説明

カメラ制御システム、カメラ制御ユニット及びカメラ電源制御方法

【課題】カメラ制御ユニットからの電源でカメラ装置を作動させる場合の、ケーブルの長さ等の制約を無くす。
【解決手段】CCUに接続されたカメラ装置を、CCUからの電源の供給でスタンバイ状態から起動状態に変化させるとき、CCUの出力電源の電圧を、スタンバイ状態用の第1の電圧からカメラ装置が起動する電圧にほぼ等しい第3の電圧まで昇圧させる。その後、第2の電圧出力に切り替えて、カメラ装置を起動させる。このようにして、カメラ装置起動時の突入電流を小さくでき、カメラ装置内で出力過電圧保護動作が行われないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ制御ユニットとカメラ装置とで構成されるカメラ制御システム、及びそのシステムに使用されるカメラ制御ユニット、並びにそのシステムに適用されるカメラ電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオ収録やビデオ中継を行う場合に、CCU(カメラ制御ユニット)と称される制御機器をカメラ装置に接続して、そのカメラ制御ユニットからの制御でカメラ装置の制御を行うシステムを組むことが行われている。
カメラ制御ユニットには、1台又は複数台のビデオカメラ装置が接続されて、各カメラ装置の動作が制御される。カメラ装置を作動させる電源の供給についても、カメラ制御ユニットから行うようにしてある。カメラ制御ユニットとカメラ装置とを接続するケーブルの長さは、数百メートルあるいはそれ以上の長さで、非常に長いケーブルを必要なケースも多々ある。
【0003】
カメラ制御ユニットからカメラ装置に供給する電源としては、カメラ装置がスタンバイ状態のとき低電圧の電源を供給し、カメラ装置をスタンバイ状態から起動させる際に、低電圧から高電圧に変化させて、その高電圧の電源で起動させるようにしてある。例えば、あるシステムでは、スタンバイ状態のときにカメラ制御ユニットから38Vの電圧の電源を供給し、カメラ装置を起動させる際には、カメラ制御ユニットから180Vの電圧の電源を供給する構成としてある。
【0004】
カメラ装置側では、38Vの電圧の電源供給時には、低圧の電源を使用した最低限のスタンバイ動作を行い、180Vの電圧の電源供給時には、カメラ装置での撮影を行って、その撮影して得た映像信号をカメラ制御ユニットなどに供給する。
【0005】
特許文献1には、この種のカメラ制御ユニットを使用したシステムの一例についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−64816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カメラ制御ユニットとカメラ装置とを接続するケーブルは、システム構成によっては、上述したように数百メートルあるいはそれ以上の非常に長い距離のケーブルで接続する場合が多々あり、そのケーブルの長さに起因して、種々の問題が発生する。
【0008】
即ち、例えばカメラ制御ユニットが出力する電源電圧を低電圧から高電圧に切替えると、その切替え時のカメラ装置の電源入力部の入力電圧変動が急峻になってしまう。このとき、ケーブルの長さが長く、カメラ装置内の電源回路で入力電圧に対する応答速度が遅いと、その急峻な入力電圧の変化に対応できず、カメラ装置の電源回路の出力電圧がオーバーシュートしてしまう。このような状態になると、カメラ装置の電源回路の出力過電圧保護動作により、カメラ装置内への電源供給が停止してしまう。
【0009】
また、低電圧と高電圧を切り替えるときの高電圧と低電圧の電圧差により、カメラ装置内の電源回路の入力コンデンサへの突入電流が流れるため、ケーブルの長さによる電圧低下で、カメラ装置内の電源回路が適正に作動しなくなる場合がある。また、この突入電流が多く流れることで、カメラ装置内の電源回路の入力コンデンサなどの部品のストレスが大きい問題があった。
【0010】
