説明

カメラモジュール

【課題】 広域逆光補正機能を持ち、小型化されたカメラモジュールを提供する。
【解決手段】 入射される光を集光する複数のレンズを備えるレンズ部と、各レンズの領域に対応する複数のフィルタリング領域を持つフィルタ部と、各フィルタリング領域を通過した光を電気信号に変換する複数のセンシング領域を持つイメージセンサー部とを備える。フィルタリング領域は、相異なる色相のカラーフィルタが形成された第1フィルタリング領域と、カラーフィルタより高い透過度を持つ第2フィルタリング領域とに区分される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールに係り、より詳細には広域逆光補正機能を持ち、小型化されたカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、カメラホンのように高解像度のカメラモジュールを含むデジタル装置の普及が広がっている。カメラモジュールは、一般的にレンズ及びイメージセンサーを備えて構成される。ここで、レンズは、被写体で反射された光を集める役割を行い、イメージセンサーは、レンズにより集められた光を検知して電気的な映像信号に変換する役割を行う。イメージセンサーは、撮像管と固体イメージセンサーとに大別され、固体イメージセンサーの代表的な例として、電荷結合素子(CCD)、金属酸化物半導体(MOS)を例として挙げることができる。
【0003】
図1は、従来カメラモジュールの原理を説明するための図面である。
カメラモジュールでは、口径比が大きいほど明るい像を得ることができ、F数(F/#)が大きいほど鮮明できれいな像を得ることができる。ここで、口径比は、レンズの口径Dを焦点距離fで割った値、すなわち、D/fを意味するものであって、像の輝度は口径比の自乗に比例する。これに比べてF数は、口径比の逆数、すなわち、f/Dを意味する。F数が大きいほどカメラモジュールのイメージセンサーに到達する単位面積当たり光量は減少し、F数が小さいほどイメージセンサーに到達する単位面積当たり光量は増加して明るい映像を得る。
【0004】
図1に示したように、レンズの口径が大きいほど解像度が高くなる長所があるが、物体の像が結ばれるための焦点距離が長くなるので、カメラモジュールの小型化に限界がある。
【0005】
一方、従来には広域逆光補正(Wide Dynamic Range;WDR)された映像を具現するための研究が持続的に進行しつつある。WDRとは、一般的な逆光補正より発展された技術であって、照明の明るい所や暗い所を撮影する時にも人の目で見るような映像を得ることができる。
【0006】
このために従来には、イメージセンサー上に低感度センシング領域及び低感度センシング領域に比べて光に敏感な高感度センシング領域を別途に具現し、さらに多くの光を感知できるようにセンシング領域の構造を変更する技術が提示されている。
【0007】
しかし、従来技術によれば、センシング領域の構造が複雑なだけでなく、センシング領域の構造変更による新たな工程技術が要求されるという問題がある。
【0008】
これにより、いろいろな発明(例えば、特許文献1)が提示されたが、前述した問題は依然として解決できない。
【特許文献1】韓国公開特許第2003−0084343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記した問題点に鑑みてなされたものであり、新たな工程技術なしにもWDR機能を持ち、小型化されたカメラモジュールを提供するところにその目的がある。
【0010】
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されず、言及されていない他の目的は下の記載から当業者に明確に理解されうる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の一実施形態によるカメラモジュールは、入射される光を集光する複数のレンズを備えるレンズ部と、前記各レンズの領域に対応する複数のフィルタリング領域を持つフィルタ部と、前記各フィルタリング領域を通過した光を電気信号に変換する複数のセンシング領域を持つイメージセンサー部と、を備えるが、前記フィルタリング領域は、相異なる色相のカラーフィルタが形成された第1フィルタリング領域と、前記カラーフィルタより高い透過度を持つ第2フィルタリング領域とに区分される。
また、前記目的を達成するために、本発明の他の実施例によるカメラモジュールは、入射される光を集光する相異なる色相の複数のレンズを備えるレンズ部と、前記各レンズを通過した光を電気信号に変換する複数のセンシング領域を持つイメージセンサー部と、を備える。
その他の実施例の具体的な事項は詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるカメラモジュールによれば、次のような効果が一つあるいはそれ以上ある。
