説明

カラム内での熱交換器の遮蔽方法

カラム内の熱交換器(4)に第1の気相を通過させ、第1のストリームとの熱交換を行い、カラム内に第2の気相を生成する、ことによって熱交換を行うための方法及び装置が開示される。この第2の気相は、この熱交換器(4)の上方に配置される遮蔽装置(12)を通過し、この遮蔽装置(12)は、下降する液体がこの熱交換器(4)に接触するのを防ぐ。この遮蔽装置(12)は、カラム内の2つの熱交換器(4,22)間に介在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラム内で熱を移動させるプロセス及び装置に関するものである。より具体的には、本発明は、カラム内の熱交換器を液体から遮蔽する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油化学、化学及び石油精製などの多くの産業において、混合物を分離するためのカラムが利用される。このようなカラムは、通常、円筒状の、垂直型の容器であって、ここで上昇する気体と下降する液体とが接触し、成分が交換され、分離され、そしてこのカラムの塔頂部及び塔底部へとそれぞれ通過する。多くの場合、カラムには、気相と液相との接触及び分離を増進させるための気液接触装置が含まれる。気液接触装置の例には、トレイ型及び充填型がある。これら気液接触装置の多くは多様な構成を有する。例えば、トレイ型の気液接触装置は、バブル・キャップ、ふるい、弁、及び通常、このトレイを通じて液体を下降させ、蒸気を上昇させる複数の下降管トレイを含む。充填型の気液接触装置は、例えばラシヒリング又はベルルサドルを充填したランダム充填材、及び構造化充填材を含む。個々のカラムの具体的な稼動条件は、処理される、大きく異なる混合物のための無数の分離に対処するため、幅広く変化する。このようなカラムを利用するプロセスの例には、ストリッピング、精留、及び分別蒸留、蒸気蒸留、反応蒸留及び仕切り壁カラムでの蒸留などの、種々の形態の蒸留がある。これらのプロセスは、バッチモード又は連続モードで実施される。カラムの設置及び運転コストの削減は、設計及び運転の両方に共通する課題である。多くの場合、カラムへの熱の供給、及びこのカラムからの熱の除去のために必要となる設備とその実用性とに改良の焦点が集中する。
【0003】
一般に、カラムへの熱の供給あるいはカラムからの熱の除去は、ストリームをカラムより除去し、カラムシェルの外部に配置された熱交換器に通過させ、そしてこの冷却又は加熱されたストリームの少なくとも一部をカラムへと再循環させることによって行われる。例えば、カラムの塔頂部より回収された塔頂蒸気が、カラムシェルの外部に配置された塔頂系内の熱交換器へと通過し、この熱交換器がこの塔頂蒸気から液体を凝縮させ、そしてこの凝縮された液体の少なくとも一部をカラムへと再循環させ、還流を形成する。また同様の形態で、熱交換器は、カラムの塔底部より除去された液体ストリームを加熱することによって、カラムへ蒸気を供給する。蒸気及び液体ストリームを、カラムの塔頂部及び塔底部間の中央部より回収し、加熱又は冷却し、カラムへと再循環させることも可能である。
【0004】
米国特許第2,044,372号明細書;同第4,218,289号明細書;同第5,507,356号明細書;及びドイツ国特許第198 30 163 A1号明細書において、カラムの内部に配置され、少なくとも部分的にカラムの塔頂部内で蒸気の凝縮を行う種々の熱交換器の利用形態が開示されている。
【0005】
カラム内部での熱交換器の利用は、カラムの外部に熱交換器を配置する場合に比べ、種々の利点を有する。例えば、上記塔頂系の設備及びその関連する支持構造を取り除くことで、コスト及びスペースの削減につながる。またカラム内部に熱交換器を配置することによって、カラム外部の塔頂系に配置した場合よりも、圧力損失をより低く抑えることができ、これは減圧下でカラムを稼動させる際に特に重要である。カラム内で蒸気を冷却するために2つの熱交換器を利用する多くの利用形態において、第1熱交換器をカラムの内部に配置することによって得られた利点の大部分が、第2熱交換器をカラムの外部に配置することによって失われてしまう。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0006】
