説明

カメラモジュール及び電子部品の接続構造

【課題】レンズ鏡筒とプリント配線基板との接続強度を従来より更に高める。
【解決手段】レンズ鏡筒11と、レンズ鏡筒11が取り付けられるプリント配線基板71とを備える。プリント配線基板71は、フォーカス駆動部に電源を供給する端子部37d、38dが電気的に接続される電源用ランド75を有し、電源用ランド75は、主接続部75aと副接続部76とに区画され、主接続部75aと副接続部75bとの間が絶縁部75cとなっている。副接続部75bは、プリント配線基板71上において主接続部75aに比して外側に設けられている。端子片37d、38dと電源用ランド75とは、導電性接着剤76によって固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品とプリント配線基板との電気的接続を行う電子部品の接続構造に関する。また、電子部品であるレンズのフォーカス駆動部を有するレンズ鏡筒とプリント配線基板との電気的接続を行うカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品をプリント配線基板に実装する際には、半田に代わって導電性接着剤を用いることがある。この場合、プリント配線基板のランドには、導電性接着剤が転写され、所定の荷重及び時間条件で、電子部品がマウントされることになる。
【0003】
このような電子部品とプリント配線基板の接続構造にあっては、特許文献1にあるように、ヒートサイクル試験を繰り返すと、クラック等が発生し、接合強度が劣化することが知られている。導電性接着剤は、セラミックやプリント配線基板の表面のエポキシ樹脂等の有機樹脂材料との間では、接合強度が高いが、銅箔等の導電層との間では接合強度が低いためである。
【0004】
したがって、外力が加わったときには、電子部品とプリント配線基板の接続構造が亀裂が生じたり、破損してしまい、導通しなくなるおそれがある。
【0005】
ところで、携帯電話等の小型の電子機器には、特許文献2に示すように、カメラモジュールが搭載されることがある。この種の電子機器は、小型であるため、落下等された際に、大きな衝撃が加わることがある。このため、カメラモジュールを構成するレンズ鏡筒とプリント配線基板との電気的な接合強度を高める必要がある。
【0006】
例えば、レンズ鏡筒は、レンズを光軸方向に移動するフォーカス駆動部を備えている。このフォーカス駆動部は、一般にボイスコイルモータが採用されており、駆動コイルに対して電源を供給する必要がある。この電源は、一般に、撮像素子が実装されるプリント配線基板と電気的に接続されることによって、駆動コイルに供給される。落下等された際に、大きな衝撃が加わることに鑑みれば、小型の電子機器に取り付けられるカメラモジュールにあっても、フォーカス駆動部側の端子部とプリント配線基板のランドとの接続強度を高める必要がある。したがって、フォーカス駆動部側の端子部とプリント配線基板のランドとの接続構造は、例えば、特許文献1に記載された電子部品とプリント配線基板の接続構造より更に接続強度を高めることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−354912号公報
【特許文献2】特開2007−108595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、以上のような課題を解決すべく、レンズ鏡筒のフォーカス駆動部とプリント配線基板との接続構造において、更に、接続強度を高めることができるカメラモジュールを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、電子部品とプリント配線基板との接続強度を従来より更に高めることができる電子部品の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るカメラモジュールは、レンズをフォーカス駆動部によって光軸方向に移動可能に保持するレンズ鏡筒と、上記レンズ鏡筒が取り付けられるプリント配線基板とを備える。
【0011】
上記プリント配線基板は、上記フォーカス駆動部に電源を供給する端子部が電気的に接続されるランドを有する。上記ランドは、導電層が露出する主接続部と副接続部とに区画され、該主接続部と該副接続部との間が絶縁部となっている。
【0012】
上記副接続部は、上記プリント配線基板上において上記主接続部に比して外側に設けられ、上記主接続部は、上記プリント配線基板上において上記副接続部に比して内側に設けられている。そして、上記端子部と上記ランドとは、導電性接着剤によって固定される
また、本発明に係る電子部品の接続構造は、電子部品と、上記電子部品が電気的に接続されるプリント配線基板とを備える。
【0013】
上記プリント配線基板は、上記電子部品の端子部が電気的に接続されるランドを有する。上記ランドは、導電層が露出する主接続部と副接続部とに区画され、該主接続部と該副接続部との間が絶縁部となっている。
【0014】
上記副接続部は、上記プリント配線基板上において上記主接続部に比して外側に設けられ、上記主接続部は、上記プリント配線基板上において上記副接続部に比して内側に設けられている。そして、上記電子部品の端子部と上記ランドとは、導電性接着剤によって固定される。
【0015】
本発明に係る電子部品の接続構造は、電子部品と、上記電子部品が電気的に接続されるプリント配線基板とを備え、上記プリント配線基板は、上記電子部品の端子部が電気的に接続されるランドを有し、上記ランドは、導電層が露出する主接続部と副接続部とに区画され、該主接続部と該副接続部との間が絶縁部となっており、上記副接続部は、上記プリント配線基板上において上記主接続部に比して外側に設けられ、上記主接続部は、上記プリント配線基板上において上記副接続部に比して内側に設けられ、上記電子部品の端子部と上記ランドとは、導電性接着剤によって固定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るカメラモジュールは、電源用ランドが、主接続部と副接続部とを有し、間に絶縁部を設け、導電性接着剤で接着するようにしているので、接続強度を高めることができる。したがって、このような外力が加わったときにも、電源用ランドと端子部との接続箇所に亀裂等が発生することを防止することができる。また、仮に亀裂が生じたとしても、端子部と主接続部、副接続部の何れかとの電気的接続を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】携帯電話の斜視図である。