相異なる透過度を持つカラーフィルタを使用することによって、新たな工程技術なしにイメージセンサー部に高感度センシング領域及び低感度センシング領域を同時に具現できる。
【0013】
カメラモジュールが小型化されるので、カメラモジュールが装着されるデジタル機器の設計自由度を増加させうる。
【0014】
イメージセンサーの内部にカラーフィルタ層及びカラーフィルタ層を平坦化するための平坦層が形成されていないので、マイクロレンズとフォトダイオードとの間隔が狭くなり、平坦層の厚さによる光損失及び信号干渉現象を減少させうる。
【0015】
カラーフィルタをイメージセンサー上に形成せずに、別途の基板に形成することによって、イメージセンサーの生産工程を単純化させることができ、イメージセンサー上にカラーフィルタをパターニングする工程が省略されるので、カラーフィルタ層の形成に使われるインクを節約できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の利点及び特徴、そしてこれを達成する方法は添付された図面に基づいて詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。
【0017】
しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく、この実施例から外れて多様な形に具現でき、本明細書で説明する実施例は本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で当業者に発明の範ちゅうを完全に報せるために提供されるものであり、本発明は請求項及び発明の詳細な説明により定義されるだけである。一方、明細書全体に亙って同一な参照符号は同一な構成要素を示す。
【0018】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態によるカメラモジュールを説明する。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態によるカメラモジュール200を示す斜視図である。図示されたカメラモジュール200は、レンズ部300、フィルタ部400及びイメージセンサー部500を備える。
【0020】
レンズ部300は、入射される光を集光する複数のレンズ310、320、330、340を備えることができる。ここで、レンズの数は制限されず、複数のレンズ310、320、330、340は、同一平面上に多様な形態に配置されうる。例えば、複数のレンズ310、320、330、340は、横方向または縦方向に一列に配置されるか、横×縦の行列形態に配置されうる。以下、本明細書では説明の便宜上、レンズ部300が4個のレンズを備え、横×縦2×2の形態に配置された場合を実施形態として説明する。
【0021】
フィルタ部400は、複数のレンズ310、320、330、340により集光された光をフィルタリングして元来の基本色に具現する役割を行う。このためにフィルタ部400は、複数のレンズ310、320、330、340に対応し、相異なる色相のカラーフィルタが形成される複数のサブフィルタリング領域410、420、430、440で形成されることが望ましい。例えば、前述したように、レンズ部300が2×2の行列形態に配置された4個のレンズを備える場合、フィルタ部400は、2×2の行列形態に配置された第1サブフィルタリング領域410、第2サブフィルタリング領域420、第3サブフィルタリング領域430及び第4サブフィルタリング領域440を持つ。
【0022】
また、フィルタリング領域は、各サブフィルタリング領域に形成されるカラーフィルタの透過度によって第1フィルタリング領域410、420、430と第2フィルタリング領域440とに区分されうる。この時、第1フィルタリング領域は、複数のサブフィルタリング領域を備えることができる。これに比べて、第2フィルタリング領域は単一サブフィルタリング領域を備えることができる。
【0023】
本発明の実施形態によって、第2フィルタリング領域に該当するサブフィルタリング領域には、第1フィルタリング領域に該当するサブフィルタリング領域に形成されたカラーフィルタに比べて透過度の高いカラーフィルタが形成されることが望ましい。例えば、第1フィルタリング領域410、420、430に含まれる第1サブフィルタリング領域410、第2サブフィルタリング領域420及び第3サブフィルタリング領域430にはそれぞれ赤色、緑色及び青色カラーフィルタが形成され、第2フィルタリング領域に含まれる第4サブフィルタリング領域440には、赤色、緑色及び青色に比べて透過度の高い色、例えば、灰色カラーフィルタが形成されることが望ましい。前述した例で、それぞれのカラーフィルタは青色、赤色及び緑色の順序に透過度が高くなり、灰色カラーフィルタは緑色カラーフィルタよりさらに高い透過度を持つ。