カラム内に、このカラム内の蒸気を冷却するための、2つの熱交換器を配置するにあたっての1つの問題点は、最上位に配置される熱交換器内で形成された液体が、下側に配置される熱交換器に接触し、その稼動に影響を及ぼすことである。下降する液体が、例えば、所望の熱交換を変化させ、これによって他の場所で使用するための熱の回収率が不十分となるといったことも起こり得る。さらに、下降する液体が、熱交換器内の蒸気流路の一部又はその全体に浸入、又はせき止め、これによって圧力損失の増大及び/又は稼動の不安定を引き起こすといったことも起こり得る。本発明は、このような問題に対処するための、新規で、コスト効率の高い解決方法を提供する。また本発明は、例えば2つの気液接触装置間などに、下降する液体が存在する場合に、カラム内で気相との熱交換を行う熱交換器を遮蔽するためにも利用される。
【0007】
本発明の1つの実施の形態は、カラム内の第1の気相をカラム内の熱交換器に通過させ、第1ストリームとの熱交換を行い、カラム内に第2の気相を生成することによって、カラム内で熱交換を行う方法である。この第2の気相は、熱交換器の上方に配置される遮蔽装置を通過する。この遮蔽装置は、下降する液体がこの熱交換器に接触するのを防ぐ。
【0008】
本発明の広範な1つの実施の形態において、遮蔽装置の上方に第2熱交換器を配置する。遮蔽装置上の第2の気相の少なくとも一部が、カラム内のこの第2熱交換器を通過し、第2ストリームとの熱交換が行われる。
【0009】
本発明の、装置に関する1つの実施の形態において、カラム内に配置された熱交換器によって熱交換を行う装置が用いられる。この熱交換器は、カラム内の気相及び第1ストリームと流体連通する。バリアによって構成される遮蔽装置は、この熱交換器の上方に配置され、また液体出口及び蒸気通路を有する。この蒸気通路は、カラムの遮蔽装置よりも下の部分と流体連通する蒸気入口及びカラムの遮蔽装置よりも上の部分と流体連通する蒸気出口を有する。この遮蔽装置の構成によって、下降する液体との接触から熱交換器が遮蔽される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明に基づくカラムは、必要に応じた設計が可能で、化合物の反応など、カラムが従来式に利用される利用形態に適合させることが可能であるが、通常は種々の蒸留カラムなどでの混合物の分離のために利用される。
【0011】
本発明を、添付図面を参照することによって詳細に説明する。図面は、ノンスケールで、本発明の理解のために必要となるカラムの構成要素のみを示す簡略図である。
【0012】
図1は、シェル2を有するカラム1の頂部を示す。第1の気相が、最上位の気液接触装置34から上昇し、第1熱交換器4を通過する。熱交換器4は、熱交換される流体同士が直接接触しない間接熱交換器であるという点でも特徴付けられる。カラム内の気液接触装置の特定の形状及び詳細は、本発明の目的にとって不可欠の要素とはならない。従って、気液接触装置は、任意のタイプのトレイ、パッキング、又は反応帯のように、上昇する気体と下降する液体とが接触、分離するその他の装置であってよい。図示されていない1つの実施の形態において、第1の気相は、最上位の気液接触装置34及び第1熱交換器4間に配置された吸着剤床又は触媒床などの他の構成要素を通過する。気液接触装置を有していないカラムにおいては、液体がカラム内に導入される、又は液体がカラム内に形成される最上位のレベルが、この最上位の気液接触装置34のレベルに相当する。オプションのバッフル10はシェル2から延長し、第1の気相の実質上全てを第1熱交換器4に通過させる。このバッフルは、カラムの稼動条件に適した任意の適切な材料によってできている。このバッフル10は、1つ又は複数の部品によって構成され、溶接、漏れ止め溶接、ボルト締め、及びガスケットなどの任意の従来の手段によって、シェル2に及び相互に固定される。図示されていないその他の実施の形態において、このバッフル10は、第1の気相の一部が第1熱交換器4を迂回できるよう、除去またはそれが可能な構成に配置される。
【0013】
第1ストリームは、第1導管6を通じて第1熱交換器4の入口へと通過し、中空プレート内を並行して下方へ、これらのプレート間を通じて上昇する第1の気相とは向流的に流れる。この第1ストリームは、出口を経由して第1熱交換器4から流出し、第2導管8を通過する。第1の気相から第1凝縮液が沈降し、第1熱交換器4から最上位の気液接触装置34へと下降し、カラムへの還流の少なくとも一部を形成する。図示されていない1つの実施の形態において、熱交換器4内で形成された凝縮液が、収集、計測、及び/又は気液接触装置34全体にわたって分配される。図示されていないさらに他の実施の形態において、収集された凝縮液が、計測され、及び/又は利用形態の特定の必要に応じてカラム内の他の位置に分配され、そしてカラムから回収される。