図6は、従来のカメラ制御ユニットからカメラ装置に供給される電源の起動時の変化特性例を示した図である。この例では、スタンバイ状態のとき、カメラ制御ユニット(CCU)から38Vの直流電源をカメラ装置に供給し、カメラ装置を起動させる際に、180Vの直流電源を供給するものである。従って、カメラ装置を起動させる際には、図6(a)に示したように、カメラ装置に供給する電源電圧Vxを、38Vから180Vに切り替える処理が行われる。
この電源電圧Vxの38Vから180Vへの急激な変動があると、図6(b)に示したように、カメラ装置では、その電源電圧の急激な変動に対応した突入電流Ixが発生してしまう。
【0011】
従って、従来はカメラ制御ユニットとカメラ装置とを接続するケーブルの長さが、このような問題が生じない程度に規制されていた。
【0012】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、カメラ制御ユニットからの電源でカメラ装置を作動させる場合の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、接続されたカメラ装置をスタンバイ状態とする第1の電圧の電源と、カメラ装置を起動状態とする第1の電圧より高い第2の電圧の電源を生成する電源部をカメラ制御ユニットに用意する。さらに、カメラ制御ユニットの電源部は、第1の電圧と第2の電圧の間でカメラ装置が起動を開始する電圧にほぼ等しい第3の電圧を生成できるようにする。
そして、接続されたカメラ装置を電源の供給でスタンバイ状態から起動状態に変化させるとき、出力させる電源の電圧を、第1の電圧から第3の電圧に変化させた後、第2の電圧に変化させる制御を行う。
【0014】
このようにしたことで、カメラ装置はスタンバイ状態から起動する際に、供給される電源電圧が、スタンバイ状態用の電圧から、カメラ装置が起動を開始する電圧に相当する電圧まで変化した後、第2の電源電圧の供給に切り替わるようになる。従って、カメラ装置が起動開始する際の電圧変化を最小限に抑えて、カメラ装置起動時の突入電流を小さく抑えることができ、カメラ装置内での出力過電圧保護動作も行われないようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、カメラ制御ユニットから供給する電源でカメラ装置を起動させる際の電源電圧変化を適正にコントロールでき、カメラ装置起動時の突入電流を小さく抑えることが可能になり、カメラ装置内で出力過電圧保護動作も行われないようになる。従って、カメラ制御ユニットとカメラ装置とを接続するケーブルが非常に長い場合でも、カメラ装置に不具合を生じさせずに電源の供給で起動させることが可能になる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態によるシステム構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるカメラ制御装置の電源出力部の回路構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるカメラ起動時の処理例を示したフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態によるカメラ装置での処理例を示したフローチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態によるカメラ起動時の電源変化例を示した波形図である。
【図6】従来のカメラ起動時の電源変化例を示した波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、以下の順序で説明する。
1.一実施の形態のシステム構成例(図1)
2.カメラ制御ユニットの電源出力部の構成例(図2)
3.カメラ装置起動時の処理例(図3−図5)
4.変形例
【0018】
[1.一実施の形態のシステム構成例]
図1は、本発明の一実施の形態の例のシステム構成図である。
本実施の形態の例においては、図1に示すように、カメラ制御ユニット10とカメラ装置50とを、ケーブルで接続したシステム構成としてある。カメラ装置50は、撮像して得た映像信号(画像信号)を出力するビデオカメラである。
