説明

カップリングレンズ及び光ピックアップ装置

【課題】光軸と直交する方向に小型で、高精度な成形レンズを提供する。
【解決手段】第1光学面を有する第1面と、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面とを備えた成形レンズにおいて、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部を有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状、又は、前記第1平坦部とさらに前記平面に対し前記第1平坦部と対称位置に第2平坦部とを有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状であることを特徴とする成形レンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は成形レンズ、成形レンズ金型、成形レンズの製造方法及び光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(従来の技術1)成形レンズとして、第1光学面を有する第1面と、第2光学面を有する第2面とを備え、さらに成形レンズの光軸を含む平面と略平行な1つ又は2つの平坦部を有し、第1光学面と第2光学面の外周形状が円形でないレンズが知られている。
【0003】
(従来の技術2)成形レンズ金型として、第1光学面を有する第1面と、第2光学面を有する第2面とを備え、光軸を含む平面と略平行な1つ又は2つの平坦部を有した成形レンズを成形する成形レンズ金型が知られている。
【0004】
(従来の技術3)成形レンズの製造方法として、第1光学面を有する第1面と、第2光学面を有する第2面とを備え、さらに、成形レンズの光軸を含む平面と略平行な1つ又は2つの平坦部を有した成形レンズを製造する方法が知られている。
【0005】
(従来の技術4)光源側より順に、半導体レーザー、カップリングレンズ、ミラー及び対物レンズを構成した光ピックアップ装置において、発散光を略平行光にするコリメータレンズを含むカップリングレンズは、光源側より第1光学面を有する第1面と、第2光学面を有する第2面とを有し、光軸を含む平面と略平行な平坦部がなく外側面が円形状をした光ピックアップ装置が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、(従来の技術1)の課題として、例えば、光ピックアップ装置のカップリングレンズとして適用する場合、非点収差の精度は透過波面収差で0.02(又は0.03)λrms以下が要求される。但し、λは光源としての半導体レーザーの波長で、例えば光情報記録媒体がDVDの場合はλ=650nm、CDの場合はλ=780nmである。成形レンズの第1面、第2面の各光学面に平坦部を設けると、成形加工時の内部ひずみ等が生じ、上記の要求精度を満たし難いという問題がある。
【0007】
第1発明の目的は、光軸と直交する方向に小型で、光学精度のよい、特に非点収差の少ない成形レンズを提供することにある。
【0008】
(従来の技術2)の課題として、成形レンズの光軸を含む平面と略平行な平坦部を有する成形レンズの成形レンズ金型は、高精度の成形レンズを製造できにくいという問題がある。
【0009】
第2発明の目的は、光軸と直交する方向に小型で、高精度で、特に非点収差のよい成形レンズを成形しやすい成形レンズ金型を提供することにある。
【0010】
(従来の技術3)の課題として、成形レンズの光軸を含む平面と略平行な平坦部を有する成形レンズは、光学面の一部が直線部を有するので精度よく成形するのが難しいという問題がある。
【0011】
第3発明の目的は、光軸と直交する方向に小型で、高精度で、特に、非点収差のよい成形レンズを成形できる成形レンズの製造方法を提供することにある。
【0012】
(従来の技術4)の課題として、光ピックアップ装置に用いる光源用カップリングレンズは光情報記録媒体と直交する方向の高さが高く、光ピックアップ装置の全体の高さも大きくなるという問題がある。
【0013】
第4発明の目的は、光情報記録媒体と直交する方向の高さを低く、また、高精度なカップリングレンズを備えた光ピックアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記第1の発明の目的は下記のいずれかの手段により達成できる。
【0015】
(1)第1光学面を有する第1面と、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面とを備えた成形レンズにおいて、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部を有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状、又は、前記第1平坦部とさらに前記平面に対し前記第1平坦部と対称位置に第2平坦部とを有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状であることを特徴とする成形レンズ。