【0014】
第1熱交換器4は第2の気相を生成し、この第2の気相は遮蔽装置12の蒸気通路18を通じて、遮蔽装置12を通過する。この遮蔽装置12は、蒸気通路18を画定する2つのバリア14及び16によって構成される。バリア14は、カラムの軸に対してほぼ垂直な平板部、及びほぼ垂直な円筒状壁又は部分13との組み合わせである。このバリア14は、シェル2から延長し、蒸気入口17を構成する円形開口を画定する。バリア16はバリア14の平板部に対してほぼ平行であって、液体がバリア16の端部を通過することを防ぎ、そしてまたその下方へ、蒸気通路18を通じて第1熱交換器上に落下することを防ぐオプションの水切りエッジ15を備えた構図が示される。この水切りエッジはバリア16の一部であると見なしてよく、任意の適切な形状、液体をバリア14の平板部上に落下させるための、本技術分野において通常のスキルを有する者には周知の構成であってよい。蒸気通路18は、カラムの遮蔽装置12より下の部分から流体を通過させる蒸気入口17、円筒状壁又は部分13、及び蒸気出口19によって構成される。仮想円筒形状の蒸気出口19は、バリア16及びバリア14上の円筒状壁又は部分13の上端部によって画定される。蒸気出口19は、カラムの遮蔽装置12より上の部分に流体を通過させる。つまり、蒸気は、矢印“A”によって示される通路で、遮蔽装置12を通過する。蒸気通路を明確に示すため、図1では、円筒状壁又は部分13の上端及び下端部は省略されている。図1においては、バリア14から間隔をおいて配置されるバリア16を支える4つの支持体20の内の1つが示される。蒸気入口17は、蒸気通路18に最も近接する円筒状壁13の側面によって画定され、またその側面から垂直に延びる仮想垂直円筒内に位置し、そして蒸気出口19は、この仮想垂直円筒の外に位置する。従って、液体が熱交換器4に接触するのを防ぐための、蒸気入口、蒸気出口、及び熱交換器から成る群が垂直に配置される構図は、1つの構図のみが示される。1つの実施の形態において、蒸気出口19の円筒領域は、蒸気入口17の円形領域の少なくとも1.5倍の大きさである。
【0015】
蒸気通路18の数及びその構造は、遮蔽装置12上で必要な蒸気分布を維持しつつ、この遮蔽装置を通じた圧力低下を最小限化するなど、特定の利用形態の目的を考慮した上で決定しなければならない。同様に、バリアの数及び構成についても、特定の利用形態、また製造および取付けの簡便性を考慮した上で決定しなければならない。バリアは、任意の適切な材料から、任意の適切な厚みで形成される。バリアは、単一の部品から、あるいは共に固定された複数の部品から構成される。またトレイをバリア又は部分バリアとして利用することも可能で、その場合トレイが蒸気を遮蔽装置に通過させ、蒸気が液体に接触する。しかし、このトレイは、液体が熱交換器4に接触するのを防ぐため、もう1つのバリアと連動した構成に修正又は配置する必要がある。トレイを組み込んだこのような実施の形態においては、遮蔽装置に蒸気及び液体を接触させるもう1つの段階が生じ、カラムの同一部分内で、気相及び液相間の熱及び質量の交換が行われる。部品が相互に又はシェル2に固定される場合、これら部品は、液体が遮蔽装置を通過して第1熱交換器4上に降下するのを実質的に防ぐ構造又はシーリングを含む。シーリングの例は、漏れ止め溶接、又はガスケット及びボルト締めの利用である。バリア、シェル又はカラム内のその他の構成要素に固定されるバー、タブ、又はケーブルなどの種々の支持体は、必要に応じて、複数のバリアを相互に固定する。
【0016】
遮蔽装置12よりも上側で、第2の気相が第2熱交換器22を通過し、ここで第2の凝縮液が第2の気相から沈降する。上記バッフル10に類似したオプションの第2バッフル49は、シェル2から延長し、第2の気相の実質上全てを第2熱交換器22に通過させる。第2ストリームは、第3導管24を通じて第2熱交換器22の入口へと通過し、第2熱交換器に亘って並列に配置される中空プレート内を、これらのプレート間を上昇する蒸気の流れ方向を横切って流れ、そして出口を経由して第2熱交換器22から流出し、第4導管26を通過する。第2熱交換器から生成される、残留する未凝縮の蒸気は、塔頂蒸気生成物28としてカラムから流出する。
