オーバーヘッドモジュール
【課題】1種類の照明部品で用途に最適な照射と方向を実現でき、薄形化とコストダウンを図る。
【解決手段】ハウジング内にスイッチ3と光源2としてのLEDとを実装したフレキシブルプリント配線板(FPC)4を設け、光源2の照射方向にルームランプ用レンズ11とマップランプ用レンズ12とを並置し、光源2が実装されたFPC4の個所を移動可能として光源2の照射方向をルームランプ用レンズ11とマップランプ用レンズ12とに切り換え可能に構成した。
【解決手段】ハウジング内にスイッチ3と光源2としてのLEDとを実装したフレキシブルプリント配線板(FPC)4を設け、光源2の照射方向にルームランプ用レンズ11とマップランプ用レンズ12とを並置し、光源2が実装されたFPC4の個所を移動可能として光源2の照射方向をルームランプ用レンズ11とマップランプ用レンズ12とに切り換え可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井に設置されて車両室内を照射するオーバーヘッドモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオーバーヘッドモジュールとしては、天井に設置されたハウジング内に複数のランプを備え、ハウジング内にプリント配線板を設け、このプリント配線板(リジットプリント配線板、RPC)にランプ用のスイッチを配設したものが知られている(特許文献1参照)。この従来例によれば、RPCを用いたので、配線や組み立ての作業性を向上させることができる、という効果を奏する。
【0003】
また、マップランプとして使用する場合とルームランプとして使用する場合とで光量を可変することができるようにしたオーバーヘッドモジュールとしては、次のようなものが知られている。すなわち、バルブが車両室内に装着され、車載バッテリからバルブへの電源供給が照明スイッチによりON・OFFされ、車両ドアが開放状態にあるときに車両ドア連動スイッチがONされ、選択スイッチにより車両ドア連動スイッチを有効とされているときに車両ドアが開放すると照明スイッチのOFFに拘わらずバルブが点灯されると共に、自動減光手段としての抵抗により照明スイッチがONされたときのバルブの照明光量よりも車両ドア連動スイッチがONされたときのバルブの照明光量が少なくされる、というものが知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−272409号公報(第2頁、図2)
【特許文献2】特開2004−182012号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、RPCを用い、ルームランプ用電球とマップランプ用電球との2つの電球を用いているので、より一層の薄形化や部品点数削減によるコストダウンが困難であり、基板と配線部との統合もなされていないものであった。また、特許文献2では、1個のマップランプ用バルブを用い、このバルブはルームランプ用の舟形バルブよりも高輝度であるため、バルブの光量を抵抗により変化させ、1個のバルブでマップランプ用とルームランプ用とを兼ねさせ、別々のバルブを用いた場合のハウジングの大型化や部品点数増大によるコストの高騰という問題を回避している。しかしながら、この従来例では、マップランプ、ルームランプとして使用した場合、いずれの場合も照射方向は同一であるため、用途に適した照射方向を得ることができないものであった。
【0005】
そこで、本発明は、1つの照明部品(光源の集合体、LED)で最適な照射方向を得ることができ、薄形化を図り、省電力及び長寿命を実現したオーバーヘッドモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、ハウジング内にスイッチと光源としてのLEDとを実装したフレキシブルプリント配線板(FPC)を設け、光源の照射方向にルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとを並置し、光源が実装されたFPCの個所を移動可能として光源の照射方向をルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとに切り換え可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ハウジング内にスイッチと光源としてのLEDとを実装したフレキシブルプリント配線板(FPC)を設け、光源の照射方向にルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとを並置し、光源が実装されたFPCの個所を移動可能として光源の照射方向をルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとに切り換え可能に構成したので、FPCの特性である可撓性を利用して、FPCに実装された光源の照射方向を、スイッチ実装部分は固定したまま、自由に変えることができ、用途に応じた最適な照射方向を実現することができる。また、LEDやFPCを用いることで、薄形化やコストダウンも図れる。さらに、LEDは、省電力及び長寿命であり、ランニングコストも削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の好適な実施形態について、図面を参照にして説明する。
