説明

カム駆動アクチュエータ

【課題】組立時における軸芯ズレや同軸度を確保し、部品点数の削減や各部材の組付け構成を簡素化して製作の容易化が図られたカム駆動アクチュエータを提供する。
【解決手段】カム体2をケーシング4内に非回転で収容し、その筒内に配設される従動軸3を、出力軸部31と、カムフォロア6が設けられる従動軸部32と、モータ軸11にスプライン連結される筒軸部33とを一体的に備えて構成し、出力軸部31をケーシング4の軸受部材41で、筒軸部33を軸受部材332でそれぞれ軸受させて、カム面21に沿って回転しつつカム駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カム体のカム面の形状に沿って従動する進退移動可能な従動軸を備えたカム駆動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械カム手段には、主軸(モータ出力軸)、カム体及び従動軸(従節)から構成され、カム体を、回転運動を直線運動に変える一つの手段として、1回転中における所望の動作カーブ(変位曲線)に対応したカム面の周上に従動軸を配設し、カム体を回転させることで所望の直線運動を得ることにより、主軸の回転を機械的に従動軸の進退移動変位に変換するものが知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1のものでは、カム体(19)がモータの出力軸(18)に直結され、従動軸としての案内ロッド(15)は、その基端部側をカム体(19)の内域で支持することなく、専らその先端部側のみを、カム体(19)が収容された弁本体ブロック(1a)に隣接して設けたブッシュ(10)だけで、摺動自在に案内支持させた構成となっているため、案内ロッド(15)単独では、押圧棒(24)をカム面に対して片持ち状に係合すると、ブッシュ(10)にサイドロードによる負荷や、カム面への係合(摺接)負荷がかかり、両端係合による半周しか利用できない対称形状としなければ従動させることができず、弁体として機能するに必要な従動ストロークを得ようとすると、必然的にスロープが急勾配となり、押圧棒(24)に対し、その摺接抵抗が大きく加わって回転がスムーズに伝達されず、空回りさせる構成としなければならず、しかも、従動軸を直動モータのネジ軸のような独立した出力軸として採用することができない問題点を有していた。
【0004】
一方、特許文献2のものは、上述の問題点を解消すべく、従動軸(6)を、先端側の軸受部(222)と、基端側の軸受部(8a、81b)とにより2点間で軸受する構成として、従動軸(6)が軸受部(222)から外部へ出没する、所謂ワーク体に連動連結されるモータ出力軸として機能できるようにしたものとなっている。
しかしながら、このものは、カム体(5)の回転運動を従動軸(6)に伝達しすることで従動軸(6)を直線運動に変換する、所謂2系統によりカム駆動する構成となっているため、基端側の軸受部(8a、81b)は、カム体(5)の回転と従動軸(6)の進退移動とを許容する軸受構成としなければならず、その配設構成に制約を受け、また、カム体(5)をモータ軸(6a)に直結するなどして構成されているため、カム体(5)とモータ軸(6a)とを連結する際に、軸芯ズレが生じ易く同軸度の確保が難しいばかりか、カム体(5)は、高速回転させるとブレを発生し易いという要因を有しており、この回転ブレは小型のものでは許容されるが大型のものでは許容することができない。
【0005】
つまり、回転するカム面(53)上を摺接するカムフォロアとしての係合片(61)との間に負荷荷重が加わるため、このものでは、カム体(5)の外周面を保持体(72)により摺接支持することで回転ブレを抑止できるものであるが、従動軸(6)に大きな駆動力を必要とするワーク体を連動連結させた際には、カム体(5)の外周面を保持体(72)により高精度に軸受させる必要が生じるなど、各部材の組付けや製作が難しくなり、当該構造を大型のカム装置にそのまま採用することへの困難性を有している。

【特許文献1】実開昭60−126771号公報
