説明

カメラモジュールとその製造方法

【課題】カメラモジュールを提供する。
【解決手段】レンズヘッドとイメージセンサを含み、イメージセンサは基板、基板上に固定されるイメージセンサユニット、基板とイメージセンサユニットを電気接続する信号ケーブルと基板上に固定されるフレームを有し、フレームとイメージセンサユニットが基板の同一側に固定される。レンズヘッドは、レンズホルダーおよび少なくとも1つの前レンズ片セットと後レンズ片セットを有し、前レンズ片セットはレンズホルダー内に固定され、レンズホルダーは、フレーム上に設置される。後レンズ片セットは、赤外光フィルタ機能を有する光フィルタ蓋体と該光フィルタ蓋体の位置に形成されるレンズ片を含み、後レンズ片セットもフレーム上に設置される。本発明のカメラモジュールのレンズ片と光フィルタ蓋体が一体に整合され、カメラモジュールの体積を減少でき、生産効率を向上し且つコストを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールに関し、特に、携帯式電子製品に用いるカメラモジュールとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、米国特許公開第20060290802号が介する携帯式電子製品に用いるカメラモジュール1’である。該カメラモジュール1’は、レンズソケット10’、レンズヘッド20’、イメージセンサ30’を有する。該レンズソケット10’は、中空筒状を呈し、レンズソケット20’は、レンズホルダー21’と少なくとも1つの該レンズホルダー21’内に固定設置されるレンズ片22’を有する。イメージセンサ30’は、基台31’、イメージセンサユニット32’、透光蓋体34’を有し、イメージセンサユニット32’は、イメージセンサ領域321’を有し、該イメージセンサユニット32’は、基台31’上に組み立てられ、透光蓋体34’は、粘着剤33’によって基台31’上に固定設置され、イメージセンサユニット32’のイメージセンサ領域321’は、透光蓋体34’と粘着剤33’によって完全密閉される。該カメラモジュール1’は、製造時、先ず、それぞれレンズ片22’と透光蓋体34’を製造し、レンズ片22’をレンズホルダー21’内に組み立てレンズヘッド20’を形成し、更に、それぞれレンズヘッド20’と透光蓋体34’をレンズソケット10’上と基台31’上に組み立てる。
【0003】
しかしながら、該カメラモジュール1’のレンズ20’とイメージセンサ30’は、先ずそれぞれ独立して組み立て、それからレンズソケット10’によって二者を接続する方式を採用し、組み立て誤差がレンズ片22’と透光蓋体34’に干渉を発生させることを防止するために、レンズ片22’と透光蓋体34’の間に一定の隙間を持たせる必要があるので、該カメラモジュール1’の堆積を減少することが困難である。また、上記カメラモジュール1’の製造方法は、生産効率が低い。
【0004】
また、必要な光学結像性能を達成するため、往々にしてレンズ片の数を増加させる必要であるが、これはレンズヘッドの厚さを増加させ、各種の携帯式電子製品は、日増しに小型化し、電子製品に応用するカメラモジュールも、それに伴い小型が必要とされている。
【0005】
更に、イメージセンサは、人の目で見えない赤外光をセンサでき、カメラモジュールは、赤外光をフィルタする機能を有する必要があり、従来の技術は、カメラモジュールのユニット上に赤外光フィルタ膜を鍍金する方式を採用し、カメラモジュールに赤外光フィルタの機能を持たせ、または、赤外光を吸収する特性を有するガラス平板を採用する。プラスチックレンズ片は、鍍金過程の高温に耐えることができないので、非球面の鋳造ガラス上の鍍金膜は、良好な均一特性を獲得できないので、往々にして平板ガラス上に赤外光フィルタ鍍金膜を鍍金し、赤外光フィルタレンズ片を形成するか、または赤外光吸収特性を有するガラス平板レンズ片を採用し、該赤外光フィルタレンズ片セットをカメラモジュールに組み込む必要がある。また、組み立て過程中、微小の塵まあは異物がイメージセンサ表面に落ち、イメージセンサ機能を妨害することを防止するため、往々にしてイメージセンサを基板に組み込んだ後、1片のガラス蓋板を取り付け微小な塵または異物を隔絶する必要がある。しかしながら、該ガラス蓋体と赤外光フィルタレンズ片はカメラモジュール内に相当大きな空間を占有し、同時に最後の1片のレンズ片からイメージセンサまでの距離が遠く、レンズヘッドの結像性能を制限し、カメラモジュールの小型化に不利である。ガラス蓋体と赤外光フィルタレンズ片を単一フィルタに整合できたとしても、依然としてレンズヘッドの性能が制限され、且つカメラモジュールの小型化に不利である。
