説明

カメラ

【課題】 水中撮影時に誤って手放してしまった場合でも、容易に発見することが可能なカメラを提供する。
【解決手段】 デジタルカメラ2は、カメラ本体2aの水中での浮遊を防止する重り19と、操作者が把持するグリップ16、およびストラップ17に掛かる力を検出する第1、第2センサ20、21と、外部機器との信号の送受信を媒介するアンテナ13および通信I/F53と、第1、第2センサ20、21の検出結果を元に、操作者がグリップ16およびストラップ17を把持しているか否かを判定し、把持していない状態が所定時間経過した場合、磁石22および電磁コイル23による重り19の保持状態を解除して、重り19をカメラ本体2aから自動的に離脱させ、カメラ本体2aの所在を報知する報知信号を、アンテナ13および通信I/F53を介して外部機器に発信するCPU33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中での撮影を可能とするための防水機能を有するカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中での撮影を可能とするための防水機能を有するカメラとして、カメラ本体そのものを水密に構成したものや、通常のカメラを専用の防水ケースに収納したものが販売されている。
【0003】
上記のような水中撮影用カメラには、防水ケースの外側からリモコン操作によりレリーズ操作やズーム操作を行うことで、防水構造によって操作性が悪化することを防止することができるものが提案されている(特許文献1参照)。また、周囲の水の濁り具合を透明度検知部により評価し、この出力に基づいて焦点調整処理を行うことで、水中においても正確にオートフォーカス動作をすることが可能なものが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−287286号公報
【特許文献2】特開平8−194151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなカメラで水中撮影を行っている際に、水圧や水流などの影響で誤ってカメラを手放してしまい、紛失してしまうことが多々あった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、水中撮影時に誤って手放してしまった場合でも、容易に発見することが可能なカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、水中での撮影を可能とするための防水機能を有するカメラにおいて、取り付け具によりカメラ本体に着脱可能に保持され、前記カメラ本体の水中での浮遊を防止する重りと、操作者が把持する把持部に掛かる力を検出するセンサと、外部機器との信号の送受信を媒介する通信手段と、前記センサの検出結果を元に、前記操作者が前記把持部を把持しているか否かを判定し、把持していない状態が所定時間経過した場合に、前記取り付け具による前記重りの保持状態を解除して、前記重りを前記カメラ本体から自動的に離脱させるとともに、前記カメラ本体の所在を報知する報知信号を、前記通信手段を介して前記外部機器に発信する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
なお、前記把持部は、前記操作者が撮影時に把持するグリップ、および携帯時に把持するストラップであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカメラによれば、取り付け具によりカメラ本体に着脱可能に保持され、カメラ本体の水中での浮遊を防止する重りと、操作者が把持する把持部に掛かる力を検出するセンサと、外部機器との信号の送受信を媒介する通信手段と、センサの検出結果を元に、操作者が把持部を把持しているか否かを判定し、把持していない状態が所定時間経過した場合に、取り付け具による重りの保持状態を解除して、重りをカメラ本体から自動的に離脱させるとともに、カメラ本体の所在を報知する報知信号を、通信手段を介して外部機器に発信する制御手段とを備えたので、水中撮影時に誤って手放してしまった場合でも、容易に発見することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1および図2において、本発明を適用したデジタルカメラ2は、カメラ本体2aそのものが防水性を有しており、水中撮影が可能な構成となっている。カメラ本体2aの前面には、撮像レンズ10を保持するレンズ鏡筒11が配されている。また、上面には、レリーズボタン12、およびアンテナ13が配され、背面には、操作部14、および液晶表示器(LCD)15が設けられている。
【0011】
