説明

カメラ管理サーバ、防犯サービス管理方法および防犯サービス管理プログラム

【課題】防犯サービスのサービス圏外にいる利用者の安全を補完する防犯サービスシステムを実現するためのカメラ管理サーバ。
【解決手段】位置情報を送信する位置通知機能と周囲の状況を記録し送信する状況記録機能とを有する携帯端末2、および監視カメラ3に、ネットワーク4を介して接続可能なカメラ管理サーバであって、監視カメラ3の設置位置と撮影エリアを示す情報を含むカメラ情報とを格納するカメラ情報格納部5と、携帯端末2から送信される位置情報およびカメラ情報格納部5に格納されているカメラ情報に基づいて、携帯端末2と監視カメラ3の撮影エリアとの位置関係を判断する圏外判断部6と、圏外判断部6が、携帯端末2が監視カメラ3の撮影エリア内に存在しないと判断した場合に、状況記録機能を起動させる起動信号を携帯端末2に送信するデータ送信部7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯サービスを実現するためのカメラ管理サーバ、防犯サービス管理方法および防犯サービス管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部を中心に犯罪防止を目的とした監視カメラの設置が進んでいる。監視カメラは、犯罪発生の防止や、病気の発症等の察知に役立つので、今後も設置が進むと考えられる。そして、監視カメラを利用した防犯サービスや介護サービス等の提供も想定される。
【0003】
特許文献1には、被保護者が安全な範囲から出たことを保護者に通知する移動体管理システムが記載されている。特許文献1に記載された移動体管理システムでは、被保護者に取り付けられたICカードから出力される微弱電波をセンサで検出し、検出した微弱電波の強さに基づいて、被保護者が安全な範囲から外に移動したか否かを判断する。また、移動体管理システムは、安全な範囲から外に移動する被保護者の外観を監視カメラで撮影して保護者に送信することもできる。
【0004】
また、特許文献2には、非常事態が発生した場合に、非常事態の発生現場付近を撮影する監視カメラシステムが記載されている。特許文献2に記載された監視カメラシステムでは、非常事態が発生した場合に携帯通信装置から非常時信号が発信されると、非常事態の発生現場に最も近い場所に設置された監視カメラを検索し、作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−87415号公報(段落0007,0066−0067)
【特許文献2】特開2007−329757号公報(段落0013,0031−0035)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された移動体管理システムでは、安全な範囲から外に移動する直前の被保護者の外観を監視カメラで撮影して保護者に送信することはできるが、監視カメラの撮影エリアを離れた被保護者の状況を知ることはできない。
【0007】
また、防犯サービスは、いつ発生するか分からない非常事態に備える必要があるが、特許文献2に記載された監視カメラシステムでは、非常時信号が発信されない場合にはシステムが作動しないので、非常事態が発生したときの様子を記録することができない。
【0008】
さらに、監視カメラを利用した防犯サービスでは、例えば、都市部の全てのエリアに監視カメラを設置することは難しく、監視カメラで撮影可能な範囲が限られるために、防犯サービスを提供可能なサービス圏が限定され、その防犯効果も限定的になってしまう。そのため、防犯サービスの利用者がサービス圏外にいる場合にも利用者の安全を考慮する防犯サービスの実現が期待される。
【0009】
そこで、本発明は、防犯サービスのサービス圏外にいる利用者の安全を補完する防犯サービスシステムを実現するためのカメラ管理サーバ、防犯サービス管理方法および防犯サービス管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるカメラ管理サーバは、位置情報を送信する位置通知機能と周囲の状況を記録し送信する状況記録機能とを有する携帯端末、および監視カメラに、ネットワークを介して接続可能なカメラ管理サーバであって、監視カメラの設置位置と撮影エリアを示す情報を含むカメラ情報とを格納するカメラ情報格納部と、携帯端末から送信される位置情報およびカメラ情報格納部に格納されているカメラ情報に基づいて、携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