説明

カテーテルおよびカテーテル組立体

【課題】生体管腔内の画像を撮像した際、その画像にガイドワイヤによるバックシャドーが生じることを防止することができるカテーテルおよびカテーテル組立体を提供すること。
【解決手段】カテーテル2は、可撓性を有する長尺状のカテーテル本体21と、カテーテル本体21の基端部に固定されたコネクタ部22とを備えている。カテーテル本体21には、イメージングコア3が挿入されるセンサルーメン211と、ガイドワイヤ200が挿入されるガイドワイヤルーメン212とがカテーテル本体21の長手方向に沿って形成されている。ガイドワイヤルーメン212は、カテーテル本体21の先端部のみに形成されている。また、ガイドワイヤルーメン212の基端は、撮像領域27の基端よりも基端側まで延長して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルおよびカテーテル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
血管等の生体管腔内に挿入して、当該管腔内を超音波や光により診断するのに用いられるカテーテルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記カテーテルは、ルーメンを有するカテーテル本体と、カテーテル本体の先端部に設置され、ガイドワイヤが挿通する管状のガイドワイヤ挿通部と、カテーテル本体のルーメンに挿入され、先端部に超音波を発する超音波発振部を有するイメージングコアとを備えている。このカテーテルは、ガイドワイヤ挿通部にガイドワイヤを挿入した状態で、カテーテル本体のルーメン内に挿入されているイメージングコアをその軸回りに回転させるとともに基端方向に移動させて、血管壁の超音波画像を取得することができる。
【0004】
また、前記カテーテルは、手技によっては、超音波発振部を有するイメージングコアに代えて、光を発して、その反射光を受光することにより血管壁を撮像可能なイメージングコアをカテーテル本体に挿入して用いることもできる。
【0005】
しかしながら、前記従来のカテーテルでは、前記光学的に画像取得を行なう場合、ガイドワイヤで光が遮断されて、画像にそのガイドワイヤによる陰、いわゆる「バックシャドー」が生じる。このため、画像のバックシャドーが生じた部分では、そこが死角となって血管壁が撮像されず、例えば当該撮像されていない部分に病変部があった場合、この病変部を視認するのが困難となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2005−529715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、生体管腔内の画像を撮像した際、その画像にガイドワイヤによるバックシャドーが生じることを防止することができるカテーテルおよびカテーテル組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 先端側に生体管腔内の画像を取り込む画像取込部を有するイメージングコアが挿入されたセンサルーメンと、ガイドワイヤが挿入されるガイドワイヤルーメンとを備え、前記生体管腔内に挿入して使用され、可撓性を有するカテーテル本体を備えるカテーテルであって、
前記カテーテル本体の先端部に、前記画像取込部により前記生体管腔内の画像を取り込む操作が可能な撮像領域が前記カテーテル本体の長手方向に沿って設けられ、
前記カテーテル本体の前記撮像領域の基端または前記撮像領域の基端よりも基端側に、造影性を有する第1のマーカを有し、
前記撮像領域においては、前記センサルーメンと前記ガイドワイヤルーメンとが並設されており、
前記ガイドワイヤルーメンの先端は、前記カテーテル本体の先端に開放し、前記ガイドワイヤルーメンの基端は、前記撮像領域の基端よりも基端側まで延長して設けられていることを特徴とするカテーテル。
【0009】
(2) 前記カテーテル本体の途中に開口が設けられており、前記ガイドワイヤルーメンの基端は、前記開口に連通している上記(1)に記載のカテーテル。
【0010】
(3) 前記第1のマーカは、前記ガイドワイヤルーメンの基端よりも先端側に位置している上記(1)または(2)に記載のカテーテル。
【0011】
(4) 前記第1のマーカは、前記撮像領域の基端部を示すものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のカテーテル。
【0012】
(5) 前記カテーテル本体の前記第1のマーカよりも基端側で、前記ガイドワイヤルーメンの基端または前記ガイドワイヤルーメンの基端よりも先端側に、造影性を有する第2のマーカを有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のカテーテル。
【0013】
(6) 前記第2のマーカは、前記ガイドワイヤルーメンの基端部を示すものである上記(5)に記載のカテーテル。
【0014】
(7) 前記カテーテル本体は、前記ガイドワイヤルーメンに連通し、送液を行う送液用ルーメンを有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のカテーテル。
