説明

カメラシステムの起動方法

【課題】電流容量の大きな電源の使用を回避してコストを低減し得るとともに、電源の性能を超える台数のカメラが接続された場合であっても、システム全体がダウンする事態を回避し得る、カメラシステムの起動方法を得る。
【解決手段】カメラ2a,2bは、まず制御部11が起動され、その後に信号処理部10が起動される。従って、制御部11と信号処理部10とを同一のタイミングで起動する場合と比較すると、起動時の突入電流を抑制することができる。その結果、ホスト端末1の電源の負荷が低減され、電流容量の小さい電源を使用することが可能となるため、コストの低減を図ることができる。また、カメラ2aの信号処理部10とカメラ2bの信号処理部10とは、互いに異なるタイミングで起動される。従って、起動時の突入電流がさらに抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラシステムの起動方法に関し、特に、複数のカメラが同軸ケーブルを介してホスト端末に接続されたカメラシステムの起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のカメラが同軸ケーブルによってホスト端末に接続され、各カメラがホスト端末から同軸ケーブルを介して電源供給を受けるカメラシステムがある。
【0003】
なお、複数の機器が接続されたシステムを対象とした電力制御方法に関する技術が、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−243651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のカメラシステムにおいて、複数のカメラを同時に起動すると、突入電流が大きくなり、ホスト端末の電源の負荷が増大する。そのため、電流容量の大きな電源を使用しなければならず、コストが増大するという問題がある。
【0006】
また、電源の性能を超える台数のカメラが接続された場合、電力が不足してシステム全体がダウンしてしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するために成されたものであり、システム起動時における電源の負荷を低減することにより、電流容量の大きな電源の使用を回避してコストを低減し得るとともに、電源の性能を超える台数のカメラが接続された場合であっても、システム全体がダウンする事態を回避し得る、カメラシステムの起動方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るカメラシステムの起動方法は、ホスト端末と、信号処理部と、当該信号処理部を制御するための制御部とをそれぞれ有し、システムの電源投入時、前記ホスト端末から同軸ケーブルを介して電源が供給される第1及び第2のカメラとを備えるカメラシステムの起動方法であって、(a)前記第1及び第2のカメラの各前記制御部に電源を供給するステップと、(b)前記ステップ(a)よりも後に実行され、前記第1のカメラの前記信号処理部に電源を供給するステップと、(c)前記ステップ(a)よりも後に実行され、前記第2のカメラの前記信号処理部に電源を供給するステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
第2の発明に係るカメラシステムの起動方法は、第1の発明に係るカメラシステムの起動方法において特に、前記ステップ(c)は、前記ステップ(b)の実行タイミングとは異なるタイミングで実行されることを特徴とする。
【0010】
第3の発明に係るカメラシステムの起動方法は、第1又は第2の発明に係るカメラシステムの起動方法において特に、前記制御部は、前記同軸ケーブルに接続された電源制御回路を含む第1ブロックと、CPU、メモリ、及び通信コントローラを含む第2ブロックとを有し、前記ステップ(a)は、(a−1)前記第1及び第2のカメラの各前記第1ブロックに電源を供給するステップと、(a−2)前記ステップ(a−1)よりも後に実行され、前記第1のカメラの前記第2ブロックに電源を供給するステップと、(a−3)前記ステップ(a−1)よりも後に実行され、前記第2のカメラの前記第2ブロックに電源を供給するステップとを有することを特徴とする。
【0011】
第4の発明に係るカメラシステムの起動方法は、第3の発明に係るカメラシステムの起動方法において特に、前記ステップ(a−3)は、前記ステップ(a−2)の実行タイミングとは異なるタイミングで実行されることを特徴とする。
【0012】
