説明

カラオケ集合店舗における飲食物セルフオーダーPOSシステムと連携するカラオケ客室システム

【課題】カラオケ集合店舗において、カラオケと客の飲食物注文意欲とを連動させる。
【解決手段】電子メニュー注文装置は、メニューデータベースを記憶し、カラオケ装置から割引電文が通知された際に割引フラグをセットする処理と、操作入力に応答してメニューデータベースにおける各品目情報を選択可能にして表示して注文入力を受け付ける処理と、注文入力を受け付けた際、割引フラグがセットされていれば割引情報を含む注文情報をPOSシステムに出力して割引フラグをリセットし、割引フラグがセットされていなければ割引情報を含まない注文情報をPOSシステムに出力する処理とを行い、カラオケ装置は、割引課題曲の楽曲IDを記憶し、演奏する楽曲が割引課題曲である場合、この曲を歌って採点が良ければ飲食物の料金割引になる旨のメッセージを表示し、当該楽曲の演奏時の採点データが基準を超えた場合には電子メニュー注文装置に割引電文を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラオケ集合店舗において電子メニュー注文装置とカラオケ装置が通信可能に装備されたカラオケ客室システムに関し、具体的には、客が操作してカラオケ楽曲の検索と楽曲の演奏予約を行うためのカラオケリモコン装置としての機能と、客が操作して飲食物を注文するためのセルフオーダーPOSシステムの端末としての機能とを備えた電子メニュー注文装置と、カラオケ装置とが連携するカラオケ客室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケボックスなどのカラオケ集合店舗では、複数の客室のそれぞれにカラオケ装置が設置されている。客は、客室を時間単位で借り、その利用時間内で自由にカラオケ楽曲をカラオケ装置に演奏させて歌唱を楽しむことができる。また、飲食物を注文して客室で飲食をすることもできる。そのため、カラオケ集合店舗には、周知のPOSシステムが導入されている。
【0003】
POS(point of sales)とは、商品の販売・支払いの現場で、その販売に関わるデータ(品目、数量、販売時刻など)を収集することである。そして、飲食店における一般的なPOSシステムは、店舗における売上を管理するオーダリングコントローラなどと呼ばれるコンピュータと、客からの注文に関する情報をオーダリングコントローラへ無線送信するPOS端末、POS端末より入力された注文情報を印刷して厨房に伝えるためのプリンタ、レジ精算時に価格計算やレシートの発行を行うPOS対応レジスタなどを含んで構成されている。
【0004】
カラオケ集合店舗において、客が飲食物を注文する場合、客は、客室にあるインターフォンなどを使って店員を呼び、メニューを見て決めた希望の品目を店員に伝える。店員は、注文された品目をPOS端末により入力する。それによって、客の注文に関する情報が厨房にて印刷出力されて、調理すべき品目や配膳先が調理人や配膳係に通知される。また注文情報は、オーダリングコントローラに送信されて記憶されるとともに、客が退出するときにはフロント等に設置されているレジスタが客室毎の飲食代金を集計し、店員がその集計結果に基づいて、客室の利用料金とともに飲食に関わる代金を客に請求する。
【0005】
ところで、近年のカラオケ装置は、ユーザ入力を無線通信により受け付けるリモコン装置として楽曲検索機能を実装したタブレットコンピュータ(客室端末)を付属している。そして、この客室端末に電子メニュー注文装置としての機能を追加実装し、客が客室端末を操作して自分で飲食物を注文することができるようになった(非特許文献1参照)。また、下記特許文献1には客室端末とPOSとを連携させるためのカラオケ集中管理方法に関する技術が記載されている。
【0006】
電子メニュー注文装置機能を備えた客室端末は、メニューに掲載されている飲食物の品目を選択可能にして客に提示するとともに、客が指定した品目の注文情報をPOSシステムに与える。このような客が自分で飲食物を注文できるPOSシステム(セルフオーダーPOSシステム)によれば、客がいちいち店員を呼ばなくても飲食物を注文できるようになり、店員を呼ぶ時間を削減でき、注文機会が増える。それによって、カラオケ集合店舗における飲食に関わる売り上げを伸ばすことが期待できる。