断する圏外判断部と、圏外判断部が、携帯端末が監視カメラの撮影エリア内に存在しないと判断した場合に、状況記録機能を起動させる起動信号を携帯端末に送信するデータ送信部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明による防犯サービス管理方法は、位置情報を送信する位置通知機能と周囲の状況を記録し送信する状況記録機能とを有する携帯端末、および監視カメラにネットワークを介して接続可能なカメラ管理サーバにおける防犯サービス管理方法であって、携帯端末から位置情報を受信し、受信した位置情報とカメラ情報格納部に格納されているカメラ情報とに基づいて、携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断し、携帯端末が監視カメラの撮影エリア内に存在しないと判断した場合に、状況記録機能を起動させる起動信号を携帯端末に送信することを特徴とする。
【0012】
本発明による防犯サービス管理プログラムは、位置情報を送信する位置通知機能と周囲の状況を記録し送信する状況記録機能とを有する携帯端末、および監視カメラにネットワークを介して接続可能なカメラ管理サーバに、携帯端末から受信した位置情報とカメラ情報格納部に格納されているカメラ情報とに基づいて、携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断する処理と、携帯端末が監視カメラの撮影エリア内に存在しないと判断した場合に、状況記録機能を起動させる起動信号を携帯端末に送信する処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、防犯サービスの利用者がサービス圏外にいる場合に、利用者の周囲の状況を記録し、監視者に送信する防犯サービスシステムを実現することで、防犯サービスのサービス圏外にいる利用者の安全を補完することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による第1の実施形態のカメラ管理サーバを含む防犯サービスシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】カメラ情報のテーブル例を示す説明図である。
【図3】利用者情報のテーブル例を示す説明図である。
【図4】行動履歴情報のテーブル例を示す説明図である。
【図5】図1に示す防犯サービスシステムが、防犯サービスを提供する動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明による第2の実施形態のカメラ管理サーバを含む防犯サービスシステムの構成例を示すブロック図である。
【図7】図6に示す防犯サービスシステムが、防犯サービスを提供する動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明によるカメラ管理サーバの主要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態1.
図1は、本発明による第1の実施形態(実施形態1)のカメラ管理サーバを含む防犯サービスシステムの構成例を示すブロック図である。図1を参照して、本発明による第1の実施形態のカメラ管理サーバ10の構成等を説明する。
【0016】
カメラ管理サーバ10および監視カメラ20(20a,20b)は、防犯サービスを提供する防犯サービス事業者によって管理される。防犯サービス事業者は、携帯端末30を携帯する利用者および情報端末40を所有する監視者に、防犯サービスを提供する。カメラ管理サーバ10、監視カメラ20、携帯端末30および情報端末40は、インターネット等のネットワーク100を介して相互に接続される。カメラ管理サーバ10、監視カメラ20、携帯端末30および情報端末40の動作は、例えば、プログラムにしたがって動作するCPUによって制御される。
【0017】
カメラ管理サーバ10は、データ送受信部11、圏外判断部12、カメラ情報DB13、利用者情報DB14および行動履歴DB15を備える。
【0018】
データ送受信部11は、ネットワーク100を介して、監視カメラ20、携帯端末30および情報端末40との間でデータの送受信を行う。
【0019】
例えば、データ送受信部11は、画像データ(映像データを含む)および音声データを監視カメラ20から受信する。また、データ送受信部11は、携帯端末30の位置を示す位置情報を携帯端末30から受信して圏外判断部12に送信する。また、例えば、データ送受信部11は、圏外判断部12から受信したサービス状況通知を携帯端末30や情報端末40に送信する。サービス状況通知とは、携帯端末30が、監視カメラ20によって撮影可能な範囲内(カメラ20の撮影エリア内)に存在するか否か、すなわち、利用者が防犯サービスのサービス圏内にいるか否かを示す通知である。