【0017】
この第2の凝縮液は第2熱交換器から降下し、遮蔽装置12のバリア14及び16によってインターセプトされる。遮蔽装置12の液体出口21はシェル2内に位置し、遮蔽装置12から液体を除去するための液体導管30に連通する。図2の部分“B”の拡大図に示すように、バリア14の最下部は、遮蔽装置12から液体を支障なく排出できるよう、重複部分38で液体導管30の最下部の上に配置される。図示されていない1つの実施の形態において、この遮蔽装置に、例えばシャットダウン時に排液路を確保するための小さな水抜き孔が含まれる。しかし、この水抜き孔を通じた漏液は、熱交換器4の稼動に実質的に影響を及ぼさない。好ましくは、この水抜き孔は、漏液が熱交換器4に接触するのを防ぐため、この熱交換器4の上下方向には配置されない。液体導管30には弁(図示せず)が含まれ、これによってインターセプトされた液体が、図に示すように、最上位の気液接触装置34などのカラム内の他の場所へ移動、又は液体生成物32としてカラムから除去、又は必要に応じてこれらの移動先にそれぞれ分割される。パイプの“J”部分から成る液体シール脚33は、蒸気が液体導管内を上昇するのを防ぐ。この目的を達するための、液体トラップ等の他の手段は、当業者には周知の手段である。オプションとして、液体生成物36が、最上位の気液接触装置34から、そしてカラムから回収される。
【0018】
図1に示す実施の形態において、熱交換器4及び22の両方は、凝縮器及び/又はプレート型の分縮器である。この分縮器を通じて、気相が、略垂直に配向するプレートを通過して上昇する。プレート型熱交換器を適切に利用することによって、通常、他のタイプの熱交換器よりも高い熱伝達率が得られ、単位体積当たりの表面積が大きくなり、そして熱交換器のプレートの露出面に対して比較的まっすぐな、気相のための上昇経路が得られる。気相の上昇経路がまっすぐになることで、熱交換器に亘る圧力損失が低減する。
【0019】
両熱交換器の具体的な設計の細部は、本発明にとって必須な事項ではなく、特定の利用形態の必要を満たすために大幅な変更があってよい。熱交換器のさらなる適切な形状として、気相が、並流、向流、又は直交流の構成で、熱交換器を通じて上昇又はそこを水平に通過する、管状の形状、又はシェル及び管を含んだ形状がある。同様に、熱交換器の機能にも、特定の利用形態の必要を満たすための変更があってよい。例えば、第1熱交換器4を、第1の気相を加熱するように構成することもできる。しかし、より多くの場合、第1熱交換器4は、必要な還流を発生させるための凝縮器又は分縮器であって、あるいは第1ストリーム中に、他の場所で使用するため又はプロセスストリームとの熱結合をもたらすための蒸気を発生させるなどの方法によって、設備全体の縮小を図ることもできる。第2熱交換器22を、生成物の回収率が向上するように、あるいは保存のために必要な温度等の、塔頂蒸気生成物の種々の生成物仕様、又は純度仕様を満たすように構成することもできる。
【0020】
図3は、第1熱交換器4上に遮蔽装置12が配置された構成を示す。この図は、バリア14及び16の下方に配置された第1熱交換器4の輪郭を示している。この図は、バリアが、カラム内を下降する液体をインターセプトし、この液体を、液体出口を通じて液体導管30へと導くことによって、熱交換器4への垂直経路を遮蔽する構図を示している。図に示すように、支持体20によって、バリア16と垂直円筒状部分13の上部とは間隔をあけて配置される。支持体20は、バリア14の平板部とバリア16の下側とを固定する。オプションの水切りエッジは参照番号15で示される。図示されていないその他の実施の形態において、バリア16のための支持体が、バリア16の上側及び/又は端部から、シェル2及び/又はカラム内の構成要素まで延在する。
【0021】
図示されていないさらにもう1つの実施の形態において、バリア16は、複数の、略平行な、間隔をおいたV字形流路によって構成され、このV字形流路は蒸気通路18を実質的に遮蔽し、下降する液体をインターセプトして横方向にシェル2の方向へ移動させ、そしてバリア14の平板部上に落下させる。また一方で、このV字形流路間に、上昇する蒸気のための、よりまっすぐな上昇経路が提供される。この構成は、圧力損失の低減を考慮した利用形態に適合する。
【0022】
