説明

オートテンショナ

【課題】固定体10に軸受部40を介して軸心P回りに回動可能に支持された回動体20を、ベルト押圧部29が伝動ベルトBを押圧するベルト押圧方向に捩りコイルばね50の捩りトルクにより回動付勢する一方、上記捩りトルクの反力Fsによりダンピング部材60を回動体20に押し付けて該回動体20の回動に対するダンピング力を発生するオートテンショナにおいて、回動体20にそれぞれ作用する捩りトルク反力Fsとベルト反力Fbとの軸受部40内における釣合いを損なうことなく軸受部40を捩りコイルばね50に対して軸方向にずらし、回動体20の傾きに起因する不具合の発生を抑えつつ捩りコイルばね50を小径化してオートテンショナの小形化に寄与できるようにする。
【解決手段】捩りコイルばね50およびベルト押圧部29を、それぞれ軸受部40の軸方向両側に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捩りコイルばねの捩りトルクにより自動車用エンジンの補機駆動ベルトなどの伝動ベルトを押圧する一方、捩りトルクの反力を利用してベルト押圧作動に対するダンピング力を発生させるようにしたオートテンショナに関し、特に、小径化対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオートテンショナとして、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
このものでは、図3に示すように、固定体100に軸受部400を介して軸心P回りに回動可能に支持された回動体200を、捩りコイルばね500の捩りトルクでもってベルト押圧方向に回動付勢し、このことで、ベルト押圧部290で伝動ベルトBを押圧して該伝動ベルトBに張力を付与するようになっている。また、同時に、上記捩りトルクの反力Fsでもってダンピング部材600が回動体200に押し付けられており、このことで、回動体200の回動に対するダンピング力を発生させるようになっている。
【0004】
具体的には、捩りコイルばね500のコイル部510と、このコイル部510の半径方向内方に位置する回動体200の部位との間にダンピング部材600が配置されていて、捩りコイルばね500のコイル部510における周方向の一部が捩りトルクの反力Fsでもってダンピング部材600を回動体200の上記部位に押し付けており、回動体200の回動に伴ってダンピング部材600および回動体200間に発生する摺動摩擦を該回動体200の回動に対するダンピング力として利用するようになされている。
【0005】
また、軸心Pに交差する方向において回動体200に作用する主な力としては、上記捩りトルクの反力Fsの他、ベルト押圧部290を介して作用するベルト反力Fbがあり、これら2つの力Fs,Fbのバランスがよくないと、回動体200が軸心Pに対して傾くことになる。そこで、上記特許文献1のものでは、回動体200に対するベルト反力Fbの作用点Abの軸方向位置が軸受部400内に位置するようになされており、このことで、捩りトルクの反力Fsの作用点Asの軸方向位置が軸受部400内に位置することと相俟って、捩りトルクの反力Fsとベルト反力Fbとが軸受部400内で釣り合うようになされている。
【特許文献1】特開平3−20146号公報(第4〜第5頁,第1〜第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のオートテンショナでは、捩りコイルばね500のコイル部510内に軸受部400が存在するために、その軸受部400が邪魔になって小径化が困難であるという欠点がある。
【0007】
これに対しては、軸受部400を捩りコイルばね500から軸方向にずらすことが考えられるが、その場合には、捩りトルクの反力Fsの作用点Asが軸受部400から軸方向にずれることになり、このために、軸受部400内における捩りトルクの反力Fsとベルト反力Fbとの釣合いが損なわれる虞がある。
【0008】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、固定体に軸受部を介して軸心回りに回動可能に支持された回動体を捩りコイルばねの捩りトルクでもってベルト押圧方向に回動付勢することによりベルト押圧部で伝動ベルトを押圧して該伝動ベルトに張力を付与しつつ、上記捩りトルクの反力でもってダンピング部材を回動体に押し付けて該回動体の回動に対するダンピング力を発生させるようにしたオートテンショナにおいて、回動体にそれぞれ作用する捩りコイルばねの捩りトルクの反力とベルト反力との軸受部内における釣合いを損なうことなく、軸受部を捩りコイルばねに対し軸方向にずらして配置できるようにし、もって、回動体の傾きに起因する不具合の発生を抑えつつ、捩りコイルばねを小径化してオートテンショナの小形化に寄与できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成すべく、本発明では、捩りコイルばねを軸受部に対し軸方向にずらして配置するのみならず、ベルト押圧部についてもずらすこととし、このベルト押圧部を軸受部に対し軸方向における捩りコイルばねとは反対の側に配置するようにした。
