説明

オーバーフェンダー組立体、およびその製造方法

【課題】この発明は、オーバーフェンダーの脱着を容易にできるオーバーフェンダー組立体、およびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】バスの外板2のホイールアーチ部に取り付けるオーバーフェンダー組立体10は、断面略U字形の芯金26、芯金26の外側部分26aに溶接される袋ナット24、車幅方向内側から芯金26の取付孔を介して袋ナット24に螺合されるボルト22、および袋ナット24を封入して芯金26を被覆したオーバーフェンダー28を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体外板のホイールアーチ部に沿って配設されるオーバーフェンダー組立体、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体外板のホイールアーチ部に沿って配設されるオーバーフェンダーの取付構造として、ゴム製のファスナーを介して、オーバーフェンダーをホイールアーチ部に取り付けた構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このように、ゴム製のファスナーをオーバーフェンダーとホイールアーチ部との間に介在させることにより、例えば、オーバーフェンダーが熱変形した際に、ファスナーがその変形による応力を吸収でき、オーバーフェンダーの熱による不可逆的なひずみの発生を防止できる。
【特許文献1】特開平2−41986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、この種のオーバーフェンダーは、取り外しを想定して取り付けられるものではないが、例えば、大型リアエンジンバスなどでは、オーバーフェンダーの取り外しを必要とする場合がある。つまり、大型リアエンジンバスでは、点検や装備品の収納などの目的で、ホイールアーチ部に重ねて設けたリッドを開閉する必要があり、その都度、オーバーフェンダーを取り外す必要がある。
【0005】
しかし、例えば、上述した特許文献1に開示したファスナーを用いてオーバーフェンダーを取り付けた場合、オーバーフェンダーを容易に取り外すことはできない。また、仮に、オーバーフェンダーの取り外しが可能であったとしても、オーバーフェンダーの脱着を繰り返すと、ファスナーのアンカー部分が機械的に疲労して劣化してしまう。
【0006】
この発明の目的は、オーバーフェンダーの脱着を容易にできるオーバーフェンダー組立体、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明のオーバーフェンダー組立体は、車両の外板のホイールアーチ部に沿って取り付けられる湾曲したオーバーフェンダー組立体であって、上記外板の車幅方向外側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って湾曲した細長い板状の外側部分、および上記外板の車幅方向内側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って湾曲した細長い板状の内側部分を、上記ホイールアーチ部の縁部を介して一体につないだ断面略U字形の帯状の芯金と、上記ホイールアーチ部に沿って上記外板を貫通して形成された複数の取付孔に対向して上記外側部分を貫通して形成された複数の第1孔のそれぞれにネジ穴が対向する向きで上記外側部分の車幅方向外側から当該外側部分に固設した複数の袋ナットと、上記ホイールアーチ部の上記複数の取付孔および上記外側部分の上記複数の第1孔と同軸に対向して上記内側部分を貫通して形成された複数の第2孔の車幅方向内側からそれぞれ挿通して対応する上記袋ナットに螺合せしめる複数のボルトと、上記複数の袋ナットを覆い隠すように上記芯金の表面を被覆して設けられ、上記外板の車幅方向外側面に弾力を有して接触したオーバーフェンダーと、を有する。
【0008】
