説明

カラーフィルターにおいて使用するための2成分ジケトピロロピロール系顔料組成物

【課題】ジケトピロロピロール系顔料の2成分組成物,その製法およびまた、この新規な生成物の、顔料としての使用を提供する。
【解決手段】1,4−ジケト−3,6−ビス(4−クロロフェニル)ピロロ[3,4−c]ピロール(I)と1,4−ジケト−3−(4−クロロフェニル)−6−(未置換又は置換)ビフェニルピロロ[3,4−c]ピロール(II)の二成分顔料組成物。メジアンメジアン粒径d50が10〜60nmであり、70nmより大きい粒子が5容量%より少なく、(I)と(II)の質量比が99.5:0.5〜80:20である。特に有機コーティング系において良好な分散性、狭い粒径分布を有する顔料結晶の細分の微細な状態、粉砕する間の高い再結晶化安定性、高い熱安定性ならびにまた、色相および輝度の高い清浄度を有する、カラーフィルター用途用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)および(II)の化合物の顔料組成物, その製法およびまた、この新規な生成物の、顔料としての使用に関する。
【0002】
【化1】

【0003】
極めて良好な分散性および高い熱安定性が要求される、例えば、金属コーティングの着色におけるまたはカラーフィルターにおける使用におけるようなところでは、有機顔料のたくさんの使用がある。
【0004】
カラーフィルターは、コントラスト比の低下に至る粒子散乱を大きく排除し得るように、特に微粉化した顔料を使用して製造される。
【0005】
市販されている製品は、もっとも、必ずしもすべての技術的要求を満足させるとは限らない。一層特に、これらの微粉化した顔料の側に、色度および色相(hue)に悪影響を与えないで、粒径、分散性および熱安定性に関して改良の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ジケトピロロピロール系顔料組成物、特に有機コーティング系において良好な分散性、狭い粒径分布を有する顔料結晶の細分の微細な状態、粉砕する間の高い再結晶化安定性、高い熱安定性ならびにまた、色相および輝度の高い清浄度を有する、カラーフィルター用途用のジケトピロロピロール系顔料組成物を提供するにある。
【0007】
EP-A-1 411 091は、再結晶して一層大きな粒子になるのを有効に防ぐために、乾式研削と塩混練との組合せからなる、微細な結晶顔料粒子を調製する複雑な2段プロセスについて記載している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、驚くべきことに、この目的が、非対称的に置換されたジケトピロロピロール (II)を純 P.R. 254に加えることによって達成できることを見出した。
【0009】
本発明は、メジアン粒径 d50 が10〜60 nmであり、15〜50 nmであるのが好ましく、70 nmより大きい粒子が5容量%より少なく、
そして式 (I)の化合物対式 (II) の化合物の質量比が、99.5:0.5〜80:20であり、好ましくは 99:1〜85:15であり、一層特に98:2〜90:10であり、
【0010】
【化2】

【0011】
式中、
Nは、数0〜4であり、好ましくは0〜2であり、特にゼロであり、そして
Xは、OH、F、Cl、Br、CN、CF3、ニトロ、C1-C8-アルキル、C5-C7-シクロアルキル、C2-C8-アルケニル、C1-C8-アルコキシ、フェニルまたはベンジルであることを特徴とする、式(I)および(II) の化合物の2成分顔料組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の顔料組成物の粒径分布は、好ましくはガウス分布に近く、標準偏差シグマが、 好ましくは30 nmより小さくおよび 一層好ましくは20 nmより小さい。標準偏差は、一般に5 〜30 nmであり、好ましくは6〜25 nmでありおよび特に7〜20 nmである。
【0013】
標準偏差シグマ (s)は、標準偏差の二乗の正の平方根と一致する。標準偏差の二乗vは、平均からの二乗した偏差の総計を、試料の数-1で割ったものである。
【0014】
本発明の顔料組成物は、更にd95 値70 nm以下を特徴とする。
【0015】
本発明の顔料組成物の一次顔料粒子の長さ対幅比は、2:1〜1:1であるのが好ましい。
【0016】
2成分顔料組成物は、更に可能なレオロジー-増進用顔料誘導体に関係なく、ジケトピロロピロール顔料成分それ自体は、式(I)および(II)の二種の化合物だけで構成されることを意味する。このため、本発明の2成分顔料組成物は、対応するニトリル混合物との単純な混合合成によっては、典型的には三成分混合物に至り、調製することができず、代わりに式 (II)の非対称ジケトピロロピロールを別に合成しそしてそれに続いてそれにP.R. 254を混合することを必要とする。
【0017】
非対称ジケトピロロピロールの合成は、それ自体が知られておりそしてEP-A1-0 184 982に記載されている。合成は、ピロリノン (III)中間体を経て進行し、ピロリノン(III)中間体から、非対称顔料を調製することができる。
【0018】
【化3】

