「OFF」ボタンが押されると、クリッピングが発生しても、アラート表示をしないように設定する(ステップS3)。
【0066】
以上のように、本実施形態のオーディオ情報記録装置には、図2に示されるように、表示部16の表示画面を利用して、レベル補正に関連するユーザ設定を行う機能が用意されており、ユーザの利便性を配慮している。
【0067】
次に、図6に示されたフローチャートに従って、内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録する場合の本実施形態のオーディオ情報記録装置における処理動作を説明する。先ず、CDに録音されている楽曲の音楽データをHDD18に記録するため、オーディオ再生システムの入力手段に、一枚のCDが挿入されると、リッピング部Bによって、該CDに録音されている音楽データがリッピングされる(ステップS11)。
【0068】
次いで、一曲分の音楽データがリッピング完了する毎に、オーディオ制御部11の補正部Kは、この一曲分の音楽データについての平均音信号レベルを算出する(ステップS12)。そして、オーディオ制御部11は、この平均音信号が算出された音楽データをテンポラリバッファ部Bに格納する(ステップS13)。
【0069】
ここで、図3に示されたユーザ設定画面で、「レベル自動補正」機能の設定状態が判断される(ステップS14)。「ON」設定されている場合には(ステップS14のON)、「ユーザレベル設定」機能の設定状態が判断される(ステップS15)。
【0070】
このとき、ユーザレベル設定の「ON」ボタンが押され、ユーザの希望する所定レベルが設定されている場合には(ステップS15のYES)、ユーザが設定した所定レベルで音楽データをHDD18に記録できるように、補正部Kにおいて、ステップS12で算出した平均音信号レベルと所定レベルとに基づいて、補正係数kが算出される(ステップS16)。
【0071】
また、ステップS15において、ユーザレベル設定の「OFF」ボタンが押され、ユーザが所定レベルで記録することを希望していない場合には(ステップS15のNO)、装置に初期設定された製造者推奨の標準レベルで補正するかどうかが判断される(ステップS17)。
【0072】
この標準レベルで補正することが設定されている場合には(ステップS17のYES)、製造者推奨の標準レベルで音楽データをHDD18に記録できるように、補正部Kにおいて、ステップS12で算出した平均音信号レベルと所定レベルとに基づいて、補正係数kが算出される(ステップS18)。
【0073】
一方、ステップS17において、標準レベルで補正することが設定されていない場合には(ステップS17のNO)、音楽データをHDD18に記録するときのレベル補正に係る基準が無いことになるので、HDD18に記録される音楽データの記録レベルを揃えるために、最初にリッピングした音楽データの録音レベル、即ち、ステップ12において算出された該音楽データの平均音信号レベルを基準とする。そこで、補正部Kにおいて、ステップS12で算出した最初にリッピングされた音楽データの平均音信号レベルに基づいて、補正係数kが算出される(ステップS19)。
【0074】
ここで、最初にリッピングした音楽データの平均音信号レベルを基準にして、レベル補正する場合の例を、図7に示した。リッピングされた楽曲がHDD格納番号で表されており、図7の例では、5曲がリッピングされている。補正前平均レベルは、ステップ12において算出された各楽曲の音楽データの平均音信号レベルを示し、補正後平均レベルは、レベル補正されてHDDに記録されるときの各楽曲の記録レベルを示している。補正前平均レベルの欄に、リッピングされた各楽曲に対する録音レベルが互いに異なっている様子が示されている。
【0075】
この例では、No.1の楽曲がリッピング部Rによって最初にリッピングされたことを示しており、No.1の楽曲の平均音信号レベルが、−3dBと算出されている。この平均音信号レベルを、これ以降にリッピングされたNo.2〜No.5の各楽曲のオン学データに対するレベル補正の基準とする。図7の表中では、この基準となる平均音信号レベルが太線枠で示されている。
【0076】
各楽曲に対するレベル補正の仕方は、次のようである。No.1の楽曲は、レベル補正の基準レベル−3dBに設定されているので、補正後平均レベルは、−3dBのままである。次のNo.2の楽曲については、録音レベルが−2dBであるので、記録レベルについては、−1dBだけ下げて−3dBに補正される。No.3の楽曲以降についても、同様の補正処理が施されて、どの楽曲の記録レベルも、補正後平均レベルのように、−3dBに揃えられる。
【0077】
この様にして、リッピングされた全ての楽曲の音楽データが、最初にリッピングされた楽曲の音楽データの平均音信号レベルに基づいてレベル補正され、所定レベルである−3dBに揃えられた状態でHDD18に記録される。
【0078】
次いで、ステップS16、ステップS18及びステップS19において、HDD18に楽曲データを記録するときのレベル補正が行われる場合の全てのケースについての補正係数kが算出されたので、補正部Kは、リッピングされた音楽データに補正係数kを乗算して、HDD18に記録するための楽曲の記録データを作成する(ステップS20)。そして、HDD制御部17は、その記録データをHDD18に格納する(ステップS21)。
【0079】
これで、レベル補正が設定されている場合のオーディオ情報記録装置における音楽データの記録処理は、終了する。リッピング部Rでリッピングされた全ての楽曲の音楽データの録音レベルが補正され、各楽曲の記録レベルが所定レベルで揃えられた状態で、HDD18に記録が完了する。
【0080】
一方、ステップS14において、「レベル自動補正」機能に関して、「OFF」ボタンが押され、リッピングされた音楽データに対して、レベル補正を行わないことに設定されている場合には(ステップS14のOFF)、リッピング部Rでリッピングされた全ての楽曲の音楽データについて、補正処理を施すこと無く、図1に示された破線の矢印のように、音楽データは、直接に、HDD18に記録される。
【0081】
ところで、本実施形態のオーディオ情報記録装置では、一曲の音楽データのリッピングが完了した時点で当該音楽データの平均音信号レベルが算出され、各楽曲の平均音信号レベルについてレベル補正するようにしているので、HDDへの楽曲データを記録している途中において、ユーザが誤ってオーディオ情報記録装置の電源を切ってしまうと、音楽データ記録処理が中断され、リッピングされた音楽データが失われたり、不完全な形で以上データが残ってしまうことになる。
【0082】
そこで、ユーザが記録処理の途中で電源を切ることを防止するため、装置が記録処理を実行している間中に、アラート表示を行う。例えば、表示部16の表示画面に、『リッピングデータ 補正中! 電源をOFFしないで下さい。』のようなメッセージによるアラート表示をすることができる。
【0083】
図8に、そのアラート表示に係るオーディオ制御部における処理のフローチャートが示されている。オーディオ制御部11は、リッピングされた音楽データをHDDに記録していることを認識し、HDD記録データの作成中であるかどうかの判断を行う(ステップS31)。
【0084】
このとき、HDD記録データが作成されていない場合には(ステップ31のNO)、装置の電源が切られても問題ないので、アラート表示をせずに終了するが、HDD記録データが作成されている場合には(ステップ31のYES)、アラート表示による警告を行う(ステップS32)。この警告手段としては、前述したような警告メッセージを表示部16の表示画面に表示する。
【0085】
そして、アラート表示をしてからタイマ処理が実行され(ステップS33)、一定時間の経過毎にステップS31に戻って、HDD記録データの作成中であるかどうかの監視を続ける。HDD記録データの作成が完了するまで、アラート表示が維持される。このアラート表示がなされることによって、ユーザが誤って装置の電源を切ることを防止することができる。
【0086】
以上においては、図6に示されたオーディオ情報記録装置の動作に係るフローチャートに従い、CDなどからリッピングされた楽曲データをHDDに記録する場合の処理が説明された。次に、オーディオ情報記録装置に内蔵されたHDDに既に記録された音楽データについて、各楽曲の音楽データの記録レベルを変更することが必要になる場合がある。
【0087】
この既に記録された楽曲の記録データに対して一括して記録レベルを変更するため、例えば、表示部16の表示画面に、記録レベル一括変更補正メニューを表示し、「レベル再補正」機能のアイコンを設ける。「ON」ボタンと「OFF」ボタンとで、HDDに記録された音楽データのレベル再補正の可否を選択する。「ON」ボタンが押された場合に備えて、HDDに記録された楽曲の格納番号を選択指定できる入力欄を設けるか、或いは、全選択のボタンを備えておくと便利である。
【0088】
この様な「レベル再補正」機能において、ユーザが「ON」ボタンを押し、レベル再補正を実行する楽曲が選択指定すると、オーディオ制御部11は、HDD18に既に記録された音楽データの記録レベルを変更又は再補正の処理を実行する。図6に示された処理においては、テンポラリバッファ部Bに格納されるのは、リッピング部RでCDなどから取り込まれた音楽データであったが、記録レベルの変更又は再補正の処理の場合には、HDD18に記録された音楽データが、テンポラリバッファ部Bに格納される。そして、このテンポラリバッファ部Bに格納された音楽データの記録レベルが、補正部Kによって所定レベルに変更又は再補正される。
【0089】
図9に、HDDに既に記録された楽曲の記録データの記録レベルを変更又は再補正のレベル補正に係る処理のフローチャートが示されている。先ず、ユーザによって、記録された楽曲の記録レベルを変更するレベル補正機能が選択されると、オーディオ制御部11は、HDD18に記録された楽曲の記録データ数を確認する(ステップS41)。
【0090】
このとき、補正処理の必要数がいくつであるかが判断され(ステップS42)、その必要数が0でない場合には(ステップS42のNO)、記録データに対するレベル補正が必要であるので、当該記録データの平均音信号レベルを検出する(ステップS43)。
【0091】
ここで、HDD18に楽曲の記録データが記録されるとき、当該記録データの記録レベルの再補正について許可又は禁止が設定されるようになっている。そこで、当該記録データに対して、記録レベルのレベル再補正の可否が指定されているどうかが判断される(ステップS44)。
【0092】
記録レベルのレベル再補正が許可されている場合には(ステップS44のYES)、補正部Kは、ユーザが設定した所定レベルに基づいて再補正係数k1を算出する(ステップS45)。そして、その再補正係数k1を記録データに乗算することにより、レベル再補正されたHDD記録データを作成する(ステップS46)。このとき、表示部16の表示画面上に、『本当に変更しますか?』の確認メッセージを表示し、「YES」又は「NO」のボタンでユーザに確認を求めるようにすると、不所望なレベル変更を排除できる。
【0093】
「YES」ボタンが押された場合には、このレベル再補正された記録データをHDD18に記録する(ステップS47)。次いで、補正処理の必要数をデクリメントした後に(ステップS48)、ステップS42に戻って、残りの記録データに対するレベル再補正の処理が実行される。
【0094】
一方、ステップS44において、当該記録データに対して、レベル再補正の禁止が設定されている場合には(ステップS44のNO)、再補正係数を算出することなく、HDD18に当該記録データを移動させる(ステップS49)。その後、ステップS48に進み、補正処理の必要数をデクリメントして、さらに、ステップS42に戻って、残りの記録データに対するレベル再補正の処理が実行される。
【0095】
以上のようにして、ステップS41において確認した必要数分についてのレベル再補正処理が実行され、HDD18に記録された楽曲の記録データは、ユーザが設定した所定レベルに変更されて再記録されたことになる。
【0096】
なお、レベル再補正の禁止又は許可を判断する付加情報は、HDD18に記録されている全楽曲の音楽データのそれぞれに、属性情報として付与されるようにしても良い。或いは、この付加情報を、HDD18内に別テーブル形式で格納するようにし、HDD記録データと関連付けることでデータベース化して、一元管理を行うようにしても良い。
