説明

カメラの光軸調整組立装置および光軸調整方法

【課題】レンズの光軸とイメージセンサの中心との相対的な位置合わせを、精度よく実行できるカメラの光軸調整組立装置を提供する。
【解決手段】光軸調整組立装置は、第1および第2の保持部材42、測定器37ねじ締め機構36を具備する。第1の保持部材42は光軸が垂直となるようにカメラ1のフレーム2を保持しつつ光軸に沿うZ軸方向に昇降動する。第2の保持部材63は、イメージセンサが光軸上で水平となるようにカメラ1のホルダ3を保持し、かつ光軸と直交するX軸、X軸と直交するY軸方向に位置調節が可能である。測定器37は、光軸に対するイメージセンサのX軸方向のずれ量、Y軸方向のずれ量およびイメージセンサからレンズマウント6に至るZ軸方向の距離を測定する。ねじ締め機構36は、測定器37の測定結果に基づくずれ量の補正が完了した状態で、複数のねじ24を介してフレーム2とホルダ3とを互いに固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズがねじ込まれるフレームと、イメージセンサを支持するホルダとを複数のねじで固定するカメラの光軸調整組立装置に係り、特にレンズの光軸上にイメージセンサの中心が位置するようにフレームとホルダとの相対的な位置精度を高めるための構造に関する。さらに、本発明は、レンズの光軸上にイメージセンサの中心を精度良く位置合わせするための光軸調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小型のCCDカメラは、レンズマウントを有するフレームと、CCDイメージセンサを搭載したホルダとを備えている。
【0003】
レンズマウントは、筒状のレンズが取り外し可能にねじ込まれるものであり、このレンズマウントにレンズのねじ込み端を受ける基準面が形成されている。ホルダは、複数のねじを介してフレームに固定されている。この固定により、CCDイメージセンサがレンズの光軸上に位置されるとともに、レンズマウントの基準面からCCDイメージセンサまでの距離が予め決められた値に設定されるようになっている。
【0004】
ところで、小型のCCDカメラでは、レンズの中心を通る光軸とCCDイメージセンサの中心との相対的な位置精度が非常に重要となる。すなわち、CCDイメージセンサの中心が光軸から外れていると、例えばレンズを交換した時に、モニタに表示される被撮像物の位置が変化してしまい、光軸の微妙な位置調整作業を余儀なくされる。
【0005】
従来のCCDカメラでは、光軸がCCDイメージセンサの中心を通るように、フレームおよびホルダの相互の接触面を精度良く仕上げている。しかしながら、作業者がフレームとホルダとをねじで結合した時に、ねじの締め付け時に生じるトルクにより、フレームとホルダとの相互接触部がミクロン単位で動いてしまうのを否めない。
【0006】
そのため、光軸とCCDイメージセンサの中心との位置合わせ精度は、フレームおよびホルダの加工精度や作業者の経験と感覚に依存することが多くなっている。したがって、光軸とCCDイメージセンサの中心との位置精度を高めるには自ずと限界があるとともに、フレームとホルダとの固定作業に熟練を要するといった問題が生じてくる。
【0007】
この問題を解消するため、例えば特許文献1は、レンズの調整と固体撮像素子の調整を自動的に行うようにしたカメラモジュールの組立調整方法を開示している。この組立調整方法では、最初に光源部から調整光を照射することで、カメラモジュールを構成する各種の光学系部品を配置する上での基準となる基準光軸を設定している。光学系部品は、夫々の光軸が基準光軸と一致するように、位置や角度を調整して配置されている。
【0008】
さらに、検査用のチャートをカメラモジュールで撮像し、撮像された画像に基づいて再び光学系部品の調整を行い、光学系部品を基準光軸に対し最適な状態となるように配置している。
【特許文献1】特開2007−47586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されたカメラモジュールの組立調整方法では、予め設定された基準光軸を基に光学系部品の調整を行っており、隣り合う光学系部品の相互のずれ量を測定していない。
【0010】
そのため、カメラモジュールの組立時に、光学系部品間の位置精度を維持するといった技術思想を欠いており、光学系部品の調整に時間を要するといった不具合がある。
【0011】
本発明の目的は、レンズの光軸とイメージセンサの中心との相対的な位置合わせを精度よく実行できるとともに、フレームとホルダとの固定作業を効率よく行うことができるカメラの光軸調整組立装置および光軸調整方法を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る光軸調整組立装置は、
筒状のレンズが取り外し可能にねじ込まれるとともに、このレンズのねじ込み端を受ける基準面が形成されたレンズマウントを有するフレームと、上記レンズと向かい合うイメージセンサを支持するホルダと、を含み、上記レンズの中心を通る光軸と上記イメージセンサの中心とを位置合わせするとともに、上記イメージセンサから上記レンズマウントの基準面までの距離を予め決められた値に設定した状態で、上記フレームと上記ホルダとを複数のねじを介して固定するカメラに用いる光軸調整組立装置であって、
上記レンズマウントの基準面が水平となり、かつ上記光軸が垂直となるように上記フレームを移動不能に保持するとともに、上記光軸に沿う垂直なZ軸方向に昇降動が可能な第1の保持部材と、
上記第1の保持部材の下方に配置され、上記イメージセンサが上記光軸上で水平となるように上記ホルダを移動不能に保持して、上記レンズマウントと上記ホルダとを上下方向に互いに対向させるとともに、上記光軸と直交する水平なX軸およびX軸と直交する水平なY軸方向に独立して位置調節が可能な第2の保持部材と、