【特許文献1】特開平2004−334066号公報
【非特許文献1】株式会社エクシング、”カラオケ店舗向け「オーダーエントリーシステム」発売”、[online]、[平成17年12月16日検索]、インターネット<URL:http://www.xing.co.jp/news/news051109.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カラオケ集合店舗では、各客室の利用時間が決められている。そして、利用料金は、ルームチャージとして、あるいは客一人ごとに請求される。客は、客室利用料金を支払えば、利用時間以内にカラオケ楽曲を何曲でも歌唱することができる。したがってカラオケ集合店舗における客室利用に関わる収益は、客室数と1日の営業時間によって上限が決まってしまう。より収益を上げようとすれば、客により多くの飲食物を注文してもらわなくてはならない。しかし、客がカラオケに夢中になれば、自ずと飲食物を注文する機会が減少する。
【0008】
本発明者らは、カラオケ集合店舗における収益を向上させるために、カラオケを歌唱することと、飲食物の注文意欲とを連動させることが必要であると考えた。そして、電子メニュー注文装置機能を備えた客室端末なら、カラオケを利用するための操作と、飲食物を注文する操作とが同じハードウエアで行える、という利点に着目し、カラオケ装置と客室端末を含む客室のコンピュータシステム(カラオケ客室システム)とPOSシステムとを連携させて飲食物の注文機会を増やそうと考え、本発明を創作した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、次の要件(1)〜(10)によって特定されるものである。
(1)カラオケ集合店舗の各客室において電子メニュー注文装置とカラオケ装置が通信可能に装備されたカラオケ客室システムであること
(2)電子メニュー注文装置は、メニューデータベースと、表示手段と、入力手段と、制御手段とを備えること
(3)メニューデータベースは、品目IDに対応付けした品目情報を集約すること
(4)表示手段は、制御手段の制御により画像を表示すること
(5)入力手段は、客による操作入力を受付可能とすること
(6)制御手段は、割引フラグ処理と、メニュー処理と、POS処理とを行うこと
(7)割引フラグ処理は、カラオケ装置から割引電文が通知された際に割引フラグをセットすること
(8)メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付けること
(9)POS処理は、メニュー処理にて注文入力を受け付けた際、割引フラグがセットされていれば割引情報を含む注文情報をPOSシステムに出力して割引フラグをリセットし、割引フラグがセットされていなければ割引情報を含まない注文情報をPOSシステムに出力すること
(10)カラオケ装置は、割引課題曲の楽曲IDを記憶し、演奏する楽曲の楽曲IDが割引課題曲である場合、この曲を歌って採点が良ければ飲食物の料金割引になる旨のメッセージを表示し、当該楽曲の演奏時の採点データが基準を超えた場合には電子メニュー注文装置に割引電文を通知すること
【0010】
また本発明は、上記要件(1)〜(10)に加え、以下の要件(21)(22)を充足するカラオケ客システムにも及んでいる。
(21)割引フラグ処理は、割引フラグをセットする際、カラオケ装置から通知された割引電文に含まれる品目IDを当該フラグに対応付けすること
(22)カラオケ装置は、割引課題曲の楽曲IDに品目IDを対応付けして記憶し、演奏する楽曲の楽曲IDが割引課題曲である場合、この曲を歌って採点が良ければ対応する品目IDの飲食物の料金が割引になる旨のメッセージを表示し、当該楽曲の演奏時の採点データが基準を超えた場合には電子メニュー注文装置に当該品目IDを含む割引電文を通知すること
【発明の効果】
【0011】
本発明者らは、客室のレンタル料を基本としたカラオケ集合店舗における収益構造には限界がある、ということを認識していた。そのため、歌唱音声をCDに録音できるサービスなど、カラオケに付随する有料サービスを展開し、収益の改善を試みている。
【0012】
その一方で、カラオケ集合店舗における売り上げの多くが客室での飲食に関わる代金によるものであることを鑑み、カラオケに付随するサービスを客室における飲食物の注文機会の増加に直結できる新規なサービスを模索していた。本発明は、このような背景に基づいてなされたものである。