【図2】カメラモジュールの斜視図である。
【図3】カバー部材とマグネットと前鏡筒の斜視図である。
【図4】図3の続きで、駆動コイルとフレキシブル配線基板と板バネの斜視図である。
【図5】図4の続きで、レンズ保持部材と後部鏡筒と撮像素子が実装されたプリント配線基板の斜視図である。
【図6】レンズ保持部材の断面図である。
【図7】駆動コイルにフレキシブル配線基板が接着された状態を示す斜視図である。
【図8】駆動コイルとフレキシブル配線基板とでなる第1の組立体に板バネである第1及び第2のバネが組み合わされた第2の組立体の斜視図である。
【図9】第2の組立体にレンズ保持部材を取り付けた第3の組立体の斜視図である。
【図10】図2のI−I断面図である。
【図11】レンズ鏡筒の端子片とプリント配線基板との接続構造を示す要部斜視図である。
【図12】レンズ鏡筒の端子片がプリント配線基板の電源用ランドに導電性接着剤で接続された状態を示す要部斜視図である。
【図13】(A)−(I)は、電源用ランドの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明が適用された携帯電話に搭載されるカメラモジュールについて、図面を参照し、以下の順で説明する。
【0019】
1.携帯電話の説明
2.カメラモジュールの説明
3.レンズ鏡筒の説明
3−1 レンズ保持部材の説明
3−2 駆動コイルの説明
3−3 フレキシブル配線基板の説明
3−4 板バネの説明
3−5 後部鏡筒の説明
3−6 前鏡筒の説明
3−7 カバー部材の説明
4.撮像素子部の説明
5.カメラモジュールの組立
6.カメラモジュールの動作
7.カメラモジュールの効果
8.変形例
(1.携帯電話の説明)
図1に示すように、本発明のカメラモジュールが搭載される携帯電話1は、第1の筐体2と第2の筐体3とがヒンジ部4を介して折り畳み自在に結合されている。第1の筐体2には、スピーカ5、表示部6及びアンテナ7が設けられている。アンテナ7は、伸縮自在となっている。第2の筐体3には、押しボタンや回転式ダイヤルを含む各種の操作部8、8、・・・及びマイクロフォン9が設けられている。ヒンジ部4には、カメラモジュール10が組み込まれている。操作部8、8、・・・のうち所定の押しボタンは画像を撮影するための操作部8として機能し、この操作部8を押圧操作することによりカメラモジュール10が動作されて画像の撮影を行うことができる。すなわち、この携帯電話1は、撮像装置としても機能する電子機器である。
【0020】
なお、カメラモジュール10が設けられる位置は、ヒンジ部4の他に、第1の筐体2や第2の筐体3に設けるようにしても良い。また、1つの携帯電話1には、カメラモジュール10を複数搭載するようにしても良い。
【0021】
(2.カメラモジュールの説明)
図2乃至図5に示すように、カメラモジュール10は、レンズ鏡筒11と、撮像素子部12とで構成されている。レンズ鏡筒11は、複数のレンズを保持しており、複数のレンズを光軸方向に移動するオートフォーカス機能を有している。撮像素子部12は、プリント配線基板に撮像素子を実装してなる。撮像素子部12は、レンズ鏡筒11のレンズの光軸と撮像素子72との位置合わせをして、プリント配線基板71にレンズ鏡筒11が取り付けられる。レンズ鏡筒11へのオートフォーカス機能を実現するための電源供給は、このプリント配線基板71から行われる。
【0022】
なお、図5に示すように、撮像素子部12の撮像素子72は、携帯電話1を撮像装置として機能させるための制御部13aと接続されている。また、この制御部13aは、外部記録媒体となるメモリカード13c等に画像データや動画データや音声データ等を記録する記録部13bと接続されている。この制御部13aは、例えば、撮像素子72から入力された撮像信号を、アナログ信号からディジタル信号に変換し、JPEG形式等の所定の圧縮形式でデータを圧縮する。そして、制御部13aは、圧縮された画像データ等を、記録部13bでメモリカード13cに記録する。外部記録媒体としては、メモリカード13cの他、ディスクカートリッジ、光ディスク、ネットワークを介して接続されたコンピュータ等の情報処理装置であっても良い。また、制御部13aは、撮像素子72の出力からフォーカス制御用信号を生成し、駆動コイル26に所定の駆動電流を供給する。すなわち、制御部13aは、メモリカード13cへ記録するための信号処理部として機能すると共に、カメラ制御部としても機能する。
【0023】
(3.レンズ鏡筒の説明)
図2乃至図5に示すように、レンズ鏡筒11は、複数のレンズを保持するレンズ保持部材21と、このレンズ保持部材21を光軸方向に移動可能に支持する後部鏡筒41及び前鏡筒51とを備えている。
【0024】
(3−1 レンズ保持部材の説明)
図5及び図6に示すように、レンズ保持部材21は、第1乃至第3のレンズ20a、20b、20cを保持する第1の筒状部22と、第4のレンズ20dを保持する第2の筒状部23とを備えている。レンズ保持部材21は、例えば、樹脂成形によって、第1の筒状部22と第2の筒状部23とが一体に形成されている。
【0025】
本発明が用いられるカメラモジュール10では、従来のカメラモジュールより高画質の画像や動画を撮像するため、従来より高画素の撮像素子が用いられており、これにあせて、第4のレンズ20dが追加されている。この第4のレンズ20dは、第1のレンズ20a、第2のレンズ20b、第3のレンズ20cより大径となっている。