【0097】
これまでに説明したレベル補正処理においては、音楽データの平均音信号レベルを、所定レベルに基づいてレベル補正するようにした。このレベル補正の際に、所定レベルの大きさによっては、音楽データの平均音信号レベルを補正し過ぎることがある。例えば、所定レベルを0dBに設定して録音レベルの補正を実行する場合、算出された平均音信号レベルが、−4dBであったとすると、当該音楽データに対して、4dBアップのレベル補正が行われる。この様な場合、当該楽曲データにとっては、アップし過ぎになる可能性がある。
【0098】
このレベル補正におけるアップし過ぎを防止するために、今回にレベル補正を実行しようとしている複数の楽曲の音楽データのうちで、平均音信号レベルが最も高いものを抽出して、最大レベル値を求める。そこで、標準設定され、或いは、ユーザ設定された所定レベルがこの最大レベル値を超えている場合には、この最大レベル値を基準にして、レベル補正を実行するようにする。この最大レベル値が、−2dBであったとすると、平均音信号レベルが、−4dBの音楽データに対しては、2dBのアップで済み、レベル補正におけるアップし過ぎを軽減できる。
【0099】
このレベル補正におけるアップし過ぎを防止した場合のレベル補正における処理について、図10に、その処理のフローチャートが示されている。図10に示されたフローチャートの処理手順は、図6に示されたフローチャートにおけるステップS16、ステップS18及びステップS19で、補正係数を算出するときに、補正部Kの処理に組み込まれることができる。
【0100】
先ず、補正部Kは、レベル補正するために補正係数を算出するとき、楽曲の平均音信号レベルに関する最大レベル値を考慮することが設定されているかどうかを判断する(ステップS51)。このとき、最大レベル値を考慮しないと設定されている場合には(ステップS51のNO)、ユーザ設定の所定レベル、或いは、標準設定の所定レベルに従った補正係数が算出され、該補正係数が最終補正係数k1としてレベル補正が実行される(ステップS54)。
【0101】
一方、最大レベル値を考慮すると設定されている場合には(ステップS51のYES)、ユーザ設定の所定レベル、或いは、標準設定の所定レベルを参照して、最大レベル値が上限値となるかどうかを決定する(ステップS52)。
【0102】
そして、これらの所定レベルが、最大レベル値を超えているときには、最大レベル値に基づいて最終補正係数k1を算出し、最大レベル値が所定レベルを上回っているときには、所定レベルに基づいて最終補正係数k1を算出する(ステップS53)。以降のレベル補正された音楽データの作成と、HDD18への音楽データの記録は、図6に示されたステップS20、ステップS21と同様な処理で実行される。
【0103】
ところで、図2の音レベル設定画面例に関連して説明したように、HDD18に記録される楽曲の記録レベルが、所定レベルに補正された結果、そのレベルによっては、音楽データの音信号がクリッピングされることがあり得る。そのため、レベル補正時におけるクリッピングの発生を許可するか又は禁止するかの設定が可能となっている。そこで、レベル補正によるクリッピング発生に対処する処理手順について、図16のフローチャートに示した。この処理手順は、図6のフローチャートにおけるステップS20の処理に組み込まれる。
【0104】
先ず、レベル補正時におけるクリッピング発生の許可があるかどうかが判断される(ステップS61)。図2に示された設定画面で、「クリッピング」機能の「許可」又は「禁止」ボタンにより設定され、クリッピング発生の「禁止」が設定されている場合(ステップS61のNO)、レベル補正によるクリッピングが発生しないように、所定レベルを変更してレベル補正を実行する(ステップS66)。このとき、所定レベルを下げる変更を選択した場合には、HDD18に記録されている他の楽曲の音楽データとのレベルバランスに狂いが生じる可能性があるため、全楽曲の音楽データに対するレベル変更を合せて実行するとよい。
【0105】
一方、クリッピング発生の「許可」が設定されている場合には(ステップS61のYES)、HDD18に記録する音楽データにクリッピングが発生しているかどうかが判断される(ステップS62)。このとき、記録される音楽データにクリッピングが発生している場合には(ステップS62のYES)、ユーザによって、クリッピング発生の表示がオンに設定されているかどうかが判断される(ステップS63)。
【0106】
クリッピング発生の表示がオンに設定されているときには(ステップS63のON)、クリッピング発生に対するアラート表示を行う(ステップS64)。次いで、クリッピングした状態でレベル補正したHDD記録データを作成する(ステップS65)。
【0107】
一方、ステップS62において、クリッピングが発生していない場合、或いは、ステップS63において、クリッピング発生の表示がオフに設定されている場合には、クリッピング発生のアラート表示を行わないので、ステップS65に進んで、クリッピングした状態でレベル補正したHDD記録データが作成される。
【0108】
以上のように、本実施形態のオーディオ情報記録装置では、リッピング部RでCDなどから取り込まれた複数の楽曲の音楽データが、一旦、テンポラリバッファ部に格納され、楽曲単位で、該音楽データの音信号レベルに関する平均音信号レベルが求められ、補正部において、この平均音信号レベルが所定レベルに一致するように、音信号に対して補正係数を乗算し、平均音信号レベルが補正される。そして、平均音信号レベルが補正された各楽曲の音楽データが、HDD18に記録される。
【0109】
この補正により、HDD18に記録される音楽データは、いずれも所定レベルに揃えられた状態で記録されるので、例えば、CD間で録音仕様が異なる結果、或いは、異なる種類の記録媒体間で録音レベルが異なる結果、互いに異なる録音レベルの音楽データがリッピング部で取り込まれても、HDDには、所定レベルに統一された平均音信号レベルを有する音楽データが記録される。そのため、本実施形態のオーディオ情報記録装置がステレオ再生システムと組み合わされ、HDDから読み出された音楽データが再生されるときの音量レベルは、楽曲間で同一条件となり、ユーザによる音量調整の煩雑さを改善できる。
【0110】
なお、以上に説明した本発明のオーディオ情報記録装置では、図1に示されるように、オーディオ情報が一時的に格納される場所として、テンポラリバッファ部Bが、オーディオ情報の記録媒体であるHDDとは別の格納部として備えられていた。このテンポラリバッファ部Bは、必ずしも、HDDと別に備える必要はなく、このHDDの一部を利用することもできる。
【0111】
図12に、図1に示されたオーディオ情報記録装置の変形例として、この場合のオーディオ情報記録装置の概要を示した。図1のオーディオ情報記録装置では、リッピング部Rで取り込まれたオーディオ情報は、テンポラリバッファ部Bに一時的に格納されたが、図12に示されたオーディオ情報記録装置では、リッピング部Rで取り込まれたオーディオ情報は、HDD18のテンポラリバッファとして一時的に割り当てられた場所に格納される。このときには、オーディオ情報の音楽データは、レベル調整されない状態である。
【0112】
格納されたオーディオ情報に係る平均音信号レベルの補正処理に当たっては、補正部Kが、HDD18内のテンポラリバッファから当該音楽データを読み出し、平均信号レベルが算出され、レベル調整を実行する。このレベル調整の処理には、図2乃至図11に示されたフローチャートによる手順が適用される。
【0113】
HDD18内のテンポラリバッファから読み出された音楽データに対するレベル調整処理がなされた後、レベル調整された音楽データを、HDD18内のテンポラリバッファとは別の場所に格納し、記録する。そして、補正部Kは、音楽データがHDD18に記録された後において、HDD18内のテンポラリバッファに格納されている元の音楽データを消去する。
【0114】
以上のように、記録媒体の一つであるHDD内の一部をテンポラリバッファ部として一時的に利用することにより、大容量のバッファメモリを別途設ける必要が無くなり、コストの低減を図ることができる。
【0115】
なお、以上では、音声信号のレベルを調整する場合について説明されたが、本発明の適用は、この場合に限られず、ダイナミックレンジを調整する場合にも適用できる。音信号の信号レベルが全体にわたって大きく変化しない平均的な曲と、信号レベルが部分的に大きく変わる曲とに対して、音信号の平均レベルを同じ様に調整すると、前者の曲では、問題とならないが、後者の曲では、小音部の音量が小さ過ぎて聞き取りにくくなり、大音部の音量が大き過ぎてうるさく感じるという問題が発生する。
【0116】
そのため、本実施例が音信号のダイナミックレンジを調整する場合に適用されれば、小音部と大音部のレベル差を圧縮することにより、音量の変化を平均化し、全体を聞きやすい音量に調整することができる。音信号のダイナミックレンジを調整した上で、さらに、音信号の平均レベルを調整するようにしても良い。
【0117】
また、他の変形例としては、音声信号の周波数特性を調整することもできる。車載用音響機器の場合には、車両の室内という狭いスペースで再生音声を出力するため、曲によっては、高音部や低音部が聞き取りにくい場合がある。この場合には、ユーザは、曲に毎にイコライザなどを操作して、高音部や低音部のレベルを調整する必要があり、煩わしいという問題がある。そのため、音声信号の周波数特性を調整すると、この煩わしさを解消できる。
【0118】
そこで、本実施例では、曲のデータを、一度、テンポラリバッファに記録して、周波数特性を分析し、高音部や低音部を強調する必要があると判断される場合には、所定の周波数特性のフィルタ処理を施した後、HDD18に記録する。この様にすると、全ての曲が予め聴きやすい周波数特性で HDD18に記録されているため、ユーザは、曲毎にイコライザを操作する必要がなくなり、利便性が向上する。勿論、周波数特性の調整を、上述したレベル調整やダイナミックレンジ調整と組み合わせることもできる。
【0119】
また、周波数特性の調整としては、上述した高音部、低音部の強調だけでなく、高音部、低音部を減衰させ、或いは、ボーカル部分のみを強調・減衰するようにしても良く、車室の状態に応じて聴きやすい態様に調整すれば良い。また、車両の車室に合った好適な周波数特性を予めプリセットしておき、これにあわせて曲の周波数特性を調整するようにしても良い。
【0120】
この場合には、プリセットされる好適な周波数特性について、車両のタイプ(セダン、ミニバン、軽車両など)や、個々の車種毎に、HDD18やROM12に予めテーブルとして記憶させておき、ユーザが、自車両に合わせて選択するようにしても良い。また、通信機能付きのナビゲーション装置などを用いて、自分の使用する車両の車種に適合した周波数特性を、通信先のサーバからダウンロードするようにしても良い。
【0121】
また、ダイナミックレンジや周波数特性を調整するための処理部としては、図1に示されたオーディオ情報記録装置に備えられたレベル補正のための処理部をそのまま利用することが可能である。この処理部の信号処理にDSPが用いられている場合であれば、DSPの信号処理に関わるソフトウエアを変更するだけで、信号レベルの調整、ダイナミックレンジの調整、周波数特性の調整のいずれにも対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明によるオーディオ情報記録装置における基本的動作を説明する図である。
【図2】オーディオ情報記録装置に備えられた表示部に表示される音レベル設定関連メニューの例を説明する図である。
【図3】内蔵HDDに音楽を記録する場合の記録レベルを設定する処理を説明するフローチャートである。
【図4】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録するときのクリッピング発生に対する禁止又は許可を設定する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図5】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録するときのクリッピング発生に対するアラートを表示する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図6】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録する場合の本実施形態のオーディオ情報記録装置における処理動作の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録するときにおけるレベル設定の仕方の例を説明する図である。
