説明

カメラモジュールのレンズ移送装置

【課題】本発明は焦点を調節したり光学ズーム機能を提供するカメラモジュールのレンズ移送装置に関するものである。
【解決手段】本発明は印加された電圧により機械的駆動力を発生させるリング形状の圧電駆動機(piezoelectric actuator)及び上記圧電駆動機の上部に位置し上記圧電駆動機の駆動力によりレンズの光軸を中心に回転する回転板を具備する駆動部; 上記回転板の上面と接触し内部に上記レンズが固定される中空型バレルホルダーを具備し、上記回転板が回転する際上記レンズの光軸方向へ直線移送される移送部;及び、上記駆動部と移送部を内部に収容し、上記移送部が上記レンズの光軸方向へ直線移送されるよう案内するガイド手段が形成された中空型ハウジング; を含むカメラモジュールのレンズ移送装置を提供する。本発明によるとレンズ移送装置の超小型化が可能で、微細な移送により精密な焦点調節が可能となり高解像度、光鮮明度の画像を得る効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ移送装置に関するもので、より詳しくは圧電駆動機から発生する進行波の駆動力による回転運動をレンズの直線運動に変化させ焦点を調節したり接写、光学ズーム機能を提供するカメラモジュールのレンズ移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラは複数個のレンズを具備しており、夫々のレンズを移動させその相対距離を変化させることにより光学的な焦点距離を調節するよう構成されている。最近、カメラの搭載された携帯電話の登場によって携帯電話で停止画像及び動映像の撮影が可能となり、高解像度及び高画質での撮影のためカメラの性能が次第に改善されている。
【0003】
図1は焦点調節機能の無い従来のカメラモジュールの斜視図である。
図1のような従来のカメラモジュールにおいては、イメージセンサ(170)及びフィルターはハウジング(110)の下部に組立てられ、レンズバレル(120)内には複数のレンズが装着される。
【0004】
上記レンズバレル(120)は、上記ハウジング(110)の内周面と上記レンズバレル(120)の外周面に形成されたネジ山を利用してレンズアレー(130)と上記イメージセンサ(170)の焦点を合わせてから、エポキシなどにより上記ハウジング(110)に固定する。
【0005】
しかし、このような固定焦点方式は特定距離における焦点調節が不可能で画質の鮮明度に限界が生じるとの問題がある。
【0006】
したがって、メガピクセル以上のカメラモジュールにおいては焦点が必須とされる。
このために自動焦点調節装置、接写装置及び光学ズーム装置などを具備したカメラモジュールを携帯電話に適用する必要性が提起されたが、従来の方式により作製されたカメラは小型の携帯電話への搭載に無理があった。
【0007】
即ち、従来の方式はイメージセンサとレンズとの相対的な距離を変化させるため焦点調節及び/または光学ズーム機能の駆動源にDCモータを使用するが、こうした場合には複数個の減速ギアを互いに連結して使用するので応答速度の低下及び回転速度の偏差により焦点調節を精密に行うための正確な位置制御が困難なばかりでなく、嵩張るほかにも装置が複雑なため携帯電話内の極めて制限された空間において焦点調節機能などは具現しがたいとの問題がある。
【0008】
上記のような問題を解決するために、光学的ズーム機能を行うのに必要なレンズ移送を自動焦点調節に適用する案を考慮することができよう。
【0009】
図2及び図3は夫々手動及び自動でズーム機能を行う従来のズームレンズ結合装置の主要部品の構成図である。
【0010】
図2のように、ズームレンズ結合装置は内周面にネジ山が形成された円筒型のズームレンズケース(250)、ズームレンズ(210)、外周面にネジ山(241)が形成されたカメラ(240)などから成り、使用者が上記ズームレンズケース(250)を手で回転させると上記ズームレンズ(210)と上記カメラ(242)との距離が変化してズームインあるいはズームアウトになる。
【0011】
こうした方式はレンズを自動で移送するものではないので、光学ズーム機能には利用できるが、焦点調節には利用し難い。
【0012】
即ち、レンズの直径が小さいと、その焦点距離が短く、焦点距離の調節時レンズの移動距離も短くなるので、図2のような構成を有する場合、使用者が手動でズームレンズケース(250)を回転させ微細焦点距離を調節するのは大変難しい。