【0020】
圏外判断部12は、携帯端末30と監視カメラ20の撮影エリアとの位置関係を判断する。
【0021】
具体的には、圏外判断部12は、携帯端末30から受信する携帯端末30の位置情報と、カメラ情報DB13に格納されているカメラ情報とに基づいて、携帯端末30に最も近い場所に設置されている監視カメラ20(例えば、監視カメラ20a)を選択し、監視カメラ20aの撮影エリアを示す撮影エリア情報を抽出する。圏外判断部12は、携帯端末30の位置情報と、監視カメラ20aの撮影エリア情報とを比較して、携帯端末30が監視カメラ20aの撮影エリア内に存在するか否かを判断する。圏外判断部12は、判断結果に基づいたサービス状況通知を生成する。圏外判断部12は、生成したサービス状況通知をデータ送受信部11から携帯端末30や情報端末40に送信する。
【0022】
さらに、圏外判断部12は、携帯端末30に近い場所に設置されている複数の監視カメラ20の撮影エリア情報を抽出することもできる。圏外判断部12は、撮影エリア情報を抽出した監視カメラ20の撮影エリアと携帯端末30との距離を判断することもできる。
【0023】
カメラ情報DB13は、監視カメラ20に関する情報を示すカメラ情報を格納する。図2は、カメラ情報のテーブル例を示す説明図である。カメラ情報は、カメラID、監視カメラ20が設置されている位置を示すカメラ位置情報(例えば、緯度および経度で示される。)、および監視カメラ20の撮影エリア情報(例えば、緯度、経度および高さで示される。)等で構成される。
【0024】
利用者情報DB14は、防犯サービスの利用者および監視者に関する情報を示す利用者情報を格納する。図3は、利用者情報のテーブル例を示す説明図である。利用者情報は、防犯サービスの利用者ごとに割り当てられる利用者ID、携帯端末を識別するための携帯端末識別ID、および防犯サービスの監視者の連絡先を示す監視者連絡先(例えば、情報端末40のメールアドレスで示される。)等で構成される。
【0025】
行動履歴DB15は、防犯サービスの利用者に対する監視カメラ20の動作履歴を示す行動履歴情報を格納する。図4は、行動履歴情報のテーブル例を示す説明図である。行動履歴情報は、行動履歴の項目ごとに割り当てられる行動履歴ID、利用者ID、情報の取得時間、携帯端末30の位置情報(例えば、緯度および経度で示される。)、および利用者を監視した監視カメラ20を特定するカメラID等で構成される。行動履歴情報には、サービス状況通知で示されるサービス状況が含まれてもよい。
【0026】
カメラ情報、利用者情報および行動履歴情報は、データ送受信部11が受信するデータおよび圏外判断部12が処理するデータ等に基づいて生成される。例えば、圏外判断部12が、カメラ情報、利用者情報および行動履歴情報を生成し、それぞれの情報をカメラ情報DB13、利用者情報DB14または行動履歴DB15に格納する。
【0027】
監視カメラ20は、ネットワーク100に接続可能なビデオカメラ装置であって、防犯サービス事業者が提供する防犯サービスの提供エリアの圏内に、1台以上設置される。監視カメラ20は、カメラ管理サーバ10によって動作を制御される。監視カメラ20a,20bは、それぞれの設置場所の周囲の様子を撮影し、画像データや音声データで記録する。監視カメラ20a,20bには、それぞれ異なるカメラIDが割り当てられる。
【0028】
携帯端末30は、防犯サービスの利用者が携帯可能な携帯電話機等の情報処理装置である。携帯端末30は、位置情報取得部31、端末送受信部32および状況記録アプリケーション33を含む。
【0029】
位置情報取得部31は、携帯端末30が有するGPS(Global Positioning System )受信機(図示せず)によって得られる信号に基づいて、携帯端末30の現在位置を示す位置情報を取得する。位置情報は、例えば、緯度および経度で示される。位置情報取得部31は、取得した位置情報を端末送受信部32に送信する。
【0030】
端末送受信部32は、ネットワーク100を介して、カメラ管理サーバ10や情報端末40とデータの送受信を行う。例えば、端末送受信部32は、位置情報取得部31によって取得された位置情報をカメラ管理サーバ10のデータ送受信部11に送信する。また、例えば、端末送受信部32は、状況記録アプリケーション33によって記録された音声データや画像データを情報端末40に送信する。
