説明

カッターローラ、切込み付き長尺フィルムの製造方法及び切込み付き袋体の製造方法

【課題】 長尺フィルムや袋体等の縁部に複数の切込みを簡単な装置によって適切に形成できるようにし、簡単に切断できる長尺フィルムや袋体を簡単に製造できるようにする。
【解決手段】 ローラ10の外周面にその周方向に沿った切断用切刃11が設けられると共に、少なくともこの切断用切刃の一部において軸方向に突出した切込み用切刃12が設けられたカッターローラA1,A2を用い、カッターローラの切断用切刃によって長尺状のフィルム材30をその送り方向に沿って切断させると共に、切断された長尺状のフィルム材の縁部に上記の切込み用切刃によって切込み31を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カッターローラ及びこのカッターローラを用いて縁部に切込みが設けられた切込み付き長尺フィルムや切込み付き袋体を製造する方法に関するものであり、テープ等の長尺フィルムや袋体の縁部に多くの切込みを簡単且つ適切に形成できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、袋体等を簡単に切断して開封できるようにするため、袋体等において熱融着させた縁部の一部に切込みを設けることが行われている。
【0003】
しかし、このように袋体等の縁部の一部に切込みを設けただけでは、この切込みの箇所を発見することが困難であったり、またこの切込みの箇所が必ずしも適切な位置にあるとはいえず、何れの場合においても、袋体等を簡単に切断して開封させることが困難になるという問題があった。
【0004】
このため、近年においては、袋体において熱融着させた縁部に多数の傷痕を形成するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0005】
ここで、このように熱融着させた縁部に多数の傷痕が形成された袋体を製造するにあたっては、熱融着された部分に傷痕を形成する工程と、熱融着された部分を切断させて各袋体に分離させる工程とを別々に行うようにしていた。例えば、特許文献3に示されるものにおいては、円周面上に微細な突起が多数形成された回転する丸刃と、フィルムをスリットする刃物とを用い、これらを一体に取り付け、上記の丸刃によって熱融着された部分に傷痕を形成し、その後、上記の刃物によって熱融着された部分を切断させるようにしている。
【0006】
しかし、このように円周面上に微細な突起が多数形成された回転する丸刃とフィルムをスリットする刃物とを用い、熱融着された部分に傷痕を形成する工程と、熱融着された部分を切断させて各袋体に分離させる工程とを別々に行うことは面倒であると共に、装置が複雑化してコストが高くつくという問題があった。
【0007】
また、上記のように円周面上に微細な突起が多数形成された回転する丸刃とフィルムをスリットする刃物とを用いる場合、上記の丸刃の位置と刃物の位置とを適切に設定しないと、上記の丸刃によって形成された傷痕が熱融着された袋体の縁部からずれた位置に形成されるようになり、袋体の切断が困難になるという問題もあった。
【特許文献1】特許第2731474号公報
【特許文献2】特開平9−19898号公報
【特許文献3】特開2004−34598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、簡単に切断できるようになった袋体等を製造する場合における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、テープ等の長尺フィルムや袋体等の縁部に複数の切込みを簡単な装置によって適切に形成できるようにし、簡単に切断できる切込み付き長尺フィルムや切込み付き袋体を簡単に製造できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、ローラの外周面にその周方向に沿った切断用切刃が設けられると共に、少なくともこの切断用切刃の一部において軸方向に突出した切込み用切刃が設けられたカッターローラを用いるようにした。
【0010】
