説明

カメラおよび座標算出プログラム

【課題】被写体の反射率にかかわらず該被写体の位置情報を求めるカメラを提供する。
【解決手段】カメラは、共通の被写体を撮影した異なる2地点A,Bの撮影位置情報をそれぞれ取得する位置情報取得手段と、2地点A,Bにおける撮影方位情報θA、θBをそれぞれ取得する方位情報取得手段と、2地点A,Bを含む平面上で2地点A,Bから撮影方位へそれぞれ延ばした直線の交点Oが示す位置情報を算出する位置情報算出手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の座標を取得するカメラ、および座標算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図上における被写体の座標を算出する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3875817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、被写体の反射率が低い場合に適用できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明によるカメラは、共通の被写体を撮影した異なる2地点の撮影位置情報をそれぞれ取得する位置情報取得手段と、2地点における撮影方位情報をそれぞれ取得する方位情報取得手段と、2地点を含む平面上で2地点から撮影方位へそれぞれ延ばした直線の交点が示す位置情報を算出する位置情報算出手段とを備えることを特徴とする。
(2)本発明による座標算出プログラムは、異なる2地点で共通の被写体を撮影した2つの画像ファイルから2地点の撮影位置情報をそれぞれ読み出す位置情報読み出し処理と、2つの画像ファイルから2地点における撮影方位情報をそれぞれ読み出す方位情報読み出し手段と、2地点を含む平面上で2地点から撮影方位へそれぞれ延ばした直線の交点が示す位置情報を算出する位置情報算出処理とをコンピュータ装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、被写体の反射率によらず、該被写体の位置情報を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態による電子カメラ10を含めて構成した地図座標取得システムを説明する図である。図1において地図座標取得システムは、地図上で主要被写体を異なる2つの地点Aおよび地点Bからそれぞれ撮影する。そして、当該主要被写体が位置する座標Oを、地点Aならびに地点Bの位置情報(座標)、および地点A,地点Bにおけるそれぞれの撮影方位θA、θBを示す情報とに基づいて算出する。
【0008】
地図情報は、地図情報提供者からネットワーク経由で取得したり、あらかじめ不揮発性メモリに記録したりして電子カメラ10内に格納しておく。図2は、地図情報をネットワーク経由で電子カメラ10へ取り込む構成を例示する図である。図2において、ネットワークに管理サーバ11、端末(PC)12、アクセスポイント13がそれぞれ接続されている。
【0009】
管理サーバ11は、地図情報提供者によってデータセンターなどに配置される。管理サーバ11は、提供する地図情報などを管理する。端末(PC)12は電子カメラ10のユーザーが自宅などに保有するインターネットアクセス端末(たとえば、パーソナルコンピュータ)であり、インターネットを介して管理サーバ11へアクセス可能に構成される。
【0010】
アクセスポイント13は、通信事業者などによって駅や店舗等に設けられた無線アクセス端末である。電子カメラ10が通信機能を有する場合、ユーザーは電子カメラ10からアクセスポイント13を介して管理サーバ11へアクセス可能である。
【0011】
上記地図座標取得システムにおいて、電子カメラ10のユーザーは以下のいずれかの態様によって管理サーバ11へアクセスし、地図情報を取得する。
(1)ユーザーは、端末12からインターネットに接続して地図情報を取得する。電子カメラ10および端末12間をUSBケーブルなどで接続し、電子カメラ10内へ地図情報を記録する。
【0012】
(2)ユーザーは、端末12からインターネットに接続して地図情報を取得する。電子カメラ10に装着されている記録媒体10Aを、電子カメラ10から取り出して端末12のカードスロット(不図示)へ実装し、記録媒体10A内へ地図情報を記録する。この場合、電子カメラ10および端末12間の接続は不要である。
【0013】