【0013】
そればかりでなく、上記構成を有する場合ズームレンズ(210)が 回転し光軸が変化するので高解像度が得られないとの問題がある。
【0014】
一方、図3の自動ズームレンズ結合装置は自動ズーム機能を具現するためにモータ(270)と、上記モータ(270)の動力を利用して上記ズームレンズ結合装置を移送する移送装置(260)をさらに具備し、上記カメラ(240)の外周部に長さ方向に形成されたスライディング溝(241)と内周部に上記スライディング溝(241)に挟められるよう突起(255)とが形成されたズームレンズケース(250)を含んで構成される。
【0015】
使用者のキーパッド操作またはセンサ感知により上記モータ(270)が駆動されると、上記駆動軸(271)に固定された移送ピニオン(262)が回転し、上記移送ラック(261)が長さ方向へ前後進するようになる。その結果として、上記ズームレンズケース(250)が前後移動して、上記ズームレンズ(210)の上記カメラ(240)に対する距離が異なるにつれて、光学ズーム機能を果たすようになる。
【0016】
しかし、こうした構成の場合にもズームレンズケース(250)の外部に移送のための装置を必要とするので、カメラモジュールが嵩張ってしまう問題を根本的に解決することができず、極めて制限された空間内において駆動されなければならない小型光学機器には適してない。
【0017】
したがって、携帯電話用カメラなどの小型光学機器において焦点調節、接写、光学ズームなどの機能を行うために小型化が可能でありながらも微細なレンズ移送により高解像度が得られるレンズ移送装置が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記のような問題を解決するためのものであって、サイズが小さく構成が簡単でありながらも精密なカメラモジュールのレンズ移送装置を提供することに目的がある。
また、本発明は精密なレンズ移送によりを通して微細な焦点調節をすることにより高解像度、高鮮明度の画像が得られるカメラモジュールのレンズ移送装置を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記のような目的を成し遂げるために本発明は、
印加された電圧により機械的駆動力を発生させるリング形状の圧電駆動機(piezoelectric actuator)及び上記圧電駆動機の上部に位置し、上記圧電駆動機の駆動力によりレンズの光軸を中心に回転する回転板を具備する駆動部;
上記回転板の上面と接触し内部に上記レンズが固定される中空型バレルホルダーを具備して、上記回転板が回転する際上記レンズの光軸方向へ直線移送される移送部;及び
上記駆動部と移送部を内部に収容し、上記移送部が上記レンズの光軸方向へ直線移送されるよう案内するガイド手段が形成された中空型ハウジング;
を含み、
上記圧電駆動機の駆動力により上記回転板が回転すると上記バレルホルダーの下部と上記回転板上面との接触により上記移送部が上記ハウジングのガイド手段に案内され上記レンズの光軸方向へ移送されるカメラモジュールのレンズ移送装置を提供する。
【0020】
好ましくは、上記駆動部は上面に上記圧電駆動機が安着される安着溝が凹設されイメージセンサを具備する底板をさらに含み、上記圧電駆動機は進行波駆動形式の圧電駆動機である。
【0021】
さらに好ましくは、上記回転板は上面に漸進的に高さが増加する少なくとも一つ以上の傾斜カムが突設され、上記バレルホルダーは下部面に上記傾斜カムと接触するカム従動体が上記傾斜カムに対応して突設されており、上記移送部は上記回転板が光軸を中心に回転する際上記傾斜カムとカム従動体との接触により移送される。
【0022】
さらに好ましくは、上記傾斜カムは上記レンズの光軸を中心に円周方向へ一定の角度毎に等間隔を置きながら上記回転板の上面に突設され、上記カム従動体は上記傾斜カムに対応して上記バレルホルダーの下面に突設される。
【0023】
好ましくは、上記バレルホルダーは外周面に少なくとも一つ以上の滑走部が突設され、上記ハウジングは上記滑走部と対応する内周面に上記滑走部を収容して滑走させる案内部が凹設され、上記滑走部及び上記案内部は上記レンズの光軸に平行に形成される。
【0024】
さらに好ましくは、上記底板は上記レンズの光軸を中心軸とする中空円筒型回転支持部が上面に突設され、上記回転支持部は上記回転板の中央に貫通形成された内周面に挿入され上記回転板の回転時上記回転板の半径方向への運動を制限する。