【0026】
第1の筒状部22は、断面が略円形で、入射側から、第1のレンズ20a、第2のレンズ20b、第3のレンズ20cを光軸を一致させて保持している。そして、入射側の第1のレンズ20aは、レンズ開口部22aより外部に臨まされている。また、第2の筒状部23は、第1の筒状部22より大径で断面が略円形であって、第4のレンズ20dを、第1乃至第3のレンズ20a、20b、20cと光軸を一致させて保持している。
【0027】
第2の筒状部23は、第1の筒状部22より大径であるから、第1の筒状部22より外周部が張り出し、その上面が、駆動コイル26や板バネ36を受ける受け部24となっている。
【0028】
(3−2 駆動コイルの説明)
駆動コイル26は、図4に示すように、導線を略矩形に巻回した空芯コイルであって、レンズ保持部材21の第1の筒状部22に挿入可能で、受け部24に支持可能な大きさに形成されている。すなわち、駆動コイル26の一辺は、レンズ20dの最大外径、ここでは第4のレンズ20dの外径より小さく、対角線は、レンズ20dの最大外径より長くなっている。駆動コイル26は、第1の筒状部22の周囲に配設され、少なくとも一部が第2の筒状部23の外周よりも内側に位置する。また、駆動コイル26の少なくとも一部、例えば辺の部分の一部は、第2の筒状部23が保持する出射側のレンズ20dの外周よりも内側に位置する。
【0029】
この駆動コイル26は、プラス側の端部26aが一のコーナ部の上側又は中程から引き出されている。また、マイナス側の端部26bは、プラス側の端部26aが引き出される一のコーナ部と対角にあるコーナ部の上側又は中程から引き出されている。プラス側の端部26a及びマイナス側の端部26bは、駆動コイル26の各コーナ部内側の上側又は中程から下側(レンズ保持部材21の出射側)に引き出されており、駆動コイル26の全体の小型化を図っている。また、略矩形をなす駆動コイル26は、断面が略円形のレンズ保持部材21の第1の筒状部22の外周部に取り付けられる。したがって、プラス側の端部26a及びマイナス側の端部26bは、第1の筒状部22との間に形成される空隙部30に通される。
【0030】
なお、プラス側の端部26a及びマイナス側の端部26bは、線材で細いものであるから、各コーナ部外側の上側又は中程から下側に引き出すようにしても良い。また、プラス側の端部26a及びマイナス側の端部26bは、各コーナ部の下側の内側又は外側から引き出すようにしても良い。
【0031】
以上のような駆動コイル26は、下側に配設されるフレキシブル配線基板27に電気的に接続される。
【0032】
(3−3 フレキシブル配線基板の説明)
図4及び図6に示すように、フレキシブル配線基板27は、駆動コイル26の下面と略同じ大きさに形成され、外形が駆動コイル26に対応した略矩形の各コーナ部を面取りした略八角形の形状をなしている。また、フレキシブル配線基板27は、レンズ保持部材21の第1の筒状部22に挿入可能なように、環状をなし、内径形状も略八角形の形状をなしている。
【0033】
フレキシブル配線基板27は、一方の面27aに配線パターンが形成され、他方の面27bは、ポリイミド等の絶縁層となっている。このフレキシブル配線基板27は、駆動コイル26との電気的な絶縁を図るため、絶縁層となっている他方の面27bを駆動コイル26側にして、接着剤等で駆動コイル26の下側の面に固定される。
【0034】
一方の面27aに形成される配線パターンは、駆動コイル26のプラス側の端部26aと電気的に接続されるプラス側パターンと駆動コイル26のマイナス側の端部26bと電気的に接続されるマイナス側パターンとが区分けして形成されている。プラス側パターンは、駆動コイル26の内側より引き出されたプラス側の端部26aが半田や導電性接着剤等で電気的に接続される。マイナス側パターンは、駆動コイル26の内側より引き出されたマイナス側の端部26bが半田や導電性接着剤等で電気的に接続される。
【0035】
また、フレキシブル配線基板27には、一方の面27aで、レンズ保持部材21の受け部24上でフレキシブル配線基板27と重なる板バネ36と電気的に接続される。
【0036】
なお、駆動コイル26とフレキシブル配線基板27との形状は、上述した矩形に限定されるものではなく、三角形、四角形、五角形、六角形といった多角形であってもよい。
【0037】
このレンズ鏡筒11では、従来のレンズ鏡筒と比較して、駆動コイル26と板バネ36との電気的接続に、樹脂製のコイルホルダを用いていない。レンズ鏡筒11では、コイルホルダに代わって、コイルホルダより薄いフレキシブル配線基板27を用いるので、全体としての低背化を図ることができる。
【0038】
(3−4 板バネの説明)
図4に示すように、板バネ36は、前鏡筒に取り付けられる板バネ55と対をなすバネであり、弾力性と導電性を有する金属材料、ベリリウム銅等によって形成されている。この板バネ36は、第1のバネ37と第2のバネ38とでなり、電気的に分離するように、2分割されている。第1の板バネ37は、フレキシブル配線基板27の一方の面27aのプラス側パターンと電気的に接続される。第2のバネ38は、フレキシブル配線基板27の一方の面27aのマイナス側パターンと電気的に接続される。
【0039】
第1のバネ37と第2のバネ38は、それぞれ、駆動コイル26が取り付けられたレンズ保持部材21を弾性支持する弾性支持部37a、38aを有する。また、弾性支持部37a、38aには、一体的に、後部鏡筒41に対して位置決めするための位置決め片37b、38bが形成されている。位置決め片37b、38bには、位置決め孔37c、38cが形成されている。また、弾性支持部37a、38aには、一方の位置決め片37b、38bと連続するように、駆動コイル26への電源を供給するための端子片37d、38dが一体的に形成されている。
【0040】
(3−5 後部鏡筒の説明)