【0009】
図1は、ハウジングのフード(ないしカバー、後述する)を取り除いた内部の構造を示す天地逆にした斜視図を示し、車両の天井に固着されるベース1に光源2となるLEDを実装し、かつこの光源2をオン/オフするためのスイッチ3を実装したフレキシブルプリント配線板(FPC)4を設けてある。このFPC4は、図示しないコネクタを介して車両側の電源につながるワイヤハーネスと接続される。また、車両のドアが開いたとき、図示しないカーテシスイッチがオンし、光源2が点灯する。この光源2が実装されたFPC4の部分は、回動用プレート5に載置され、取り付けられている。この回動用プレート5の先端側は、ベース1に設けられた一対の脚部6の間にピン7で回動可能に取り付けられている。この回動用プレート5は、シーソーのようにピン7を支軸として左右に揺れるようになっている。また、この回動用プレート5の基端側は、スイッチノブ8に設けたアーム9の間にピン10で回動可能に取り付けられ、ピン10が位置するアーム9の個所には長孔9Aを形成してあり、ピン10がこの長孔9A内を移動できるようになっている。さらに、回動用プレート5の図面上は上方に位置するようにルームランプ用レンズ11とマップランプ用レンズ12とを配置してある。なお、光源2として、図面上LEDを2個図示しているが、LED実装部20には多数のLEDが実装されている。
【0010】
ルームランプとして使用する場合、図示しないカーテシスイッチによりドアが開いたことを認識し、LED(光源)2に通電して点灯させる。このLED2から照射された光は、図2に示すようにルームランプ用レンズ11により拡散されて車室内全体を照射する。この照射光を符号21で示す。
【0011】
マップランプとして使用する場合は、スイッチノブ8を押すことでLED2を点灯させる。スイッチ3のノブ8とLED2が実装されたFPC4が載置された回動用プレート5をリンク機構で接続することにより、スイッチ3をオンした時に、LED2の照射面が目標照射面(マップランプの光を使用する面。運転者、および搭乗者)に傾く。また、LED2から照射された光は、マップランプ用レンズ12により集光され、必要な個所のみをルームランプより明るく照射する(図3参照)。また、フレキシブル性が特徴であるFPC4を用いているので、回動用プレート5が傾いたときのFPC4の余長は、図4に示すように、FPC4が屈曲することで収納される。この屈曲部を符号4Aで示す。
【0012】
図5は、フードないしカバー13をかぶせた状態の平面図を示し、図1ないし図4に示す構造のものを左右一対設けた例を示す。左右一対設けたのは、車室内のドライバー側シートの乗員のみならず、後部シートの乗員用としても使用できるようにするためである。カバー13の横幅は、150〜200mm、縦幅は100mm程度の大きさに収まった。
【0013】
上述した構造のオーバーヘッドモジュールの車両天井取付時の配置関係は、図6に示すようになる。高さT1は20mm程度、高さT2は10mm程度、回動プレート5の横幅とレンズ11,12が設けられた部材の横幅とは、ともに30mm程度の大きさとなった。また、車種によって異なるが、マップランプ用レンズ12の径を9mm程度とし、垂直線と光軸との角度αを15〜40°となるようにした。
【0014】
本発明では、マップランプとルームランプを同一の照明部品(LED2)を用いることで、別々のランプを用いたものに比べて部品点数も削減でき、コストダウンも図れるとともに、スイッチ3のオン/オフを図るスイッチノブ8の動作をリンク機構(アーム9、脚部6、回動用プレート5など)に連動させているので、スイッチノブ8を押したり戻したりすることで、マップランプのオン/オフが可能となるものである。前記FPC4には、光源(LED)2とスイッチ3のみしか実装していない図を示したが、制御部品やその他必要な電気部品も実装されているのが通常である。
【0015】
なお、実装するLED2の点灯個数をマップランプ用とルームランプ用とで変化させるようにして、最適な照度を得るようFPC4に実装された制御部品で制御することもできる。なおまた、上述した実施形態では、スイッチノブ8の操作でマップランプ用への切り換えを行っているが、スイッチノブ8とは別個に切り換え専用のノブを設けることもできる。
【0016】
図7に示す回路図は、光源2としてフルカラーLED(赤・緑・青の3色光源)を用いた別の実施形態を示すものである。フルカラーLEDの明るさと色合いは、赤・緑・青のLEDチップの通電電流値により決定される。実施形態の場合は、抵抗値により電流値が決定する。そこで、マップランプ、ルームランプとしてLEDを点灯させる場合の電流値を別々の抵抗を用いて決定させることにより、それぞれ適した明るさ、色合いでLEDを点灯させることが可能である。