【0025】
好ましくは、上記移送部は上記傾斜カムと上記カム従動体を弾性的に加圧して接触させる第1弾性手段をさらに含むことができ、上記駆動部は上記圧電駆動機上面と上記回転板下面を予圧した弾性力で加圧する第2弾性手段をさらに含むことができ、上記第1及び第2弾性手段はリング形状の予圧された波スプリング(wave spring)である。
【0026】
また、上記レンズ移送装置は被写体の距離を測定するセンサの信号または使用者の指示により上記圧電駆動機の駆動を制御する制御部をさらに含むことができ、光学ズームまたは接写機能を行うために少なくとも一つ以上のレンズを具備する追加レンズ群をさらに含むこともできる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によると、圧電駆動機の駆動による回転移送を直線移送に変化させレンズを移送することにより、サイズが小さく構成が簡単でありながらも精密なレンズ移送装置の具現が可能になるとの効果を奏するようになる。
【0028】
また、本発明は圧電駆動機を利用して微細な焦点調節が可能なので、高解像度、高鮮明度の画像を得られる効果を奏する。
【0029】
一方、上記のような小型のレンズ移送装置を具現することにより、カメラホン、デジタルカメラなどに使用されるカメラモジュールの焦点調節、光学ズーミング(zooming)、接写などに利用できるとの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施例について添付の図を参照しながらより詳しく説明する。
図4は本発明によるレンズ移送装置の部品斜視図で、図5は本発明によるレンズ移送装置の中央部断面図である。
【0031】
先ず、図4に示すように、本発明によるカメラモジュールのレンズ移送装置は駆動部(300)、移送部(400)及び上記駆動部と上記移送部を収容するハウジング(10)を含む。
【0032】
上記駆動部(300)は、印加された電圧により機械的駆動力を発生させるリング形状の圧電駆動機(piezoelectric actuator)(50)、及び上記圧電駆動機(50)の上部に位置し上記圧電駆動機の駆動力によりレンズの光軸を中心に回転する回転板(40)を具備する。
【0033】
ここで、レンズは後述するようにバレルホルダー(30)に固定される。
【0034】
好ましくは、上記回転板は上面に漸進的に高さが増加する少なくとも一つ以上の傾斜カムが突設される。
【0035】
さらに好ましくは、上記駆動部(300)は上面に上記圧電駆動機(50)が安着される安着溝が凹設されイメージセンサを具備する底板をさらに含むことができる。
【0036】
上記圧電駆動機(50)は上記回転板(40)に駆動力を伝達して回転板を回転させる役目をし、光がレンズを透過してイメージセンサ(70)に到達できるようリング形状を有する。
【0037】
さらに、上記圧電駆動機(50)は、正逆転でき小型化が容易で寿命が長い点から定在波形式よりは進行波駆動形式の圧電駆動機であることが好ましく、数百nmないし数十μmの変位と数kHz以上の作動周波数を有する。
【0038】
一方、上記移送部(400)は上記回転板(40)の上面と接触し内部に上記レンズが固定される中空型のバレルホルダー(30)を具備し、上記回転板(30)が回転すると上記バレルホルダー(30)の下部と上記回転板(30)の上面との接触により上記レンズの光軸方向に直線移送される。
【0039】
好ましくは、上記バレルホルダー(30)は、下面に上記回転板(40)の傾斜カム(41)と接触するカム従動体(32)が上記傾斜カム(41)に対応して突設されており、この際上記移送部は上記回転板(40)の回転時上記傾斜カム(41)とカム従動体(32)との接触により移送される。
また、上記バレルホルダー(30)の内部には少なくとも一つ以上のレンズを有するレンズバレル(20)が固定されることが好ましい。
【0040】
ここで、少なくとも一つ以上のレンズはレンズの光軸が一致するようレンズバレル(20)に組立てられ、上記レンズバレル(20)の外周面には上記バレルホルダー(30)の内周面のネジ山と係合するようネジ山が形成される。
【0041】
また、上記レンズバレル(20)はバレルホルダー(30)の内周面に組立てられ初期位置が補正された後エポキシなどで固定される。
【0042】
一方、上記ハウジング(10)は中空型であって上記駆動部(300)と移送部(400)を内部に収容し、上記移送部(400)が上記レンズの光軸方向へ直線移送されるよう案内するガイド手段が形成される。