(3)ユーザーは、電子カメラ10をアクセスポイント13経由でインターネットに接続し、地図情報を取得する。アクセスポイント13との間で通信が成立した電子カメラ10は、電子カメラ10内へ地図情報を記録する。
【0014】
図3は、電子カメラ10の要部構成を例示するブロック図である。図3において、タイミングジェネレータ(TG)105は、メインCPU108から送出される指示に応じて、タイミング信号をドライバ104、AFE(Analog Front End)回路102、A/D変換回路103および画像処理回路106へ供給する。ドライバ104は、撮像素子101で必要とされる駆動信号を供給する。
【0015】
撮影レンズLは、撮像素子101の撮像面に被写体像を結像させる。撮像素子101は、画素に対応する複数の光電変換素子を備えたCCDイメージセンサなどによって構成され、撮像面上に結像されている被写体像を撮像し、被写体像の明るさに応じた光電変換信号を出力する。
【0016】
AFE回路102は、撮像素子101から出力される光電変換信号に対するアナログ処理(ゲインコントロールなど)を行う。A/D変換回路103は、アナログ処理後の撮像信号をディジタル信号に変換する。
【0017】
メインCPU108は、各ブロックから出力される信号を入力して所定の演算を行い、演算結果に基づく制御信号を各ブロックへ出力する。画像処理回路106は、たとえばASICとして構成され、A/D変換回路103から入力されるディジタル画像信号に対する画像処理を行う。画像処理には、たとえば、輪郭強調や色温度調整(ホワイトバランス調整)処理、画像信号に対するフォーマット変換処理が含まれる。
【0018】
画像圧縮回路107は、画像処理回路106による処理後の画像信号に対して、JPEG方式で所定の圧縮比率の画像圧縮処理を行う。表示画像作成回路110は、撮像画像を液晶モニタ111に表示させるための表示データを作成する。液晶モニタ111は、表示画像作成回路110から入力される表示データによる再生画像を表示する。表示画像作成回路110は画像表示用データの他、メッセージやメニュー、マークなどを表示するためのデータの作成も行う。これにより、液晶モニタ111に画像以外の情報も表示される。
【0019】
記録媒体10Aは、電子カメラ10に対して着脱可能なメモリカードなどで構成される。記録媒体10Aには、メインCPU108からの指示によって撮影画像のデータ、およびその撮影情報を含む画像ファイルが記録される。記録媒体10Aに記録された画像ファイルは、メインCPU108からの指示によって読み出しが可能である。
【0020】
バッファメモリ109は、画像処理前後および画像処理途中のデータを一時的に格納する他、記録媒体10Aへ記録する前の画像ファイルを格納したり、記録媒体10Aから読み出した画像ファイルを格納したりするワークメモリとして使用される。
【0021】
操作部材113は、電子カメラ10の操作ボタン類に対応し、各ボタンの押下操作に対応する操作信号をメインCPU108へ出力する。無線インターフェイス116は、メインCPU108からの指示により外部機器(アクセスポイント13に備えられる端末等)との間で無線LAN通信、赤外線通信、および光通信などのいずれかの通信方式によってデータを送受信する。外部インターフェイス112は、メインCPU108からの指示により外部機器(パーソナルコンピュータやクレードル等)との間で不図示のケーブルを介してデータを送受信する。
【0022】
GPS装置114は、メインCPU108からの指示に応じてGPS衛星からの電波を受信し、受信信号をメインCPU108へ出力する。メインCPU108は、GPS装置114からの受信信号に基づいて所定の演算を行い、電子カメラ10の測位情報(緯度、経度、高度)を検出する。
【0023】
方位センサ115は、メインCPU108からの指示に応じて地磁気を検出し、検出した地磁気に基づいて電子カメラ10が向いている方向、すなわち、撮影レンズLの光軸が向いている方位を求め、求めた方位を示す信号をメインCPU108へ出力する。方位センサ115によって検出される方位は、電子カメラ10による撮影方位に対応する。
【0024】
上記電子カメラ10は、撮影時に取得した画像データに、測位情報、方位情報、および当該撮影画像に関する情報などを含む付加情報を付加した画像ファイルを生成するように構成されている。具体的には、JPEG形式の画像データを画像データ部に格納し、付加情報を付加情報部に格納したExif形式の画像ファイルを生成する。
【0025】
<電子カメラによる表示>