【0015】
(8) 前記カテーテル本体の前記撮像領域に、前記ガイドワイヤルーメンに連通する側孔を有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のカテーテル。
【0016】
(9) 前記側孔は、前記撮像領域に沿って複数個設けられている上記(8)に記載のカテーテル。
【0017】
(10) 前記側孔は、該側孔の前記カテーテル本体の外周面側の開口が前記ガイドワイヤルーメン側の開口よりも基端側に位置するように傾斜している上記(8)または(9)に記載のカテーテル。
【0018】
(11) 前記カテーテル本体の先端に、先端方向に突出したワイヤが設けられている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のカテーテル。
【0019】
(12) 上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のカテーテルと、
前記センサルーメンに挿入して用いられ、長尺状をなす駆動シャフトと、該駆動シャフトの先端側の部分に固定され、前記生体管腔内の画像を取り込む画像取込部を有する撮像手段とを備えるイメージングコアとを有することを特徴とするカテーテル組立体。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガイドワイヤルーメンの基端が撮像領域の基端よりも基端側まで延長しているので、生体管腔内の目的部位の画像を撮像する際、ガイドワイヤを撮像領域よりも基端側に退避させることができる。これにより、生体管腔内の目的部位の画像を撮像した際に、ガイドワイヤのバックシャドーが画像に生じることを確実に防止することができる。そして、得られた画像は、死角がないものとなり、よって、目的部位全体に対する正確な観察を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のカテーテル組立体の第1実施形態を示す部分縦断面側面図である。
【図2】本発明のカテーテル組立体の第1実施形態を示す部分縦断面側面図である。
【図3】図1に示すカテーテルの先端側の部分を示す縦断面図である。
【図4】本発明のカテーテルの第2実施形態における先端側の部分を示す縦断面図である。
【図5】本発明のカテーテルの第3実施形態における先端側の部分および基端側の部分を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のカテーテルおよびカテーテル組立体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1および図2は、それぞれ、本発明のカテーテル組立体の第1実施形態を示す部分縦断面側面図である。図3は、図1に示すカテーテルの先端側の部分を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図3中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0024】
図1に示すカテーテル組立体1は、カテーテル2と、カテーテル2内に挿入されるイメージングコア3とを備えている。このカテーテル組立体1は、カテーテル2とイメージングコア3とを組み立てた組立状態で、生体管腔(以下では「血管」を代表的に扱う)内に挿入して用いられ、その内部画像である血管壁の画像を取得するものである。
【0025】
カテーテル2は、光信号による画像、特に、光干渉断層画像診断装置(OCT)、その改良型である波長掃引を利用した光干渉断層画像診断装置(OFDI)に用いられるカテーテルであり、後述するイメージングコア3の先端部から出射される近赤外線を生体組織へ照射し、生体組織からの反射光を参照光と干渉させることで干渉光を生成した後、当該干渉光に基づいて、血管の断面画像を描出することができる。
【0026】
また、このカテーテル組立体1は、外部ユニット6に接続して用いられる。外部ユニット6は、モータ等の外部駆動源を内蔵するスキャナ装置61と、スキャナ装置61を把持しモータ等により水平方向(軸方向)へ移動させる軸方向移動装置62と、スキャナ装置61および軸方向移動装置62の作動を制御する機能を有する制御部63と、カテーテル組立体1によって得られた血管壁の画像を表示する表示部64とを有している。
【0027】
カテーテル組立体1の各部の構成について説明する前に、外部ユニット6について説明する。
【0028】
スキャナ装置61には、カテーテル組立体1の基端部が着脱自在に接続される。そして、スキャナ装置61は、イメージングコア3をその軸回りに回転させることができるとともに、軸方向移動装置62によりイメージングコア3をその軸方向に沿って移動させることができるようになっている。これにより、イメージングコア3の後述するプリズム52の部分を走査することができる。また、外部ユニット6で、スキャナ装置61を介して送られたイメージングコア3から得られる情報に基づいて、血管壁の画像を形成する。これにより、血管に対して任意の位置で、その周方向全周にわたって、血管内の横断面像が得られる。
【0029】