第5の発明に係るカメラシステムの起動方法は、第1〜第4のいずれか一つの発明に係るカメラシステムの起動方法において特に、(d)前記ステップ(a)よりも後、前記ステップ(b)及び(c)よりも前に実行され、前記第1及び第2のカメラから前記ホスト端末に対して、起動確認コマンドを発行するステップと、(e)前記ステップ(d)よりも後、前記ステップ(b)及び(c)よりも前に実行され、前記起動確認コマンドを受けた前記ホスト端末が、前記第1のカメラに対する第1の応答と、前記第2のカメラに対する第2の応答とを送信するステップとをさらに備え、前記第1のカメラは、所定時間内に前記第1の応答として第1の肯定応答を受信した場合に、前記ステップ(b)を実行し、前記第2のカメラは、前記所定時間内に前記第2の応答として第2の肯定応答を受信した場合に、前記ステップ(c)を実行することを特徴とする。
【0013】
第6の発明に係るカメラシステムの起動方法は、第5の発明に係るカメラシステムの起動方法において特に、前記第1のカメラは、前記所定時間内に前記第1の肯定応答を受信しなかった場合、又は、前記所定時間内に前記第1の応答として否定応答を受信した場合には、前記ステップ(b)を実行せず、前記第2のカメラは、前記所定時間内に前記第2の肯定応答を受信しなかった場合、又は、前記所定時間内に前記第2の応答として否定応答を受信した場合には、前記ステップ(c)を実行しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明に係るカメラシステムの起動方法によれば、第1及び第2のカメラは、まず制御部が起動され、その後に信号処理部が起動される。従って、制御部と信号処理部とを同一のタイミングで起動する場合と比較すると、起動時の突入電流を抑制することができる。その結果、ホスト端末の電源の負荷が低減され、電流容量の小さい電源を使用することが可能となるため、コストの低減を図ることができる。
【0015】
第2の発明に係るカメラシステムの起動方法によれば、第1のカメラの信号処理部と第2のカメラの信号処理部とは、互いに異なるタイミングで起動される。従って、両信号処理部が同一のタイミングで起動される場合と比較すると、起動時の突入電流を抑制することができる。その結果、ホスト端末の電源の負荷が低減され、電流容量の小さい電源を使用することが可能となるため、コストの低減を図ることができる。
【0016】
第3の発明に係るカメラシステムの起動方法によれば、第1及び第2のカメラの各制御部は、まず第1ブロックが起動され、その後に第2ブロックが起動される。従って、第1ブロックと第2ブロックとを同一のタイミングで起動する場合と比較すると、起動時の突入電流を抑制することができる。その結果、ホスト端末の電源の負荷が低減され、電流容量の小さい電源を使用することが可能となるため、コストの低減を図ることができる。
【0017】
第4の発明に係るカメラシステムの起動方法によれば、第1のカメラの第2ブロックと第2のカメラの第2ブロックとは、互いに異なるタイミングで起動される。従って、両第2ブロックが同一のタイミングで起動される場合と比較すると、起動時の突入電流を抑制することができる。その結果、ホスト端末の電源の負荷が低減され、電流容量の小さい電源を使用することが可能となるため、コストの低減を図ることができる。
【0018】
第5の発明に係るカメラシステムの起動方法によれば、ホスト端末は、受け取った起動確認コマンドの数により、同軸ケーブル上に接続されているカメラの総数を把握することができる。また、ホスト端末が第1の肯定応答と第2の肯定応答とを異なるタイミングで送信することにより、第1のカメラの信号処理部の起動タイミングと、第2のカメラの信号処理部の起動タイミングとを、簡単かつ確実に異ならせることができる。
【0019】
第6の発明に係るカメラシステムの起動方法によれば、ホスト端末の電源の性能を超える台数のカメラから起動確認コマンドが送られてきた場合には、許容数を超える分のカメラに対して肯定応答を送信しない、又は否定応答を送信することにより、その許容数を超える分のカメラの信号処理部が起動されることを禁止できる。その結果、システム全体がダウンする事態を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0021】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るカメラシステムの全体構成を概略的に示すブロック図である。ホスト端末1には、同軸ケーブル31〜35及び分配器41,42を介して、カメラ2a〜2cが接続されている。具体的に、カメラ2aは同軸ケーブル33を介して分配器42に接続され、カメラ2bは同軸ケーブル34を介して分配器42に接続され、カメラ2cは同軸ケーブル35を介して分配器41に接続され、分配器42は同軸ケーブル32を介して分配器41に接続され、分配器41は同軸ケーブル31を介してホスト端末1に接続されている。なお、図1には説明の簡単化のため3台のカメラ2a〜2cのみを示したが、カメラの台数はこれに限定されるものではなく、さらに多数のカメラを用いてシステムを構成することが可能である。