【0043】
本発明の実施例に関してより詳しく説明すれば次のとおりである。
図4に示したように、上記回転板(40)の傾斜カム(41)は上記レンズの光軸を中心に円周方向へ一定の角度毎に等間隔を置きながら上記回転板(40)の上面に突設され、上記バレルホルダー(30)のカム従動体(32)は上記傾斜カム(41)に対応して上記バレルホルダー(30)の下面に突設する。
【0044】
好ましくは、上記傾斜カム(41)は安定した3点支持のために上記回転板(40)の上面に円周方向へ120°毎に形成され、これに対応する上記カム従動体(32)も120°毎に上記バレルホルダー(30)の下面に突設する。
より好ましくは、図4の拡大部に示すように、上記傾斜カム(41)は上記バレルホルダー(30)の下面と上記傾斜カム(41)とが相互干渉するのを防ぐために傾斜カム(41)の最大の高さ(H)がカム従動体(32)の最大の高さ(h)より低くなければならない。
【0045】
また、上記カム従動体(32)は上記傾斜カム(41)の傾斜面と点接触するよう半球状であることが好ましいが、線接触を行うよう弧状断面とすることもできる。
【0046】
図4の拡大部に示すように、上記カム従動体(32)は上記傾斜カム(41)の高さが0の位置から隣接する傾斜カムの端部に接触して傾斜カムが形成されない回転板の上面と上記カム従動体(32)との接触が制限されるので、上記カム従動体(32)は上記傾斜カム(41)の傾斜面に沿ってのみ接触するようになる。
【0047】
即ち、レンズバレル(20)が上方へ移動する場合には上記カム従動体(32)は上記傾斜カム(41)の高さが0の位置から上記傾斜カム(41)の高さがHの方向へ上記傾斜カム(41)の傾斜面に沿って移動し、図4の 拡大部の二点鎖線で表示されたカム従動体は上記傾斜カム(41)の傾斜面に接触しているカム従動体(32)を示している。
【0048】
一方、効果的にレンズの移送を具現するためには上記バレルホルダー(30)及びこれに固定されたレンズバレル(20)は上記回転板(40)の回転角度に正比例してレンズの光軸方向に移送されることが好ましく、上記バレルホルダー(30)の移送距離は上記傾斜カムの最大の高さ(H)より低い。
【0049】
即ち、上記傾斜カム(41)の形状はカム従動体(32)と傾斜カム(41)とが接触する高さが回転板の回転角度に応じて線形的に増減するよう構成されなければならず、こうした形状を有する傾斜カム(41)を使用することによりレンズの移送に必要な回転板(40)の回転角度が線形的に決定されることができる。
【0050】
一方、カメラホン、デジタルカメラなどのように小型光学機器のカメラモジュールに使用されるレンズは小型なので、レンズが直線移送されず回転しながら移送されるとレンズの収差特性、レンズの回転軸と光軸とのズレなどによりイメージセンサ(70)とレンズとの光軸が変化しかねなく高い解像度が得られない。
【0051】
こうした問題を解決するためにレンズは光軸方向へ移送されることが好ましい。
【0052】
こうした光軸方向の直線移送を具現するために、上記バレルホルダー(30)は外周面に少なくとも一つ以上の滑走部(31)が突設され、上記ハウジング(10)は上記滑走部(31)と対応する内周面に上記滑走部(31)を収容して滑走させる案内部(11)が凹設され、上記滑走部(31)及び案内部(11)は上記レンズの光軸に平行に形成されることが好ましい。
【0053】
これとは逆に、上記ハウジング(10)の内周面に滑走部(11)を突設され、上記バレルホルダー(30)の外周面に案内部(31)を凹設する構成も可能である。
【0054】
また、上記カム従動体(32)と傾斜カム(41)との傾斜面が接触する位置が傾斜面の内外側へ変化するなら回転板の回転角度に正比例してレンズが移送することを保障しがたいので、精密な移送のために上記バレルホルダー(30)の下部に突設されたカム従動体(32)は光軸を中心に一定の半径を維持し上記傾斜カム(41)と接触することが好ましく、このためには上記回転板(40)の回転軸と光軸とが一致するよう維持することが必要である。
【0055】
したがって、底板(60)の上面には上記レンズの光軸を中心軸とする中空円筒型回転支持部(61)が突設され、上記回転支持部(61)は上記回転板(40)の中央に貫通形成された内周面(42)に挿入され、上記回転板(40)の回転時上記回転板の半径方向への運動を制限するようにすることが好ましい。
