説明

カウルトップガーニッシュ

【課題】部品点数を少なくすることができ、限られたスペースであってもウォッシャホースを確実に固定することができるカウルトップガーニッシュを提供する。
【解決手段】車両のフロントフード2とフロントガラス3の間に配置され、車両後方側の後半部20の裏面20Uから突出する係合部21がカウルトップパネル15の被係合部22に係合するカウルトップガーニッシュ1であって、後半部20の裏側に配置したウォッシャホースHを後半部20と共に挟持する挟持部31を前記係合部21に設け、係合部21が被係合部22に係合すると、挟持部31にウォッシャホースHに対する挟持力が生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
車両のフロントフードとフロントガラスの間に配置され、車両後方側の後半部の裏面から突出する係合部がカウルトップパネルの被係合部に係合するカウルトップガーニッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ではフロントガラスの洗浄用のノズルをカウルトップガーニッシュに設け、エンジンルームに配置した洗浄液タンクからウォッシャホースによって洗浄液を前記ノズルに供給し、このノズルから洗浄液をフロントガラスに噴射している。
従来、ウォッシャホースを車体に支持させる手段として、特許文献1に開示されているように、カウルトップガーニッシュの側端に樹脂製のリングを一体成形し、基部を捩った状態の前記リングにウォッシャホースを挿通させ、これにより、ウォッシャホースを車体に支持させるという手段があった。
【特許文献1】実用新案登録第2506767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この手段では、カウルトップガーニッシュの側端からノズルまでの間でのウォッシャホースの固定が不十分でウォッシャホースがばたつくおそれがあった。そのために、カウルトップガーニッシュの側端からノズルまでの間でウォッシャホースをクリップで固定しなければならず、部品点数が増大していた。また、カウルトップガーニッシュの側端からノズルまでの間には空いたスペースが少なく、所望の位置でウォッシャホースを固定できずに固定が不十分になることがあった。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、部品点数を少なくすることができ、限られたスペースであってもウォッシャホースを確実に固定することができるカウルトップガーニッシュを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特徴は、
車両のフロントフードとフロントガラスの間に配置され、車両後方側の後半部の裏面から突出する係合部がカウルトップパネルの被係合部に係合するカウルトップガーニッシュであって、
前記後半部の裏側に配置したウォッシャホースを前記後半部と共に挟持する挟持部を前記係合部に設け、
前記係合部が前記被係合部に係合すると、前記挟持部に前記ウォッシャホースに対する挟持力が生じる点にある。(請求項1)
【0005】
上記の構成によれば、カウルトップガーニッシュの車両後方側の後半部の裏面から突出する係合部がカウルトップパネルの被係合部に係合した状態で、前記係合部に設けた挟持部と前記後半部とがウォッシャホースを挟持するから、ウォッシャホースを強く固定することができる。また、クリップ等の固定部材を用いなくても済んで、部品点数を少なくすることができるとともに、限られたスペースであってもウォッシャホースを固定することができる。しかも、前記係合部が前記被係合部に係合すると、挟持部にウォッシャホースに対する挟持力が生じるから、ウォッシャホースをより強く固定することができてウォッシャホースの固定状態を安定化することができる。従って、ウォッシャホースのばたつきを防止することができる。(請求項1)
【0006】
本発明において、
前記挟持部に、前記カウルトップパネルに当接する当接部を設け、
前記係合部が前記被係合部に係合すると、前記当接部が前記カウルトップパネルから押圧されて前記挟持部に前記挟持力が生じる構成では次の作用を奏することができる。(請求項2)
【0007】
前記当接部がカウルトップパネルから押圧されて挟持部に挟持力が生じるから、挟持力を確実に生じさせることができる。また、前記挟持部に前記当接部を設けただけであるから、挟持力を生じさせるための構造を簡素化することができる。(請求項3)
