説明

カメラ

【課題】振れ補正レンズの校正動作が行われているときに発生する衝突音等をレンズ鏡胴の初期化により発生する駆動音等に紛れさせる。
【解決手段】レンズ鏡胴3は、カメラ1の電源がオンされたときに所定の突出位置まで突出し、電源がオフされたときに収納位置まで収納される。制御部22は、カメラ1の電源がオンされたときに、レンズ鏡胴3を収納位置から所定位置を通過して突出位置まで駆動させてレンズ鏡胴3の初期化を行う。なお、所定位置とは、振れ補正レンズ32が校正動作を開始するときのレンズ鏡胴3の位置である。制御部22は、レンズ鏡胴3が所定位置を通過した後に、振れ補正レンズ32の校正動作を開始し、レンズ鏡胴3の初期化が振れ補正レンズ32の校正動作と略同時に完了するようにレンズ鏡胴3の駆動速度を減速させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式手振れ補正機能を備えるカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
沈胴式のレンズ鏡胴を備えるカメラにおいて、光学式手振れ補正機能を有するカメラが知られている。沈胴式のレンズ鏡胴を備えるカメラでは、カメラの電源がオンになったとき、レンズ鏡胴が収納位置から繰り出され、撮影可能な状態に初期化される。また、光学式手振れ補正機能を有するカメラにおいて、カメラの電源がオンになったとき、光学式手振れ補正機能に用いる振れ補正レンズの位置調整について校正動作が行うことで手振れ補正機構の精度を確保する方法がある。
【0003】
振れ補正レンズの校正動作では、振れ補正レンズを可動制限枠の両端に接触させるため、衝突音や振動が発生することが知られている。特許文献1では、カメラ起動時に制御パラメータを適切に設定することにより、振れ補正レンズの校正動作において可動制限枠に衝突する速度を遅くし、衝突音を低減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
振れ補正レンズの校正動作における衝突音や振動を完全に無くすことは難しい。そこで、本発明は、振れ補正レンズの校正動作における衝突音や振動を、レンズ鏡胴の初期化時の駆動音や振動に紛らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるカメラは、ズーム光学系と振れ補正光学系とを有し、カメラ電源がオンされたときに所定の突出位置まで突出し、カメラ電源がオフされたときに収納位置に後退して収納されるレンズ鏡胴と、レンズ鏡胴を光軸方向に駆動してズーム光学系を光軸方向に駆動するズーム機構と、振れ補正光学系を光軸方向に直交する方向に駆動する振れ補正機構と、カメラ電源がオンされたときに、レンズ鏡胴を収納位置から所定位置を通過して突出位置まで駆動させてレンズ鏡胴の初期化を行うレンズ鏡胴初期化手段と、レンズ鏡胴が所定位置を通過した後に、振れ補正機構の初期化を行う振れ補正初期化手段と、レンズ鏡胴の駆動速度を減速させて、レンズ鏡胴初期化手段がレンズ鏡胴の駆動を完了するタイミングを、振れ補正初期化手段が振れ補正機構の初期化を完了するタイミングに略一致させる速度制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
振れ補正レンズの校正動作が行われているときに発生する衝突音等をレンズ鏡胴の初期化により発生する駆動音等に紛れさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるカメラの一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明によるカメラにおける(a)レンズ鏡胴の収納位置、(b)レンズ鏡胴が収納位置にあるときの振れ補正レンズの位置、(c)振れ補正レンズの校正動作の開始位置をそれぞれ例示する図である。
【図3】本発明によるカメラにおける(a)レンズ鏡胴の初期化が完了する位置と(b)レンズ鏡胴のズーム駆動範囲を例示する図である。