上記光軸に対する上記イメージセンサの上記X軸方向のずれ量、上記光軸に対する上記イメージセンサの上記Y軸方向のずれ量および上記イメージセンサから上記レンズマウントの吸着面に至る上記Z軸方向の距離を測定器により測定するとともに、この測定結果に基づく上記X軸方向のずれ量、上記Y軸方向のずれ量および上記Z軸方向の距離の補正が完了した状態で、上記複数のねじを介して上記フレームと上記ホルダとを互いに固定するねじ締め機構と、を具備したことを特徴としている。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る光軸調整方法は、
三次元測定器によって、上記光軸調整組立装置の上記光軸に対する上記イメージセンサの上記X軸方向のずれ量、上記光軸に対する上記イメージセンサの上記Y軸方向のずれ量および上記イメージセンサから上記レンズマウントの基準面に至る上記Z軸方向の距離を測定し、
制御コンピュータによって、測定結果に基づく上記X軸方向のずれ量、上記Y軸方向のずれ量および上記Z軸方向の距離の補正値を演算し、
上記制御コンピュータの演算結果により、上記光軸調整組立装置の上記X軸方向に直線的に往復動可能なX軸ステージと、上記Y軸方向に直線的に往復動可能なY軸ステージと、上記Z軸方向に昇降動可能なZ軸ステージとを駆動して、上記イメージセンサの中心と上記レンズ光軸とを合致させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測定器での測定結果に基づいてレンズの光軸とイメージセンサの中心との相対的な位置合わせを精度よく実行できる。しかも、フレームとホルダとの位置精度を確保しつつ、ねじを用いた自動的な締め付け作業によりフレームとホルダとを互いに固定することができ、カメラの組立作業を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態を、図1乃至図16に基づいて説明する。
【0016】
まず、図1乃至図8を用いて本実施形態に係るCCDカメラの構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るCCDカメラの組み立て後の斜視図。図2(A)は、フレームの正面図、(B)はフレームの側面図、(C)はフレームの側面図。図3(A)は、ホルダの正面図、(B)はホルダの側面図。図4は、本発明の実施の形態において、CCDカメラとレンズとの位置関係を示す側面図を示している。図5は、本発明の実施の形態において、フレームとホルダとを分離させた状態を示すCCDカメラの側面図。図6は、本発明の実施の形態において、レンズの光軸からCCDイメージセンサの中心がずれた状態を示すCCDカメラの正面図。図7は、本発明の実施の形態において、レンズの光軸とCCDイメージセンサの中心とが位置合わせされた状態を示すCCDカメラの正面図を示している。
【0017】
図1乃至図4を参照して本発明に係る光軸調整組立装置によって組み立てられる小型のCCDカメラ1を説明する。CCDカメラ1は、フレーム2、ホルダ3およびカバー4を備えている。
【0018】
フレーム2は、例えばアルミニウム合金のような金属材料で形成されて、充分な剛性を有している。図2(B)に示すように、フレーム2は、第1の支持壁5aと、第2の支持壁5bと、レンズマウント6とで構成されている。第1および第2の支持壁5a,5bは、夫々四角い板状をなしている。第1の支持壁5aは、レンズマウント6に対し垂直な方向に延びており、第2の支持壁5bは、レンズマウント6に対し平行な方向に延びている。
【0019】
第1の支持壁5aは、フラットな底面7を有している。底面7は、例えばCCDカメラ1を図6に示す水平なカメラ据え付け面8の上に置いた時に、このカメラ据え付け面8に接するようになっている。
【0020】
図2(C)に示すように、第1の支持壁5aの底面7に、四角い凹所9と一対のピン挿入孔10a,10bが形成されている。凹所9は、底面7の中央部全体に位置している。ピン挿入孔10a,10bは、底面7のレンズマウント6側の前端部に位置するとともに、第1の支持壁5aの幅方向に互いに離れている。第2の支持壁5bは、第1の支持壁5aの前端から第1の支持壁5aと直交する方向に延びている。
【0021】
レンズマウント6は、光軸O1を有する円筒状のレンズ12を取り付けるための機構であって、第2の支持壁5bの前面から突出する中空の円筒状をなしている。図1、図4および図5に示すように、レンズマウント6は、レンズ12がねじ込まれるレンズ取り付け孔13を備えている。レンズ取り付け孔13は、雌ねじ部14と、この雌ねじ部14と同軸状をなす小径部15とを有している。雌ねじ部14は、レンズマウント6の先端に開口されている。小径部15は、雌ねじ部14よりも径が小さいとともに、第2の支持壁5bに開口されている。
【0022】
レンズ12は、一端に雄ねじ部12aを有している。雄ねじ部12aは、レンズマウント6の雌ねじ部14にねじ込まれており、このねじ込みにより、レンズ12とレンズマウント6とが合体する。そのため、雌ねじ部14および小径部15は、レンズ12の光軸O1と同軸状に形成することが必要となる。
【0023】
レンズマウント6の雌ねじ部14と小径部15との境界部分に基準面16が形成されている。この基準面16は、レンズマウント6の軸方向に沿う中間に位置するとともに、レンズ12の光軸O1と直交するリング状の平面となっている。レンズ12の雄ねじ部12aをレンズ取り付け孔13の雌ねじ部14にねじ込んでいくと、雄ねじ部12aの端面が基準面16に突き当たる。これにより、レンズマウント6に対するレンズ12の取り付け位置が固定的に定まるようになっている。
【0024】
