説明

カップリング装置

【課題】迅速かつ信頼性の高い連結をもたらすことが可能な、ドリルロッドのためのカップリング装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ドリルロッド60の連結部分62を受けるための受けソケット12を備える、ドリルロッド60のためのカップリング装置10に関する。ロック部材16を備えた少なくとも1つのロック装置14が設けられ、これが、解放位置とロック位置との間において調整可能に支持され、前記ロック部材16が、前記連結部分62の対応する凹み64に係合するように備えがなされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルロッドのためのカップリング装置、特に、土壌ドリリング装置(土壌掘削装置)のためのものに関する。
【背景技術】
【0002】
ねじボルトによってドリルロッドの各シングルドリルストリングを互いに連結することが知られている。これによって、信頼性の高い安定した回転連結が得られる。同様にして、このドリルロッドがドリル駆動部に連結される。但し、このような連結は、非常に時間のかかるものであるということが分かっている。
【0003】
【特許文献1】EP 1580398 A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、迅速かつ信頼性の高い連結をもたらすことが可能な、ドリルロッドのためのカップリング装置を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の特徴を有するカップリング装置は、この課題に関連してなされたものである。従属請求項は、好適な実施の形態に関連する。
【0006】
本発明によるドリルロッドのためのカップリング装置は、ドリルロッドの連結部分を受けるための受けソケットを備え、ロック部材を備えたロック装置が設けられ、これが、解放位置とロック位置との間において調整可能に支持され、前記ロック部材が、前記連結部分の対応する凹みに係合する。本発明によるカップリング装置によれば、迅速な半自動または全自動の、ドリルロッドとのカップリング(結合)が可能になる。この結果、ドリリング中(掘削中)の作業工程が、容易になり迅速化される。
【0007】
本発明の1つの好適な実施の形態は、前記ロック装置が、前記受けソケットの外側に配置されたハウジングを有し、スライド部材が、前記ロック部材を調整するために前記ハウジングのなかに支持されているということにある。このようにして、本発明によるカップリング装置の安定した、かつ信頼性の高い操作が実現される。
【0008】
スライド部材は、手動で操作したり、例えば、モータまたは調整シリンダのような、操作可能な調整部材によって操作したりすることが可能である。
【0009】
本発明によれば、特に有利な実施の形態が、前記スライド部材が、カムを有する枢動(本願においては、回転によって回転軸方向に移動する動作)可能に支持されたボルトとして設計され、これが、前記ハウジングにおいて斜めに延在するスロット付きリンクに係合するということからもたらされる。このカム機構によって、回転運動を軸方向の調整運動に変えることが可能である。この機構によれば、手動操作においてであっても、良好な力の印加が可能になる。
【0010】
このために、本発明によれば、枢動レバーが、前記ボルトを枢動させるために設けられ、これが、前記ボルトにその後方部分において連結されていることが望ましい。枢動レバーの長さによって、相応に大きなトルクを簡素なやり方で加えることが可能であり、これが、信頼性の高いロック(locking)を得る上で有利であると分かっている。枢動レバーは、手動操作用にも、遠隔制御の調整部材による操作用にも、どちらにでも設計されることが可能である。
【0011】
さらに、本発明によれば、前記ロック部材が、前記スライド部材上において半径方向に可動かつ弾性的に支持されていることが望ましい。ドリルロッド部材の使用中に、例えば、ノッチおよび変形のような、摩耗の兆候が少なからず現れることがあり、これによって、公差の大きい嵌合(large-tolerance fits)が可能となるにすぎない。さらに、例えば、土壌物質および岩石がドリルロッドの連結部分上において集まる場合があるので、非常に困難を伴ってでしか、ロックが可能でないというリスクがある。スライド部材それ自体の上におけるロック部材の特定の可動であって弾性的な支持によって、ある程度の補償が可能となるので、これらの場合においても、良好なロックが確保される。
【0012】