後部鏡筒41は、図5に示すように、略矩形の底面部42に対して4つ側壁42a、42b、42c、42dが形成されている。底面部42の中央部には、撮像素子72が臨まされる略矩形の開口部45が形成されている。また、底面部42の各コーナ部には、支持部43a、43b、43c、43dが形成されている。また、底面部42には、支持部43a、43b、43c、43dの近傍に、レンズ保持部材21のベース21aを支持する支持突起49が形成されている。
【0041】
各支持部43a、43b、43c、43dの頂面には、第1及び第2のバネ37,38の位置決め片37b、38bに形成された位置決め孔37c、38cに係合される位置決め突起44a、44b、44c、44dが形成されている。支持部43a、43cは、位置決め突起44a、44cに、第1のバネ37の位置決め孔37cを係合させることによって、第1のバネ37を支持する。また、支持部43b、43dは、位置決め突起44b、44dに、第2のバネ38の位置決め孔38cを係合させることによって、第2のバネ38を支持する。
【0042】
また、側壁42a、42bには、前鏡筒51の上から全体を覆うように取り付けられるカバー部材61の側板が係合する位置決め凹部46a、46bが形成されている。また、側壁42c、42dには、カバー部材61の他の側板が係合する係合突起47a、47bが形成されている。
【0043】
(3−6 前鏡筒の説明)
図3に示すように、前鏡筒51は、後部鏡筒41と対をなし、内部にレンズ保持部材21等が配設される。前鏡筒51は、後部鏡筒41の底面部42と略同じ矩形の枠体52を有する。枠体52の各コーナ部には、後部鏡筒41の支持部43a、43b、43c、43dと対向する支持部53a、53b、53c、53dが形成されている。各支持部53a、53b、53c、53dの底面には、支持突起44a、44b、44c、44dが係合する位置決め凹部54a、54b、54c、54dが形成されている。
【0044】
また、前鏡筒51には、上述した第1のバネ37と第2のバネ38を備える板バネ36と対をなす板バネ55が取り付けられる。具体的に、板バネ55は、支持部53a、53b、53c、53dにインサート成形により取り付けられる。この板バネ55は、弾力性に富む金属材料、ベリリウム銅等によって形成されている。この板バネ55は、レンズ保持部材21の第1の筒状部22の周囲に配設され、内周部周辺が弾性支持部55aとなる。板バネ55は、後部鏡筒41と前鏡筒51とが組み合わされたとき、レンズ保持部材21の第1の筒状部22の周囲に形成された突き当て部25に突き当てられる。これにより、板バネ55は、板バネ36を構成する第1及び第2のバネ37,38とで、レンズ保持部材21を挟み込んで弾性支持し、レンズ保持部材21を光軸方向に移動可能にする。
【0045】
支持部53a、53b、53c、53dの間は、カバー部材61に取り付けられるマグネットが配設されるマグネット配設部56a、56b、56c、56dとなる。
【0046】
(3−7 カバー部材の説明)
図3に示すように、カバー部材61は、主面部62の4辺に、側板63a、63b、63c、63dが形成されている。カバー部材61は、磁性を有する金属板を折曲して形成されている。具体的に、カバー部材61は、フェライト系ステンレスバネ綱であり、耐食性に強い性質を有するNK43FS−H270が用いられている。なお、カバー部材61には、SUS430等の磁性を有する金属板を用いても良い。
【0047】
主面部62には、レンズ保持部材21の入射側の第1のレンズ20aを外部に臨ませるレンズ開口部62aが形成されている。
【0048】
側板63a、63b、63c、63dは、後部鏡筒41と前鏡筒51が組み合わされた状態において、後部鏡筒41の位置決め凹部46a、46b、46c、46dと係合する。また、側板63c、63dは、後部鏡筒41の係合突起47a、47bに係合する係合孔64a、64bが形成されている。かくして、カバー部材61は、後部鏡筒41と前鏡筒51とを一体化する。
【0049】
側板63a、63b、63c、63dの裏面には、図3に示すように、駆動コイル26と対向して配設されるマグネット65a、65b、65c、65dが直接的に取り付けられる。すなわち、カバー部材61は、磁性を有する金属板で形成されている。側板63a、63b、63c、63dの裏面には、マグネット65a、65b、65c、65dが磁気吸引することによって取り付けられる。具体的に、マグネット65a、65b、65c、65dは、主面部62と側板63a、63b、63c、63dとがなすコーナ部に取り付けられる。したがって、マグネット65a、65b、65c、65dは、側板63a、63b、63c、63dに沿わせながら主面部62に突き当てるようにすることで、位置決めして所定位置に取り付けることができる。
【0050】
なお、マグネット65a、65b、65c、65dは、磁気吸引力のみをもってマグネット65a、65b、65c、65dに取り付けるようにしても良い他に、接着剤を用いて固定するようにしても良い。
【0051】
マグネット65a、65b、65c、65dは、側板63a、63b、63c、63dに取り付けられた状態で、後部鏡筒41及び前鏡筒51に取り付けられると、前鏡筒51のマグネット配設部56a、56b、56c、56dに配設される。そして、マグネット65a、65b、65c、65dは、駆動コイル26と対向する。カバー部材61は、磁性を有する金属板で形成されており、ヨークとしても機能する。このように、レンズ鏡筒11では、カバー部材61を、磁性を有する材料で形成することで、従来用いたヨークを不要とし、この点で小型化や軽量化が図られている。また、レンズ鏡筒11では、ヨークを不要とした分、マグネット65a、65b、65c、65dを大きくすることができ、ボイスコイルモータの駆動力を大きくすることができる。
【0052】
なお、このカバー部材61は、電子機器に搭載された際に、外部に臨むレンズの周囲より内部が見えてしまうことを防止する機能も有する。