【0017】
また、スイッチ3としては、図8に示すように、2段式スイッチとし、1つのスイッチ3でマップランプ、ルームランプの点灯を可能とすることができる。これは、マップランプ用スイッチ3Aのノブ3Bの上に静電容量スイッチ3Cを配置したものであり、ノブ3Bを指で触れると静電容量スイッチ3Cが作動してルームランプが点灯し、さらにノブ3Bを押し込むとマップランプ用スイッチ3Aがオンしてマップランプが点灯する。
【0018】
図9に示す実施形態では、光源(LED)2が実装されたフレキシブルプリント配線板(FPC)4の個所の移動をスライドさせてLED2の照射方向をルームランプ用レンズ11とマップランプ用レンズ12とに切り換え可能としたものである。スイッチノブ8の両側に突起13を設け、これらの突起にレバー14の基端側を回動可能に取り付け、レバー14の先端側はくの字に折曲し、先端の挟持部14AでFPC4を挟んでいる。また、レバー14の中間部は支持体15で揺動可能に支持され、この支持された個所を支点として図面上左右に揺動可能になっている。さらに、前記レバー14の先端側挟持部14Aを間に挟んでFPC4を押える一対の押え部材16を設けてある。2つのレンズ11、12は3つの支持板17で支持されており、これら支持板17の下端はFPC4を押さえ、中間の支持板17にはLED2の通り道(図14の符号17Aで示すものと同様)が形成してある。
【0019】
図10は、図9のA−A線矢視断面図を示し、ベース1上にFPC4が載置され、レバー14の挟持部14AがFPC4を挟持してFPC4がレバー14に固定されている。また、押え部材16は、ハウジング100の天井に固定してあり、その下端がFPC4のスライドを妨げない程度に接触している。
【0020】
図11は、LED2を点灯させた状態を示し、スイッチノブ8は上死点、すなわちマップランプがオフの状態にあり、レバー14が、図面上、時計回り(支持体15で支持された支店を中心に回動)に一杯まで回動しているので、FPC4は、図面上、右端に位置し、このFPC4に実装されたLED2は、ルームランプ用レンズ11の真下に位置している。図示しないドアスイッチがオンになるとLED2が点灯する。LED2の照射光21は、ルームランプ用レンズ11により拡散されてシャフト室内全体を照射する。
【0021】
図11のルームランプとしての照射をマップランプ用に切り換えるには、スイッチノブ8を押すことでスイッチ3によりLED2をオンにし(点灯し)、レバー14を支持体15の取り付け個所を支点にして、図面上、半時計方向に回動させ、挟持部14Aの上昇に伴ってFPC4を、図面上、左側に引っ張り、LED2をマップランプ用レンズ12の真下に位置させる(図12参照)。FPC4は、その特性である可撓性を生かして、レバー14の先端側で吊り上げられ、一対の押え部材16の間に逆V字状に屈曲し、撓ませられる。
【0022】
図13に示す実施形態は、ハウジング100内のベース1(可動プレートとなる)を保持台18でスライド可能に保持し、ベース1がスライドすることにより、ベース1上のFPC4もベース1とともにスライドするようにしたものである。そして、ベース1のスライドは、スイッチノブ8に設けた一対の側板19に形成された斜めの長孔19Aにベース1の基端を設けた突起20を挿入し、側板19がスイッチノブ8とともに下降するとき、長孔19Aが突起20を、図面上、左側に引っ張ることにより行われる。
【0023】
図14は、図13のB−B線矢視の断面であり、3つの支持体17の中間に位置する支持板17にLED2の通り道となる切欠き17Aを形成してある。FPC4は、ベース1に固定し、FPC4の基端はスイッチ3の個所で固定され、スイッチノブ8を押す(下降させる)ことにより、側板19も下降させると、斜めの長孔19Aによりベース1が引っ張られ、LED2をルームランプ用レンズ11からマップランプ用レンズ12の真下に移動させることができる。そのときの状態は図6に示す通りである。このとき、FPC4は、スイッチ3側で撓む。
【0024】
図15は、ベース1とFPC4とが、図面上、右端に位置し、LED2の照射光21がルームランプ用レンズ11から拡散して車室内を照射している状態を示す。スイッチノブ8を押して、スイッチ3をオンにしてLED2を点灯させた状態では、ベース1とFPC4とが側板19の長孔19Aにより、図面上、左側にスライドさせられ、FPC4上のLED2がマップランプ用レンズ12の真下にきて、スポット的な光を車両室内に照射する。
【0025】