電子カメラ10が液晶モニタ111に画像ファイル内の情報を表示する再生動作について、液晶モニタ111の表示を例に説明する。図4は、電子カメラ10を液晶モニタ111(背面)側から見た図である。図4において、電子カメラ10の背面に液晶モニタ111が配設され、液晶モニタ111の横にズームスイッチ113b、メニュースイッチ113c、その他操作スイッチ113d、113e、113gおよびダイヤル113fが設けられている。リング状に構成されたダイヤル113fは、回転操作に応じた回転操作信号と、押下操作に応じた押下位置信号とを発生する。決定スイッチ113gの配設位置はダイヤル113fの中央部である。また、電子カメラ10の上面にはレリーズボタン113aが配設される。
【0026】
液晶モニタ111には地図画像が表示されている。電子カメラ10のメインCPU108は、たとえば、次の5項目のうち、メニュー設定によって指示されている項目に対応するエリアの地図を液晶モニタ111に表示させる。
1.電子カメラ10の現在地(GPS装置114からの受信信号に基づいて演算した位置)を含む地図
2.最後に(前回)液晶モニタ111に表示したエリアの地図
3.最後の(前回)撮影時に測位した(GPS装置114からの受信信号に基づいて演算した)位置を含む地図
4.あらかじめ定められているエリアの地図
5.操作部材113からの操作信号によって指示されるエリアの地図
【0027】
地図画像表示に必要な地図情報は、無線インターフェイス116または外部インターフェイス112を介して外部機器から受信可能に構成されている。受信した地図のデータは、記録媒体10Aに記録することも可能である。
【0028】
図4に例示した液晶モニタ111の表示画像には、地図画像に重ねてマーク21〜マーク24がそれぞれ表示されている。マーク21〜マーク24は、各マークに対応する位置で撮影された画像が電子カメラ10内に存在することを示す。具体的には、マーク21〜マーク24の表示位置に対応する測位情報を関連づけて保存された画像ファイルが記録媒体10A内に記録されている場合に、メインCPU108が測位情報で示される位置(撮影位置)にマークを表示させる。
【0029】
液晶モニタ111に表示する地図画像の表示範囲(すなわち、地図の縮尺)は、ズームスイッチ113bからの操作信号に応じて変化する。メインCPU108は、ズームスイッチ113bがテレ側(T)に操作されると縮尺率を下げ(拡大表示)、ワイド側(W)に操作されると縮尺率を高める(縮小表示)ように表示制御する。
【0030】
ポインタ31は、液晶モニタ111の表示画面内を移動自在に表示制御される。メインCPU108は、ダイヤル113fからの押下位置信号に応じて、ポインタ31を押下位置方向へなめらかに移動させる。たとえば、ダイヤル113fの右側が押下される場合、ポインタ31を現表示位置より右方向へ移動させる。ダイヤル113fの右側が押下され続ける場合はポインタ31をさらに右側へ移動させ、ポインタ31が表示画面の右側へ到達した状態でダイヤル113fの右側がさらに押下される場合、表示する地図画像を左方向へスクロールさせる。これにより、地図画像の表示されていなかった右側部分が新たに液晶モニタ111に表示される。
【0031】
メインCPU108は、ダイヤル113fの上側、左側、下側が押下される場合もそれぞれ同様に表示制御を行う。なお、ダイヤル113fの斜め上側、斜め下側が押下される場合には、それぞれの方向に地図画像がスクロールするように表示制御を行う。
【0032】
なお、上述したように地図画像を液晶モニタ111に表示させる他、記録媒体10Aに記録された画像ファイル内のデータによる画像を液晶モニタ111に表示させる通常の再生表示も可能である。
【0033】
<電子カメラによる地図座標取得>
電子カメラ10に地図座標を算出させる地図座標算出モードの設定処理と、地図座標算出処理の流れについて、図7および図8に例示するフローチャートを参照して説明する。メインCPU108は、メニュースイッチ113cが押下操作されると、図7の処理を行うためのプログラムを起動する。図7のステップS101において、メインCPU108は、図5に例示する「操作メニュー」画面を液晶モニタ111に表示させる。
【0034】
「操作メニュー」には、「地図座標算出モードオン」項目171と、「画像選択」項目172とが含まれる。メインCPU108は、「操作メニュー」画面を表示中に十字スイッチ22gが上下方向に押下操作されると、操作信号に応じて選択項目を上下に変更する。
【0035】