【0008】
本発明において、
自重による反力で前記当接部が前記カウルトップパネルから押圧されると、挟持力を生じさせるための構造をより簡素化することができる。(請求項3)
【0009】
本発明において、
前記係合部を車幅方向に間隔を空けて並ぶ複数のリブで構成し、
前記後半部の裏面に対向する対向部を前記複数のリブの車両前方側の端縁に架け渡し、
前記対向部よりも上方に位置する前記複数のリブの車両前方側の端縁と、前記後半部の裏面と対向する前記対向部の対向面とを前記挟持部の挟持面に構成し、
前記対向部と前記後半部が対向する方向で、前記対向面とは反対側の前記対向部の面を前記当接部の当接面に構成してあると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
【0010】
前記係合部を車幅方向に間隔を空けて並ぶ複数のリブで構成したことで係合部を軽量化することができる。また、後半部の裏面に対向する対向部を前記複数のリブの車両前方側の端縁に架け渡してあるから、係合部の強度を強くすることができる。
そして、前記対向部よりも上方に位置する前記複数のリブの車両前方側の端縁と、前記後半部の裏面と対向する前記対向部の対向面とを前記挟持部の挟持面に構成し、
前記対向部と前記後半部が対向する方向で、前記対向面とは反対側の前記対向部の面を前記当接部の当接面に構成してあるから、構造を簡素化することができる。(請求項4)
【0011】
本発明において、
前記後半部の裏面と、この裏面に対向する前記挟持部の挟持面との間隔を前記ウォッシャホースの径よりも小さく設定し、
前記ウォッシャホースを前記後半部の裏面と挟持面との間に、前記後半部の弾性力に抗して挿入してあると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
【0012】
前記後半部の弾性力を挟持力として作用させることができて、ウォッシャホースに対する挟持力を強くすることができる。また、ウォッシャホースの組み付けの際には、ウォッシャホースを前記後半部の裏面と挟持面との間に、前記後半部の弾性力に抗して挿入すればよく、組み付け作業を簡単化することができる。(請求項5)
【0013】
本発明において、
前記挟持面に、前記ウォッシャホースを嵌合させる嵌合凹部を形成してあると、挟持状態のウォッシャホースの位置ずれを回避することができる(請求項6)。
【0014】
本発明において、
前記ウォッシャホースがベンチレータ開口部を迂回するように前記挟持部を配置して、前記ベンチレータ開口部からウォッシャホースが見えないようにしてあると、カウルトップガーニッシュの外観を良くすることができる。(請求項7)
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、
部品点数を少なくすることができ、限られたスペースであってもウォッシャホースを確実に固定することができるカウルトップガーニッシュを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図5は、樹脂で成形されたカウルトップガーニッシュ1を備えた自動車(車両に相当)の全体斜視図、図6はフロントフード2を開いた状態の自動車の前部を示す図である。図5,図6に示すように、フロントガラス3とフロントフード2の間に配置したカウルトップガーニッシュ1でカウル部4を覆ってある。
【0017】
カウル部4はワイパー5を支持しており、図4に示すように、ダッシュパネルの上端部にそれぞれ接合された上側のカウルトップパネル15と下側のカウルパネル(図示せず)とを備えている。そして、図5,図6に示すようにカウルトップガーニッシュ1をフロントフード2とフロントガラス3の間に配置してワイパー5の基端部の周辺を取り囲み、カウルトップガーニッシュ1の前端部(後述の下壁11の車両前方側Frの前端部11A、図4参照)をフロントフード2の下側のエンジンルームに入り込ませてある。
【0018】
[カウルトップガーニッシュ1の構造]
図4(a),図4(b)に示すようにカウルトップガーニッシュ1は、前上がりの下壁11と、下壁11の前端部から立ち上がる前壁12と、下側に凸の断面「く」の字状の上壁13とを備えている。下壁11の前端部11Aは前壁12の下端部よりも車両前上方側に突出しており、この下壁11の前端部11Aにゴム状弾性体から成るフードシールが取り付けられる。
【0019】