制御部63は、例えばCPU(Central Processing Unit)を内蔵したパーソナルコンピュータである。また、表示部64は、例えば液晶表示装置である。
【0030】
次に、カテーテル組立体1について説明する。
前述したように、カテーテル組立体1は、カテーテル2とイメージングコア3とを備えている。
【0031】
図1および図3に示すように、イメージングコア3は、その本体となる長尺状の駆動シャフト4と、駆動シャフト4の先端部に固定されたハウジング51と、ハウジング51内に収納されたプリズム(画像取込部)52と、駆動シャフト4の基端部に固定されたコネクタ部53とを有している。また、イメージングコア3では、ハウジング51、プリズム52、コネクタ部53が、血管壁の画像を撮像する撮像手段5を構成している。
【0032】
駆動シャフト4は、導光手段の機能を有しており、例えば光ファイバの周囲を多層巻コイルで覆ったもので構成されている。
【0033】
駆動シャフト4の先端部には、ハウジング51が、例えば接着剤により固定されており、プリズム52は、ハウジング51内で、駆動シャフト4の先端に、例えば接着剤により固定されている。このプリズム52は、例えば、直角プリズムである。
【0034】
ハウジング51は、ステンレス鋼等の金属製の円筒体で構成され、その側壁部を貫通する貫通孔511がプリズム52に対応する位置に形成されている。
【0035】
このイメージングコア3では、プリズム52が貫通孔511を介して血管壁に臨んだ状態で、スキャナ装置61から送信された光(信号)が、駆動シャフト4により先端方向へ導光され、プリズム52から貫通孔511を介して出射する。そして、血管壁からの反射光は、プリズム52に貫通孔511を介して入射し、駆動シャフト4により基端方向へ導光され、スキャナ装置61で受信される。前記プリズム52からの光の出射および前記プリズム52への反射光の入射、すなわちプリズム52における光の送受信により、血管壁の画像を取り込むことができる。
【0036】
図3に示すように、カテーテル2は、可撓性を有する長尺状のカテーテル本体21と、カテーテル本体21の基端部に固定されたコネクタ部22とを備えている。
【0037】
カテーテル本体21には、イメージングコア3が挿入されるセンサルーメン211と、ガイドワイヤ200が挿入されるガイドワイヤルーメン212とがカテーテル本体21の長手方向に沿って形成されている。カテーテル本体21の先端部は、外径が縮径した縮径部23となっている。
【0038】
センサルーメン211は、イメージングコア3が挿入可能であり、カテーテル本体21の縮径部23の基端から、カテーテル本体21の基端まで、そのカテーテル本体21の全長に亘って形成されている。また、センサルーメン211の先端部は、閉じている。これにより、センサルーメン211内への血液の流入を防止することができる。なお、センサルーメン211の先端部が、閉じていなくてもよいことは、言うまでもない。
【0039】
なお、カテーテル本体21のうちのセンサルーメン211が設けられている部位は、イメージングコア3が挿入可能なイメージングコア挿入部を構成する。
【0040】
このカテーテル本体21の先端部には、イメージングコア3により血管内の画像、すなわち血管壁の画像を取り込む操作が可能な撮像領域27が、カテーテル本体21の長手方向に沿って設けられている。イメージングコア3により撮像する際は、その撮像領域27内において、イメージングコア3のハウジング51、すなわちプリズム52に対応する部位が、イメージングコア3の軸回りに回転しつつ、基端方向に移動する。
【0041】
撮像領域27の長さは、特に限定されないが、5〜15cm程度であることが好ましい。
【0042】
なお、カテーテル本体21の少なくとも先端側の部分、具体的には、撮像領域27の部分が、光を透過する窓部となっている。これにより、イメージングコア3により撮像することができる。
【0043】
また、ガイドワイヤルーメン212は、ガイドワイヤ200が挿通可能であり、カテーテル本体21の先端部のみに形成されている。具体的には、ガイドワイヤルーメン212は、カテーテル本体21の縮径部23の先端から、カテーテル本体21の途中まで形成されている。また、少なくとも撮像領域27においては、センサルーメン211とガイドワイヤルーメン212とが並設されている。図示の構成では、ガイドワイヤルーメン212は、その全長に亘ってセンサルーメン211に対して並設されている。すなわち、ガイドワイヤルーメン212は、カテーテル本体21の中心軸と平行に配置されている。
【0044】
また、ガイドワイヤルーメン212の先端は、カテーテル本体21の先端に開放し、ガイドワイヤルーメン212の基端は、カテーテル本体21の途中に開放している。すなわち、カテーテル本体21の縮径部23の先端には、開口213が形成されており、ガイドワイヤルーメン212の先端は、その開口213に連通している。したがって、開口213は、ガイドワイヤルーメン212の先端開口を構成する。また、カテーテル本体21の途中には開口214が形成されており、ガイドワイヤルーメン212の基端は、その開口214に連通している。したがって、開口214は、ガイドワイヤルーメン212の基端開口を構成する。このカテーテル2は、ガイドワイヤルーメン212にガイドワイヤ200を挿通した状態で血管内に挿入されるものであり、ガイドワイヤ200からの抜き差しを迅速に行なうことができる、いわゆる「ラピッドエクスチェンジタイプ(ショートモノレールタイプ)」のカテーテルである。