【0013】
本発明のカラオケ客室システムによれば、カラオケ集合店舗を訪れた客がある楽曲の演奏予約を行ったとき、その楽曲が割引課題曲であれば、当該楽曲を歌って採点が良ければ飲食物の料金割引にすることができる。そのため、客は、楽曲の歌唱をゲーム感覚で楽しむことができるとともに、その歌唱による採点結果が良ければ飲食物の料金が割り引かれるので何か飲食物を追加注文してみようという気になる。
【0014】
したがって、客のカラオケの歌唱意欲と飲食物の注文意欲とが連動し、カラオケに夢中になっていたとしても飲食物の注文機会が増加することが期待できる。すなわち、カラオケ集合店舗の収益向上が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
===カラオケ集合店舗におけるネットワーク構成===
図1に本発明のカラオケ客室システムを設置したカラオケ集合店舗(以下、カラオケ店舗)におけるネットワーク構成を示した。この実施例のカラオケ客室システム1は、周知の通信カラオケシステムの一部であり、カラオケ店舗100には、各客室120に設置されているカラオケ装置2を相互接続するLAN110を主体としたカラオケシステムと、飲食物の注文に関わる各種業務を担う周知のPOSシステム60の2つのネットワークが併存している。カラオケシステムとPOSシステム60とはゲートウエイ50を介して接続され、カラオケシステムからPOSシステム60への通信を可能としている。各店舗100のLANはインターネット80aを利用したVPN80bを介してカラオケ事業者が管理するホスト装置90と接続され、カラオケ装置2はホスト装置90からカラオケデータの配信を受ける。
【0016】
カラオケ装置2に付属する客室端末30は、自身に実装されている所定規格の無線LANインタフェース(IEEE 802.11a,IEEE 802.11b,IEEE 802.11gなど)により、無線アクセスポイント50を介してカラオケシステムのLAN110に接続してカラオケ装置2と通信する。また客室端末30は、電子メニュー注文装置としても機能し、LAN110とゲートウエイ50とを経由してPOSシステム60に対して飲食物の品目や料金に関わる注文情報を送信する。POSシステム60では、受け付けた注文情報に基づいて、例えば、厨房に設置されたプリンタに品目や配膳先の客室が印刷出力されたり、カラオケ店舗100のフロントにおけるPOS対応レジスタに向けて出力されたりする。
【0017】
===カラオケ客室システムの基本的な構成と動作===
本実施例のカラオケ客室システム1は、各客室120に設置されるカラオケ装置2と客室端末30とにより構成される。図2にカラオケ装置2の機能ブロック構成を示した。また、図3に客室端末30の外観図を示した。カラオケ装置2は、周知の通信カラオケシステムの演奏端末とほぼ同様のハードウエア構成となっている。中央制御部11は、各周辺構成部を制御してカラオケ装置2を統括し、ハードディスク装置12には多数のカラオケ楽曲について、MIDIデータを主体とした伴奏音楽データと、歌詞画像の生成起源となる歌詞描出データとを含むカラオケデータが蓄積されている。また、曲名やアーティスト名などの目次情報と、所定形式の長時間分の動画データと、動画データの処理シーケンス(処理すべき動画データの格納場所と処理順番など)を規定した台本データなども格納されている。そして、中央制御部11は、各楽曲のカラオケデータや目次情報、台本データなどを楽曲IDによって識別し、これをカラオケデータベースとして管理している。そして、ネットワークインタフェース23を介して適時に接続したホスト装置90からカラオケデータを受け取ってカラオケデータベースの内容を更新する。
【0018】
カラオケ装置2に付属する客室端末30のハードウエア構成は、基本的には、無線LANインタフェースを備えた周知のタブレットコンピュータと同じであり、内蔵するハードディスク装置などの外部記憶にはカラオケ装置2に蓄積されているものと同様の目次情報や、タッチパネル31に表示する各種画像情報などが蓄積され、これら蓄積情報を楽曲索引データベースとして管理している。また、演奏予約などの操作対象となる同じ客室のカラオケ装置2についての所在情報(IPアドレスなど)も外部記憶に記憶されている。