【0053】
(4.撮像素子部の説明)
以上のように構成されるレンズ鏡筒11が取り付けられる撮像素子部12は、図5に示すように、プリント配線基板71に、撮像素子72を実装されてなる。
【0054】
プリント配線基板71は、例えばリジッドなガラスエポキシ基板であって、複数のランドが設けられた実装部に撮像素子72が実装される。撮像素子72は、周囲にセラミック等で形成されたフレーム73が設けられている。このフレーム73は、内側の撮像素子72を保護する。
【0055】
なお、プリント配線基板71の絶縁層としては、有機材料であれば、エポキシの他に、熱硬化性樹脂フィルムであるポリイミド樹脂(PI樹脂)、ビスマレイミド―トリアジン樹脂(BT樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)等や、熱可塑性樹脂フィルムである液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂)、ポリエーテルサルホン(PES樹脂)等であっても良い。
【0056】
また、フレーム73は、省略しても良い。この場合には、フレーム73に代わる部材を、後部鏡筒41の開口部45の周囲に設けるようにし、この部材を、例えばプリント配線基板71の撮像素子72の周囲に突き当てるようにすれば良い。
【0057】
また、このプリント配線基板71には、カメラモジュール10を動作させるための駆動IC等の電子部品74が実装されている。電子部品74等は、カメラモジュール10を動作させると共に、駆動コイル26に対して電源を供給する。プリント配線基板71には、撮像素子72の実装された位置の近傍に、電源用ランド75が形成されている。この電源用ランド75には、上述した駆動コイル26とフレキシブル配線基板27を介して電気的に接続された板バネ36を構成する第1のバネ37の端子片37dと第2のバネ38の端子片38dが導電性接着剤等によって電気的に接続される。なお、詳細は後述する。
【0058】
(5.カメラモジュールの組立)
カメラモジュール10の組立について説明すると、図7に示すように、駆動コイル26は、下側の面に、フレキシブル配線基板27の絶縁層となっている他方の面27bが接着剤等で貼り付けられる。そして、駆動コイル26の内側から導出されたプラス側の端部26aは、フレキシブル配線基板27の一方の面27aまで引き回され、半田や導電性接着剤等で電気的に接続される。また、駆動コイル26の内側から導出された駆動コイル26のマイナス側の端部26bは、フレキシブル配線基板27の一方の面27aまで引き回され、半田や導電性接着剤等で電気的に接続される。
【0059】
次いで、図8に示すように、駆動コイル26とフレキシブル配線基板27との第1の組立体16には、板バネ36を構成する第1のバネ37と第2のバネ38とが重ね合わされ電気的に接続される。
【0060】
なお、フレキシブル配線基板27と第1のバネ36や第2のバネ37とは、更に、接着剤で固定しても良く、また、レンズ保持部材21と駆動コイル26とに挟み込まれるため固定しなくても良い。
【0061】
駆動コイル26とフレキシブル配線基板27とでなる第1の組立体16に板バネ36である第1及び第2のバネ37、38が組み合わされた第2の組立体17は、図9に示すように、レンズ保持部材21に組み付けられる。具体的に、第2の組立体17は、レンズ保持部材21の第1の筒状部22に挿入され、受け部24で支持される。すると、断面略円形の第1の筒状部22と略矩形の駆動コイル26との間には、駆動コイル26のプラス側の端部26a及びマイナス側の端部26bが延在する空隙部30が形成される。この空隙部30からは、接着剤が注入され、レンズ保持部材21と第2の組立体17とが一体化される。すなわち、駆動コイル26とフレキシブル配線基板27と板バネ36とがレンズ保持部材21と一体化される。
【0062】
なお、ここで、空隙部30より注入される接着剤は、駆動コイル26とレンズ保持部材21の第1の筒状部22との空隙部に注入されるものであるから、必ずしも駆動コイル26のコーナ部に注入しなくても良い。すなわち、この接着剤は、空隙があれは、駆動コイル26のコーナ部間に注入されても良い。
【0063】
次いで、第2の組立体17にレンズ保持部材21を固定した第3の組立体18は、図9に示すように、第1のバネ37の端子片37dと第2のバネ38の端子片38dとが略90度に折り曲げられる。具体的に、端子片37d、38dは、後部鏡筒41の側壁である支持部43a、43bに沿い、端部が、撮像素子72のフレーム73に近接するように折り曲げられる。次いで、第3の組立体18は、後部鏡筒41に取り付けられる。具体的に、図5及び図14に示すように、第3の組立体18は、後部鏡筒41の位置決め突起44a、44b、44c、44dに、第1及び第2のバネ37、38の位置決め孔37c、38cを係合されることによって、位置決めされる。
【0064】
なお、端子片37d、38dは、フレキシブル配線基板27と電気的に接続する前に予め折り曲げておいても良い。
【0065】
次いで、第3の組立体18が取り付けられた後部鏡筒41には、前鏡筒51が取り付けられる。具体的に、板バネ55がインサートされた前鏡筒51は、支持部53a、53b、53c、53dの位置決め凹部54a、54b、54c、54dを、第1及び第2のバネ37、38の位置決め孔37c、38cが係合された位置決め突起44a、44b、44c、44dに係合されることによって、後部鏡筒41に取り付けられる。
【0066】
一方、カバー部材61には、図3に示すように、マグネット65a、65b、65c、65dが、側板63a、63b、63c、63dに、主面部62に突き当て位置決めして取り付けられる。この後、図2乃至図5に示すように、カバー部材61が前鏡筒51の側から後部鏡筒41までを覆うようにして取り付けられる。具体的に、カバー部材61は、側板63a、63b、63c、63dを、後部鏡筒41の位置決め凹部46a、46b、46c、46dに係合させる。そして、側板63c、63dの係合孔64a、64dには、後部鏡筒41の係合突起47a、47bが係合される。かくして、カバー部材61は、後部鏡筒41と前鏡筒51とを一体化する。