【図4】本発明によるカメラにおいて実行される、レンズ鏡胴の初期化と振れ補正レンズの校正動作に関するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態であるカメラの構成について、図1から図3を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるカメラの構成を説明するためのブロック図である。図1に示すカメラ1は、カメラボディ2と、沈胴式のレンズ鏡胴3とを備える。カメラボディ2は、撮像素子21と、制御部22と、レンズ鏡胴駆動部23と、レンズ鏡胴位置検出部24と、Yaw方向振れ検出部25と、Pitch方向振れ検出部26と、操作部27とを備える。
【0010】
レンズ鏡胴3は、ズームレンズ31と、振れ補正レンズ32と、フォーカシングレンズ33などの複数の光学系と、振れ補正レンズ位置検出部34と、振れ補正レンズ駆動部35とを備える。レンズ鏡胴3はカメラボディ2のレンズ鏡胴駆動部23により駆動される。そしてレンズ鏡胴3が駆動すると、ズームレンズ31およびフォーカシングレンズ33の光軸方向の位置が変化する。
【0011】
図2(a)は、カメラ1の電源がオフのときのレンズ鏡胴3の位置を示す。カメラ1の電源がオフのとき、レンズ鏡胴3はカメラボディ2の中に収納されている。以降、レンズ鏡胴3が図2(a)のようにカメラボディ2の中に収納されている位置のことを収納位置と称する。
【0012】
図2(b)は、収納位置にあるレンズ鏡胴3における振れ補正レンズ32の位置を示している。図2(b)に示されているようにレンズ鏡胴3が収納位置にあるとき、振れ補正レンズ32はレンズ鏡胴3の光軸(図2(b)では、レンズ鏡胴3の中心)から退避した位置にある。振れ補正レンズ32の周囲を囲んでいる多角形200は、レンズ鏡胴3が収納位置にあるときの振れ補正レンズ32の可動範囲を示している。レンズ鏡胴3が収納位置にあるとき、振れ補正レンズ32の可動範囲はレンズ鏡胴3の外枠に制限されている。
【0013】
カメラ1の電源がオンになると、レンズ鏡胴3の初期化が開始される。レンズ鏡胴3は、レンズ鏡胴駆動部23により駆動されてカメラボディ2の中から徐々に突出する。このとき、振れ補正レンズ32は、レンズ鏡胴3の駆動に連動して図2(b)に示す中心点201を中心に回転移動する。レンズ鏡胴3が所定位置まで駆動されると、振れ補正レンズ32は図2(c)に示す位置まで移動する。図2(c)の位置に移動した振れ補正レンズ32の可動範囲は、レンズ鏡胴3の外枠によって制限されず、図2(c)に八角形202で示す範囲となる。
【0014】
レンズ鏡胴3が上記所定位置を通過して図3(a)に示す所定の突出位置(たとえばワイド端)まで繰り出されると、レンズ鏡胴3の初期化が完了する。レンズ鏡胴3の初期化が終わったカメラ1は、撮影可能な状態にある。
【0015】
図3(b)は、レンズ鏡胴3の初期化が完了した後、撮影中にレンズ鏡胴3を駆動させることができる駆動範囲300を示している。撮影中は、レンズ鏡胴3がレンズ鏡胴駆動部23により駆動範囲300内で駆動されることによって、ズームレンズ31やフォーカシングレンズ33などのズーム光学系の光軸方向の位置が変化する。
【0016】
振れ補正レンズ位置検出部34は、振れ補正レンズ32の位置に対応した出力を制御部22へ行う。振れ補正レンズ位置検出部34は、たとえば位置検出用マグネットおよびホール素子との対で構成される。制御部22は、振れ補正レンズ位置検出部34の出力に基づいて、振れ補正レンズ32の位置を検出する。
【0017】
振れ補正レンズ駆動部35は、振れ補正レンズ32を光軸と直交する方向203に移動させる。振れ補正レンズ駆動部35は、たとえば一対のボイスコイルモータで構成される。一対のボイスコイルモータは、それぞれ駆動用マグネットとコイルとを有し、コイルに通電することによって振れ補正レンズ32を移動させる。振れ補正レンズ32は、振れ補正レンズ駆動部35によって光軸と直交する方向203に駆動されることにより、撮像素子21への被写体像の結像のブレを補正する。すなわち、被写体像を補正光学系で偏向させて撮像素子21上の被写体像の結像位置を補正して像振れを補正する。
【0018】
カメラボディ2の撮像素子21は、CCDやCMOSなどが用いられ、レンズ鏡胴3に備わった光学系により結像した被写体像を撮像して撮像信号を制御部22へ出力する。制御部22は、CPUや、メモリ、およびその他周辺回路によって構成されている。制御部22を構成するメモリには、SDRAMやフラッシュメモリなどが含まれる。SDRAMは、揮発性のメモリであって、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記憶するためのバッファメモリ等の用途で用いられる。フラッシュメモリは、不揮発性のメモリであって、CPUにより実行されるプログラムやプログラム実行時に読み込まれるパラメータなどが記憶されている。