一方、上記第2の支持壁5bに取り付けられる上記ホルダ3は、例えばアルミニウム合金のような金属材料で形成されて、充分な剛性を有している。図3又は図5に示すように、ホルダ3は、第2の支持壁5b側の第1の面18a、その反対側の第2の面18bおよび第1乃至第4の周面19a,19b,19c,19dを有する四角い板状をなしている。
【0025】
ホルダ3の第1の面18aは、後述するCCDイメージセンサ20が取り付けられるフラットな面であり、フレーム2の第2の支持壁5bと向かい合っている。ホルダ3の第2の面18bは、第1の面18aに対しホルダ3の厚み方向に沿う反対側に位置している。
【0026】
ホルダ3の第1乃至第4の周面19a,19b,19c,19dは、第1および第2の面18a,18bの周囲に位置している。図3(A)に示すように、第1および第2の周面19a,19bは、互いに間隔を存して平行に配置されている。第3の周面19cは、第1の周面19aの一端と第2の周面19bの一端との間を結んでいる。第4の周面19dは、第1の周面19aの他端と第2の周面19bの他端との間を結んでいる。そのため、第3および第4の周面19c,19dは、第1および第2の周面19a,19bと直交する方向に沿うとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。
【0027】
ホルダ3は、CCDイメージセンサ20を支持している。CCDイメージセンサ20は、例えばCCD画素を正方格子状に配列したものであり、その配列領域の対角線の交点で規定される中心C1を有している。CCDイメージセンサ20は、ホルダ3の中央部に位置するとともに、第1の面18aから僅かに突出している。
【0028】
図3(A)に示すように、ホルダ3は、一対のねじ孔21a,21bとピン挿入穴22とを有している。ねじ孔21a,21bは、CCDイメージセンサ20を間に挟んでホルダ3の幅方向に互いに離れているとともに、ホルダ3を厚み方向に貫通している。ピン挿入穴22は、ホルダ3の幅方向に延びる長孔であって、ホルダ3の第2の面18bに開口している。
【0029】
図4又は図5に示すように、ホルダ3は、一対のねじ24(一方のみを図示)を介してフレーム2の第2の支持壁5bに固定されている。ねじ24は、ホルダ3のねじ孔21a,21bおよびフレーム2の第2の支持壁5bに連続してねじ込まれている。
【0030】
このねじ込みにより、ホルダ3の第1の面18aがフレーム2の第2の支持壁5bに密着する。それとともに、CCDイメージセンサ20がレンズ取り付け孔13と向かい合ってレンズ12の光軸O1の上に位置するようになっている。さらに、レンズ取り付け孔13の基準面16からCCDイメージセンサ20までの距離L(図4を参照)が規格で定められた値に設定されるようになっている。例えば、Cマウントと称するレンズマウント6の規格では、距離Lが17.526mmに規定されている。
【0031】
図1および図4に示すように、上記カバー4は、フレーム2にねじ止めされてホルダ3を覆い隠している。カバー4は、フレーム2の第1および第2の支持壁5a,5bに連続しており、このカバー4の存在により、CCDカメラ1が全体的に見て四角い箱状に形成されている。
【0032】
ところで、このような構成のCCDカメラ1では、CCDイメージセンサ20の中心C1(図3(A)を参照)がレンズ12の光軸O1(図2(A)を参照)からずれていると、例えばレンズ12を交換する度にモニタに映し出される被撮像物の位置が変化するといった不都合が生じてくる。そのため、CCDカメラ1においては、CCDイメージセンサ20の中心C1とレンズ12の光軸O1とが合致する相対的な位置精度が非常に重要な要素となってくる。
【0033】
図6は、CCDカメラ1をカメラ据え付け面8に置いた時に、CCDイメージセンサ20の中心C1がレンズ12の光軸O1からずれた状態を示している。図6の例では、CCDイメージセンサ20の中心C1が光軸O1に対しカメラ据え付け面8に沿う水平なX軸の方向に距離X1ずれているとともに、X軸と直交するY軸の方向に距離Y1ずれている。さらに、CCDイメージセンサ20そのものが光軸O1の軸回り方向に角度θ傾いている。
【0034】
図7は、CCDカメラ1をカメラ据え付け面8に置いた時に、CCDイメージセンサ20の中心C1がレンズ12の光軸O1に対し精度よく位置合わせされるとともに、光軸O1の軸回り方向に沿うCCDイメージセンサ20の傾きが皆無の状態を示している。
【0035】
したがって、CCDカメラ1を組み立てるに当たっては、図7に示すように、CCDイメージセンサ20の中心C1と光軸O1とが合致している状態に保つことが不可欠となる。
【0036】
次に、図8乃至図16を参照して、CCDイメージセンサ20の中心C1と光軸O1とを合致させてCCDカメラ1を組み立てる軸調整組立装置30について説明する。
【0037】
図8は、CCDカメラを組み立てる光軸調整組立装置の側面図。図9(A)は、図8の反対側から見たZ軸ステージの側面図、(B)は軸ステージの背面図。図10は、Z軸ステージに取り付けた第1の保持部材にCCDカメラのフレームを固定した状態を示す側面図を示す。さらに、図11は、第1の保持部材の吸引孔とフレームの第1の支持壁との位置関係を一部断面で示す側面図。図12は、光軸調整組立装置に用いる第2の保持部材の平面図。図13は、第2の保持部材にCCDカメラのホルダを固定した状態を示す平面図。図14は、第1の保持部材に保持されたフレームおよび第2の保持部材に保持されたホルダを上下方向に位置合わせした状態を示す光軸調整組立装置の側面図。図15は、第1の保持部材を下降させて、フレームとホルダとを位置合わせ基準位置に移動させた状態を示す光軸調整組立装置の側面図。図16は、フレームとホルダとをねじで固定した状態を示す光軸調整組立装置の側面図を示す。
【0038】