【特許文献2】特開2009−144741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、従動軸を筒状カム体のカム面に沿ってカム駆動させるものでありながら、ケーシング内に装着された非回転のカム体は、その外周面を摺接支持する必要性が一切無くなり、モータ駆動手段に連動連結された従動軸のみを、その先端側と基端側との二点間で回転自在かつ軸方向移動自在に両端支持するだけの軸受構造とすることができ、組立時における軸芯ズレや同軸度の確保が容易となり、部品点数の削減や各部材の組付け構成が簡素化されて製作の容易化と、軸受構造を含むアクチュエータ自体の構造の簡略化を図ることができるようにし、しかも、従動軸は、カムフォロアを非回転カム面を案内面として、係合(摺接、転動)負荷や軸芯ズレを生じることなく、直角度を維持した最適な係合案内関係が確保され、常に安定した推力をもって案内従動することができ、従動軸に大きな推力を要するワーク体への連動連結や、従動軸を高速回転させるなどの大型化を伴う高精度の軸受構造を必要とするものであっても、従動軸の軸芯ブレや回転振動などの発生が回避された最適なカム駆動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が採用した技術手段は、所定のカム面が形成された筒状のカム体と、該カム体内の中心に配置され、前記カム面に沿って係合するカムフォロアを介して従動する進退移動可能な従動軸とを備えたカム手段をケーシング内に収容させ、前記従動軸を、ケーシング前面より出没する先端側の出力軸部と、該出力軸部の後端側ケーシング内で前記カムフォロアが設けられる従動軸部と、さらに該従動軸部の後端側に設けられる筒軸部とを一体的に備えて構成すると共に、前記筒軸部の内周面に廻り止め部を設けて、モータ駆動手段のモータ軸と回転かつ進退移動可能に連動連結せしめ、前記従動軸は、前記出力軸部と前記筒軸部とをそれぞれ軸受させて、モータ駆動手段の回動に連動して回転しつつ、ケーシング内に配設されたカム体のカム面に沿ってカム駆動するよう構成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明におけるカム駆動アクチュエータは、従動軸を筒状カム体のカム面に沿ってカム駆動させるものでありながら、ケーシング内に装着された非回転のカム体は、その外周面を摺接支持する必要性が一切無くなり、モータ駆動手段に連動連結された従動軸のみを、その先端側の出力軸部と基端側の筒軸部との二点間で回転自在かつ軸方向移動自在に高精度に両端支持するだけの基本的な軸受構造とすることができるばかりか、カム体の内周面を筒軸部への軸受部材を配設するケーシング内周面に兼用して機能させることができるようになり、組立時における軸芯ズレや同軸度の確保が容易となり、部品点数の削減や各部材の組付け構成が簡素化されて製作の容易化と、軸受構造を含むアクチュエータ自体の構造の簡略化を図ることができる。その結果、従動軸は、カムフォロアを非回転カム面を案内面として、係合(摺接、転動)負荷や軸芯ズレを生じることなく、直角度を維持した最適な係合案内関係が確保され、カムフォロアを片持ち配置させても常に安定した推力をもって案内従動することができ、従動軸に大きな推力を要するワーク体への連動連結や、従動軸を高速回転させるなどの大型化を伴う高精度の軸受構造を必要とするカム装置であっても、従動軸の軸芯ブレや回転振動などの発生が回避された最適なものとして提供することができる。しかも、固定されたカム体は、その外周面に対する摺接支持構造を考慮する必要が無く、単にその外径を大きく、溝カムの筒部を長くしてスパイラル状に周回する長ストロークのカム面の形成も容易に行え、種々のバリエーション化の図られたカム形状のものを容易に採用することができ、ワーク体の要求に応じて最適なカム駆動を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、好適な実施の形態として例示するカム装置を図面に基づいて詳細に説明する。
図1はカム駆動アクチュエータの縦断全体構成図、図2は前側面図、図3は後側面図である。図に示すように、1はカム駆動アクチュエータであって、該カム駆動アクチュエータ1は、カム手段1aと、ステッピングモータ、サーボモータ等のモータ駆動手段1bとをスプライン連結(雄雌連結により進退移動可能に廻り止めされたものであればよい)させて一体的に構成される。
【0010】
前記カム手段1aは、胴部に所定の起伏形状を有するカム面21が形成された筒状のカム体2と、該カム体2内の中心に配置され、カム面21に沿って係合するカムフォロア6を介して従動する進退移動可能な従動軸3とを備えて、ケーシング4内に収容される。
カム体2は、上カム面21aを形成する上筒2aと下カム面21bを形成する下筒2bとを一対として分割形成され、上カム面21aと下カム面21bとを、カムフォロア6が周回できるよう所定の間隔を存して対向離間する環状のカム溝211を形成している。この様にカム体2を分割型に形成すると、上筒2aを必要において配設すれば良く、容易に下筒2bのみとした端面カムを形成することができる。また、上筒2aは、先端部側をセッティングブロック等任意の位置決め手段を介してケーシング4内にその側面から予めビス固定しておき、下筒2bは、後述する従動軸3の従動軸部32と筒軸部33を覆う筒長を有して形成され、その基端部側をモータ駆動手段1bのフロント部12にビス固定させて、ケーシング4の内周面とカム体2の外周面との間に隙間部5を存してケーシング4内に装着されている。