【0031】
また、端末送受信部32は、受信したデータの内容に応じて、携帯端末30内部の機能を制御する。例えば、端末送受信部32は、カメラ管理サーバ10からサービス状況通知を受信した場合に、受信したサービス状況通知が示す内容を画面や音声で利用者に通知したり、状況記録アプリケーション33を起動させる起動信号を受信した場合に、状況記録アプリケーション33を起動させたりする。
【0032】
状況記録アプリケーション33は、音声記録部34、画像記録部35および通知先情報格納部36を含む。状況記録アプリケーション33は、例えば、携帯端末30に予めインストールされたアプリケーションソフトウェアで実現される。
【0033】
音声記録部34は、状況記録アプリケーション33によって携帯端末30のマイクロフォン(図示せず)で収集された音声データを格納する。画像記録部35は、状況記録アプリケーション33によって携帯端末30のカメラ(図示せず)で撮影された画像データを格納する。通知先情報格納部36は、状況記録アプリケーション33が取得する音声データおよび画像データの送信先を示す送信先情報を格納する。送信先情報には、監視者連絡先である情報端末40のメールアドレス等が含まれる。
【0034】
情報端末40は、ネットワーク100に接続可能なパーソナルコンピュータや携帯電話機等の情報処理装置である。情報端末40は、監視者連絡先としてメールアドレス等を有する。また、情報端末40は、カメラ管理サーバ10から送信されるサービス状況通知や携帯端末30から送信される音声データおよび画像データを画面に表示する機能を有する。
【0035】
図5は、図1に示す防犯サービスシステムが、防犯サービスを提供する動作を示すフローチャートである。図5を参照して、カメラ管理サーバ10を含む防犯サービスシステムが、携帯端末30を携帯する利用者および情報端末40を所有する監視者に、防犯サービスが提供される動作を説明する。
【0036】
まず、携帯端末30の位置情報取得部31が、携帯端末30の位置情報を取得する(ステップA1)。なお、ステップA1において、位置情報取得部31は、定期的に携帯端末30の位置情報を取得してもよい。端末送受信部32は、携帯端末30の位置情報をカメラ管理サーバ10のデータ送受信部11に送信する。
【0037】
カメラ管理サーバ10の圏外判断部12は、データ送受信部11が受信した携帯端末30の位置情報と、カメラ情報DB13に格納されているカメラ情報とに基づいて、携帯端末30に最も近い場所に設置されている監視カメラ20(例えば、監視カメラ20a)を選択し、監視カメラ20aの撮影エリア情報をカメラ情報から抽出する(ステップA2)。
【0038】
圏外判断部12は、携帯端末30の位置情報と監視カメラ20aの撮影エリア情報とを比較し、携帯端末30が、監視カメラ20aの撮影エリア内に存在するか否かを判断する(ステップA3)。
【0039】
携帯端末30が、監視カメラ20aの撮影エリア内に存在する場合には(ステップA3のY)、圏外判断部12は、利用者が防犯サービスのサービス圏内にいることを示すサービス状況通知を生成し、サービス状況通知をデータ送受信部11から携帯端末30の端末送受信部32に送信する。なお、圏外判断部12は、サービス状況通知をデータ送受信部11から情報端末40にも送信してもよい。端末送受信部32は、受信したサービス状況通知が示す内容を画面や音声で利用者に通知する(ステップA4)。圏外判断部12は、行動履歴情報を生成して行動履歴DB15に格納し、ステップA1に戻る。
【0040】
携帯端末30が、監視カメラ20aの撮影エリア内に存在しない場合には(ステップA3のN)、圏外判断部12は、利用者が防犯サービスのサービス圏内にいない、すなわち、サービス圏外にいることを示すサービス状況通知を生成し、サービス状況通知をデータ送受信部11から携帯端末30の端末送受信部32に送信する。端末送受信部32は、受信したサービス状況通知が示す内容を画面や音声で利用者に通知する(ステップA5)。圏外判断部12は、行動履歴情報を生成し、行動履歴DB15に格納する。
【0041】
次に、圏外判断部12は、監視カメラ30aの次に携帯端末30に近い場所に設置されている監視カメラ20(例えば、監視カメラ20b)を選択し、監視カメラ20bの撮影エリア情報をカメラ情報から抽出する(ステップA6)。
【0042】