図4及び5は、シェル2を有するカラム1内で、2つの気液接触装置間に配置された、本発明の1つの実施の形態を示す。図4において、図1での対応する構成要素と配置の異なる構成要素については、参照番号にダッシュ『´』を付して示す。第1の気相は、下側の気液接触装置50から上昇し、熱交換器4´を通過する。すでに述べたように、この気液接触装置及び熱交換器の特定の形状及び詳細は、本発明にとっての必須条件ではない。
【0023】
第1のストリームは、第1導管6を通じて第1熱交換器4´の入口へと通過し、中空プレート内を、このプレート間を通じて上昇する第1の気相と並流して同じ方向に、上方へと流れ、出口を経由して第1熱交換器4´から流出し、そして第2導管8を通過して、必要に応じて第1の気相を加熱又は冷却する。この熱交換器4´が第1の気相から凝縮液を沈降させるための凝縮器又は分縮器である場合、凝縮液は、下側の気液接触装置50へと降下する。
【0024】
第1熱交換器4´は第2の気相を生成し、この第2の気相は、遮蔽装置12´の蒸気通路18´を通じて、遮蔽装置12´を通過する。もう1つの実施の形態(図示せず)において、下側気液接触装置から上昇する蒸気の一部が、熱交換器4´を迂回し、同様に遮蔽装置12´を通過する。この遮蔽装置12´は2つの傾斜バリア14´及び16´から成り、これらのバリアとシェル2の内側面とが蒸気通路18´を画定する。バリア14´及び16´は、排液のためには垂直の構成要素、遮蔽のためには水平の構成要素を有する。バリア14´は、傾斜平板部、及びシェル2の内側面と共に弦を形成するオプションの垂直壁13´を含む。蒸気通路18´は、バリア14´の傾斜平板部の弦上縁部及びシェル2の内側曲面間に蒸気入口17´を、そしてバリア16´及び垂直壁13´の上縁部間で画定される矩形の蒸気出口19´を有する。従って、遮蔽装置を通ずる蒸気流路は、矢印“A´”にて示される方向へ進む。バリア14´及び16´は、先に述べたように構成され、シェルに固定される。このバリア14´及び16´は傾斜しており、また下降する液体から熱交換器を遮蔽するように重なり合う。さらに、オプションの垂直部分13´が、液体が蒸気通路18´を通じて下降し、熱交換器に接触するのを防ぐ。
【0025】
バリア14´及び16´は、上側の気液接触装置51から下降する液体をインターセプトする。壁35の頂上部は、バリア14´の最下縁部及びシェル2の内側面に固定され、遮蔽装置12´の液体出口21´を画定する。この壁35は、バリア14´から下方へ延長し、シェル2と共に液体導管30´を画定する。従って、液体は、遮蔽装置から液体出口21´を通じて液体導管30´へ、支障なく排出される。この液体導管30´は、図に示すように、インターセプトされた液体を下側の気液接触装置50へ、又は図示されていない液体分配装置を経由してカラム内の他の場所へ移動させる。液体トラップ40は、蒸気が液体導管を上昇するのを防ぐための液体シールを提供する。図示されていないその他の実施の形態において、液体出口21´及び液体導管30´は、インターセプトされた液体をカラムの内側及び/又は外側の複数の移動先へと移動させるためにつくられる、分割された、及び/又は追加の構成要素となる。
【0026】
図5は、熱交換器4´の上に遮蔽装置12´が配置された構成を示しており、またバリア14´及び16´の下方に配置される熱交換器4´の輪郭を示している。
【0027】
図6〜9は、降下する液体との接触から第1熱交換器を遮蔽し、上昇する蒸気のための蒸気通路を提供する遮蔽装置の構成に関する、実質上制限のない、非限定的な実施の形態を示している。熱交換器(図示せず)は、これら遮蔽装置の下方の、カラムの実質断面積を占める。図6〜9に示す実施の形態においては、蒸気入口、蒸気出口、及び熱交換器から成る群の内の少なくとも1つが、液体が熱交換器に接触するのを防ぐため、上下方向に一直線状に配置されない。ある利用形態において、熱交換器のカラムの断面積に占める割合が小さい場合、この熱交換器を遮蔽するための遮蔽装置の構成も(例えば仕切り壁カラムなどのような形態で)容易なものとなる。図6,7,8,及び9の構成要素の内、他の図面でのそれらの対応する構成要素と配置の異なる構成要素については、“a”,“b”,“c”,及び“d”をそれぞれ付して示す。
【0028】
