説明

カラーフィルタを有するブラウン管(CRT)の製作方法

カラーフィルタ発光スクリーン(22)組立体を備えるブラウン管(CRT)を製作する方法について示した。発光スクリーン組立体は、CRT管の面板パネル(12)の内表面に形成される。発光スクリーン組立体は、パターン化された光吸収マトリクス(23)を備え、このマトリクスは、青の領域、赤の領域および緑の領域のいずれかに対応した、複数の領域組を定める。カラーフィルタは、複数の領域組の一つに形成される。カラーフィルタは、面板パネルの内表面に感光性材料層(46)を塗布し、青の領域、赤の領域または緑の領域に対応したいずれかの領域組を露光し、その領域で感光性材料を硬化させることによって形成される。次に、硬化した感光性材料の領域の色に対応した色を有する色素層が、露光された感光性材料層の上に設置される。色素層が設置された後、未硬化感光性材料層は除去され、カラーフィルタが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーブラウン管(CRT)に関し、特に少なくとも一つのカラーフィルタを有する発光スクリーン組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーブラウン管(CRT)は、通常電子銃と、アパーチャマスクと、スクリーンを備える。アパーチャマスクは、電子銃とスクリーンの間に設置される。スクリーンは、CRT管の面板の内表面に設置される。アパーチャマスクは、CRT管のスクリーン上の適当なカラー放射蛍光体の方向に、電子銃から生じる電子ビームを誘導する役割を果たす。
【0003】
スクリーンは、発光スクリーンであっても良い。発光スクリーンは、通常、スクリーン上に形成される3種類(例えば、緑、青および赤)の異なるカラー放射蛍光体の配列を構成する。各々のカラー放射蛍光体は、マトリクスラインによって別のものと分離される。通常マトリクスラインは、光吸収性の黒色不活性材料で構成される。
【0004】
発光スクリーンのカラーコントラストを高めるため、面板パネルとカラー放射蛍光体の間には、色素層またはカラーフィルタが形成される。通常カラーフィルタは、それに形成されるカラー放射蛍光体の色に対応した色を有する(例えば、赤の色素フィルタには、赤の放射蛍光体が形成される)。カラーフィルタは、そこに形成される蛍光体の放射スペクトル領域にある光を透過し、別のスペクトル領域内の周囲光を吸収するため、カラーコントラストが提供される。
【0005】
通常カラーフィルタは、減色法を用いて形成され、フィルタ層が面板パネルの内面に塗布された後、次の定着過程において、フィルタ層の選択箇所が除去される。残念ながら、レジスト系カラーフィルタを形成する際に、色素がレジスト高分子(例えばポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルピロリドン(PVP))と混合すると、凝集化が生じる。この結果、カラーフィルタ内で色素が不均一に分散してしまうため、凝集化が生じることは好ましくない。また、500nm未満で強吸収を示す色素を含むレジスト系カラーフィルタを硬化させることは難しい。カラーフィルタのライン幅制御が難しいからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明では、前述の問題の生じないカラーフィルタブラウン管(CRT)を形成する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カラーフィルタ発光スクリーン組立体を備えるブラウン管(CRT)を製作する方法に関する。発光スクリーン組立体は、CRT管の面板パネルの内表面に形成される。発光スクリーン組立体は、パターン化された光吸収マトリクスを有し、このマトリクスは、青色の領域、赤色の領域および緑色の領域のいずれかに対応する複数の領域組を定める。
【0008】
カラーフィルタは、複数の領域組のいずれかに形成される。カラーフィルタは、面板パネルの内表面に感光性材料層を塗布して、青色の領域、赤色の領域または緑色の領域に対応する領域組の一つを露光し、そのような領域内の感光性材料を硬化させることによって形成される。次に、露光した感光性材料層の上には、硬化した感光性材料の領域の色に対応した色を持つ色素層が設置される。色素層は、色素、1または2以上の表面活性剤およびゲル化剤を含む水溶性サスペンションを用いて設置される。ゲル化剤は、未硬化感光性材料が色素サスペンションに溶解して凝集化することを防ぐ。さらに、ゲル化剤は、感光性材料層を未硬化領域に保持し、色素が面板パネル表面に直接成膜されることを防ぐ。色素層が設置されてから、未硬化感光性材料層がカラーフィルタから除去される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明を以下に詳細に説明する。
【0010】