図8は、CCDイメージセンサ20が光軸O1に対し最適な状態となるように、フレーム2とホルダ3とを固定する本発明に係る光軸調整組立装置30を開示している。光軸調整組立装置30は、ベースとなる架台31、Z軸ステージ32、X軸ステージ33、Y軸ステージ34、θ軸ステージ35、ねじ締めユニット36および非接触式の三次元測定器37を備えている。
【0039】
架台31は、水平なガイド面39を有している。ガイド面39の上にZ軸ステージ32が支持されている。Z軸ステージ32は、ガイド面39に対して垂直なZ軸の方向に図示しないステッピングモータを介して昇降動可能となっている。
【0040】
図9乃至図11に示すように、Z軸ステージ32の上端に支持台41が取り付けられている。支持台41の一端に第1の保持部材42が固定されている。第1の保持部材42は、CCDカメラ1のフレーム2を移動不能にしっかりと保持するためのものであり、真空吸着用の吸着板43とスライダ44とを備えている。
【0041】
第1の保持部材42の吸着板43は、フラットな吸着面46を有している。吸着面46は、フレーム2の第1の支持壁5aの底面7を吸引して保持するためのものであり、垂直に起立している。吸着面46に一対の位置決めピン47a,47bと吸引孔48とが形成されている。
【0042】
位置決めピン47a,47bは、吸着面46から突出されて、フレーム2の第1の支持壁5aに開けたピン挿入孔10a,10b(図2(C)を参照)に嵌合可能となっている。この嵌合により、フレーム2の第1の支持壁5aが吸着面46に密着するとともに、第1の支持壁5aの底面7と吸着面46との位置合わせが実行される。
【0043】
吸引孔48は、図示しない配管を介して真空ポンプ50に通じている。吸引孔48は、第1の支持壁5aを吸着面46に密着させた時に、底面7の凹所9と合致するようになっている。そのため、真空ポンプ50を動作させると、吸引孔48を介して第1の支持壁5aの凹所9に負圧が作用し、第1の支持壁5aが吸着面46に向けて吸引される。これにより、第1の支持壁5aの底面7が吸着面46に吸着される。
【0044】
図11に示すように、フレーム2の第1の支持壁5aが吸着面46に吸着された状態では、レンズマウント6を有する第2の支持壁5bが吸着面46から水平に張り出している。この結果、レンズマウント6を通るレンズ12の光軸O1は、上記Z軸に沿うように鉛直方向に起立している。
【0045】
上記第1の保持部材42のスライダ44は、吸着板43の上端から吸着面46の前方に向けて水平に張り出している。スライダ44は、レンズマウント6の先端を取り囲むような四角い枠状をなしている。スライダ44の張り出し端の下面にクランパ51が取り付けられている。クランパ51は、第2の支持壁5bの縁に接する押圧面52を有している。押圧面52は、吸着板43の吸着面46と向かい合うとともに、クランパ51の下方に進むに従い吸着面46から遠ざかる方向に傾斜している。
【0046】
さらに、スライダ44は、吸着板43の背後に向けて延びるガイド部53を有している。ガイド部53は、支持台41に形成したガイド面54の上に摺動可能に支持されている。ガイド面54は、吸着板43の後方に進むに従い下向きに傾斜している。
【0047】
このため、スライダ44は、ガイド面53に沿って移動可能であるとともに、一対の引っ張りコイルスプリング55a,55bを介して常にクランパ51が吸着面46に近づく方向に弾性的に付勢されている。
【0048】
言い換えると、クランパ51の押圧面52と吸着板43の吸着面46との間でフレーム2を弾性的に挟み込んで強固に保持している。押圧面52は、上から下に向けて内側に傾斜しているので、押圧面52と第2の支持壁5bとの接触部分に、図11の矢印で示すように上記吸引孔48に向かう押圧力が作用する。
【0049】
この結果、フレーム2の第1の支持壁5aが負圧の作用点となる吸引孔48に向けて押圧され、第1の支持壁5aの底面7と吸着板43の吸着面46との密着性が高まる。したがって、本実施の形態では、クランパ51および引っ張りコイルスプリング55a,55bがフレーム2を吸引孔48に向けて押圧する押圧手段を構成している。この押圧手段の存在により、フレーム2の第1の支持壁5aが吸着板43からずれることなく、吸着板43の吸着面46の上に強固に保持される。
【0050】
図8に示すように、架台31のガイド面39の上に可動テーブル56が支持されている。可動テーブル56は、Z軸ステージ32と向かい合うとともに、このZ軸ステージ32に近づく方向およびZ軸ステージ32から遠ざかる方向に水平に往復動可能となっている。可動テーブル56の移動方向は、上記Y軸の方向と一致している。
【0051】
可動テーブル56の上にX軸ステージ33、Y軸ステージ34およびθ軸ステージ35が積み重ねられている。本実施の形態では、Y軸ステージ34が可動テーブル56の上に支持されている。Y軸ステージ34は、可動テーブル56に対し上記Y軸の方向に直線的に往復動が可能であり、このY軸ステージ34の往復動は、ステッピングモータ57によって行われる。
【0052】
X軸ステージ33は、Y軸ステージ34の上に支持されている。X軸ステージ33は、Y軸ステージ34に対し上記X軸の方向に直線的に往復動が可能であり、このX軸ステージ33の往復動は、図示しないステッピングモータによって行われる。
【0053】
したがって、X軸ステージ33とY軸ステージ34とは、可動テーブル56の上で互いに直交する方向に水平移動が可能であるとともに、上記Z軸ステージ32と向かい合っている。
【0054】
θ軸ステージ35は、X軸ステージ33の上に支持されている。θ軸ステージ35は、上記Z軸(光軸O1)と平行な垂直軸回りに回動可能であり、このθ軸ステージ35の回動は、図示しないステッピングモータによって行われる。
【0055】