【0011】
従動軸3は、円柱状に形成され、ケーシング4の前面部に設けられた軸受部材41より回転自在かつ軸方向移動自在に軸受されて、ケーシング4の前面より出没する先端側の出力軸部31と、該出力軸部31の後端側となるケーシング4内(カム体2筒内)に配置され、カムフォロア6が取着される従動軸部32と、さらに該従動軸部32の後端側に設けられる筒状の筒軸部33とを一体的に備えて構成される。筒軸部33は、従動軸部32と一体成形され、その筒内周面にスプラインボス331を設けて、廻り止め部を構成し、連動連結されるモータ駆動手段1bのモータ軸11をスプライン軸として回転かつ進退移動可能にスプライン連結されている。
【0012】
従動軸部32と筒軸部33とは、その外周面がカム体2の内周面に近接離間する太径に設定され、筒軸部33は、カム体2の内周面と筒軸部33の外周面との間に形成される隙間部51にリング状の軸受部材332を介在して回転自在かつ軸方向移動自在に軸受してある。特に、従動軸部32は、カム体2の直径が大きくなりカム面21が軸芯からの距離を要する場合に、カムフォロア6の軸部(スタッド)62の長さを短く設定し、負荷を分散軽減するために太径に設定したものである。
これにより、モータ駆動手段1bに連動連結された従動軸3は、その先端側の出力軸部31と基端側の筒軸部33との二点間で軸受部材41と軸受部材332により回転自在かつ軸方向移動自在に高精度に両端支持する軸受構造によって案内されながら、従動軸3の回転に伴ってカム面21の起伏形状に沿って回転しつつ従動し、出力軸部31がケーシング4の前面より外部へ出没する、所謂ワーク体に連動連結されるモータ出力軸として機能するようになっている。
【0013】
カムフォロア6は、先端にカム面21上を転動するローラ61を有する軸部(スタッド)62を、従動軸部32の外周面に直角度を保持して羅着されており、その先端部を、ローラ61の転動面がカム面21上を均等に面接しながら転動できるように隙間部5内に突出させている。なお、カムフォロア6は、1つ設けて片持ちで係合させたが、一対のもので両端係合するようにしても良く、ローラ61を有しないものであっても良い。
【0014】
次に、カム手段1aのモータ駆動手段1bへの組み付け方法を説明する。先ず、上筒2aをケーシング4内に装着し、下筒2bをモータ駆動手段1bのフロント部12に装着すると共に、軸受部材332を下筒2bの内周にセットし、スプライン軸部11aをモータ軸11の先端部に取着する。なお、モータ軸11の先端部は、円柱軸の外周対向面をD字状(円弧状)に2面切欠きした断面視太鼓状に形成されている。従動軸部32にカムフォロア6を取着し、筒軸部33の筒内にスプラインボス331を取着させ、これをスプライン軸部11aに嵌挿して従動軸3をセットする。しかる後、ケーシング4を従動軸3と下筒2bを被嵌して、その基端部をモータ駆動手段1bのフロント部12にネジ固定し、軸受部材41を出力軸部31に挿入してケーシング4の前面部に取着すれば組み立ては完成する。
【0015】
このように、組み立て構成されたカム駆動アクチュエータ1におけるカム手段1aの従動軸3は、筒軸部33の筒内のスプラインボス331と、モータ軸11の先端部のスプライン軸部11aとが進退移動可能に挿入されたスプライン連結を介してモータ駆動手段1bの回動に直接連動して回転し、カムフォロア6(ローラ61)がカム体2の環状のカム面21に沿って周回案内されることにより、ケーシング4の前面に設けられた軸受部材41より回転しつつ出没してカム駆動する。つまり、従動軸3は、モータ駆動手段1bの駆動制御により、カム起伏が上り勾配となる場合には下カム面21b上を、下り勾配となる場合には上カム面21a上を、それぞれカムフォロア6(ローラ61)がガイドされながら周回して、従動軸3をモータ駆動手段1bの出力軸としてカム駆動するようになっている。
【0016】
叙述の如く構成された本発明の実施例の形態において、いま、ケーシング4内に収容させたカム手段1aを構成する従動軸3は、連結されたモータ駆動手段1bの回動に連動して、カム体2に形成されたカム面21に沿ってカム駆動するのであるが、本発明におけるカム駆動アクチュエータ1は、筒状のカム体2を非回転としてケーシング4内に収容させ、従動軸3を、ケーシング4の前面より出没する先端側の出力軸部31と、該出力軸部31の後端側ケーシング4内でカムフォロア6が設けられる従動軸部32と、さらに該従動軸部32の後端側に設けられる筒軸部33とを一体的に備えて構成すると共に、筒軸部33の内周面に廻り止め部(331)を設けて、モータ駆動手段1bのモータ軸11と回転かつ進退移動可能に連動連結せしめ、従動軸3は、前記出力軸部31と筒軸部33とをそれぞれ軸受させて、モータ駆動手段1bの回動に連動して回転しつつ、ケーシング4内に配設されたカム体2のカム面21に沿ってカム駆動するよう構成されている。