ここで、上記のカッターローラにおいては、上記の周方向に沿った切断用切刃を軸方向に凹凸状に形成すると共に、上記の切断用切刃に軸方向に突出して設けられる切込み用切刃を上記の切断用切刃の凸部の頂部から凸方向に突出させるように設けるようにしたり、さらに上記の切断用切刃をローラの外周面に複数設けると共に、隣り合う切断用切刃の対向する少なくとも一方に、軸方向に突出した切込み用切刃を複数設けるようにすることができる。
【0011】
そして、この発明において、上記のカッターローラを用いてテープ等の切込み付き長尺フィルムを製造するにあたっては、上記のカッターローラに長尺状のフィルム材を導き、このカッターローラに設けられた上記の切断用切刃によって長尺状のフィルム材をその送り方向に沿って切断させると共に、切断された長尺状のフィルム材の縁部にカッターローラに設けられた上記の切込み用切刃によって切込みを設けるようにする。
【0012】
また、この発明において、上記のカッターローラを用いて切込み付き袋体を製造する第1の方法では、2枚のフィルムが長手方向に沿って適当な幅で接着された接着部を有する長尺状のフィルム材を用い、この長尺状のフィルム材を上記のカッターローラに導き、この長尺状のフィルム材における上記の接着部の中間部分を上記のカッターローラに設けられた切断用切刃によって切断させると共に、切断された接着部の縁部にカッターローラに設けられた上記の切込み用切刃によって切込みを形成した後、上記の長尺状のフィルム材をその長手方向の適当な長さの位置で切断すると共に、切断された端部を接着させるようにする。
【0013】
また、この発明において、上記のカッターローラを用いて切込み付き袋体を製造する第2の方法では、2枚のフィルムが長手方向に沿って適当な幅で接着された接着部を有する長尺状のフィルム材を用い、この長尺状のフィルム材を上記のカッターローラに導き、この長尺状のフィルム材における上記の接着部の中間部分を上記のカッターローラに設けられた切断用切刃によって切断させると共に、切断された接着部の縁部にカッターローラに設けられた上記の切込み用切刃によって切込みを形成した後、上記の長尺状のフィルム材をその長手方向の適当な長さの位置で長手方向と交差する方向に第2接着部を設けると共に、この第2接着部の近傍において上記の長尺状のフィルム材をその長手方向と交差する方向に切断させるようにする。
【0014】
また、この発明において、上記のカッターローラを用いて切込み付き袋体を製造する第3の方法では、2枚のフィルムが長手方向に沿って適当な幅で接着された接着部が設けられると共にこの接着部と交差する方向に適当な幅になった第2接着部が長手方向に所要間隔を介して設けられた長尺状のフィルム材を用い、この長尺状のフィルム材を上記のカッターローラに導き、この長尺状フィルム材における上記の接着部の中間部分を上記のカッターローラに設けられた切断用切刃によって切断させると共に、切断された接着部の縁部にカッターローラに設けられた上記の切込み用切刃によって切込みを形成し、さらにこの長尺状フィルム材を上記の第2接着部の近傍においてその長手方向の適当な長さの位置で切断させるようにする。
【0015】
また、上記のように切込み付き袋体を製造するにあたり、長尺状フィルム材をその長手方向の適当な長さの位置で切断させるにあたっては、上記のカッターローラに軸方向に伸びた分断用切刃を設け、この分断用切刃により上記の長尺状のフィルム材をその幅方向に切断させることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明においては、上記のようにローラの外周面にその周方向に沿った切断用切刃が設けられると共に、少なくともこの切断用切刃の一部において軸方向に突出した切込み用切刃が設けられたカッターローラを用いるようにしたため、カッターローラに設けられた上記の切断用切刃によって長尺状のフィルム材をその送り方向に沿って切断させると共に、このように切断された長尺状のフィルム材の縁部にカッターローラに設けられた上記の切込み用切刃によって同時に切込みを形成することができるようになる。
【0017】