【0067】
すると、カバー部材61の側板63a、63b、63c、63dに取り付けられているマグネット65a、65b、65c、65dは、前鏡筒51のマグネット配設部56a、56b、56c、56dに配設される。これにより、マグネット65a、65b、65c、65dは、駆動コイル26と対向する。ここで、マグネット65a、65b、65c、65dが直付けされたカバー部材61は、磁性を有しており、ヨークとして機能することになる。
【0068】
以上のように構成されたレンズ鏡筒11において、図10に示すように、第1及び第2のバネ37、38が、レンズ保持部材21の受け部24とフレキシブル配線基板27を介して駆動コイル26に挟み込まれている。したがって、レンズ保持部材21は、板バネ36の第1及び第2のバネ37、38と一体的になっている。そして、板バネ36の第1及び第2のバネ37、38が後部鏡筒41と前鏡筒51とに挟み込まれている。また、レンズ保持部材21は、第1の筒状部22の周囲に形成された突き当て部25に、前鏡筒51の板バネ55が突き当てられることになる。すなわち、レンズ保持部材21は、板バネ36、55に挟み込まれ、板バネ36、55によって、後部鏡筒41と前鏡筒51とに、弾性的に支持されることになる。
【0069】
そして、レンズ鏡筒11では、可動側となるレンズ保持部材21に取り付けられた駆動コイル26と、固定側となるカバー部材61に取り付けられたマグネット65a、65b、65c、65dとによって、フォーカス駆動部となるボイスコイルモータを構成する。
【0070】
以上のように構成されたレンズ鏡筒11は、図5及び図10に示すように、撮像素子72が実装されたプリント配線基板71に搭載される。具体的に、駆動コイル26とフレキシブル配線基板27を介して電気的に接続された板バネ36を構成する第1のバネ37の端子片37dと第2のバネ38の端子片38dが導電性接着剤等によって電源用ランド75に電気的に接続される。かくして、フォーカス駆動部となるボイスコイルモータの駆動コイル26には、プリント配線基板71の電源回路から所定の電流が供給されることになる。
【0071】
ここで、図11を参照して、第1のバネ37の端子片37dと第2のバネ38の端子片38dが電気的に接続されるプリント配線基板71の電源用ランド75について説明する。電源用ランド75は、銅等の導電層が周囲の絶縁層より露出する主接続部75aと副接続部75bとを備えている。主接続部75aは、主として、端子片37d、38dと電気的に接続されるもので、副接続部75bは、端子片37d、38dの主接続部75aとの接続をサポートする役目を有する。主接続部75aは、プリント配線基板71において、副接続部75bより内側に設けられ、外側から外力が加わっても接続部分が破損しにくくしている。また、副接続部75bは、主接続部75aの外側に複数、ここでは2個設けるようにし、電気的接続部分に亀裂等が入ったときにも、主接続部75a、副接続部75bの何れかで端子片37d、38dとの電気的接続を維持できるようにしている。また、電源用ランド75は、主接続部75aを副接続部75bのそれぞれより大きく形成し、また、副接続部75bを複数設けることによって、電気抵抗を小さくし、端子片37d、38dに電源を効率的に供給できるようにしている。
【0072】
なお、副接続部75bの数は、2つに限定されるものではなく、1つでも、3つ以上であっても良い。また、主接続部75aと副接続部75bとは同じ大きさであっても良い。また、主接続部75aも複数であっても良い。
【0073】
上述したように、電源用ランド75に端子片37d、38dを固定する導電性接着剤76は、セラミックやプリント配線基板の表面のエポキシ樹脂等の有機樹脂材料との間では、接合強度が高いが、銅箔等の導電層との間では接合強度が低いという特徴がある。電源用ランド75は、主接続部75aと副接続部75bとの間をレジスト部となる絶縁部75cとすることによって、電源用ランド75と端子片37d、38dとの接続強度を高めるようにしている。特に、電源用ランド75では、主接続部75aと副接続部75bとの間の中央部を絶縁部75cとすることによって、より接続強度を高めるようにしている。勿論、絶縁部75cは、電源用ランド75の中央部になくても良い。
【0074】
また、撮像素子72のフレーム73と電源用ランド75との位置関係を説明すると、主接続部75aには、フレーム73が、このフレーム73の一部、例えばコーナ部が被さるように設けられている。一方で、図11に示すように、端子片37d、38dは、後部鏡筒41の支持部43a、43bに沿い、端部が、撮像素子72のフレーム73に近接するように折り曲げられている。したがって、端子片37d、38dは、主接続部75aと副接続部75bとの間の中央部の絶縁部75c上に位置する。
【0075】
ここで、電源用ランド75に端子片37d、38dを固定する導電性接着剤76は、Agペーストが用いられる。勿論、導電性接着剤76は、Au、Ni、Cu、Pd、Pt、Ir、AgPd、AgPtのうちの少なくとも1つを含む金属製フィラーが、エポキシ、フェノール、アクリル、ポリエステル、ポリイミドのうちの少なくとも1つを含む樹脂に混入されたペースト状のものであっても良い。
【0076】
そして、図12に示すように、電源用ランド75上には、導電性接着剤76が塗布されることになる。上述したように、電源用ランド75には、主接続部75aと副接続部75bとが設けられ、間に絶縁部75cが設けられている。したがって、電源用ランド75と端子片37d、38dとは、従来より接着強度を高めて電気的に接続されることになる。また、主接続部75aの一部を覆うように、フレーム73が設けられている。したがって、導電性接着剤76は、主接続部75aの一部を覆うセラミック等で形成されたフレーム73とも接着されることになる。これにより、電源用ランド75と端子片37d、38dとの接着強度は、一層高められることになる。特に、セラミックは、表面積が大きいことから、導電性接着剤76との接着強度が高い。したがって、セラミックのフレーム73を用いたときには、電源用ランド75と端子片37d、38dとの接着構造全体の強度をより高めることができる。