レリーズボタン12は、2段階押しのスイッチとなっている。被写体のフレーミングの後に、レリーズボタン12を軽く押圧(半押し)すると、自動露出調整(AE)、自動焦点調整(AF)などの各種撮影準備処理が施される。この状態でレリーズボタン12をもう1度強く押圧(全押し)すると、撮影準備処理が施された1画面分の撮像信号が画像データに変換された後、後述する画像処理および圧縮処理が施され、メモリカード49(図4参照)に記録される。
【0012】
アンテナ13は、例えばデジタルカメラ2の操作者が所有する電波受信機などの外部機器との信号の送受信を媒介する。操作部14は、デジタルカメラ2の電源のオンオフを行うための電源スイッチ、撮像レンズ10のズームレンズをワイド側、テレ側に変倍するズーム操作ボタン、LCD15にメニュー画面を表示させる際や、選択内容を決定する際に操作されるメニューボタン、およびメニュー画面内でカーソルを移動させる十字キーなどから構成される。LCD15は、撮影した画像やいわゆるスルー画像、各種メニュー画面を表示する。
【0013】
デジタルカメラ2では、静止画撮影を行う静止画撮影モード、動画撮影を行う動画撮影モード、撮影した画像をLCD15に表示する再生モード、および各種設定を行う設定モードが選択可能となっている。これらのモードの切り替えは、操作部14を操作することで行われる。動画撮影モードでは、動画の撮影とともに、図示しないマイクロホンを介して周囲の音声が収録される。
【0014】
カメラ本体2aの側面には、操作者が撮影時に把持するグリップ16が形成されている。また、操作者が携帯時に把持するストラップ17が、止め金18を介して結び付けられている。カメラ本体2aの他方の側面には、メモリカード49(図4参照)が着脱可能に装填されるメモリカードスロット(図示せず)が設けられている。さらに、底面には、カメラ本体2aの水中での浮遊を防止する重り19が取り付けられている。
【0015】
グリップ16、および止め金18が設けられたカメラ本体2aの内部には、第1、第2センサ20、21がそれぞれ埋め込まれている。第1センサ20は、シート状の圧電素子からなり、グリップ16に掛かる圧力を検出する。また、第2センサ21は、止め金18に掛かる張力を検出する。これら第1、第2センサ20、21は、デジタルカメラ2の電源投入とともに検出を開始し、検出結果をCPU33(図4参照)に逐次送信する。
【0016】
図3に示すように、重り19には、カメラ本体2aの底面と接触する面に、磁石22が取り付けられている。一方、カメラ本体2aの底面には、電磁コイル23が埋設されている。重り19は、これらの磁石22および電磁コイル23により、カメラ本体2aに着脱可能に保持される。
【0017】
カメラ本体2aは、水中で重り19が離脱した際に、自然に水面に浮かび上がるように浮力が付加されている。なお、重り19をカメラ本体2aに着脱可能に保持する手段としては、上記の磁石22および電磁コイル23に限らず、可動爪を利用したロック機構などの機械的な手段を用いてもよい。
【0018】
デジタルカメラ2の電気的構成を示す図4において、撮像レンズ10には、レンズモータ30が接続されている。また、絞り31には、アイリスモータ32が接続されている。これらのモータ30、32はステッピングモータからなり、CPU33に接続されたモータドライバ34、35から送信される駆動パルスにより動作制御され、レリーズボタン12の半押しに伴う撮影準備処理を行う。
【0019】
レンズモータ30は、操作部14のズーム操作ボタンの操作に連動して、撮像レンズ10のズームレンズをワイド側、あるいはテレ側に移動させる。また、被写体距離やズームレンズの変倍に応じて撮像レンズ10のフォーカスレンズを移動させ、撮影条件が最適となるように焦点調整を行う。アイリスモータ32は、絞り31を動作させ、露出調整を行う。
【0020】
撮像レンズ10および絞り31の背後には、撮像レンズ10を透過した被写体光が撮像されるCCD36が配置されている。CCD36には、CPU33によって制御されるタイミングジェネレータ(TG)37が接続されており、このTG37から入力されるタイミング信号(クロックパルス)により、電子シャッタのシャッタ速度が決定される。
【0021】
CCD36から出力された撮像信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)38に入力され、CCD36の各セルの蓄積電荷量に正確に対応したR、G、Bの画像データとして出力される。CDS38から出力された画像データは、増幅器(AMP)39で増幅され、A/D変換器(A/D)40でデジタルの画像データに変換される。
【0022】
画像入力コントローラ41は、バス42を介してCPU33に接続され、CPU33の制御命令に応じてCCD36、CDS38、AMP39、およびA/D40を制御する。A/D40から出力された画像データは、SDRAM43に一旦格納され、LCDドライバ44を介してLCD15にスルー画像として表示される。
【0023】