【0045】
また、ガイドワイヤルーメン212の基端は、撮像領域27の基端よりも基端側に位置している。すなわち、ガイドワイヤルーメン212の基端は、撮像領域27の基端よりも基端側まで延長して設けられている。これにより、イメージングコア3により撮像する際、ガイドワイヤ200を基端方向に移動させることにより、ガイドワイヤ200を撮像領域27から退避させることができ、これによって、血管壁の画像を撮像した際に、ガイドワイヤ200のバックシャドーが画像に生じることを確実に防止することができる。
【0046】
撮像領域27の基端から開口214までの長さは、特に限定されないが、10〜20cm程度であることが好ましい。
【0047】
なお、カテーテル本体21のうちのガイドワイヤルーメン212が設けられている部位は、ガイドワイヤ200が挿通可能なガイドワイヤ挿通部を構成する。このガイドワイヤ挿通部の外径は、前記イメージングコア挿入部の外径よりも小さく設定されている。
【0048】
前記ガイドワイヤ挿通部とイメージングコア挿入部とは、一体的に形成されていてもよく、また、別部材で形成してもよい。
【0049】
また、カテーテル本体21の撮像領域27におけるガイドワイヤルーメン212に臨む部位には、ガイドワイヤルーメン212に連通する複数の側孔215が設けられている。各側孔215は、撮像領域27に沿って、等間隔に配置されている。また、側孔215は、撮像領域27の全域に設けられている。
【0050】
これにより、イメージングコア3により撮像する際、撮像領域27の近傍の血液を先端方向に流すため、カテーテル2が挿入されている図示しないガイディングカテーテル内に生理食塩水や造影剤等の液体を先端方向に流した際、側孔215からガイドワイヤルーメン212内にその液体が流れ込み、ガイドワイヤルーメン212内の血液を先端方向に流すことができる。
なお、側孔215の数は、1つでもよいことは、言うまでもない。
【0051】
また、側孔215は、その側孔215のカテーテル本体21の外周面側の開口がガイドワイヤルーメン212側の開口よりも基端側に位置するように傾斜している。これにより、ガイドワイヤルーメン212内の血液をより確実に先端方向に流すことができる。また、ガイドワイヤルーメン212内のガイドワイヤ200を先端方向に進める際、そのガイドワイヤ200の先端部が側孔215から外部に突出してしまうことを防止することができる。
【0052】
また、側孔215の傾斜角度θは、特に限定されないが、15〜75°程度であることが好ましい。
【0053】
また、ガイドワイヤ200の先端部には、X線透視下やMRI透視下において造影性を有する図示しないガイドワイヤ側マーカが設けられている。そして、カテーテル本体21の外周面の所定の位置には、X線透視下やMRI透視下において造影性を有する第1のマーカ261および第2のマーカ262が設けられている。図示の構成では、第1のマーカ261および第2のマーカ262は、それぞれ、環状をなし、カテーテル本体21の外周面にその1周に亘って設けられている。
【0054】
これらガイドワイヤ側マーカ、第1のマーカ261、第2のマーカ262は、それぞれ、例えば、白金、金、銀、チタン、タングステン等の金属、またはこれらの合金等のX線不透過材料で構成されている。また、前記X線不透過材料や、その他例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化ビスマス等のX線不透過材料が配合された層であってもよい。
【0055】
ここで、第1のマーカ261は、前記撮像領域27の基端部を示すものである。この第1のマーカ261は、カテーテル本体21の撮像領域27の基端または撮像領域27の基端よりも基端側で、かつガイドワイヤルーメン212の基端よりも先端側に位置している。
【0056】
また、第2のマーカ262は、ガイドワイヤルーメン212の基端部を示すものである。この第2のマーカ262は、カテーテル本体21の第1のマーカ261よりも基端側で、かつガイドワイヤルーメン212の基端またはガイドワイヤルーメン212の基端よりも先端側に位置している。
【0057】
このようなガイドワイヤ側マーカ、第1のマーカ261および第2のマーカ262により、X線透視下やMRI透視下において、ガイドワイヤ200の先端部、撮像領域27の基端部およびガイドワイヤルーメン212の基端部を確実に確認することができる。
【0058】
イメージングコア3により撮像する際は、ガイドワイヤ側マーカが第1のマーカ261と第2のマーカ262との間に位置するようにガイドワイヤ200を基端方向に移動させる。これにより、ガイドワイヤ200は、撮像領域27から基端方向に退避する。また、ガイドワイヤ200の先端部がガイドワイヤルーメン212から抜けてしまうことを防止することができる。
【0059】
カテーテル本体21は、可撓性を有する材料で構成され、その材料としては、特に限定されず、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)を用いることができる。