図8および図14に示すように、θ軸ステージ35は、上記第1の保持部材42の吸着板43と向かい合う対向面60を有している。θ軸ステージ35の対向面60に昇降ブロック61が昇降動可能に支持されている。昇降ブロック61は、引っ張りコイルスプリング62を介して常時上向きに弾性的に付勢されている。
【0056】
昇降ブロック61の上端に第2の保持部材63が固定されている。第2の保持部材63は、上記CCDカメラ1のホルダ3を移動不能にしっかりと保持するためのものであり、水平な基盤64を有している。基盤64は、昇降ブロック61の上端から第1の保持部材42の吸着板43に向けて張り出すとともに、第1の保持部材42のスライダ44の下方に位置している。
【0057】
次に、第2の保持部材63の構成について説明する。
【0058】
図12に示すように、第2の保持部材63の基盤64は、ホルダ3が入り込む四角い切り欠き66を有している。切り欠き66は、第1乃至第3の縁67a,67b,67cにより規定されている。第1および第2の縁67a,67bは、ホルダ3の幅方向に間隔を存して平行に配置されている。第3の縁67cは、第1の縁67aの一端と第2の縁67bの一端との間を結んでいる。
【0059】
第2の保持部材63の基盤64は、ホルダ3を切り欠き66の領域に保持する第1乃至第3の舌片68a,68b,68cを有している。第1および第2の舌片68a,68bは、切り欠き66の第1の縁67aから切り欠き66の内側に向けて突出するとともに、第1の縁67aの長手方向に互いに離れている。第3の舌片68cは、切り欠き66の第2の縁67bから切り欠き66の内側に向けて突出している。
【0060】
そのため、ホルダ3を切り欠き66に挿入すると、ホルダ3の第2の面19bの外周部の3箇所が第1乃至第3の舌片68a,68b,68cの上に載置されるようになっている。
【0061】
第3の舌片68cの上面に位置決めピン69が配置されている。図13に示すように、位置決めピン69は、ホルダ3を第3の舌片68cの上に載せた時に、ホルダ3の第2の面19bに開口するピン挿入穴22に嵌まり込む。これにより、ホルダ3と切り欠き66との相対的な位置決めが実行され、切り欠き66の領域にホルダ3がきっちりと入り込むようになっている。
【0062】
さらに、第2の保持部材63の基盤64は、切り欠き66の内側に張り出す第1乃至第3の突起71a,71b,71cを有している。第1および第2の突起71a,71bは、切り欠き66の第1の縁67aの側に位置するとともに、第1の縁67aの長手方向に互いに離れている。第3の突起71cは、切り欠き66の第3の縁67cの側の長手方向に沿う中央に位置している。
【0063】
図12および図13に示すように、基盤64の端部にエアシリンダ72が支持されている。エアシリンダ72のピストンロッド73に押圧子74が連結されている。押圧子74は、エアシリンダ72の作動により、基盤64の第2の縁67bから切り欠き66内に突出する押圧位置と、第2の縁67bから基盤64の上に退く押圧解除位置との間で移動可能となっている。
【0064】
図13に示すように、ホルダ3が基盤64の切り欠き66に挿入されると、ホルダ3の第1の周面19aが第1および第2の舌片68a,68bに載置され、ホルダ3の第2の周面19bが第3の舌片68cに載置される。そして、ホルダ3の第1の周面19aが第1および第2の突起71a,71bの先端に接触するとともに、ホルダ3の第3の周面19cが第3の突起71cの先端に接触する。これにより、ホルダ3が基盤64に位置決めされる。
【0065】
このようにホルダ3が位置決めされた状態で、押圧子74がエアシリンダ72によって押圧解除位置から押圧位置に移動される。この結果、押圧子74がホルダ3の第2の周面19bに突き当たり、ホルダ3の第1の周面19aを第1および第2の突起71a,71bの先端に押し付ける。
【0066】
よって、ホルダ3は、第1および第2の突起71a,71bと押圧子74との間で強固に挟み込まれるので、第2の保持部材63に移動不能に保持される。第2の保持部材63に保持されたホルダ3は、第1の保持部材42に保持されたフレーム2の下方に位置されている。
【0067】
図8に示すように、ねじ締めユニット36は、架台31のガイド面39の上に据え付けられて、Z軸ステージ32と可動テーブル56との間に位置している。ねじ締めユニット36は、一対のスクリュードライバ76(一方のみを図示)と、駆動部77とを備えている。
【0068】
スクリュードライバ76は、CCDカメラ1のねじ24を締め付けるための工具であり、ねじ24の頭部に係合する先端を上向きにした姿勢で垂直に起立している。スクリュードライバ76は、ねじ24の配置間隔に対応するように第1および第2の保持部材42,63の下方に配置されている。さらに、スクリュードライバ76は、第1の保持部材42に保持されたフレーム2に対しては、X軸およびY軸方向の位置が固定的に定められている。
【0069】
駆動部77は、スクリュードライバ76を回転させるモータおよびスクリュードライバ76を昇降動させるエアシリンダを備えている。
【0070】
三次元測定器37は、フレーム2とホルダ3とを組み合わせた時の光軸O1とCCDイメージセンサ20の中心C1との位置関係およびレンズ取り付け孔13の基準面16からCCDイメージセンサ20までの距離Lを測定するためのものであり、第1の保持部材42の真上に位置する測定ヘッド80を有している。このような三次元測定器37としては、例えば米国OGP社SMARTSCOPE ZIP250(商品名)を用いることができる。
【0071】
次に、光軸調整組立装置30を用いてCCDカメラ1のフレーム2とホルダ3とを互いに固定する手順について説明する。
【0072】
まず、可動テーブル56をZ軸ステージ32から遠ざかる方向に後退させ、第2の保持部材63と第1の保持部材42とを水平なY軸方向に互いに離間させる。
