説明

カテーテル

【課題】2つのルーメンを有すると共に、先端部が縮径されていて、しかも管状器官の狭い部分にも挿入可能な剛性が維持されたカテーテルを提供する。
【解決手段】このカテーテル10は、第1ルーメン11と第2ルーメン12とを有し、第1ルーメン11は、カテーテル基端から先端に至る通路を形成してカテーテル先端で開口しており、カテーテルの先端から所定長さ部分は、テーパ状の段部15を介して、第1ルーメン11を含む筒部を残して縮径された縮径部17をなし、第2ルーメン12は、カテーテルの基端から段部15に至る通路を形成して段部15で開口しており、縮径部17の外周には、段部15の開口15aから第2ルーメン12の軸心F方向に沿って、該開口15aの内周の一部が延出された形状の溝部20が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、血管、尿管、胆管、気管等の管状器官に造影剤等を注入したり、ステント等を留置したりするために用いるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管、尿管、胆管、気管等の管状器官に、チューブ状のカテーテルを挿入し、このカテーテルを通して、造影剤や制癌剤、栄養剤等の薬液を注入したり、ガイドワイヤ等を併用して、ステントや血管閉塞具等を留置したりすることが行われている。
【0003】
この種のカテーテルとして、複数の内腔(ルーメン)を有するものが用いられることがある。このようなカテーテルは、例えば、一方のルーメンにガイドワイヤを通して、このガイドワイヤを介してカテーテルを移動させると共に、他方のルーメンからは造影剤を注入したり、或いは、透析時において、一方のルーメンから血液を脱血すると共に、浄化した血液を他方のルーメンから返血したり、更には、混合不能な薬液を2つのルーメンで同時注入したり、様々な用途に用いられている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、1本のカテーテル内に脱血ルーメン・返血ルーメンが形成されたバスキュラーアクセスカテーテルが記載されている。このバスキュラーアクセスカテーテル(1)は、カテーテル内腔を半円形状に二分割して形成された返血ルーメン(22)及び脱血ルーメン(21)を有している。また、カテーテル(1)の先端部は、返血ルーメン(22)を残して脱血ルーメン(21)の部分をカットして形成した半円筒状の狭径部(11)をなしている。脱血ルーメン(21)の先端側の開口部(12)は、狭径部(11)の分割面に向けて次第に高さが低くなるように斜めにカットされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−132256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記バスキュラーアクセスカテーテル(1)では、狭径部(11)の壁部の肉厚が薄く、狭径部(11)の剛性が低下して変形しやすくなるので、例えば、管状器官の狭窄部等に挿入しようとしたとき、十分なプッシュアビリティが得られず、挿入しにくくなる可能性があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、2つのルーメンを有すると共に、先端部が縮径されていて、しかも管状器官の狭い部分にも挿入可能な剛性が維持されたカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のカテーテルは、第1ルーメンと第2ルーメンとを有し、前記第1ルーメンは、前記カテーテルの基端から先端に至る通路を形成して前記カテーテルの先端で開口しており、前記カテーテルの先端から所定長さ部分は、テーパ状の段部を介して、前記第1ルーメンを含む筒部を残して縮径され、前記第2ルーメンは、前記カテーテルの基端から前記段部に至る通路を形成して前記段部で開口しており、前記カテーテルの先端から所定長さで縮径された部分の外周には、前記段部の開口から前記第2ルーメンの軸心方向に沿って、該開口の内周の一部が延出された形状の溝部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のカテーテルにおいては、前記カテーテルの先端から所定長さで縮径された部分は、前記第1ルーメンの内周も含めて、その先端に向けて更に縮径された形状をなすことが好ましい。
【0010】
本発明のカテーテルにおいては、前記第1ルーメンの内周の、該第1ルーメンの先端開口に近接した位置、及び前記2ルーメンの先端開口に近接した位置に、X線不透過性のマーカーが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カテーテルの先端から所定長さ部分は、第2ルーメンを形成する壁部の一部(第1ルーメン側の壁部)を残して縮径された形状となるので、壁厚を十分に確保して、管状器官の狭窄部等の狭い部分へも挿入可能な剛性(プッシュアビリティ)を付与することができる。