【0016】
(2)第1光学面を有する第1面と、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面とを備えた成形レンズにおいて、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部を有し且つ前記第1光学面で少なくとも成型加工時の光学誤差が補正、又は、前記第1平坦部とさらに前記平面に対し前記第1平坦部と対称位置に第2平坦部とを有し且つ前記第1光学面で少なくとも成型加工時の光学誤差が補正されることを特徴とする成形レンズ。
【0017】
上記第2の発明の目的は下記のいずれかの手段により達成できる。
【0018】
(3)第1光学面を有する第1面と、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面とを備えた成形レンズの成形レンズ金型において、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部を有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状である成形レンズ、又は、前記第1平坦部とさらに前記平面に対し前記第1平坦部と対称位置に第2平坦部とを有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状である成形レンズを成形する金型であることを特徴とする成形レンズ金型。
【0019】
(4)第1光学面を有する第1面と、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面とを備えた成形レンズの成形レンズ金型において、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部を有し且つ前記第1光学面で少なくとも成型加工時の光学誤差を補正される成形レンズ、又は、前記第1平坦部とさらに前記平面に対し前記第1平坦部と対称位置に第2平坦部とを有し且つ前記第1光学面で少なくとも成型加工時の光学誤差を補正される成形レンズを成形する金型であることを特徴とする成形レンズ金型。
【0020】
上記第3の発明の目的は下記のいずれかの手段により達成できる。
【0021】
(5)前記(1)に記載の成形レンズを前記(3)に記載の成形レンズ金型により製造することを特徴とする成形レンズの製造方法。
【0022】
(6)前記(2)に記載の成形レンズを前記(4)に記載の成形レンズ金型により製造することを特徴とする成形レンズの製造方法。
【0023】
上記第4の発明の目的は下記の手段により達成できる。
【0024】
(7)光源側より順に、半導体レーザー、カップリングレンズ、ミラー及び対物レンズの光学系を具備した光ピックアップ装置において、前記カップリングレンズは、前記(1)又は前記(2)に記載の成形レンズであり、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部は前記光学系が結像する位置にある光情報記録媒体の結像面と略平行であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【発明の効果】
【0025】
以上のように構成したので下記のような効果を奏する。
【0026】
本発明の成形レンズによれば、光軸と直交する方向に小型で、高精度なレンズとなる。
【0027】
本発明の成形レンズ金型によれば、光軸と直交する方向に小さく、且つ、光学精度のよい成形レンズを成形しやすくなる。
【0028】
本発明の成形レンズの製造方法によれば、光軸と直交する方向に小型で、高精度な成形レンズを製造できる。
【0029】
本発明の光ピックアップ装置によれば、光情報記録媒体と直交する方向の高さを低く、光学的に高精度な光源用カップリングレンズを有する光ピックアップ装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の成形レンズの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す成形レンズの各面と要部断面を示す図である。
【図3】成形レンズの第1、第2光学面の説明図である。
【図4】本発明の他の成形レンズの外観を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の成形レンズの外観を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の成形レンズの外観を示す斜視図である。
【図7】本発明の他の成形レンズの外観を示す斜視図である。
【図8】本発明の光ピックアップ装置の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の成形レンズ、成形レンズ金型、成形レンズの製造方法および光ピックアップ装置を図面を参照して説明する。