【0073】
この状態で、フレーム2の第1の支持壁5aを第1の保持部材42の吸着板43に突き当て、この吸着板43から突出する位置決めピン47a,47bを第1の支持壁5aのピン挿入孔10a,10bに嵌め込む。それとともに、クランパ51の押圧面52でフレーム2の第2の支持壁5bの縁を吸着板43の吸引孔48に向けて押圧し、クランパ51と吸着板43との間でフレーム2を仮止めする。
【0074】
次に、真空ポンプ50を作動させて、第1の支持壁5aの底面7を吸着板43の吸着面46に吸着させる。これにより、フレーム2が第1の保持部材42に移動不能に強固に固定される。
【0075】
次に、第2の保持部材63の切り欠き66にホルダ3を挿入し、ホルダ3の第2の面18bを第1乃至第3の舌片68a,68b,68cの上に載置する。それとともに、第3の舌片68cから突出する位置決めピン69をホルダ3のピン挿入穴22に嵌め込むことで、ホルダ3と切り欠き66との相対的な位置決めを行う。
【0076】
この状態で、エアシリンダ72を動作させて、ピストンロッド73の先端に位置する押圧子74を押圧解除位置から押圧位置に移動させる。この移動により、押圧子74がホルダ3の第2の周面19bに突き当たり、ホルダ3の第1の周面19aを基盤64の第1および第2の突起71a,71bに押し付ける。よって、ホルダ3が第2の保持部材63に移動不能に保持される。
【0077】
次に、可動テーブル56をZ軸ステージ32に近づく方向に移動させ、第2の保持部材63を第1の保持部材42の下方に位置させる。引き続いて、Z軸ステージ32をZ軸に沿って下降させる。これにより、第1の保持部材42に保持されたフレーム2の第2の支持壁5bが第2の保持部材42に保持されたホルダ3の第1の面18aに接触し、レンズ取り付け孔13の基準面16からCCDイメージセンサ20までの距離Lが定まる。
【0078】
この際、第2の保持部材63が固定された昇降ブロック61は、引っ張りコイルスプリング62により上向きに付勢されている。このため、フレーム2がホルダ3に接触すると、昇降ブロック61と共に第2の保持部材63が引っ張りコイルスプリング62の付勢力に抗して僅かに押し下げられる。
【0079】
よって、フレーム2の第2の支持壁5bとホルダ3の第1の面18aとの接触部分に引っ張りコイルスプリング62の反力が作用し、第2の支持壁5bとホルダ3との密着性が高まる。
【0080】
さらに、本実施の形態では、フレーム2の第2の支持壁5bの縁にクランパ51の押圧面52が接触し、フレーム2の第1の支持壁5aを吸引孔48が開口する吸着面46に押し付けている。このため、第1の保持部材42は、フレーム2がホルダ3との接触に伴う反力を受けた場合でも、この反力に打ち勝てるようにフレーム2をしっかりと保持することができる。よって、フレーム2の第1の支持壁5aが吸着板43の吸着面46から脱落したり、ずれ動くのを防止でき、フレーム2の姿勢が安定する。
【0081】
フレーム2がホルダ3に密着することで、これらフレーム2およびホルダ3が位置合わせ基準位置に到達する。この位置合わせ基準位置では、フレーム2のレンズマウント6とホルダ3のCCDイメージセンサ20が上下方向に向かい合い、CCDイメージセンサ20が光軸O1の上に位置する。
【0082】
次に、光軸調整組立装置30と三次元測定器37と制御コンピュータ100を用いた光軸調整とCCDカメラ1の組立制御について説明する。図17は、光軸調整組立装置30と三次元測定器37と制御コンピュータ100の構成を示す図であり、図18はその制御動作を示すフローチャートである。
【0083】
まず、制御コンピュータ100から三次元測定器37を起動する(ステップS100)。
次に、三次元測定器37はCCDイメージセンサ20の中心C1と光軸O1との間のX軸方向のずれ量、同じくY軸方向のずれ量、光軸O1の軸回り方向へのCCDイメージセンサ20の傾斜角θ等の誤差データ、およびレンズ取り付け孔13の基準面16からCCDイメージセンサ20までの距離Lを測定する(ステップS110)。
【0084】
三次元測定器37で測定されたCCDイメージセンサ20の中心C1と光軸O1との位置関係を示す誤差データおよび距離Lに関するデータは、制御コンピュータ100に送られる。制御コンピュータ100は、三次元測定器37での測定結果に基づいて位置決め演算を実行し(ステップS130)、その結果に基づく駆動信号を光軸調整組立装置30のX軸ステージ33をX軸方向に動かすステッピングモータ、Y軸ステージ34をY軸方向に動かすステッピングモータ57およびθ軸ステージ35を垂直軸回りに回動させるステッピングモータに送出する(ステップS140)。
【0085】
例えば図6に示すように、CCDイメージセンサ20の中心C1が光軸O1からX軸の方向に距離X1ずれるとともに、Y軸の方向に距離Y1ずれており、さらに、CCDイメージセンサ20そのものが光軸O1の軸回り方向に角度θ傾いている場合、各ステージ33,34,35が距離X1、Y1および角度θのずれ分を吸収する方向に動作する。
【0086】
Z軸に沿う距離Lのずれに関しては、例えばフレーム2の第2の支持壁5bとホルダ3の第1の面18aとの間に作業者がシムを手作業で抜き差しすることにより調整する。
【0087】
このようにして光軸O1に対するCCDイメージセンサ20の位置調整および距離Lの調整が完了した後(ステップS150)、ねじ締めユニット36のスクリュードライバ76の先端にねじ24を手作業で取り付ける。次に、ねじ締めユニット36の駆動部77を介してスクリュードライバ76を回転させつつ上昇させ、ねじ24をホルダ3のねじ孔21a,21bおよびフレーム2の第2の支持壁5bにねじ込む(ステップS160)。
【0088】