図1では、1台のカメラ制御ユニット10に、1台のカメラ装置50を接続した最小限のシステム構成として示してあるが、1台のカメラ制御ユニット10に複数台のカメラ装置50を接続することも可能である。
【0019】
カメラ制御ユニット10とカメラ装置50とを接続するケーブルとしては、光ファイバーケーブルよりなる光伝送ライン1と、制御ライン2と、電源ライン3とで構成される。制御ライン2と電源ライン3とは、それぞれ複数本の導線で構成される。光伝送ライン1と制御ライン2と電源ライン3とは、外形上は1本のケーブルとして束ねられた構成とする。あるいは、それぞれの別のケーブルとして構成してもよい。
【0020】
光伝送ライン1は、主として映像信号の伝送を行う。この映像信号の伝送としては、カメラ装置50で撮像して得た映像信号を、カメラ制御ユニット10側に伝送し、カメラ制御ユニット10から戻りの映像信号や他のカメラ装置で撮像して映像信号をカメラ装置に伝送する。制御ライン2については、カメラ制御ユニット10からカメラ装置50を制御するための制御データを伝送し、カメラ装置50から制御データの応答などの各種データをカメラ制御ユニット10側に伝送する。この制御ライン2で伝送するデータについては、光伝送ライン1で伝送するデータに多重化して、制御ライン2を省略した構成としてもよい。
【0021】
電源ライン3は、カメラ制御ユニット10内の電源出力部から出力される直流電源を、カメラ装置50に供給するラインである。この場合、カメラ装置50では、電源ライン3を介して供給される電源の電圧が、カメラ装置全体を起動させるのに十分な電圧であるとき、カメラ装置50全体を起動させて、撮像動作を行うモードとする。本例の場合には、カメラ装置駆動の電源として、直流180Vを供給するようにしてある。
また、電源ライン3を介して供給される電源の電圧が、カメラ装置全体を起動させるのに必要な電圧よりも低い所定電圧(本例の場合には直流38V)である場合に、カメラ装置50をスタンバイ状態の動作モードとするようにしてある。
【0022】
カメラ装置50の構成について説明すると、図1に示すように、カメラ装置50は、電源ライン3から電源の供給を受ける電源部51を備え、その電源部51に供給される電源の電圧を、制御部52が判断する構成としてある。制御部52は、撮像部53での撮像などのカメラ装置50内の各部の動作を制御する処理を行う。カメラ装置50の動作モードをスタンバイ状態の動作モードと、通常の動作モードなどに制御する処理も制御部52の制御で実行される。スタンバイ状態のモードは、入力電源電圧が第1の電圧Vth1以上であるとき設定される。この第1の電圧Vth1は、例えば30Vなどの比較的低い電圧であり、実際には上述したように38Vがカメラ制御ユニット10から供給されて、スタンバイモードとなる。また、入力電源電圧が第2の電圧Vth2以上であるとき、制御部52はスタンバイ状態の動作モードから通常動作モードに変化させて起動させるようにしてある。この第2の電圧Vth2は110Vに設定してある。
【0023】
撮像部53は、レンズ系を介してイメージャに結像した像光の撮像を行って、電気的な映像信号(画像信号)を生成させ、その生成された映像信号を、伝送部54から光伝送ライン1を介してカメラ制御ユニット10側に伝送させる。伝送部54は、制御ライン2を伝送されるデータの送受信の処理も行う。制御ライン2を介して制御データを伝送部54が受信した場合には、その受信した制御データを制御部52に供給する。制御部52は、制御データで指示された撮像に関する制御を行う。制御部52が上述したスタンバイ状態の動作モードと、通常の動作モードに設定する処理は、電源部51に電源ライン3を介して供給される電源の電圧の検出に基づいて設定するようにしてある。この設定処理の詳細については後述する。
【0024】
[2.カメラ制御ユニットの電源出力部の構成例]
次に、本実施の形態の例のカメラ制御ユニット10の電源出力部の構成例を、図2を参照して説明する。
カメラ制御ユニット10は、電源回路11を備え、この電源回路11が直流180Vの電源を生成させて、電源端子11a,11bに得る構成としてある。図2では、端子11aが正極側、端子11bが負極側である。