【0024】
他の実施形態によって、第4サブフィルタリング領域には灰色以外のカラーフィルタが形成されることもある。例えば、白色(white; no color filter)、黄色、シアン及びマゼンタのうちいずれか一つの色を持つカラーフィルタが形成されうる。しかし、第4サブフィルタリング領域に形成されるカラーフィルタの色は、前述した例に限定されるものではなく、第1フィルタリング領域のサブフィルタリング領域に形成されたカラーフィルタに比べて高い透過度を持つカラーフィルタならば、本発明の範ちゅうに属すると見られる。
【0025】
各サブフィルタリング領域にこのようにカラーフィルタが形成されれば、各サブフィルタリング領域を通過する光量に差が発生する。これは、すなわち、後述するイメージセンサー部500の各サブセンシング領域510、520、530、540に到達する光量に差が発生することを意味し、イメージセンサー部500に高感度センシング機能及び低感度センシング機能が同時に具現されうるということを意味する。
【0026】
さらに具体的に、イメージセンサー部500のセンシング領域は、複数のサブフィルタリング領域410、420、430、440にそれぞれ対応する複数のサブセンシング領域510、520、530、540に区分されうる。ところが、複数のサブセンシング領域510、520、530、540のうち、第2フィルタリング領域に含まれたサブフィルタリング領域と対応するサブセンシング領域に到達する光量は、第1フィルタリング領域410、420、430に含まれたサブフィルタリング領域と対応するサブセンシング領域に到達する光量より多い。したがって、第2フィルタリング領域に含まれたサブフィルタリング領域と対応するサブセンシング領域は、第1フィルタリング領域410、420、430に含まれたサブフィルタリング領域と対応するサブセンシング領域に比べて相対的に高感度センシング機能を持つといえる。
【0027】
さらに具体的に、前述した例によれば、イメージセンサー部500のセンシング領域は、第1サブフィルタリング領域410、第2サブフィルタリング領域420、第3サブフィルタリング領域430及び第4サブフィルタリング領域440にそれぞれ対応する第1サブセンシング領域510、第2サブセンシング領域520、第3サブセンシング領域530及び第4サブセンシング領域540に区分できる。この時、第4サブセンシング領域540に到達する光量は、第1サブセンシング領域510に到達する光量より多い。なぜなら、第4サブセンシング領域540に対応する第4サブフィルタリング領域440には灰色カラーフィルタが形成されており、第1サブセンシング領域510に対応する第1サブフィルタリング領域410には灰色カラーフィルタより透過度の低い赤色カラーフィルタが形成されているためである。したがって、第4サブセンシング領域540は、第1サブセンシング領域510に比べて相対的に高感度センシング機能を持つ。これと同様に、第2サブセンシング領域520及び第3サブセンシング領域530にそれぞれ到達する光量は、第4サブセンシング領域540に到達する光量より少ないために、第4サブセンシング領域540に比べて低感度センシング機能を持つと見られる。
【0028】
前記のような構成要素に加えて、フィルタ部400は所定波長の光、例えば、赤外線を遮断するための赤外線遮断フィルタ460を選択的に備えることができる。この時、赤外線遮断フィルタ460は、イメージセンサーに到達する赤外線を遮断して、可視光線領域のイメージ情報がき損されることを防止する役割を行う。すなわち、イメージセンサーの感度は赤外線にも反応するが、赤外線遮断フィルタ460を使用すれば、赤外線が遮断されるので、可視光線領域のイメージ情報がき損されることを防止できる。従来イメージセンサーの構造によれば、カラーフィルタと赤外線遮断フィルタとを統合して具現できないが、本発明によれば、カラーフィルタ470と赤外線遮断フィルタ460とを統合して製作できる。
【0029】
赤外線遮断フィルタ460は、基板450とカラーフィルタ層470との間に形成されるか、カラーフィルタ層470の上部に設置されうる。または、基板450の一面にカラーフィルタ層470が形成された場合、赤外線遮断フィルタ460は、基板450の他面に形成されることもある。図3Aないし図3Cは、図2のIII−III’線に沿って切開した断面図を図示したものであり、カラーフィルタ及び赤外線遮断フィルタ460の形成位置についての多様な実施形態を示している。図3Aは、基板450の一面に赤外線遮断フィルタ460及びカラーフィルタが順に形成された態様を示しており、図3Bは、基板450の一面にカラーフィルタ及び赤外線遮断フィルタ460が順に形成された態様を示している。これに比べて、図3Cは、基板450の一面にはカラーフィルタが形成されており、基板450の他面には赤外線遮断フィルタ460が形成されている態様を示している。