図9以下に示す実施形態においても、スイッチ3をオン/オフするスイッチノブ8の動作により、リンク機構を介して光源(LED)2の照射方向を切り換えるという基本思想は、先の実施形態と同じである。また、前記光源2としてフルカラーLEDを用い、赤・緑・青のLEDチップの通電電流値を変化させてマップランプ用とルームランプ用のそれぞれに適した明るさ、色合いを得るようにしてもよいし、前記スイッチ3として、マップランプ用スイッチのノブ8の上に静電容量スイッチを配置してルームランプ用とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】斜視図。
【図2】ルームランプ時の側面図。
【図3】マップランプ時の側面図。
【図4】FPCの余長の屈曲部分を示す側面図。
【図5】カバーをした状態の平面図。
【図6】取付状態の配置関係を示す側面図。
【図7】他の実施形態の回路図。
【図8】スイッチの概略図。
【図9】他の実施形態を示す側断面図。
【図10】図9のA−A線矢視の断面図。
【図11】ルームランプとして作用している状態の側断面図。
【図12】マップランプとして作用している状態の側断面図。
【図13】別の実施形態を示す側断面図。
【図14】図13のB−B線矢視の断面図。
【図15】ルームランプとして作用している状態の側断面図。
【図16】マップランプとして作用している状態の側断面図。
【符号の説明】
【0027】
1 ベース
2 光源(LED)
3 スイッチ
4 FPC
5 回動用プレート
8 スイッチノブ
11 ルームランプ用レンズ
12 マップランプ用レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井に設置されて車両室内を照射するオーバーヘッドモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオーバーヘッドモジュールとしては、天井に設置されたハウジング内に複数のランプを備え、ハウジング内にプリント配線板を設け、このプリント配線板(リジットプリント配線板、RPC)にランプ用のスイッチを配設したものが知られている(特許文献1参照)。この従来例によれば、RPCを用いたので、配線や組み立ての作業性を向上させることができる、という効果を奏する。
【0003】
また、マップランプとして使用する場合とルームランプとして使用する場合とで光量を可変することができるようにしたオーバーヘッドモジュールとしては、次のようなものが知られている。すなわち、バルブが車両室内に装着され、車載バッテリからバルブへの電源供給が照明スイッチによりON・OFFされ、車両ドアが開放状態にあるときに車両ドア連動スイッチがONされ、選択スイッチにより車両ドア連動スイッチを有効とされているときに車両ドアが開放すると照明スイッチのOFFに拘わらずバルブが点灯されると共に、自動減光手段としての抵抗により照明スイッチがONされたときのバルブの照明光量よりも車両ドア連動スイッチがONされたときのバルブの照明光量が少なくされる、というものが知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−272409号公報(第2頁、図2)
【特許文献2】特開2004−182012号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、RPCを用い、ルームランプ用電球とマップランプ用電球との2つの電球を用いているので、より一層の薄形化や部品点数削減によるコストダウンが困難であり、基板と配線部との統合もなされていないものであった。また、特許文献2では、1個のマップランプ用バルブを用い、このバルブはルームランプ用の舟形バルブよりも高輝度であるため、バルブの光量を抵抗により変化させ、1個のバルブでマップランプ用とルームランプ用とを兼ねさせ、別々のバルブを用いた場合のハウジングの大型化や部品点数増大によるコストの高騰という問題を回避している。しかしながら、この従来例では、マップランプ、ルームランプとして使用した場合、いずれの場合も照射方向は同一であるため、用途に適した照射方向を得ることができないものであった。
【0005】
そこで、本発明は、1つの照明部品(光源の集合体、LED)で最適な照射方向を得ることができ、薄形化を図り、省電力及び長寿命を実現したオーバーヘッドモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、ハウジング内にスイッチと光源としてのLEDとを実装したフレキシブルプリント配線板(FPC)を設け、光源の照射方向にルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとを並置し、光源が実装されたFPCの個所を移動可能として光源の照射方向をルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとに切り換え可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ハウジング内にスイッチと光源としてのLEDとを実装したフレキシブルプリント配線板(FPC)を設け、光源の照射方向にルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとを並置し、光源が実装されたFPCの個所を移動可能として光源の照射方向をルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとに切り換え可能に構成したので、FPCの特性である可撓性を利用して、FPCに実装された光源の照射方向を、スイッチ実装部分は固定したまま、自由に変えることができ、用途に応じた最適な照射方向を実現することができる。