【0019】
本発明は、また、P.R. 254を式 (II)の化合物と、細分の微細な状態に転化させる前におよび/または間に、混合する、好ましくは塩混練またはビーズ微粉砕する、一層好ましくは塩混練することによって、本発明の2成分顔料組成物を製造する方法も提供する。
【0020】
本発明の顔料組成物は、純P.R. 254と違って、細分の微細な状態に転化させる間の高い温度においてさえ再結晶化安定なままである、すなわち、そうでなければ通常のことである粒子成長が行われずそしてそのために、結晶成長抑制剤の存在が不必要であることは、特に驚くべきことである。
【0021】
細分の微細な状態に転化させることは、結晶性無機塩を用いた塩混練を有機溶媒の存在下で利用するのが好ましい。結晶性無機塩として、例えば硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムを使用することができ、好ましくは硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを使用することができる。
【0022】
有機溶媒として、例えばケトン、エステル、アミド、スルホン、スルホキシド、ニトロ化合物、モノ-、ビス-またはトリス-ヒドロキシC2-C12-アルカン(これらはC1-C8-アルキルおよび1個以上のヒドロキシル基で置換されてもよい)を使用することができる。特に好ましいのは、モノマー、オリゴマーおよびポリマーC2-C3-アルキレングリコール、例えばジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルおよび液体ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、N-メチルピロリドンおよびまた、トリアセチン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、酢酸ブチル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシドおよびスルホランをベースにした水混和性の高沸点有機溶媒である。
【0023】
無機塩と顔料との重量比は、好ましくは(2〜10):1であり、 特に (3〜7):1である。
【0024】
有機溶媒と無機塩との重量比は、 (1 ml:10 g)〜(2 ml:7 g) であるのが好ましい。
【0025】
有機溶媒と無機塩および顔料の総計との重量比は、(1 ml:2 g)〜(1 ml:10 g) であるのが好ましい。
【0026】
混練作業の間の温度は、40〜140°C、好ましくは60〜120°Cにすることができる。混練時間は、有利には 4時間〜32時間、好ましくは8時間〜20時間である。
【0027】
塩混練作業の後に、 無機塩および有機溶媒を、有利には水で洗浄することによって除きそしてこのようにして得られた顔料組成物を従来の方法によって乾燥させる。
【0028】
本発明に従って細分の微細な状態に転化させた後に懸濁液、ろ過ケーキまたは乾燥物質として得られた物質に、必要に応じて溶媒後処理を施して粒径を大きく増大させないで、一層均質な粒子形を得てもよい。好ましいのは、水またはアルコールおよび芳香族溶媒、一層好ましくは枝分かれしたもしくは枝なしの C1-C6-アルコール、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロトルエンまたはニトロベンゼンのような通常高温下で、例えば200°Cまで、および必要ならば高圧下でスチーム-揮発性溶媒を使用することである。
【0029】
本発明の顔料組成物は、加えて、慣例の補助剤または添加剤、例えば界面活性剤、分散剤、充填剤、標準化剤(standardizers)、樹脂、ワックス、消泡剤、防塵剤、増量剤、 帯電防止剤、保存料、乾燥度遅延剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤を、式(I)および(II)の化合物の使用する混合物に基づいて好ましくは0.1%〜30重量%の量で、特に1%〜25重量%の量で更に含有してよい。
【0030】
有用な界面活性剤は、慣例のアニオン系、カチオン系、非イオン系または両性物質またはそれらの混合物を含む。
【0031】
特に好ましいのは、式(I)および(II)の化合物の使用する混合物に基づいて0.1%〜30重量%、特に1%〜25重量%の式 (4)の化合物および/またはレーキされていない(unlaked)スルホ含有モノアゾ染料の群からの分散剤の一種以上である:
【0032】
【化4】

【0033】
式中、
Qは、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、アンタントロン顔料、インダントロン顔料、ジオキサン顔料、例えばトリフェンジオキサン、ジケトピロロピロール顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、チアジンインジゴ顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、イソビオラントロン顔料、フラバントロン顔料またはアントラピリミジン顔料の群からの有機顔料の残基であり;
sは、数1〜5であり、好ましくは 1〜3であり;
nは、数0〜4であり、好ましくは 0.1〜2であり; s および nの総計は、1〜5であり、そしてsは、nより大きく;
R30は、炭素原子を1〜20個有する、枝分かれしたもしくは枝なしの、飽和もしくは不飽和の、脂肪族ヒドロカルビルラジカルであるか、またはC5-C7-シクロアルキルラジカルであるか、または芳香族環を1、2または3個有する芳香族脂肪族または芳香族ラジカルであり、環は、縮合されるかまたは結合によって結び付けられる可能性があるか、あるいはO、NおよびSからなる群よりのヘテロ原子を1、2、3または4個含有する環を1、2または3個有する複素環式ラジカル、またはそれらの組合せであり; ここで、上述したヒドロカルビル、シクロアルキル、芳香族、芳香族脂肪族(araliphatic)および複素環式ラジカルは、OH、CN、F、Cl、Br、NO2、CF3、C1-C6-アルコキシ、S-C1-C6-アルキル、NHCONH2、NHC(NH)NH2、NHCO-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキル、COOR5、CONR5R6、NR5R6、SO3R5、SO2-NR5R6、SO3-E+およびCOO-E+、(式中、R5 およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルである)からなる群よりの置換基1、2、3または4個で置換されてもよい;
R40は、水素またはR30であり;
E+, G+は、独立してH+または周期表の第1〜第5 主族からのまたは第1 または 第2 または 第4〜第8 遷移族からのMp+/m当量の金属カチオンMp+(式中、mは数1、2または3の内の1つでありそして pは1、2または3である)であり;
または置換されたまたは非置換のアンモニウムイオンである。
【0034】
式 (4)の好適な顔料分散剤では、
Qは、キナクリドン、ジオキサンまたはジケトピロロピロール顔料の群からの有機顔料の残基であり;
R30は、 C1-C6-アルキル、ベンジル、フェニルであり、これらは、各々OH、C1-C6-アルコキシ、S-C1-C6-アルキル、NHCONH2、NHC(NH)NH2、NHCO-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキル、CONR5R6およびNR5R6(式中、R5およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルである)からなる群よりの置換基1、2、3または4個で置換されてよい;
R40は、水素であり、
G+は、水素、アルカリ金属またはアンモニウムイオンである。
式(4)の特に好適な顔料分散剤では、
Qは、ジケトピロロピロール顔料の群からの有機顔料、好ましくはC.I. Pigment Red 255または264, あるいはキナクリドン顔料の群からの有機顔料の残基、好ましくはC.I. Pigment Violet 19 またはPigment Red 122であり;
R30は、C1-C6-アルキルであり、これはNR5R6(式中、R5およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルである)で置換され;
R40は、水素であり、
G+は、水素、Li、Na、K またはアンモニウムイオンである。
【0035】
式(4)の顔料分散剤は、従来の化合物でありそして既知の方法、例えばEP-A-1 104 789またはDE-A- 3 106 906に記載されているような方法によって得ることができる。
【0036】
レーキされていないスルホ含有モノアゾ染料は、式 (Va)、(Vb)、(VI)または(VII) の化合物を含むのが好ましい。
【0037】
【化5】