この下壁11の屈曲した後端部11Bをカウル部4のカウルパネルの前端部に複数のクリップで固定してある。そして、上壁13の車両後方側の後半部20(上壁13の屈曲点Pよりも車両後方側の上壁部分)の裏面20Uから突出する係合部21を、カウル部4のカウルトップパネル15の前端部に設けた係合孔22(被係合部に相当)に上方から係合させてある。また、前記後半部20の車両後方側の端部23(後端部23)と、この後端部23の裏面(後半部20の裏面20U)に設けた車幅方向に所定の間隔を空けて並ぶ多数の断面L字状の係合爪24との間にフロントガラス3の下端部を挿入して、前記後端部23と係合爪24とでフロントガラス3の下端部を挟み込んである。
【0020】
カウルトップガーニッシュ1の上壁13には、ウィンドウォッシャー液を吐出する左右一対のノズル25を設け、両ノズル25間に通気用のベンチレータ開口部26を設けてある。ベンチレータ開口部26は車幅方向に並ぶ車両前後方向に細長い多数の孔26Hから成り、自動車の左右中心よりも車幅方向一方側(車体左側)に位置している(図1参照)。そして、前記左右中心側の孔ほど車両前後方向の長さが短くなっている。最も短い孔は自動車の左右中心の近くに位置し、最も長い孔は一方のノズル25と前記左右中心との中間に位置している。
【0021】
カウルトップガーニッシュ1の前壁12にも車幅方向に並ぶ車両前後方向に細長い多数の孔から成る通気用の開口部27を設けてある。この開口部27はベンチレータ開口部26よりも車幅方向に長い範囲にわたって形成してあり、自動車の左右中心よりも車幅方向一方側(車体左側)に位置している(図2参照)。
【0022】
図2にカウルトップガーニッシュ1の全体図を示してある。符号28の大きな孔はワイパー5の支持軸を挿通させるワイパー孔である。この図に示すように、ノズル25にウィンドウォッシャー液を供給するウォッシャホースHをカウルトップガーニッシュ1の下壁11の車幅方向の一端部から引き込んである。
【0023】
図3にカウルトップガーニッシュ1を裏側から見た図を示してある。ウォッシャホースHはカウルトップガーニッシュ1の上壁13の裏面(前記後半部20の裏面20U)側を車幅方向に這っており、ガタつきを抑えるためにウォッシャホースHの複数箇所を、上壁13の車両前方側Frの前半部40(上壁13の屈曲点Pよりも車両前方側Frの上壁部分)に形成した複数の係合片29,30に係合させてある。係合片29,30のうちの一つの係合片29はベンチレータ開口部26の最も長い孔の車両後方側に位置し、ウォッシャホースHを車両前方側Frから受け止め支持している。別の一つの係合片30はワイパー5孔の車両前方側Frに位置し、ウォッシャホースHを車両後方側から受け止め支持している。
【0024】
図3,図4(a),図4(b)に示すように、カウルトップガーニッシュ1の上壁13の車両後方側の後半部20の裏側に配置したウォッシャホースHを前記後半部20と共に挟持する挟持部31を係合部21に設け、係合部21がカウルトップパネル15の係合孔22に係合すると、挟持部31にウォッシャホースHに対する挟持力が生じるよう構成してある。
【0025】
すなわち、前記挟持部31に、カウルトップパネル15に当接する当接部32を設け、係合部21が係合孔22に係合すると、カウルトップガーニッシュ1の自重による反力で当接部32がカウルトップパネル15から押圧されて挟持部31に前記挟持力が生じるようにしてある。
【0026】
挟持部31は車幅方向で前記二つの係合片29,30の間に位置し、詳しくは、ウォッシャホースHがベンチレータ開口部26を迂回するように、ベンチレータ開口部26よりも車幅方向外側でかつ車両後方側に位置している。これにより、ベンチレータ開口部26からウォッシャホースHが見えないようにしてある。
【0027】
図4(a),図4(b)に示すように、前記上壁13の後半部20の裏面20Uと、この裏面20Uに対向する挟持部31の挟持面31Kとの間隔をウォッシャホースHの径よりも小さく設定し、ウォッシャホースHを前記後半部20の裏面20Uと挟持面31Kとの間に、前記後半部20の弾性力に抗して挿入してある。
【0028】
前記挟持面31Kには、ウォッシャホースHを嵌合させる縦断面半円形状の嵌合凹部33を形成してある。また、前記係合部21を車幅方向に間隔を空けて並ぶ複数のリブ34で構成し、前記後半部20の裏面に対向する対向部35を複数のリブ34の車両前方側Frの端縁34Tに架け渡してある。複数のリブ34は前記係合爪24よりも車両前方側Frに位置し、各リブ34の車両後方側の端縁の基端は係合爪24の基端と車両前後方向でほぼ同一位置に位置している。