また、この発明のオーバーフェンダー組立体は、車両の外板のホイールアーチ部に沿って取り付けられる湾曲したオーバーフェンダー組立体であって、上記外板の車幅方向外側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って湾曲した細長い板状の外側部分、および上記外板の車幅方向内側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って湾曲した細長い板状の内側部分を、上記ホイールアーチ部の縁部を介して一体につないだ断面略U字形の帯状の芯金と、上記ホイールアーチ部に沿って上記外板を貫通して形成された複数の取付孔に対向して上記内側部分を貫通して形成された複数の第2孔のそれぞれにネジ穴が対向する向きで上記内側部分の車幅方向内側から当該内側部分に固設した複数の袋ナットと、上記ホイールアーチ部の上記複数の取付孔および上記内側部分の上記複数の第2孔と同軸に対向して上記外側部分を貫通して形成された複数の第1孔の車幅方向外側からそれぞれ挿通して対応する上記袋ナットに螺合せしめる複数のボルトと、上記芯金の表面を被覆して設けられ、上記複数のボルトを挿通するための複数の挿通孔を有し、上記外板の車幅方向外側面に弾力を有して接触したオーバーフェンダーと、を有する。
【0009】
さらに、この発明のオーバーフェンダー組立体の製造方法は、車両の外板のホイールアーチ部に沿って取り付けられる湾曲したオーバーフェンダー組立体を製造する方法であって、上記外板の車幅方向外側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って配置される湾曲した細長い板状の外側部分、および上記外板の車幅方向内側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って配置される湾曲した細長い板状の内側部分それぞれの湾曲内側縁部同士を一体につないだ断面略U字形の帯状の芯金を用意する工程と、上記ホイールアーチ部に沿って上記外板を貫通して形成された複数の取付孔に対応して、上記外側部分を貫通して形成された複数の第1孔のそれぞれにネジ穴が対向する向きで上記外側部分の車幅方向外側から上記芯金に複数の袋ナットを溶接する工程と、上記外側部分の上記複数の第1孔と同軸に対向する位置で上記内側部分を貫通して形成された複数の第2孔それぞれの車幅方向内側から複数のボルトを挿通して対応する上記袋ナットに螺合せしめる工程と、上記複数の袋ナットを覆い隠すように上記芯金の表面を柔軟部材にて被覆してオーバーフェンダーを成形する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1)この発明によると、オーバーフェンダーの脱着を容易にでき、車幅方向外側からの美観も向上させることができる。
【0011】
(請求項2)この発明によると、車幅方向外側からボルトを挿通して締結でき、オーバーフェンダーの脱着作業を容易にできる。
【0012】
(請求項3)この発明によると、車幅方向外側からの美観を向上させることができる。
【0013】
(請求項4)この発明によると、オーバーフェンダーを成形する際に、袋ナットのネジ穴をシールできる。
【0014】
(請求項5)この発明によると、オーバーフェンダーの成形時にボルトとナットが接着する不具合を防止できる。
【0015】
(請求項6)この発明によると、フッ素コーティングを確実にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る車両の一例としてのバス1の外観斜視図である。図2は、このバス1を図1の線II-IIで切断した断面概略図である。このバス1は、その外殻をなす外板2のホイールアーチ部3に沿って、オーバーフェンダー組立体10を脱着可能に備えている。ホイールアーチ部3は、車輪6の外周形状に沿って上に凸になるよう湾曲している。
【0017】
また、外板2の下端近くには、外板の一部を構成する複数枚のリッド4が取り付けられている。これら複数枚のリッド4は、その上端に設けたヒンジ5(図2参照)を介して開閉可能に外板2に取り付けられている。特に、このバス1は、ホイールアーチ部3に重なる位置にリッド4を設けてある。言い換えると、ホイールアーチ部3は、外板2の下端縁部と、それに続き車輪6の前後に配設されたリッド4によって構成されている。
【0018】
この種のバス1では、点検や装備品の収納などの目的で、リッド4を開閉する場合がある。しかし、ホイールアーチ部3に重なる位置にあるリッド4を開閉するためには、ホイールアーチ部3に沿って取り付けたオーバーフェンダー組立体10を取り外す必要がある。
【0019】
通常、オーバーフェンダーは、取り外すことを想定していないが、本実施の形態のバス1では、オーバーフェンダー組立体10を容易に取り外し可能な構造を有することを特徴としている。
【0020】