【0010】
具体的には、本発明では、固定側に固定される固定体と、ベルト押圧部を有していて、軸受部を介して上記ベルト押圧部がベルトを押圧するベルト押圧方向において軸心回りに回動可能に上記固定体に支持された回動体と、これら固定体および回動体間に介装されていて、該固定体に対し回動体を捩りトルクでもってベルト押圧方向に付勢する捩りコイルばねと、この捩りコイルばねのコイル部と上記回動体との間に上記固定体に回動不能に固定された状態で配置されていて、捩りコイルばねの捩りトルクの反力でもって回動体に摺動可能に押し付けられたダンピング部材とを備えたオートテンショナを前提としている。
【0011】
そして、上記捩りコイルばねおよび上記ベルト押圧部は、それぞれ上記軸受部の軸方向両側に配置されているものとする。
【0012】
尚、上記の構成において、固定体が軸孔を有するとともに、回動体が、上記固定体の軸孔を貫通する軸部を有する場合には、軸受部を、上記固定体の軸孔と上記回動体の軸部との間に設定することができる。
【0013】
さらに、捩りコイルばねのコイル部が、上記回動体の軸部上に遊嵌される場合には、ダンピング部材を、上記捩りコイルばねのコイル部と上記回動体の軸部との間に配置することができる。この場合には、捩りコイルばねは、コイル部が拡径する方向の捩りトルクでもって回動体をベルト押圧方向に回動付勢する一方、コイル部が縮径する方向の反力でもってダンピング部材を上記回動体の軸部に押し付けるように設けられていることになる。
【0014】
また、捩りコイルばねの固定側タング(固定体に係止されるタング)を、軸方向において回動側タング(回動体に係止されるタング)よりも軸受部側に配置するようにしたり、捩りコイルばねの固定側タングからコイル部の巻き方向に略90°のコイル部端部の部位を、捩りトルクの反力でもってダンピング部材を回動体の軸部に押し付けるようにすることもできる。
【0015】
さらに、回動体に作用する捩りコイルばねの捩りトルクの反力と、ベルト押圧部を介して回動体に作用するベルト反力との合力の作用する軸方向位置を、軸受部内とすることができる。
【0016】
また、軸方向に見たときの捩りトルクの反力が回動体に作用する方向と、ベルト反力が回動体に作用する方向との間の角度αは、30°以内(α≦30°)であることが好ましい。
【0017】
さらに、固定体が、該固定体を固定側に固定するための取付部を有する場合には、その取付部を、軸受部と同じ軸方向位置に配置することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固定体に軸受部を介して回動可能に支持された回動体を捩りコイルばねの捩りトルクによりベルト押圧方向に回動付勢する一方、上記捩りトルクの反力によりダンピング部材を回動体に押し付けて該回動体の回動に対するダンピング力を発生するオートテンショナにおいて、回動体にそれぞれ作用する捩りコイルばねの捩りトルクの反力とベルト反力との軸受部内における釣合いを損なうことなく、軸受部を捩りコイルばねに対し軸方向にずらすことができ、よって、回動体の傾きに起因する不具合の発生を抑えつつ、捩りコイルばねを小径化してオートテンショナの小形化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るオートテンショナの全体構成を示しており、このオートテンショナは、自動車用エンジンの出力トルクの一部を1本の伝動ベルトBを介して複数の補機に伝達するようにしたサーペンタインレイアウトのベルト式補機駆動装置において伝動ベルトBに所定の張力を付与するために使用される。
【0021】
このオートテンショナは、固定側としてのエンジンに固定される固定体10と、この固定体10に回動軸心P回りに回動可能に支持された回動体20とを備えている。
【0022】
上記の固定体10は、有底筒状のハウジング部11と、このハウジング部11における底壁の外周に半径方向外方に向かって突出するように設けられた取付片12とを有する。取付片12には、該取付片12を貫通する取付孔13が設けられており、この取付孔13に挿通させたボルトをエンジンに螺着することで固定体を固定させるようになっている。有底筒状部の底壁中央には、該底壁を貫通する軸孔14が設けられている。また、ハウジング部11の周壁における周方向の一部には、該周壁を半径方向に貫通しかつ底壁に接する位置から開口近傍位置に達するスリット状の係止孔15が形成されている。