【図8】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録しているときの電源監視の例を説明するフローチャートである。
【図9】内蔵HDDに記録されたオーディオ情報ファイルに係る記録レベルを変更する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図10】最大音楽レベルに基づいて平均音信号レベルに対する補正係数の上限を決定する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図11】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録するときに発生する音信号に対するクリッピングに対処する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図12】本発明によるオーディオ情報記録装置の変形例における動作を説明する図である。
【図13】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録することができるオーディオ情報記録装置のシステム概要をブロック構成で示した図である。
【符号の説明】
【0123】
1 A/D変換部
2 ディジタル・インタフェース・レシーバ
3 ディジタル・シグナル処理部
4 D/A変換部
5 音量制御部
6 パワーアンプ部
11 オーディオ制御部
12 ROM
13 RAM
14 圧縮エンコーダ/デコーダ部
15 表示制御部
16 表示部
17 HDD制御部
18 ハードディスクドライブ(HDD)
19 バス
FSP1、FSP2 フロントスピーカ
RSP1、FSP2 リアスピーカ
R リッピング部
B テンポラリバッファ部
K 補正部
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ情報記録装置に関し、特に、ハードディスクなどの記録媒体を内蔵し、音楽などのオーディオ情報を、該記録媒体に記録することができ、記録されたオーディオ情報から所望のものを随時選択して読み出し、オーディオ再生処理に供給することができるオーディオ情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、装置に内蔵された記録媒体に、オーディオ情報ファイルとして、例えば、多数の楽曲の音楽データを記録しておき、その音楽データの検索を容易に行えるようにした記録再生装置が広く使用されている。
【0003】
従来でも、多数のコンパクト・ディスク(CD)を収納し、CDの自動再生を行えるようにした、所謂、CDチェンジャが実用化されている。このCDチェンジャでは、数10枚乃至数100枚のCDを一つの筐体に収納し、所定の操作により選択されたCDの再生を自動的に行う。CDの再生は、CD毎に行うこともできるし、複数枚のCDを選択して、CD単位、あるいは収録されている曲単位でランダム再生を行うようにもできる。このCDチェンジャは、主に固定的に、すなわち室内に設置されて使用されることが多い。
【0004】
このCDチェンジャにおいては、自動再生の際にも、CDの交換時間が発生してしまうため、連続再生を実現するのが困難であった。また、100枚や200枚のCDを収納するようなCDチェンジャは、筐体が大きく、且つ重くなってしまい、持ち運びや設置に非常に不便であった。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、比較的小型で記録容量が大きいハードディスクドライブ(HDD)などの記録媒体を用いたオーディオ情報記録装置が提案された。この提案されているオーディオ情報記録装置のシステム構成の例を、図13に示した。同図のシステム構成は、オーディオ情報記録装置が自動車の車室内に搭載されるステレオ再生システムに組み込まれた場合である。
【0006】
図13に示されたステレオ再生システムは、オーディオ情報ソースからリッピングされたオーディオ情報に基づいて、自動車の車室内に設置された4個のスピーカを音響駆動するように構成されている。例えば、4個のスピーカのうち、スピーカFSP1とFSP2が、左右のフロントドアの下部に夫々取り付けられ、さらに、スピーカRSP1とRSP2が、後部座席の背部の左右に夫々設置される。これらの4個のスピーカを駆動するステレオ再生システムは、A/D変換部1、ディジタル・インタフェース・レシーバ(DIR)2、ディジタル・シグナル処理部(DSP)3、D/A変換部4、音量制御部5、そして、パワーアンプ部6を備えている。
【0007】
一般に、自動車に搭載されるステレオ再生システムには、アナログカセットデッキ、CDプレーヤ、MDプレーヤ、衛星テレビ放送受信チューナ、FM/AM放送受信チューナなど、種々のオーディオ情報ソースを多数接続可能となっている。そして、ユーザが所望のオーディオ情報ソースを選択すると、所望のオーディオ情報ソースから入力したオーディオ信号が選択され、例えば、音場制御用のDSP3で処理可能な所定のディジタルオーディオ信号の形式に変換されて、当該DSP3に入力されるようになっている。
【0008】
アナログカセットデッキ、衛星テレビ放送受信チューナ、FM/AM放送受信チューナのいずれかが選択された場合には、それから取り込まれたオーディオ信号が、A/D変換部1でディジタル信号に変換されてDSP3に入力される。また、CDプレーヤ又はMDプレーヤが選択された場合には、それからリッピングされたオーディオ信号は、DIR2を介してDSP3に入力される。
【0009】
そして、DSP3において、例えば、音場処理されたディジタルオーディオ信号は、フロントスピーカFSP1とFSP2、リアスピーカRSP1とRSP2などを音響駆動するために、D/A変換部4において、チャンネル別にDA変換されて、音量制御部5を経てパワーアンプ部6に入力される。音量制御部5は、4個のスピーカから放音される音のレベルについて、ユーザが設定した所望音レベルに制御する。
【0010】
一方、オーディオ再生システムに組み込まれるオーディオ情報記録装置は、一般的に、オーディオ制御部11、ROM12、RAM13、圧縮エンコーダ/デコーダ部14、表示制御部15、表示部16、HDD制御部17、そして、ハードディスクドライブ(HDD)18を備え、これらは、バス19に接続されて、データを伝送し、互いに通信することができる。
【0011】
CPUを有しているオーディオ制御部11は、ROM12に格納されているプログラムに従って、RAM13を該プログラムの動作領域メモリとして使用しながら、オーディオ情報記録装置全体を制御する。表示制御部15は、表示ドライバを備えており、オーディオ制御部11の指示に従って、液晶ディスプレイなどによる表示部16を表示駆動する。表示部16には、オーディオ関連情報や、記録操作情報などが表示される。
【0012】
HDD制御部17は、HDD・I/Fドライバ、HDDマイコンを備えており、オーディオ情報ファイルについて、HDD18への記録、HDD18からの読み出しを制御する。圧縮エンコーダ/デコーダ部14は、HDD制御部17の指示に従って、オーディオ情報のHDD18への記録時には、オーディオ情報ファイルを圧縮処理し、また、オーディオ情報のHDD18への記録時には、オーディオ情報ファイルを圧縮エンコードコード処理し、また、オーディオ情報ファイルをHDD18から読み出す時には、オーディオ情報ファイルを圧縮デコード処理する。
【0013】
以上のような構成のオーディオ情報記録装置では、例えば、CDに記録されているオーディオ情報ファイルを取り出し、取り出されたオーディオ情報ファイルを所定の方法で圧縮符号化し、HDD18に記録し、蓄積する。6GB程度の記録容量を有するHDDを用いることにより、1000曲程度の音楽データを記録することができる。オーディオ情報記録装置では、上述のCDチェンジャのように、CDを交換する手間が要らないので、連続再生が容易であり、1台のHDDに多数のオーディオ情報ファイルを記録することができるため、筐体を小型化することが出来るという利点がある。
【0014】
ところで、この様なオーディオ情報記録装置においては、オーディオ情報ソース、例えば、複数のCDから再生されたオーディオ情報ファイルがHDD18に記録されるが、各CDの音楽データ再生時の音量レベルは、個々のCDの編集条件等が必ずしも同じでないため、CD毎に異なっている。従来のオーディオ情報記録装置では、CDなどが入力手段に挿入されると同時に、CDなどに記録されているオーディオ情報ファイルがリッピングされ、HDDに記録される仕様になっている。従って、オーディオ情報記録装置内に記録された複数枚のCDのオーディオ情報ファイルは、それらの音量レベルが互いに異なる。音量レベルは、通常、時々刻々変化する音楽の音信号のレベルであるが、ここでは、音量レベルとは、オーディオ情報ファイルに係る音信号の所定時間内における平均値を指している。
【0015】
そこで、音量レベルが互いに異なる複数のCDから所望の複数の曲をランダムに選択して再生すると、再生時の音量レベルが曲により異なるので、音量が大きくなったり、小さくなったりする。このため、ユーザは、所望の音量を保つために、音量制御部5のボリュームコントロールを頻繁に行わなければならないという煩わしさがあった。また、HDD18に記録されている複数のCDからコピーした曲を指定し、MD等の他のメディアに記録して、オリジナルアルバムを作成した場合に、作成されたメディアを再生すると楽曲毎に音量レベルが異なってしまう。
【0016】
そのため、それぞれ異なる音量レベルで記録された複数の楽曲を、オーディオ情報記録装置内のHDDに記録し、再生するとき、常に、一定の音量レベルで再生されるようにしたオーディオ情報記録装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0017】
この提案されたオーディオ情報記録装置では、異なる音量レベルで記録されたオーディオ情報ソースの複数を装置内に記録して再生すると、再生音が楽曲によって大きかったり小さかったりしてユーザに不快感を与えるといった課題を解決するものとして、オーディオ情報の入力手段から入力される信号の音量レベルを検出するレベル検出手段を設け、入力されたオーディオ情報ファイルをHDDに記録する際に、付加情報として音量レベル情報を記録しておき、再生時に、記録された音量レベル情報を用いて当該オーディオ情報に係る再生音のレベルを制御するようにしている。
【0018】
【特許文献1】特開2003−162883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
この提案されたオーディオ情報記録装置では、CDからリッピングされたオーディオ情報ファイルをHDDに記録するときには、TOC情報から楽曲の終点を検知するまで、指定された楽曲のCDから、再生とHDDへの記録を繰り返す。楽曲の終点を検知すると、CDの再生動作を停止させ、HDDに記録した楽曲のファイル情報をHDDに登録する。CDの再生システムから出力され、HDDに記録中の再生データは、レベル検出回路にも入力され、再生データの音量レベルが検出される。
【0020】
レベル検出回路で検出された音量レベルのデータは、楽曲毎に所定時間中の平均値が算出され、音量レベル情報として読み込まれ、指定された楽曲のHDDへの記録が完了すると、当該音量レベル情報は、その音量レベル情報を記録された楽曲の付加情報としてHDDに記録される。
【0021】
次に、HDDに記録された楽曲の再生する場合には、ユーザにより所望の楽曲が指定されると、HDDに記録されているオーディオ情報ファイルの音楽データが読み出され、当該音楽データが圧縮エンコード処理されている場合には、圧縮デコード処理されてレベル変換回路に入力される。レベル変換回路は、HDDに付加情報として記録された当該楽曲に係る音量レベル情報に基づいた乗算係数と、HDDから読み出された音楽データの音量レベルとの乗算を行う。この乗算によって音量レベルが変換された音楽データがD/A変換部に出力される。
【0022】