【0038】
式中、
R1は、芳香族環を1、2または3個有する芳香族ラジカルであり、環は、縮合されるかまたは結合によって結び付けられる可能性があるか、あるいはO、NおよびSからなる群よりのヘテロ原子を1、2、3または4個含有する環を1、2または3個有する複素環式ラジカルであり; またはそれらの組合せであり;
ここで、上述した芳香族および複素環式ラジカルは、OH、CN、F、Cl、Br、NO2、CF3、C1-C6-アルコキシ、S-C1-C6-アルキル、NHCONH2、NHC(NH)NH2、NHCO-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキル、COOR5、CONR5R6、NR5R6、SO3R5、SO2-NR5R6およびCOO-E+(式中、R5 およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルでありそしてE+は、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたは非置換のアンモニウムイオンである)からなる群よりの置換基1、2、3または4個で置換されてもよい;
Yは、SO3 E+または Z-SO3E+(式中、 Zは、C1-C10-アルキレンまたはフェニレンである)であり;
nは、数1、2または3であり;
R2は、-OR8 または -NHR8
(式中、R8 は、H、C1-C6-アルキル、ベンジル、芳香族環を1、2または3個有する芳香族ラジカルであり、環は、縮合されるかまたは結合によって結び付けられる可能性があるか、あるいはO、NおよびSからなる群よりのヘテロ原子を1、2、3または4個含有する環を1、2または3個有する複素環式ラジカルであり; またはそれらの組合せである)であり;
ここで、上述した芳香族および複素環式ラジカルは、各々OH、C1-C6-アルコキシ、S-C1-C6-アルキル、F、Cl、Brのようなハロゲン、NHCONH2、NHC(NH)NH2、NHCO-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキル、ニトロ、COOR5、CONR5R6、SO3R5、SO2-NR5R6、NRR10、SO3-E+およびCOO-E+(式中、R5 およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルであり; R9および R10は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルである)であり;
R3 および R4は、各々芳香族環を1、2または3個有する芳香族ラジカルであり、環は、縮合されるかまたは結合によって結び付けられる可能性があるか、あるいはO、NおよびSからなる群よりのヘテロ原子を1、2、3または4個含有する環を1、2または3個有する複素環式ラジカルであり; またはそれらの組合せであり;
ここで、上述した芳香族および複素環式ラジカルは、各々OH、C1-C6-アルコキシ、S-C1-C6-アルキル、F、Cl、Brのようなハロゲン、NHCONH2、NHC(NH)NH2、NHCO-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキル、ニトロ、COOR5、CONR5R6、SO3R5、SO2-NR5R6、NRR10、SO3-E+およびCOO-E+(式中、R5 およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルであり; R9および R10は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルである)である。
【0039】
モノアゾ染料では、ラジカル-R1-Ynは、下記の好適な意味を有し、フェニル環またはナフチル環上の自由原子価は、ジアゾ基への結合を表し:
(i) p-アミノベンゼンスルホン酸の群から:
【0040】
【化6】

【0041】
(ii) m-アミノベンゼンスルホン酸の群から:
【0042】
【化7】


【0043】
(iii) o-アミノベンゼンスルホン酸の群から:
【0044】
【化8】


【0045】
-R1-Yn 基からの特に好適なラジカルは、下記である:
【0046】
【化9】

【0047】
本発明の目的から、式 (Va)の化合物が好適である:
第一の実施態様では、-R2 ラジカルは、OHまたはO-C1-C6-アルキルの意味を有する。
【0048】
代わりの実施態様では、-CO-R2 ラジカルはアミド基であり、式中、 R2 はNH2であり、
【0049】
【化10】

【0050】
式中、上記式中のカルボニル基への結合は、芳香族環の遊離アミノ基 (N-) を経る。
【0051】
-R2 基からの特に好適なラジカルは、下記である:
一方でOH そしてまた、下記である。
【0052】
【化11】

【0053】
本発明の目的で式 (VI)の好適な化合物は、下記の-R3ラジカルを有するものであり、式中、フェニル環上の自由原子価は、窒素への結合を表す:
【0054】
【化12】

【0055】
-R3 基からの特に好適なラジカルは、下記である:
【0056】
【化13】

【0057】
本発明の目的で式 (VII)の好適な化合物は、下記の-R4ラジカルを有するものであり、式中、フェニル環上の自由原子価は、窒素への結合を表す:
【0058】
【化14】