【0012】
また、第2ルーメンにガイドワイヤを挿入したとき、段部の開口から挿出されたガイドワイヤが、段部の開口から延出された溝部に沿って進行することになるので、ガイドワイヤの進行方向をガイドすることができる。更に、第2ルーメンに造影剤等の薬液を流した場合にも、段部の開口から流出する薬液が溝部に沿って流動するので、薬液の流出方向をコントロールしやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るカテーテルの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同カテーテルを示しており、(a)はその軸方向に沿って切断したときの断面図(縦断面図)、(b)は(a)のB−B矢示線における断面図、(c)は(a)は(a)のC−C矢示線における断面図である。
【図3】同カテーテルの使用方法の一例を示しており、その第1工程を示す説明図である。
【図4】同使用方法の第2工程を示す説明図である。
【図5】同使用方法の第3工程を示す説明図である。
【図6】同使用方法の第4工程を示す説明図である。
【図7】同使用方法の第5工程を示す説明図である。
【図8】本発明に係るカテーテルの使用方法の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明のカテーテルの一実施形態について説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、この実施形態におけるカテーテル10は、第1ルーメン11と第2ルーメン12とを有している。第1ルーメン11は、カテーテル10の基端から先端に至る通路を形成すると共に、カテーテル10の先端で開口部11aをなして開口している(図2(a)参照)。
【0016】
また、カテーテル10の先端から所定長さ部分は、先端部に向かうほど次第に高さが低くなるテーパ状の段部15を介して、第1ルーメン11を含む筒部を残して縮径された縮径部17をなしている。縮径部17の先端部は、第1ルーメン11の内周も含めて、カテーテル先端に向けて更に縮径した形状をなしており、第1ルーメン11の先端の開口11aの内径R3(図2(a)参照)は、第1ルーメン11のそれ以外の部分の内径よりも狭くされている。
【0017】
第2ルーメン12は、この実施形態では、第1ルーメン11の内径よりも大きな内径をなして、第1ルーメン11とほぼ平行に形成されており、カテーテル10の基端から段部15に至る通路を形成すると共に、段部15で開口部15aをなして開口している。
【0018】
そして、図1、図2(a)、(c)に示すように、前記縮径部17の外周には、段部15の開口15aから、第2ルーメン12の軸心F方向に沿って、開口15aの内周の一部が延出された形状の溝部20が形成されている。すなわち、溝部20は、第2ルーメン12の第1ルーメン11側の周壁の一部を残して軸方向にカットしたような形状をなし、その内周が円弧状をなしている。溝部20の両側には、溝部20の円弧状の溝底よりも高い平坦面22が形成されている。
【0019】
また、図2(a)に示すように、第1ルーメン11の内周であって、第1ルーメン11の先端の開口11aに近接した位置と、第2ルーメン12の開口15aに近接した位置とには、X線不透過性のX線マーカー24,25がそれぞれ設けられている。この実施形態におけるX線マーカー24,25はリング状をなし、前記第1ルーメン11の内周に埋設されて、第1ルーメン11の内周との間に段差が生じないようになっている。
【0020】
なお、X線マーカー24,25の材質としては、Pt、Ti、Pd、Rh、Au、W、Ag、Bi、Ta及びこれらの合金や、BaSO、Bi、W等の粉末を含有した合成樹脂、ステンレスなどを用いることができる。また、X線マーカー24,25の形状としては、リング状以外にも、板状、コイル状、メッシュ状、チューブ状等の様々な形状のものを用いることができる。なお、上記X線マーカー24,25が、本発明における「マーカー」をなしている。
【0021】