この電源端子11a,11bに得られる直流180Vの電源は、スイッチ13を介して出力端子10a,10bに供給し、出力端子10a,10bから図1に示した電源ライン3に出力させる構成としてある。ここでは、図2の電源端子11aからスイッチ13までの供給路を、高電圧電源供給路VHとしてある。スイッチ13は、介して制御ユニット10の制御部12により開閉が制御されるスイッチであり、低電圧電源供給路VL側に接続されたダイオード13aとスイッチ13とで、電源切り替え部が構成される。即ち、スイッチ13が閉状態のときには、高電圧電源供給路VHを介して得られる直流180Vの電源が、出力端子10aから出力される。スイッチ13が開状態のときには、低電圧電源供給路VLからダイオード13aを介して得られる低電圧電源が、出力端子10aから出力される。
【0025】
低電圧電源供給路VLに低電圧電源を得る構成について説明すると、電源端子11a,電源端子11bに得られる直流180Vの電源は、低電圧出力回路部20に供給する。この低電圧出力回路部20は、半導体素子で構成されるスイッチング回路23と、チョークコイル24を使用して、直流180Vの電源を直流35Vの低圧電源に変換する変換回路(DC−DCコンバータ)である。
即ち、電源端子11aをダイオード21とコンデンサ22を介して電源端子11bに接続してあり、ダイオード21とコンデンサ22との接続点に得られる電源を、スイッチング回路23で高周波信号によりスイッチングさせる構成としてある。そして、そのスイッチング回路23でスイッチングされた電源を、チョークコイル24を介して、低電圧出力回路部20の出力側に供給する。
【0026】
スイッチング回路23とチョークコイル24との接続点と負極側の出力端子10bとの間には、ダイオード25を接続してあり、チョークコイル24の出力側と負極側の出力端子10bとの間には、電源の平滑化部を構成するコンデンサ26が接続してある。
スイッチング回路23を開閉駆動させる高周波信号は、電圧制御回路15から供給される。この電圧制御回路15は、出力変更回路30で検出した電圧に基づいて、スイッチング回路23を開閉駆動させる高周波信号を生成させる。
なお、この低電圧出力回路部20が出力する電源は、カメラ装置がスタンバイ状態のときの電源であり、カメラ装置の制御部などの一部だけを作動させる電源であり、比較的容量の小さな電源である。
【0027】
出力変更回路30の構成について説明すると、低電圧出力回路部20の出力部と、負極側の出力端子10bとの間を、抵抗器31,32の直列回路で接続する。そして、その抵抗器31,32の接続点の電圧を、比較器34で、可変基準電圧源33の出力電圧と比較し、その比較結果を、ダイオード17を介して電圧制御回路15に供給する。その比較結果に基づいて、電圧制御回路15は、スイッチング回路23のスイッチングを制御し、予め決められた電圧が、低電圧出力回路部20から出力されるようにしてある。この場合、可変基準電圧源33が出力する電圧により、その出力電圧は決まる。可変基準電圧源33が出力する電圧は、制御部12が制御する構成としてある。
本実施の形態においては、この制御部12による可変基準電圧源33の制御で、低電圧出力回路部20が出力する電圧を38Vとする構成としてある。但し、電圧切り替え時だけは、制御部12による可変基準電圧源33の制御で、一時的に低電圧出力回路部20が出力する電圧を38Vから110Vに変更するようにしてある。
【0028】
また、端子11bと出力端子10bとの間には、電流検出用抵抗器14aが接続してあり、その抵抗器14aの両端の電位を差動増幅器14bで検出して、電流を検出する構成としてある。この抵抗器14aと差増増幅器14bとは、定電流制御回路部14を構成する。
出力電流に対応した差増増幅器14bで検出された信号は、ダイオード18を介して電圧制御回路15に供給する。電圧制御回路15は、スイッチング回路23のスイッチング制御で、低電圧出力回路部20の出力電流が一定となるように制御する。
【0029】
[3.カメラ装置起動時の処理例]
次に、図2に示した電源出力部を備えたカメラ制御ユニット10に接続されたカメラ装置50を、カメラ制御ユニット10から起動させる際の処理例を、図3のフローチャートを参照して説明する。