この様にして、この提案されたオーディオ情報記録装置では、HDDに記録した音楽データ毎に、音量レベル情報を付加情報として記録しておき、当該音楽データを再生するときに、この付加情報を使用して、読み出された音楽データの音量レベルを一定になるように補正するようにしている。これにより、記録された楽曲の音量レベルがそれぞれ異なっていても、ユーザに快適なオーディオ再生が実現される。
【0023】
この提案されたオーディオ情報記録装置においては、異なる音量レベルで記録された複数のCDの音楽データをHDDにコピーして、コピーされた楽曲をランダムに選択して再生した場合であっても同じ音量レベルでの再生が可能になるので、ユーザは、この音量レベルの違いに応じた音量調整をしなければならないという煩わしさが無くなる。
【0024】
しかしながら、このオーディオ情報記録装置は、内蔵しているHDDに記録された楽曲データの再生時における音量レベルを調整することを可能にしているが、オーディオ情報ファイルに対して必ず付加情報として音量レベル情報を記録する必要があり、この音量レベル情報が存在しないと、オーディオ情報ファイルの音楽データの再生時に音量レベルを一定に補正できないため、この補正する機能を備えたオーディオ再生システムでなければ、音量調整の煩わしさから解放されないという問題がある。
【0025】
そこで、本発明は、互いに異なる録音レベルで記録された複数のCDなどからリッピングした楽曲に対して、音量レベルが所定のレベルに補正された楽曲をHDDに記録するようにして、録音レベルの大きい楽曲の後で、録音レベルの小さい楽曲を再生するとき、或いは、録音レベルの小さい楽曲の後で、録音レベルの大きい楽曲を再生するとき、ユーザが、その都度、音量を調整するという煩わしさを解消し、ステレオ再生システム側に音量レベルを一定化する特別の機能を備える必要をなくしたオーディオ情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
以上の課題を解決するため、本発明では、取り込まれたオーディオ情報を記録媒体に記録するオーディオ情報記録装置において、取り込まれた前記オーディオ情報を一時的に格納するテンポラリバッファ部と、前記テンポラリバッファ部から読み出した前記オーディオ情報に含まれる音信号の平均音信号レベルを補正し、該補正された前記音信号を含む当該オーディオ情報を前記記録媒体に記録する記録部とを備えた。
【0027】
そして、取り込まれた前記オーディオ情報は、オーディオ情報ファイル毎に前記テンポラリバッファ部に格納されるものとした。
【0028】
前記記憶部は、補正部を有し、該補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納された前記オーディオ情報ファイル毎に平均音信号レベルを検出し、該平均音信号レベルに基づいて前記補正を実行することとした。
【0029】
さらに、前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、検出された前記平均音信号レベルを、任意に設定された基準音信号レベルに一致させる補正を実行することとした。
【0030】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、検出された前記平均音信号レベルを、設定された標準の基準音信号レベルに一致させる補正を実行することとした。
【0031】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に最初に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルから検出された平均音信号レベルを基準音信号レベルとし、前記テンポラリバッファ部に以後に格納されたオーディオ情報ファイルの音信号データに対して、該オーディオ情報ファイルの各平均音信号レベルを前記基準音信号レベルに一致させる補正を実行することとした。
【0032】
前記補正部は、当該オーディオ情報ファイルに係る前記平均音信号レベルと前記基準音信号レベルに基づいて補正係数を求め、当該オーディオ情報に含まれる音信号に該補正係数を乗算して音信号レベルの補正を実行することとした。
【0033】
前記記憶部は、前記補正係数を当該オーディオ情報ファイルに関連付けたテーブルで記憶し、管理するようにし、或いは、前記補正係数を当該オーディオ情報ファイルとともに前記記憶媒体に記憶するようにした。
【0034】
前記補正部は、前記記録媒体に記録された前記オーディオ情報ファイルに含まれる音信号の平均音信号レベルを、ユーザが指定した基準音信号レベルに補正することができ、前記記録媒体に複数のオーディオ情報ファイルが記録されている場合、該各オーディオ情報ファイルの平均音信号レベルを一括して補正することができることとした。
【0035】
前記補正部は、ユーザによる禁止又は許可の設定に応じて前記オーディオ情報ファイルに対する前記補正を実行することとした。
【0036】
前記補正部は、前記基準音信号レベルが、前記テンポラリバッファ部に格納された前記オーディオ情報ファイルに係る前記平均音信号レベルのうちの最大音信号レベルを超える場合に、該最大音信号レベルに基づいて、当該オーディオ情報ファイルに含まれる音信号データに対する前記補正係数を求めることとした。
【0037】
前記記録部は、前記補正部が前記テンポラリバッファ部から読み出された当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して前記補正を実行したときに、該音信号の記録時にクリッピングが発生する場合に、該オーディオ情報ファイルの前記記録媒体への記録に関するクリッピング報知情報を出力することとした。
【0038】
前記記録部は、ユーザの出力可否の設定に従って、前記クリッピング報知情報を出力するようにした。
【0039】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の許可が選択された場合、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させることとし、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、ユーザが設定した基準音信号レベルに従って、前記補正部に当該オーディオ情報の音信号に対する前記補正を実行させることとした。
【0040】
前記記録部は、ユーザが前記基準音信号レベルを設定した場合、前記記録媒体に記録された前記オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、前記補正部に前記基準音信号レベルに従った前記補正を実行させることとした。
【0041】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させないようにし、或いは、前記オーディオ情報の前記記録媒体への記録を停止することとした。
【0042】
前記記録部は、前記補正部が前記オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行し、前記記録媒体に前記オーディオ情報を記録している間、電源が切断されないように監視し、警告情報を出力することとした。
【0043】
また、本発明のオーディオ情報記録装置では、前記記録媒体を、書込み及び読出しが自在な記憶手段とし、前記テンポラリバッファ部が、前記記録媒体の一部であることとし、前記記録部は、補正された前記音信号を含む前記オーディオ情報を前記記録媒体に記録した後、前記テンポラリバッファ部に一時的に格納された前記オーディオ情報を消去するようにした。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明では、取り込まれたオーディオ情報を記録媒体に記録するオーディオ情報記録装置において、取り込まれた前記オーディオ情報を一時的にテンポラリバッファ部に格納し、該テンポラリバッファ部から読み出したオーディオ情報に含まれる音信号の平均音信号レベルを補正し、該補正された前記音信号を含む当該オーディオ情報を前記記録媒体に記録するようにしたので、記録媒体に記録したオーディオ情報を再生するときに読み出されたオーディオ情報の出力レベルのバラツキが無くなり、どのオーディオ情報を選択してもその出力の平均音信号レベルは所定レベルに揃えられている。
【0045】
また、MDなどの他の記録媒体にコピーする機能を持つオーディオ再生システムであれば、本発明のオーディオ情報記録装置が組み込まれると、平均音信号レベルが揃った記録媒体を作成することができ、ユーザの利便性を向上することができる。さらに、テンポラリバッファ部を記録媒体中に一時的に割り当てることにより、大容量のバッファメモリを別途設け無くて済み、コスト低減を図ることができる。
【0046】
また、本発明のオーディオ情報記録装置によれば、互いに異なる録音レベルで記録された種々の記録媒体から取り込まれたオーディオ情報を、内蔵された記録媒体に録音レベルをユーザの希望する所定レベルに自動補正しながら記録することができ、或いは、ユーザによって希望する所定レベルが設定されていなくとも、予め設定された所定レベルに自動補正される。
【0047】
さらに、本発明のオーディオ情報記録装置によれば、オーディオ情報に含まれる音信号の平均音信号レベルを補正する際に、該オーディオ情報に含まれる楽曲の最大音信号レベルを加味するようにしたので、記録媒体に記録されるオーディオ情報の音信号にクリッピングが起こることを抑制できる。
【0048】
そして、取り込まれオーディオ情報を内蔵記録媒体に記録する際に、記録媒体内蔵記録媒体に記録されるオーディオ情報の音信号にクリッピングが起こるときには、クリッピング発生のアラート表示がなされるので、ユーザは、記録されるオーディオ情報にクリッピングが発生したことを知ることができ、クリッピングが発生した状態で、或いは、クリッピングが発生しない状態で記録することを選択することができ、ユーザの利便性が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
次に、本発明によるオーディオ情報記録装置の実施形態について、図を参照しながら説明する。図1には、本発明によるオーディオ情報記録装置における基本的概念を表したシステム構成図が示されている。
【0050】
図1に示されたオーディオ情報記録装置の基本的概念構成は、図13に示されたオーディオ情報記録装置のシステム構成に基づいているが、図1の基本的概念構成が図13のシステム構成と異なるところは、テンポラリバッファ部Bと補正部Kを備えていることである。リッピング部Rは、図13に示されるように、アナログ入力信号が入力されるA/D変換部1と、ディジタル入力信号が入力されるDIR2とに対応している。
【0051】
図1では、基本的概念のみを示しているので、HDD18に、オーディオ情報、例えば、CDなどからリッピングされたオーディオ情報ファイルの音信号である音楽データを記録し、或いは、HDD18から該音楽データを読み出すシステム構成の詳細についての図示が省略されている。なお、以下の実施形態では、オーディオ情報記録装置に内蔵される記録媒体として、HDDを使用した場合で説明されるが、その記録媒体としては、HDDに限られず、例えば、メモリカードなど、他のタイプの記録媒体を使用できる。
【0052】
図13のオーディオ情報記録装置では、リッピング部RでCDから取り込まれたオーディオ情報ファイルの音信号である音楽データは、HDD制御部17を介して、直接に内蔵されたHDD18に記録される。この様子は、図1においては、破線の矢印で示されている。この記録の仕方では、HDD18に音楽データの録音レベルは、リッピング部Rで取り込まれたままである。
【0053】
そこで、本発明のオーディオ情報記録装置の実施形態では、リッピング部RでCDから取り込まれた音楽データをHDD18に記録する前に、当該音楽データの録音レベルを所定レベルに補正し、その録音レベルが補正された音楽データをHDD18に記録するようにした。
【0054】
この補正を実現するため、図1に示されるように、リッピング部RでCDから取り込まれた複数の楽曲に係る音楽データが、一旦、テンポラリバッファ部Bに格納される。次いで、楽曲単位で、該音楽データの音信号レベルに関する平均音信号レベルが求められる。補正部Kにおいて、この平均音信号レベルが所定レベルに一致するように、音楽データに対して補正係数を乗算し、平均音信号レベルを補正される。平均音信号レベルが補正された各音楽データが、HDD18に記録される。