【0022】
ホスト端末1には、スイッチ50を介して電源装置51が接続されている。ホスト端末1は、同軸ケーブル31〜35を介してカメラ2a〜2cに駆動用の電源を供給するとともに、カメラ2a〜2cから同軸ケーブル31〜35を介して送られてきた映像信号及び音声信号を記録する機能を有している。
【0023】
図2は、図1に示したカメラ2aの内部構成を示すブロック図である。カメラ2b,2cの内部構成もこれと同様である。カメラ2aの構成は、信号処理部10と、信号処理部10を制御するための制御部11とに大別される。制御部11は、通信制御機能及び電源制御機能も有している。信号処理部10及び制御部11は、バス100に接続されている。制御部11は、同軸ケーブル33に接続されている。
【0024】
信号処理部10は、CCDイメージセンサや映像圧縮LSI等を有する映像処理部12と、マイク及びスピーカや音声圧縮・伸張LSI等を有する音声処理部13とを有している。
【0025】
制御部11は、電源制御回路20、フラッシュメモリ22、CPU23、SDRAM24、及び通信コントローラ25を有している。具体的に、電源制御回路20は同軸ケーブル33に接続され、通信コントローラ25は電源制御回路20に接続され、フラッシュメモリ22及びSDRAM24はCPU23に接続されている。通信コントローラ25及びCPU23は、バス100に接続されている。
【0026】
図3は、システム起動時(つまり電源投入時)のホスト端末1における処理の流れを示すフローチャートであり、図4は、システム起動時のカメラ2a〜2cにおける処理の流れを示すフローチャートである。図1に示したスイッチ50をオンすることによって、システムの起動が開始される。以下、図1〜4を参照して、本実施の形態1に係るカメラシステムの起動方法について説明する。
【0027】
まず、スイッチ50のオンによってシステムの起動が開始されると、ホスト端末1は、同軸ケーブル31〜35に電源を供給するとともに、制御部11を起動させるための制御部起動命令を発行する(図3のステップSP20)。その後、ホスト端末1は待機状態となって、カメラ2a〜2cからの応答を待つ(図3のステップSP21)。発行された制御部起動命令は、同軸ケーブル31〜35を介して各カメラ2a〜2cに伝達される。
【0028】
次に、制御部起動命令を受け取った各カメラ2a〜2cは、各々の制御部11、つまり、電源制御回路20、フラッシュメモリ22、CPU23、SDRAM24、及び通信コントローラ25を起動する(図4のステップSP1)。この時、信号処理部10は起動されない。
【0029】
次に、制御部11を起動した各カメラ2a〜2cは、信号処理部10の起動の許否を確認するための起動確認コマンドS1a〜S1cを発行する(図4のステップSP2)。その後、各カメラ2a〜2cは待機状態となって、ホスト端末1からの応答を待つ(図4のステップSP3)。発行された起動確認コマンドS1a〜S1cは、同軸ケーブル31〜35を介してホスト端末1に伝達される。
【0030】
次に、ホスト端末1は、各カメラ2a〜2cから発行された起動確認コマンドS1a〜S1cを受信する(図3のステップSP22)。
【0031】
本実施の形態1に係るカメラシステムでは、ホスト端末1に接続可能なカメラの最大台数(以下「許容数」と称す)が予め設定されており、その許容数に関する情報は、ホスト端末1が有する記憶部(図示しない)に記憶されている。ホスト端末1は、その許容数に関する情報と、受信した起動確認コマンドの数とに基づいて、システムに接続されているカメラの合計台数が許容数以内であるか否かを判定する(図3のステップSP23)。
【0032】