また、LEDやFPCを用いることで、薄形化やコストダウンも図れる。さらに、LEDは、省電力及び長寿命であり、ランニングコストも削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の好適な実施形態について、図面を参照にして説明する。
【0009】
図1は、ハウジングのフード(ないしカバー、後述する)を取り除いた内部の構造を示す天地逆にした斜視図を示し、車両の天井に固着されるベース1に光源2となるLEDを実装し、かつこの光源2をオン/オフするためのスイッチ3を実装したフレキシブルプリント配線板(FPC)4を設けてある。このFPC4は、図示しないコネクタを介して車両側の電源につながるワイヤハーネスと接続される。また、車両のドアが開いたとき、図示しないカーテシスイッチがオンし、光源2が点灯する。この光源2が実装されたFPC4の部分は、回動用プレート5に載置され、取り付けられている。この回動用プレート5の先端側は、ベース1に設けられた一対の脚部6の間にピン7で回動可能に取り付けられている。この回動用プレート5は、シーソーのようにピン7を支軸として左右に揺れるようになっている。また、この回動用プレート5の基端側は、スイッチノブ8に設けたアーム9の間にピン10で回動可能に取り付けられ、ピン10が位置するアーム9の個所には長孔9Aを形成してあり、ピン10がこの長孔9A内を移動できるようになっている。さらに、回動用プレート5の図面上は上方に位置するようにルームランプ用レンズ11とマップランプ用レンズ12とを配置してある。なお、光源2として、図面上LEDを2個図示しているが、LED実装部20には多数のLEDが実装されている。
【0010】
ルームランプとして使用する場合、図示しないカーテシスイッチによりドアが開いたことを認識し、LED(光源)2に通電して点灯させる。このLED2から照射された光は、図2に示すようにルームランプ用レンズ11により拡散されて車室内全体を照射する。この照射光を符号21で示す。
【0011】
マップランプとして使用する場合は、スイッチノブ8を押すことでLED2を点灯させる。スイッチ3のノブ8とLED2が実装されたFPC4が載置された回動用プレート5をリンク機構で接続することにより、スイッチ3をオンした時に、LED2の照射面が目標照射面(マップランプの光を使用する面。運転者、および搭乗者)に傾く。また、LED2から照射された光は、マップランプ用レンズ12により集光され、必要な個所のみをルームランプより明るく照射する(図3参照)。また、フレキシブル性が特徴であるFPC4を用いているので、回動用プレート5が傾いたときのFPC4の余長は、図4に示すように、FPC4が屈曲することで収納される。この屈曲部を符号4Aで示す。
【0012】
図5は、フードないしカバー13をかぶせた状態の平面図を示し、図1ないし図4に示す構造のものを左右一対設けた例を示す。左右一対設けたのは、車室内のドライバー側シートの乗員のみならず、後部シートの乗員用としても使用できるようにするためである。カバー13の横幅は、150〜200mm、縦幅は100mm程度の大きさに収まった。
【0013】
上述した構造のオーバーヘッドモジュールの車両天井取付時の配置関係は、図6に示すようになる。高さT1は20mm程度、高さT2は10mm程度、回動プレート5の横幅とレンズ11,12が設けられた部材の横幅とは、ともに30mm程度の大きさとなった。また、車種によって異なるが、マップランプ用レンズ12の径を9mm程度とし、垂直線と光軸との角度αを15〜40°となるようにした。
【0014】
本発明では、マップランプとルームランプを同一の照明部品(LED2)を用いることで、別々のランプを用いたものに比べて部品点数も削減でき、コストダウンも図れるとともに、スイッチ3のオン/オフを図るスイッチノブ8の動作をリンク機構(アーム9、脚部6、回動用プレート5など)に連動させているので、スイッチノブ8を押したり戻したりすることで、マップランプのオン/オフが可能となるものである。前記FPC4には、光源(LED)2とスイッチ3のみしか実装していない図を示したが、制御部品やその他必要な電気部品も実装されているのが通常である。
【0015】
なお、実装するLED2の点灯個数をマップランプ用とルームランプ用とで変化させるようにして、最適な照度を得るようFPC4に実装された制御部品で制御することもできる。なおまた、上述した実施形態では、スイッチノブ8の操作でマップランプ用への切り換えを行っているが、スイッチノブ8とは別個に切り換え専用のノブを設けることもできる。