図3および図4には、図1のバス1の左前輪6の周辺構造を車幅方向外側(左側)から見た側面図を示してある。なお、図3は、オーバーフェンダー組立体10を装着する前の状態を示し、図4は、オーバーフェンダー組立体10をホイールアーチ部3に装着した状態を示す。すなわち、図3の状態で、リッド4の開閉が可能となり、図4の状態で、リッド4の開閉が不能となる。
【0021】
図3に示すように、ホイールアーチ部3には、その縁部3aに沿って、複数の取付孔11(本実施の形態では15個)が、外板2を貫通して形成されている。より詳細には、本実施の形態のバス1は、ホイールアーチ部3がリッド4まで延びているため、複数の取付孔11は、外板2およびリッド4に形成されている。なお、これら複数の取付孔11は、後述するオーバーフェンダー組立体10を外板2にネジ留めして締結固定するために設けられている。
【0022】
図5には、オーバーフェンダー組立体10を図4の線V-Vで切断した横断面図を示してある。この断面図は、締結用のボルト22および袋ナット24から外れた位置の断面図であり、オーバーフェンダー組立体10の全長で略同じ断面形状を有する。また、図5では、オーバーフェンダー組立体10の外板2(またはリッド4)に対する取り付け状態を説明するため、外板2の下端近くを破線で図示してある。また、図6には、オーバーフェンダー組立体10の芯金26に溶接した袋ナット24とボルト22を軸方向に分離した状態を示してある。この図では、芯金26を断面図として示してある。
【0023】
オーバーフェンダー組立体10は、複数本のボルト22、複数個の袋ナット24、細長い板状体を加工してホイールアーチ部3の湾曲形状に沿って湾曲している芯金26、およびこの芯金26の表面を袋ナット24とともに柔軟部材にて被覆したオーバーフェンダー28を有する。複数の袋ナット24は、芯金26に溶接される。
【0024】
芯金26は、外板2(またはリッド4)の車幅方向外側面2aに対向してホイールアーチ部3に沿って湾曲した細長い板状の外側部分26a、および外板2の車幅方向内側面2bに対向してホイールアーチ部3に沿って湾曲した細長い板状の内側部分26bを有する。芯金26は、これら外側部分26aと内側部分26bをホイールアーチ部3の縁部を介して一体につないだ断面略U字形の帯状に形成されている。言い換えると、芯金26は、外側部分26aと内側部分26bの湾曲内側の端辺を一体につないだ形状を有する。
【0025】
例えば、外側部分26aおよび内側部分26bには、その長手方向に離間して、湾曲外側から複数本のスリット(図示せず)が形成されており、芯金26を湾曲させ易くしている。つまり、この芯金26を作る際には、帯状の細長い金属板を用意して、その長手方向に沿った両端辺を同じ方向に折り曲げて断面U字状にして、上述した複数本のスリットを利用して湾曲させる。
【0026】
芯金26の外側部分26aには、ホイールアーチ部3の外板2およびリッド4に形成された複数の取付孔11と同軸に対向する同じ数の図示しない取付孔(第1孔)が外側部分26aを貫通して形成されている。また、芯金26の内側部分26bにも、ホイールアーチ部3の外板2およびリッド4に形成された複数の取付孔11と同軸に対向する同じ数の図示しない取付孔(第2孔)が内側部分26bを貫通して形成されている。つまり、オーバーフェンダー組立体10をホイールアーチ部3に装着した状態で、ホイールアーチ部3の複数の取付孔11と外側部分26aの複数の取付孔と内側部分26bの複数の取付孔がそれぞれ同軸に配置されるようになっている。
【0027】
複数の袋ナット24は、上述した芯金26の外側部分26aの複数の取付孔それぞれにネジ穴が対向する向きで、外側部分26aの車幅方向外側から当該外側部分26aに溶接される。袋ナット24を芯金26に溶接した状態を図6に示してある。言い換えると、ボルト22を芯金26の内側部分26bに形成した取付孔を介して挿通(図6の矢印方向)して袋ナット24に螺合できる状態で、各袋ナット24が芯金26に溶接される。
【0028】
オーバーフェンダー28は、柔軟部材であるゴム製であり、芯金26に溶接した複数の袋ナット24を覆い隠すように、芯金26の表面を被覆して設けられる。つまり、オーバーフェンダー28は、図4に示すように、ホイールアーチ部3に沿って湾曲しており、複数の袋ナット24がバス1の側方から見えないように隠している。また、オーバーフェンダー28は、その湾曲した外側縁部が、外板2およびリッド4の車幅方向外側面2a、4aに弾力を有して接触するよう延出している。さらに、オーバーフェンダー28は、外板2またはリッド4の表裏面に接触するリップ28aを有する。