【0059】
-R4 基からの特に好適なラジカルは、下記である:
【0060】
【化15】

【0061】
極めて特に好ましいのは、下記式のモノアゾ染料である:
【0062】
【化16】




【0063】
レーキされていないスルホ含有モノアゾ染料は、従来の化合物でありそして既知の方法に従いジアゾ化およびアゾカップリングによって調製することができる。
【0064】
式(4)の顔料分散剤の割合は、式(I)および(II)の化合物の使用する混合物に基づいて、0%〜30重量%であるのが好ましくおよび1%〜25重量%であるのが好ましい。
【0065】
モノアゾ染料の割合は、式(I)および(II)の化合物の使用する混合物に基づいて、0%〜30重量%であるのが好ましくおよび1%〜25重量%であるのが好ましい。
【0066】
式(4)の顔料分散剤およびモノアゾ染料対互いの重量比は、約 1:1、すなわち、1:0.8〜1.2であるのが好ましい。
【0067】
本発明は、また、式(I)および(II)の化合物の混合物を、細分の微細な状態に転化させるかまたは仕上げ処理の前に、間におよび/または後に、式(4)の顔料分散剤および/またはレーキされていないスルホ含有モノアゾ染料の一種以上と混和することを含む、本発明の顔料組成物を製造する方法も提供する。
【0068】
本発明の顔料組成物は、基本的には、天然起源または合成起源のすべての高分子有機物質、例えばプラスチック、樹脂、コーティング、特に金属コーティング、塗料、電子写真トナーおよび現像剤、エレクトレット材料、カラーフィルターおよびまた、 液体インク、印刷用インクを着色するために有用である。
【0069】
一層特に、本発明の顔料組成物は、カラーフィルターにおいて使用するために需要がある赤色スペクトルの色相を提供する。そこで、本発明の顔料組成物は、ハイコントラストを提供しそしてまた、高い熱安定性または急勾配のおよび狭い吸収バンドのような、カラーフィルターにおいて使用するための他の要求を満足させる。
【0070】
一層特に、本発明の顔料組成物は、また、水性または非水性基盤上のインクジェット用インクにおけるおよびまた、ホットメルトタイプのインクジェット用インクにおける着色剤としても有用である。
【0071】
本発明は、 それ故に、また、本発明の顔料製剤を色彩的に有効な量で含む高分子有機物質も提供する。
【0072】
本発明の顔料組成物は、着色すべき高分子有機物質に基づいて、0.01%〜30重量%の量で使用するのが普通でありおよび0.1%〜15重量%の量で使用するのが好ましい。カラーフィルターにおいて使用する場合は、また、本明細書中下記に述べる通りに、一層多い量を使用することもできる。
【0073】
一層特に、本発明の顔料組成物は、加法色発生のためばかりでなく、また、減法色発生のためのカラーフィルター用着色剤として、例えばテレビの画面、液晶ディスプレー(LCD)、電荷結合素子、プラズマディスプレーまたは電子発光ディスプレー、これらは、立ち代って、アクティブ(ねじれネマチック)またはパッシブ(超ねじれネマチック)強誘電性ディスプレーまたは発光ダイオードにすることができるような、電気光学系におけるような着色剤として、そしてまた、“電子インク”(“e-inks”)または“電子ペーパー”(“e-paper”)用着色剤として有用である。
【0074】
カラーフィルター、反射型ばかりでなく、また、透明型カラーフィルターも、適切なバインダー (アクリラート、アクリル酸エステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エポキシド、ポリエステル、メラミン、ゼラチン、カゼイン) 中のペーストの形態のまたは着色フォトレジストとしての顔料をそれぞれのLCD成分(例えばTFT-LCD =Thin Film Transistor Liquid Crystal Displayまたは例えば((S) TN-LCD = (Super) Twisted Nematic-LCD) に適用することによって製造する。高い熱安定性と同様に高い顔料純度も、安定なペーストまたは着色フォトレジストの前提条件である。
【0075】
加えて、着色カラーフィルターは、また、インクジェット印刷プロセスまたは他の適切な印刷プロセスによって適用することもできる。
【0076】
本発明の顔料組成物の赤色色相は、赤-緑-青(R,G,B)カラーフィルターの色の組合せ(color set)用に特に有用である。これらの3つの色は、本質的に異なる色付きドットとして並んでおりそして後ろから照射する際にフルカラーの画像を発生する。
【0077】
青色ドット用の代表的な着色剤は、フタロシアニン着色剤またはベンズイミダゾロンジオキサン顔料、例えば C.I. PIGMENT Blue 15:6およびC.I. PIGMENT Blue 80のようなものである。緑色ドットは、フタロシアニン着色剤、例えば C.I. PIGMENT Green 36およびC.I. PIGMENT Green 7を利用するのが代表的である。
【0078】
必要ならば、それぞれの色ドットに色を変えるために更なる色を混合してよい。赤色および緑色色相に黄色、例えばC.I. PIGMENT Yellow 138, 139, 150, 151, 180 および 213を混和するのが好ましい。青色色相に紫色、例えばC.I. PIGMENT Violet 19または23を混和するのが好ましい。
【0079】
本発明の顔料組成物の適用するカラーフィルターフィルム中の使用濃度は、カラーフィルターフィルムの総重量に基づいて、5%〜95重量%、好ましくは20%〜80重量%および最も好ましくは40%〜60重量%にすることができる。
【0080】
本発明は、また、本発明の顔料組成物を色彩的に有効な量で含むカラーフィルターも提供する。
【0081】
下記の例において、パーセンテージおよび部は、特に明記しない限り、重量による。
【実施例】
【0082】
非対称DPP (29)の調製:
【0083】
【化17】

【0084】
エチル3-(4-クロルフェニル)-3-オキソプロピオナート(30) (ナトリウム塩)
4-クロロアセトフェノン155 gを乾燥トルエン800 mlに導入する。澄明な溶液をジエチルカーボネート236 gに20分かけて滴下して混和する。これに続けて、水素化ナトリウム(60%形態) 42 gを注意深く添加する。
【0085】
混合物を加熱して78°C にしそして生成されたエタノールを蒸留によって除く。 反応混合物からエタノールを完全に除いた後に、黄色懸濁液を、氷浴を使用して冷却し、そして黄色残渣をろ過することによって分離し、トルエン500 mlで洗浄し、そして減圧下で乾燥させる。
【0086】
これは、エチル 3-(4-クロルフェニル)-3-オキソプロピオナート(30) (ナトリウム塩) 137 gを生じさせる。
【0087】
【化18】