圏外判断部12は、携帯端末30の位置情報と監視カメラ20bの撮影エリア情報とを比較し、監視カメラ20bの撮影エリアが、携帯端末30の位置から所定範囲(例えば、1km)以内に存在するか否かを判断する(ステップA7)。
【0043】
監視カメラ20bの撮影エリアが、携帯端末30の周囲の1km以内に存在する場合には(ステップA7のY)、ステップA1に戻る。
【0044】
監視カメラ20bの撮影エリアが、携帯端末30の周囲の1km以内に存在しない場合には(ステップA7のN)、圏外判断部12は、データ送受信部11から端末送受信部32に、状況記録アプリケーション33を起動させる起動信号(AP起動信号)を送信する(ステップA8)。
【0045】
起動信号を受信した端末送受信部32は、状況記録アプリケーション33(状況記録AP)を起動する。状況記録アプリケーション33は、マイクロフォンによる音声の収集と、カメラによる画像の撮影を開始する(ステップA9)。収集された音声データは音声記録部34に格納され、撮影された画像データは画像記録部35に格納される。
【0046】
状況記録アプリケーション33は、音声記録部34および画像記録部35を参照し、任意の間隔で、音声データおよび画像データを端末送受信部32から情報端末40に送信する(ステップA10)。音声データおよび画像データの送信先は、通知先情報格納部36に格納されている送信先情報に基づいて決定される。
【0047】
このようなカメラ管理サーバは、防犯サービスの利用者が、監視カメラ20による監視ができないようなサービス圏外にいる場合でも、携帯端末30で周囲の状況を音声データおよび画像データとして記録し、情報端末40を所有する監視者に送信させるので、防犯サービスのサービス圏外にいる利用者の安全を補完することができる。そして、サービス圏外にいる利用者の安全を補完することによって、利用者の安心感の向上を促し、防犯サービスの信頼性を高めることが期待できる。
【0048】
また、このようなカメラ管理サーバは、防犯サービスの利用者がサービス圏外にいる場合に、携帯端末30で音声データおよび画像データとして収集した周囲の状況を情報端末40に送信させるだけでなく、音声記録部34および画像記録部35に記録させるので、万が一、利用者が犯罪や事故等に巻き込まれた場合でも、事件の早期解決や事故の原因究明に貢献することができる。
【0049】
実施形態2.
図6は、本発明による第2の実施形態(実施形態2)のカメラ管理サーバを含む防犯サービスシステムの構成例を示すブロック図である。図6を参照して、本発明による第2の実施形態のカメラ管理サーバ50の構成を説明する。
【0050】
図6に示す防犯サービスシステムでは、カメラ管理サーバ50が圏外判断部を備えずにエリア情報抽出部16を備えることと、携帯端末60が端末判断部37をさらに備えることが、図1に示す防犯サービスシステムの構成と異なる。
【0051】
カメラ管理サーバ50のエリア情報抽出部16は、携帯端末60の周辺に設置されている監視カメラ20の撮影エリア情報を抽出する。エリア情報抽出部16は、携帯端末60の位置情報とカメラ情報DB13に格納されているカメラ情報とに基づいて、携帯端末60の位置から所定範囲以内に設置されている監視カメラ20(例えば、監視カメラ20a,20b)を選択し、当該監視カメラ20a,20bの撮影エリア情報を抽出する。
【0052】
携帯端末60の端末判断部37は、携帯端末60と監視カメラ20の撮影エリアとの位置関係を判断する。
【0053】
具体的には、端末判断部37は、位置情報取得部31が取得する携帯端末60の位置情報と、エリア情報抽出部16によって抽出されて端末送受信部32がカメラ管理サーバ50から受信する監視カメラ20a,20bの撮影エリア情報とに基づいて、携帯端末60が、携帯端末60に最も近い場所に設置されている監視カメラ20aの撮影エリア内に存在するか否かを判断する。端末判断部37は、判断結果に基づいたサービス状況通知を生成する。
【0054】
さらに、端末判断部37は、監視カメラ20aの次に携帯端末60に近い場所に設置されている監視カメラ20bの撮影エリアと携帯端末60との距離を判断することもできる。また、端末判断部37は、行動履歴情報も生成する。
【0055】
図7は、図6に示す防犯サービスシステムが、防犯サービスを提供する動作を示すフローチャートである。図7を参照して、カメラ管理サーバ50を含む防犯サービスシステムが、携帯端末60を携帯する利用者および情報端末40を所有する監視者に、防犯サービスを提供する動作を説明する。
【0056】