【0029】
上述したオーバーフェンダー組立体10をホイールアーチ部3に取り付ける場合、芯金26および複数の袋ナット24を被覆したオーバーフェンダー28のリップ28aを押し広げるように、ホイールアーチ部3の湾曲内側からオーバーフェンダー組立体10を装着する。そして、ホイールアーチ部3の複数の取付孔11と芯金26の複数の取付孔を同軸にそろえ、車両内側から複数本のボルト22を図6に示すように挿通し、それぞれ対応する袋ナット24に螺合する。このとき、平座金31およびばね座金32(図5参照)を介して各ボルト22を挿通し、複数個所でオーバーフェンダー組立体10をホイールアーチ部3に締結固定する。
【0030】
以下、図7のフローチャートを参照して、上述したオーバーフェンダー組立体10の製造方法について説明する。
まず、上述した複数の取付孔を形成した断面略U字形の帯状の芯金26を用意する。また、予め、複数の袋ナット24のネジ穴および複数本のボルト22のネジ部22aをブラスト処理しておく(ステップ1)。この場合、ネジ山を壊さない程度のブラスト処理を実施する。
【0031】
そして、ブラスト処理したネジ穴が芯金26の外側部分26aの取付孔とそれぞれ同軸に配置される姿勢で、複数の袋ナット24を芯金26に溶接する(ステップ2)。芯金26に袋ナット24を溶接した状態を図6に示す。もし可能であれば、複数の袋ナット24に対し、ステップ2の溶接の後、ステップ1のブラスト処理を実施しても良い。
【0032】
この後、芯金26に溶接した複数の袋ナット24のネジ穴をフッ素コーティングし、複数のボルト22のネジ部22aもフッ素コーティングする(ステップ3)。このステップ3のフッ素コーティングの前に上述したステップ1のブラスト処理を施すことで、フッ素コーティングを確実にできる。また、溶接の熱でフッ素コーティングが破壊されることのないように、ステップ2の溶接の後に、袋ナット24のネジ穴に対するステップ3のフッ素コーティングを実施する必要がある。なお、ボルト22のブラスト処理およびフッ素コーティングは、任意のタイミングで実施できる。
【0033】
さらに、この後、図6に示すように、芯金26の内側部分26bに形成された複数の取付孔を介して、ステップ3でフッ素コーティングした複数本のボルト22を挿通し、それぞれ、対応する袋ナット24のネジ穴に螺合する(ステップ4)。このとき、各袋ナット24のネジ穴の最も深い位置までボルト22のネジ部22aを捩じ込む。
【0034】
この状態で、図5に示す断面形状のオーバーフェンダー28を形成すべく予め用意した図示しない金型に、ステップ4で複数本のボルト22を螺合せしめた芯金26を配置し、ゴムを流し込んでオーバーフェンダー28を成形する(ステップ5)。このとき、芯金26に溶接された複数の袋ナット24がゴムの中に封入されて隠される。また、このとき、ゴム材は、芯金26の全表面を被覆するよう設けられる。さらに、このとき、上述したリップ28aも同時に形成される。
【0035】
以上の工程(ステップ1〜5)でオーバーフェンダー組立体10を製造した後、複数本のボルト22を組立体10から取り外す。このとき、各ボルト22のネジ部22aと袋ナット24のネジ穴が予めフッ素コーティングされているため、オーバーフェンダー28の成形時に両者が接着してしまうことはなく、ボルト22を容易に取り外すことができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態によると、オーバーフェンダー組立体10を複数本のボルト22を用いてホイールアーチ部3に締結固定することができ、オーバーフェンダー組立体10の脱着を容易にできる。また、本実施の形態によると、芯金26に固着した袋ナット24をオーバーフェンダー28内に配置でき、オーバーフェンダー組立体10の美観を向上させることができる。
【0037】
また、本実施の形態の製造方法によると、芯金26に溶接した袋ナット24にボルト22を螺合せしめた状態でオーバーフェンダー28を成形するようにしたため、袋ナット24のネジ穴にゴムが入り込むことを防止した上で、袋ナット24をオーバーフェンダー28内に封入することができる。また、袋ナット24のネジ穴とボルト22のネジ部22aにフッ素コーティングを施したため、オーバーフェンダー28の成形時に袋ナット24とボルト22が接着してしまう不具合を防止できる。