【0088】
ジエチル2-(4-クロロベンゾイル)スクシナート (31)
エチル3-(4-クロルフェニル)-3-オキソプロピオナート(30) のナトリウム塩(42.3 g)を注意深く少しずつエチルブロモアセタート29.8 gに導入する。TLC モニタリングに従って反応が終了するまで、混合物を65°Cに保つ。
【0089】
冷却した後に、混合物を少しずつ水600 mlと混和しそして分液漏斗に移す。
【0090】
抽出を、毎回エーテル200 mlを用いて合計3時間実施する。相を分離しそして一体とした有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させる。エーテルを除きそして残渣を80°Cにおいて減圧下で乾燥させる。これは、ジエチル2-(4-クロロベンゾイル)スクシナート(31) 39.9 gを生じさせる。
【0091】
【化19】

【0092】
エチル2-(4-クロルフェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-カルボキシラート(3)
ジエチル2-(4-クロロベンゾイル)スクシナート(31) 16.0 gを氷酢酸70 mlに導入する。酢酸アンモニウム36.4 gを加えそして混合物を2.5 時間撹拌する。加熱して沸点にした後に、懸濁液を更に1.5時間撹拌しそして次いで、ゆっくり冷却して5°Cにする。結晶性、シルバーグレイの残渣を分離し、氷酢酸そして水で洗浄し、そして次いで、80°Cにおいて減圧下で乾燥させる(12.8 g)。
【0093】
【化20】

【0094】
ピロリノン(3)から非対称顔料 (29)を調製する。
【0095】
この目的で、tert-アミルアルコール125 mlを容器に投入し、ナトリウム5.2 gを導入し、そしてナトリウムがすっかり溶解されるまで、混合物を沸騰させながら加熱する。
【0096】
次いで、95°Cで、4-シアノビフェニル13.4 gを加える。淡色の懸濁液をエチル2-(4-クロルフェニル)-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-カルボキシラート(3) 19.9 gと少しずつ混和し、そして暗赤色懸濁液を100°Cで90 分間撹拌する。
【0097】
反応終結後、混合物を冷却して80°C にしそして水(60°C) 330 mlにあける。加水分解させるために、顔料を75°C で30 分撹拌する。tert-アミルアルコールを、スチーム蒸留することによって除き、そして次いで、水性顔料懸濁液を濾過する。赤色顔料をメタノールそして水で洗浄しそして80°C において減圧下で乾燥させる(24.0 g)。
レーキされていないスルホ含有モノアゾ染料の調製:
例A: 化合物 (VIII)
a) ジアゾ(混合物1):
2-アミノ-4-クロロ-5-メチルベンゼンスルホン酸89.6部を水400部および水酸化ナトリウム水溶液(w = 33%)41部に溶解させる。ジアゾ化を塩酸(w = 31%) 162 部および亜硝酸ナトリウム溶液 (w=40%)73部を用いて10°Cで実施する。続いて、酢酸ナトリウム50部を加えることによって、pH 3-4を設定する。
b) カップリング剤(混合物2):
BONS (3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸)79部を水1600部および力価33%の水酸化ナトリウム水溶液98部に溶解させる。溶液を、氷を加えることによって冷却して10°Cにする。
c) カップリング:
混合物1を混合物2に15°C で90 分かけて加える。撹拌を初め30°Cで1時間実施しそして次いで、60°C で1時間実施する。生成された深紅の懸濁液を濾過しそして生成物を洗浄しそして強制空気乾燥炉内で80°Cにおいて乾燥させる。これは、化合物 (VIII) 160 部を生じさせる。
例B〜U
化合物(IX)〜(XXVIII)を例Aと同じようにして調製する。
例1:
EP-A-0 190 999の例1に沿って調製した、メジアン粒径が200 nmより大きいP.R. 254を使用して、塩混練作業を実施する。この目的を達成するために、乾燥顔料P.R. 254 15 gおよび式 (29)の非対称 DPP 顔料0.6 g を、塩化ナトリウム90 gおよびジエチレングリコール25 mlと一緒に温度80°Cで12時間混練する。混練されたドウを重量による力価5%の塩酸0.9リッターに2時間撹拌しながら入れそして続いて、顔料を濾別する。
【0098】
ろ過ケーキを再び脱塩水0.9リッターで1時間撹拌しながら処理する。ろ過した後に、顔料を水で洗浄して無塩および無酸にしそして減圧下で乾燥させる。
【0099】
得られた顔料組成物は、メジアン粒径d50= 30 nmおよびd95値45 nmを有し、標準偏差 s は11 nmである。
【0100】
長さ対幅比: 1.5:1
例 2:
塩混練作業を例1と同じようにして実施するが、式(29)の非対称DPP顔料1.2 gを使用する。
【0101】
得られた顔料組成物は、メジアン粒径d50 =28 nmおよびd95値42 nmを有し、標準偏差σは8 nmである。
【0102】
長さ対幅比: 1.5:1
例 3:
EP-A-0 190 999の例1に沿って調製した、メジアン粒径が200 nmより大きいP.R. 254を使用して、塩混練作業を実施する。この目的を達成するために、乾燥顔料P.R. 254 14 g、式 (29)の非対称 DPP 顔料0.56 g、塩化ナトリウム84 gおよびジエチレングリコール25 mlを温度80°Cで、混練されたドウが均質になるまで混練する。
【0103】
EP-A-1 104 789、例10aに沿って調製した顔料分散剤(32)
【0104】
【化21】