更にカテーテル10の先端部外周には、内視鏡(図3参照)の先端に配置された図示しないファイバスコープで視認しやすくするための視認マーカーが付されている。この実施形態では、縮径部17の外周であって、第1ルーメン11の先端の開口11aに近接し、かつ、前記X線マーカー24に整合する位置に環状の視認マーカー26が付されると共に、第1ルーメン11及び第2ルーメン12を含むカテーテル10の外周であって、第2ルーメン12の先端開口に隣接し、かつ、前記X線マーカー25に整合する位置に同じく環状の視認マーカー27が付されている。更に、縮径部17の外周であって、前記X線マーカー24及び視認マーカー26から所定長さ離れた位置にも、環状の視認マーカー28が付されている。各視認マーカー26,27,28は、例えば、その幅を1〜15mmとすることが好ましく、また、視認マーカー26と28との間隔は、1〜15mm離れていることが好ましい。
【0022】
また、図1に示すように、カテーテル10の第1ルーメン11の基端には第1インサータ29が取付けられており、第2ルーメン12の基端には第2インサータ30が取付けられている。各インサータ29,30は全体として筒状をなし、その基端部が把持部29a、30aをなし、その先端にチューブ29b、30bが取付けられていて、これらのチューブ29b、30bが各ルーメン11,12の基端開口部に挿入されて接着剤等により接続されることで、各インサータ29,30と各ルーメン11,12とが連通するようになっている。
【0023】
上記カテーテル10は、その全長(先端から基端までの長さ)が、0.3〜2.5mであることが好ましく、1.8〜2.0mであることがより好ましい。更に、図2(b)に示すように、カテーテル10の第1ルーメン11及び第2ルーメン12が形成された部分における外径Dは、1.6〜2.5mmであることが好ましく、1.7〜2.2mmであることがより好ましい。
【0024】
また、各ルーメン11,12の内径は、特に限定されないが、図2(b)に示すように、第1ルーメン11の縮径した先端部以外の部分における内径R1は、0.70〜0.85mmであることが好ましく、0.75〜0.80mmであることがより好ましい。更に、図2(a)に示すように、第1ルーメン11の開口11aの内径R3は、0.65〜0.75mmであることが好ましく、0.68〜0.71mmであることがより好ましい。一方、図2(b)に示すように、第2ルーメン12の内径R2は、0.85〜1.1mmであることが好ましく、0.95〜1.00mmであることがより好ましい。
【0025】
すなわち、第1ルーメン11にガイドワイヤを挿通させた状態で、第2ルーメン12を通して造影剤等を投与し、その後に第2ルーメン12を通して別のガイドワイヤを挿通させようとしたとき、造影剤によって第2ルーメン12内の滑り性が低下し、ガイドワイヤを挿入しにくくなることがあるため、第2ルーメン12の方の内径を大きくすることが好ましい。
【0026】
更に、図2(c)に示すように、第2ルーメン12の内周上端から溝部20の両側の平坦面22までの長さをH1としたとき、長さH1は、第2ルーメン12の内径R2の0.5〜0.99倍であることが好ましく、0.8〜0.9倍であることがより好ましい。長さH1が上記内径R2の0.5倍未満であると、溝部20を形成する壁部22の肉厚が厚くなって、カテーテル先端部の柔軟性が乏しくなり、長さH1が上記内径R2の0.99倍を超えると、溝部20の両側の壁部22の肉厚が薄くなり、縮径部17の剛性が低下する。
【0027】
また、図2(a)に示すように、第1ルーメン11の先端から第2ルーメン12の段部15の上端部までの長さLは、5〜150mmであることが好ましく、10〜100mmであることがより好ましく、20〜50mmであることが最も好ましい。長さLが5mm未満であると、カテーテル10の先端部の柔軟性を確保しにくくなり、長さLが150mmを超えると、縮径部17がキンクしやすくなる。
【0028】
なお、カテーテル10の材質としては、例えば、ポリウレタン、ナイロンエラストマー、スチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリエーテルブロックアミド、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、更には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
【0029】
また、カテーテル10の外周や、第1ルーメン11、第2ルーメン12の内周には、内視鏡のルーメン内周、管状器官内壁、ガイドワイヤなどに対する滑り性を向上させるために、無水マレイン酸系樹脂、ポリビニルピロリドン等の親水性樹脂、シリコーン樹脂などをコーティングすることもできる。
【0030】
次に上記構造からなるカテーテル10の使用方法の一例について説明する。
【0031】
図3に示すように、十二指腸V1の下部には、乳頭Nが設けられており、この乳頭Nを介して胆管V2及び膵管V3が分岐して伸びている。ここでは、乳頭Nを通して胆管V2内にカテーテル10を挿入し、各種の治療を施す手順について説明する。
【0032】