ステップS102において、メインCPU108は、メニュー終了操作が行われたか否かを判定する。メインCPU108は、メニュースイッチ113cが押下操作された場合にステップS102を肯定判定してステップS109へ進む。ステップS109において、メインCPU108は、メニュー表示を終了して図7による処理を終了する。
【0036】
一方、メインCPU108は、メニュースイッチ113cが押下操作されない場合にはステップS102を否定判定し、ステップS103へ進む。ステップS103において、メインCPU108は、地図座標算出モードオン操作が行われたか否かを判定する。メインCPU108は、たとえば、「地図座標算出モードオン」項目171を選択した状態でダイヤル113fの右側が押下されると、ステップS103を肯定判定してステップS104へ進む。なお、既に地図座標算出モードに設定している状態であって、地図座標算出モードオフ操作が行われない場合にもステップS104へ進む。ステップS104において、メインCPU108は、地図座標算出モードに設定してステップS105へ進む。
【0037】
メインCPU108は、「地図座標算出モードオン」項目171を選択した状態で地図座標算出モードオフ操作が行われた場合には、ステップS103を否定判定してステップS108へ進む。この場合のメインCPU108は、ステップS108において地図座標算出モードを解除してステップS102へ戻る。
【0038】
ステップS105において、メインCPU108は、図6に例示する「画像選択」画面を液晶モニタ111に表示させる。表示対象は、記録媒体10Aに記録(登録)されている全ての画像ファイルである。図6によれば、12のサムネイル画像が表示されている。サムネイル表示は、各画像ファイルに含まれているサムネイル画像を並べて表示したものである。メインCPU108は、サムネイル画像の1つを囲むカーソル174を表示させる。メインCPU108はさらに、各サムネイル画像に対応させてチェックボックス173をそれぞれ表示させる。
【0039】
メインCPU108は、「画像選択」画面を表示中にダイヤル113fが上下方向に押下操作されると、操作信号に応じてカーソル174の表示位置を上下に移動させる。また、メインCPU108は、「画像選択」画面を表示中にダイヤル113fが左右方向に押下操作されると、操作信号に応じてカーソル174の表示位置を左右に移動させる。
【0040】
ステップS106において、メインCPU108は、画像選択操作が行われたか否かを判定する。メインCPU108は、カーソル174が囲むチェックボックス内にチェックマークが表示されていない状態で決定スイッチ113gが押下操作されると、当該チェックボックス内にチェックマークを表示させる。チェックマークの表示は、当該サムネイル画像に対応する画像ファイルを選択したことを表す。メインCPU108は、2つの画像ファイルを選択した場合にステップS106を肯定判定してステップS107へ進む。本実施形態の場合、画像ファイルの選択は2つである。
【0041】
本実施形態ではサムネイル画像181および182に対応する2つの画像ファイルが選択される。選択される画像ファイルは、異なる地点から同一の主要被写体を撮影したものであり、かつ、当該主要被写体がそれぞれの画面中央で撮影されているものとする。なお、各撮影地点から主要被写体までの距離、および各撮影時のズーム倍率は異なっていても構わない。
【0042】
メインCPU108は、カーソル174が囲むチェックボックス内にチェックマークが表示されている状態で決定スイッチ113gが押下操作されると、当該チェックボックスのチェックマークを消す。チェックマークの消去は、当該サムネイル画像に対応する画像ファイルの非選択を表す。
【0043】
一方、メインCPU108は、画像ファイルを選択しない場合にはステップS106を否定判定してステップS110へ進む。ステップS106を肯定判定した場合に進むステップS107において、メインCPU108は、選択画像ファイルを示す情報をメインCPU108内のメモリに格納してステップS112へ進む。
【0044】
ステップS112において、メインCPU11は主要被写体の地図座標、すなわち、主要被写体が位置する地図上の座標を算出してステップS113へ進む。地図座標算出処理の詳細については後述する。ステップS113において、メインCPU108は、選択されている2つの画像ファイルのそれぞれに対し、算出した主要被写体の地図座標を示す情報を追加させる。具体的には、画像ファイルの付加情報内に算出した地図座標情報を追加記録する。メインCPU108は、算出した地図座標情報を画像ファイルへ追加するとステップS102へ戻る。