まず、携帯端末60の位置情報取得部31が、携帯端末60の位置情報を取得する(ステップB1)。なお、ステップB1において、位置情報取得部31は、定期的に携帯端末60の位置情報を取得してもよい。端末送受信部32は、携帯端末60の位置情報をカメラ管理サーバ10のデータ送受信部11に送信する。
【0057】
カメラ管理サーバ10のエリア情報抽出部16は、データ送受信部11が受信した携帯端末60の位置情報と、カメラ情報DB13に格納されているカメラ情報とに基づいて、携帯端末30の位置から所定範囲以内に設置されている監視カメラ20a,20bを選択し、監視カメラ20a,20bの撮影エリア情報をカメラ情報から抽出する。エリア情報抽出部16は、抽出した監視カメラ20a,20bの撮影エリア情報をデータ送受信部11から端末送受信部32に送信させる(ステップB2)。ここで、監視カメラ20aのほうが、監視カメラ20bよりも携帯端末30に近い場所に設置されているとする。
【0058】
端末判断部37は、携帯端末60の位置情報と、端末送受信部32がカメラ管理サーバ10から受信する監視カメラ20aの撮影エリア情報とを比較して、携帯端末60が、監視カメラ20aの撮影エリア内に存在するか否かを判断する(ステップB3)。
【0059】
携帯端末60が、監視カメラ20aの撮影エリア内に存在する場合には(ステップB3のY)、端末判断部37は、利用者が防犯サービスのサービス圏内にいることを示すサービス状況通知を生成する。端末送受信部32は、生成されたサービス状況通知が示す内容を画面や音声で利用者に通知する(ステップB4)。なお、端末判断部37は、サービス状況通知をデータ送受信部11から情報端末40に送信してもよい。端末判断部37は、行動履歴情報を生成して端末送受信部32からデータ送受信部11に送信させる。データ送受信部11は、受信した行動履歴情報を行動履歴DB15に格納し、ステップB1に戻る。
【0060】
携帯端末60が、監視カメラ20aの撮影エリア内に存在しない場合には(ステップB3のN)、端末判断部37は、利用者が防犯サービスのサービス圏内にいない、すなわち、サービス圏外にいることを示すサービス状況通知を生成する。端末送受信部32は、生成されたサービス状況通知が示す内容を画面や音声で利用者に通知する(ステップB5)。端末判断部37は、行動履歴情報を生成して端末送受信部32からデータ送受信部11に送信させる。データ送受信部11は、受信した行動履歴情報を行動履歴DB15に格納する。
【0061】
次に、圏外判断部12は、携帯端末60の位置情報と、監視カメラ30aの次に携帯端末30に近い場所に設置されている監視カメラ20bの撮影エリア情報とを比較し、監視カメラ20bの撮影エリアが、携帯端末60の位置から所定範囲(例えば、1km)以内に存在するか否かを判断する(ステップB6)。
【0062】
監視カメラ20bの撮影エリアが、携帯端末60の周囲の1km以内に存在する場合には(ステップB6のY)、ステップB1に戻る。
【0063】
監視カメラ20bの撮影エリアが、携帯端末60の周囲の1km以内に存在しない場合には(ステップB6のN)、端末判断部37は、状況記録アプリケーション33(状況記録AP)を起動する。状況記録アプリケーション33は、マイクロフォンによる音声の収集と、カメラによる画像の撮影を開始する(ステップB7)。収集した音声データは音声記録部34に格納され、撮影された画像データは画像記録部35に格納される。
【0064】
状況記録アプリケーション33は、音声記録部34および画像記録部35を参照し、任意の間隔で、音声データおよび画像データを端末送受信部32から情報端末40に送信する(ステップB8)。音声データおよび画像データの送信先は、通知先情報格納部36に格納されている送信先情報に基づいて決定される。
【0065】
このようなカメラ管理サーバは、携帯端末60の周辺に設置されている複数の監視カメラ20a,20bの撮影エリア情報を携帯端末60にまとめて送信するので、撮影エリア情報を受信したあとの携帯端末60は、携帯端末60だけでサービス状況通知を生成することができる。すなわち、このようなカメラ管理サーバ50は、カメラ管理サーバ50と携帯端末60との通信が困難な場合であっても、利用者に現在の防犯サービスのサービス状況を通知することができる。
【0066】