このため、この発明においては、縁部に複数の切込みが形成されたテープ等の長尺フィルムや袋体を製造するにあたり、従来のように装置が複雑化してコストが高くつくということがなく、また複数の切込みが長尺フィルムや袋体の縁部からずれたりすることなく、長尺フィルムや袋体の縁部に適切に形成されるようになり、上記のカッターローラを用いて、簡単に切断できるテープ等の長尺フィルムや袋体を簡単に安定して製造できるようになる。
【0018】
また、この発明におけるカッターローラにおいて、上記の周方向に沿った切断用切刃を軸方向に凹凸状に形成すると共に、上記の切断用切刃に軸方向に突出して設けられる切込み用切刃を上記の切断用切刃の凸部の頂部から凸方向に突出させるように設けると、このカッターローラにおける上記の切断用切刃により長尺状のフィルム材をその送り方向に沿って切断させると共に、切断された長尺状のフィルム材の縁部に上記の切込み用切刃により切込みを形成した場合、切断された長尺状のフィルム材の縁部が上記の切断用切刃とは反対の凹凸状に形成されると共に、この長尺状のフィルム材の縁部における凹部の底部から内方に複数の切込みが形成されるようになる。
【0019】
この結果、上記のカッターローラを用いて、縁部に複数の切込みが形成されたテープ等の長尺フィルムや袋体を製造した場合、これらの縁部における凹部の底部から内方に向かう複数の切込みが形成されるようになり、この長尺フィルムや袋体を切断させる場合に、この切込みの部分に力が集中して、テープ等の長尺フィルムや袋体をより簡単に切断できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態に係るカッターローラ及びこのカッターローラを用いて、テープ等の切込み付き長尺フィルムや切込み付き袋体を製造する方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係るカッターローラ、切込み付き長尺フィルムの製造方法及び切込み付き袋体の製造方法は、下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1におけるカッターローラA1においては、図1に示すように、ローラ10の外周面に周方向に沿った直線状の切断用切刃11をローラ10の幅方向に所要間隔を介して複数(図に示す例では4つ)設けると共に、幅方向両側の各切断用切刃11においては、それぞれ軸方向の中央に向けて片側に突出した切込み用切刃12を周方向に適当な間隔で切断用切刃11全体に設けると共に、上記の幅方向両側の切断用切刃11の間に位置する各切断用切刃11においては、それぞれ軸方向両側に突出した切込み用切刃12を周方向に適当な間隔で切断用切刃11全体に設けている。
【0022】
そして、この実施形態に係るカッターローラA1を用いてテープ等の切込み付き長尺フィルムB1を製造するにあたっては、図2及び図3に示すように、このカッターローラA1と受けローラ20との間に幅広の長尺状のフィルム材30を導き、このカッターローラA1に設けた上記の各切断用切刃11により上記の長尺状のフィルム材30をその送り方向に沿って所定の幅に切断させると共に、カッターローラA1に設けられた上記の切込み用切刃12によって切込み31を設けるようにする。
【0023】
このようにすると、図4に示すように、幅方向の両側の縁部の全長にわたって適当な間隔で切込み31が設けられた長尺フィルムB1が同時に複数本(図に示す例では3本)製造される。
【0024】
また、この実施形態に係るカッターローラA1を用いて切込み付き袋体C1を製造するにあたっては、図5に示すように、2枚のフィルム30aを長手方向に沿ってヒートシール等により適当な幅で接着させた接着部32が複数列(図に示す例では4列)設けられた幅広になった長尺状のフィルム材30を用いるようにする。そして、この長尺状のフィルム材30を前記のように上記のカッターローラA1と受けローラ20との間に導き、図6に示すように、上記のカッターローラA1に設けた各切断用切刃11により上記の長尺状のフィルム材30における各接着部32の中間部分をその送り方向に沿って切断させると共に、このカッターローラA1に設けられた上記の切込み用切刃12によって上記の接着部32に切込み31を形成する。
【0025】