【0030】
一方、前述したフィルタ部400は、相異なる色のカラーフィルタが形成された複数の基板をそれぞれ多数のサブ基板に分割した後、相異なる色のカラーフィルタを持つサブ基板を組み合わせる工程を経て生成されうる。図4は、フィルタ部400の生成工程を図示した平面図である。例えば、図3Cに示したような構造のフィルタ部400を生成するためには、まず、第1、第2、第3及び第4基板の一面に赤外線遮断フィルタ460層を形成する。その後、各基板の他面にそれぞれ赤色カラーフィルタ470R、緑色カラーフィルタ470G、青色及び灰色カラーフィルタを塗布してカラーフィルタ層470を形成する。この後、各基板を4等分して、4個のサブ基板に分離する。そして、相異なる色のカラーフィルタが形成されたサブ基板をそれぞれ組み合わせる。前述したような工程によれば、カラーフィルタのパターニング工程が省略されるので、カラーフィルタの形成に使われるインクを節約できる効果がある。
【0031】
一方、イメージセンサー部500は、各サブフィルタリング領域410、420、430、440を通過した光を感知して、電気信号に変換する役割を行う。このために、イメージセンサー部500は、各サブフィルタリング領域410、420、430、440を通過した光を感知する光感知部(図示せず)及び光感知部により感知された光を電気的な信号に変換してデータ化する回路部(図示せず)を備えて構成される。
【0032】
ここで、図5を参照してイメージセンサー部500についてさらに具体的に説明する。図5は、イメージセンサー部500の単位ピクセルについての断面図である。
【0033】
図5を参照すれば、基板550上には受光素子560、例えば、フォトダイオード(Photo Diode;PD)が形成される。この時、受光素子560の間にはそれぞれ素子分離膜570a、570bが形成される。
【0034】
受光素子560の上部には、回路部を形成するための金属配線層590が形成される。この時、受光素子560と金属配線層590との間には絶縁層(IMD;Inter−Metal Dielectric)580aが形成され、金属配線層590は、受光素子560に入射される光の経路を遮断しないように設計されることが望ましい。図5は、一層の金属配線層590が形成されている態様を図示しているが、金属配線層590は、場合によって複数の層で形成されてもよい。この時、各金属配線層590は、各金属配線層を絶縁するための絶縁層580bが形成される。
【0035】
絶縁層580bの最上部には受光素子560の光感度を増加させるためのマイクロレンズ(Micro Lens;ML)595が形成される。一般的に、受光素子560は、単位ピクセル領域の全域を占めるものではなく、単位ピクセルのうち一定部分のみを占める。したがって、ピクセル領域で受光素子560が占める面積を表す比率が1より小さな値を持つようになり、これは入射光の一部が損失されることを意味する。ところが、絶縁層580bの最上部にマイクロレンズ595を形成すれば、入射される光がマイクロレンズ595により集光されるために、受光素子560に収束される光量を増加させうる。
【0036】
また、前述した形態のイメージセンサー部500は、従来技術に比べて、カラーフィルタ層470及びカラーフィルタ層470を平坦化するための平坦層(図6B参照)が形成されていないので、光損失及び信号干渉が減少する。さらに具体的な説明のために、図6A及び図6Bを参照する。
【0037】
図6A及び図6Bは、マイクロレンズ595に傾いて入射する光の収束程度をマイクロレンズ595と受光素子560との距離によって示す図面である。ここで、図6Aは、本発明の実施形態によるイメージセンサーで単位ピクセルの断面図を図示したものであり、図6Bは、従来技術によるイメージセンサーで単位ピクセルの断面図を図示したものである。
【0038】
図6Bを参照すれば、一般的に、マイクロレンズ595の焦点の位置は受光素子560の位置に固定されるが、この場合、マイクロレンズ595に垂直に入射される光は受光素子560にいずれも収束される。しかし、マイクロレンズ595に一定角度で傾いて入射される光は、該当ピクセルの受光素子560にすべて収束されずに損失されるか、隣接したピクセルの受光素子560に入射されて信号干渉を誘発する。ところが、本発明のように、カラーフィルタ層470及び平坦化層が除去されれば、マイクロレンズ595と受光素子560との間隔が狭くなるので、図6Aに示したように、マイクロレンズ595に一定角度で傾いて入射される光も該当ピクセルの受光素子560に収束される。したがって、隣接したピクセルの受光素子560に入射される光量は減少し、信号干渉も減少する。