図8は、本発明によるカメラ管理サーバの主要部を示すブロック図である。図8に示すように、カメラ管理サーバ1(例えば、図1に示すカメラ管理サーバ10に相当)は、位置情報を送信する位置通知機能(例えば、図1に示す位置情報取得部31および端末送受信部32によって実現される。)と周囲の状況を記録し送信する状況記録機能(例えば、図1に示す状況記録アプリケーション33および端末送受信部32によって実現される。)とを有する携帯端末2(例えば、図1に示す携帯端末30に相当)、および監視カメラ3(例えば、図1に示す監視カメラ20a,20bに相当)に、ネットワーク4(例えば、図1に示すネットワーク100に相当)を介して接続可能なカメラ管理サーバであって、監視カメラ3の設置位置と撮影エリアを示す情報を含むカメラ情報とを格納するカメラ情報格納部5(例えば、図1に示すカメラ情報DB13に相当)と、携帯端末2から送信される位置情報およびカメラ情報格納部5に格納されているカメラ情報に基づいて、携帯端末2と監視カメラ3の撮影エリアとの位置関係を判断する圏外判断部6(例えば、図1に示す圏外判断部12に相当)と、圏外判断部6が、携帯端末2が監視カメラ3の撮影エリア内に存在しないと判断した場合に、状況記録機能を起動させる起動信号を携帯端末2に送信するデータ送信部7(例えば、図1に示すデータ送受信部11に相当)とを備えるように構成されている。
【0067】
また、上記の各実施形態では、以下の(1)〜(3)に示すようなカメラ管理サーバも開示されている。
【0068】
(1)圏外判断部は、携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断した判断結果を示すサービス状況通知を生成し、データ送信部は、圏外判断部によって生成されたサービス状況通知を携帯端末に送信する(例えば、図5のステップA3〜A5に示す動作によって実現される。)カメラ管理サーバ。
【0069】
(2)データ送信部は、圏外判断部が、携帯端末が携帯端末に最も近い場所に設置されている第1の監視カメラ(例えば、実施形態1の監視カメラ20aに相当)の撮影エリア内に存在せず、かつ、第1の監視カメラの次に携帯端末に近い場所に設置されている第2の監視カメラ(例えば、実施形態1の監視カメラ20bに相当)の撮影エリアが携帯端末の位置から所定範囲以内に存在しないと判断した場合に、起動信号を携帯端末に送信する(例えば、図5のステップA7〜A8に示す動作によって実現される。)カメラ管理サーバ。
【0070】
(3)位置情報を送信する位置通知機能、位置情報と監視カメラの撮影エリアを示す撮影エリア情報とに基づいて監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断する判断機能(例えば、図6に示す端末判断部37に相当)、および判断機能による判断結果に応じて周囲の状況を記録し送信する状況記録機能(例えば、図6に示す状況記録アプリケーション33に相当)とを有する携帯端末、および監視カメラにネットワークを介して接続可能なカメラ管理サーバであって、監視カメラの設置位置および撮影エリアを示す情報を含むカメラ情報を格納するカメラ情報格納部と、携帯端末から送信される位置情報とカメラ情報格納部に格納されているカメラ情報とに基づいて、携帯端末の位置から所定範囲以内に設置されている監視カメラを選択し、選択した監視カメラの撮影エリア情報をカメラ情報から抽出するエリア情報抽出部(例えば、図6に示すエリア情報抽出部16に相当)と、エリア情報抽出部によって抽出された撮影エリア情報を携帯端末に送信するデータ送信部とを備えたことを特徴とするカメラ管理サーバ(例えば、実施形態2のカメラ管理サーバ50によって実現される。)。
【符号の説明】
【0071】
1 カメラ管理サーバ
2 携帯端末
3 監視カメラ
4 ネットワーク
5 カメラ情報格納部
6 圏外判断部
7 データ送信部
10,50 カメラ管理サーバ
11 データ送受信部
12 圏外判断部
13 カメラ情報DB
14 利用者情報DB
15 行動履歴DB
16 エリア情報抽出部
20a,20b 監視カメラ
30,60 携帯端末
31 位置情報取得部
32 端末送受信部
33 状況記録アプリケーション
34 音声記録部
35 画像記録部
36 通知先情報記憶部
37 端末判断部
40 情報端末
100 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を送信する位置通知機能と周囲の状況を記録し送信する状況記録機能とを有する携帯端末、および監視カメラに、ネットワークを介して接続可能なカメラ管理サーバであって、
前記監視カメラの設置位置と撮影エリアを示す情報を含むカメラ情報とを格納するカメラ情報格納部と、
前記携帯端末から送信される位置情報および前記カメラ情報格納部に格納されているカメラ情報に基づいて、前記携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断する圏外判断部と、