このようにすると、図7に示すように、幅方向の両側の縁部における接着部32の全長にわたって適当な間隔で切込み31が設けられた袋体用長尺フィルム33が同時に複数本(図に示す例では3本)得られる。
【0026】
その後は、上記の袋体用長尺フィルム33を、図8に示すように、適当な長さに切断させると共に、このように切断された端部をヒートシール等により適当な幅で接着させて第2接着部34を形成することにより切込み付き袋体C1を製造することができる。
【0027】
なお、上記の方法では、上記の袋体用長尺フィルム33を適当な長さに切断させると共に、このように切断された端部をヒートシール等により適当な幅で接着させて第2接着部34を形成するようにしたが、上記の袋体用長尺フィルム33の適当な長さの位置において、この袋体用長尺フィルム33をその長手方向と交差する方向にヒートシール等により適当な幅になった第2接着部34を形成すると共に、この第2接着部34の近傍において第2接着部34を含まない位置で、上記の袋体用長尺フィルム33をその長手方向と交差する方向に切断させて、切込み付き袋体C1を製造することもできる。
【0028】
また、この実施形態に係るカッターローラA1を用いて別の方法で切込み付き袋体C1を製造するにあたっては、図9に示すように、2枚のフィルム30aを長手方向に沿ってヒートシール等により適当な幅で接着させた接着部32が複数列(図に示す例では4列)設けられると共に、この接着部32と交差する方向に適当な幅になった第2接着部34が長手方向に所要間隔を介して設けられた長尺状のフィルム材30を用い、この長尺状のフィルム材30を前記のように上記のカッターローラA1と受けローラ20との間に導き、上記のようにカッターローラA1に設けられた各切断用切刃11により上記の長尺状のフィルム材30における各接着部32の中間部分をその送り方向に沿って切断させると共に、このカッターローラA1に設けられた上記の切込み用切刃12によって上記の接着部32に切込み31を形成する。
【0029】
このようにすると、図10に示すように、幅方向の両側の縁部における接着部32の全長にわたって適当な間隔で切込み31が設けられると共に上記の接着部32と交差する方向の第2接着部34が長手方向に所要間隔を介して設けられた袋体用長尺フィルム33が複数本(図に示す例では3本)得られる。
【0030】
その後は、上記の袋体用長尺フィルム33を、上記の第2接着部34の近傍において、この第2接着部34を含まない位置で切断させて、上記の場合と同様の切込み付き袋体C1を製造することができる。
【0031】
また、上記のように袋体用長尺フィルム33を適当な長さに切断させるにあたっては、図11に示すように、上記のカッターローラA1の外周面に軸方向に伸びた分断用切刃13を設け、この分断用切刃13によって上記の袋体用長尺フィルム33を幅方向に切断させるようにすることができる。そして、前記のように第2接着部34が予め設けられた袋体用長尺フィルム33の場合には、この袋体用長尺フィルム33を上記の分断用切刃13によって、上記の第2接着部34の近傍において、この第2接着部34を含まない位置で切断させることにより、上記の長尺状のフィルム材30から切込み付き袋体C1を一つの工程で簡単に製造できるようになる。
【0032】
また、この実施形態におけるカッターローラA1においては、切断用切刃11から軸方向に突出した切込み用切刃12を切断用切刃11全体に所要間隔で設け、上記の切込み付き長尺フィルムB1や切込み付き袋体C1の幅方向の端部全体に切込み31を形成するようにしたが、図12に示すように、切込み用切刃12を切断用切刃11の周方向の一部にだけ設け、特に切断を行うのに使用する部分にだけ切込み31を形成することも可能である。
【0033】
また、この実施形態におけるカッターローラA1においては、上記のように幅方向両側の各切断用切刃11にそれぞれ軸方向の中央に向けて片側に突出した切込み用切刃12を設けると共に、上記の幅方向両側の切断用切刃11の間に位置する各切断用切刃11にそれぞれ軸方向両側に突出した切込み用切刃12を設け、上記の切込み付き長尺フィルムB1や切込み付き袋体C1の幅方向両側の端部にそれぞれ切込み31を形成するようにしたが、図13に示すように、隣り合う切断用切刃11の対向する一方にだけ軸方向に突出した切込み用切刃12を設けたカッターローラA1を用い、上記の切込み付き長尺フィルムB1や切込み付き袋体C1の幅方向片側の端部にだけ切込み31を形成することも可能である。