【0077】
以上のように組み立てられたカメラモジュール10は、携帯電話1の筐体内の所定位置に、組立装置によって、端子片37d、38dが配設された側から押されて組み込まれる。このような場合にあっても、電源用ランド75は、主接続部75aと副接続部75bとを有し、間に絶縁部75cを設け、導電性接着剤76で接着するようにし、接続強度を高めている。したがって、このような外力が加わったときにも、電源用ランド75と端子片37d、38dとの接続箇所に亀裂等が発生することを防止することができる。また、仮に亀裂が生じたとしても、端子片37d、38dと主接続部75a、副接続部75bの何れかとの電気的接続を維持することができる。
【0078】
かくして、カメラモジュール10は、レンズ鏡筒11がプリント配線基板71に取り付けられることによって完成する。このカメラモジュール10は、この後、携帯電話等の小型の電子機器に搭載されることになる。
【0079】
なお、電源用ランド75のパターンは、図11に示す例に限定されるものではない。
【0080】
図13(A)に示す電源用ランド81では、略六角形をなすように、6つの円形の接続部を設け、一方の3つを主接続部81aとし、他方の3つを副接続部81bとし、中央部を絶縁部81cとしている。
【0081】
図13(B)に示す電源用ランド82では、4、2、4の列をなすように円形の接続部を設け、4つの一列を主接続部82aとし、2つと他の4つの列を副接続部82bとし、これらで囲まれた部分を絶縁部82cとしている。
【0082】
図13(C)に示す電源用ランド83では、矩形の接続部を平行に並べ、一方を主接続部83aとし、他方を副接続部83bとし、間を絶縁部83cとしている。
【0083】
図13(D)に示す電源用ランド84では、4つの六角形の接続部を四角形をなすように並べ、一方の2つを主接続部84aとし、他方を副接続部84bとし、間を絶縁部84cとしている。
【0084】
図13(E)に示す電源用ランド85では、平行に3つの四角の接続部を設け、一方の列を主接続部85aとし、他方の列を副接続部85bとし、間を絶縁部85cとしている。
【0085】
図13(F)に示す電源用ランド86では、矩形の4つの接続部を放射状に設け、一方の2つを主接続部86aとし、他方を副接続部86bとし、間を絶縁部86cとしている。
【0086】
図13(G)に示す電源用ランド87では、円弧状の4つの接続部を円をなすように設け、一方の2つを主接続部87aとし、他方を副接続部87bとし、囲まれた領域を絶縁部87cとしている。
【0087】
図13(H)に示す電源用ランド88では、中央部に略円形の絶縁部88cを設け、周囲に3つの接続部を設け、一を主接続部88aとし、他を副接続部88bとしている。
【0088】
図13(I)に示す電源用ランド89では、4つの三角形の接続部の集合体を2つ設け、一方を主接続部89aとし、他方を副接続部89bとし、間を絶縁部89cとしている。
【0089】
以上、図13(A)−図13(I)に亘って、電源用ランドのパターンを種々説明したが、各例において、何れの接続部を主接続部としたり副接続部としても良い。また、図13(A)−図13(I)に主接続部81a−89aと副接続部81b−89bは、同じ大きさや形状をしているが、主接続部81a−89aを副接続部81b−89bより大きくしても良い。まや、その逆でも良い。また、主接続部81a−89aと副接続部81b−89bは、形状を異にしていても良い。
【0090】
また、ここでは、レンズ鏡筒11の端子片37d、38dをプリント配線基板71の電源用ランド75に導電性接着剤76で接続する場合を説明したが、この接続構造は、一般的電子部品とランドとの接続構造に適用しても良い。例えば、積層セラミックコンデンサ等の電子部品の端子部をプリント配線基板のランドに接続する際に適用することができる。また、ここで用いるプリント配線基板としては、ガラスエポキシ基板といった有機基板だけでなく、アルミナ基板等のセラミック(無機)基板であっても良い。セラミックは、表面積が広く、したがって、導電性接着剤との接続強が高くなる。
【0091】
(6.カメラモジュールの動作)
以上のように組み立てられたカメラモジュール10では、フォーカス駆動部となるボイスコイルモータが組み込まれており、これにより、フォーカス機能を実現している。すなわち、このフォーカス駆動部では、駆動コイル26に一方向に駆動電流が供給されると、駆動電流とマグネット65a、65b、65c、65dの磁界との作用によって、レンズ保持部材21を入射側に光軸に沿って移動させる。また、駆動コイル26に他方向に駆動電流が供給されると、駆動電流とマグネット65a、65b、65c、65dの磁界との作用によって、レンズ保持部材21を出射側に光軸に沿って移動させる。かくして、カメラモジュール10では、オートフォーカス機能を実現している。
【0092】
(7.カメラモジュールの効果)
以上のように構成されたカメラモジュール10において、ボイスコイルモータを構成する駆動コイル26がレンズ保持部材21の小径の第1の筒状部22に配設される。したがって、撮像素子72が高画素化し、第4のレンズ20dのように、レンズ枚数が増え大型化しレンズ保持部材21が大型化した場合であっても、レンズ鏡筒11が駆動コイル26の分、全体が大型化してしまうことを防止することができる。
【0093】