画像信号処理回路45は、SDRAM43から画像データを読み出して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像処理を施し、この画像データを再度SDRAM43に格納する。YC変換処理回路46は、画像信号処理回路45で各種処理を施された画像データをSDRAM43から読み出し、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとに変換する。圧縮伸長処理回路47は、この変換された画像データに対して、所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で画像圧縮を施す。圧縮された画像データは、メディアコントローラ48を経由してメモリカード49に記録される。
【0024】
CPU33には、前述のレリーズボタン12、操作部14、第1、第2センサ20、21、電磁コイル23の他に、EEPROM50が接続されている。EEPROM50には、各種制御用のプログラムや設定情報などが記録されている。CPU33は、これらの情報をEEPROM50から作業用メモリであるSDRAM43に読み出して、各種処理を実行する。
【0025】
バス42には、露出量、すなわち電子シャッタのシャッタ速度、および絞り31の絞り値が撮影に適切か否かを検出するとともに、ホワイトバランスが撮影に適切か否かを検出するAE/AWB検出回路51と、撮像レンズ10の焦点調整が撮影に適切か否かを検出するAF検出回路52と、アンテナ13を介して外部機器とのデータの送受信を行う通信I/F53とが接続されている。
【0026】
AE/AWB、AF検出回路51、52は、レリーズボタン12の半押し時に、バス42を介してCPU33に検出結果を逐次送信する。CPU33は、これらの検出回路51、52から送信される検出結果に基づいて、撮像レンズ10、絞り31、およびCCD36の動作を制御する。
【0027】
CPU33は、第1、第2センサ20、21の検出結果を元に、操作者がグリップ16またはストラップ17を把持しているか否かを判定する。具体的には、第1、第2センサ20、21の検出結果と、予め設定された閾値とを比較する。そして、検出結果が閾値よりも大きい場合は、操作者がグリップ16またはストラップ17を把持していると判定する。一方、検出結果が閾値よりも小さい場合は、把持していないと判定する。
【0028】
操作者がグリップ16およびストラップ17を把持していない状態が所定時間(例えば5分)経過した場合、つまり、操作者が誤ってデジタルカメラ2を手放してしまい、デジタルカメラ2が重り19の重みで水中に漂っている、あるいは沈んだ状態が所定時間続いた場合、CPU33は、電磁コイル23の極性を変化させて、磁石22と電磁コイル23との間に反発力を生じさせ、電磁コイル23による重り19の保持状態を解除して、重り19をカメラ本体2aから自動的に離脱させる。
【0029】
重り19を離脱させた後、CPU33は、デジタルカメラ2の所在を報知する報知信号(例えば、ある特定の周波数帯を有する電波)を、アンテナ13および通信I/F53を介して外部機器に発信する。
【0030】
次に、上記構成を有するデジタルカメラ2の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。まず、デジタルカメラ2で被写体の撮影を行う際には、電源スイッチを操作してデジタルカメラ2の電源を投入し、操作部14を操作して静止画撮影モード、あるいは動画撮影モードを選択する。
【0031】
撮影モード下において、撮像レンズ10、絞り31を介して入射した被写体光は、CCD36により光電変換され、CDS38でサンプリングされる。CDS38から出力された画像データは、AMP39で増幅され、A/D40でデジタルの画像データに変換される。
【0032】
デジタル変換された画像データは、画像信号処理回路45で各種画像処理が施された後、画像入力コントローラ41を介してSDRAM43に順次格納され、LCD15にスルー画像として表示される。この状態でレリーズボタン12が半押しされると、AE/AWB検出回路51、AF検出回路52により露出量、ホワイトバランス、焦点が検出され、この検出結果に基づいて撮影準備処理が施される。
【0033】
撮影準備処理後、レリーズボタン12の全押しにより撮影が実行されると、静止画撮影モード下では、そのときSDRAM43に格納されている画像データがYC変換処理回路46に読み出され、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとに変換された後、圧縮伸長処理回路47で圧縮処理が施され、メディアコントローラ48を経由してメモリカード49に記録される。
【0034】
一方、動画撮影モード下では、レリーズボタン12が再度全押しされるまで、一定のフレームレート(例えば30フレーム/秒)で画像データが記録される。また、これと同時にマイクロホンを介して周囲の音声が収録される。マイクロホンで収録された音声は、画像データと関連付けられてメモリカード49に記録される。
【0035】