まず、カメラ装置の起動前には、カメラ制御ユニット10は、カメラ装置50に対してスタンバイ用の電圧である38Vの電源を供給している。この38V電源の供給は、図2に示したスイッチ13を開状態として、低電圧出力回路部20の出力電源を、出力端子10aから出力させることで行われる。この38V電源供給状態では、カメラ装置50はスタンバイ状態となっている。
【0030】
この38V電源を供給した状態で、カメラ制御ユニット10に接続されたカメラ装置50を起動させる必要があるか否か判断する(ステップS11)。ここで、起動させる必要がない場合には、そのまま38V電源の供給を続ける。
【0031】
そして、カメラ装置50を起動させる必要が生じた場合には、低電圧出力回路部20の出力を検出する出力変更回路30内の可変基準電圧設定回路33が出力する基準電圧の電圧値を、110V用の基準電圧に変更する(ステップS12)。この基準電圧の変更で、電圧制御回路15が制御する電圧が変更されて、電圧出力回路部20から出力される電源の電圧が110Vに上昇する。
38Vから110Vへの電源電圧の変更は、スイッチング回路23を駆動する高周波信号の周波数などの変更で実行される。但し、38Vから110Vに変更されても、電源回路そのものは、比較的容量の小さな電源回路である低電圧出力回路部20を使用しているため、110V電源でカメラ装置を通常モードで駆動させるのは困難である。また、定電流制御回路部14の出力に基づいて電圧制御回路15が制御を行う構成としてあるため、38Vから110Vへの上昇は、定電流で比較的時間をかけて行われる。
【0032】
ステップS12で基準電圧を110V用の電圧に変更した後、制御部12は、電圧検出回路16で検出される電圧が110Vになったか否か判断する(ステップS13)。ここで110V以下が検出された場合には、110Vになるまで待機する。上述したように定電流制御であるため、基準電圧の変更から、ある程度の時間をかけて110Vに上昇することになる。
110Vになったことが検出された場合には、スイッチ13を閉状態に変化させ、電源回路11が出力する180V電源を直接出力端子10aから出力させる(ステップS14)。この110V電源から180V電源への変化は、スイッチ13の切り替わりで実行されるため、比較的迅速に電源電圧が180Vまで上昇する。
【0033】
次に、このカメラ制御ユニット10から出力される電源で作動するカメラ装置50での起動処理例について、図4のフローチャートを参照して説明する。
カメラ装置50は、先に説明したように、入力電源電圧が第1の電圧Vth1以上のとき、スタンバイ状態の動作モードなり、さらに第2の電圧Vth2以上に変化したとき、スタンバイ状態から通常動作モードに起動させるようにしてある。
【0034】
このような電圧設定を前提として、カメラ装置50の制御部52は、入力電源電圧が第2の電圧Vth2以上か否か判断する(ステップS21)。第2の電圧Vth2は、ここでは110Vであり、入力電源電圧が110V以上であるとき、制御部52がカメラ装置50内の撮像部53などの各部を作動させるように通常動作モードに起動させる(ステップS22)。
【0035】
また、ステップS21で入力電源電圧が第2の電圧Vth2以上でないと判断した場合には、入力電源電圧が第1の電圧Vth1以上か否か判断する(ステップS23)。この第1の電圧Vth1は、スタンバイ状態で最低限の動作を行うための電圧であるため、比較的低い電圧値としてあり、カメラ制御ユニット10から38Vが供給されているときには、第1の電圧Vth1以上であると判断される。
このステップS23で第1の電圧Vth1以上であると判断した場合には、スタンバイ状態の動作モードとし、制御部52とその周辺処理部などの一部だけを作動させる。
この図4のフローチャートの入力電圧判断を繰り返し、そのときの入力電源電圧値に応じた適正な動作モードを設定する。
【0036】
次に、図5を参照して、カメラ制御ユニット10の出力電圧が38Vから180Vに切り替わる際の変化例を説明する。