【0017】
この様に構成すると、従動軸3を筒状のカム体2のカム面21に沿ってカム駆動させるものでありながら、ケーシング4内に装着された非回転のカム体2は、その外周面を摺接支持する部材等を配設する必要性が一切無くなり、モータ駆動手段1bに連動連結された従動軸3のみを、その先端側の出力軸部31(軸受部材41)と基端側の筒軸部33(軸受部材332)との二点間で回転自在かつ軸方向移動自在に高精度に両端支持するだけの基本的な軸受構造とすることができるばかりか、カム体2の内周面を筒軸部33への軸受部材332を配設するケーシング4の内周面に兼用して機能させることができるようになり、組立時における軸芯ズレや同軸度の確保が容易となり、部品点数の削減や各部材の組付け構成が簡素化されて製作の容易化と、軸受構造を含むカム駆動アクチュエータ1自体の構造の簡略化を図ることができる。
【0018】
その結果、従動軸3は、従動軸3の基端側(筒軸部33)を、従動する全てのカムストローク域において常に案内支持することができ、カムフォロア6を片持ち配置させた際にサイドロードによる負荷が加わっても、カムフォロア6を非回転カム面21を案内面として、直角度を維持した最適な係合案内関係が確保され、カムフォロア6(ローラ61の転動面)がカム面21上を均等に面接しながら係合(摺接、転動)負荷や軸芯ズレを生じることなくガイドされ、常に安定した推力をもって案内従動することができ、従動軸3に大きな推力を要するワーク体への連動連結や、従動軸3を高速回転させるなどの大型化を伴う高精度の軸受構造を必要とするカム装置であっても、従動軸3の軸芯ブレや回転振動などの発生が回避された最適なものとして提供することができる。しかも、モータ駆動手段1bにスプライン(廻り止め)連結するだけで、従動軸3を連動連結されるモータ駆動手段1bのモータ軸11に換わって、任意のワーク体に連動連結し得る進退移動可能なカム駆動アクチュエータ1の出力軸として機能させることができるだけでなく、固定されたカム体2は、その外周面に対する摺接支持構造を考慮する必要が無く、単にその外径を大きく、筒部を長くして長ストロークのカム面を形成するなどすれば良く、種々のバリエーション化の図られたカム形状のものを容易に採用することができ、ワーク体の要求に応じて最適なカム駆動を適用することができる。
【0019】
また、ケーシング4の内周面とカム体2の外周面との間に隙間部5を設け、カムフォロア6は、その先端部を隙間部5内に突出して設けられているので、カムフォロア6は、直角度を維持した最適な係合案内関係が確保された状態で、ローラ61の転動面が非回転カム面21の全幅を走行案内面として、カム面21上を均等に面接しながら転動(係合、摺接)負荷や軸芯ズレを生じることなくガイドされ、常に安定した推力をもって案内従動することができるばかりか、隙間部5内に潤滑剤(粘性の高いグリースなど)を充填保持する空間として利用することができ、潤滑状態を維持してカムフォロア6のカム面21への係合(摺接、転動)による滑り抵抗を軽減することができる。
【0020】
また、カム体2は、筒軸部33を覆う長さ有してケーシング4内に固設されているので、その基端部をモータ駆動手段1bのフロント部12にネジ固定することができると共に、その内周面を筒軸部33への軸受部材332を配設するなどケーシング4の内周面に兼用して機能させることができるばかりか、ケーシング4の内周面とカム体2の外周面との間に隙間部5を形成できることに加えて、カム体2の内周面を隙間部51を形成して軸受部材332を配設することも可能となる。
【0021】
また、カム体2は、上カム面21aを形成する上筒2aと、下カム面21bを形成する下筒2bとを一対として分割形成され、上カム面21aと下カム面21bとを、カムフォロア6の周回を可能とする環状のカム溝211を形成すべく、所定の間隔を存して対向離間せしめてケーシング4内に配設されている。この様にカム体2を分割型に形成すると、上筒2aを必要において配設すれば良く、上筒2aを配設した溝カムと、下筒2bのみとした端面カムとの形成を容易に行い得て、要・不要に応じた使い分けをすることができる。なお、端面カムを形成した場合には、軸受部材41と従動軸部32との間にコイルバネを介在して従動軸3を常時後退方向に弾発付勢させておけばよい。
【0022】