図1には、ガラス外囲器11を備える従来のブラウン管(CRT)10を示す。ガラス外囲器11は、面板パネル12と、ファネル15で接続された管状ネック部14とを有する。ファネル15は、内部に導電性コーティング(図示されていない)を有し、このコーティングは、アノードボタン16と接触し、アノードボタン16からネック部14まで伸びている。
【0011】
面板パネル12は、観察面18と、外周端部または側壁20とを備え、側壁20は、ガラスフリット21によって、ファネル15とシールされる。3色発光蛍光体のスクリーン22は、面板パネル12の内面に担持される。図2において断面で示されているスクリーン22は、ラインスクリーンであって、それぞれ赤色放射、緑色放射および青色放射の蛍光体ストリップR、GおよびBで構成された複数のスクリーン素子を有し、該素子は、三素子の組で配置され、各組は3色各々の蛍光体ラインを有する。R、GおよびBの蛍光体ストリップは、通常、電子ビームが生じる面とは垂直の方向に延伸している。
【0012】
R、GおよびBの蛍光体ストリップの少なくとも一つは、カラーフィルタ43上に形成される。各カラーフィルタ43は、そこに形成される蛍光体ストリップの色と対応する色素を含む。カラーフィルタ43は、硬化した感光性材料46上に形成される。
【0013】
図2に示す光吸収マトリクス23は、各蛍光体ラインを分離する。薄い導電層24(図1参照)は、アルミニウムであることが好ましく、これはスクリーン22上に設置され、第1のアノード電位を均一にスクリーン22に印加する手段を提供する。またこの手段は、観察面18を介して、蛍光体素子から放射された光を反射する。スクリーン22およびその上に設置されるアルミニウム層24は、スクリーン組立体を有する。
【0014】
マルチ開口カラー選択電極またはシャドウマスク25(図1参照)は、従来の方法によって、スクリーン22と所定の空間位置関係となるように、取り外し可能な状態で面板パネル12に取り付けられる。
【0015】
図1において破線で概略的に示されている電子銃26は、ネック部14内部の中心に取り付けられ、3方向のインライン電子ビーム28を発生する。この電子ビームは、中央と2側面または外側のビームであり、シャドウマスク25を通り、スクリーン22に至る集束経路に沿って進行する。ビーム28のインライン方向は、紙面に対してほぼ直角である。
【0016】
図1のCRTには、ヨーク30のような外部磁気偏向ヨークが備えられ、これは、ファネルとネック部の接合部に隣接する位置に構成される。動作時には、ヨーク30は、3ビーム28に磁場の影響を与え、ビーム28は、スクリーン22全体にわたって水平および垂直長方形型にラスター走査される。
【0017】
スクリーン22は、図3に概略的に示す処理ステップによって製作される。まず参照符号300で示されるように、面板パネル12が清浄化される。ここでは、従来のように、面板パネル12を腐食性溶液で洗浄し、水洗し、緩衝フッ酸溶液でエッチングし、再度水洗する処理が行われる。参照符号302に示すように、面板パネル12の内面には、光吸収マトリクス23が設置される。ここでは、マヤード(Mayaud)の、1971年の1月26に特許された米国特許第3,558,310号明細書、ラペルタ(LaPeruta)の、2000年の1月11に特許された米国特許第6,013,400号明細書、ゴローグ(Gorog)らの、2000年の3月14に特許された米国特許第6,037,086号明細書に記載されているような、湿式マトリクス処理法を用いることが好ましい。
【0018】
光吸収マトリクス23は、面板パネル12の内部観察面全体に均一に設置される。対角線長が約68cm(27インチ)の面板パネル12の場合、光吸収マトリクス23のライン間に形成される開口または隙間は、幅が約0.075mmから約0.25mmの範囲にあり、不透明なマトリクスラインの幅は、約0.075mmから約0.30mmの範囲にある。図4Aでは、光吸収マトリクス23は、3組の領域を定めている:第1の領域組40、第2の領域組42および第3の領域組44である。
【0019】
図3の参照符号304および図4Bに示すように、面板パネル12の内面には、感光性材料層46が成膜される。感光性材料層46は、重クロム酸ナトリウム、および例えばポリビニルアルコール(PVA)のような高分子の水溶液から形成されても良い。感光性材料層46は、高分子および重クロム酸塩の水溶液のスピンコート処理によって、面板パネル12上に形成しても良い。感光性材料層46の厚さは、約0.5μmから約2.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0020】
感光性材料層46は、粘度が約10cmポイズ(cps)から約25cpsの範囲にあることが好ましい。感光性材料層は、重クロム酸ナトリウムを約6.0重量%から約12重量%、および高分子(例えばPVA)を約88重量%から約94重量%含む。
【0021】