【0045】
ステップS106を否定判定した場合に進むステップS110において、メインCPU108は、終了操作が行われたか否かを判定する。メインCPU108は、メニュースイッチ113cが押下操作された場合にステップS110を肯定判定してステップS109へ進む。メインCPU108は、メニュースイッチ113cが押下操作されない場合にはステップS110を否定判定し、ステップS111へ進む。
【0046】
ステップS111において、メインCPU108は、操作部材113が何も操作されない状態で所定時間(たとえば、10秒)が経過するとステップS106へ戻る。
【0047】
上述した画像選択は、地図座標算出モードがオンされていなくても行えるように構成される。たとえば、メインCPU108は、図5に例示したメニュー画面において「画像選択」項目172を選択した状態でダイヤル113fの右側が押下されると、図6に例示した「画像選択」画面を液晶モニタ111に表示させ、上記ステップS306、S307、S310、およびS311と同様の処理を行う。この場合のメインCPU108は、選択処理後は液晶モニタ111の表示内容を図5に例示する「操作メニュー」画面に戻す。
【0048】
地図座標算出処理の詳細について、図8のフローチャートを参照して説明する。図8のステップS201において、メインCPU108は、選択されている2つの画像ファイルから各画像の撮影地点を示す測位情報、および撮影方向を示す方位情報をそれぞれ読み出してステップS202へ進む。
【0049】
ステップS202において、メインCPU108は、2つの撮影地点を含む地図情報を記録媒体10Aから読み出してステップS203へ進む。ステップS203において、メインCPU108は、測位情報に基づいて上記2画像の撮影地点を地図上にプロットしてステップS204へ進む。プロットされた撮影地点は、図1における地点A、地点Bに対応する。なお、ここでは演算に必要な座標をメモリ空間に仮想的にセットすればよく、実際の地図データに重ね合わせなくてもよい。
【0050】
ステップS204において、メインCPU108は、方位情報に基づいて地図上の撮影地点A、Bから撮影方向へそれぞれ直線を引き、ステップS205へ進む。図1において、撮影地点を通る経線から所定角(経線と撮影方向を示す線との挟角θA、θB)をなす直線が撮影方向を示す。ステップS205において、地図上における2本の直線の交点を算出して図8による処理を終了する。2本の直線の交点は、主要被写体の座標(たとえば、緯度、経度)に対応する。
【0051】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子カメラ10は、異なる2地点から共通の被写体を撮影した際に該2地点における測位情報、方位情報をそれぞれ取得し、該2地点を含む平面上で該2地点から撮影方位へそれぞれ直線を引き、2本の直線の交点を算出するようにした。2本の直線の交点は、主要被写体の座標に対応する。これにより、従来技術と異なり、主要被写体の反射率が低い場合でも主要被写体の座標を算出することができる。
【0052】
(2)2地点を含む地図上において直線の交点を算出するようにしたので(マッピング)、地図上における主要被写体の位置(たとえば、緯度、経度)を算出できる。
【0053】
(3)測位情報、方位情報が含まれる画像ファイルから測位情報および方位情報を取得するようにしたので、測位情報を得るためのGPS装置や方位情報を得るための方位センサを具備しないカメラでも主要被写体の座標を算出できる。
【0054】
(変形例1)
以上の説明は、既に撮影済みの画像ファイルに基づいて主要被写体の座標を算出する例を説明した。この代わりに、地図座標算出のための撮影をアシストするように構成してもよい。この場合の電子カメラ10のメインCPU108は、地図座標算出モードが設定されると1枚目の撮影を促すメッセージを液晶モニタ111に表示させる。
【0055】
ユーザーがレリーズ操作を行うと、メインCPU108は、取得した画像データ、測位情報、方位情報を含む画像ファイルを生成し、記録媒体10Aに記録する。メインCPU108はさらに、2枚目の撮影を促すメッセージを液晶モニタ111に表示させる。
【0056】