【0055】
この補正により、HDD18に記録される楽曲データは、いずれも所定レベルに揃えられた状態で記録される。例えば、CD間で録音デベルが異なることにより、互いに異なる録音レベルの音楽データがリッピング部Rで取り込まれても、HDD18には、所定レベルに統一された平均音信号レベルを有する音楽データが記録される。
【0056】
そして、HDD18に記録された音楽データを選択して読み出した場合、どの音楽データの記録レベルも同じである。そのため、音楽データがオーディオ再生システムに供給されて楽曲が再生される際に、録音レベルの大きい楽曲の後で、録音レベルの小さい楽曲を再生するとき、或いは、録音レベルの小さい楽曲の後で、録音レベルの大きい楽曲を再生するとき、ユーザが、その都度、音量を調整するという煩わしさが解消される。
【0057】
なお、図1に示されたオーディオ情報記録装置では、リッピング部Rで取り込んだ各楽曲データは、一時的にテンポラリバッファ部Bに格納されるとしたが、このテンポラリバッファ部Bは、図13に示されたRAM13を利用することもでき、或いは、バス19に接続された別のバッファメモリとすることもできる。また、上述の補正処理については、オーディオ制御部11がROM12に記憶された補正処理プログラムに従って実行するものとする。
【0058】
次に、上述した本実施形態において実行される補正処理と、記録レベルが補正された楽曲データのHDDへの記録における補正処理の説明をする前に、本実施形態によるオーディオ情報記録装置における補正処理に関わる入力設定について説明する。本実施形態では、装置に接続されている表示部16のディスプレイがタッチパネルで構成され、表示画面上でユーザ設定入力の操作ができるようになっている。そのユーザ設定画面の例が、図2に示されている。図2に示された例では、表示部16の表示画面に、補正処理に係る設定入力画面が表示され、「レベル自動補正」、「ユーザレベル補正」、「HDD録音レベル」、「クリッピング」及び「クリッピング・アラート表示」の各機能を設定するための入力設定用アイコンが並んでいる。
【0059】
「レベル自動補正」の機能設定欄には、「ON」と「OFF」のボタンが備えられ、ユーザがHDD18に楽曲データを記録するとき、レベル自動補正のオン・オフの選択ができるようになっている。「OFF」ボタンが押されると、レベル自動補正が解除される。ユーザが、録音レベルのままでHDD18に記録することを希望する場合に、レベル自動補正をオフに設定にする。例えば、意図的に0dBから−6dBまで1dBステップの正弦波テスト信号をHDD18に記録する場合、レベル自動補正オフ機能が無いと、全て同レベルの信号に補正されてしまうため、ユーザが期待したとおりに記録することができないことになる。これを回避するためには、レベル自動補正オフ機能が必要となる。
【0060】
「ユーザレベル設定」は、HDD18に記録される楽曲の記録レベルが、装置に初期設定されている標準の所定レベルに補正される他に、ユーザが所望する所定レベルに補正されることを選択する機能である。「ON」ボタンが押されると、「HDD記録レベル」の入力欄で、ユーザが、所望する所定レベルの値を選択入力することができ、HDD18に記録される音楽データの録音レベルが、設定された該所定レベルに補正される。「NO」ボタンが押されると、レベル補正は、装置に初期設定され、例えば、製造者推奨の標準の所定レベルに設定される。
【0061】
図3には、ユーザレベル設定に関するオーディオ制御部11の処理フローが示されている。「ユーザレベル設定」の「ON」ボタンが押されると、「HDD記録レベル」の入力欄を有効にして、ユーザが記録レベル値を入力することができる(ステップS1)。
【0062】
また、「クリッピング」は、HDD18に記録される音楽データの記録レベルが、所定レベルに補正された結果、そのレベルによっては、音楽データの音信号がクリッピングされることがあり得る。このクリッピングは、音楽として歪を与えることになるので、敢えて、レベル補正を希望しないで、リッピングされた状態の音信号レベルでHDD18に記録することもできる。この場合には、「禁止」ボタンを押し、クリッピングしないようにレベル補正を行う。「許可」ボタンを押した場合には、クリッピングが発生する可能性を承知の上で、レベル補正の実行を優先する。
【0063】
図4には、クリッピングの禁止又は許可設定に関するオーディオ制御部11の処理フローが示されている。「クリッピング」の「許可」ボタンが押されると、クリッピングの発生に関係無く、設定された所定レベルに基づいたレベル補正の実行が設定され、「禁止」ボタンが押されると、クリッピングが発生しない状態でレベル補正を実行する設定となる(ステップS2)。
【0064】
「クリッピング・アラート表示」は、「クリッピング」の「許可」ボタンが押されている場合であって、リッピングされた楽曲データにレベル補正が行われた結果、クリッピングが発生したことを、ユーザに報知することを選択設定できる。「ON」ボタンが押されると、表示部16の画面に、例えば、『このTRACKには8箇所のクリッピングポイントが存在します。HDD記録レベルの見直し等を検討して下さい。』というクリッピング・アラート表示がなされる。特に、クリッピングが発生しても、気にしない場合には、「OFF」ボタンを押して、アラート表示をさせないように設定することができる。
【0065】
図5には、クリッピング・アラート表示のオン・オフ設定に関するオーディオ制御部11の処理フローが示されている。「クリッピング・アラート表示」の「ON」ボタンが押されると、クリッピングが発生したときアラート表示されるように設定し、「OFF」ボタンが押されると、クリッピングが発生しても、アラート表示をしないように設定する(ステップS3)。
【0066】
以上のように、本実施形態のオーディオ情報記録装置には、図2に示されるように、表示部16の表示画面を利用して、レベル補正に関連するユーザ設定を行う機能が用意されており、ユーザの利便性を配慮している。
【0067】
次に、図6に示されたフローチャートに従って、内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録する場合の本実施形態のオーディオ情報記録装置における処理動作を説明する。先ず、CDに録音されている楽曲の音楽データをHDD18に記録するため、オーディオ再生システムの入力手段に、一枚のCDが挿入されると、リッピング部Bによって、該CDに録音されている音楽データがリッピングされる(ステップS11)。
【0068】
次いで、一曲分の音楽データがリッピング完了する毎に、オーディオ制御部11の補正部Kは、この一曲分の音楽データについての平均音信号レベルを算出する(ステップS12)。そして、オーディオ制御部11は、この平均音信号が算出された音楽データをテンポラリバッファ部Bに格納する(ステップS13)。
【0069】
ここで、図3に示されたユーザ設定画面で、「レベル自動補正」機能の設定状態が判断される(ステップS14)。「ON」設定されている場合には(ステップS14のON)、「ユーザレベル設定」機能の設定状態が判断される(ステップS15)。
【0070】
このとき、ユーザレベル設定の「ON」ボタンが押され、ユーザの希望する所定レベルが設定されている場合には(ステップS15のYES)、ユーザが設定した所定レベルで音楽データをHDD18に記録できるように、補正部Kにおいて、ステップS12で算出した平均音信号レベルと所定レベルとに基づいて、補正係数kが算出される(ステップS16)。
【0071】
また、ステップS15において、ユーザレベル設定の「OFF」ボタンが押され、ユーザが所定レベルで記録することを希望していない場合には(ステップS15のNO)、装置に初期設定された製造者推奨の標準レベルで補正するかどうかが判断される(ステップS17)。
【0072】
この標準レベルで補正することが設定されている場合には(ステップS17のYES)、製造者推奨の標準レベルで音楽データをHDD18に記録できるように、補正部Kにおいて、ステップS12で算出した平均音信号レベルと所定レベルとに基づいて、補正係数kが算出される(ステップS18)。
【0073】
一方、ステップS17において、標準レベルで補正することが設定されていない場合には(ステップS17のNO)、音楽データをHDD18に記録するときのレベル補正に係る基準が無いことになるので、HDD18に記録される音楽データの記録レベルを揃えるために、最初にリッピングした音楽データの録音レベル、即ち、ステップ12において算出された該音楽データの平均音信号レベルを基準とする。そこで、補正部Kにおいて、ステップS12で算出した最初にリッピングされた音楽データの平均音信号レベルに基づいて、補正係数kが算出される(ステップS19)。
【0074】
ここで、最初にリッピングした音楽データの平均音信号レベルを基準にして、レベル補正する場合の例を、図7に示した。リッピングされた楽曲がHDD格納番号で表されており、図7の例では、5曲がリッピングされている。補正前平均レベルは、ステップ12において算出された各楽曲の音楽データの平均音信号レベルを示し、補正後平均レベルは、レベル補正されてHDDに記録されるときの各楽曲の記録レベルを示している。補正前平均レベルの欄に、リッピングされた各楽曲に対する録音レベルが互いに異なっている様子が示されている。
【0075】
この例では、No.1の楽曲がリッピング部Rによって最初にリッピングされたことを示しており、No.1の楽曲の平均音信号レベルが、−3dBと算出されている。この平均音信号レベルを、これ以降にリッピングされたNo.2〜No.5の各楽曲のオン学データに対するレベル補正の基準とする。図7の表中では、この基準となる平均音信号レベルが太線枠で示されている。
【0076】
各楽曲に対するレベル補正の仕方は、次のようである。No.1の楽曲は、レベル補正の基準レベル−3dBに設定されているので、補正後平均レベルは、−3dBのままである。次のNo.2の楽曲については、録音レベルが−2dBであるので、記録レベルについては、−1dBだけ下げて−3dBに補正される。No.3の楽曲以降についても、同様の補正処理が施されて、どの楽曲の記録レベルも、補正後平均レベルのように、−3dBに揃えられる。
【0077】
この様にして、リッピングされた全ての楽曲の音楽データが、最初にリッピングされた楽曲の音楽データの平均音信号レベルに基づいてレベル補正され、所定レベルである−3dBに揃えられた状態でHDD18に記録される。
【0078】
次いで、ステップS16、ステップS18及びステップS19において、HDD18に楽曲データを記録するときのレベル補正が行われる場合の全てのケースについての補正係数kが算出されたので、補正部Kは、リッピングされた音楽データに補正係数kを乗算して、HDD18に記録するための楽曲の記録データを作成する(ステップS20)。そして、HDD制御部17は、その記録データをHDD18に格納する(ステップS21)。
【0079】
これで、レベル補正が設定されている場合のオーディオ情報記録装置における音楽データの記録処理は、終了する。リッピング部Rでリッピングされた全ての楽曲の音楽データの録音レベルが補正され、各楽曲の記録レベルが所定レベルで揃えられた状態で、HDD18に記録が完了する。
【0080】
一方、ステップS14において、「レベル自動補正」機能に関して、「OFF」ボタンが押され、リッピングされた音楽データに対して、レベル補正を行わないことに設定されている場合には(ステップS14のOFF)、リッピング部Rでリッピングされた全ての楽曲の音楽データについて、補正処理を施すこと無く、図1に示された破線の矢印のように、音楽データは、直接に、HDD18に記録される。
【0081】
ところで、本実施形態のオーディオ情報記録装置では、一曲の音楽データのリッピングが完了した時点で当該音楽データの平均音信号レベルが算出され、各楽曲の平均音信号レベルについてレベル補正するようにしているので、HDDへの楽曲データを記録している途中において、ユーザが誤ってオーディオ情報記録装置の電源を切ってしまうと、音楽データ記録処理が中断され、リッピングされた音楽データが失われたり、不完全な形で以上データが残ってしまうことになる。
【0082】