良好な回転連結を得るために、本発明によれば、軸方向リブが前記受けソケットの内側に配置されており、回転連結を生じさせるために、これらを、前記連結部分の対応する軸方向溝と係合状態にすることが可能であるように備えがなされている。特に、これは、キー溝形材であることが可能である。互いのなかに軸方向にスライドさせることによって、安定した、極めて固定された回転連結がこのようにしてもたらされる。そのような場合には、ロック部材は、軸方向のロックを確保するにすぎないということがあり得る。連結部分における凹みは、この場合に、円周方向の溝であることが可能であり、さらに特に、矩形の溝であることが可能であり、そのなかに、ロック部材の対応する矩形の形材が係合する。
【0013】
特に安定した連結を得るために、本発明によれば、3つのロック装置が設けられており、これらが、前記受けソケットの外周において均一に分布させて配置されていることが有利である。
【0014】
好ましくは、本発明によるカップリング装置は、ドリルロッドを駆動するためのドリル駆動部を有するドリリング装置において用いられる。
【0015】
有利なことに、前記受けソケットは、前記ドリル駆動部の出力軸に固定される。土壌ドリリング装置において、出力軸は、通常、下向きに突出するので、本発明によるカップリング装置は、ドリル駆動部の下方に配置される。
【0016】
さらに、本発明によれば、前記ドリル駆動部が、マスト上に可動に案内されているキャリッジ上に支持されるように備えがなされている。この配置において、本発明によるカップリング装置はマストに沿ってキャリッジとともに調整されることが可能であるので、新しいドリルロッド部材が設置されたときに、このカップリング装置によれば、新たに設置されたドリルロッドの上方連結部分と、ドリル駆動部と、の間における迅速かつ信頼性の高い連結がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付の図面に概略的に図示された各実施の形態によって、本発明についてさらに説明する。
【0018】
図1〜図3によって、本発明によるカップリング装置の構成および機能について説明する。カップリング装置10は、スリーブ形状の受けソケット12を有しており、その内側には、キー溝形材(keyway profile)を形成するように軸方向リブ28が配置されている。外側には、3つのロック装置14が配置されており、これらは、互いに120°ずつオフセットされている。
【0019】
各々のロック装置14が、スリーブ形状のハウジング18を備えており、そのなかに、ほぼ矩形のロック部材16が可動に支持されている。矩形ロック部材16の前面は、ロックされる連結部分に適合するように凹状のデザインとなっている。さらに、円筒形ボルト形状のスライド部材20が、ハウジング18のなかにおいて軸方向に調整可能かつ枢動可能に支持されている。ハウジング18には、斜めに延在する溝が施され、スロット付きリンク24を形成する。カム22が、スロット付きリンク24に係合しており、これが、ボルト形状のスライド部材20上に固定配置されている。ハウジング18から突出するスライド部材20の端部に固定された枢動レバー26によって、スライド部材を、本実施の形態においては、180°枢動させることが可能である。カム22とスロット付きリンク24との間における相互作用により、スライド部材はその回転によって、軸方向に動かされる。この結果、ロック部材16は、図1に図示された後退させられた解放位置から図2のロック位置となるように調整される。
【0020】
ロック部材16は、スライド部材20上に弾性的に支持される。このために、ロック部材16は中央穴30を有し、スライド部材20は中央ピン32を有する。穴30とピン32との間には、つる巻きばね34が配置されており、これが、スライド部材20およびロック部材16を互いから離れるように押圧する。スライド経路の範囲を定めるために、ストップナットを備えたねじボルト36が配置されている。
【0021】
図4には、連結部分62が概略的に図示されており、これを、ドリルロッドの自由端に溶接することが可能である。連結部分62は、受けソケット12の内側における軸方向リブ28に対応する軸方向溝66を有し、キー溝連結を形成するようになっている。ロック部材16に係合させるために、環状溝が、連結部分62上に凹み64として形成される。この溝の幅がロック部材16の幅に対応しており、これらは、凹み64において係合し、軸方向のロックを生じさせることが可能である。
【0022】