【0034】
(実施形態2)
実施形態2におけるカッターローラA2においては、図14に示すように、ローラ10の外周面に周方向に沿った切断用切刃11を設けるにあたり、この切断用切刃11が軸方向に凹凸状になるようにジクザク状に形成し、このようにジクザク状になった切断用切刃11をローラ10の幅方向に所要間隔を介して複数(図に示す例では3つ)設けている。
【0035】
そして、上記のようにジクザク状になった幅方向両側の各切断用切刃11においては、それぞれ軸方向中央に向けて突出した各凸部11aの頂部からその凸方向である軸方向の中央に向けて突出した切込み用切刃12を設けると共に、上記の幅方向両側の切断用切刃11の間に位置する切断用切刃11においては、その軸方向両側においてそれぞれの凸部11aの頂部からその凸方向に突出した切込み用切刃12を設けている。
【0036】
そして、この実施形態に係るカッターローラA2を用いてテープ等の切込み付き長尺フィルムB2を製造するにあたっては、上記の実施形態1の場合と同様に、このカッターローラA2と受けローラ20との間に幅広の長尺状のフィルム材30を導き、図15に示すように、このカッターローラA2に設けられた上記のジクザク状になった切断用切刃11により、上記の長尺状のフィルム材30を所定の幅でその送り方向に沿ってそれぞれの端部がジクザク状になるように切断させると共に、ジクザク状になった切断用切刃11の凸部11aの頂部からその凸方向に突出した切込み用切刃12により切込み31を設けるようにする。
【0037】
このようにすると、図16に示すように、幅方向の両側の縁部がジクザク状に形成されると共に、このジクザク状になった縁部における各凹部35の底部から内方に向けて切込み31が設けられた長尺フィルムB2が同時に複数本(図に示す例では2本)製造される。
【0038】
また、この実施形態に係るカッターローラA2を用いて切込み付き袋体C2を製造するにあたっては、上記の実施形態1の場合と同様に、2枚のフィルム30aを長手方向に沿ってヒートシール等により適当な幅で接着させた接着部32が複数列設けられた幅広になった長尺状のフィルム材30を用いるようにする。なお、この実施形態2においては、ジクザク状になった切断用切刃11が3つであるため、図17に示すように、上記の接着部32を3列設けるようにしている。
【0039】
そして、この長尺状のフィルム材30を前記のように上記のカッターローラA2と受けローラ20との間に導き、図17に示すように、上記のカッターローラA2におけるジクザク状になった各切断用切刃11により上記の長尺状のフィルム材30における各接着部32の中間部分をその送り方向に沿って切断させると共に、このカッターローラA2に設けられた上記の切込み用切刃12によって上記の接着部32に切込み31を形成する。
【0040】
このようにすると、図18に示すように、幅方向の両側における接着部32の縁部が長手方向に沿ってジクザク状に形成されると共に、このジクザク状になった縁部における各凹部35の底部から内方に向けて切込み31が設けられた袋体用長尺フィルム33が同時に複数本(図に示す例では2本)製造される。
【0041】
その後は、上記の袋体用長尺フィルム33を、図19に示すように、適当な長さに切断させると共に、このように切断された端部をヒートシール等により適当な幅で接着させて第2接着部34を形成することによって切込み付き袋体C2を製造することができる。
【0042】
なお、上記の方法では、上記の袋体用長尺フィルム33を適当な長さに切断させると共に、このように切断された端部をヒートシール等により適当な幅で接着させて第2接着部34を形成するようにしたが、上記の袋体用長尺フィルム33の適当な長さの位置において、この袋体用長尺フィルム33をその長手方向と交差する方向にヒートシール等により適当な幅になった第2接着部34を形成すると共に、この第2接着部34の近傍において第2接着部34を含まない位置で、上記の袋体用長尺フィルム33をその長手方向と交差する方向に切断させて、切込み付き袋体C2を製造することもできる。