【0038】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【0039】
例えば、上述した実施の形態では、オーバーフェンダー組立体10の芯金26の車幅方向外側に複数の袋ナット24を溶接した場合について説明したが、これに限らず、芯金26の車幅方向内側の内側部分26bに複数の袋ナット24を溶接しても良い。図8には、上述した実施の形態の変形例として、袋ナット24を内側に取り付けたオーバーフェンダー組立体40の横断面図を示してある。ここでは、上述した実施の形態のオーバーフェンダー組立体10と同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
つまり、この変形例では、芯金26の内側部分26bの複数の取付孔にそれぞれ同軸に対向して、内側部分26bの車幅方向内側に複数の袋ナット24を溶接した。そして、このように複数の袋ナット24を固設した芯金26を被覆するようにオーバーフェンダー28を成形した。言うまでも無く、オーバーフェンダー28を成形する際には、フッ素コーティングの後、複数のボルト22を袋ナット24に螺合せしめておく。
【0041】
また、このとき、オーバーフェンダー28の車幅方向外側からボルト22を挿通するための挿通孔28bを形成しておく。そして、このオーバーフェンダー組立体40をホイールアーチ部3に装着するとき、このオーバーフェンダー28の車幅方向外側から複数の挿通孔28bを介して複数のボルト22をそれぞれ挿通し、車幅方向内側にある袋ナット24に螺合せしめる。
【0042】
さらにこの後、オーバーフェンダー28の車幅方向外側に露出した複数の挿通孔28bを塞ぐように、複数のゴム製の栓部材42が嵌入される。
【0043】
以上のように、この変形例によると、オーバーフェンダー組立体40をホイールアーチ部3に装着するとき、或いはホイールアーチ部3から取り外すとき、車両の外側からボルト22にアクセスして作業を実施できるため、作業性を向上させることができ、オーバーフェンダー組立体40の脱着をより容易にできる。
【0044】
また、この変形例によると、オーバーフェンダー組立体40を取り付けた後、オーバーフェンダー28の挿通孔28bを塞ぐ栓部材42を設けるようにしたため、オーバーフェンダー組立体40の美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、この発明の実施の形態に係るバスを示す外観斜視図である。
【図2】図2は、図1の線II-IIで切断した断面概略図である。
【図3】図3は、オーバーフェンダー組立体を取り付ける前の図1のバスの左前車輪の周辺構造を示す概略側面図。
【図4】図4は、オーバーフェンダー組立体を取り付けた後の図1のバスの左前車輪の周辺構造を示す概略側面図。
【図5】図5は、図4の線V-Vでオーバーフェンダー組立体を切断した断面概略図。
【図6】図6は、図5のオーバーフェンダー組立体の袋ナット付き芯金とボルトを分離した状態を示す図。
【図7】図7は、図5のオーバーフェンダー組立体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図8】図8は、図5のオーバーフェンダー組立体の変形例を示す断面概略図。
【符号の説明】
【0046】
1…バス、2…外板、3…ホイールアーチ部、4…リッド、10、40…オーバーフェンダー組立体、11…取付孔、22…ボルト、22a…ネジ部、24…袋ナット、26…芯金、26a…外側部分、26b…内側部分、28…オーバーフェンダー、28b…挿通孔、42…栓部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外板のホイールアーチ部に沿って取り付けられる湾曲したオーバーフェンダー組立体であって、
上記外板の車幅方向外側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って湾曲した細長い板状の外側部分、および上記外板の車幅方向内側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って湾曲した細長い板状の内側部分を、上記ホイールアーチ部の縁部を介して一体につないだ断面略U字形の帯状の芯金と、
上記ホイールアーチ部に沿って上記外板を貫通して形成された複数の取付孔に対向して上記外側部分を貫通して形成された複数の第1孔のそれぞれにネジ穴が対向する向きで上記外側部分の車幅方向外側から当該外側部分に固設した複数の袋ナットと、