【0056】
一方、上記ハウジング(10)は上記底板(60)により下部が閉鎖され、上記底板(60)は上記ハウジング(10)の下部に固定され上記ハウジングと上記底板の相対回転を制限するので上記ハウジングは圧電駆動機(50)の駆動による影響を得られない。
【0057】
好ましくは、上記ハウジング(10)は外周面下端に複数個の上部係止片(14)が凹凸形状で形成され、上記底板(60)は外周面に上記上部係止片(14)に対応して係合する下部係止片(63)が形成され、上記上部係止片(14)と下部係止片(63)との係合により上記ハウジング(10)と底板(60)とが固定されるようにすることができる。
【0058】
さらに好ましくは、図5bのように上記上部係止片(14)は中心部に突設された突部を含み、上記突部により上記上部係止片(14)と下部係止片(63)との係合が維持されるようにすることができる。
【0059】
この際、上記底板(60)は上記ハウジング(10)の下部側から上方へ組立てられ、組立する際には上記上部係止片(14)の突部が外側へ広がりながら上部係止片(14)と下部係止片(63)とが係合し、係合した後には弾性により上部係止片(14)の突部が上記底板(60)を支持するようになる。
【0060】
即ち、底板(60)の外周面が窪みハウジング(10)の外周面下端が突出した部分は図5bのような断面を有するようになり、底板(60)の外周面が突出しハウジング(10)の外周面下端が窪んだ部分は図5cのような断面を有するようになる。
【0061】
このような形状を有する上部係止片(14)と下部係止片(63)により溶接、ネジ締結など別途の工程無しでもハウジング(10)と底板(60)を固定することができ、組立性が改善される効果を奏するようになる。
【0062】
一方、図4及び図5に示したように上記移送部(400)は上記傾斜カム(41)と上記カム従動体(32)を弾性的に加圧して接触させる第1弾性手段(15)を含むことができ、上記第1弾性手段(15)は組立の便宜性及び全面に亘って一定の弾性力を提供するためにリング形状の予圧された波スプリング(wave spring)であることが好ましい。
【0063】
また、上記傾斜カム(41)とカム従動体(32)を弾性的に加圧し、上記バレルホルダー(30)がイメージセンサ(70)の反対側に移送されると圧縮され移送空間を提供するようにするために、上記第1 弾性手段(15)は図5aのように上記ハウジング(10)の内面に形成された上部段(12)と上記バレルホルダー(30)の上面との間に具備されることが好ましい。
【0064】
また、上記駆動部(300)は上記圧電駆動機(50)の上面と上記回転板(40)の下面を予圧した弾性力で加圧する第2弾性手段(16)をさらに含むことができ、上記第2弾性手段(16)は組立の便宜性及び全面に亘る一定の弾性力を提供するためにリング形状の予圧された波スプリング(wave spring)であることが好ましい。
【0065】
また、図5aのように上記第2弾性手段(16)は上記回転板(40)上面とハウジング内面の中間段(13)との間に設けられ上記圧電駆動機(50)の上面と上記回転板(40)の下面を予圧された弾性力で加圧することが好ましい。
【0066】
一方、本発明によるカメラモジュールのレンズ移送装置は自動焦点調節機能を行うために被写体の距離を測定するセンサの信号または使用者の指示により上記圧電駆動機(50)の駆動を制御する制御部(図示せず)をさらに含むことが好ましい。
【0067】
図6は本発明によるレンズ移送装置の他実施例を示す中央部断面図として、追加レンズ群(80)を含んでいる。
【0068】
図6に示したように、本発明によるカメラモジュールのレンズ移送装置は光学ズームまたは接写機能を行うために少なくとも一つ以上のレンズを具備する追加レンズ群(80)をさらに含むことができ、光軸の前後に移送されるレンズバレル(20)のレンズと上記追加レンズ群(80)に具備されたレンズの相互作用により光学ズーム機能または接写機能を行えるようになる。
【0069】
この際、上記追加レンズ群(80)は上記レンズバレル(20)に具備されたレンズが移送される構造などを利用して移送可能なように装着することもでき、イメージセンサ(70)に対して固定された位置に装着することもできる。
【0070】