【0043】
また、この実施形態に係るカッターローラA2を用いて別の方法で切込み付き袋体C2を製造するにあたっては、図20に示すように、2枚のフィルム30aを長手方向に沿ってヒートシール等により適当な幅で接着させた接着部32が複数列(図に示す例では3列)設けられると共に、この接着部2と交差する方向に適当な幅になった第2接着部34が長手方向に所要間隔を介して設けられた長尺状のフィルム材30を用い、この長尺状のフィルム材30を前記のように上記のカッターローラA2と受けローラ20との間に導き、上記のようにカッターローラA2に設けられたジクザク状になった各切断用切刃11により上記の長尺状のフィルム材30における各接着部32の中間部分をその送り方向に沿って切断させると共に、このカッターローラA2に設けられた上記の切込み用切刃12によって上記の接着部32に切込み31を形成する。
【0044】
このようにすると、図21に示すように、幅方向の両側における接着部32の縁部が長手方向に沿ってジクザク状に形成され、このジクザク状になった縁部における各凹部35の底部から内方に向けて切込み31が設けられると共に、上記の接着部32と交差する方向の第2接着部34が長手方向に所要間隔を介して設けられた袋体用長尺フィルム33が複数本(図に示す例では2本)得られる。
【0045】
その後は、上記の袋体用長尺フィルム33を上記の第2接着部34の近傍において、この第2接着部34を含まない位置で切断させて、上記の場合と同様の切込み付き袋体C2を製造することができる。
【0046】
また、上記のように袋体用長尺フィルム33を適当な長さに切断させるにあたっては、図22に示すように、上記のカッターローラA2の外周面に軸方向に伸びた分断用切刃13を設け、この分断用切刃13によって上記の袋体用長尺フィルム33を幅方向に切断させるようにすることができる。そして、前記のように第2接着部34が予め設けられた袋体用長尺フィルム33の場合には、この袋体用長尺フィルム33を上記の分断用切刃13によって、上記の第2接着部34の近傍において、この第2接着部34を含まない位置で切断させることにより、上記の長尺状のフィルム材30から切込み付き袋体C2を一つの工程で簡単に製造できるようになる。
【0047】
また、この実施形態におけるカッターローラA2においては、ジクザク状になった各切断用切刃11の少なくとも片側において、それぞれ軸方向に突出した各凸部11aの頂部からその凸方向に向けて突出した切込み用切刃12を設け、上記の切込み付き長尺フィルムB2や切込み付き袋体C2の幅方向の端部全体に切込み31を形成するようにしたが、図23に示すように、軸方向に突出した一部の凸部11aの頂部だけからその凸方向に向けて突出した切込み用切刃12を設け、特に切断を行うのに使用する部分にだけ切込み31を形成することも可能である。
【0048】
また、この実施形態におけるカッターローラA2においては、上記のようにジクザク状になった幅方向両側の各切断用切刃11において、それぞれ軸方向中央に向けて突出した凸部11aの頂部からその凸方向である軸方向の中央に向けて突出した切込み用切刃12を設けると共に、上記の幅方向両側の切断用切刃11の間に位置する切断用切刃11において、その軸方向両側においてそれぞれの凸部11aの頂部からその凸方向に突出した切込み用切刃12を設け、上記の切込み付き長尺フィルムB2や切込み付き袋体C2の幅方向両側の端部にそれぞれ切込み31を形成するようにしたが、図24に示すように、隣り合う切断用切刃11の対向する一方にだけ凸部11aの頂部からその凸方向に突出した切込み用切刃12を設けたカッターローラA2を用い、上記の切込み付き長尺フィルムB2や切込み付き袋体C2の幅方向片側の端部にだけ切込み31を形成することも可能である。
【0049】
また、この実施形態におけるカッターローラA2においては、上記のようにローラ10の外周面に周方向に沿った切断用切刃11を軸方向に凹凸状になるように設けるにあたり、この切断用切刃11を周方向に沿ってジクザク状に形成したが、特にこのようなジクザク状に限定されず、例えば、この切断用切刃11を周方向に沿って波形状や鋸歯状に形成することも可能である。