そこで、ユーザが記録処理の途中で電源を切ることを防止するため、装置が記録処理を実行している間中に、アラート表示を行う。例えば、表示部16の表示画面に、『リッピングデータ 補正中! 電源をOFFしないで下さい。』のようなメッセージによるアラート表示をすることができる。
【0083】
図8に、そのアラート表示に係るオーディオ制御部における処理のフローチャートが示されている。オーディオ制御部11は、リッピングされた音楽データをHDDに記録していることを認識し、HDD記録データの作成中であるかどうかの判断を行う(ステップS31)。
【0084】
このとき、HDD記録データが作成されていない場合には(ステップ31のNO)、装置の電源が切られても問題ないので、アラート表示をせずに終了するが、HDD記録データが作成されている場合には(ステップ31のYES)、アラート表示による警告を行う(ステップS32)。この警告手段としては、前述したような警告メッセージを表示部16の表示画面に表示する。
【0085】
そして、アラート表示をしてからタイマ処理が実行され(ステップS33)、一定時間の経過毎にステップS31に戻って、HDD記録データの作成中であるかどうかの監視を続ける。HDD記録データの作成が完了するまで、アラート表示が維持される。このアラート表示がなされることによって、ユーザが誤って装置の電源を切ることを防止することができる。
【0086】
以上においては、図6に示されたオーディオ情報記録装置の動作に係るフローチャートに従い、CDなどからリッピングされた楽曲データをHDDに記録する場合の処理が説明された。次に、オーディオ情報記録装置に内蔵されたHDDに既に記録された音楽データについて、各楽曲の音楽データの記録レベルを変更することが必要になる場合がある。
【0087】
この既に記録された楽曲の記録データに対して一括して記録レベルを変更するため、例えば、表示部16の表示画面に、記録レベル一括変更補正メニューを表示し、「レベル再補正」機能のアイコンを設ける。「ON」ボタンと「OFF」ボタンとで、HDDに記録された音楽データのレベル再補正の可否を選択する。「ON」ボタンが押された場合に備えて、HDDに記録された楽曲の格納番号を選択指定できる入力欄を設けるか、或いは、全選択のボタンを備えておくと便利である。
【0088】
この様な「レベル再補正」機能において、ユーザが「ON」ボタンを押し、レベル再補正を実行する楽曲が選択指定すると、オーディオ制御部11は、HDD18に既に記録された音楽データの記録レベルを変更又は再補正の処理を実行する。図6に示された処理においては、テンポラリバッファ部Bに格納されるのは、リッピング部RでCDなどから取り込まれた音楽データであったが、記録レベルの変更又は再補正の処理の場合には、HDD18に記録された音楽データが、テンポラリバッファ部Bに格納される。そして、このテンポラリバッファ部Bに格納された音楽データの記録レベルが、補正部Kによって所定レベルに変更又は再補正される。
【0089】
図9に、HDDに既に記録された楽曲の記録データの記録レベルを変更又は再補正のレベル補正に係る処理のフローチャートが示されている。先ず、ユーザによって、記録された楽曲の記録レベルを変更するレベル補正機能が選択されると、オーディオ制御部11は、HDD18に記録された楽曲の記録データ数を確認する(ステップS41)。
【0090】
このとき、補正処理の必要数がいくつであるかが判断され(ステップS42)、その必要数が0でない場合には(ステップS42のNO)、記録データに対するレベル補正が必要であるので、当該記録データの平均音信号レベルを検出する(ステップS43)。
【0091】
ここで、HDD18に楽曲の記録データが記録されるとき、当該記録データの記録レベルの再補正について許可又は禁止が設定されるようになっている。そこで、当該記録データに対して、記録レベルのレベル再補正の可否が指定されているどうかが判断される(ステップS44)。
【0092】
記録レベルのレベル再補正が許可されている場合には(ステップS44のYES)、補正部Kは、ユーザが設定した所定レベルに基づいて再補正係数k1を算出する(ステップS45)。そして、その再補正係数k1を記録データに乗算することにより、レベル再補正されたHDD記録データを作成する(ステップS46)。このとき、表示部16の表示画面上に、『本当に変更しますか?』の確認メッセージを表示し、「YES」又は「NO」のボタンでユーザに確認を求めるようにすると、不所望なレベル変更を排除できる。
【0093】
「YES」ボタンが押された場合には、このレベル再補正された記録データをHDD18に記録する(ステップS47)。次いで、補正処理の必要数をデクリメントした後に(ステップS48)、ステップS42に戻って、残りの記録データに対するレベル再補正の処理が実行される。
【0094】
一方、ステップS44において、当該記録データに対して、レベル再補正の禁止が設定されている場合には(ステップS44のNO)、再補正係数を算出することなく、HDD18に当該記録データを移動させる(ステップS49)。その後、ステップS48に進み、補正処理の必要数をデクリメントして、さらに、ステップS42に戻って、残りの記録データに対するレベル再補正の処理が実行される。
【0095】
以上のようにして、ステップS41において確認した必要数分についてのレベル再補正処理が実行され、HDD18に記録された楽曲の記録データは、ユーザが設定した所定レベルに変更されて再記録されたことになる。
【0096】
なお、レベル再補正の禁止又は許可を判断する付加情報は、HDD18に記録されている全楽曲の音楽データのそれぞれに、属性情報として付与されるようにしても良い。或いは、この付加情報を、HDD18内に別テーブル形式で格納するようにし、HDD記録データと関連付けることでデータベース化して、一元管理を行うようにしても良い。
【0097】
これまでに説明したレベル補正処理においては、音楽データの平均音信号レベルを、所定レベルに基づいてレベル補正するようにした。このレベル補正の際に、所定レベルの大きさによっては、音楽データの平均音信号レベルを補正し過ぎることがある。例えば、所定レベルを0dBに設定して録音レベルの補正を実行する場合、算出された平均音信号レベルが、−4dBであったとすると、当該音楽データに対して、4dBアップのレベル補正が行われる。この様な場合、当該楽曲データにとっては、アップし過ぎになる可能性がある。
【0098】
このレベル補正におけるアップし過ぎを防止するために、今回にレベル補正を実行しようとしている複数の楽曲の音楽データのうちで、平均音信号レベルが最も高いものを抽出して、最大レベル値を求める。そこで、標準設定され、或いは、ユーザ設定された所定レベルがこの最大レベル値を超えている場合には、この最大レベル値を基準にして、レベル補正を実行するようにする。この最大レベル値が、−2dBであったとすると、平均音信号レベルが、−4dBの音楽データに対しては、2dBのアップで済み、レベル補正におけるアップし過ぎを軽減できる。
【0099】
このレベル補正におけるアップし過ぎを防止した場合のレベル補正における処理について、図10に、その処理のフローチャートが示されている。図10に示されたフローチャートの処理手順は、図6に示されたフローチャートにおけるステップS16、ステップS18及びステップS19で、補正係数を算出するときに、補正部Kの処理に組み込まれることができる。
【0100】
先ず、補正部Kは、レベル補正するために補正係数を算出するとき、楽曲の平均音信号レベルに関する最大レベル値を考慮することが設定されているかどうかを判断する(ステップS51)。このとき、最大レベル値を考慮しないと設定されている場合には(ステップS51のNO)、ユーザ設定の所定レベル、或いは、標準設定の所定レベルに従った補正係数が算出され、該補正係数が最終補正係数k1としてレベル補正が実行される(ステップS54)。
【0101】
一方、最大レベル値を考慮すると設定されている場合には(ステップS51のYES)、ユーザ設定の所定レベル、或いは、標準設定の所定レベルを参照して、最大レベル値が上限値となるかどうかを決定する(ステップS52)。
【0102】
そして、これらの所定レベルが、最大レベル値を超えているときには、最大レベル値に基づいて最終補正係数k1を算出し、最大レベル値が所定レベルを上回っているときには、所定レベルに基づいて最終補正係数k1を算出する(ステップS53)。以降のレベル補正された音楽データの作成と、HDD18への音楽データの記録は、図6に示されたステップS20、ステップS21と同様な処理で実行される。
【0103】
ところで、図2の音レベル設定画面例に関連して説明したように、HDD18に記録される楽曲の記録レベルが、所定レベルに補正された結果、そのレベルによっては、音楽データの音信号がクリッピングされることがあり得る。そのため、レベル補正時におけるクリッピングの発生を許可するか又は禁止するかの設定が可能となっている。そこで、レベル補正によるクリッピング発生に対処する処理手順について、図16のフローチャートに示した。この処理手順は、図6のフローチャートにおけるステップS20の処理に組み込まれる。
【0104】
先ず、レベル補正時におけるクリッピング発生の許可があるかどうかが判断される(ステップS61)。図2に示された設定画面で、「クリッピング」機能の「許可」又は「禁止」ボタンにより設定され、クリッピング発生の「禁止」が設定されている場合(ステップS61のNO)、レベル補正によるクリッピングが発生しないように、所定レベルを変更してレベル補正を実行する(ステップS66)。このとき、所定レベルを下げる変更を選択した場合には、HDD18に記録されている他の楽曲の音楽データとのレベルバランスに狂いが生じる可能性があるため、全楽曲の音楽データに対するレベル変更を合せて実行するとよい。
【0105】
一方、クリッピング発生の「許可」が設定されている場合には(ステップS61のYES)、HDD18に記録する音楽データにクリッピングが発生しているかどうかが判断される(ステップS62)。このとき、記録される音楽データにクリッピングが発生している場合には(ステップS62のYES)、ユーザによって、クリッピング発生の表示がオンに設定されているかどうかが判断される(ステップS63)。
【0106】
クリッピング発生の表示がオンに設定されているときには(ステップS63のON)、クリッピング発生に対するアラート表示を行う(ステップS64)。次いで、クリッピングした状態でレベル補正したHDD記録データを作成する(ステップS65)。
【0107】
一方、ステップS62において、クリッピングが発生していない場合、或いは、ステップS63において、クリッピング発生の表示がオフに設定されている場合には、クリッピング発生のアラート表示を行わないので、ステップS65に進んで、クリッピングした状態でレベル補正したHDD記録データが作成される。
【0108】
以上のように、本実施形態のオーディオ情報記録装置では、リッピング部RでCDなどから取り込まれた複数の楽曲の音楽データが、一旦、テンポラリバッファ部に格納され、楽曲単位で、該音楽データの音信号レベルに関する平均音信号レベルが求められ、補正部において、この平均音信号レベルが所定レベルに一致するように、音信号に対して補正係数を乗算し、平均音信号レベルが補正される。そして、平均音信号レベルが補正された各楽曲の音楽データが、HDD18に記録される。
【0109】
この補正により、HDD18に記録される音楽データは、いずれも所定レベルに揃えられた状態で記録されるので、例えば、CD間で録音仕様が異なる結果、或いは、異なる種類の記録媒体間で録音レベルが異なる結果、互いに異なる録音レベルの音楽データがリッピング部で取り込まれても、HDDには、所定レベルに統一された平均音信号レベルを有する音楽データが記録される。そのため、本実施形態のオーディオ情報記録装置がステレオ再生システムと組み合わされ、HDDから読み出された音楽データが再生されるときの音量レベルは、楽曲間で同一条件となり、ユーザによる音量調整の煩雑さを改善できる。
【0110】
なお、以上に説明した本発明のオーディオ情報記録装置では、図1に示されるように、オーディオ情報が一時的に格納される場所として、テンポラリバッファ部Bが、オーディオ情報の記録媒体であるHDDとは別の格納部として備えられていた。このテンポラリバッファ部Bは、必ずしも、HDDと別に備える必要はなく、このHDDの一部を利用することもできる。
【0111】