図5(a)は、カメラ制御ユニット10が出力する電源電圧の変化を示したものであり、図5(b)はカメラ装置側の突入電流Iaを示したものである。
【0037】
図5(a)に示したように、スタンバイ状態では38Vの電源が供給され、カメラ装置起動時には、その状態から180Vに変化させる処理が行われる。ここで本実施の形態においては、38Vから110Vに上昇するまでは、定電流制御回路部14の出力に基づいて電圧制御回路15が制御を行うため、定電流制御で比較的時間をかけて変化する特性(図5中の特性Va1)となる。この110Vに上昇するまでは、比較的小容量の電源である低電圧出力回路20を使用しているが、図4で説明したようにカメラ装置50はスタンバイ状態から起動せず、電圧を変化させても電源容量が不足することはない。
【0038】
そして、110Vになると、スイッチ13が切り替わって、比較的迅速な変化特性Va2で、180Vに上昇する。このときには、ある程度の突入電流Iaが図5(b)に示すように流れる。このときの突入電流Iaは、110Vから180Vへの変化で生じる電流であり、従来の38Vから180Vへの変化時に流れる突入電流(図6(b)の電流Ix)に比べて大幅に小さくすることができる。
従って本実施の形態のカメラ制御ユニット10でカメラ装置50を起動させることで、カメラ装置50の電源回路で生じる突入電流を抑制でき、カメラ装置50の出力過電圧保護動作が働くのを効果的に阻止できる。このことから、カメラ制御ユニット10とカメラ装置50を接続しているケーブルを従来よりも長くしても、起動用の電圧変化時に出力過電圧保護動作が行われなくなる。よって、従来よりも長距離のケーブルの接続で、カメラ制御ユニットがカメラ装置を制御できるようになる効果を有する。
また、カメラ制御ユニット10の電源出力部の構成としては、スタンバイ動作用のDC−DCコンバータである低電圧出力回路部20の制御状態を変えるだけであり、回路構成には殆ど変化がなく、コストを上昇させることなく実現できる効果を有する。
さらに、電源電圧切り替わり時に、カメラ装置内の電源回路に大きな突入電流が流れることがなくなることで、カメラ装置が備える電源回路内の回路素子に高電流が流れることがなくなる。このため、電源回路内のコンデンサなどの部品に与えるストレスが従来よりも小さくなり、電源回路に与えるダメージを少なくできる効果を有する。
【0039】
[4.変形例]
なお、上述した実施の形態で示した電源電圧の値は一例であり、この電圧値の処理に限定されるものではない。即ち、スタンバイ状態で給電する38V、通常動作時に給電する180V、カメラ装置が起動を開始する電圧である110Vは、いずれも一例であり、別の電圧値としたシステム構成としてもよい。
また、カメラ装置が起動を開始する電圧と、カメラ制御ユニットで電源回路を低圧側から高圧側に切り替える電圧とを一致させたが、カメラ装置が起動を開始する電圧よりも若干低い電圧で、電源回路を低圧側から高圧側に切り替えるようにしてもよい。
【0040】
また、図2に示した電源出力部の回路構成についても一例を示したものであり、図3に示した電源切り替わり時のシーケンス制御が行われて図5に示した変化特性となる電源出力処理が行われるものであれば、その他の回路構成で実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…光伝送ライン、2…制御ライン、3…電源ライン、10…カメラ制御ユニット、10a,10b…出力端子、11…電源回路、11a,11b…電源端子、12…制御部、13…スイッチ、14…定電流制御回路部、15…電圧制御回路、16…電圧検出回路、19…操作部、20…低電圧出力回路部、23…スイッチング回路、24…チョークコイル、30…出力変更回路、33…可変基準電圧設定回路、50…カメラ装置、51…電源部、52…制御部、53…撮像部、54…伝送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続されたカメラ装置をスタンバイ状態とする第1の電圧の電源と、カメラ装置を起動状態とする第1の電圧より高い第2の電圧の電源と、前記第1の電圧と前記第2の電圧の間の第3の電圧を生成して出力する電源出力部と、