まず、第1インサータ29を介して、第1ルーメン11内にガイドワイヤW1を挿入し、第1ルーメン11の先端の開口11aからガイドワイヤW1が突出しないように、第1ルーメン11内に収容保持する。
【0033】
そして、周知の方法によって、内視鏡3を口腔や胃等を通して十二指腸V1まで移動させて、ガイドワイヤW1を収容したカテーテル10を内視鏡3内に挿入していき、その先端開口3aからカテーテル10を突出させる。次いで、内視鏡3の図示しないファイバスコープで、カテーテル10の視認マーカー26,27,28を視認しながら、カテーテル10を移動させていく。このとき、本実施形態では、カテーテル10に設けた視認マーカー26,27,28によって、第1ルーメン11の開口11aや、第2ルーメン12の開口15aの位置を適宜把握しながら、カテーテル10を操作できるので、カテーテル10を正確に操作することができる。
【0034】
そして、図3に示すように、カテーテル10の縮径部17の先端部17aを、乳頭Nに挿入する。このとき、このカテーテル10においては、縮径部17の外周には、段部15の開口15aから第2ルーメン12の軸心F方向(図2(a)参照)に沿って、第2ルーメン12の第1ルーメン11側の壁部を残してカットした形状をなす円弧状の溝部20が形成され、その両側が肉厚の壁部22をなしている。そのため、カテーテル10の縮径部17に、乳頭Nのような狭い部分でも挿入可能な剛性(プッシュアビリティ)を付与することでき、カテーテル10を乳頭Nにスムーズに挿入することができる。
【0035】
また、この実施形態では、縮径された縮径部17の先端部17aは、カテーテル先端に向けて次第に更に縮径された形状をなしているので、乳頭Nにカテーテル10を更に挿入しやすくすることができる。
【0036】
そして、図4に示すように、カテーテル10の縮径部17を、乳頭Nを通して胆管V2内に挿入したら、第1ルーメン11の開口11aからガイドワイヤW1を挿出させて、ガイドワイヤW1を胆管V2の奥方に挿入し、カテーテル10をガイドワイヤW1の外周に沿ってガイドさせながら移動させていき、第2ルーメン12の開口15aを胆管V2の所定箇所に位置させる。このとき、この実施形態では、縮径部17の先端部17aが、第1ルーメン11の内周も含めて、カテーテル先端に向けて次第に縮径した形状をなし、第1ルーメン11の先端の開口11aの内径R3が狭められているので(図2(a)参照)、この開口11aから挿出されたガイドワイヤW1のふらつきを防ぎ、ガイドワイヤW1の進行方向を制御しやすくすることができる。
【0037】
なお、ガイドワイヤW1を進行させるに当たって、第2インサータ30から第2ルーメン12内に造影剤を注入し、その開口15aから造影剤を胆管V2内に流出させて、胆管V2の形状をX線透視下で把握することができる。このとき、このカテーテル10においては、その縮径部17に、第2ルーメン12の開口15aの底部内周から連続する円弧状の溝部20が軸方向に沿って形成されているので、第2ルーメン12の開口15aから流出した造影剤を溝部20に沿って流動させることができ、造影剤の流出方向をコントロールしやすくなる。
【0038】
次いでX線透視下において、X線マーカー24,25でカテーテル10の位置を確認しながら、カテーテル10を移動させていく。そして、図5に示すように、ガイドワイヤW1を分岐管V4に挿入して、カテーテル10の縮径部17の先端部17aを分岐管V4の入口付近に位置させると共に、第2ルーメン12の開口15aを分岐管V5の入口付近に位置させる。このとき、この実施形態では、第1ルーメン11の先端開口に近接して設けられたX線マーカー24によって、第1ルーメン11の先端の開口11aの位置を確認することができると共に、第2ルーメン12の先端の開口15aに並んで設けられたX線マーカー25によって、第2ルーメン12の開口15aの位置を確認することができる。そのため、上述した第2ルーメン12の開口15aを、分岐管V5の入口付近に位置させるといった細かい位置合わせが必要な作業も正確に行うことができ、X線透視下におけるカテーテル10の操作性を向上させることができる。この状態で、第2インサータ30から第2ルーメン12内に他のガイドワイヤW2を挿入していき、その開口15aから挿出させて、分岐管V5の所定位置までガイドワイヤW2を挿入することができる。
【0039】
その後、ガイドワイヤW1及びガイドワイヤW2を手元側で固定して所定位置に保持しながら、カテーテル10を手元側に引き込むことにより、図6に示すように、ガイドワイヤW1,2を残して内視鏡3及び体内からカテーテル10を抜き出すことができる。
【0040】