【0019】
レンズ鏡胴駆動部23は、PWM(Pulse Width Modulation)制御可能なモータで構成され、レンズ鏡胴3を駆動する。レンズ鏡胴駆動部23は、制御部22によりそのデューティー比が設定され、設定されたデューティー比に対応した駆動速度でレンズ鏡胴3を駆動する。
【0020】
レンズ鏡胴位置検出部24は、レンズ鏡胴駆動部23によるレンズ鏡胴3の駆動量を検出する。たとえば、レンズ鏡胴駆動部23のモータ回転により生じるパルス信号をカウントすることにより、レンズ鏡胴3の駆動量を検出する。
【0021】
Yaw方向振れ検出部25は、カメラ1本体のヨーイング、すなわち横方向の振れを検出するためのジャイロである。また、Pitch方向振れ検出部26は、カメラ1本体のピッチング、すなわち縦方向の振れを検出するためのジャイロである。Yaw方向振れ検出部25およびPitch方向振れ検出部26は、それぞれその検出結果を制御部22へ出力する。制御部22は、Yaw方向振れ検出部25およびPitch方向振れ検出部26の出力に基づいて、カメラ1の振れ量を算出する。そして、振れ補正レンズ32をカメラ1の振れを打ち消す方向に、算出した振れ量に相当する移動量だけ移動させることにより振れ補正を行う。
【0022】
操作部27は、使用者によって操作される種々の操作部材、たとえば電源スイッチ、レリーズスイッチ、ズームスイッチなどが含まれる。カメラ1の電源がオフのときに電源スイッチが操作されると、カメラ1の電源がオンとなる。
【0023】
次に、振れ補正レンズ32の校正動作について説明する。レンズ鏡胴3の初期化中に振れ補正レンズ32が図2(c)の位置まで回転移動すると、制御部22は、振れ補正レンズ駆動部35を制御して振れ補正レンズ32の校正動作を開始させる。振れ補正レンズ32が図2(c)の位置に到達したか否かは、振れ補正レンズ32の回転がレンズ鏡胴3の駆動に連動しているため、レンズ鏡胴位置検出部24が検出するレンズ鏡胴3の駆動量に基づいて判定することができる。たとえば、レンズ鏡胴位置検出部24がカウントしたパルス数が所定のパルス数P1個以上になったか否かを判定する。なお、所定数P1は、予め定められており、制御部22のフラッシュメモリ内にパラメータとして記憶されている。
【0024】
振れ補正レンズ32の校正動作において、振れ補正レンズ駆動部35は、振れ補正レンズ32を可動範囲の両端まで移動させる。そして、このときの振れ補正レンズ位置検出部34の出力と振れ補正レンズ32の位置との対応関係を校正する。なお、このとき振れ補正レンズ32に備わる不図示の部材がレンズ鏡胴3の内部で衝突し、衝突音等が生じる。
【0025】
制御部22は、レンズ鏡胴3の初期化が完了するタイミングを、振れ補正レンズ32の校正動作が完了するタイミングに略一致するようにレンズ鏡胴3の駆動速度を減速制御する。振れ補正レンズ32の校正動作に伴って衝突音等が発生している間レンズ鏡胴3の初期化が行われることにより、レンズ鏡胴3の初期化時に発生する駆動音が振れ補正レンズ32の校正動作に伴って発生する衝突音を紛らす。
【0026】
制御部22は、振れ補正レンズ32が図2(c)の位置に到達し振れ補正レンズ32の校正動作を開始するときに、レンズ鏡胴3の駆動速度を減速制御する。レンズ鏡胴3の駆動速度は、レンズ鏡胴駆動部23のデューティー比を小さく設定することにより減速させることができる。たとえば、レンズ鏡胴3の初期化を開始したときから振れ補正レンズ32が図2(c)の位置に到達するまではレンズ鏡胴駆動部23のデューティー比を100%に設定し、振れ補正レンズ32が図2(c)の位置に到達してからは予め設計段階で測定した適切なデューティー比(たとえば、40%)に設定する。
【0027】
図4は、カメラ1の電源がオンになったときに制御部22が実行するのレンズ鏡胴3の初期化と、振れ補正レンズ32の校正動作に関するフローチャートの一例である。
【0028】
ステップS401では、制御部22は、レンズ鏡胴位置検出部24を制御して、レンズ鏡胴3の駆動量の検出を開始する。たとえば、レンズ鏡胴駆動部23のモータ回転により生じるパルス信号のカウントをレンズ鏡胴位置検出部24に開始させる。
【0029】