【0019】
客室端末30は、タッチパネル31を介した利用者との対話を通じて目次情報の断片をクエリーとして受け付け、該当するカラオケ楽曲の目次情報を楽曲索引データベースより取り出して提示する。そして、客室端末30において、最終的にカラオケ楽曲が1曲に特定され、その楽曲を演奏予約する旨の利用者入力がなされると、楽曲IDを含む演奏予約コマンドのコードを無線LANインタフェースを介して接続したLAN110を経由して同じ客室120にあるカラオケ装置2に向けて転送する。
【0020】
カラオケ装置2の中央制御部11は、客室端末30からLAN110を経由して送付されてきた楽曲IDをネットワークインタフェース22を介して受け取る。あるいは、カラオケ装置2に配設された操作パネル14に入力された楽曲IDを操作制御部13を介して受け取る。受け取った楽曲IDを内部のRAMに格納して演奏処理の待ち行列で管理する。そして、待ち行列から楽曲IDを順次取り出し、該当のカラオケデータをハードディスク装置12より読み出し、このカラオケデータ中の伴奏音楽データをシンセサイザ18に転送して伴奏音楽を生成させる。
【0021】
一方、歌詞描出データについては、伴奏音楽に同期して歌唱すべき箇所が色変わりする歌詞画像をビデオRAM15に順次ビットマップ展開していく。また、台本データに基づいて所定の動画データを所定の順番で映像制御部16に順次転送して歌詞画像の背景動画を復号させる。
【0022】
ミキシングアンプ19は伴奏音楽と、マイクロホン21に入力された歌声音声とを混合・増幅してスピーカ20より音響出力する。映像制御部16は、復号した動画映像に歌詞画像をスーパーインポーズ処理してディスプレイ17に表示出力する。
【0023】
また、カラオケ装置2は、伴奏音楽に合わせて歌唱状態の巧拙を評価する歌唱採点機能を備えている。そして、その機能を実現するためのハードウエアとして歌唱採点部23を備えている。中央制御部11は、歌唱採点機能を利用する旨の利用者入力を受け付けると、演奏楽曲のカラオケデータにおける主旋律の楽音情報を逐次歌唱採点部23に転送していく。歌唱採点部23は、マイクロホン21から入力される歌唱音声信号をサンプリングしてデジタル歌声データに変換し、この歌声データから歌声ピッチを抽出する。そして、ピッチ基準値と歌声ピッチとを比較し、その比較結果に基づく得点を、例えば1小節ごとなど、適宜な区間ごとに逐次出力していく。なお本実施例では100点満点の区間得点を逐次出力する。中央制御部11は、演奏終了後など全歌唱パートの演奏が終わった時点で、それまでに歌唱採点部23から逐次出力された区間得点を集計し、その平均得点(最終得点)を採点結果としてディスプレイ17に表示する。
【0024】
上述したように、客室端末30は、電子メニュー注文装置としても機能する。外部記憶には、注文可能な飲食物の品目についての品目情報(名称、画像、価格、カロリーなど)がメニューデータベースとして記憶されている。客室端末30は、各品目を品目IDによって識別し、各品目IDに品目情報(名称、画像、価格、カロリーなど)を対応付けして管理している。そして、所定の操作入力を受け付けると、メニューデータベースの各品目情報をタッチパネル31に表示し、その表示した品目の注文入力を受け付け可能とする。図4〜図7は、客がある品目を注文するまでにタッチパネル31に表示される画面概略図である。客室端末30の起動時に表示されるトップ画面(図4、130)には、カラオケ楽曲の検索と演奏予約のための操作を行うためのボタン群131を主体とした画面構成である。そして、この画面130にある電子メニュー注文装置機能の呼び出しボタン132を指示すると、電子メニュー注文装置としてのトップ画面(メニュートップ画面:図4、140)が表示される。このメニュートップ画面140には、品目を飲み物と食べ物をそれぞれ個別に検索するためのボタン(141,142)が配設され、客は、このメニュートップ画面140を起点として、注文したい品目を検索し、目的とする品目を選択するための品目選択画面(図6、150)をタッチパネル31に表示させる。そして、表示中の品目から特定の品目について注文数をリストダウンボックス151より指定し、その品目に対応する選択ボタン152を指示すると、選択した品目を確認して注文するための注文画面(図7、160)が表示される。客は、この画面160により注文品目と数量を確認し、注文の最終決定を下す。なお、この画面160にも数量を指定するためのリストダウンボックス161があり、数量を再度指定し直せる。注文に間違いがなければ、「注文」ボタン162を指示して注文を確定させる。注文しない場合には「キャンセル」ボタン163を指示し、先の品目を選択する画面150に画面を戻す。