【0023】
一方、上記の回動体20は、有底筒状のハウジング部21と、このハウジング部21の底壁中央に立設された軸部22と、この軸部22の先端に設けられた外向きフランジ状の鍔部23と、この鍔部23の外周に半径方向外方に向かって突出するように設けられたアーム部24と、このアーム部24の先端に設けられたプーリ保持部25とを有する。ハウジング部21は、固定体10のハウジング部11と開口同士が対向するように配置されている。軸部22は、固定体10の軸孔14を貫通している。鍔部23は、固定体10のハウジング部11における底壁の外面を略覆っている。プーリ保持部25には、軸部22に平行な方向に延びるボルト孔26が形成されている。プーリ保持部25の先端側外周は小径になっており、この小径部上には、ベアリング27が内輪において外嵌合されている。この内輪は、ボルト孔26に螺着された鍔付ボルト28の鍔部によりプーリ保持部25に取り付けられている。ベアリング27の外輪上には、ベルト押圧部としてのプーリ29が回転一体に外嵌合されており、このプーリ29が伝動ベルトBに接触してプーリ軸心Q回りに回転しつつ該伝動ベルトBを押圧するようになっている。また、ハウジング部21の周壁における周方向の一部でありかつ底壁近傍の部位には、該周壁を半径方向に貫通する係止孔30が形成されている。
【0024】
上記固定体10の軸孔14と、上記回動体20の軸部22との間には、軸受ブッシュ40が介装されており、回動体20は、この軸受ブッシュ40を介して固定体10に回動軸心P回りに回動可能に支持されている。つまり、本実施形態では、この軸受ブッシュ40により、本発明における軸受部が構成されており、上記のプーリ29は、この軸受ブッシュ40の軸方向一側(図1の右側)に配置されている。また、固定体10のハウジング部11と回動体20の鍔部23との間には、摺動材からなるスラストワッシャ41が介装されている。
【0025】
そして、本実施形態では、固定体10に対し、回動体20をプーリ29が伝動ベルトBを押圧する方向(図1における同図右側から見て反時計方向)に向かって回動軸心P回りに回動するように常時付勢する捩りコイルばね50が、軸受ブッシュ40に対し軸方向における上記プーリ29とは反対の側(同図の左側)に配置されている。
【0026】
具体的には、この捩りコイルばね50は、固定体10のハウジング部11と回動体20のハウジング部21との間に収容されており、右巻きのコイル部51と、このコイル部51の一端から半径方向外方に向かって突出する固定側タング52と、コイル部51の他端から半径方向外方に向かって突出する回動側タング53とを有する。コイル部51は、回動体20の軸部22に遊挿されていて、固定側タング52は固定体10の係止孔15に周方向の移動を規制された状態に係止されており、一方、回動側タング53は回動体20の係止孔30に同じく周方向の移動を規制された状態に係止されている。
【0027】
また、捩りコイルばね50は、コイル部51が縮径する方向に捩られた状態で固定体10および回動体20間に介装されており、このことで、コイル部51が拡径する方向の捩りトルクでもって回動体20を回動付勢するようになっている。さらに、この捩りコイルばね50は、コイル部51が軸方向に圧縮された状態で介装されており、このことで、上記のスラストワッシャ41が固定体10のハウジング部11と回動体20の鍔部23との間に挟圧された状態となっている。
【0028】
上記捩りコイルばね50のコイル部51と上記回動体20の軸部22との間には、ダンピング部材60が介装されている。このダンピング部材60は、回動体20の軸部22上に外嵌合されていて該軸部22に対し摺接可能な円筒状のダンピング部61と、このダンピング部61の一方の開口縁に設けられた外向きフランジ状の鍔部62とからなっている。ダンピング部61の軸方向寸法は、捩りコイルばね50のコイル部51の1巻き分の軸方向寸法と略同じである。鍔部62は、コイル部51の固定側タング52の側の端部と固定体10のハウジング部11の底壁との間に配置されていて、コイル部51の圧縮力により両者間に挟圧保持されており、このことで、ダンピング部材60は、固定体10側に回動不能に固定されるようになっている。
【0029】
さらに、図2に示すように、捩りコイルばね50は、プーリ29が伝動ベルトBに接触して該伝動ベルトBに所定の張力を付与している状態にあるときに、該プーリ29に作用するベルト反力Fbの方向と、固定側タング52からコイル部51の巻き方向に略90°だけ離れたコイル部51端部の部位が捩りトルクの反力Fsでもってダンピング部材60のダンピング部61を回動体20の軸部22に押し付ける方向とが、軸方向に見て略同じ(軸方向における両方向間の角度αは、α≦30°)になるように設けられている。