ユーザーが2枚目のレリーズ操作を行うと、メインCPU108は、取得した画像データ、測位情報、方位情報を含む画像ファイルを生成し、記録媒体10Aに記録する。メインCPU108はさらに、2枚の画像ファイルに基づいて主要被写体の座標を算出し、算出した地図座標情報を2枚の画像ファイルへそれぞれ追加する。変形例1によれば、同じ主要被写体を2枚撮影する毎に自動的に地図座標情報を算出できる。
【0057】
(変形例2)
以上の説明は、1台の電子カメラ10で撮影地点を変えて撮影した画像ファイルに基づいて、主要被写体の座標を算出する例を説明した。この代わりに、2台の電子カメラ10によって異なる撮影地点から共通の主要被写体をそれぞれ撮影し、一方の電子カメラ10で記録された記録媒体10Aの画像ファイルを他方の電子カメラ10で読み出すことにより、2枚の画像ファイルに基づいて主要被写体の座標を算出するように構成してもよい。2台のカメラ10で撮影を分担することにより、1台のカメラ10で2地点を巡回する場合よりも所要時間を短縮できる。
【0058】
(変形例3)
2台の電子カメラ10によって異なる撮影地点から共通の主要被写体をそれぞれ撮影し、一方の電子カメラ10で取得、生成された画像ファイルを他方の電子カメラ10へ送信することにより、2枚の画像ファイルに基づいて主要被写体の座標を算出するように構成してもよい。この場合の電子カメラ10間の通信は、電子カメラ10相互が無線インターフェイス116を介して行ってもよいし、ネットワーク経由(図2)で行ってもよい。2台のカメラ10間で即時画像ファイルを転送できるので、同じ主要被写体を2枚撮影した時点でリアルタイムに地図座標情報を算出できる。
【0059】
(変形例4)
地図情報を参照して座標に対応する地名または名称を取得し、再生画像とともに地名、名称などを液晶モニタ111に表示させてもよい。図9は、液晶モニタ111に表示される再生画像を例示する図である。再生画像とともに主要被写体名が表示されている。なお、緯度、経度情報を合わせて表示させてもよい。
【0060】
メインCPU108はさらに、たとえばスイッチ113dが押下操作された場合に、図9の再生画像に代えて、図1に例示した2つの撮影地点A,Bおよび主要被写体の座標Oを含む地図画像を液晶モニタ111に表示させる。再びスイッチ113dが操作された場合には、図1の地図画像に代えて、図9の再生画像を再び表示させる。メインCPU108はさらに、図1の地図画像を表示中にポインタ31(図2)を表示させ、このポインタ31を用いたドラッグ操作によって座標Oの位置を修正する。メインCPU108は、修正後の座標情報を2枚の画像ファイルへそれぞれ更新記録する。
【0061】
(変形例5)
以上の説明では、水平面内の座標を算出する例を説明したが、垂直面内の座標(すなわち高度)を算出するように構成することもできる。この場合には、電子カメラ10に仰角(俯角)センサを設け、撮影時の仰角(または俯角)を検出し、仰角(または俯角)情報を画像ファイルの付加情報内に記録しておく。メインCPU108は、画像ファイルの付加情報に記録されている高度情報に基づいて上記2画像の撮影地点の高度を垂直平面上にプロットする。なお、演算に必要な座標をメモリ空間に仮想的にセットすればよい点は水平面内における座標演算の場合と同様である。
【0062】
メインCPU108はさらに、仰角(俯角)情報に基づいて垂直平面上で撮影地点から撮影方向へ直線を引く。撮影地点を通る水平線から所定角(水平線と撮影方向を示す線との挟角θC、θD)をなす直線が仰角(俯角)方向を示す。メインCPU108は、垂直平面における2本の直線の交点を算出する。2本の直線の交点は、主要被写体の高度を表す。
【0063】
(変形例6)
電子カメラ10によって地図座標を算出する例を説明したが、図8による処理を行う地図座標算出プログラムを図10に示すコンピュータ装置200に実行させることにより、地図座標算出装置を構成してもよい。地図座標算出プログラムをパーソナルコンピュータ200に取込んで使用する場合には、パーソナルコンピュータ200のデータストレージ装置にプログラムをローディングした上で、当該プログラムを実行させることによって地図座標算出装置として使用する。
【0064】
パーソナルコンピュータ200に対するプログラムのローディングは、プログラムを格納したCD−ROMなどの記録媒体204をパーソナルコンピュータ200にセットして行ってもよいし、ネットワークなどの通信回線201を経由する方法でパーソナルコンピュータ200へローディングしてもよい。通信回線201を経由する場合は、通信回線201に接続されたサーバー(コンピュータ)202のハードディスク装置203などにプログラムを格納しておく。地図座標算出プログラムは、記録媒体204や通信回線201を介する提供など、種々の形態のコンピュータプログラム製品として供給することができる。