図3において参照符号306で示されているように、感光性材料層46には、シャドウマスク25を介して、例えば紫外線が照射され、第1の領域組40に感光性材料が交差結合される。第1の領域組40で感光性材料層46を交差結合させる場合、図4Cに示すように、そのような領域にある感光性材料を硬化させる。
【0022】
図3の参照符号308および図4Dに示すように、露光ステップの後、第1のカラーフィルタ層60が感光性材料層46の上に設置される。第1のカラーフィルタ60は、第1の水溶性色素サスペンションから成膜しても良く、このサスペンションには、例えば第1の色素と、1または2以上の表面活性剤と、1または2以上のゲル化剤が含まれる。
【0023】
第1の色素は、例えば青の色素であり、例えばニュージャージー州パターソンのダイカラーポープ(Daicolor−Pope)社から市販されているダイピロキサイド(daipyroxide)青色素TM−3490Eがある。他の色素のうち好適な青色素は、例えばEX1041青色素であり、これは、オハイオ州シンシナティのシェファードカラー(Shepherd Color)社から市販されている。
【0024】
別の方法として、第1の色素を赤色素にしても良い。好適な赤の色素は、例えばダイピロキサイド赤色素TM−3875であり、これはニュージャージー州パターソンのDaicolor−Pope社から市販されている。他の赤の色素のうち別の好適な赤の色素は、例えば、R2899赤色素であり、これはイリノイ州フェアビューハイツのエレメンチスピグメント(Elementis Pigments)社から市販されている。
【0025】
色素は、ミル処理によって粉砕しても良く、この場合、色素は、1または2以上の界面活性剤とともに、水溶性サスペンション中に分散添加される。青の色素は、例えば、1/16“ジルコニア(ZrO)ボールを用いてミル処理しても良く、少なくとも約61時間から約90時間処理される。ミル処理後の青の色素の平均粒径は、約115nm(ナノメートル)程度である。
【0026】
赤の色素についても、例えば2mmのガラスビードメディアを用いて、少なくとも約18時間から約92時間のミル処理をしても良い。ミル処理後の赤の色素の平均粒径は、約90nmである。
【0027】
例えば有機および高分子化合物を含む1または2以上の表面活性剤を添加しても良く、これらの添加物は、任意で水溶液に電荷を生じさせるものであっても良い。表面活性剤は、アニオン、非イオン性物質、カチオンおよび/または両性物質であっても良い。表面活性剤は、多くの機能の中から、水溶性色素サスペンション中での色素の均一性の改善、および面板パネル12の濡れ性の向上のような、各種機能を発現させるために使用される。好適な界面活性剤の例は、例えば(ノースキャロライナ州ハイポイントのシバスペシャルティ(Ciba Specialty)化学社から市販されている)DISPEX N−40V高分子分散剤のような各種高分子分散剤、あるいはニューハンプシャー州ナシュアのハムスフィア化学(Hampshire Chemical Company)社から市販されているプルーロニックシリーズ(Pluronic Series)(エトキシプロポキシ共重合体)L−62、および中国のYixing Tongda 化学社から市販されているカルボキシルメチルセルロース(CMC)のようなブロック共重合体表面活性剤である。
【0028】
1または2以上のゲル化剤を添加しても良く、これには例えば、感光性材料層に用いられる高分子とともにゲルを形成する有機および無機化合物がある。水溶性色素サスペンション中のゲル化剤は、感光性材料層の未硬化領域の表面で高分子をゲル化させる。未硬化感光性材料層の表面がゲル化することで、色素サスペンションへの高分子の溶解が回避され、色素粒子の凝集化が防止できる。好適なゲル化剤の例は、例えばホウ酸(HBO)、ホウ砂、バナジウム酸アンモニウム、銅の塩のような無機化合物を含むポリビニルアルコール(PVA)、および例えば、コンゴレッド(Congo Red)、レゾルシノールおよびサリチルアニリドのような有機化合物を含むポリビニルアルコール(PVA)である。
【0029】
第1の水溶性色素サスペンションは、約5重量%から約17重量%の範囲の色素を含む。また第1の水溶性色素サスペンションは、約1重量%から約5重量%の範囲のゲル化剤を含む。
【0030】
第1の水溶液色素サスペンションは、例えばスピンコート法によって、面板パネルに設置しても良く、これにより露光ステップの後に、面板パネル12の内面の感光性材料層46の上に第1のカラーフィルタ層60が形成される。スピンコート後に、第1のカラーフィルタ層60を約50℃から約70℃の範囲の温度まで加熱し、その後約40℃に冷却させても良い。
【0031】
第1のカラーフィルタ層60が形成された後、参照符号310で示されているように、感光性材料層46が定着される。感光性材料層46は、例えば脱イオン水を用いて定着される。定着後に、感光性材料層46とその上に設置される第1のカラーフィルタ層60は、第2の領域組42および第3の領域組44では除去されるが、これらの層は、図4Eに示すように、面板パネル12の第1の領域組40には残る。