【0029】
そして、前記対向部35よりも上方に位置する複数のリブ34の車両前方側Frの端縁34Tと、上壁13の後半部20の裏面20Uと対向する前記対向部35の対向面35Mとを前記挟持部31の挟持面31Kに構成し、前記対向部35と前記後半部20が対向する方向で、対向面35Mとは反対側の対向部35の面を前記当接部32の当接面32Mに構成してある。
【0030】
前記当接面32Mは、前記対向部35と上壁13の後半部20とが対向する方向で係合部21の下端部よりもカウルトップガーニッシュ1の上壁13側に位置している。対向部35よりも下方に位置する複数のリブ34の車両前方側Frの端縁34Tにも板状の壁部36を架け渡し、この壁部36を対向部35に連ならせてある。この壁部36と当接面32Mとは直角(又はほぼ直角)を成している。
【0031】
対向部35の前下方側の前端部は上壁13の屈曲点Pの近くに位置し、この前端部には、ウォッシャホースHを前記後半部20の裏面20Uと挟持面31Kとの間にガイドする傾斜したガイド面37を形成してある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】自動車の前部の斜視図
【図2】カウルトップガーニッシュの全体図
【図3】カウルトップガーニッシュを裏側から見た図
【図4】(a)は図3のA−A断面図(b)は図4(a)のカウルトップガーニッシュの係合部の拡大断面図
【図5】自動車の全体斜視図
【図6】フロントフードを開いた状態の自動車の前部を示す図
【符号の説明】
【0033】
2 フロントフード
3 フロントガラス
15 カウルトップパネル
20 車両後方側の後半部
20U 後半部の裏面
21 係合部
22 被係合部(係合孔)
26 ベンチレータ開口部
31 挟持部
31K 挟持面
32 当接部
32M 当接面
33 嵌合凹部
34 リブ
34T リブの車両前方側の端縁
35 対向部
35M 対向面
H ウォッシャホース
Fr 車両前方側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントフードとフロントガラスの間に配置され、車両後方側の後半部の裏面から突出する係合部がカウルトップパネルの被係合部に係合するカウルトップガーニッシュであって、
前記後半部の裏側に配置したウォッシャホースを前記後半部と共に挟持する挟持部を前記係合部に設け、
前記係合部が前記被係合部に係合すると、前記挟持部に前記ウォッシャホースに対する挟持力が生じるカウルトップガーニッシュ。
【請求項2】
前記挟持部に、前記カウルトップパネルに当接する当接部を設け、
前記係合部が前記被係合部に係合すると、前記当接部が前記カウルトップパネルから押圧されて前記挟持部に前記挟持力が生じる請求項1記載のカウルトップガーニッシュ。
【請求項3】
自重による反力で前記当接部が前記カウルトップパネルから押圧される請求項2記載のカウルトップガーニッシュ。
【請求項4】
前記係合部を車幅方向に間隔を空けて並ぶ複数のリブで構成し、
前記後半部の裏面に対向する対向部を前記複数のリブの車両前方側の端縁に架け渡し、
前記対向部よりも上方に位置する前記複数のリブの車両前方側の端縁と、前記後半部の裏面と対向する前記対向部の対向面とを前記挟持部の挟持面に構成し、
前記対向部と前記後半部が対向する方向で、前記対向面とは反対側の前記対向部の面を前記当接部の当接面に構成してある請求項2又は3に記載のカウルトップガーニッシュ。
【請求項5】
前記後半部の裏面と、この裏面に対向する前記挟持部の挟持面との間隔を前記ウォッシャホースの径よりも小さく設定し、
前記ウォッシャホースを前記後半部の裏面と挟持面との間に、前記後半部の弾性力に抗して挿入してある請求項1〜4のいずれか一つに記載のカウルトップガーニッシュ。
【請求項6】
前記挟持面に、前記ウォッシャホースを嵌合させる嵌合凹部を形成してある請求項5記載のカウルトップガーニッシュ。
【請求項7】
前記ウォッシャホースがベンチレータ開口部を迂回するように前記挟持部を配置して、前記ベンチレータ開口部から前記ウォッシャホースが見えないようにしてある請求項1〜6のいずれか一つに記載のカウルトップガーニッシュ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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