図6A及び6Bは、バリア16aが、バリア14a内の矩形の蒸気入口17aを覆う矩形平板部であって、またインターセプトされた液体をバリア14a上にそらすために下方に傾斜する周辺部を有している構図を示す。バリア16aを支えるための支持体20aは、バリア14aの垂直部13aに固定される。バリア14aは液体保持トレンチ44を含む。液体出口21aはシェル2の部分内に存在し、液体保持トレンチ44の境界線を形成する。図示されていないもう1つの実施の形態において、液体保持トレンチは、バリア14aの弦縁部から下降するように延在する。
【0029】
図7A及び7Bは、バリア14bの全周囲に、シェル2の内側面によって部分的に画定される液体保持トレンチ44bが配置される構図を示す。バリア14bは、蒸気入口17b及び液体出口21bを除いた、カラムの全断面積を占める。屈曲する管状のバリア16bは、蒸気入口17bを覆い、下降する液体をバリア14b上へと偏向させる。蒸気出口19bの付加的な屈曲又は突起25は、下降する液体からの、さらなる遮蔽のために利用される。液体保持容量44bの底部の4つの液体出口21bを通じて、液体が液体導管30bへと流動する。この液体導管30bは、液体をシェルの内部及び/又は外部の他の場所へと誘導し、液体が熱交換器(図示せず)に接触するのを防ぐ。この液体導管が蒸気の空間と流体連通する場合、蒸気が液体導管30bを上昇するのを防ぐため、“J”部分又は液体トラップなどの液体シールが利用される。
【0030】
図8は、単一バリア14cが、カラムの断面積を完全に塞ぎ、下降する液体をインターセプトし、液体出口21cへと誘導することによって、下方に配置される熱交換器(図示せず)を遮蔽する構図を示している。シェル2内の蒸気入口17cは、カラムの遮蔽装置より下の部分との流体連通を提供し、またシェル2内の蒸気出口19cは、カラムの遮蔽装置より上の部分との流体連通を提供する。つまり、この遮蔽装置は、シェル2の外部に存在する蒸気通路18cを含む。そして(いくらかでもあれば)バリア14cの傾斜、及びバリア14c上の蒸気出口19cの高さは、特定の利用形態での必要に応じて調節することができる。液体出口21cの最低位置は、蒸気出口19cの最低位置よりも低く配置され、液体が蒸気通路18cに流れ込むことなく、遮蔽装置から除去されるための通路が提供される。シェル2の、蒸気入口17c及び蒸気出口19c間の部分は、第2バリア13cを提供する。
【0031】
図9A,9B,及び9Cにおいては、バリアの縁部又はバリアの部分が2つの線で示されている。これは、これまでの図面において、バリアの縁部が単一の実線で示されているのに比べ、この縁部の両側を表している。矩形の蒸気入口17dはバリア14d内の開口によって構成され、このバリア14dは矩形の断面積を有する垂直導管13dを含み、この矩形の断面積が、4つの側面に制約される蒸気通路18dを部分的に画定する。バリア16dは、導管13dの上縁部を覆う。導管13dの長辺側に固定された2つの支持体20dによって、バリア16dは導管13dから間隔をおいて配置される。またバリア16dは、導管13dの短辺側に固定される2つの短端辺プレート45によっても支持され、この導管13dから間隔をおいて配置される。バリア16dの長辺側は、このバリア16dの表面平坦面から上方向へ延び、流路を形成する壁46をそれぞれ有しており、この構成によって、バリア16dによってインターセプトされた液体がバリア14dの平板部へと誘導され、そして短端辺プレート45によってこの液体が蒸気通路18dへと流入することが防がれる。蒸気出口19dは、導管13dの2つの長辺側に存在する構図が示される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態を示す、カラムの側断面図である。
【図2】図1内の囲み領域“B”の拡大図である。
【図3】図1の部分3−3に沿って上から見た断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示す、カラムの側断面図である。
【図5】図4の部分5−5に沿って上から見た断面図である。
【図6A】本発明の一実施形態の側断面図を示す。
【図6B】図6Aの上から見た断面図を示す。
【図7A】本発明の一実施形態の側断面図を示す。
【図7B】図7Aの上から見た断面図を示す。
【図8】本発明の一実施形態の側断面図を示す。
【図9A】本発明の一実施形態の上から見た図を示す。
【図9B】本発明の一実施形態の側面図を示す。
【図9C】本発明の一実施形態の側面図を示す。
【符号の説明】
【0033】
1 カラム
4 熱交換器
12 遮蔽装置