【0032】
その後、図4B乃至4Eを参照して説明した前述のカラーフィルタ形成処理が繰り返され、第2または第3のカラーフィルタが、それぞれ第2の領域組42または第3の領域組44に形成される。
【0033】
図3の参照符号312および図4Fに示すように、次に面板パネル12は、好ましくは従来の方法のスクリーン化処理によって、非色素性の緑蛍光体72、非色素性の青蛍光体74および非色素性の赤蛍光体76でスクリーン化される。
【0034】
例えば発光スクリーン組立体の加工製作処理において、図5Aに示すように、マトリクスラインが形成された27インチ面板パネル12が提供される。マトリクスラインは3組の領域を定める:青の領域B、赤の領域Rおよび緑の領域Gである。
【0035】
1000gの脱イオン水、320gの10%ポリビニルアルコール(PVA)および42gの10%重クロム酸ナトリウムを含む溶液225ml(ミリリットル)を、面板パネルに設置した。溶液の粘性は12.5cps(センチポイズ)であった。面板パネルは、8rpmで22秒間回転させ、225mlの溶液をその面に設置した後、170rpmで30秒間回転させ、さらに52.5℃に加熱後40℃まで冷却し、図5Bに示すような感光性材料層46を形成した。
【0036】
コーティングが設置された面板パネル12は、対応するシャドウマスクを介して2源位置から紫外線源(4.0W/m)を用いて照射し、青の領域Bに感光性材料を交差結合(硬化)させた。第1の照射源位置は、−0.130ミルで30秒間照射し、第2の照射源位置は、−0.174ミルで30秒間照射させた。これらの距離は、緑の蛍光体の露光に用いられる照射源に一致する中央照射源位置を0ミルとしたときの、この位置に対する照射源位置を表す。
【0037】
水溶性の青の色素サスペンションは、50gのTM−3490Eダイピロキサイド青色素(ニュージャージー州パターソンのDicolor−Pope社から市販されている)と、3gの重合体分散剤DISPEXN−40V(ノースキャロライナ州ハイポイントのCiba Specialty化学社から市販されている)と、水200gを、1/16“ジルコニア(ZrO)ボールを含むミル器に入れ、66時間混合して、調製した。ミル器から回収した青の色素サスペンションは、14重量%の色素固形分となるまで水で希釈した。サスペンションに5.5gのホウ酸(HBO)を加え、ホウ酸濃度を約2重量%とした。さらに、混合物に(テキサス州ヒューストンのダウケミカル(Dow Chemical)社から市販されている)10%Triton X−100を2滴(約0.1g)添加し、得られたサスペンションを回転機でさらに数時間混合した。
【0038】
次に、室温で面板パネルに200gの青の色素サスペンションを設置した。面板パネルを8rpmで52秒間回転させて、そこに青の色素サスペンションを塗布した後、100rpmで20秒間回転させ、さらに51.5℃に昇温後40℃まで冷却して、図5Cのように面板パネル12に青のカラーフィルタ層60を形成した。
【0039】
感光性材料層46は、43℃の水を用いて30psiで30秒間定着させ、乾燥した。この結果、図5Dに示すように、青の領域Bでは、硬化した第1の感光性材料層46上に青のカラーフィルタ60を形成させ、赤の領域Rおよび緑の領域Gでは、青のカラーフィルタ60を付与した第1の感光性材料層46を除去することができた。
【0040】
1000gの脱イオン水、320gの10%ポリビニルアルコール(PVA)および42gの10%重クロム酸ナトリウムを含む溶液225mlを、面板パネル12に塗布した。溶液の粘度は12.5cpsであった。面板パネルを8rpmで22秒間回転させて、225mlの溶液をパネルに塗布し、その後170rpmで30秒間回転させ、さらに51.5℃まで昇温後40℃に冷却して、図5Eに示すように、第2の感光性材料層47を形成した。
【0041】
コーティングされた面板パネル12を、対応するシャドウマスクを介して、2源位置から紫外線源(4.0W/m)を用いて照射し、赤の領域Rに感光性材料を交差結合(硬化)させた。第1の照射源位置は、+0.122ミルで30秒照射し、第2の照射源位置は、+0.166ミルで30秒照射させた。これらの距離は、緑の蛍光体の露光に用いられる照射源に一致する中央照射源位置を0ミルとしたときの、この位置に対する照射源位置を表す。
【0042】
水溶性の赤の色素サスペンションは、50gのTM−3875ダイピロキサイド赤色素(ニュージャージー州パターソンのDaicolor−Pope社から市販されている)および8gの重合体分散剤A−40(ノースキャロライナ州ハイポイントのCiba Specialty化学社から市販されている)に、水200gを添加し、2mmのガラスビードメディアを含むミル器で66時間混合して調製した。ミル器から回収した赤の色素サスペンションは、6重量%の色素固形分量となるように、水で希釈した。14.8gのホウ酸(HBO)をサスペンションに添加して、約2重量%のホウ酸濃度とした。次に、サスペンションに10%のTriton X−100界面活性剤(テキサス州ヒューストンのDow Chemical社から市販されている)を2滴加え、さらに1時間、混合物を回転機で混合した。