デジタルカメラ2の電源投入とともに、第1、第2センサ20、21によるグリップ16およびストラップ17の止め金18に掛かる圧力および張力の検出が開始される。これら第1、第2センサ20、21の検出結果は、CPU33に送信される。
【0036】
CPU33では、第1、第2センサ20、21の検出結果と、予め設定された閾値とが比較される。そして、これらのセンサ20、21の検出結果が、ともに閾値よりも小さい状態が所定時間経過した場合、再度第1、第2センサ20、21で圧力の検出が行われる。
【0037】
次いで、再度検出した結果と閾値とがCPU33で比較され、検出結果がともに閾値よりも小さい場合には、磁石22と電磁コイル23との間で反発力が生じるように、CPU33により電磁コイル23の極性が変化されて、電磁コイル23による重り19の保持状態が解除され、重り19がカメラ本体2aから自動的に離脱される。重り19が離脱されると、デジタルカメラ2は、浮力により水面に浮かび上がる。
【0038】
重り19が離脱されてデジタルカメラ2が水面に浮かび上がった後、アンテナ13および通信I/F53を介して、CPU33によりデジタルカメラ2の所在を報知する報知信号が外部機器に発信される。操作者は、この発信された報知信号を頼りに、デジタルカメラ2がある地点まで向かい、デジタルカメラ2を回収する。
【0039】
上記のように、操作者がグリップ16およびストラップ17を把持しているか否かを、第1、第2センサ20、21の検出結果を元に判定し、操作者がデジタルカメラ2を誤って手放してしまったと判定した場合は、重り19を自動的に離脱させるとともに、報知信号を発信するようにしたので、デジタルカメラ2を容易に発見して回収することが可能となる。
【0040】
なお、デジタルカメラ2にGPS(Global Positioning System )機能を搭載しておき、GPS衛星から取得した位置情報を報知信号として発信するようにしてもよい。
【0041】
上記実施形態では、カメラ本体2aそのものに防水機能を持たせたデジタルカメラ2を例示して説明したが、専用の防水ケースに収納したものについても、本発明を適用することができる。
【0042】
本発明は、デジタルカメラ2に限らず、他のカメラ、例えばレンズ付きフイルムユニットやインスタントカメラ、銀塩カメラなどにも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を適用したデジタルカメラの正面外観斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面外観斜視図である。
【図3】重りをカメラ本体に着脱可能に保持する取り付け具の一例を示す図である。
【図4】デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】デジタルカメラの動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
2 デジタルカメラ
10 撮像レンズ
12 レリーズボタン
13 アンテナ
15 液晶表示器(LCD)
16 グリップ
17 ストラップ
19 重り
20、21 第1、第2センサ
22 磁石
23 電磁コイル
33 CPU
36 CCD
53 通信I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中での撮影を可能とするための防水機能を有するカメラにおいて、
取り付け具によりカメラ本体に着脱可能に保持され、前記カメラ本体の水中での浮遊を防止する重りと、
操作者が把持する把持部に掛かる力を検出するセンサと、
外部機器との信号の送受信を媒介する通信手段と、
前記センサの検出結果を元に、前記操作者が前記把持部を把持しているか否かを判定し、把持していない状態が所定時間経過した場合に、前記取り付け具による前記重りの保持状態を解除して、前記重りを前記カメラ本体から自動的に離脱させるとともに、
前記カメラ本体の所在を報知する報知信号を、前記通信手段を介して前記外部機器に発信する制御手段とを備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記把持部は、前記操作者が撮影時に把持するグリップ、および携帯時に把持するストラップであることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate



【図3】
image rotate



【図4】
image rotate



【図5】
image rotate


【公開番号】特開2005−316005(P2005−316005A)
【公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−131875(P2004−131875)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】