【特許文献1】米国特許公開第20060290802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記従来の技術の欠陥に対して体積を縮小できるカメラモジュールとその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明が提供するカメラモジュールは、レンズヘッドとイメージセンサを含む。該イメージセンサは基板、基板上に固定されるイメージセンサユニット、基板とイメージセンサユニットを電気接続させる信号ケーブルと基板上に固定されるフレームを有し、該フレームと前記イメージセンサユニットが基板の同一側に固定される。該レンズヘッドは、レンズホルダーおよび少なくとも1つの前レンズ片セットと後レンズ片セットを有し、該前レンズ片セットはレンズホルダー内に固定され、該レンズホルダーは、前記フレーム上に設置される。前記後レンズ片セットは、赤外光フィルタ機能を有する光フィルタ蓋体と該光フィルタ蓋体の位置に形成されるレンズ片を含み、該後レンズ片セットもフレーム上に設置される。
【0008】
本発明が提供するカメラモジュールの製造方法は以下のステップを含む:
ステップ1、大きな片に赤外光フィルタ機能を有する光フィルタ蓋体の一側に複数のレンズ片を形成し、複数のレンズ片を有する光学部材陳列を形成し、レンズ片を固化させる。
ステップ2、大きな片の光フィルタ蓋体を分割し、複数の独立した後レンズ片セットを形成する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように、本発明のカメラモジュールは、レンズ片を光フィルタ蓋体上に形成し、後レンズ片セットを形成し、レンズ片と光フィルタ蓋体との間の隙間をなくし、該カメラモジュールの体積を縮小し、該カメラモジュールの光学設計上の自由度を増加し、光学補償効果をより良好にし、該カメラモジュールの性能を向上させる。
【0010】
本発明のカメラモジュールの製造方法は、レンズ片と光フィルタ蓋体を後レンズ片セットに整合し、陳列方式で生産後、分割し、後レンズ片セットの生産効率を向上させ、組み立てに便利で且つ全体の生産効率を向上できる。
【0011】
本発明のカメラモジュールのもう1つの製造方法は、更にイメージセンサと基板を陳列方式で組成し、陳列方式で形成したフレームをイメージセンサと基板の陳列の上に組み立て、その後、後レンズ片セットをフレーム陳列の上に陳列および組み立てし、更に、切断分割し、最終的に前レンズ片セットに組み立て、全体の生産効率を向上させる目標を達成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の技術的内容、達成する目的と効果を詳細に説明するため、以下に実施例を挙げ、図面と合わせて説明する。
【0013】
図2、図3において、該カメラモジュール1は、レンズヘッド10とイメージセンサ20を含む。
【0014】
前記レンズヘッド10は、レンズホルダー11、少なくとも1つの前レンズ片セット12と少なくとも1つの後レンズ片セット13を有し、前記前レンズ片セット12と後レンズ片セット13は、いずれも耐高温材料から製成される。該後レンズ片13は、球面または非球面のレンズ片131と、光フィルタ蓋体132から組成され、該光フィルタ蓋体132は、人の目で見えず、イメージセンサユニット22がセンサできる赤外光をフィルタする機能を有する。該光フィルタ蓋体132は、平板ガラス133であることができ、該平板ガラス133のイメージセンサユニット22に向いた一側にフィルタ鍍金膜134を鍍金し、赤外光をフィルタする効果を達成し、レンズ片131が該平板ガラス133のイメージセンサユニット22を背にする向きの一側に形成される(図2参照)。
【0015】
該光フィルタ蓋体132は、赤外光吸収特性を有するガラスから製成されることができるので、フィルタ鍍金膜134を鍍金する必要がない(図3参照)。
【0016】
レンズホルダー11は、塩筒状の筒壁111を有し、筒壁111の一端は、該筒壁111に垂直に内向きに環形の延伸部112を延伸する。前記前レンズ片セット12は、該レンズホルダー11内の延伸部112近隣に固定設置される。