許容数以内である場合、ホスト端末1は、起動確認コマンドを送信してきた全てのカメラに対して、信号処理部10の起動を許可する旨の肯定応答を発行する(図3のステップSP24)。一方、許容数を超えている場合、ホスト端末1は、起動確認コマンドを送信してきた全てのカメラのうち、許容数を超える台数分のカメラに対しては、信号処理部10の起動を許可しない旨の否定応答を発行し、残りの許容数分のカメラに対しては肯定応答を発行する(図3のステップSP25)。但し、後述のようにタイムアウト判定が行われるため、仮に否定応答の発行を省略しても、肯定応答を発行しないことによって、否定応答を発行した場合と同様の効果を得ることができる。本実施の形態1では、一例として、許容数が「2」に設定されており、ホスト端末1は、カメラ2a,2bに対して肯定応答S2a,S2bを発行し、カメラ2cに対しては否定応答S2cを発行するものとする。なお、許容数を超えている場合にいずれのカメラに肯定応答を発行するかは、単純に先着順としたり、あるいは予め設定された優先順位に基づいて決定することもできる。
【0033】
この例ではカメラ2a,2bに対して肯定応答S2a,S2bが発行されるが、ホスト端末1は、まずカメラ2aに対する肯定応答S2aを発行し、その後、所定の時間間隔を空けて、カメラ2bに対する肯定応答S2bを発行する。つまり、肯定応答S2a,S2bは、互いに異なるタイミングで発行される。なお、カメラ2cに対する否定応答S2cの発行は、任意のタイミングであってよい。発行された肯定応答S2a,S2b及び否定応答S2cは、同軸ケーブル31〜35を介して各カメラ2a〜2cに伝達される。
【0034】
各カメラ2a〜2cは、図4のステップSP3で待機状態となっている間、ホスト端末1からの応答の到着を継続的に監視している。肯定応答を受信した場合(図4のステップSP4における判定結果が「Yes」)、制御部11は、信号処理部10を起動し(図4のステップSP5)、それによって起動処理は終了する。この例では、カメラ2aに対する肯定応答S2aが発行された後に、カメラ2bに対する肯定応答S2bが発行されるため、まずカメラ2aの信号処理部10が起動され、その後にカメラ2bの信号処理部10が起動されることとなる。
【0035】
否定応答を受信した場合(図4のステップSP4の判定結果が「No」、ステップSP6の判定結果が「Yes」)、制御部11は、信号処理部10を起動することなく、CPU23の動作を停止してサスペンド状態となり(図4のステップSP7)、それによって起動処理は終了する。この例では、カメラ2cに対しては否定応答S2cが発行されるため、カメラ2cは、信号処理部10が起動されることなくサスペンド状態となる。
【0036】
肯定応答も否定応答も受信していない場合(図4のステップSP4,SP6の判定結果がいずれも「No」)、制御部11は、起動確認コマンドを発行してから、予め設定された所定時間が経過したか否かを判定する(図4のステップSP8)。つまり、タイムアウト判定を行う。タイムアウトである場合はステップSP7に進み、否定応答を受信した場合と同様の処理を行う。つまり、信号処理部10を起動することなく、CPU23の動作を停止してサスペンド状態となり、それによって起動処理は終了する。一方、タイムアウトでない場合はステップSP3に戻り、ホスト端末1からの応答の到着を待つ。
【0037】
このように本実施の形態1に係るカメラシステムの起動方法によれば、カメラ2a,2bは、まず制御部11が起動され、その後に信号処理部10が起動される。従って、制御部11と信号処理部10とを同一のタイミングで起動する場合と比較すると、起動時の突入電流を抑制することができる。その結果、ホスト端末1の電源の負荷が低減され、電流容量の小さい電源を使用することが可能となるため、コストの低減を図ることができる。
【0038】
また、カメラ2aの信号処理部10とカメラ2bの信号処理部10とは、互いに異なるタイミングで起動される。従って、起動時の突入電流がさらに抑制されるため、ホスト端末1の電源の負荷がさらに低減され、さらに電流容量の小さい電源を使用することが可能となる。
【0039】
しかも、ホスト端末1が肯定応答S2a,S2bを互いに異なるタイミングで送信するという簡単な処理によって、カメラ2a,2bの各信号処理部10の起動タイミングを確実に異ならせることができる。
【0040】
さらに、ホスト端末1の電源の性能を超える台数のカメラから起動確認コマンドが送られてきた場合には、許容数を超える分のカメラに対して肯定応答を送信しない、又は否定応答を送信することにより、許容数を超える分のカメラの信号処理部10を起動することが禁止される。その結果、電力不足によってシステム全体がダウンしてしまうという事態を回避できる。
【0041】
また、カメラからホスト端末1に対して起動確認コマンドが送信されるため、システムの稼働中にカメラが増設された場合であっても、ホスト端末1は、増設されたカメラの存在を検知することができる。その結果、システムの稼働を中断させることなくカメラを増設することが可能となる。
【0042】
実施の形態2.