【0060】
また、カテーテル本体21、その管壁が単層のものであってもよいし、複数の層が積層された積層体であってもよい。
【0061】
カテーテル本体21の基端部に固定されたコネクタ部22は、硬質の管体で構成されたものである。このコネクタ部22は、外部ユニット6のスキャナ装置61に接続される。
【0062】
なお、コネクタ部22のカテーテル本体21に対する固定方法としては、特に限定されず、例えば、接着(接着剤や溶媒による接着)による方法、融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)による方法等が挙げられる。
【0063】
コネクタ部22の基端部には、イメージングコア3を回動可能に支持する回動支持部223が設けられている。
【0064】
コネクタ部22の先端側には、内管312を介して接続されるユニットコネクタ32と、外管331を介してユニットコネクタ32に接続されるとともにカテーテル本体21を接続する中継コネクタ33とを有する。
【0065】
コネクタ部22は、駆動シャフト4および内管312を保持する。内管312がユニットコネクタ32および外管331に押し込まれ、または引き出されることによって、駆動シャフト4が連動してカテーテル本体21内を軸方向にスライドする。
【0066】
内管312を最も押し込んだときには、図1に示すように、内管312は、カテーテル本体21側の端部が外管331のカテーテル本体21側端部付近、すなわち、中継コネクタ33付近まで到達する。そして、この状態では、プリズム52は、カテーテル2のカテーテル本体21の先端付近に位置する。
【0067】
また、内管312を最も引き出したときには、図2に示すように、内管312は、先端に形成されたストッパ313がユニットコネクタ32の内壁に引っかかり、引っかかった先端付近以外が露出する。そして、この状態では、プリズム52は、カテーテル2を残したままその内部において引き戻されている。プリズム52が回転しながら移動することによって、血管および脈管などの断層画像を作成することができる。
【0068】
コネクタ部22の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)のような各種樹脂が挙げられる。
【0069】
コネクタ部22は、図1に示す構成では3つの管体を長手方向に沿って連結したものであるが、これに限定されず、例えば、1つの管体で構成されたものであってもよい。
【0070】
図3に示すように、カテーテル2のセンサルーメン211には、イメージングコア3が挿入される。そして、この挿入状態のイメージングコア3は、スキャナ装置61の作動によって、その中心軸回りに回転し、また、その長手方向に沿って移動する。
【0071】
以上説明したように、このカテーテル2およびカテーテル組立体1によれば、血管壁の画像を撮像する際、ガイドワイヤ200を撮像領域27よりも基端側に退避させることができる。これにより、血管壁の画像を撮像した際に、ガイドワイヤ200のバックシャドーが画像に生じることを確実に防止することができる。そして、得られた画像は、死角がないものとなり、よって、目的部位全体に対する正確な観察を行なうことができる。
【0072】
また、カテーテル本体21の先端部には、縮径部23が形成されているので、その縮径部23により、カテーテル本体21を血管内、特に細い血管の内部に、容易に挿入することができる。
【0073】
<第2実施形態>
図4は、本発明のカテーテルの第2実施形態における先端側の部分を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図4中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0074】
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0075】
図4に示すように、第2実施形態のカテーテル2では、センサルーメン211の先端部の位置、すなわち撮像領域27の先端部の位置と、ガイドワイヤルーメン212の先端部の位置とが一致している。
【0076】
また、カテーテル本体21の横断面での外形形状は、図示の構成では、円形をなしている。この場合、カテーテル本体21のガイドワイヤルーメン212が形成されている部位の外径は、カテーテル本体21のガイドワイヤルーメン212が形成されてない部位の外径よりも大きく設定されている。なお、カテーテル本体21の形状は、前記の形状に限定されないことは、言うまでもない。
【0077】
また、カテーテル本体21の先端には、先端方向に突出したワイヤ281が設けられている。図示の構成では、ワイヤ281は、線材を螺旋状に巻回してなる部材、すなわちコイルで構成されている。また、図示の構成では、ワイヤ281は、外力を付与しない状態で、螺旋状に巻回された線材同士が隙間なく密に配置されていている。すなわちワイヤ281は、隣接する線材同士が接触するように密巻きに巻かれている。なお、ワイヤ281は、外力を付与しない状態で、螺旋状に巻回された線材同士の間に隙間が空いていてもよい。
【0078】