上記追加レンズ群(80)が移送されるようにする場合、本発明によるレンズ移送装置は上記レンズバレル(20)の移送量により上記追加レンズ群(80)が従属的に移送されるような構造で形成されることもでき、別途の駆動部(300)及び移送部(400)を追加的に具備して上記追加レンズ群(80)が上記レンズバレル(20)の移送とは独立的に移送されるようにすることもできる。
【0071】
また、上記イメージセンサ(70)に対して固定された位置に装着する場合、上記追加レンズ群(80)は図6のように上記底板(10)の中央に 貫通形成された回転支持部(61)に固定されることができるが、イメージセンサ(70)との一定間隔が維持される位置であればハウジング(10)の上部に配されてもよい。
【0072】
この際、上記レンズバレル(20)のレンズと上記追加レンズ群(80)のレンズ特性は追加レンズ群(80)の装着位置、固定/移送当否などにより適宜に選択することができる。
【0073】
また、上記追加レンズ群(80)の光軸は上記バレルホルダー(30)及びこれに固定されたレンズバレル(20)に設けられたレンズの光軸と一致するよう固定されなければならない。
【0074】
好ましくは、使用者の接写、ズームインまたはズームアウトの駆動指示を受けて上記圧電駆動機(50)の駆動を制御し上記バレルホルダー(30)及びこれに固定されたレンズバレル(20)を移送させる制御部(図示せず)をさらに含むことができる。
【0075】
上記のような構成を有する本発明の一実施例の作用について図4及び図5を参照しながら説明する。
【0076】
先ず、圧電駆動機(50)に電圧を印加する。この際、上記圧電駆動機(50)は被写体の位置を感知するセンサまたは使用者の指示により圧電駆動機の駆動を制御する制御部(図示せず)の信号により駆動されることもできる。
【0077】
上記圧電駆動機(50)に駆動信号が印加されると圧電駆動機は進行波(正弦波)による機械的駆動力を発生させ圧電駆動機の駆動力により回転板(40)が回転するようになる。この際、上記圧電駆動機(50)と上記回転板(40)との接触力維持のために第2弾性手段(16)をさらに構成することができる。
【0078】
また、上記回転板(40)の回転に応じて傾斜カム(41)が回転するようになりバレルホルダー(30)の下部のカム従動体(32)と接触する傾斜カム部分の高さが増加するようになる。
【0079】
この際、上記傾斜カム(41)と接触する上記カム従動体(32)がイメージセンサ(70)の逆方向へ押し出され、上記バレルホルダー(30)の外面に光軸方向へ突設された滑走部(31)がハウジングの内面に光軸方向へ凹設された案内部(11)に案内され、上記バレルホルダー(30)及びこれに固定されたレンズバレル(20)がイメージセンサの反対側光軸方向へ移送される。ここで、第1弾性手段(15)により上記傾斜カム(41)とカム従動体(32)との接触力が維持されるようにすることができる。
【0080】
一方、圧電駆動機にそれ以上電圧が印加されなければ圧電駆動機は駆動を止め、レンズの移送が完了する。
【0081】
この際、被写体の距離を測定するセンサにより決定されたレンズ移送位置に至るか、使用者が駆動止め指示を出すと制御部が上記圧電駆動機(50)に駆動止め信号を印加し、これによりレンズの移送が完了することもできる。
【0082】
先述したように、イメージセンサ側へレンズを移送する場合にも、上記のような原理により作動する。
【0083】
一般に、進行波駆動形式の圧電駆動機(50)は数百nmないし数十μmの変位と数kHz以上の作動周波数を有するので微細な変位調節が可能で、したがって精密なレンズ移送を具現し高解像度、高鮮明度の画像が得られ、小型光学機器のカメラモジュールに適用できるだけ小型化が可能であるとの有利な効果を奏する。
【0084】
一方、光学ズーム機能または接写機能もやはり上記のような作用により行われる。
【0085】
但し、高倍率の光学ズーム機能を行うためにはレンズの移送距離がやや長くなる必要があるので、こうした場合には光学ズーム機能を行うのに必要なレンズ移送距離だけ上記傾斜カム(41)の高さを高くすればよく、速い移送動作を行うために上記圧電駆動機(50)の変位及び/または作動周波数を大きく設定すればよいであろう。
【0086】
本発明は特定の実施例に係わり図示し説明したが、当業界において通常の知識を有するものであれば本発明の特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域を外れない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることを明かしておく。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】従来の技術による焦点調節機能の無いカメラモジュールである。