また、従動軸部32と筒軸部33とは、その外周面がカム体2の内周面に近接離間する筒径に設定され、筒軸部33は、カム体2の内周面と筒軸部33の外周面との間に形成される隙間部51にリング状の軸受部材332を介在して軸受してあるので、従動軸部32では、カム体2の直径が大きくなりカム面21が軸芯からの距離を要する場合に、カムフォロア6の軸部(スタッド)62の長さを短く設定することができ、負荷を分散軽減することができる一方、筒軸部33では、従動する全てのカムストローク域において常に案内支持することができる。
【0023】
また、軸受部材332によって軸受された筒軸部33は、従動軸部32と一体成形され、その筒内にスプラインボス331を設けてモータ軸11とスプライン連結されているので、モータ軸11との軸芯合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】カム駆動アクチュエータの縦断全体構成図である。
【図2】カム手段側となるカム駆動アクチュエータの前側面図である。
【図3】モータ駆動手段側となるカム駆動アクチュエータの後側面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 カム駆動アクチュエータ
1a カム手段
1b モータ駆動手段
11 モータ軸
11a スプライン軸部
12 フロント部
13 軸受部材
2 カム体
2a 上筒
2b 下筒
21 カム面
21a 上カム面
21b 下カム面
211 カム溝
3 従動軸
31 出力軸部
32 従動軸部
33 筒軸部
331 スプラインボス
332 軸受部材
4 ケーシング
41 軸受部材
5 隙間部
51 隙間部
6 カムフォロア
61 ローラ
62 軸部(スタッド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のカム面が形成された筒状のカム体と、該カム体内の中心に配置され、前記カム面に沿って係合するカムフォロアを介して従動する進退移動可能な従動軸とを備えたカム手段をケーシング内に収容させ、
前記従動軸を、ケーシング前面より出没する先端側の出力軸部と、該出力軸部の後端側ケーシング内で前記カムフォロアが設けられる従動軸部と、さらに該従動軸部の後端側に設けられる筒軸部とを一体的に備えて構成すると共に、
前記筒軸部の内周面に廻り止め部を設けて、モータ駆動手段のモータ軸と回転かつ進退移動可能に連動連結せしめ、
前記従動軸は、前記出力軸部と前記筒軸部とをそれぞれ軸受させて、モータ駆動手段の回動に連動して回転しつつ、ケーシング内に配設されたカム体のカム面に沿ってカム駆動するよう構成されることを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記ケーシングの内周面と前記カム体の外周面との間に隙間部を設け、前記カムフォロアは、その先端部を前記隙間部内に突出して設けられていることを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記カム体は、前記筒軸部を覆う長さを有して前記ケーシング内に固設されていることを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかにおいて、前記カム体は、上カム面を形成する上筒と、下カム面を形成する下筒とを一対として分割形成され、上カム面と下カム面とを、カムフォロアの周回を可能とする環状のカム溝を形成すべく、所定間隔を存して対向離間せしめてケーシング内に配設されていることを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、前記従動軸部と筒軸部とは、その外周面が前記カム体の内周面に近接離間する筒径に設定され、前記筒軸部は、前記カム体内周面と筒軸部の外周面との間に形成される隙間部にリング状の軸受部材を介在して軸受してあることを特徴とするカム駆動アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかにおいて、前記筒軸部は、前記従動軸部と一体成形され、前記廻り止め部は、その筒内にスプラインボスを設けてモータ軸とスプライン連結されていることを特徴とするカム駆動アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−68284(P2013−68284A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207761(P2011−207761)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000229645)日本パルスモーター株式会社 (46)
【Fターム(参考)】