上記ホイールアーチ部の上記複数の取付孔および上記外側部分の上記複数の第1孔と同軸に対向して上記内側部分を貫通して形成された複数の第2孔の車幅方向内側からそれぞれ挿通して対応する上記袋ナットに螺合せしめる複数のボルトと、
上記複数の袋ナットを覆い隠すように上記芯金の表面を被覆して設けられ、上記外板の車幅方向外側面に弾力を有して接触したオーバーフェンダーと、
を有することを特徴とするオーバーフェンダー組立体。
【請求項2】
車両の外板のホイールアーチ部に沿って取り付けられる湾曲したオーバーフェンダー組立体であって、
上記外板の車幅方向外側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って湾曲した細長い板状の外側部分、および上記外板の車幅方向内側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って湾曲した細長い板状の内側部分を、上記ホイールアーチ部の縁部を介して一体につないだ断面略U字形の帯状の芯金と、
上記ホイールアーチ部に沿って上記外板を貫通して形成された複数の取付孔に対向して上記内側部分を貫通して形成された複数の第2孔のそれぞれにネジ穴が対向する向きで上記内側部分の車幅方向内側から当該内側部分に固設した複数の袋ナットと、
上記ホイールアーチ部の上記複数の取付孔および上記内側部分の上記複数の第2孔と同軸に対向して上記外側部分を貫通して形成された複数の第1孔の車幅方向外側からそれぞれ挿通して対応する上記袋ナットに螺合せしめる複数のボルトと、
上記芯金の表面を被覆して設けられ、上記複数のボルトを挿通するための複数の挿通孔を有し、上記外板の車幅方向外側面に弾力を有して接触したオーバーフェンダーと、
を有することを特徴とするオーバーフェンダー組立体。
【請求項3】
上記複数のボルトを挿通して対応する袋ナットに螺合せしめた後、上記挿通孔を塞ぐ複数の栓部材をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のオーバーフェンダー組立体。
【請求項4】
車両の外板のホイールアーチ部に沿って取り付けられる湾曲したオーバーフェンダー組立体を製造する方法であって、
上記外板の車幅方向外側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って配置される湾曲した細長い板状の外側部分、および上記外板の車幅方向内側面に対向して上記ホイールアーチ部に沿って配置される湾曲した細長い板状の内側部分それぞれの湾曲内側縁部同士を一体につないだ断面略U字形の帯状の芯金を用意する工程と、
上記ホイールアーチ部に沿って上記外板を貫通して形成された複数の取付孔に対応して、上記外側部分を貫通して形成された複数の第1孔のそれぞれにネジ穴が対向する向きで上記外側部分の車幅方向外側から上記芯金に複数の袋ナットを溶接する工程と、
上記外側部分の上記複数の第1孔と同軸に対向する位置で上記内側部分を貫通して形成された複数の第2孔それぞれの車幅方向内側から複数のボルトを挿通して対応する上記袋ナットに螺合せしめる工程と、
上記複数の袋ナットを覆い隠すように上記芯金の表面を柔軟部材にて被覆してオーバーフェンダーを成形する工程と、
を有することを特徴とするオーバーフェンダー組立体の製造方法。
【請求項5】
上記溶接する工程の後で上記螺合せしめる工程の前に、上記複数の袋ナットのネジ穴をフッ素コーティングする工程と、
上記螺合せしめる工程の前に、上記複数のボルトのネジ部をフッ素コーティングする工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項4に記載のオーバーフェンダー組立体の製造方法。
【請求項6】
上記溶接する工程の前に、上記複数の袋ナットのネジ穴をブラスト処理する工程と、
上記ネジ部をフッ素コーティングする工程の前に、上記複数のボルトのネジ部をブラスト処理する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項5に記載のオーバーフェンダー組立体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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