【0039】
前述したような構造のピクセルは、複数が集まってセンシング領域を形成する。ここでセンシング領域は、前述したフィルタ部400の各サブフィルタリング領域に対応する複数のサブセンシング領域510、520、530、540に区分されうる。すなわち、前述した例によれば、イメージセンサー部500のセンシング領域は、第1サブフィルタリング領域410、第2サブフィルタリング領域420、第3サブフィルタリング領域430及び第4サブフィルタリング領域440にそれぞれ対応する第1サブセンシング領域510、第2サブセンシング領域520、第3サブセンシング領域530及び第4サブセンシング領域540に区分されうる。この時、第1サブセンシング領域510、第2サブセンシング領域520、第3サブセンシング領域530及び第4サブセンシング領域540は、それぞれ赤色、緑色、青色及び灰色カラーフィルタを通過した光を感知する。
【0040】
このように複数のサブセンシング領域に区分されたセンシング領域510、520、530、540は、光感度によって低感度センシング領域と高感度センシング領域とに区分されうる。この時、低感度センシング領域と高感度センシング領域とは、各サブセンシング領域に到達する光量によって区分される。ところが、各サブセンシング領域に到達する光量は、各サブセンシング領域と対応するサブフィルタリング領域に形成されているカラーフィルタによって変わる。したがって、カラーフィルタの透過度によって第1フィルタリング領域と第2フィルタリング領域とに区分されたフィルタリング領域のうち、第1フィルタリング領域及び第2フィルタリング領域にそれぞれ対応するセンシング領域を低感度センシング領域と高感度センシング領域とに区分できる。
【0041】
さらに具体的に、前述した例によれば、第1サブセンシング領域510、第2サブセンシング領域520及び第3サブセンシング領域530は低感度センシング領域に該当し、第4サブセンシング領域540は高感度センシング領域に該当する。なぜなら、第4サブフィルタリング領域440に形成された灰色カラーフィルタは、第1サブフィルタリング領域410、第2サブフィルタリング領域420及び第3サブフィルタリング領域430にそれぞれ形成された赤色、緑色及び青色カラーフィルタに比べて透過度が高くて、第4サブセンシング領域540に到達した光量が第1サブセンシング領域510、第2サブセンシング領域520及び第3サブセンシング領域530それぞれに到達した光量より多いためである。
【0042】
このように、イメージセンサー部500に高感度センシング領域及び低感度センシング領域が具現されれば、各センシング領域から得た輝度情報を利用してイメージを復元できるので、照度差の大きな環境でも鮮明な映像を具現できる。すなわち、WDR機能を具現できる。
【0043】
ここで、図7A及び図7Bを参照して、本発明の実施形態によるイメージ復元方法を説明する。図7A及び図7Bは、本発明の実施形態によるイメージ復元方法を説明するための図面であって、図7Aは、カラー別に分離された複数の元イメージ511、521、531、541が獲得される過程を図示したものであり、図7Bは、図7Aのカラー別に分離された複数の元イメージ511、521、531、541から最終イメージ700が生成される過程を図示したものである。
【0044】
説明の便宜上、フィルタ部400の第1サブフィルタリング領域410、第2サブフィルタリング領域420、第3サブフィルタリング領域430及び第4サブフィルタリング領域440にはそれぞれ赤色、緑色、青色及び灰色フィルタが形成されていると仮定する。そして、イメージセンサー部500のセンシング領域は、横×縦それぞれ8×8個のピクセルで構成され、それぞれのサブセンシング領域510、520、530、540は横×縦それぞれ4×4個のピクセルから構成されると仮定する。
【0045】
まず、図7Aを参照すれば、所定被写体100で反射された光は、それぞれ4個のレンズ310、320、330、340を通じて集光される。各レンズ310、320、330、340を通じて集光された光は、各レンズ310、320、330、340に対応するサブフィルタリング領域410、420、430、440を透過する。この後、各サブフィルタリング領域410、420、430、440を透過した光は、各サブフィルタリング領域410、420、430、440に対応するサブセンシング領域510、520、530、540にそれぞれ収束される。その結果、それぞれのサブセンシング領域510、520、530、540を通じてカラー別に分離された元イメージを得ることができる。この時、それぞれのサブセンシング領域510、520、530、540を通じて獲得された元イメージは、全体センシング領域510、520、530、540が持つ解像度に比べて1/4に該当する解像度を持つ。
【0046】