【図2】従来の技術による手動でズーム機能を行うズームレンズ結合装置の主要部品の斜視図である。
【図3】従来の技術による自動でズーム機能を行うズームレンズ結合装置の主要部品の斜視図である。
【図4】本発明によるレンズ移送装置の主要部品の斜視図である。
【図5】本発明によるレンズ移送装置の一実施例の中央部断面図である。
【図6】本発明によるレンズ移送装置の他実施例の中央部断面図である。
【符号の説明】
【0088】
10 ハウジング
20 レンズバレル
30 バレルホルダー
40 回転板
50 圧電駆動機
60 底板
70 イメージセンサ
80 追加レンズ群
300 駆動部
400 移送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加された電圧により機械的駆動力を発生させるリング形状の圧電駆動機(piezoelectric actuator)と、上記圧電駆動機の上部に位置し、上記圧電駆動機の駆動力によりレンズの光軸を中心に回転する回転板とを備える駆動部と、
上記回転板の上面と接触し、内部に上記レンズが固定される中空型のバレルホルダーを備え、上記回転板が回転する際に上記レンズの光軸方向に直線移送される移送部と、
上記駆動部と移送部を内部に収容し、上記移送部が上記レンズの光軸方向に直線移送されるように案内するガイド手段が形成された中空型のハウジングと
を含み、
上記圧電駆動機の駆動力により上記回転板が回転すると、上記バレルホルダーの下部と上記回転板の上面との接触により上記移送部が上記ハウジングのガイド手段により案内されて上記レンズの光軸方向に移送される、カメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項2】
上記回転板は、上面に漸進的にその高さが増加する少なくとも一つ以上の傾斜カムが突設されており、
上記バレルホルダーは、下部面に上記傾斜カムと接触するカム従動体が上記傾斜カムに対応して突設されており、
上記移送部は、上記回転板の回転時上記傾斜カムとカム従動体との接触により移送される、請求項1に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項3】
上記駆動部は、上面に上記圧電駆動機が安着される安着溝が凹設され、イメージセンサを備える底板をさらに含む、請求項1に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項4】
上記圧電駆動機は、進行波駆動形式の圧電駆動機である、請求項1に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項5】
上記傾斜カムは、上記レンズの光軸を中心に円周方向に一定の角度毎に等間隔を置いて上記回転板の上面に突設され、
上記カム従動体は、上記傾斜カムに対応して上記バレルホルダーの下面に突設する、請求項2に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項6】
上記傾斜カムは、上記バレルホルダーの下面と上記傾斜カムとが干渉しないように最大の高さ(H)が上記カム従動体の最大の高さ(h)より低い、請求項5に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項7】
上記移送部は、上記回転板の回転角度に比例して上記レンズの光軸方向に移送され、
上記移送部の移送距離は、上記傾斜カムの最大の高さ(H)より小さい、請求項6に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項8】
上記バレルホルダーは、内部に少なくとも一つ以上のレンズを有するレンズバレルが固定される、請求項2に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項9】
上記バレルホルダーは、外周面に少なくとも一つ以上の滑走部が突設され、
上記ハウジングは、上記滑走部と対応する内周面に上記滑走部を収容して滑走させる案内部が凹設され、
上記滑走部及び上記案内部は、上記レンズの光軸に平行に形成される、請求項1に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項10】