接続されたカメラ装置を制御し、カメラ装置をスタンバイ状態から起動状態に変化させるとき、前記電源出力部の出力電源の電圧を、前記第1の電圧から前記第3の電圧に変化させた後、前記第2の電圧に変化させる制御を行う制御ユニット側制御部と、
を備えたカメラ制御ユニットと、
撮像を行う撮像部と、
前記カメラ制御ユニットから供給される電源が前記第1の電圧のとき、スタンバイ状態としての作動が可能で、前記カメラ制御ユニットから供給される電源が前記第3の電圧とほぼ等しい電圧以上のとき、前記撮像部を撮像可能に起動させるカメラ側制御部と、
を備えたカメラ装置とを有する
カメラ制御システム。
【請求項2】
前記カメラ制御ユニットの電源出力部は、
前記第2の電圧の電源を生成させる電源回路と、
前記電源回路が出力する第2の電圧を、前記第1の電圧に変換する変換回路と、
前記電源回路の出力と前記変換回路の出力とを切り替える切り替え部とを備え、
前記制御ユニット側制御部は、前記切り替え部で前記変換回路の出力を選択した状態で、前記変換回路を制御して前記第1の電圧から前記第3の電圧に電圧を変化させた後、前記切り替え部で前記電源回路の出力を選択する状態に変化させる
請求項1記載のカメラ制御システム。
【請求項3】
前記変換回路は、入力電源を高周波でスイッチングするスイッチング部と、前記スイッチング部でスイッチングされた電源を平滑化する平滑化部とを備えた
請求項2記載のカメラ制御システム。
【請求項4】
前記変換回路で前記第1の電圧から前記第3の電圧に変化させる際に、定電流制御で電圧を変化させる
請求項3記載のカメラ制御システム。
【請求項5】
接続されたカメラ装置をスタンバイ状態とする第1の電圧の電源と、カメラ装置を起動状態とする第1の電圧より高い第2の電圧の電源と、前記第1の電圧と前記第2の電圧の間で前記カメラ装置が起動を開始する電圧にほぼ等しい第3の電圧を生成して出力する電源出力部と、
接続されたカメラ装置を制御し、カメラ装置をスタンバイ状態から起動状態に変化させるとき、前記電源出力部の出力電源の電圧を、前記第1の電圧から前記第3の電圧に変化させた後、前記第2の電圧に変化させる制御を行う制御部と
を備えたカメラ制御ユニット。
【請求項6】
前記電源出力部は、
前記第2の電圧の電源を生成させる電源回路と、
前記電源回路が出力する第2の電圧を、前記第1の電圧に変換する変換回路と、
前記電源回路の出力と前記変換回路の出力とを切り替える切り替え部とを備え、
前記制御部は、前記切り替え部で前記変換回路の出力を選択した状態で、前記変換回路を制御して前記第1の電圧から前記第3の電圧に電圧を変化させた後、前記切り替え部で前記電源回路の出力を選択する状態に変化させる
請求項5記載のカメラ制御ユニット。
【請求項7】
前記変換回路は、入力電源を高周波でスイッチングするスイッチング部と、前記スイッチング部でスイッチングされた電源を平滑化する平滑化部とを備えた
請求項6記載のカメラ制御ユニット。
【請求項8】
前記変換回路で前記第1の電圧から前記第3の電圧に変化させる際に、定電流制御で電圧を変化させる
請求項7記載のカメラ制御ユニット。
【請求項9】
接続されたカメラ装置をスタンバイ状態とする第1の電圧の電源と、カメラ装置を起動状態とする第1の電圧より高い第2の電圧の電源と、前記第1の電圧と前記第2の電圧の間で前記カメラ装置が起動を開始する電圧にほぼ等しい第3の電圧を生成して出力する電源出力処理と、
接続されたカメラ装置を電源の供給でスタンバイ状態から起動状態に変化させるとき、前記電源出力処理で出力させる電源の電圧を、前記第1の電圧から前記第3の電圧に変化させた後、前記第2の電圧に変化させる制御を行う制御処理とを行う
カメラ電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−254126(P2011−254126A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124496(P2010−124496)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】