【0030】
ここで、上記のように構成されたオートテンショナの作動について説明する。尚、本オートテンショナを自動車用エンジンに取り付ける際の取付角度(回動軸心Pを中心とする回転位置角度)は、プーリ29が伝動ベルトBを押圧して該伝動ベルトBに所定の張力を付与している状態のときに、該プーリ29に加わるベルト反力Fbの方向と、アーム部24の突出方向とが、軸方向に見て略直交するように定める。
【0031】
自動車用エンジンの作動に伴い、伝動ベルトBの張力が低下したときには、オートテンショナでは、捩りコイルばね50の捩りトルクでもって回動体20がベルト押圧方向に回動するので、伝動ベルトBに対するプーリ29の押圧量が増加し、一方、伝動ベルトBの張力が上昇したときには、そのベルト反力Fbによりプーリ29を介して回動体20がベルト押圧方向とは反対の方向に回動することでベルト張力の増加分が吸収されるので、伝動ベルトBの張力は略一定に保たれることとなる。
【0032】
このようにして、回動体20が伝動ベルトBの張力変動に応じて回動する際に、回動体20の軸部22には、捩りコイルばね50の捩りトルクの反力Fsでもってダンピング部材60が押し付けられているので、回動体20の回動に伴い、ダンピング部材60と軸部22との間に摺動摩擦が生じ、それにより回動体20の回動がダンピングされる。
【0033】
その際に、回動体20がベルト押圧方向に回動するとき、つまり、ベルト張力が低下したときには、捩りコイルばね50の捩りトルクが減少する方向に変化するので、その反力Fsも減少し、よって、回動体20の回動に対するダンピング力は低下する。一方、回動体20がベルト押圧方向とは反対の方向に回動するとき、つまり、ベルト張力が増大したときには、捩りコイルばね50の捩りトルクが増加する方向に変化するので、その反力Fsも増加し、よって、回動体20の回動に対するダンピング力は増加する。
【0034】
これらの結果、オートテンショナは、ベルト張力が低下したときには速やかに伝動ベルトBを押圧してベルト張力の低下を抑え、一方、ベルト張力が増大したときには緩やかにベルト反力Fbの増加分を吸収してベルト張力の増大を抑える。このようにすることで、張力変動に起因する伝動ベルトBのばたつきが回避され、これにより、補機プーリに対する伝動ベルトBの滑りが抑えられてトルク伝達が確実化するとともに、伝動ベルトBの寿命の短命化が防止されることとなる。
【0035】
ところで、上記の作動が行われている間に回動体20に作用する主要な力は、プーリ29を介して伝わるベルト反力Fbと、ダンピング部材60を介して伝わる捩りトルクの反力Fsとであり、軸受ブッシュ40では、それら2つの力Fb,Fsの合力F(=Fb+Fs)を支承することになる。したがって、この合力Fの作用する軸方向位置Aが、軸受ブッシュ40からずれていると、回動体20が回動軸心Pに対して傾くことになる。
【0036】
これに対し、本実施形態では、軸受ブッシュ40の軸方向両側に、それぞれプーリ29および捩りコイルばね50が配置されており、ベルト反力Fbの作用する軸方向位置Abと、捩りトルクの反力Fsの作用する軸方向位置Asとの間に軸受ブッシュ40があるので、軸受ブッシュ40における軸方向両側のうち、何れか一方の側に2つの軸方向位置Ab,Asがある場合に比べて、合力Fの作用する軸方向位置Aが軸受ブッシュ40内に収まりやすい。ここで、2つの軸方向位置Ab,Asと軸方向位置Aとの間の各軸方向寸法を、それぞれLb,Lsとすると、それらの寸法Lb,Lsと2つの反力Fb,Fsとの間には、Lb×Fb=Ls×Fsという関係がある。
【0037】
また、本実施形態では、固定側タング52が、回動側タング53よりも軸受ブッシュ40に近い側(図1および図2の各右側)に位置しているので、回動側タング53が固定側タング52よりも軸受ブッシュ40に近い側に位置している場合に比べると、軸受ブッシュ40から捩りトルクの反力Fsの作用する軸方向位置Asまでの軸方向寸法を短くすることができ。これにより、合力Fの作用する軸方向位置Aが軸受ブッシュ40内に無理なく収まるようになっている。
【0038】