【0065】
電子カメラ10を例に説明したが、携帯電話機などの電子機器によって本発明を実施しても構わない。
【0066】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施の形態による電子カメラを含めて構成した地図座標取得システムを説明する図である。
【図2】地図情報をネットワーク経由で電子カメラへ取り込む構成を例示する図である。
【図3】電子カメラの要部構成を例示するブロック図である。
【図4】電子カメラを液晶モニタ(背面)側から見た図である。
【図5】「操作メニュー」画面を例示する図である。
【図6】「画像選択」画面を例示する図である。
【図7】地図座標算出モードの設定処理の流れについて説明するフローチャートである。
【図8】地図座標算出処理の流れについて説明するフローチャートである。
【図9】再生画像を例示する図である。
【図10】コンピュータ装置を例示する図である。
【符号の説明】
【0068】
10…電子カメラ
10A、204…記録媒体
108…メインCPU
111…液晶モニタ
113…操作部材
114…GPS装置
115…方位センサ
116…無線インターフェイス
200…パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の被写体を撮影した異なる2地点の撮影位置情報をそれぞれ取得する位置情報取得手段と、
前記2地点における撮影方位情報をそれぞれ取得する方位情報取得手段と、
前記2地点を含む平面上で前記2地点から前記撮影方位へそれぞれ延ばした直線の交点が示す位置情報を算出する位置情報算出手段とを備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記2地点を含む地図情報を取得する地図情報取得手段をさらに備え、
前記位置情報算出手段は、前記地図上で前記2地点から前記撮影方位へそれぞれ延ばした直線の交点が示す位置情報を算出することを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記2地点で撮影された2つの画像ファイルは前記撮影位置情報および前記撮影方位情報をそれぞれ含み、
前記位置情報取得手段は、前記2つの画像ファイルから前記撮影位置情報をそれぞれ取得し、
前記方位情報取得手段は、前記2つの画像ファイルから前記撮影方位情報をそれぞれ取得することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラにおいて、
外部機器との間で通信する通信手段をさらに備え、
前記2つの画像ファイルの一方を前記通信手段を介して取得することを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記位置情報取得手段は、前記2地点における撮影時に外部機器からの電波に基づいて前記撮影位置情報をそれぞれ取得し、
前記方位情報取得手段は、前記2地点における撮影時に地磁気に基づいて前記撮影方位情報をそれぞれ取得することを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項5に記載のカメラにおいて、
前記撮影位置情報、前記撮影方位情報および撮影した画像データを含む画像ファイルを前記撮影時に生成するファイル生成手段をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項7】
異なる2地点で共通の被写体を撮影した2つの画像ファイルから前記2地点の撮影位置情報をそれぞれ読み出す位置情報読み出し処理と、
前記2つの画像ファイルから前記2地点における撮影方位情報をそれぞれ読み出す方位情報読み出し手段と、
前記2地点を含む平面上で前記2地点から前記撮影方位へそれぞれ延ばした直線の交点が示す位置情報を算出する位置情報算出処理とをコンピュータ装置に実行させることを特徴とする座標算出プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−28282(P2010−28282A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184805(P2008−184805)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】