【0016】
図7に示す回路図は、光源2としてフルカラーLED(赤・緑・青の3色光源)を用いた別の実施形態を示すものである。フルカラーLEDの明るさと色合いは、赤・緑・青のLEDチップの通電電流値により決定される。実施形態の場合は、抵抗値により電流値が決定する。そこで、マップランプ、ルームランプとしてLEDを点灯させる場合の電流値を別々の抵抗を用いて決定させることにより、それぞれ適した明るさ、色合いでLEDを点灯させることが可能である。
【0017】
また、スイッチ3としては、図8に示すように、2段式スイッチとし、1つのスイッチ3でマップランプ、ルームランプの点灯を可能とすることができる。これは、マップランプ用スイッチ3Aのノブ3Bの上に静電容量スイッチ3Cを配置したものであり、ノブ3Bを指で触れると静電容量スイッチ3Cが作動してルームランプが点灯し、さらにノブ3Bを押し込むとマップランプ用スイッチ3Aがオンしてマップランプが点灯する。
【0018】
図9に示す実施形態では、光源(LED)2が実装されたフレキシブルプリント配線板(FPC)4の個所の移動をスライドさせてLED2の照射方向をルームランプ用レンズ11とマップランプ用レンズ12とに切り換え可能としたものである。スイッチノブ8の両側に突起13を設け、これらの突起にレバー14の基端側を回動可能に取り付け、レバー14の先端側はくの字に折曲し、先端の挟持部14AでFPC4を挟んでいる。また、レバー14の中間部は支持体15で揺動可能に支持され、この支持された個所を支点として図面上左右に揺動可能になっている。さらに、前記レバー14の先端側挟持部14Aを間に挟んでFPC4を押える一対の押え部材16を設けてある。2つのレンズ11、12は3つの支持板17で支持されており、これら支持板17の下端はFPC4を押さえ、中間の支持板17にはLED2の通り道(図14の符号17Aで示すものと同様)が形成してある。
【0019】
図10は、図9のA−A線矢視断面図を示し、ベース1上にFPC4が載置され、レバー14の挟持部14AがFPC4を挟持してFPC4がレバー14に固定されている。また、押え部材16は、ハウジング100の天井に固定してあり、その下端がFPC4のスライドを妨げない程度に接触している。
【0020】
図11は、LED2を点灯させた状態を示し、スイッチノブ8は上死点、すなわちマップランプがオフの状態にあり、レバー14が、図面上、時計回り(支持体15で支持された支店を中心に回動)に一杯まで回動しているので、FPC4は、図面上、右端に位置し、このFPC4に実装されたLED2は、ルームランプ用レンズ11の真下に位置している。図示しないドアスイッチがオンになるとLED2が点灯する。LED2の照射光21は、ルームランプ用レンズ11により拡散されてシャフト室内全体を照射する。
【0021】
図11のルームランプとしての照射をマップランプ用に切り換えるには、スイッチノブ8を押すことでスイッチ3によりLED2をオンにし(点灯し)、レバー14を支持体15の取り付け個所を支点にして、図面上、半時計方向に回動させ、挟持部14Aの上昇に伴ってFPC4を、図面上、左側に引っ張り、LED2をマップランプ用レンズ12の真下に位置させる(図12参照)。FPC4は、その特性である可撓性を生かして、レバー14の先端側で吊り上げられ、一対の押え部材16の間に逆V字状に屈曲し、撓ませられる。
【0022】
図13に示す実施形態は、ハウジング100内のベース1(可動プレートとなる)を保持台18でスライド可能に保持し、ベース1がスライドすることにより、ベース1上のFPC4もベース1とともにスライドするようにしたものである。そして、ベース1のスライドは、スイッチノブ8に設けた一対の側板19に形成された斜めの長孔19Aにベース1の基端を設けた突起20を挿入し、側板19がスイッチノブ8とともに下降するとき、長孔19Aが突起20を、図面上、左側に引っ張ることにより行われる。
【0023】
図14は、図13のB−B線矢視の断面であり、3つの支持体17の中間に位置する支持板17にLED2の通り道となる切欠き17Aを形成してある。FPC4は、ベース1に固定し、FPC4の基端はスイッチ3の個所で固定され、スイッチノブ8を押す(下降させる)ことにより、側板19も下降させると、斜めの長孔19Aによりベース1が引っ張られ、LED2をルームランプ用レンズ11からマップランプ用レンズ12の真下に移動させることができる。そのときの状態は図6に示す通りである。このとき、FPC4は、スイッチ3側で撓む。
【0024】
図15は、ベース1とFPC4とが、図面上、右端に位置し、LED2の照射光21がルームランプ用レンズ11から拡散して車室内を照射している状態を示す。スイッチノブ8を押して、スイッチ3をオンにしてLED2を点灯させた状態では、ベース1とFPC4とが側板19の長孔19Aにより、図面上、左側にスライドさせられ、FPC4上のLED2がマップランプ用レンズ12の真下にきて、スポット的な光を車両室内に照射する。