【0050】
なお、上記の実施形態1,2におけるカッターローラA1,A2において、上記の切断用切刃11から軸方向に突出させる切込み用切刃12の長さは特に限定されず、この切込み用切刃12によって形成された切込み31が切断時における起点となる程度の長さであればよく、この切込み用切刃12の長さは0.2mm程度あれば充分である。
【0051】
また、上記の実施形態1,2におけるカッターローラA1,A2においては、切断用切刃11から切込み用切刃12を軸方向に平行に突出させるようにしたが、この切込み用切刃12を軸方向に対して傾斜させて突出させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の実施形態1に係るカッターローラの概略平面図である。
【図2】上記の実施形態1に係るカッターローラを用いて切込み付き長尺フィルムを製造する状態を示した概略側面図である。
【図3】上記の実施形態1に係るカッターローラを用いて切込み付き長尺フィルムを製造する状態を示した概略平面図である。
【図4】上記の実施形態1に係るカッターローラを用いて製造した切込み付き長尺フィルムの部分平面図である。
【図5】上記の実施形態1に係るカッターローラを用いて切込み付き袋体を製造する場合に使用する長尺状のフィルム材の断面説明図である。
【図6】上記の実施形態1に係るカッターローラを用いて、切込み付き袋体の途中の段階における袋体用長尺フィルムを製造する状態を示した概略平面図である。
【図7】図6に示す方法で製造された袋体用長尺フィルムの部分平面図である。
【図8】図7に示す袋体用長尺フィルムを用いて切込み付き袋体を製造する状態を示した概略平面図である。
【図9】上記の実施形態1に係るカッターローラを用いて、袋体用長尺フィルムを製造する他の例を示した概略平面図である。
【図10】図9に示す方法で製造された袋体用長尺フィルムの部分平面図である。
【図11】上記の実施形態1に係るカッターローラの第1の変更例を示した概略平面図である。
【図12】上記の実施形態1に係るカッターローラの第2の変更例を示した概略平面図である。
【図13】上記の実施形態1に係るカッターローラの第3の変更例を示した概略平面図である。
【図14】この発明の実施形態2に係るカッターローラの概略平面図である。
【図15】上記の実施形態2に係るカッターローラを用いて切込み付き長尺フィルムを製造する状態を示した概略平面図である。
【図16】上記の実施形態2に係るカッターローラを用いて製造した切込み付き長尺フィルムの部分平面図である。
【図17】上記の実施形態2に係るカッターローラを用いて、切込み付き袋体の途中の段階における袋体用長尺フィルムを製造する状態を示した概略平面図である。
【図18】図17に示す方法で製造された袋体用長尺フィルムの部分平面図である。
【図19】図18に示す袋体用長尺フィルムを用いて切込み付き袋体を製造する状態を示した概略平面図である。
【図20】上記の実施形態2に係るカッターローラを用いて、袋体用長尺フィルムを製造する他の例を示した概略平面図である。
【図21】図20に示す方法で製造された袋体用長尺フィルムの部分平面図である。
【図22】上記の実施形態2に係るカッターローラの第1の変更例を示した概略平面図である。
【図23】上記の実施形態2に係るカッターローラの第2の変更例を示した概略平面図である。
【図24】上記の実施形態2に係るカッターローラの第3の変更例を示した概略平面図である。
【符号の説明】
【0053】
A1,A2 カッターローラ
B1,B2 切込み付き長尺フィルム
C1,C2 切込み付き袋体
10 ローラ
11 切断用切刃
11a 凸部
12 切込み用切刃
13 分断用切刃
20 受けローラ
30 長尺状のフィルム材
31 切込み
32 接着部
33 袋体用長尺フィルム
34 第2接着部
35 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラの外周面にその周方向に沿った切断用切刃が設けられると共に、少なくともこの切断用切刃の一部において軸方向に突出した切込み用切刃が複数設けられていることを特徴とするカッターローラ。