図7Bは、メモリー上に形成される中間イメージ600がイメージセンサー部500のセンシング領域と同じ数のピクセルから形成された場合を図示している。すなわち、中間イメージ600が、横×縦それぞれ8×8個のピクセルからなる場合を図示している。
【0047】
中間イメージ600は、カラーフィルタの配列パターンに対応する多数のピクセルを含む多数のピクセルグループ610、620、630に区分されうる。例えば、横×縦それぞれ2×2個のピクセルを単位とする多数のピクセルグループ610、620、630に区分されうる。ここで、各ピクセルグループ610、620、630は、カラー情報及び輝度情報がマッピングされる主ピクセル611、621、631及び、主ピクセル611、621、631の周辺に位置し、情報を保有していないサブピクセル612、622に区分されうる。
【0048】
主ピクセルの位置は、該当ピクセルグループで多様な位置に指定されうる。例えば、図7Bのように、2×2の各ピクセルグループで、最初行の最初列に該当する位置が主ピクセルの位置に指定されうる。他の例には、各ピクセルグループで、最初行の第2列に該当する位置が主ピクセルの位置に指定されることもある。
【0049】
各ピクセルグループの主ピクセルは、3個のカラー情報及び2個の輝度情報を持つ。すなわち、各ピクセルグループの主ピクセルは、第1元イメージ511による赤色カラー情報、第2元イメージ521による緑色カラー情報、第3元イメージ531による青色カラー情報、第4サブセンシング領域540による輝度情報Y’及び、3色のカラー情報から検出された輝度情報Yがマッピングされる。さらに具体的に、第1ピクセルグループ610の主ピクセル611は、第1元イメージ511で最初行の最初列に位置したピクセルが持つ赤色情報、第2元イメージ521で最初行の最初列に位置したピクセルが持つ緑色情報、第3元イメージ531で最初行の最初列に位置したピクセルが持つ青色情報、第4元イメージ541で最初行の最初列に位置したピクセルが持つ輝度情報及び、前記3個のカラー情報を基盤として検出された輝度情報がマッピングされる。これと同一に第2ピクセルグループ620の主ピクセル621は、第1元イメージ511で最初行の第2列に位置したピクセルが持つ赤色情報、第2元イメージ521で最初行の第2列に位置したピクセルが持つ緑色情報、第3元イメージ531で最初行の第2列に位置したピクセルが持つ青色情報、第4元イメージ541で最初行の第2列に位置したピクセルが持つ輝度情報及び、前記3個のカラー情報を基盤として検出された輝度情報がマッピングされる。
【0050】
前述したように、各ピクセルグループ610、620、630の主ピクセル611、621、631にマッピングされた情報は、サブピクセルに記録されるカラー情報を復元するところに使われる。この時、各サブピクセルに記録されるカラー情報を復元する方法には、補間法が使われうる。さらに具体的に、第1ピクセルグループ610の主ピクセル611と第2ピクセルグループ620の主ピクセル621との間のサブピクセル612に記録される情報は、それぞれの主ピクセル611、621が保有した情報を基盤として復元されうる。同様に、第2ピクセルグループ620の主ピクセル621と第3ピクセルグループ630の主ピクセル631との間のサブピクセル622に記録される情報は、それぞれの主ピクセル621、631が保有した情報を基盤として復元されうる。
【0051】
前述した復元過程を経れば、各サブセンシング領域510、520、530、540を通じて得られた低解像度(すなわち、サブセンシング領域の解像度)のカラー別元イメージ511、521、531、541から高解像度(すなわち、サブセンシング領域の解像度×4)の最終イメージ700を得ることができる。
【0052】
次いで、本発明の第2実施形態によるカメラモジュール20について説明する。図8は、本発明の第2実施形態によるカメラモジュール20の構造を示す斜視図である。本発明の第2実施形態によるカメラモジュール20は、図2に図示された一実施形態によるカメラモジュール200に比べて次を除いては同じ構成要素を持つ。
【0053】
すなわち、第2実施形態によるカメラモジュール20は、レンズ部30を構成する複数のレンズ31、32、33、34が相異なる色を持つ。ここで、レンズ部30は、透過度によって第1グループと第2グループとに区分されうる。この時、第2グループに含まれるレンズは、第1グループに含まれるレンズに比べて透過度の高い色を持つことが望ましい。さらに具体的に、4個のレンズのうち第1グループに該当する第1レンズ31、第2レンズ32及び第3レンズ33は、それぞれ赤色、緑色及び青色を持ち、第2グループに含まれる第4レンズ34は、赤色、緑色及び青色に比べて透過度の高い色、例えば、灰色を持つことが望ましい。
【0054】