14,16 バリア
17 蒸気入口
18 蒸気通路
19 蒸気出口
21 液体出口
34 気液接触装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラム内での熱交換の方法において、前記方法が:
カラム内の気液接触装置から上昇する第1の気相を、カラム内の熱交換器に通過させて第1ストリームとの熱交換を行い、前記熱交換器がカラム内に第2の気相を生成するステップと;
前記第2の気相を、前記熱交換器の上方に配置される遮蔽装置に通過させるステップと;そして、
下降する液体が前記熱交換器に接触するのを防ぐステップとで構成される方法。
【請求項2】
上昇する第1の気相が通過する熱交換器が第1間接熱交換器であって、そして第2の気相の少なくとも一部が、カラム内で遮蔽装置の上方に配置された第2熱交換器を通過し、第2ストリームとの熱交換が行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記遮蔽装置から下降する液体の少なくとも一部を、カラム内の他の場所へと通過させるステップで構成される請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記熱交換器が、第1の気相から凝縮液を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記凝縮液の少なくとも一部を収集し、それをカラムの外部へと通過させるステップとで構成される請求項4記載の方法。
【請求項6】
上昇する第1の気相が通過する前記熱交換器及び前記遮蔽装置が、2つの気液接触装置間に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項7】
各熱交換器が、最上位の気液接触装置の上方に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項8】
カラム内で熱交換を行うための装置において、前記装置が:
カラム(1)内に配置され、気相を生成する気液接触装置(34)と;
前記カラム(1)内で前記気液接触装置(34)の上方に配置され、前記カラム(1)内の気相及び第1ストリームと流体連通する熱交換器(4)と;そして
バリア(14,16)によって構成され、前記熱交換器の上方に配置され、液体出口(21)及び蒸気通路(18)を有する遮蔽装置(12)であって、前記蒸気通路(18)が、前記カラム(1)の前記遮蔽装置(12)よりも下側の部分と流体連通する蒸気入口(17)と前記カラム(1)の前記遮蔽装置(12)よりも上側の部分と流体連通する蒸気出口(19)とを有する遮蔽装置(12)とで構成され、下降する液体との接触から前記熱交換器(4)を遮蔽するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記遮蔽装置(12)が少なくとも2つのバリア(14,16)によって構成され、前記バリア(14)の内の少なくとも1つが前記蒸気入口(17)を画定し、前記バリア(16)の内の少なくとも1つが前記蒸気出口(19)を画定し、そして前記遮蔽装置(12)が、前記液体出口(21)の最低位置が前記蒸気出口(19)の最低位置よりも低く配置されるように構成されることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
さらに、前記カラム(1)内で前記遮蔽装置(12)の上方に配置される第2熱交換器(22)によって構成され、前記第2熱交換器(22)が、前記カラム(1)内の第2の気相及び第2ストリームと流体連通することを特徴とする請求項8又は9記載の装置。
【請求項11】
前記熱交換器(4)が、間接熱交換器であることを特徴とする請求項8又は9記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公表番号】特表2008−534257(P2008−534257A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502958(P2008−502958)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/009861
【国際公開番号】WO2006/104476
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】