また、ワイヤ281の先端部の外径は、ワイヤ281の基端部の外径に対して縮径している。そして、ワイヤ281は、その基端部の外周面において、センサルーメン211の先端部の内周面に固定されている。
【0079】
また、ワイヤ281の先端には、そのワイヤ281の先端開口を覆うように、先端部材282が固定されている。先端部材282の先端面は、丸みを帯びている。この先端部材282により、血管を保護することができる。
【0080】
なお、センサルーメン211の先端部は、図示しない封止部材により封止されているが、これに限らず、封止されていなくてもよい。
【0081】
また、ワイヤ281は、金属材料で構成されていることが好ましい。ワイヤ281を構成する金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、超弾性合金、コバルト系合金や、金、白金、タングステン等の貴金属またはこれらを含む合金(例えば白金−イリジウム合金)等が挙げられる。特に、貴金属のようなX線不透過材料、すなわちX線造影性を有する材料で構成した場合には、ワイヤ281にX線透視下において造影性が得られ、X線透視下でカテーテル2の先端部の位置を確認することができ、好ましい。なお、ワイヤ281の長さは、特に限定されないが、5〜20mm程度であることが好ましい。
【0082】
このカテーテル2によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
そして、このカテーテル2では、センサルーメン211の先端部の位置、すなわち撮像領域27の先端部の位置と、ガイドワイヤルーメン212の先端部の位置とが一致しているので、イメージングコア3の先端部を第1実施形態よりも奥まで移動させることができる。
【0083】
また、イメージングコアにより撮影する際、ワイヤ281および先端部材282により、カテーテル本体21の先端部を保護することができ、また、血管の損傷も防止することができる。
【0084】
なお、本発明では、ワイヤ281および先端部材282を省略してもよい。この場合は、カテーテル本体21の先端の角部が丸みを帯びるようにすることが好ましい。
【0085】
<第3実施形態>
図5は、本発明のカテーテルの第3実施形態における先端側の部分および基端側の部分を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図5中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0086】
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0087】
図5に示すように、第3実施形態のカテーテル2では、カテーテル本体21は、ガイドワイヤルーメン212の基端側に、そのガイドワイヤルーメン212に連通し、送液を行う送液用ルーメン217を有している。送液用ルーメン217は、その全長に亘ってセンサルーメン211に対して並設されている。
【0088】
また、カテーテル本体21の途中に、開口として側孔218が設けられており、ガイドワイヤルーメン212の基端は、その側孔218に連通している。
【0089】
また、コネクタ部22の長手方向の途中には、その内腔が送液用ルーメン217に連通するチューブ222が接続されており、そのチューブ222の基端部には、液体注入ポート221が接続されている。これにより、例えばシリンジを用いて液体注入ポート221から液体を注入し、その液体を送液用ルーメン217内を先端方向に流すことができる。
【0090】
このカテーテル2では、イメージングコア3により撮像する際、カテーテル本体21の外側の撮像領域27の近傍の血液を先端方向に流すため、カテーテル2が挿入されている図示しないガイディングカテーテル内に生理食塩水や造影剤等の液体を先端方向に流す。そして、さらに、ガイドワイヤルーメン212内の撮像領域27の近傍の血液を先端方向に流すため、送液用ルーメン217内に前記液体を先端方向に流す。これにより、ガイドワイヤルーメン212内を先端方向に流れる前記液体の一部が、側孔215からカテーテル本体21の外側に排出され、撮像領域で滞留する。一方、前記撮像の際は、イメージングコア3のプリズム52の部分は、撮像領域27内を基端方向に移動するので、そのプリズム52の部分の移動方向と、前記液体の流れの方向とが一致し、これにより、より確実に、プリズム52の部分の近傍の血液を流すことができる。
このカテーテル2によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0091】
なお、第3実施形態は、第2実施形態にも適用することができる。すなわち、第2実施形態のカテーテル2において、送液用ルーメン217を設けてもよい。
【0092】
以上、本発明のカテーテルおよびカテーテル組立体を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0093】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【0094】