ステップS402では、制御部22は、レンズ鏡胴駆動部23のデューティー比をたとえば100%に設定し、レンズ鏡胴3の初期化を開始する。制御部22は、レンズ鏡胴3の初期化を開始したらステップS403へ処理を進める。
【0030】
ステップS403では、制御部22は、レンズ鏡胴位置検出部24により検出されるレンズ鏡胴3の駆動量が振れ補正レンズ32の校正動作が開始可能となる所定量以上になったか否か、すなわち振れ補正レンズ32が中心点201を中心とした回転移動により図2(c)の位置に到達したか否かを判定する。たとえば、レンズ鏡胴位置検出部24がカウントしたパルス数が所定のパルス数P1個以上か否かを判定する。制御部22は、ステップS403の判定が肯定判定されるまでステップS403の判定処理を繰り返し、肯定判定されたとき処理をステップS404へ進める。
【0031】
ステップS404では、制御部22は、振れ補正レンズ駆動部35を制御して、振れ補正レンズ32の校正動作を開始する。そして、ステップS405では、制御部22は、レンズ鏡胴駆動部23のデューティー比を所定の設定値(たとえば40%)に減じて、レンズ鏡胴3の初期化が振れ補正レンズ32の校正動作と同時に完了するようにレンズ鏡胴3の駆動速度を減速させる。
【0032】
ステップS406では、制御部22は、レンズ鏡胴3の初期化が完了したか否かを判定する。たとえば、レンズ鏡胴位置検出部24がレンズ鏡胴駆動部23のモータ回転により生じるパルス信号を所定数P2個以上カウントしたか否かを判定する。所定数P2は、レンズ鏡胴3を図3(a)に示すような所定値まで繰り出すために要するパルス数であって、所定数P1と同様に制御部22のフラッシュメモリにパラメータとして記憶されている。制御部22は、レンズ鏡胴3の初期化が完了したと判定されるまでステップS406を繰り返し、レンズ鏡胴3の初期化が完了したと判定されたとき図4の処理を終了する。
【0033】
以上説明した各実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
カメラ1は、ズームレンズ31およびフォーカシングレンズ33と、振れ補正レンズ32とを有するレンズ鏡胴3を備える。レンズ鏡胴3は、操作部27に含まれる電源スイッチにより電源がオンされたときに図3(a)の突出位置まで突出し、電源がオフされたときに図2(a)の収納位置まで収納される。レンズ鏡胴3は、レンズ鏡胴駆動部23により光軸方向に駆動され、その駆動に合わせてズームレンズ31およびフォーカシングレンズ33が光軸方向に駆動される。また、振れ補正レンズ32は、振れ補正レンズ駆動部35により光軸方向に直交する方向に駆動される。制御部22は、カメラ1の電源がオンされたときに、レンズ鏡胴3を収納位置(図2(a))から所定位置を通過して突出位置(図3(a))まで駆動させてレンズ鏡胴3の初期化を行う。なお、所定位置とは、レンズ鏡胴3の駆動に連動して中心点201を中心に回転移動した振れ補正レンズ32が図2(c)の位置に到達したときのレンズ鏡胴3の位置である。制御部22は、レンズ鏡胴3が所定位置を通過した後に、振れ補正レンズ32の校正動作を開始する(図4のステップS404)。制御部22は、レンズ鏡胴3の初期化が振れ補正レンズ32の校正動作と略同時に完了するようにレンズ鏡胴3の駆動速度を減速させる(図4のステップS405)。これにより、振れ補正レンズ32の校正動作が行われているときに発生する衝突音等をレンズ鏡胴3の初期化により発生する駆動音等に紛れさせることができる。
【0034】
以上の各実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
レンズ鏡胴3の初期化が完了する突出位置は、ワイド端に限定しない。たとえば、テレ端であってもよい。また、カメラ1のユーザが操作部27を用いて自由にズーム駆動の駆動範囲300内で突出位置を設定できるようにしてもよい。さらに、カメラ1の電源がオフになったときのレンズ鏡胴3の位置を制御部22のフラッシュメモリに記憶し、その位置を突出位置としてもよい。なお、ここでカメラ1の電源がオフになったときとは、カメラ1の電源がオンのときにユーザが電源スイッチを操作したときや、ユーザが操作部27を所定時間(5分)以上操作しなかったときなどである。
【0035】