このように、複数のレンズ31、32、33、34がそれぞれ相異なる色を持つ場合、フィルタ部40には別のカラーフィルタ層が形成されない。
【0055】
そして、イメージセンサー部は、各レンズ31、32、33、34に対応する複数のサブセンシング領域510、520、530、540に分割され、各サブセンシング領域510、520、530、540を通じて各レンズによりカラー別に分離された映像を得ることができる。
【0056】
前述した本発明の実施形態によれば、第1元イメージ、第2元イメージ及び第3元イメージのカラー情報を基盤として算出された輝度情報及び第4元イメージによる輝度情報を得ることができる。したがって、イメージセンサー部500の構造変更による新たな工程技術なしにもWDR機能を持つカメラモジュール200提供できる。
【0057】
以上、例示された図面を参照として、本発明によるカメラモジュールを説明したが、本発明は本明細書に開示された実施例及び図面によって限定されるものではなく、その発明の技術思想範囲内で当業者により多様に変形可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、デジタルカメラ、カメラホンのように高解像度のカメラモジュールを含むデジタル装置に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来のカメラモジュールの原理を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるカメラモジュールの内部構造を示す斜視図である。
【図3A】図2のフィルタ部の構造についての多様な実施形態を例示した例示図である。
【図3B】図2のフィルタ部の構造についての多様な実施形態を例示した例示図である。
【図3C】図2のフィルタ部の構造についての多様な実施形態を例示した例示図である。
【図4】図3Cに図示されたフィルタ部の工程過程を例示した例示図である。
【図5】図2のイメージセンサー部を構成する単位ピクセルについての断面図である。
【図6A】図5のマイクロレンズに傾いて入射する光の収束程度をマイクロレンズと受光素子との距離によって示す図である。
【図6B】図5のマイクロレンズに傾いて入射する光の収束程度をマイクロレンズと受光素子との距離によって示す図である。
【図7A】本発明の実施形態によるイメージ復元方法を説明するための図である。
【図7B】本発明の実施形態によるイメージ復元方法を説明するための図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるカメラモジュールの内部構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
200 カメラモジュール
300 レンズ部
400 フィルタ部
410 第1サブフィルタリング領域
420 第2サブフィルタリング領域
430 第3サブフィルタリング領域
440 第4サブフィルタリング領域
470G 緑色カラーフィルタ
480R 赤色カラーフィルタ
500 イメージセンサー部
510 第1サブセンシング領域
520 第2サブセンシング領域
530 第3サブセンシング領域
540 第4サブセンシング領域
560 受光素子
570a、570b 素子分離膜
580a、580b 絶縁層
590 金属配線層
595 マイクロレンズ
600 中間イメージ
700 最終イメージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射される光を集光する複数のレンズを備えるレンズ部と、
前記各レンズの領域に対応する複数のフィルタリング領域を持つフィルタ部と、
前記各フィルタリング領域を通過した光を電気信号に変換する複数のセンシング領域を持つイメージセンサー部と、を備えるが、
前記フィルタリング領域は、相異なる色相のカラーフィルタが形成された第1フィルタリング領域と、前記カラーフィルタより高い透過度を持つ第2フィルタリング領域とに区分されるカメラモジュール。
【請求項2】
前記イメージセンサー部は、
前記各フィルタリング領域を通過した光を受信するフォトダイオードと、
前記フォトダイオード上部に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記受信された光を電気的な信号に変換するための金属配線パターンを備える金属配線層と、