また、カテーテル組立体で得られる画像としては、光学的に得られる画像に限定されず、例えば、超音波画像であってもよい。すなわち、イメージングコアの撮像手段は、画像取込部として、例えば、超音波振動子等を有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 カテーテル組立体
2 カテーテル
21 カテーテル本体
211 センサルーメン
212 ガイドワイヤルーメン
213、214 開口
215 側孔
217 送液用ルーメン
218 側孔
22 コネクタ部
221 液体注入ポート
222 チューブ
223 回動支持部
23 縮径部
261 第1のマーカ
262 第2のマーカ
27 撮像領域
281 ワイヤ
282 先端部材
3 イメージングコア
312 内管
313 ストッパ
32 ユニットコネクタ
331 外管
33 中継コネクタ
4 駆動シャフト
5 撮像手段
51 ハウジング
511 貫通孔
52 プリズム
53 コネクタ部
6 外部ユニット
61 スキャナ装置
62 軸方向移動装置
63 制御部
64 表示部
200 ガイドワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に生体管腔内の画像を取り込む画像取込部を有するイメージングコアが挿入されたセンサルーメンと、ガイドワイヤが挿入されるガイドワイヤルーメンとを備え、前記生体管腔内に挿入して使用され、可撓性を有するカテーテル本体を備えるカテーテルであって、
前記カテーテル本体の先端部に、前記画像取込部により前記生体管腔内の画像を取り込む操作が可能な撮像領域が前記カテーテル本体の長手方向に沿って設けられ、
前記カテーテル本体の前記撮像領域の基端または前記撮像領域の基端よりも基端側に、造影性を有する第1のマーカを有し、
前記撮像領域においては、前記センサルーメンと前記ガイドワイヤルーメンとが並設されており、
前記ガイドワイヤルーメンの先端は、前記カテーテル本体の先端に開放し、前記ガイドワイヤルーメンの基端は、前記撮像領域の基端よりも基端側まで延長して設けられていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記カテーテル本体の途中に開口が設けられており、前記ガイドワイヤルーメンの基端は、前記開口に連通している請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1のマーカは、前記ガイドワイヤルーメンの基端よりも先端側に位置している請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1のマーカは、前記撮像領域の基端部を示すものである請求項1ないし3のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項5】
前記カテーテル本体の前記第1のマーカよりも基端側で、前記ガイドワイヤルーメンの基端または前記ガイドワイヤルーメンの基端よりも先端側に、造影性を有する第2のマーカを有する請求項1ないし4のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第2のマーカは、前記ガイドワイヤルーメンの基端部を示すものである請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記カテーテル本体は、前記ガイドワイヤルーメンに連通し、送液を行う送液用ルーメンを有する請求項1ないし6のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項8】
前記カテーテル本体の前記撮像領域に、前記ガイドワイヤルーメンに連通する側孔を有する請求項1ないし7のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項9】
前記側孔は、前記撮像領域に沿って複数個設けられている請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記側孔は、該側孔の前記カテーテル本体の外周面側の開口が前記ガイドワイヤルーメン側の開口よりも基端側に位置するように傾斜している請求項8または9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記カテーテル本体の先端に、先端方向に突出したワイヤが設けられている請求項1ないし10のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載のカテーテルと、
前記センサルーメンに挿入して用いられ、長尺状をなす駆動シャフトと、該駆動シャフトの先端側の部分に固定され、前記生体管腔内の画像を取り込む画像取込部を有する撮像手段とを備えるイメージングコアとを有することを特徴とするカテーテル組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−223206(P2012−223206A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90433(P2011−90433)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】