図12に、図1に示されたオーディオ情報記録装置の変形例として、この場合のオーディオ情報記録装置の概要を示した。図1のオーディオ情報記録装置では、リッピング部Rで取り込まれたオーディオ情報は、テンポラリバッファ部Bに一時的に格納されたが、図12に示されたオーディオ情報記録装置では、リッピング部Rで取り込まれたオーディオ情報は、HDD18のテンポラリバッファとして一時的に割り当てられた場所に格納される。このときには、オーディオ情報の音楽データは、レベル調整されない状態である。
【0112】
格納されたオーディオ情報に係る平均音信号レベルの補正処理に当たっては、補正部Kが、HDD18内のテンポラリバッファから当該音楽データを読み出し、平均信号レベルが算出され、レベル調整を実行する。このレベル調整の処理には、図2乃至図11に示されたフローチャートによる手順が適用される。
【0113】
HDD18内のテンポラリバッファから読み出された音楽データに対するレベル調整処理がなされた後、レベル調整された音楽データを、HDD18内のテンポラリバッファとは別の場所に格納し、記録する。そして、補正部Kは、音楽データがHDD18に記録された後において、HDD18内のテンポラリバッファに格納されている元の音楽データを消去する。
【0114】
以上のように、記録媒体の一つであるHDD内の一部をテンポラリバッファ部として一時的に利用することにより、大容量のバッファメモリを別途設ける必要が無くなり、コストの低減を図ることができる。
【0115】
なお、以上では、音声信号のレベルを調整する場合について説明されたが、本発明の適用は、この場合に限られず、ダイナミックレンジを調整する場合にも適用できる。音信号の信号レベルが全体にわたって大きく変化しない平均的な曲と、信号レベルが部分的に大きく変わる曲とに対して、音信号の平均レベルを同じ様に調整すると、前者の曲では、問題とならないが、後者の曲では、小音部の音量が小さ過ぎて聞き取りにくくなり、大音部の音量が大き過ぎてうるさく感じるという問題が発生する。
【0116】
そのため、本実施例が音信号のダイナミックレンジを調整する場合に適用されれば、小音部と大音部のレベル差を圧縮することにより、音量の変化を平均化し、全体を聞きやすい音量に調整することができる。音信号のダイナミックレンジを調整した上で、さらに、音信号の平均レベルを調整するようにしても良い。
【0117】
また、他の変形例としては、音声信号の周波数特性を調整することもできる。車載用音響機器の場合には、車両の室内という狭いスペースで再生音声を出力するため、曲によっては、高音部や低音部が聞き取りにくい場合がある。この場合には、ユーザは、曲に毎にイコライザなどを操作して、高音部や低音部のレベルを調整する必要があり、煩わしいという問題がある。そのため、音声信号の周波数特性を調整すると、この煩わしさを解消できる。
【0118】
そこで、本実施例では、曲のデータを、一度、テンポラリバッファに記録して、周波数特性を分析し、高音部や低音部を強調する必要があると判断される場合には、所定の周波数特性のフィルタ処理を施した後、HDD18に記録する。この様にすると、全ての曲が予め聴きやすい周波数特性で HDD18に記録されているため、ユーザは、曲毎にイコライザを操作する必要がなくなり、利便性が向上する。勿論、周波数特性の調整を、上述したレベル調整やダイナミックレンジ調整と組み合わせることもできる。
【0119】
また、周波数特性の調整としては、上述した高音部、低音部の強調だけでなく、高音部、低音部を減衰させ、或いは、ボーカル部分のみを強調・減衰するようにしても良く、車室の状態に応じて聴きやすい態様に調整すれば良い。また、車両の車室に合った好適な周波数特性を予めプリセットしておき、これにあわせて曲の周波数特性を調整するようにしても良い。
【0120】
この場合には、プリセットされる好適な周波数特性について、車両のタイプ(セダン、ミニバン、軽車両など)や、個々の車種毎に、HDD18やROM12に予めテーブルとして記憶させておき、ユーザが、自車両に合わせて選択するようにしても良い。また、通信機能付きのナビゲーション装置などを用いて、自分の使用する車両の車種に適合した周波数特性を、通信先のサーバからダウンロードするようにしても良い。
【0121】
また、ダイナミックレンジや周波数特性を調整するための処理部としては、図1に示されたオーディオ情報記録装置に備えられたレベル補正のための処理部をそのまま利用することが可能である。この処理部の信号処理にDSPが用いられている場合であれば、DSPの信号処理に関わるソフトウエアを変更するだけで、信号レベルの調整、ダイナミックレンジの調整、周波数特性の調整のいずれにも対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明によるオーディオ情報記録装置における基本的動作を説明する図である。
【図2】オーディオ情報記録装置に備えられた表示部に表示される音レベル設定関連メニューの例を説明する図である。
【図3】内蔵HDDに音楽を記録する場合の記録レベルを設定する処理を説明するフローチャートである。
【図4】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録するときのクリッピング発生に対する禁止又は許可を設定する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図5】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録するときのクリッピング発生に対するアラートを表示する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図6】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録する場合の本実施形態のオーディオ情報記録装置における処理動作の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録するときにおけるレベル設定の仕方の例を説明する図である。
【図8】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録しているときの電源監視の例を説明するフローチャートである。
【図9】内蔵HDDに記録されたオーディオ情報ファイルに係る記録レベルを変更する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図10】最大音楽レベルに基づいて平均音信号レベルに対する補正係数の上限を決定する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図11】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録するときに発生する音信号に対するクリッピングに対処する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図12】本発明によるオーディオ情報記録装置の変形例における動作を説明する図である。
【図13】内蔵HDDにオーディオ情報ファイルを記録することができるオーディオ情報記録装置のシステム概要をブロック構成で示した図である。
【符号の説明】
【0123】
1 A/D変換部
2 ディジタル・インタフェース・レシーバ
3 ディジタル・シグナル処理部
4 D/A変換部
5 音量制御部
6 パワーアンプ部
11 オーディオ制御部
12 ROM
13 RAM
14 圧縮エンコーダ/デコーダ部
15 表示制御部
16 表示部
17 HDD制御部
18 ハードディスクドライブ(HDD)
19 バス
FSP1、FSP2 フロントスピーカ
RSP1、FSP2 リアスピーカ
R リッピング部
B テンポラリバッファ部
K 補正部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り込まれたオーディオ情報を記録媒体に記録するオーディオ情報記録装置において、
取り込まれた前記オーディオ情報を一時的に格納するテンポラリバッファ部と、
前記テンポラリバッファ部から読み出した前記オーディオ情報に含まれる音信号の音信号レベルを補正し、該補正された前記音信号を含む当該オーディオ情報を前記記録媒体に記録する記録部と、
を備えたことを特徴とするオーディオ情報記録装置。
【請求項2】
取り込まれた前記オーディオ情報は、オーディオ情報ファイル毎に前記テンポラリバッファ部に格納されることを特徴とする請求項1に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項3】
前記記録部は、前記テンポラリバッファ部に格納された前記オーディオ情報ファイル毎に平均音信号レベルを検出し、該平均音信号レベルに基づいて前記補正を実行する補正部を有することを特徴とする請求項2に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、検出された前記平均音信号レベルを、任意に設定された基準音信号レベルに一致させる補正を実行すること特徴とする請求項3に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項5】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、検出された前記平均音信号レベルを、設定された標準の基準音信号レベルに一致させる補正を実行すること特徴とする請求項3に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に最初に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルから検出された平均音信号レベルを基準音信号レベルとし、前記テンポラリバッファ部に以後に格納されたオーディオ情報ファイルの音信号データに対して、該オーディオ情報ファイルの各平均音信号レベルを前記基準音信号レベルに一致させる補正を実行すること特徴とする請求項3に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項7】
前記補正部は、当該オーディオ情報ファイルに係る前記平均音信号レベルと前記基準音信号レベルに基づいて補正係数を求め、当該オーディオ情報ファイルに含まれる音信号データに該補正係数を乗算して音信号レベルの補正を実行することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記補正係数を当該オーディオ情報ファイルに関連付けたテーブルで記憶し、管理することを特徴とする請求項7に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記補正係数を当該オーディオ情報ファイルとともに前記記憶媒体に記憶することを特徴とする請求項7に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項10】
前記補正部は、前記記録媒体に記録された前記オーディオ情報ファイルに含まれる音信号データの平均音信号レベルを、ユーザが指定した基準音信号レベルに補正することができる請求項2乃至9のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項11】
前記補正部は、前記記録媒体に複数のオーディオ情報ファイルが記録されている場合、該各オーディオ情報ファイルの平均音信号レベルを一括して補正することができる請求項10に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項12】
前記補正部は、ユーザによる禁止又は許可の設定に応じて前記オーディオ情報ファイルに対する前記補正を実行することを特徴とする請求項10又は11に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項13】
前記補正部は、前記基準音信号レベルが、前記テンポラリバッファ部に格納された前記オーディオ情報ファイルに係る前記平均音信号レベルのうちの最大音信号レベルを超える場合に、該最大音信号レベルに基づいて、当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正係数を求めることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項14】