【0032】
なお、各図面において、Xは成形レンズの光軸方向、Yは光軸と直交する方向、ZはX方向とY方向とが互いに直交する方向をそれぞれ示すものとする。
【0033】
(第1の実施の形態)
実施の形態の成形レンズについて説明する。図1は成形レンズの外観を示す斜視図で、図2は図1に示す成形レンズの各面と要部断面を示す図で、詳しくは、成形レンズの背面図(a)、成形レンズのB−B断面図(b)、成形レンズの正面図(c)、成形レンズの底面図(d)、成形レンズのA−A断面図(e)をそれぞれ示している。また、図3は成形レンズの第1、第2光学面の説明図である。
【0034】
図1、2に示すように、成形レンズ1Aは、正のレンズで半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズである。この成形レンズ1Aは、第1光学面を有する第1面1aと、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面1bとを有している。
【0035】
第1面1aは第1光学面11aと第1光学面の外周である外周面12aがあり、第1光学面11aの外周形状は円形状になっている。また、この第1光学面11aで、成型加工時の光学誤差、金型の誤差等の補正を行っている。第2面1bは第2光学面11bと第2光学面の外周である外周面12bとがある。
【0036】
また、成形レンズ1Aは、光軸2を含む平面(Z方向)と略平行な第1平坦部1c、また、この平面に対し第1平坦部1cと対称位置に第2平坦部1dを有している。なお、図1で、高さH1は光軸2と第1平坦部1c間の距離を示し、高さH2は光軸2と第2平坦部1d間の距離を示している。成形レンズ1Aは、光軸2を含む平面(Z方向)と成形レンズ1Aの側壁の交差位置に成形のためのゲート口1gを設けている。
【0037】
ここで、第1光学面11a、第2光学面11bについて、さらに図3により一例をあげて説明すると、第1光学面11aは、外周形状が円形状になるように光学設計されている。
【0038】
また、成形レンズ1AのY方向では、図3(a)に示すように、半導体レーザーから出た光束は成形レンズであるカップリングレンズを最大開き角の角度θ1で入射する。一方、成形レンズ1AのZ方向では、図3(b)に示すように、半導体レーザーから出た光束はカップリングレンズを最大開角の角度θ2で入射する。なお、詳しくは後述するが、絞り(図8の26)の調整による光束が変化に対応できるように角度θ2は角度θ1より大きくなっている。
【0039】
以上の構成により、成形レンズは、主に半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズになる。詳しくは、第1光学面11aは円形状にして、成型加工時の光学誤差、金型の誤差等の補正を行いやすくして高精度にしている。また、第1平坦部1cにより、光学情報記録媒体と垂直な方向の高さを小さくできる。また、第2平坦部1dにより他の機構の設計スペースを確保し易くしている。Z方向には、絞り位置調整等で、成形レンズ1Aで光線がけられないようにしている。
【0040】
(第2の実施の形態)
実施の形態の他の成形レンズについて説明する。図4は本発明の他の成形レンズの外観を示す斜視図である。
【0041】
図4に示すように、成形レンズ1Bは、前述の成形レンズ1Aの第1平坦部1cのみ有するレンズである。同じ部分は同一符号を付け一部説明を省略する。
【0042】
成形レンズ1Bは、正のレンズで、主に半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズである。この成形レンズ1Bは、第1光学面を有する第1面1aと、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面1bとを備えている。
【0043】
第1面1aは第1光学面11aと第1光学面の外周である外周面12aがあり、第1光学面11aの外周形状は円形状にしてある。また、この第1光学面11aで、成形加工時の光学誤差、金型の誤差等の補正を行っている。
【0044】
以上の構成により、成形レンズ1Bは、主に半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズになる。詳しくは、第1光学面11aの外周形状は円形状にして、成型加工時の光学誤差、金型の誤差等の補正を行いやすくして高精度にしている。また、第1平坦部1cにより、光学情報記録媒体と垂直な方向の高さを小さくできる。Z方向には、絞り位置調整等で、成形レンズ1Bで光線がけられないようにしている。
【0045】
(第3の実施の形態)
実施の形態の他の成形レンズについて説明する。図5は本発明の他の成形レンズの外観を示す斜視図である。
【0046】
図5に示すように、成形レンズ1Cは、前述の成形レンズ1Aの外形が矩形状になったものである。同じ部分は同一符号を付け一部説明を省略する。