前記圏外判断部が、前記携帯端末が監視カメラの撮影エリア内に存在しないと判断した場合に、前記状況記録機能を起動させる起動信号を前記携帯端末に送信するデータ送信部と
を備えたことを特徴とするカメラ管理サーバ。
【請求項2】
圏外判断部は、携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断した判断結果を示すサービス状況通知を生成し、
データ送信部は、前記圏外判断部によって生成されたサービス状況通知を前記携帯端末に送信する
請求項1記載のカメラ管理サーバ。
【請求項3】
データ送信部は、圏外判断部が、携帯端末が前記携帯端末に最も近い場所に設置されている第1の監視カメラの撮影エリア内に存在せず、かつ、前記第1の監視カメラの次に前記携帯端末に近い場所に設置されている第2の監視カメラの撮影エリアが前記携帯端末の位置から所定範囲以内に存在しないと判断した場合に、起動信号を前記携帯端末に送信する
請求項1または請求項2記載のカメラ管理サーバ。
【請求項4】
位置情報を送信する位置通知機能、位置情報と監視カメラの撮影エリアを示す撮影エリア情報とに基づいて監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断する判断機能、および前記判断機能による判断結果に応じて周囲の状況を記録し送信する状況記録機能とを有する携帯端末、および監視カメラにネットワークを介して接続可能なカメラ管理サーバであって、
前記監視カメラの設置位置および撮影エリアを示す情報を含むカメラ情報を格納するカメラ情報格納部と、
前記携帯端末から送信される位置情報と前記カメラ情報格納部に格納されているカメラ情報とに基づいて、前記携帯端末の位置から所定範囲以内に設置されている監視カメラを選択し、選択した監視カメラの撮影エリア情報をカメラ情報から抽出するエリア情報抽出部と、
前記エリア情報抽出部によって抽出された撮影エリア情報を前記携帯端末に送信するデータ送信部と
を備えたことを特徴とするカメラ管理サーバ。
【請求項5】
位置情報を送信する位置通知機能と周囲の状況を記録し送信する状況記録機能とを有する携帯端末、および監視カメラにネットワークを介して接続可能なカメラ管理サーバにおける防犯サービス管理方法であって、
前記携帯端末から位置情報を受信し、
前記受信した位置情報とカメラ情報格納部に格納されているカメラ情報とに基づいて、前記携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断し、
前記携帯端末が監視カメラの撮影エリア内に存在しないと判断した場合に、前記状況記録機能を起動させる起動信号を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする防犯サービス管理方法。
【請求項6】
携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断した判断結果を示すサービス状況通知を生成し、
前記生成されたサービス状況通知を前記携帯端末に送信する
請求項5記載の防犯サービス管理方法。
【請求項7】
位置情報を送信する位置通知機能と周囲の状況を記録し送信する状況記録機能とを有する携帯端末、および監視カメラにネットワークを介して接続可能なカメラ管理サーバに、
前記携帯端末から受信した位置情報とカメラ情報格納部に格納されているカメラ情報とに基づいて、前記携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断する処理と、
前記携帯端末が監視カメラの撮影エリア内に存在しないと判断した場合に、前記状況記録機能を起動させる起動信号を前記携帯端末に送信する処理とを実行させるための
防犯サービス管理プログラム。
【請求項8】
カメラ管理サーバに、
携帯端末と監視カメラの撮影エリアとの位置関係を判断した判断結果を示すサービス状況通知を生成する処理と、
前記生成したサービス状況通知を前記携帯端末に送信する処理とを実行させるための
請求項7記載の防犯サービス管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−182172(P2011−182172A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44154(P2010−44154)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】