前記記録部は、前記補正部が前記テンポラリバッファ部から読み出された当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して前記補正を実行したときに、該音信号の記録時にクリッピングが発生する場合に、該オーディオ情報の前記記録媒体への記録に関するクリッピング報知情報を出力することを特徴とする請求項2乃至13のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項15】
前記記録部は、ユーザの出力可否の設定に従って、前記クリッピング報知情報を出力することを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項16】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の許可が選択された場合、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させることを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項17】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、ユーザが設定した基準音信号レベルに従って、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させることを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項18】
前記記録部は、ユーザが前記基準音信号レベルを設定した場合、前記記録媒体に記録された前記オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、前記補正部に前記基準音信号レベルに従った前記補正を実行させることを特徴とする請求項17に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項19】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させないことを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項20】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、前記オーディオ情報ファイルの前記記録媒体への記録を停止することを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項21】
前記記録部は、前記補正部が前記オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行し、前記記録媒体に前記オーディオ情報ファイルを記録している間、電源が切断されないように監視し、警告情報を出力することを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項22】
前記記録媒体は、書込み及び読出しが自在な記憶手段であり、
前記テンポラリバッファ部が、前記記録媒体の一部であることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項23】
前記記録部は、補正された前記音信号を含む前記オーディオ情報を前記記録媒体に記録した後、前記テンポラリバッファ部に一時的に格納された前記オーディオ情報を消去することを特徴とする請求項22に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項1】
取り込まれたオーディオ情報を記録媒体に記録するオーディオ情報記録装置において、
取り込まれた前記オーディオ情報を一時的に格納するテンポラリバッファ部と、
前記テンポラリバッファ部から読み出した前記オーディオ情報に含まれる音信号の音信号レベルを補正し、該補正された前記音信号を含む当該オーディオ情報を前記記録媒体に記録する記録部と、
を備えたことを特徴とするオーディオ情報記録装置。
【請求項2】
取り込まれた前記オーディオ情報は、オーディオ情報ファイル毎に前記テンポラリバッファ部に格納されることを特徴とする請求項1に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項3】
前記記録部は、前記テンポラリバッファ部に格納された前記オーディオ情報ファイル毎に平均音信号レベルを検出し、該平均音信号レベルに基づいて前記補正を実行する補正部を有することを特徴とする請求項2に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、検出された前記平均音信号レベルを、任意に設定された基準音信号レベルに一致させる補正を実行すること特徴とする請求項3に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項5】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、検出された前記平均音信号レベルを、設定された標準の基準音信号レベルに一致させる補正を実行すること特徴とする請求項3に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記テンポラリバッファ部に最初に格納されたオーディオ情報ファイルを読み出し、該オーディオ情報ファイルから検出された平均音信号レベルを基準音信号レベルとし、前記テンポラリバッファ部に以後に格納されたオーディオ情報ファイルの音信号データに対して、該オーディオ情報ファイルの各平均音信号レベルを前記基準音信号レベルに一致させる補正を実行すること特徴とする請求項3に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項7】
前記補正部は、当該オーディオ情報ファイルに係る前記平均音信号レベルと前記基準音信号レベルに基づいて補正係数を求め、当該オーディオ情報ファイルに含まれる音信号データに該補正係数を乗算して音信号レベルの補正を実行することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記補正係数を当該オーディオ情報ファイルに関連付けたテーブルで記憶し、管理することを特徴とする請求項7に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記補正係数を当該オーディオ情報ファイルとともに前記記憶媒体に記憶することを特徴とする請求項7に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項10】
前記補正部は、前記記録媒体に記録された前記オーディオ情報ファイルに含まれる音信号データの平均音信号レベルを、ユーザが指定した基準音信号レベルに補正することができる請求項2乃至9のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項11】
前記補正部は、前記記録媒体に複数のオーディオ情報ファイルが記録されている場合、該各オーディオ情報ファイルの平均音信号レベルを一括して補正することができる請求項10に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項12】
前記補正部は、ユーザによる禁止又は許可の設定に応じて前記オーディオ情報ファイルに対する前記補正を実行することを特徴とする請求項10又は11に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項13】
前記補正部は、前記基準音信号レベルが、前記テンポラリバッファ部に格納された前記オーディオ情報ファイルに係る前記平均音信号レベルのうちの最大音信号レベルを超える場合に、該最大音信号レベルに基づいて、当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正係数を求めることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項14】
前記記録部は、前記補正部が前記テンポラリバッファ部から読み出された当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対して前記補正を実行したときに、該音信号の記録時にクリッピングが発生する場合に、該オーディオ情報の前記記録媒体への記録に関するクリッピング報知情報を出力することを特徴とする請求項2乃至13のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項15】
前記記録部は、ユーザの出力可否の設定に従って、前記クリッピング報知情報を出力することを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項16】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の許可が選択された場合、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させることを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項17】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、ユーザが設定した基準音信号レベルに従って、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させることを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項18】
前記記録部は、ユーザが前記基準音信号レベルを設定した場合、前記記録媒体に記録された前記オーディオ情報ファイルの音信号データに対して、前記補正部に前記基準音信号レベルに従った前記補正を実行させることを特徴とする請求項17に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項19】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、前記補正部に当該オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行させないことを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項20】
前記記録部は、ユーザによって補正時におけるクリッピング発生の禁止が選択された場合、前記オーディオ情報ファイルの前記記録媒体への記録を停止することを特徴とする請求項14に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項21】
前記記録部は、前記補正部が前記オーディオ情報ファイルの音信号データに対する前記補正を実行し、前記記録媒体に前記オーディオ情報ファイルを記録している間、電源が切断されないように監視し、警告情報を出力することを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項22】
前記記録媒体は、書込み及び読出しが自在な記憶手段であり、
前記テンポラリバッファ部が、前記記録媒体の一部であることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載のオーディオ情報記録装置。
【請求項23】
前記記録部は、補正された前記音信号を含む前記オーディオ情報を前記記録媒体に記録した後、前記テンポラリバッファ部に一時的に格納された前記オーディオ情報を消去することを特徴とする請求項22に記載のオーディオ情報記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−209846(P2006−209846A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18293(P2005−18293)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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