【0047】
成形レンズ1Cは、正のレンズで、主に半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズである。この成形レンズ1Cは、第1光学面を有する第1面1aと、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面1bとを備えている。
【0048】
第1面1aは第1光学面11aと第1光学面の外周である外周面12aがあり、第1光学面11aの外周形状は円形状にしてある。また、この第1光学面11aで、成型加工時の光学誤差、金型の誤差等の補正を行っている。
【0049】
第2面1bは第2光学面11bと第1光学面の外周である外周面12bがある。
【0050】
また、成形レンズ1Cには、第1平坦部1c、第2平坦部1dがあり、さらにZ方向に平坦部1e、1fがある。
【0051】
以上の構成により、成形レンズは、主に半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズになる。詳しくは、第1光学面11aの外周形状は円形状にして、成型加工時の光学誤差、金型の誤差等の補正を行いやすくし補正し高精度にしている。また、第1平坦部1cにより、光学情報記録媒体と垂直な方向の高さを小さくできる。また、第2平坦部1dにより他の機構の設計スペースを確保し易くしている。Z方向には、絞り位置調整等で、成形レンズ1Aで光線がけられないようにしている。
【0052】
(第4の実施の形態)
実施の形態の他の成形レンズについて説明する。図6は本発明の他の成形レンズの外観を示す斜視図である。
【0053】
図6に示すように、成形レンズ1Dは、正のレンズで、主に半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズである。
【0054】
この成形レンズ1Dは、第1光学面を有する第1面1aと、第1面1aと反対側に第2光学面を有する第2面1bとを備えている。第1面1aは第1光学面11aと第1光学面の外周である外周面12aがあり、この第1光学面11aで、成型加工時の光学誤差、金型の誤差等の補正を行っている。第2面1bは第1面1aと反対側の面であり、第2光学面のみあり外周面はない。また、成形レンズ1Dは、第1平坦部1cと第2平坦部1dが形成されている。
【0055】
以上の構成により、成形レンズ1Dは、主に半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズになる。また、第1平坦部1cにより、光学情報記録媒体と垂直な方向の高さを小さくできる。また、第2平坦部1dにより他の機構の設計スペースを確保し易くしている。Z方向には、絞り位置調整等で、成形レンズ1Dで光線がけられないようにしている。第1光学面11aの外周形状は円形状にして、成型加工時の光学誤差、金型の誤差等の補正を行いやすくして高精度にしている。
【0056】
(第5の実施の形態)
実施の形態の他の成形レンズについて説明する。図7は本発明の他の成形レンズの外観を示す斜視図である。
【0057】
図7に示すように、成形レンズ1Eは、外形が矩形状をした正のレンズで、主に半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズである。
【0058】
この成形レンズ1Eは、第1光学面を有する第1面1aと、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面1bとを備えている。第1面1aは第1光学面11aと第1光学面の外周である外周面12aがあり、この第1光学面11aで、成型加工時の光学誤差、金型の誤差等の補正を行っている。また、第2面1bは第1面1aと反対側の面であり、第2光学面11bと第2光学面の外周である外周面12bがある。また、成形レンズ1Eには、第1平坦部1c、第2平坦部1dがあり、さらにZ方向に平坦部1e、1fがある。
【0059】
以上の構成により、成形レンズ1Eは、主に半導体レーザー用のカップリングレンズに適したレンズになる。また、第1平坦部1cにより、光学情報記録媒体と垂直な方向の高さを小さくできる。また、第2平坦部1dにより他の機構の設計スペースを確保し易くしている。Z方向には、絞り位置調整等で、成形レンズ1Eで光線がけられないようにしている。
【0060】
ここで、本発明の成形レンズ金型は固定型と可動型で構成されている。成形レンズ金型は第1から第5の実施の形態等で説明した本発明の成形レンズを成形する金型である。成形レンズ金型は成形レンズの第1光学面を成形するコアの表面部分で、成形レンズの成型加工時の非点収差等の光学誤差を補正する。また、成形レンズ金型のコアは光軸に対し位相を変化させて固定可能であるが、成型レンズ1Eについては第1光学面の外周形状は円形状でないためコアは位相調整しない。さらに、第1光学面を成形する成形レンズ金型のコアの部分の表面形状は、成形レンズの光軸を含む平面と交差する部分の第1曲線と、前記平面と直交する面と交差する部分の第2曲線とは異なる曲線形状となっている。