【0025】
客室端末30は、注文画面160における「注文」ボタン162への指示操作を受け付けると、該当する品目IDとその数量、および客室端末30のIDを含む注文情報をPOSシステム60に向けて出力する。POSシステム60は、受け付けた注文情報に基づいて、注文者および配膳先となる客室と、注文された品目とを特定し、その後のPOS業務のための処理に移行する。
【0026】
===割引課題曲===
カラオケ装置2のカラオケデータベースは、特定の楽曲を割引課題曲として、その楽曲IDに割引課題曲である旨の符号を付帯させて識別管理している。そして、本実施例のカラオケ客室システム1は、カラオケ装置2における歌唱採点機能と、客室端末30における電子メニュー注文装置機能とを連動させることで、割引課題曲を歌唱する客の飲食物注文意欲を向上させることができる。具体的には、客により演奏予約された楽曲が割引課題曲である場合、その楽曲演奏時に歌唱採点機能を作動させ、歌唱採点結果が所定の基準以上であれば、飲食物を注文する際に料金を割り引いて、飲食物の注文意欲を向上させるものである。そのために、カラオケ装置2は、料金割引の条件として、例えば80点など、基準の得点を記憶している。一方、客室端末30は、料金割引の条件が満たされたとき、例えば、定価の10%、あるいは50円など、割引後の品目の料金を算出するための割引情報を外部記憶に記憶している。
【0027】
図8は、カラオケ客室システム1における課題曲演奏時の歌唱採点結果に基づく料金割引処理の流れを示した。客室端末30にてある楽曲の演奏予約がなされ、カラオケ装置2にてその楽曲IDが待ち行列に登録される(s1〜s3)。カラオケ装置2の中央制御部11が演奏処理の待ち行列から楽曲IDを順次取り出す。そして、取り出した楽曲IDが割引課題曲のものである場合、この曲を歌って採点が良ければ飲食物の料金割引になる旨のメッセージをディスプレイに表示する(s4,s5→s6)。図9にこのメッセージの表示画面を示した。
【0028】
次に中央制御部11は、割引課題曲を演奏する際に歌唱採点機能を作動させ(s7)、割引課題曲の演奏が終了した時点で最終得点と基準得点とを比較する。そして基準以上の得点であれば、客室端末30に飲食物を割引くように指示する割引電文を通知する(s8,s9→s10→s11,s12→s13)。客室端末30は、カラオケ装置2からの割引電文を無線LANインタフェース37を介して受け取ると、RAMの所定領域など、所定の記憶領域に割引フラグをセットする(s14)。そして、ある品目の注文入力を受け付けた際、割引フラグがセットされていれば割引情報を含む注文情報をPOSシステム60に出力し、割引フラグをリセットする(s15,s16→s17,s18)。割引フラグがセットされていなければ割引情報を含まない注文情報をPOSシステム60に出力する(s16→s19)。POSシステム60は、受け付けた注文情報に割引情報が含まれている場合、割引情報にて指定された割引率や割引料金を注文品目の定価に適用して料金を割り引き(s20)、その割引後の料金で指定の品目の注文を受けたものとしてその後のPOS業務のための処理を遂行する(s21)。
【0029】
なお、割引情報は単なる割引をする旨を指示するための情報とし、割引率や割引額などの割引料金の算出起源となる情報は、POSシステム60側で記憶しておいてもよい。すなわちPOSシステム60は、客室端末30から割引情報を含んだ注文情報を受け取ると、注文された品目の定価を自身が記憶している割引料金の算出起源情報に基づいて割り引き、その割引後の料金で指定の品目の注文を処理してもよい。
【0030】
===品目を指定した割引課題曲===