図5は、図2に対応させて、本発明の実施の形態2に係るカメラシステムが備えるカメラ2aの内部構成を示すブロック図である。カメラシステムの全体構成は図1に示した構成と同様であり、本実施の形態2に係るカメラシステムにおけるカメラ2b,2cの内部構成は、図5に示したカメラ2aの構成と同様である。
【0043】
図5を参照して、制御部11は、第1ブロック14と第2ブロック15とに大別される。第1ブロック14は、電源制御回路20とタイマ21とを有している。各カメラ2a〜2cの電源制御回路20には、DIPSW(Dual In-line Package SWitch)の設定によって、カメラ毎に異なる固有の識別番号(以下「ID番号」と称す)が設定されている。但し、DIPSWの設定によるのではなく、電源制御回路20に小規模の不揮発性メモリを接続し、この不揮発性メモリ内にID番号を格納してもよい。
【0044】
第2ブロック15は、フラッシュメモリ22、CPU23、SDRAM24、及び通信コントローラ25を有している。
【0045】
図6は、システム起動時の各カメラ2a〜2cの制御部11における処理の流れを示すフローチャートである。以下、図1,3〜6を参照して、本実施の形態2に係るカメラシステムの起動方法について説明する。
【0046】
まず、スイッチ50のオンによってシステムの起動が開始されると、ホスト端末1は、同軸ケーブル31〜35に電源を供給するとともに、制御部11を起動させるための制御部起動命令を発行する(図3のステップSP20)。ここで、本実施の形態2では、各カメラ2a〜2cのID番号に対応付けられて、カメラ毎に異なる遅延時間が設定されており、ホスト端末1が発行する制御部起動命令にはID番号及び遅延時間が含まれている。その後、ホスト端末1は待機状態となって、カメラ2a〜2cからの応答を待つ(図3のステップSP21)。発行された制御部起動命令は、同軸ケーブル31〜35を介して各カメラ2a〜2cに伝達される。
【0047】
次に、制御部起動命令を受け取った各カメラ2a〜2cは、各々の制御部11の第1ブロック14、つまり、電源制御回路20及びタイマ21を起動する(図6のステップSP10)。この時点では、第2ブロック15及び信号処理部10は起動されない。
【0048】
第1ブロック14が起動されると、各カメラ2a〜2cの電源制御回路20は、タイマ21を用いて時間のカウント動作を開始し(図6のステップSP11)、待機状態となる(図6のステップSP12)。
【0049】
また、各カメラ2a〜2cの電源制御回路20は、制御部起動命令に含まれている複数の遅延時間の中から、自身のDIPSWに設定されているID番号に対応する遅延時間を抽出する。そして、カウント動作を開始してからの経過時間が、抽出した遅延時間に到達したか否かを判定する(図6のステップSP13)。
【0050】
経過時間が遅延時間に到達した場合は、第2ブロック15を起動する(図6のステップSP14)。各カメラ2a〜2c毎に異なる遅延時間が設定されているため、第2ブロック15は、各カメラ2a〜2c毎に異なるタイミングで起動されることとなる。一方、経過時間が遅延時間に到達していない場合はステップSP12に戻り、経過時間が遅延時間に到達するまでステップSP12,13が繰り返される。
【0051】
第2ブロック15が起動された後は、図4のステップSP2において起動確認コマンドが発行され、その後の動作は上記実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0052】
このように、本実施の形態2に係るカメラシステムの起動方法によれば、各カメラ2a〜2cの制御部11は、まず第1ブロック14が起動され、その後に第2ブロック15が起動される。従って、第1ブロック14と第2ブロック15とを同一のタイミングで起動する場合と比較すると、起動時の突入電流を抑制することができる。その結果、ホスト端末1の電源の負荷が低減され、電流容量の小さい電源を使用することが可能となるため、コストの低減を図ることができる。
【0053】
しかも、各カメラ2a〜2c毎に異なる遅延時間が設定されていることにより、各カメラ2a〜2cの第2ブロック15は、互いに異なるタイミングで起動される。従って、カメラ2a〜2cの第2ブロック15が同一のタイミングで起動される場合と比較すると、起動時の突入電流を抑制することができる。その結果、ホスト端末1の電源の負荷が低減され、電流容量の小さい電源を使用することが可能となるため、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1に係るカメラシステムの全体構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1に示したカメラの内部構成を示すブロック図である。