【0043】
次に200gの赤の色素サスペンションを室温で、面板パネルに塗布した。面板パネルを8rpmで52秒間回転させ、赤の色素サスペンションをそこに塗布してから、100rpmで20秒間回転させ、さらに67℃まで昇温後40℃に冷却して、図5Fに示すように、赤のカラーフィルタ層62を面板パネル12に形成した。
【0044】
第2の感光性材料層47は、43℃の水を用いて30psiで30秒間定着させ、乾燥した。この結果、図5Gに示すように、赤の領域Rでは、硬化した第2の感光性材料層47上に赤のカラーフィルタ62を形成させ、青の領域Bおよび緑の領域Gでは、赤のカラーフィルタ62を付与した第2の感光性材料層47を除去することができた。
【0045】
次に、240gの脱イオン水に、150gの10%ポリビニルアルコール、14gの10%重クロム酸ナトリウム、5gのPluronic Series(エトキシプロポキシ共重合体)L−92(ドイツのBASF社から市販されている)、8.5gテトラ(エチレングリコール)(TEG)、0.4gの25%TAMOL(ポリカーボネート塩)界面活性剤(ペンシルベニア州フィラデルフィアのRhom&Haas社から市販されている)、1.3gの30%TWEEN−20(ポリソルベート)(イリノイ州シカゴのAtlas化学社から市販されている)および200gのGR525−TCG−2蛍光体(硫化亜鉛銀、アルミニウム、金がドープされた蛍光体)(ニュージャージー州ハケットストーンのUSR Optonix社から市販されている)を含む225mlの非色素性の緑色スラリーを、面板パネルに塗布した。面板パネルを8rpmで67秒間回転させ、非色素性の緑色スラリーをそこに塗布し、その後170rpmで25秒間回転させ、さらに51℃に昇温後35℃に冷却して、図5Hに示すように、面板パネル12に非色素性の緑色蛍光体層72を形成した。
【0046】
コーティングされた面板パネル12は、対応するシャドウマスクを介して、紫外線源(4.0W/m)で照射し、緑の領域Gで非色素性の緑蛍光体層72を交差結合した。緑の領域は、25秒間照射した。照射された面板パネル12は、43℃の水を用いて30psiで30秒間定着させ、乾燥させた。この結果、図5Iに示すように、緑の領域Gには非色素性の緑色蛍光体層72を形成させ、赤の領域Rおよび青の領域Bでは、非色素性の緑色蛍光体層72を除去することができた。
【0047】
次に、240gの脱イオン水に、150gの10%ポリビニルアルコール、11.5gの10%重クロム酸ナトリウム、5gの5%Pluronic Series L−92(エトキシプロポキシ共重合体)(TEG)、0.6gの25%TAMOL(ポリカーボネート塩)界面活性剤(ペンシルベニア州フィラデルフィアのRhom&Haas社から市販されている)、1.3gの30%TWEEN−20(ポリソルベート)(イリノイ州シカゴのAtlas化学社から市販されている)および200gのBL361蛍光体(硫化亜鉛銀ドープ蛍光体)(ニュージャージー州ハケットストーンのUSR Optonix社から市販されている)を含む225mlの非色素性の青色スラリーを、面板パネルに塗布した。面板パネルを8rpmで67秒間回転させ、非色素性の青色スラリーをそこに塗布し、その後170rpmで30秒間回転させ、さらに51℃に昇温後35℃に冷却して、図5Jに示すように、面板パネルに非色素性の青色蛍光体層74を形成した。
【0048】
コーティングされた面板パネルは、対応するシャドウマスクを介して、紫外線源(4.0W/m)で照射し、青の領域Bで非色素性の青色蛍光体層74を交差結合した。青の領域は、34秒間照射した。照射された面板パネル12は、43℃の水を用いて30psiで30秒間定着させ、乾燥させた。この結果、図5Kに示すように、青の領域Bにある青のカラーフィルタ60には、非色素性の青色蛍光体層74を形成させ、赤の領域Rおよび緑の領域Gでは、非色素性の青色蛍光体層74を除去することができた。
【0049】
次に、275gの脱イオン水に、150gの10%ポリビニルアルコール、21gの10%重クロム酸ナトリウム、5gの5%Pluronic Series L−92(エトキシプロポキシ共重合体)(ドイツのBASF社から市販されている)、3gのテトラ(エチレングリコール)(TEG)、6gの25%TAMOL(ポリカーボネート塩)界面活性剤(ペンシルベニア州フィラデルフィアのRhom&Haas社から市販されている)、1.3gの30%TWEEN−20(ポリソルベート)(イリノイ州シカゴのAtlas化学社から市販されている)および200gのRE555蛍光体(イットリウム酸硫化物ユーロピウムドープ蛍光体)(ニュージャージー州ハケットストーンのUSR Optonix社から市販されている)を含む225mlの非色素性の赤色スラリーを、面板パネルに塗布した。面板パネルを8rpmで67秒間回転させ、非色素性の赤色スラリーをそこに塗布し、その後170rpmで26秒間回転させ、さらに51℃に昇温後35℃に冷却して、図5Lに示すように、面板パネルに非色素性の赤色蛍光体層76を形成した。