図5には、ドリリング装置70における本発明によるカップリング装置10の配置を示す。ドリリング装置70は、マスト78を有しており、これに沿って、キャリッジ76が可動に案内され、駆動される。キャリッジ上には、モータとフランジオンギア(flanged-on gear)とで構成されているドリル駆動部72が支持されている。カップリング装置10の受けソケット12は、ドリル駆動部72の出力軸74に溶接される。ドリルロッド60のカップリングのために、これは、図4に関連して上述された連結部分62を有する。回転固定された連結が、互いに対応するキー溝形材によって実現されるのに対して、軸方向のロックが、カップリング装置10のロック部材16によって実現される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】解放位置における、本発明によるカップリング装置を示す部分断面図である。
【図2】ロック位置における、図1のカップリング装置を示す部分図である。
【図3】図1および図2のカップリング装置を示す側面図である。
【図4】ドリルロッドの連結部分を示す図である。
【図5】本発明によるカップリング装置を備えたドリリング装置を示す部分図である。
【符号の説明】
【0024】
10 カップリング装置、12 受けソケット、14 ロック装置、16 ロック部材、18 ハウジング、20 スライド部材、22 カム、24 スロット付きリンク、26 枢動レバー、28 軸方向リブ、30 中央穴、32 中央ピン、34 つる巻きばね、36 ねじボルト、60 ドリルロッド、62 連結部分、64 凹み、66 軸方向溝、70 ドリリング装置、72 ドリル駆動部、74 出力軸、76 キャリッジ、78 マスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルロッドのためのカップリング装置であって、
ドリルロッドの連結部分を受けるための受けソケットと、
ロック部材を備えた少なくとも1つのロック装置と、
を備え、
前記ロック部材は、解放位置と、前記連結部分の対応する凹みに係合するロック位置との間において移動可能に、前記ロック装置に支持されているカップリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカップリング装置であって、
前記ロック装置が、前記受けソケットの外側に配置されたハウジングを有し、
スライド部材が、前記ロック部材を操作するために前記ハウジングのなかに支持されている、カップリング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカップリング装置であって、
前記スライド部材が、カムを有する回転しながら軸方向に移動可能に支持されたボルトとして構成され、これが、前記ハウジングにおいて斜めに延在するスロット付きリンクに係合する、カップリング装置。
【請求項4】
請求項3に記載のカップリング装置であって、
枢動レバーが、前記ボルトを枢動させるために設けられ、これが、前記ボルトにその後方部分において連結されている、カップリング装置。
【請求項5】
請求項1に記載のカップリング装置であって、
前記ロック部材が、前記スライド部材上において半径方向に可動かつ弾性的に支持されている、カップリング装置。
【請求項6】
請求項1に記載のカップリング装置であって、
前記受けソケットの内側に、軸方向リブが配置されており、回転連結を生じさせるために、これらを、前記連結部分の対応する軸方向溝と係合状態にすることが可能である、カップリング装置。
【請求項7】
請求項1に記載のカップリング装置であって、
3つのロック装置が設けられており、これらが、前記受けソケットの外周において均一に分布させて配置されている、カップリング装置。
【請求項8】
ドリルロッドを駆動するためのドリル駆動部を備えるドリリング装置であって、
請求項1に記載のカップリング装置が設けられている、ドリリング装置。
【請求項9】
請求項8に記載のドリリング装置であって、
前記受けソケットが、前記ドリル駆動部の出力軸に固定されている、ドリリング装置。
【請求項10】
請求項8に記載のドリリング装置であって、
前記ドリル駆動部が、マスト上に可動に案内されているキャリッジ上に支持されている、ドリリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−291848(P2007−291848A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112516(P2007−112516)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【出願人】(502407107)バウアー マシーネン ゲーエムベーハー (48)
【Fターム(参考)】