【0105】
1.4 g、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gの均質な混合物を加えそして生成した混練されたドウを温度80°C で12 時間混練する。
【0106】
混練されたドウを重量による力価5%の塩酸0.9リッターに2時間撹拌しながら入れそして続いて、顔料を濾別する。
【0107】
ろ過ケーキを再び脱塩水0.9リッターで1時間撹拌しながら処理する。ろ過した後に、顔料を水で洗浄して無塩および無酸にしそして減圧下で乾燥させる。
【0108】
得られた顔料組成物は、メジアン粒径d50= 29 nmおよびd95値43 nmを有し、標準偏差 s は12 nmである。
【0109】
長さ対幅比: 1.5:1
例 4:
塩混練作業を例3と同じようにして実施するが、式(29)の非対称DPP顔料1.12 gを使用する。
【0110】
得られた顔料組成物は、メジアン粒径d50 =30 nmおよびd95値50 nmを有し、標準偏差σは10 nmである。
【0111】
長さ対幅比: 1.5:1
例 5:
例3と同じようにして、EP-A-1 362 081の例1aに沿って合成した分散剤 (33)
【0112】
【化22】

【0113】
1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物を混練作業において使用する。これは、メジアン粒径 d50 = 31 nmおよびd95値49 nm、標準偏差 σ 13 nmによって区別される赤色顔料組成物を生じさせる。
【0114】
長さ対幅比: 1.5:1
例 6:
例3と同じようにして、混練されたドウを、分散剤 (34) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 27 nm およびd95値42 nmを有し、標準偏差 σ 8 nmの赤色顔料組成物を生じさせる。
【0115】
長さ対幅比: 1.4:1
【0116】
【化23】

【0117】
例 7:
例3と同じようにして、混練されたドウを、DE-A-3 106 906の例1に沿って合成した分散剤 (35) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 29 nm およびd95値41 nmを有し、標準偏差 σ 8 nmの赤色顔料組成物を生じさせる。
【0118】
長さ対幅比: 1.3:1
【0119】
【化24】

【0120】
例 8:
例3と同じようにして、混練されたドウを、顔料分散剤(32) 1.4 gおよび分散剤 (VIII) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。混練されたドウを重量による力価5%の塩酸0.9リッターに2時間撹拌しながら入れそして次いで、顔料を濾別する。
【0121】
【化25】

【0122】
ろ過ケーキを再び脱塩水0.9リッターで1時間撹拌しながら処理する。ろ過した後に、顔料を水で洗浄して無塩および無酸にしそして減圧下で乾燥させる。
【0123】
得られた顔料組成物は、メジアン粒径d50= 31 nmおよびd95値46 nmを有し、標準偏差 s は12 nmである。
【0124】
長さ対幅比: 1.5:1
例 9:
例3と同じようにして、混練されたドウを、顔料分散剤(32) 1.4 gおよび分散剤 (IX) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 35 nm およびd95値53 nm、標準偏差 σ 13 nmによって区別される赤色顔料組成物を生じさせる。
【0125】
長さ対幅比: 1.4:1
【0126】
【化26】

【0127】
例10:
例3と同じようにして、混練されたドウを、顔料分散剤(32) 1.4 gおよび分散剤 (X) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 31 nm およびd95値46 nm、標準偏差 σ 10 nmによって区別される赤色顔料組成物を生じさせる。
【0128】
長さ対幅比: 1. 5:1
【0129】
【化27】

【0130】
例11:
例3と同じようにして、混練されたドウを、顔料分散剤(32) 1.4 gおよび分散剤 (XI) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 32 nm およびd95値55 nm、標準偏差 σ 14 nmによって区別される赤色顔料組成物を生じさせる。
【0131】
長さ対幅比: 1. 4:1
【0132】
【化28】

【0133】
例12:
例3と同じようにして、混練されたドウを、顔料分散剤(32) 1.4 gおよび分散剤 (XII) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 28 nm およびd95値46 nm、標準偏差 σ 10 nmによって区別される赤色顔料組成物を生じさせる。
【0134】
長さ対幅比: 1. 4:1
【0135】
【化29】

【0136】
例13:
例3と同じようにして、混練されたドウを、顔料分散剤(32) 1.4 gおよび分散剤 (XIII) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 35 nm およびd95値49 nm、標準偏差 σ 9 nmによって区別される赤色顔料組成物を生じさせる。
【0137】
長さ対幅比: 1. 4:1
【0138】
【化30】

【0139】
例14:
例3と同じようにして、混練されたドウを、顔料分散剤(32) 1.4 gおよび分散剤 (XIV) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 30 nm およびd95値53 nm、標準偏差 σ 13 nmによって区別される赤色顔料組成物を生じさせる。
【0140】
長さ対幅比: 1. 5:1
【0141】
【化31】

【0142】
例15:
例3と同じようにして、混練されたドウを、顔料分散剤(32) 1.4 gおよび分散剤 (XV) 1.4 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 31 nm およびd95値40 nm、標準偏差 σ 12 nmによって区別される赤色顔料組成物を生じさせる。
【0143】
長さ対幅比: 1. 5:1
【0144】
【化32】