このねじ込みにより、相対的な位置調整作業が完了したフレーム2およびホルダ3が互いに締め付け固定される。
【0089】
ねじ24をねじ孔21a,21bにねじ込んでいくと、ホルダ3にねじ24の回転に伴う締め付けトルクが加わる。これにより、ホルダ3の第1および第3の周面19a,19cが基盤64の第1および第3の突起71a,71cに押し付けられるような力を受けるので、これら第1および第3の突起71a,71cが締め付けトルクを受け止める。
【0090】
したがって、第2の保持部材63は、ホルダ3がねじ24の締め付けに伴うトルクを受けた場合でも、このトルクに打ち勝てるようにホルダ3をしっかりと保持することができる。よって、位置調整が終了したホルダ3がねじ24のねじ込みに追従して動くのを防止でき、ホルダ3の位置精度を確実に維持することができる。
【0091】
最後に、再び三次元測定器37を用いてCCDイメージセンサ20の中心C1と光軸O1との間のX軸方向のずれ量、同じくY軸方向のずれ量、CCDイメージセンサ20の傾斜角θおよび距離Lを測定し(ステップS170)、フレーム2およびホルダ3が光軸O1に対し最適な状態にあることを確認することで、フレーム2とホルダ3との固定作業が完了する。もしも、測定結果が不良品となる値であるならば、ねじ24を取り外して再度ステップS130〜ステップS170の処理を実行する。
【0092】
このような実施の形態の光軸調整組立装置30によれば、三次元測定器37の測定結果に基づいてレンズ12の光軸O1とCCDイメージセンサ20の中心C1との相対的な位置合わせを精度よく実行できる。このため、光軸O1を基準とするフレーム2とホルダ3との固定精度を、従来の±100μm〜150μmの範囲から±数μm〜数十μmの範囲に絞り込むことができ、フレーム2とホルダ3との相対的な位置精度を飛躍的に高めることができる。
【0093】
加えて、フレーム2とホルダ3との相対的な位置精度を第1および第2の保持部材42,63で維持しつつ、ねじ締めユニット36を用いた自動的なねじ24の締め付け作業により、フレーム2とホルダ3とを互いに固定することができる。このため、光軸O1を基準とするフレーム2とホルダ3との相対的な位置調整作業から固定作業に至る多くの作業工程を自動化することができ、CCDカメラ1の組立作業を効率よく行うことができる。
【0094】
なお、上記実施の形態では、X軸ステージ、Y軸ステージ、Z軸ステージおよびθ軸ステージを夫々ステッピングモータによって動かすようにしたが、本発明はこれに制約されない。例えば、各ステージをサーボモータを用いて駆動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態に係るCCDカメラの斜視図。
【図2】(A)はフレームの正面図、(B)はフレームの側面図、(C)はフレームの側面図。
【図3】(A)はホルダの正面図、(B)はホルダの側面図。
【図4】本発明の実施の形態において、CCDカメラとレンズとの位置関係を示す側面図。
【図5】本発明の実施の形態において、フレームとホルダとを分離させた状態を示すCCDカメラの側面図。
【図6】本発明の実施の形態において、レンズの光軸からCCDイメージセンサの中心がずれた状態を示すCCDカメラの正面図。
【図7】本発明の実施の形態において、レンズの光軸とCCDイメージセンサの中心とが位置合わせされた状態を示すCCDカメラの正面図。
【図8】CCDカメラを組み立てる本発明の実施の形態に係る光軸調整組立装置の側面図。
【図9】(A)は、本発明の実施の形態に係るZ軸ステージの側面図、(B)は、本発明の実施の形態に係るZ軸ステージの背面図。
【図10】本発明の実施の形態において、Z軸ステージに取り付けた第1の保持部材にCCDカメラのフレームを固定した状態を示す側面図。
【図11】本発明の実施の形態において、第1の保持部材の吸引孔とフレームの第1の支持壁との位置関係を一部断面で示す側面図。
【図12】本発明の実施の形態の光軸調整組立装置に用いる第2の保持部材の平面図。
【図13】本発明の実施の形態において、第2の保持部材にCCDカメラのホルダを固定した状態を示す平面図。
【図14】本発明の実施の形態において、第1の保持部材に保持されたフレームおよび第2の保持部材に保持されたホルダを上下方向に位置合わせした状態を示す光軸調整組立装置の側面図。
【図15】本発明の実施の形態において、第1の保持部材を下降させて、フレームとホルダとを位置合わせ基準位置に移動させた状態を示す光軸調整組立装置の側面図。
【図16】本発明の実施の形態において、フレームとホルダとをねじで固定した状態を示す光軸調整組立装置の側面図。
【図17】光軸調整組立装置30と三次元測定器37と制御コンピュータ100の構成を示す図。
【図18】図17の制御動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0096】
1…カメラ(CCDカメラ)、2…フレーム、3…ホルダ、6…レンズユニット、12…レンズ、16…基準面、20…イメージセンサ(CCDイメージセンサ)、24…ねじ、30…光軸調整組立装置、36…ねじ締めユニット、37…測定器(三次元測定器)、42…第1の保持部材、63…第2の保持部材、100…制御コンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のレンズが取り外し可能にねじ込まれるとともに、このレンズのねじ込み端を受ける基準面が形成されたレンズマウントを有するフレームと、上記レンズと向かい合うイメージセンサを支持するホルダと、を含み、
上記レンズの中心を通る光軸と上記イメージセンサの中心とを位置合わせするとともに、上記イメージセンサから上記レンズマウントの基準面までの距離を予め決められた値に設定した状態で、上記フレームと上記ホルダとを複数のねじを介して固定するカメラに用いる光軸調整組立装置であって、