【請求項2】
請求項1に記載したカッターローラにおいて、上記の周方向に沿った切断用切刃が軸方向に凹凸状に形成されると共に、上記の切断用切刃に軸方向に突出して設けられる切込み用切刃が上記の切断用切刃の凸部の頂部から凸方向に突出して設けられていることを特徴とするカッターローラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載したカッターローラにおいて、上記の切断用切刃がローラの外周面に複数設けられると共に、隣り合う切断用切刃の対向する少なくとも一方に、軸方向に突出した切込み用切刃が複数設けられていることを特徴とするカッターローラ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載したカッターローラに長尺状のフィルム材を導き、このカッターローラに設けられた上記の切断用切刃によって上記の長尺状のフィルム材をその送り方向に沿って切断させると共に、切断された長尺状のフィルム材の縁部にカッターローラに設けられた上記の切込み用切刃によって切込みを形成することを特徴とする切込み付き長尺フィルムの製造方法。
【請求項5】
2枚のフィルムが長手方向に沿って適当な幅で接着された接着部を有する長尺状のフィルム材を用い、この長尺状のフィルム材を上記の請求項1〜3の何れか1項に記載したカッターローラに導き、この長尺状のフィルム材における上記の接着部の中間部分を上記のカッターローラに設けられた切断用切刃によって切断させると共に、切断された接着部の縁部にカッターローラに設けられた上記の切込み用切刃によって切込みを形成した後、上記の長尺状のフィルム材をその長手方向の適当な長さの位置で切断すると共に、切断された端部を接着させることを特徴とする切込み付き袋体の製造方法。
【請求項6】
2枚のフィルムが長手方向に沿って適当な幅で接着された接着部を有する長尺状のフィルム材を用い、この長尺状のフィルム材を上記の請求項1〜3の何れか1項に記載したカッターローラに導き、この長尺状のフィルム材における上記の接着部の中間部分を上記のカッターローラに設けられた切断用切刃によって切断させると共に、切断された接着部の縁部にカッターローラに設けられた上記の切込み用切刃によって切込みを形成した後、上記の長尺状のフィルム材をその長手方向の適当な長さの位置で長手方向と交差する方向に第2接着部を設けると共に、この第2接着部の近傍において上記の長尺状のフィルム材をその長手方向と交差する方向に切断させることを特徴とする切込み付き袋体の製造方法。
【請求項7】
2枚のフィルムが長手方向に沿って適当な幅で接着された接着部が設けられると共にこの接着部と交差する方向に適当な幅になった第2接着部が長手方向に所要間隔を介して設けられた長尺状のフィルム材を用い、この長尺状のフィルム材を上記の請求項1〜3の何れか1項に記載したカッターローラに導き、この長尺状のフィルム材における上記の接着部の中間部分を上記のカッターローラに設けられた切断用切刃によって切断させると共に、切断された接着部の縁部にカッターローラに設けられた上記の切込み用切刃によって切込みを形成し、さらにこの長尺状のフィルム材を上記の第2接着部の近傍においてその長手方向の適当な長さの位置で切断させることを特徴とする切込み付き袋体の製造方法。
【請求項8】
請求項5〜7の何れか1項に記載した切込み付き袋体の製造方法において、上記のカッターローラに軸方向に伸びた分断用切刃を設け、この分断用切刃によって上記の長尺状のフィルム材をその長手方向の適当な長さの位置で切断させることを特徴とする切込み付き袋体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−44808(P2007−44808A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231490(P2005−231490)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000205306)大阪シーリング印刷株式会社 (90)
【Fターム(参考)】