【0050】
コーティングされた面板パネルは、対応するシャドウマスクを介して、紫外線源(4.0W/m)で照射し、赤の領域Rで非色素性の赤色蛍光体層76を交差結合した。赤の領域は、23秒間照射した。照射された面板パネル12は、43℃の水を用いて30psiで30秒間定着させ、乾燥させた。この結果、図5Mに示すように、赤の領域にある赤のカラーフィルタ62には、非色素性の赤色蛍光体層76を形成させ、青の領域Bおよび緑の領域Gでは、非色素性の赤色蛍光体層76を除去することができた。
【0051】
得られた面板パネルには、赤色カラーフィルタまたは青色カラーフィルタいずれにおいても構造上の問題は見られなかった。また蛍光体ラインにも問題は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例によるブラウン管(CRT)の部分横断面平面図である。
【図2】図1のCRTの面板パネルの断面図であって、発光スクリーン組立体を示す図である。
【図3】図2のスクリーン組立体の製作過程のフローチャートを含むブロック図である。
【図4A】発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図4B】発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図4C】発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図4D】発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図4E】発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図4F】発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5A】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5B】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5C】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5D】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5E】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5F】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5G】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5H】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5I】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5J】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5K】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5L】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。
【図5M】典型的な発光スクリーン組立体の形成中の、面板パネルの内表面の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光スクリーン組立体を有するブラウン管(CRT)を製作する方法であって、
面板パネルを提供するステップであって、前記面板パネルには、該面板パネル上に複数の領域組を定めるパターン化された光吸収マトリクスが設けられる、ステップと、
パターン化された光吸収マトリクスに、感光性材料層を形成するステップと、
一つの領域組で、感光性材料層を交差結合させるステップと、
交差結合された感光性材料層に色素層を設置するステップと、