【0145】
例16:
例7と同じようにして、DE-A-3 106 906の例1に沿って合成した分散剤 (35) 1.4 gおよび分散剤 (IX) 1.9 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 32 nm およびd95値50 nmを有し、標準偏差 σ 10 nmの赤色顔料組成物を生じさせる。
【0146】
長さ対幅比: 1.4:1
例17:
例7と同じようにして、DE-A-3 106 906の例1に沿って合成した分散剤 (35) 0.7 gおよび分散剤 (VIII) 0.42 gを、塩化ナトリウム8.4 gおよびジエチレングリコール2.4 gと一緒にした均質な混合物と混和する。これは、メジアン粒径d50 = 31 nm およびd95値45 nmを有し、標準偏差 σ 12 nmを有する赤色顔料組成物を生じさせる。
【0147】
長さ対幅比: 1.5:1
例18:
例3と同じようにして、化合物 (IX) 1.4 gを混練作業において唯一の分散剤として使用する。これは、メジアン粒径d50 = 38 nm およびd95値52 nm、標準偏差 σ 14 nmを有する赤色顔料組成物を生じさせる。
【0148】
長さ対幅比: 1.5:1
例19:
例3と同じようにして、化合物(VIII) 1.4 gを混練作業において唯一の分散剤として使用する。これは、メジアン粒径d50 = 43 nm およびd95値57 nm、標準偏差 σ 15 nmを有する赤色顔料組成物を生じさせる。
【0149】
長さ対幅比: 1.5:1
例 20:
例1と同じようにして、顔料組成物を、更なる添加剤を用いないで混練する。混練中のケークを、重量による力価5%の塩酸を用いて撹拌することよって抽出した後に、抽出物を再び脱塩水0.9リッターでペースト化しそしてペーストを50°Cの水性懸濁液中で顔料分散剤(32) 1.4 gおよび分散剤 (IX) 1.4 gと一緒に1時間撹拌する。冷却した後に、混合物を濾過しそして生成物を脱塩水およそ2 リッターで洗浄する。顔料を減圧下で乾燥させそして次いで、粉砕する。 これは、メジアン粒径 d50 = 32 nm およびd95値50 nm、標準偏差 σ 12 nmを有する赤色顔料組成物を生じさせる。
【0150】
長さ対幅比: 1.5:1
比較例:
EP-A-0 190 999の例1に沿って調製した、メジアン粒径が200 nmより大きいP.R. 254を使用して、塩混練作業を実施する。この目的を達成するために、乾燥顔料15 gを、塩化ナトリウム90 gおよびジエチレングリコール25 mlと共に温度80°Cで12時間混練する。混練されたドウを重量による力価5%の塩酸0.9リッターに2時間撹拌しながら入れそして続いて、顔料を濾別する。
【0151】
ろ過ケーキを再び脱塩水0.9リッターで1時間撹拌しながら処理する。ろ過した後に、顔料を水で洗浄して無塩および無酸にしそして減圧下で乾燥させる。
【0152】
得られた顔料は、メジアン粒径d50= 70 nmおよびd95値114 nmを有し、標準偏差 s は22 nmである。
【0153】
長さ対幅比: 1.5:1
【0154】
【表1】

【0155】
カラーフィルターにおける使用:
顔料または顔料組成物7.6 g をSolsperse 24000 (Avecia) 1.8 gおよびPGMEA 42 gと混和する。酸化ジルコニウムビーズ(0.5-0.7 mm) 122 g を加え、続けて、塗料振盪器中で2時間分散させる。このようにして得られたミルベースを、PGMEA 13.4 g中のJoncryl(登録商標)611 (スチレン-アクリラート樹脂、Johnson Polymers) 7.2 gの混合物と混和しそして塗料振盪器中で10 分間再分散させる。顔料分散体をスピンコータ(POLOS Wafer Spinner) の助けを借りてガラス板 (SCHOTT、レーザー切断、10 x 10 cm)に適用しそしてコントラスト値を測定する (DMS 803 ゴニオメーター、CCD-SPECT2 スペクトルグラフ)。
【0156】
熱安定性を求めるために、続いて、ガラス板を250°Cで1時間加熱する。コントラスト値を再測定しそして熱処理されないガラス板に比べた減量をパーセントで報告する。
【0157】
【表2】

【0158】
例1〜20の顔料組成物は、それらのコントラスト値が高いために、カラーフィルター用途用に適切である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メジアン粒径 d50が10〜60 nmであり、70 nmより大きい粒子が5容量%より少なく、
式 (I)の化合物対式 (II) の化合物の質量比が99.5:0.5〜80:20である、
【化1】

(式中、
Nは、数0〜4であり;そして
Xは、OH、F、Cl、Br、CN、CF3、ニトロ、C1-C8-アルキル、C5-C7-シクロアルキル、C2-C8-アルケニル、C1-C8-アルコキシ、フェニルまたはベンジルである)
ことを特徴とする、式(I)および(II) の化合物の2成分顔料組成物。
【請求項2】
メジアン粒径 d5015〜50 nmを特徴とする、請求項1記載の顔料組成物。
【請求項3】
nがゼロである、請求項1または2記載の顔料組成物。
【請求項4】
標準偏差シグマが5〜30 nmである、請求項1〜3のいずれか一に記載の顔料組成物。
【請求項5】
一次顔料粒子の長さ対幅比が2:1〜1:1である、請求項1〜4のいずれか一に記載の顔料組成物。
【請求項6】
界面活性剤、分散剤、充填剤、標準化剤、樹脂、ワックス、消泡剤、防塵剤、増量剤、 帯電防止剤、保存料、乾燥度遅延剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤の群からの補助剤を一種以上含有する、請求項1〜5のいずれか一に記載の顔料組成物。
【請求項7】
分散剤が、式 (4)の化合物および/またはレーキされていないスルホ含有モノアゾ染料の群:
【化2】