上記レンズマウントの基準面が水平となり、かつ上記光軸が垂直となるように上記フレームを移動不能に保持するとともに、上記光軸に沿う垂直なZ軸方向に昇降動が可能な第1の保持部材と、
上記第1の保持部材の下方に配置され、上記イメージセンサが上記光軸上で水平となるように上記ホルダを移動不能に保持して、上記レンズマウントと上記ホルダとを上下方向に互いに対向させるとともに、上記光軸と直交する水平なX軸およびX軸と直交する水平なY軸方向に独立して位置調節が可能な第2の保持部材と、
上記光軸に対する上記イメージセンサの上記X軸方向のずれ量、上記光軸に対する上記イメージセンサの上記Y軸方向のずれ量および上記イメージセンサから上記レンズマウントの基準面に至る上記Z軸方向の距離を測定器により測定するとともに、この測定結果に基づく上記X軸方向のずれ量、上記Y軸方向のずれ量および上記Z軸方向の距離の補正が完了した状態で、上記複数のねじを介して上記フレームと上記ホルダとを互いに固定するねじ締め機構と、を具備したことを特徴とするカメラの光軸調整組立装置。
【請求項2】
上記第2の保持部材は、上記光軸の軸回り方向に回動可能であり、上記測定器は、上記フレームに対する上記光軸の軸回り方向への上記イメージセンサの傾斜角を測定可能であることを特徴とする請求項1に記載のカメラの光軸調整組立装置。
【請求項3】
上記ねじ締め機構は、上記第2の保持部材の下方に配置されるとともに、上記ねじを回転させながら上記ホルダおよび上記フレームに向けて押上げる複数のスクリュードライバを有することを特徴とする請求項1に記載のカメラの光軸調整組立装置。
【請求項4】
上記X軸方向に直線的に往復動可能なX軸ステージと、上記Y軸方向に直線的に往復動可能なY軸ステージと、上記Z軸方向に昇降動可能なZ軸ステージと、をさらに備えており、上記X軸ステージと上記Y軸ステージとは互いに重ね合わされて、これらステージの上に上記第2の保持部材が設置されているとともに、上記第1の保持部材は、上記Z軸ステージに設置されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラの光軸調整組立装置。
【請求項5】
上記第1の保持部材は、上記フレームが引っ掛かる複数の位置決めピンを有する垂直な吸着面と、この吸着面に開口された吸引孔とを有し、上記フレームを上記位置決めピンに引っ掛けた状態で上記吸引孔から上記フレームに負圧を作用させることで、上記フレームが上記吸着面に吸着保持されることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載のカメラの光軸調整組立装置。
【請求項6】
上記フレームは、上記吸着面と向かい合う底面を有し、この底面の上に上記吸引孔と合致する凹所が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のカメラの光軸調整組立装置。
【請求項7】
上記第1の保持部材は、上記フレームの底面を上記吸引孔に向けて弾性的に押圧する押圧手段を有することを特徴とする請求項6に記載のカメラの光軸調整組立装置。
【請求項8】
上記ホルダは、互いに平行をなす第1の周面および第2の周面と、上記第1の周面の一端と上記第2の周面の一端との間を結ぶとともに上記第1および第2の周面と直交する第3の周面とを有し、
上記第2の保持部材は、
上記ホルダが入り込む切り欠きを有する基盤と、
上記切り欠きの縁に設けられ、上記ホルダが水平に載置される複数の舌片と、
上記切り欠きの縁から上記切り欠きの内側に向かって突出し、上記ホルダの互いに隣り合う第1の周面および第3の周面に突き当たる複数の突起と、
上記基盤に支持され、上記ホルダの第2の周面を押圧することで上記ホルダの第1の周面を上記突起に押し付ける押圧子と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載のカメラの光軸調整組立装置。
【請求項9】
上記第1の保持部材を上記第2の保持部材に向けて下降させて上記フレームを上記ホルダに接触させることで、上記イメージセンサから上記レンズマウントの基準面までの距離が定まるとともに、
上記第2の保持部材は、スプリングを介して上記第1の保持部材に向けて弾性的に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラの光軸調整組立装置。
【請求項10】
請求項1に記載のカメラの光軸調整組立装置の光軸調整方法であって、
三次元測定器によって、上記光軸調整組立装置の上記光軸に対する上記イメージセンサの上記X軸方向のずれ量、上記光軸に対する上記イメージセンサの上記Y軸方向のずれ量および上記イメージセンサから上記レンズマウントの基準面に至る上記Z軸方向の距離を測定し、
制御コンピュータによって、測定結果に基づく上記X軸方向のずれ量、上記Y軸方向のずれ量および上記Z軸方向の距離の補正値を演算し、
上記制御コンピュータの演算結果により、上記光軸調整組立装置の上記X軸方向に直線的に往復動可能なX軸ステージと、上記Y軸方向に直線的に往復動可能なY軸ステージと、上記Z軸方向に昇降動可能なZ軸ステージとを駆動して、上記イメージセンサの中心と上記レンズ光軸とを合致させることを特徴とするカメラの光軸調整組立装置の光軸調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−8864(P2010−8864A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170230(P2008−170230)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000220620)東芝テリー株式会社 (116)
【Fターム(参考)】