【0061】
本発明の成形レンズの製造方法は前述の成形レンズ金型によりプラスチック材を成形し第1から第5の実施の形態で説明した成形レンズを製造する。
【0062】
(第6の実施の形態)
実施の形態の光ピックアップ装置について説明する。図8は光ピックアップ装置の概略構成を示す斜視図である。
【0063】
図8に示すように、光ピックアップ装置20は光情報記録媒体50を再生する装置である。光ピックアップ装置20は、光ピックアップユニット20A、装置駆動部22等で構成されている。
【0064】
光ピックアップユニット20Aは、半導体レーザー24、分岐プリズム28、カップリングレンズ、ミラー25、絞り26,対物レンズ27等の光学系で構成されている。半導体レーザー24はX方向に照射する。分岐プリズム28は45°半透明部を有し半導体レーザーからの光を通過させ、光情報記録媒体50からの反射光を45°曲げて受光部29に導く。成形レンズ1Aであるカップリングレンズは第1の実施の形態で説明したレンズで、半導体レーザー24側より順に第1面、第2面を有し、さらに第1平坦部1c、第2平坦部1dを有している。ミラー25はX方向の光束をY方向に反射させる。絞り26及び対物レンズ27は調整機構23によりZ方向に調整される。対物レンズ27は光束を光情報記録媒体50に結像させる。装置駆動部22は、光ピックアップユニット20AをZ方向に駆動する。光情報記録媒体50は、トラックTを有し、図示しない回転手段により回転される。
【0065】
成形レンズ1Aの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部1cは、光学系が結像する位置にある光情報記録媒体50の結像面と略平行となっている。この第1平坦部1cにより光軸と第1平坦部1cまでの寸法を小さくしている。従って、光情報記録媒体50と光ピックアップ装置の底面との高さH3は小さくでき、光ピックアップ装置を薄くコンパクトにできる。
【0066】
ここで、主な再生の動作について説明する。半導体レーザー24よりレーザー光をX方向に照射し、分岐プリズム28を通した後に、カップリングレンズで集光させ、ミラー25で光束をY方向に反射させ、さらに、絞り26を通し、対物レンズ27により光情報記録媒体50に結像させトラックTの情報を読みとる。絞り26及び対物レンズ27はZ方向に調整機構23により微調整されるが、成形レンズ1AはZ方向に調整機構23の移動に対応できる光速を持たせてあるので、光線のけられがない。
【0067】
光ピックアップユニット20Aは装置駆動部22によりZ方向に移動して、光情報記録媒体50のトラックTの情報を読み取り、受光部29で光電変換して再生する。
【0068】
なお、実施の形態では成形レンズ1Aを用いたが、カップリングレンズの上部スペースが不要の場合は成形レンズ1B(図4参照)でもよい。また、実施の形態では再生について説明したが、再生記録、又は記録のみでもよい。
【0069】
以上の構成により、光ピックアップ装置20は光情報記録媒体50と直交するY方向の高さH3を低くでき、また、高精度なカップリングレンズにより良好な光学系となる。
【符号の説明】
【0070】
1A、1B,1C,1D、1E 成形レンズ
1a 第1面
1b 第2面
11a 第1光学面
11b 第2光学面
1c 第1平坦部
1d 第2平坦部
1g ゲート口
2 光軸
20 光ピックアップ装置
H3 高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光学面を有する第1面と、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面とを備えた成形レンズにおいて、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部を有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状、又は、前記第1平坦部とさらに前記平面に対し前記第1平坦部と対称位置に第2平坦部とを有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状であることを特徴とする成形レンズ。
【請求項2】
前記第1光学面で、少なくとも成型加工時の光学誤差が補正されることを特徴とする請求項1に記載の成形レンズ。
【請求項3】
前記光学誤差の補正が非点収差の補正であることを特徴とする請求項2に記載の成形レンズ。
【請求項4】
前記成形レンズは、半導体レーザーの出射光の発散角を変換するカップリングレンズとして用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形レンズ。
【請求項5】