【0017】
図2、図3において、前記イメージセンサ20が、基板21、イメージセンサユニット22、信号ケーブル23、フレーム24を有する。前記イメージセンサユニット22は、基板21上に固定され、信号ケーブル23によって基板21と電気接続し、イメージ信号を基板21上に伝達する。前記フレーム23は、支持部241と支持部241の一側から該支持部241に垂直に延伸形成する載置部242を有する。該フレーム23の支持部241は、基板21上に固定保持され、前記光フィルタ蓋体132がフレーム24の載置部242上に固定設置され、光フィルタ蓋体132のフィルタ鍍金膜133を有する一側がイメージセンサユニット22向きに設置される。光フィルタ蓋体132、基板21、フレーム24が密閉空間を形成し、前記イメージセンサユニット22が該密閉空間内に位置し、イメージセンサユニット22上に塵が落ちるのを防止する。レンズヘッド10がフレーム24の載置部242上に設置され、イメージセンサユニット22がレンズヘッド10の光路上に位置し、前記後レンズ片セット13がレンズホルダー11内に位置し、前レンズ片セット12とイメージセンサユニット22の間に位置する。
【0018】
図4において、上記カメラモジュール1の製造方法は、以下のステップを含む:
ステップ1、大きな片の光フィルタ蓋体132上に光学結像特性を有する液体材料を塗布し、特定形状を形成し、紫外光照射またはその他の方法を利用し、円形非球面のレンズ片131を固化形成し、複数のレンズ片131を有する光学ユニット陳列を形成する。
ステップ2、大きな片の光フィルタ蓋体132を図4中に示すような点線に沿って分割し、複数の独立した後レンズ片セット13を形成する。
ステップ3、後レンズ片13をフレーム24の載置部242上に組み込み、その後、後レンズ片セット13とフレーム24の組み合わせ体をイメージセンサユニット22を組み込んだ基板21上に固定保持し、最後に、前レンズ片セット12を組み込んだレンズホルダー11を載置部242上に組み込む。本ステップ中、先ずフレーム24をイメージセンサユニット22を組み込んだ基板21上に固定保持し、その後、後レンズ片セット13をフレーム24の載置部242上に組み込み、更にレンズホルダー11を組み立てる。
【0019】
図5において明らかであるように、製造時に上記ステップ1の後、複数のイメージセンサユニット22の陳列を大きな片の基板21上に固定設置し、陳列形式で製造したフレーム24を大きな片の基板21上に粘着固定し、その後、レンズ片131の陳列を設置した大きな片の光フィルタ蓋体132をフレーム24上に粘着固定し、最後に、切断し、イメージセンサ20と後レンズ片セット13の組み合わせ体を製造し、前レンズ片セット12を組み込んだレンズホルダー11を載置部242上に組み込む。
【0020】
上記のように、本発明のカメラモジュール1は、レンズ片131を光フィルタ蓋体132上に設置し、後レンズ片セット13を形成し、レンズ片131と光フィルタ蓋体132の間の隙間をなくし、該カメラモジュール1の体積を減少し、該カメラモジュール1の光学設計上の自由度を増加し、且つ光学補償効果をより良好にし、該カメラモジュール1の性能を向上させる。
【0021】
更に、前レンズ片セット12と後レンズ片セット13は、いずれも耐高温材料で製成され、後続のプロセス中にリフロー方式でシステムプリント回路板上に組み込むことができ、システム組み立てコストを低減し、製品の信頼性を向上させることができる。
【0022】
本発明のカメラモジュール1の製造方法は、レンズ片131と光フィルタ蓋体132をレンズ片セット13に整合し、陳列方式で生産した後切断し、後レンズ片セット13の生産効率を向上させ、組み込みに便利で全体の生産効率を向上させることができる。
【0023】
上記のように、本発明の「カメラモジュールとその製造方法」は、上記に開示する構造と方法によって、前記の効果を達成でき、且つ本発明の出願は、専利の用件に適合しているので、法規に従い出願を提出する。なお、本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない均等の範囲内で各種の変動や潤色を加えることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来のカメラモジュールの断面説明図である。
【図2】本発明のカメラモジュールの実施例の断面説明図である。