したがって、本実施形態によれば、固定体10に軸受ブッシュ40を介して回動軸心P回りに回動可能に支持された回動体20を捩りコイルばね50の捩りトルクによりベルト押圧方向に回動付勢する一方、上記捩りトルクの反力Fsによりダンピング部材60を回動体20の軸部22に押し付けて該回動体20の回動に対するダンピング力を発生させるようにしたオートテンショナにおいて、回動体20にそれぞれ作用する捩りコイルばね50の捩りトルクの反力Fsとベルト反力Fbとの軸受ブッシュ40内における釣合いを損なうことなく、軸受ブッシュ40を捩りコイルばね50のコイル部51に対して軸方向にずらすことができ、よって、回動体20の傾きに起因する不具合の発生を抑えつつ、捩りコイルばね50を小径化してオートテンショナの小形化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係るオートテンショナの全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】従来のオートテンショナの全体構成を一部を切り欠いて示す側面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 固定体
12 取付片(取付部)
14 軸孔
20 回動体
22 軸部
29 プーリ(ベルト押圧部)
40 軸受ブッシュ(軸受部)
50 捩りコイルばね
51 コイル部
52 固定側タング
53 回動側タング
60 ダンピング部材
P 回動軸心(軸心)
B 伝動ベルト
Fs (捩りトルクの)反力
Fb ベルト反力
F (捩りトルクの反力とベルト反力との)合力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側に固定される固定体と、
ベルト押圧部を有し、軸受部を介して上記ベルト押圧部がベルトを押圧するベルト押圧方向において軸心回りに回動可能に上記固定体に支持された回動体と、
上記固定体と回動体との間に介装され、該固定体に対し回動体を捩りトルクでもってベルト押圧方向に付勢する捩りコイルばねと、
上記捩りコイルばねのコイル部と上記回動体との間に上記固定体に回動不能に固定された状態で配置され、捩りコイルばねの捩りトルクの反力でもって回動体に摺動可能に押し付けられたダンピング部材とを備えたオートテンショナであって、
上記捩りコイルばねおよび上記ベルト押圧部は、それぞれ上記軸受部の軸方向両側に配置されているいることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項2】
請求項1に記載のオートテンショナにおいて、
固定体は、軸孔を有し、
回動体は、上記固定体の軸孔を貫通する軸部を有し、
軸受部は、上記固定体の軸孔と上記回動体の軸部との間に設定されていることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項3】
請求項2に記載のオートテンショナにおいて、
捩りコイルばねのコイル部は、回動体の軸部上に遊嵌され、
ダンピング部材は、上記捩りコイルばねのコイル部と上記回動体の軸部との間に介装され、
上記捩りコイルばねは、コイル部が拡径する方向の捩りトルクでもって回動体をベルト押圧方向に回動付勢する一方、コイル部が縮径する方向の反力でもってダンピング部材を上記回動体の軸部に押し付けるように設けられていることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項4】
請求項3に記載のオートテンショナにおいて、
捩りコイルばねは、固定体に係止される固定側タングと、回動体に係止される回動側タングとを有し、
上記固定側タングは、軸方向において上記回動側タングよりも軸受部側に配置されていることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項5】
請求項3に記載のオートテンショナにおいて、
捩りコイルばねの固定側タングからコイル部の巻き方向に略90°のコイル部端部の部位が、捩りトルクの反力でもってダンピング部材を回動体の軸部に押し付けるように構成されていることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項6】
請求項1に記載のオートテンショナにおいて、
ダンピング部材を介して回動体に作用する捩りコイルばねの捩りトルクの反力と、ベルト押圧部を介して回動体に作用するベルト反力との合力の作用する軸方向位置が、軸受部内であることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項7】
請求項6に記載のオートテンショナにおいて、
軸方向に見て、捩りトルクの反力が回動体に作用する方向と、ベルト反力が回動体に作用する方向との間の角度が、30°以内であることを特徴とするオートテンショナ。
【請求項8】
請求項6に記載のオートテンショナにおいて、
固定体は、該固定体を固定側に固定するための取付部を有し、
上記取付部は、軸受部と同じ軸方向位置に配置されていることを特徴とするオートテンショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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