【0025】
図9以下に示す実施形態においても、スイッチ3をオン/オフするスイッチノブ8の動作により、リンク機構を介して光源(LED)2の照射方向を切り換えるという基本思想は、先の実施形態と同じである。また、前記光源2としてフルカラーLEDを用い、赤・緑・青のLEDチップの通電電流値を変化させてマップランプ用とルームランプ用のそれぞれに適した明るさ、色合いを得るようにしてもよいし、前記スイッチ3として、マップランプ用スイッチのノブ8の上に静電容量スイッチを配置してルームランプ用とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】斜視図。
【図2】ルームランプ時の側面図。
【図3】マップランプ時の側面図。
【図4】FPCの余長の屈曲部分を示す側面図。
【図5】カバーをした状態の平面図。
【図6】取付状態の配置関係を示す側面図。
【図7】他の実施形態の回路図。
【図8】スイッチの概略図。
【図9】他の実施形態を示す側断面図。
【図10】図9のA−A線矢視の断面図。
【図11】ルームランプとして作用している状態の側断面図。
【図12】マップランプとして作用している状態の側断面図。
【図13】別の実施形態を示す側断面図。
【図14】図13のB−B線矢視の断面図。
【図15】ルームランプとして作用している状態の側断面図。
【図16】マップランプとして作用している状態の側断面図。
【符号の説明】
【0027】
1 ベース
2 光源(LED)
3 スイッチ
4 FPC
5 回動用プレート
8 スイッチノブ
11 ルームランプ用レンズ
12 マップランプ用レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内にスイッチと光源としてのLEDとを実装したフレキシブルプリント配線板を設け、
光源の照射方向にルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとを並置し、
光源が実装されたフレキシブルプリント配線板の個所を移動可能として光源の照射方向をルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとに切り換え可能に構成したことを特徴とするオーバーヘッドモジュール。
【請求項2】
前記スイッチをオン/オフするスイッチノブの動作によりリンク機構を介して光源の照射方向を切り換えることを特徴とする請求項1に記載のオーバーヘッドモジュール。
【請求項3】
前記光源としてフルカラーLEDを用い、赤・緑・青のLEDチップの通電電流値を変化させてマップランプ用とルームランプ用のそれぞれに適した明るさ、色合いを得るようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のオーバーヘッドモジュール。
【請求項4】
前記スイッチとして、マップランプ用スイッチのノブの上に静電容量スイッチを配置してルームランプ用としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のオーバーヘッドモジュール。
【請求項1】
ハウジング内にスイッチと光源としてのLEDとを実装したフレキシブルプリント配線板を設け、
光源の照射方向にルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとを並置し、
光源が実装されたフレキシブルプリント配線板の個所を移動可能として光源の照射方向をルームランプ用レンズとマップランプ用レンズとに切り換え可能に構成したことを特徴とするオーバーヘッドモジュール。
【請求項2】
前記スイッチをオン/オフするスイッチノブの動作によりリンク機構を介して光源の照射方向を切り換えることを特徴とする請求項1に記載のオーバーヘッドモジュール。
【請求項3】
前記光源としてフルカラーLEDを用い、赤・緑・青のLEDチップの通電電流値を変化させてマップランプ用とルームランプ用のそれぞれに適した明るさ、色合いを得るようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のオーバーヘッドモジュール。
【請求項4】
前記スイッチとして、マップランプ用スイッチのノブの上に静電容量スイッチを配置してルームランプ用としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のオーバーヘッドモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−189292(P2008−189292A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76485(P2007−76485)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]