【図3】システム起動時のホスト端末における処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】システム起動時のカメラにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図2に対応させて、本発明の実施の形態2に係るカメラシステムが備えるカメラの内部構成を示すブロック図である。
【図6】システム起動時の各カメラの制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 ホスト端末
2a〜2c カメラ
31〜35 同軸ケーブル
10 信号処理部
11 制御部
14 第1ブロック
15 第2ブロック
20 電源制御回路
21 タイマ
22 フラッシュメモリ
23 CPU
24 SDRAM
25 通信コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト端末と、
信号処理部と、当該信号処理部を制御するための制御部とをそれぞれ有し、システムの電源投入時、前記ホスト端末から同軸ケーブルを介して電源が供給される第1及び第2のカメラと
を備えるカメラシステムの起動方法であって、
(a)前記第1及び第2のカメラの各前記制御部に電源を供給するステップと、
(b)前記ステップ(a)よりも後に実行され、前記第1のカメラの前記信号処理部に電源を供給するステップと、
(c)前記ステップ(a)よりも後に実行され、前記第2のカメラの前記信号処理部に電源を供給するステップと
を備える、カメラシステムの起動方法。
【請求項2】
前記ステップ(c)は、前記ステップ(b)の実行タイミングとは異なるタイミングで実行される、請求項1に記載のカメラシステムの起動方法。
【請求項3】
前記制御部は、
前記同軸ケーブルに接続された電源制御回路を含む第1ブロックと、
CPU、メモリ、及び通信コントローラを含む第2ブロックと
を有し、
前記ステップ(a)は、
(a−1)前記第1及び第2のカメラの各前記第1ブロックに電源を供給するステップと、
(a−2)前記ステップ(a−1)よりも後に実行され、前記第1のカメラの前記第2ブロックに電源を供給するステップと、
(a−3)前記ステップ(a−1)よりも後に実行され、前記第2のカメラの前記第2ブロックに電源を供給するステップと
を有する、請求項1又は2に記載のカメラシステムの起動方法。
【請求項4】
前記ステップ(a−3)は、前記ステップ(a−2)の実行タイミングとは異なるタイミングで実行される、請求項3に記載のカメラシステムの起動方法。
【請求項5】
(d)前記ステップ(a)よりも後、前記ステップ(b)及び(c)よりも前に実行され、前記第1及び第2のカメラから前記ホスト端末に対して、起動確認コマンドを発行するステップと、
(e)前記ステップ(d)よりも後、前記ステップ(b)及び(c)よりも前に実行され、前記起動確認コマンドを受けた前記ホスト端末が、前記第1のカメラに対する第1の応答と、前記第2のカメラに対する第2の応答とを送信するステップと
をさらに備え、
前記第1のカメラは、所定時間内に前記第1の応答として第1の肯定応答を受信した場合に、前記ステップ(b)を実行し、
前記第2のカメラは、前記所定時間内に前記第2の応答として第2の肯定応答を受信した場合に、前記ステップ(c)を実行する、請求項1〜4のいずれか一つに記載のカメラシステムの起動方法。
【請求項6】
前記第1のカメラは、前記所定時間内に前記第1の肯定応答を受信しなかった場合、又は、前記所定時間内に前記第1の応答として否定応答を受信した場合には、前記ステップ(b)を実行せず、
前記第2のカメラは、前記所定時間内に前記第2の肯定応答を受信しなかった場合、又は、前記所定時間内に前記第2の応答として否定応答を受信した場合には、前記ステップ(c)を実行しない、請求項5に記載のカメラシステムの起動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−19576(P2007−19576A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195784(P2005−195784)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(500040908)株式会社メガチップスシステムソリューションズ (80)
【Fターム(参考)】