感光性材料層を定着させ、交差結合されていない感光性材料を有する複数の領域組では、色素層を除去するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記感光性材料層は、光感作物質と高分子の水溶液から形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光感作物質と高分子の水溶液は、粘度が約10センチポイズから約25センチポイズの範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記高分子はポリビニルアルコール(PVA)であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記色素層は、色素、1または2以上の表面活性剤およびゲル化剤を含む水溶液から形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記色素は、青の色素、赤の色素および緑の色素からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲル化剤は、前記水溶液中に、約1重量%から約5重量%の濃度範囲で存在することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ゲル化剤は、ホウ酸(HBO)、ホウ砂、バナジウム酸アンモニウム、銅の塩、コンゴレッド、レゾルシノールおよびサリチルアニリドからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
カラーブラウン管(CRT)の発光スクリーン組立体であって、
複数の領域組を定めるパターン化された光吸収マトリクスを備える面板パネルと、
一つの領域組に形成され、交差結合された感光性材料層と、
前記交差結合された感光性材料層上に形成された色素層と、
を有する発光スクリーン組立体。
【請求項10】
前記交差結合された感光性材料層は、光感作物質と高分子の水溶液から形成されることを特徴とする請求項9に記載の発光スクリーン組立体。
【請求項11】
前記光感作物質と高分子の水溶液は、粘度が約10センチポイズから約25センチポイズの範囲にあることを特徴とする請求項10に記載の発光スクリーン組立体。
【請求項12】
前記高分子はポリビニルアルコール(PVA)であることを特徴とする請求項10に記載の発光スクリーン組立体。
【請求項13】
前記色素層は、色素、1または2以上の表面活性剤およびゲル化剤を含む水溶液から形成されることを特徴とする請求項9に記載の発光スクリーン組立体。
【請求項14】
前記色素は、青の色素、赤の色素および緑の色素からなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の発光スクリーン組立体。
【請求項15】
前記ゲル化剤は、前記水溶液中に、約1重量%から約5重量%の濃度範囲で存在することを特徴とする請求項13に記載の発光スクリーン組立体。
【請求項16】
前記ゲル化剤は、ホウ酸(HBO)、ホウ砂、バナジウム酸アンモニウム、銅の塩、コンゴレッド、レゾルシノールおよびサリチルアニリドからなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の発光スクリーン組立体。
【請求項17】
ブラウン管(CRT)の発光スクリーン組立体のフィルタに用いられる水溶性サスペンションであって、
色素、
1または2以上の表面活性剤、および
ゲル化剤、
を含む水溶性サスペンション。
【請求項18】
前記色素は、青の色素、赤の色素および緑の色素からなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の水溶性サスペンション。
【請求項19】
前記ゲル化剤は、前記水溶液中に、約1重量%から約5重量%の濃度範囲で存在することを特徴とする請求項17に記載の水溶性サスペンション。
【請求項20】
前記ゲル化剤は、ホウ酸(HBO)、ホウ砂、バナジウム酸アンモニウム、銅の塩、コンゴレッド、レゾルシノールおよびサリチルアニリドからなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の水溶性サスペンション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4C】
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【図5C】
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【図5F】
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【公表番号】特表2006−514419(P2006−514419A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569689(P2004−569689)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/040612
【国際公開番号】WO2004/084252
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】