上記ハウジングは、内周面に少なくとも一つ以上の滑走部が突設され、
上記バレルホルダーは、上記滑走部と対応する外周面に上記滑走部を収容して滑走させる案内部が凹設され、
上記滑走部及び上記案内部は、上記レンズの光軸に平行に形成される、請求項1に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項11】
上記底板は、上記レンズの光軸を中心軸とする中空円筒型の回転支持部が上面に突設され、
上記回転支持部は、上記回転板の中央に貫通形成された内周面に挿入され、上記回転板の回転時上記回転板の半径方向への運動を制限する、請求項3に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項12】
上記ハウジングは、外周面の下端に複数個の上部係止片が凹凸状に形成され、
上記底板は、外周面に上記上部係止片に対応して係合する下部係止片が形成され、
上記上部係止片と下部係止片との係合により上記ハウジングと上記底板が固定される、請求項3に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項13】
上記上部係止片は、中心部に突設された突部を含み、
上記突部により上記上部係止片と下部係止片との係合が維持される、請求項12に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項14】
上記移送部は、上記傾斜カムと上記カム従動体を弾性的に加圧して接触させる第1弾性手段をさらに含む、請求項1に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項15】
上記第1弾性手段は、リング形状の予圧された波スプリング(wave spring)である、請求項14に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項16】
上記第1弾性手段は、上記ハウジングの内面に形成された上部段と上記バレルホルダーの上面との間に備えられる、請求項15に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項17】
上記駆動部は、上記圧電駆動機の上面と上記回転板の下面を予圧した弾性力で加圧する第2弾性手段をさらに含む、請求項1に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項18】
上記第2弾性手段は、リング形状の予圧された波スプリング(wave spring)である、請求項17に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項19】
上記第2弾性手段は、ハウジングの内面に形成された中間段と上記回転板の上面との間に備えられる、請求項18に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項20】
被写体の距離を測定するセンサの信号または使用者の指示により圧電駆動機の駆動を制御する制御部をさらに含む、請求項1に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項21】
光学ズームまたは接写機能を行うために少なくとも一つ以上のレンズを備える追加レンズ群をさらに含む、請求項1に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項22】
上記追加レンズ群の光軸は、上記バレルホルダーに固定されたレンズの光軸と一致する、請求項21に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。
【請求項23】
使用者の接写、ズームイン、またはズームアウトの駆動指示を受けて圧電駆動機の駆動を制御する制御部をさらに含む、請求項22に記載のカメラモジュールのレンズ移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−72294(P2006−72294A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372374(P2004−372374)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】