前記各フィルタリング領域を通過した光を集光して前記フォトダイオードに収束させるマイクロレンズと、を備える請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記フィルタ部は、前記複数のレンズを透過した光のうち赤外線を遮断するための赤外線遮断フィルタをさらに備える請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記フィルタ部は、基板上に前記赤外線遮断フィルタ及び前記カラーフィルタが順に形成される請求項3に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記フィルタ部は、基板の一面に前記カラーフィルタが形成され、前記基板の他面には前記赤外線遮断フィルタが形成される請求項3に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記センシング領域は、前記第1フィルタリング領域及び前記第2フィルタリング領域にそれぞれ対応する第1センシング領域と第2センシング領域とに区分され、前記第2センシング領域に含まれたサブセンシング領域に収束される光量は、前記第1センシング領域に含まれたサブセンシング領域に収束される光量より多い請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記複数のレンズは、同一平面上に位置する請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
入射される光を集光する相異なる色相の複数のレンズを備えるレンズ部と、
前記各レンズを通過した光を電気信号に変換する複数のセンシング領域を持つイメージセンサー部と、を備えるカメラモジュール。
【請求項9】
前記イメージセンサー部は、
前記各レンズを通過した光を受信するフォトダイオードと、
前記フォトダイオード上部に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記受信された光を電気的な信号に変換するための金属配線パターンを備える金属配線層と、
前記各レンズを通過した光を集光して前記フォトダイオードに収束させるマイクロレンズと、が順に積層される請求項8に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記各レンズを透過した光のうち赤外線を遮断するための赤外線遮断フィルタをさらに備える請求項8に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記レンズは、前記レンズの透過度によって第1レンズ部と第2レンズ部とに区分される請求項8に記載のカメラモジュール。
【請求項12】
前記第1レンズ部に含まれるレンズの透過度は、前記第2レンズ部に含まれるレンズの透過度より高い請求項11に記載のカメラモジュール。
【請求項13】
前記センシング領域は、前記第1レンズ部及び前記第2レンズ部にそれぞれ対応する第1センシング領域と第2センシング領域とに区分され、前記第1センシング領域に含まれるサブセンシング領域に収束される光量は、前記第2センシング領域に含まれるサブセンシング領域に収束される光量より多い請求項12に記載のカメラモジュール。
【請求項14】
前記複数のレンズは、同一平面上に位置する請求項8に記載のカメラモジュール。
【請求項15】
互いに異なる色を有する複数個のフィルタを含み、光をフィルタリングする第1フィルタリング領域と前記第1フィルタリング領域より高い透過率を有し、前記光をフィルタリングする第2フィルタリング領域を含むフィルタ、及び
前記第1及び第2フィルタリング領域に各々対応し、前記第1及び第2フィルタリング領域によってフィルタリングされた光を受信する第1及び第2センシング領域を含み、前記受信された光を電気信号に変換するイメージセンサーを含むカメラモジュール。
【請求項16】
前記第2フィルタリング領域は、灰色フィルタを含む請求項15に記載のカメラモジュール。
【請求項17】
入射した光を互いに異なる色相のカラーフィルタを含む第1フィルタリング領域を通してフィルタリングする段階と、
前記入射した光を前記第1フィルタリング領域に比べ高い透過率を有するフィルタを含む第2フィルタリング領域を通しフィルタリングする段階、及び
中間イメージを生成する段階を含むが、
前記中間イメージを生成する段階は前記第1及び第2フィルタリング領域を通過する光によって生成されるイメージを複数個のピクセルグループに分ける段階、前記各ピクセルグループを主ピクセルを含む複数個のピクセルに分かる段階、及び前記各カラーフィルタから獲得したカラー情報、前記第1フィルタリング領域から獲得した輝度情報、及び前記第2フィルタリング領域から獲得した輝度情報を前記各主ピクセルに提供する段階を含むイメージ生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−5488(P2008−5488A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159704(P2007−159704)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】