この状態で、ステントS2(図7参照)を収容した図示しない医療用チューブを、ガイドワイヤW2の外周に沿ってガイドさせながら移動させていき、医療用チューブの先端部を分岐管V5まで到達させた後、プッシャ等を介して医療用チューブの先端部からステントS2を押し出して、図7に示すように分岐管V5にステントS2を留置する。同様に、ステントS1を収容した医療用チューブを、ガイドワイヤW1でガイドさせながら、分岐管V4にステントS1を留置する。このように2つのルーメン11,12を有するカテーテル10を利用して、分岐管V4,V5に2本のガイドワイヤW1,2を、1回のカテーテル挿入操作で配置することができるので、分岐管V4,V5にステントS1,S2を効率よく留置することができる(図7参照)。また、ステントS1,S2の留置後は、ガイドワイヤW1,W2を体外からそれぞれ抜去する。
【0041】
また、この実施形態では、第1ルーメン11の内周であって、第1ルーメン11の開口11aに近接した位置、及び、第2ルーメン12の開口15aに近接した位置に、X線不透過性のX線マーカー24,25がそれぞれ設けられており、第1ルーメン11の内周だけにX線マーカー24,25を設けたので、同一径のマーカーを用意すればよく、径が異なるマーカーが不要となり、生産性の向上や低コスト化を図ることができる。更に、縮径部17の先端部17aは、第1ルーメン11の内周も含めて、カテーテル先端に向けて次第に縮径した形状をなしているので、X線マーカー24を第1ルーメン11の内周で移動しにくくさせることができ、第1ルーメン11から抜け外れることを確実に防止することができる。
【0042】
図8には、カテーテル10の他の使用方法が示されている。この使用方法は、胆管V2から分岐した分岐管V4,V5のうち、一方の分岐管にガイドワイヤW1を挿入する際に用いられるものである。ここでは、分岐管V5にガイドワイヤW1を挿入する場合について説明する。
【0043】
すなわち、縮径部17の先端部17aを、胆管V2の出口近傍の内壁に当接させて係止させ、カテーテル10を操作して縮径部17を湾曲させる。そして、湾曲した縮径部17を介して、カテーテル10の先端部の向きを変えたり回転させたりして、第2ルーメン12の開口15aを分岐管V5に整合する向きとなるように位置合わせを行った後、開口15aからガイドワイヤW1を分岐管V5に挿入する。
【0044】
このように、このカテーテル10においては、縮径部17が縮径されて比較的柔軟であるため、上述したように縮径部17を湾曲させることができ、この湾曲させた縮径部17を利用して、第2ルーメン12の開口15aを分岐管V5に整合する向きとなるように位置合わせをすることができるので、所定の分岐管V5に正確にガイドワイヤW1を挿入することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 カテーテル
11 第1ルーメン
11a 開口
12 第2ルーメン
15 段部
15a 開口
17 縮径部
17a 先端部
20 溝部
22 壁部
24,25 X線マーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ルーメンと第2ルーメンとを有するカテーテルにおいて、
前記第1ルーメンは、前記カテーテルの基端から先端に至る通路を形成して前記カテーテルの先端で開口しており、
前記カテーテルの先端から所定長さ部分は、テーパ状の段部を介して、前記第1ルーメンを含む筒部を残して縮径され、
前記第2ルーメンは、前記カテーテルの基端から前記段部に至る通路を形成して前記段部で開口しており、
前記カテーテルの先端から所定長さで縮径された部分の外周には、前記段部の開口から前記第2ルーメンの軸心方向に沿って、該開口の内周の一部が延出された形状の溝部が形成されていることを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記カテーテルの先端から所定長さで縮径された部分は、前記第1ルーメンの内周も含めて、その先端に向けて更に縮径された形状をなす請求項1記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1ルーメンの内周の、該第1ルーメンの先端開口に近接した位置、及び前記2ルーメンの先端開口に近接した位置に、X線不透過性のマーカーが設けられている請求項2記載のカテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−34652(P2013−34652A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172952(P2011−172952)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(599140507)株式会社パイオラックスメディカルデバイス (37)
【Fターム(参考)】