第1光学面を有する第1面と、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面とを備えた成形レンズにおいて、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部を有し且つ前記第1光学面で少なくとも成型加工時の光学誤差が補正、又は、前記第1平坦部とさらに前記平面に対し前記第1平坦部と対称位置に第2平坦部とを有し且つ前記第1光学面で少なくとも成型加工時の光学誤差が補正されることを特徴とする成形レンズ。
【請求項6】
前記光学誤差の補正が非点収差の補正であることを特徴とする請求項5に記載の成形レンズ。
【請求項7】
前記成形レンズは、半導体レーザーの出射光の発散角を変換するカップリングレンズとして用いられることを特徴とする請求項5または6に記載の成形レンズ。
【請求項8】
第1光学面を有する第1面と、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面とを備えた成形レンズの成形レンズ金型において、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部を有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状である成形レンズ、又は、前記第1平坦部とさらに前記平面に対し前記第1平坦部と対称位置に第2平坦部とを有し且つ前記第1光学面の外周形状が円形状である成形レンズを成形する金型であることを特徴とする成形レンズ金型。
【請求項9】
前記成形レンズの前記第1光学面を成形するコアの表面部分で、成形レンズの成型加工時の光学誤差を補正することを特徴とする請求項8に記載の成形レンズ金型。
【請求項10】
前記第1光学面の部分を成形する成形レンズ金型のコアは、前記光軸に対し位相を変化させて固定可能であることを特徴とする請求項8または9に記載の成形レンズ金型。
【請求項11】
前記光学誤差の補正が非点収差の補正であることを特徴とする請求項8、9又は10に記載の成形レンズ金型。
【請求項12】
第1光学面を成形する成形レンズ金型のコアの部分の表面形状は、前記表面形状と前記成形レンズの光軸を含む平面と交差する部分の第1曲線と、前記表面形状と前記平面と直交する面と交差する部分の第2曲線とは異なる曲線形状であることを特徴とする請求項11に記載の成形レンズ金型。
【請求項13】
第1光学面を有する第1面と、前記第1面と反対側に第2光学面を有する第2面とを備えた成形レンズの成形レンズ金型において、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部を有し且つ前記第1光学面で少なくとも成型加工時の光学誤差を補正される成形レンズ、又は、前記第1平坦部とさらに前記平面に対し前記第1平坦部と対称位置に第2平坦部とを有し且つ前記第1光学面で少なくとも成型加工時の光学誤差を補正される成形レンズを成形する金型であることを特徴とする成形レンズ金型。
【請求項14】
前記光学誤差の補正が非点収差の補正であることを特徴とする請求項13に記載の成形レンズ金型。
【請求項15】
成形レンズの第1光学面を成形するコアの部分の表面形状は、前記表面形状と前記成形レンズの光軸を含む平面と交差する部分の第1曲線と、前記表面形状と前記平面と直交する面と交差する部分の第2曲線とは異なる曲線形状であることを特徴とする請求項14に記載の成形レンズ金型。
【請求項16】
前記請求項1から4のいずれか1項に記載の成形レンズを前記請求項8から12のいずれか1項に記載の成形レンズ金型により製造することを特徴とする成形レンズの製造方法。
【請求項17】
前記請求項5から7のいずれか1項に記載の成形レンズを前記請求項13から15のいずれか1項に記載の成形レンズ金型により製造することを特徴とする成形レンズの製造方法。
【請求項18】
光源側より順に、半導体レーザー、カップリングレンズ、ミラー及び対物レンズの光学系を具備した光ピックアップ装置において、前記カップリングレンズは前記請求項1から7のいずれか1項に記載の成形レンズであり、前記成形レンズの光軸を含む平面と略平行な第1平坦部は前記光学系が結像する位置にある光情報記録媒体の結像面と略平行であることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項19】
前記光ピックアップ装置は光情報記録媒体に形成したトラックと直交して移動することを特徴とする請求項18に記載の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−76089(P2011−76089A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214912(P2010−214912)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2001−43132(P2001−43132)の分割
【原出願日】平成13年2月20日(2001.2.20)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】