【図3】本発明のカメラモジュールのもう1つの実施例の断面説明図である。
【図4】本発明のカメラモジュールの製造方法中、レンズ片を大きな片に形成する光フィルタ蓋体の説明図である。
【図5】本発明のカメラモジュールの製造方法中の陳列形式で製造するフレームと大きな片の基板を組み合わせた説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 レンズモジュール
10 レンズヘッド
11 レンズホルダー
111 筒壁
112 延伸部
12 前レンズ片セット
13 後レンズ片セット
131 レンズ片
132 光フィルタ蓋体
133 平板ガラス
134 フィルタ鍍金膜
20 イメージセンサ
21 基板
22 イメージセンサ
23 信号ケーブル
24 フレーム
241 支持部
242 載置部
1’ カメラモジュール
10’ レンズソケット
20’ レンズヘッド
21’ レンズホルダー
22’ レンズ片
30’ イメージセンサ
31’ 基台
32’ イメージセンサユニット
321’ イメージセンサ
33’ 粘着剤
34’ 透光蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、基板上に固定されるイメージセンサユニット、基板とイメージセンサユニットを電気接続する信号ケーブル、基板上に固定されるフレームを有し、該フレームと前記イメージセンサユニットが基板の同一側に固定設置されるイメージセンサと、
レンズホルダーと少なくとも1つの前レンズ片セットを有し、該前レンズ片をレンズホルダー内に固定し、該レンズホルダーが前記フレーム上に固定されるレンズヘッドと、
赤外光フィルタ機能を有する光フィルタ蓋体と該光フィルタ蓋体の一側に形成されるレンズ片を含み、フレーム上に設置される後レンズ片セットと
を含むカメラモジュール。
【請求項2】
前記後レンズ片セットが前レンズ片セットとイメージセンサの間に位置する請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記光フィルタ蓋体が平板ガラスを有し、該平板ガラスの一側にフィルタ鍍金膜を形成し、前記レンズ片がフィルタ鍍金幕の対応する一側に形成される請求項2記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記光フィルタ蓋体が赤外光吸収特性を有するガラスから製成される請求項2記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記フレームが支持部を有し、該支持部の一側が該支持部に垂直に載置部を延伸し、該フレームの支持部が基板上に保持され、前記後レンズ片セットとレンズホルダーがいずれも該載置部上に設置される請求項3または4記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記レンズホルダーが筒壁を有し、筒壁の一端に内向きに延伸部を延伸し、前記前レンズ片セットがレンズホルダー内の該延伸部近隣に固定される請求項5記載のカメラモジュール。
【請求項7】
以下のステップ:
ステップ1、大きな片に赤外光フィルタ機能を有する光フィルタ蓋体の一側に複数のレンズ片を形成し、複数のレンズ片を有する光学部材陳列を形成し、レンズ片を固化させ、
ステップ2、大きな片の光フィルタ蓋体を分割し、複数の独立した後レンズ片セットを形成する、
を含む請求項1記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項8】
前記ステップ2の前に複数のイメージセンサユニットを大きな片の基板上に固定し、陳列形式で製造したフレームを大きな片の基台上に固定し、その後、レンズ片の陳列を設置した大きな片の光フィルタ蓋体をフレーム上に固定し、その後、切断を行う請求項7記載のカメラモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−253427(P2009−253427A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96032(P2008−96032)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(508080942)正▲うぇい▼精密工業股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】