(式中、
Qは、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、アンタントロン顔料、インダントロン顔料、ジオキサン顔料、ジケトピロロピロール顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、チアジンインジゴ顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、イソビオラントロン顔料、フラバントロン顔料またはアントラピリミジン顔料の群からの有機顔料の残基であり;
sは、数1〜5であり;
nは、数0〜4であり; s および nの総計は、1〜5であり、そしてsは、nより大きく;
R30は、炭素原子を1〜20個有する、枝分かれしたもしくは枝なしの、飽和もしくは不飽和の、脂肪族ヒドロカルビルラジカルであるか、またはC5-C7-シクロアルキルラジカルであるか、または芳香族環を1、2または3個有する芳香族脂肪族または芳香族ラジカルであり、環は、縮合されるかまたは結合によって結び付けられる可能性があるか、あるいはO、NおよびSからなる群よりのヘテロ原子を1、2、3または4個含有する環を1、2または3個有する複素環式ラジカル、またはそれらの組合せであり; ここで、上述したヒドロカルビル、シクロアルキル、芳香族、芳香族脂肪族および複素環式ラジカルは、OH、CN、F、Cl、Br、NO2、CF3、C1-C6-アルコキシ、S-C1-C6-アルキル、NHCONH2、NHC(NH)NH2、NHCO-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキル、COOR5、CONR5R6、NR5R6、SO3R5、SO2-NR5R6、SO3-E+およびCOO-E+(式中、R5 およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルである)からなる群よりの置換基1、2、3または4個で置換されてよい;
R40は、水素またはR30であり;
E+, G+は、独立してH+または周期表第1〜第5 主族からのまたは第1 または 第2 または 第4〜第8 遷移族からのMp+/m当量の金属カチオンMp+(式中、mは数1、2または3の内の1つでありそして pは1、2または3である)であり;
または置換されたまたは非置換のアンモニウムイオンである)
からの顔料分散剤である、請求項6記載の顔料組成物。
【請求項8】
式(I)および(II)の化合物の使用する混合物に基づいて0.1%〜30重量%の顔料分散剤を一種以上含有する、請求項7記載の顔料組成物。
【請求項9】
レーキされていないスルホ含有モノアゾ染料が、式 (Va)、(Vb)、(VI)または(VII) の化合物
【化3】

(式中、
R1は、芳香族環を1、2または3個有する芳香族ラジカルであり、環は、縮合されるかまたは結合によって結び付けられる可能性があるか、あるいはO、NおよびSからなる群よりのヘテロ原子を1、2、3または4個含有する環を1、2または3個有する複素環式ラジカル; またはそれらの組合せであり;
ここで、上述した芳香族および複素環式ラジカルは、OH、CN、F、Cl、Br、NO2、CF3、C1-C6-アルコキシ、S-C1-C6-アルキル、NHCONH2、NHC(NH)NH2、NHCO-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキル、COOR5、CONR5R6、NR5R6、SO3R5、SO2-NR5R6およびCOO-E+(式中、R5 およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルでありそしてE+は、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたは非置換のアンモニウムイオンである)からなる群よりの置換基1、2、3または4個で置換されてよい;
Yは、SO3E+または Z-SO3E+、(式中、 Zは、C1-C10-アルキレンまたはフェニレンである)であり;
nは、数1、2または3であり;
R2は、-OR8 または -NHR8
(式中、R8 は、H、C1-C6-アルキル、ベンジル、芳香族環を1、2または3個有する芳香族ラジカルであり、環は、縮合されるかまたは結合によって結び付けられる可能性があるか、あるいはO、NおよびSからなる群よりのヘテロ原子を1、2、3または4個含有する環を1、2または3個有する複素環式ラジカル; またはそれらの組合せである)であり;
ここで、上述した芳香族および複素環式ラジカルは、各々OH、C1-C6-アルコキシ、S-C1-C6-アルキル、F、Cl、Brのようなハロゲン、NHCONH2、NHC(NH)NH2、NHCO-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキル、ニトロ、COOR5、CONR5R6、SO3R5、SO2-NR5R6、NRR10、SO3-E+およびCOO-E+(式中、R5 およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルであり; R9 および R10は、同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルである)であり;
R3 および R4は、各々芳香族環を1、2または3個有する芳香族ラジカルであり、環は、縮合されるかまたは結合によって結び付けられる可能性があるか、あるいはO、NおよびSからなる群よりのヘテロ原子を1、2、3または4個含有する環を1、2または3個有する複素環式ラジカル; またはそれらの組合せであり;
ここで、上述した芳香族および複素環式ラジカルは、各々OH、C1-C6-アルコキシ、S-C1-C6-アルキル、F、Cl、Brのようなハロゲン、NHCONH2、NHC(NH)NH2、NHCO-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキル、ニトロ、COOR5、CONR5R6、SO3R5、SO2-NR5R6、NRR10、SO3-E+およびCOO-E+(式中、R5 およびR6は、 同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルであり; R9 および R10は、同じであるかまたは異なりそして各々水素、フェニルまたはC1-C6-アルキルである)
である、請求項7または8記載の顔料組成物。
【請求項10】
R2ラジカルがOHまたはO-C1-C6-アルキルである、請求項9記載の顔料組成物。
【請求項11】
-CO-R2 ラジカルが、アミド基(式中、R2はNH2
【化4】

であり、上記式中のカルボニル基への結合は、芳香族環の遊離アミノ基 (N-) を経る)
である、請求項9記載の顔料組成物。
【請求項12】
P.R. 254を式 (II)の化合物と、細分の微細な状態に転化させる前におよび/または間に、混合する、好ましくは塩混練またはビーズ微粉砕する、一層好ましくは塩混練することによって、請求項1〜5のいずれか一に記載の顔料組成物を製造する方法。
【請求項13】
式(I)および(II)の化合物の混合物を、細分の微細な状態に転化させるまたは仕上げ処理の前に、間におよび/または後に、式(4)の顔料分散剤および/またはレーキされていないスルホ含有モノアゾ染料の一種以上と混和することを含む請求項7〜11のいずれか一に記載の顔料組成物を製造する方法。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一に記載の顔料組成物の一種以上の、プラスチック、樹脂、コーティング、塗料、電子写真トナーおよび現像剤、カラーフィルターおよびまた、 液体インク、特にインクジェットインク、印刷用インクを着色するための使用。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか一に記載の顔料組成物を色彩的に有効な量で含むカラーフィルター。

【公開番号】特開2010−47748(P2010−47748A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−160981(P2009−160981)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(596081005)クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド (27)
【Fターム(参考)】