また、図7に示すように、駆動コイル26は、プラス側の端部26a及びマイナス側の端部26bをコイルの内側より引き出し、フレキシブル配線基板27と電気的に接続するようにしたので、コイルそのものの小型化を実現することができる。また、レンズ鏡筒11では、従来のレンズ鏡筒と比較して、駆動コイル26と板バネ36との電気的接続に、樹脂製のコイルホルダを用いるのではなく、樹脂製のコイルホルダより薄いフレキシブル配線基板27を用いるので、全体としての低背化を図ることができる。
【0094】
すなわち、撮像素子72の高画素化を実現する場合には、自ずとレンズ保持部材21が大型化することになるが、その中で、レンズ鏡筒11は、全体の小型化に寄与することができる。
【0095】
また、図11及び図12に示すように、電源用ランド75は、主接続部75aと副接続部75bとを有し、間に絶縁部75cを設け、導電性接着剤76で接着するようにし、接続強度を高めている。したがって、このような外力が加わったときにも、電源用ランド75と端子片37d、38dとの接続箇所に亀裂等が発生することを防止することができる。また、仮に亀裂が生じたとしても、端子片37d、38dと主接続部75a、副接続部75bの何れかとの電気的接続を維持することができる。
【0096】
(8.変形例)
以上の例では、携帯電話1にカメラモジュール10を取り付けた場合を説明したが、本発明のカメラモジュール10は、種々の小型で携帯に適した電子機器に搭載することができる。また、以上説明したレンズ鏡筒11では、レンズ保持部材21の第1の筒状部22が略円筒で、駆動コイル26が略矩形の場合を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、第1の筒状部の外形も断面略円形に限定されるものではなく多角形であっても良い。また、駆動コイル26にあっても、略矩形に限定されるものではなく、多角形であっても良い。
【符号の説明】
【0097】
1 携帯電話、10 カメラモジュール、11 レンズ鏡筒、12 撮像素子部、16 第1の組立体、17 第2の組立体、18 第3の組立体、20a−20d 第1乃至第4のレンズ、21 レンズ保持部材、21a ベース、22 第1の筒状部、22a レンズ開口部、23 第2の筒状部、24 受け部、25 突き当て部、26 駆動コイル、26a プラス側の端部、26b マイナス側の端部、27 フレキシブル配線基板、27a 一方の面、27b 他方の面、30 空隙部、36 板バネ、37 第1のバネ、38 第2のバネ、37a、38a 弾性支持部、37b、38b 位置決め片、37c、38c 位置決め孔、37d、38d 端子片、41 後部鏡筒、42 底面部、42a−42d 側壁、43a−43d 支持部、44a−44d 突起、45 開口部、46a−46d 位置決め凹部、47a、47b 係合突起、48a−48d 支持突起、51 前鏡筒、52 枠体、53a−53d 支持部、54a−54d 位置決め凹部、55 板バネ、56a−56d マグネット配設部、61 カバー部材、62 主面部、62a レンズ開口部、63a−63d 側板、64a、64b 係合孔、65a−65d マグネット、66 傾斜面、67 位置規制部、71 プリント配線基板、72 撮像素子、73 フレーム、74 電子部品、75 電源用ランド、75a 主接続部、75b 副接続部、75c 絶縁部、76 導電性接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズをフォーカス駆動部によって光軸方向に移動可能に保持するレンズ鏡筒と、
上記レンズ鏡筒が取り付けられるプリント配線基板とを備え、
上記プリント配線基板は、上記フォーカス駆動部に電源を供給する端子部が電気的に接続されるランドを有し、
上記ランドは、導電層が露出する主接続部と副接続部とに区画され、該主接続部と該副接続部との間が絶縁部となっており、
上記副接続部は、上記プリント配線基板上において上記主接続部に比して外側に設けられ、上記主接続部は、上記プリント配線基板上において上記副接続部に比して内側に設けられ、
上記端子部と上記ランドとは、導電性接着剤によって固定されるカメラモジュール。
【請求項2】
更に、上記プリント配線基板には、撮像素子が実装され、
上記撮像素子は、セラミックの枠体を有し、
上記枠体が上記主接続部の少なくとも一部を覆うように配置される請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項3】
上記端子部は、上記レンズ鏡筒の側壁に沿い、上記枠体に近接するように延出している請求項2記載のカメラモジュール。
【請求項4】
上記ランドの中央部は、上記主接続部と上記副接続部との間の絶縁部となっている請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項5】
電子部品と、
上記電子部品が電気的に接続されるプリント配線基板とを備え、
上記プリント配線基板は、上記電子部品の端子部が電気的に接続されるランドを有し、
上記ランドは、導電層が露出する主接続部と副接続部とに区画され、該主接続部と該副接続部との間が絶縁部となっており、
上記副接続部は、上記プリント配線基板上において上記主接続部に比して外側に設けられ、上記主接続部は、上記プリント配線基板上において上記副接続部に比して内側に設けられ、
上記電子部品の端子部と上記ランドとは、導電性接着剤によって固定される電子部品の接続構造。
【請求項6】
上記電子部品は、該電子部品の一部が上記主接続部の少なくとも一部を覆うように配置される請求項5記載の電子部品の接続構造。
【請求項7】
上記ランドの中央部は、上記主接続部と上記副接続部との間の絶縁部となっている請求項6記載の電子部品の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−39461(P2011−39461A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189588(P2009−189588)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】