上記実施例では、割引課題曲を演奏すると、その演奏後にどのような品目が注文されても料金が割引かれる。この例に限らず、カラオケ装置2のハードディスク装置12に割引課題曲の楽曲IDと割引の対象となる品目の品目IDとを対応付けして記憶させておく。必要に応じて、割引対象品目の品目名など、客が品目を識別するための情報も記憶させておく。そして、割引課題曲を演奏する際、対応する割引対象品目をメッセージ画面にて提示し、その上で、割引課題曲演奏時の歌唱採点結果が基準以上であれば、割引対象品目の品目IDを含んだ割引電文を客室端末30に通知する。
【0031】
客室端末30は、割引電文中の品目IDと割引フラグとを対応付けして記憶し、該当する品目が注文されれば割引情報を含んだ注文情報をPOSシステム60に出力する。
【0032】
このように特定の品目を割引対象とすることで、例えば、新規の品目を割引課題曲に対応付けしておけば、その新規の品目が客によって注文される頻度が高まることが期待でき、その品目の認知度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例におけるカラオケ客室システムを含むネットワーク構成図である。
【図2】上記カラオケ客室システムを構成しているカラオケ装置の機能ブロック図である。
【図3】上記カラオケ客室システムを構成する客室端末の外観図である。
【図4】上記客室端末に表示される初期画面の概略図である。
【図5】上記客室端末が電子メニュー注文装置として起動する際に表示するトップ画面の概略図である。
【図6】上記客室端末が電子メニュー注文装置として機能している際に表示する品目選択画面の概略図である。
【図7】上記客室端末が電子メニュー注文装置として機能している際に表示する注文画面の概略図である。
【図8】上記カラオケ客室システムにおける課題曲演奏時の歌唱採点結果に基づく料金割引処理の流れ図である。
【図9】上記課題曲の演奏に先だってカラオケ装置が表示するメッセージ画面の概略図である。
【符号の説明】
【0034】
1 カラオケ客室システム
2 カラオケ装置
30 客室端末
60 POSシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ集合店舗の各客室において電子メニュー注文装置とカラオケ装置が通信可能に装備されたカラオケ客室システムであって、
電子メニュー注文装置は、メニューデータベースと、表示手段と、入力手段と、制御手段とを備え、
メニューデータベースは、品目IDに対応付けした品目情報を集約し、
表示手段は、制御手段の制御により画像を表示し、
入力手段は、客による操作入力を受付可能とし、
制御手段は、割引フラグ処理と、メニュー処理と、POS処理とを行い、
割引フラグ処理は、カラオケ装置から割引電文が通知された際に割引フラグをセットし、
メニュー処理は、操作入力に応答してメニューデータベースの各品目情報を表示させて注文入力を受け付け、
POS処理は、メニュー処理にて注文入力を受け付けた際、割引フラグがセットされていれば割引情報を含む注文情報をPOSシステムに出力して割引フラグをリセットし、割引フラグがセットされていなければ割引情報を含まない注文情報をPOSシステムに出力し、
カラオケ装置は、割引課題曲の楽曲IDを記憶し、演奏する楽曲の楽曲IDが割引課題曲である場合、この曲を歌って採点が良ければ飲食物の料金割引になる旨のメッセージを表示し、当該楽曲の演奏時の採点データが基準を超えた場合には電子メニュー注文装置に割引電文を通知する
カラオケ客室システム。
【請求項2】
請求項1において、割引フラグ処理は、割引フラグをセットする際、カラオケ装置から通知された割引電文に含まれる品目IDを当該フラグに対応付けし、
カラオケ装置は、割引課題曲の楽曲IDに品目IDを対応付けして記憶し、演奏する楽曲の楽曲IDが割引課題曲である場合、この曲を歌って採点が良ければ対応する品目IDの飲食物の料金が割引になる旨のメッセージを表示し、当該楽曲の演奏時の採点データが基準を超えた場合には電子メニュー注文装置に当該品目IDを含む割引電文を通知する
カラオケ客室システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−199484(P2007−199484A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18946(P2006−18946)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】