上記の実施形態では、レンズ鏡胴駆動部23のデューティー比は、カメラ1の設計段階で測定した値に設定することとした。しかし、制御部22が不図示のタイマ等を利用してレンズ鏡胴3が突出位置から所定位置(振れ補正レンズ32が校正動作を開始する位置)まで駆動するのに要した時間t0を計時し、その時間t0に基づいてステップS405以降におけるレンズ鏡胴3の駆動速度を算出し、対応するデューティー比に設定することにしてもよい。たとえば、数式(1)を用いて減速後のレンズ鏡胴3の駆動速度v1を算出することにしてもよい。なお、数式(1)におけるv0は、ステップS402においてレンズ鏡胴3の初期化を介したときの駆動速度である。t1は、駆動速度v0でレンズ鏡胴3を駆動したときにレンズ鏡胴3の初期化に要する時間である。そして、t2は、振れ補正レンズ32の校正動作に要する時間である。時間t1は、カメラ1の設計段階で測定した値を制御部22のフラッシュメモリ等に記憶しておいてもよいし、時間t0と、所定パルス数P1およびパルス数P2とに基づいて数式(2)に基づいて算出してもよい。時間t2は、カメラ1の設計段階で測定した値を制御部22のフラッシュメモリ等に記憶しておけばよい。
v1=((t1−t0)/t2)×v0 ・・・(1)
t1=(P2/P1)×t0 ・・・(2)
【0036】
上記の実施形態では、レンズ鏡胴3はステップS405において減速してから所定の駆動速度で駆動されることとしたが、レンズ鏡胴3が所定位置を通過してから突出位置に到達するまでの期間で駆動速度を変更する制御を行ってもよい。たとえば、レンズ鏡胴3の駆動速度を所定割合で徐々に減速したり、段階的に減速したりしてもよい。
【0037】
なお、本発明は、レンズ鏡胴が収納位置にあるときに振れ補正レンズが既に図2(c)の位置にあるようなレンズ鏡胴を有するカメラにも適用できる。
【0038】
以上で説明した各実施の形態や各種変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。たとえば、発明の特徴が損なわれない範囲で各実施形態や各種変形例を任意に組み合わせて実行してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 カメラ
2 カメラボディ
3 レンズ鏡胴
21 撮像素子
22 制御部
23 レンズ鏡胴駆動部
24 レンズ鏡胴位置検出部
32 振れ補正レンズ
34 振れ補正レンズ位置検出部
35 振れ補正レンズ駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズーム光学系と振れ補正光学系とを有し、カメラ電源がオンされたときに所定の突出位置まで突出し、前記カメラ電源がオフされたときに収納位置に後退して収納されるレンズ鏡胴と、
前記レンズ鏡胴を光軸方向に駆動して前記ズーム光学系を前記光軸方向に駆動するズーム機構と、
前記振れ補正光学系を前記光軸方向に直交する方向に駆動する振れ補正機構と、
前記カメラ電源がオンされたときに、前記レンズ鏡胴を収納位置から所定位置を通過して前記突出位置まで駆動させて前記レンズ鏡胴の初期化を行うレンズ鏡胴初期化手段と、
前記レンズ鏡胴が前記所定位置を通過した後に、前記振れ補正機構の校正を行う振れ補正校正手段と、
前記レンズ鏡胴の駆動速度を減速させて、前記レンズ鏡胴初期化手段が前記レンズ鏡胴の駆動を完了するタイミングを、前記振れ補正校正手段が前記振れ補正機構の校正を完了するタイミングに略一致させる速度制御手段と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
撮影時に前記レンズ鏡胴が駆動する範囲内に前記突出位置を設定する突出位置設定手段をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラにおいて、
前記突出位置設定手段は、前記カメラ電源がオフされたときに前記レンズ鏡胴が前記収納位置への後退を開始したときの前記レンズ鏡胴の位置を前記突出位置に設定することを特徴とするカメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−230330(P2012−230330A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99975(P2011−99975)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】