説明

カラーフィルター付き透明基板およびカラーフィルター付き情報表示用パネルの製造方法、及びカラーフィルター付き情報表示用パネル

【課題】インクジェット印刷などの印刷法でもインクを広げることなくカラーフィルター付き透明基板を製造する方法を提案する。
【解決手段】観察側となる透明基板とこの上に設けられるカラーフィルターとを含むカラーフィルター付き透明基板の製造方法で、前記基板上に、紫外線硬化型のインクを用いインクジェット印刷法で、隣接する他のインク滴と接触しない低密度でインク滴を吐出してカラーフィルターの印刷をする低密度印刷ステップの後に前記基板上の吐出配置されたインク滴に紫外線を照射してインク滴を硬化させるインク滴硬化処理ステップとで構成されるカラーフィルタードット形成ステップを、前記基板上に予め定めた各色用の所定領域内に空隙を作らないように、2回目以降のカラーフィルタードット形成ステップではその前のカラーフィルタードット形成ステップで形成したカラーフィルタードットに重ねて形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラーフィルター付き透明基板およびカラーフィルター付き情報表示用パネルの製造方法に関し、更に、この製造方法で製造したカラーフィルター付き情報表示用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、情報表示用パネルの観察側の透明基板に例えば画素毎にR(赤色)、G(緑色)およびB(青色)の色の異なるカラーフィルターを設け、情報表示用パネルのカラー化を達成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、基板上にインクジェット印刷などの印刷法によりカラーフィルターを形成する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2004/008239A1のパンフレット
【特許文献2】特開2001−249212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術において情報表示用パネルの観察側の透明基板に例えば画素毎にR(赤色)、G(緑色)およびB(青色)の色の異なるカラーフィルターをインクジェット印刷などの印刷法で形成しようとした場合、インクが基板の基材に吸収されず、インクが広がりすぎたりインクがはじかれたりするため良好な印刷が難しいという実情があった。特にガラス基板や表面にハードコート層がある樹脂を基板の基材とした場合にはインクがはじかれてしまうのでインクジェット印刷などの印刷法でカラーフィルターを形成することが極めて困難であった。そして、基板に印刷したインクが広がると、隣接配置した異色のインク同士接触して混色してしまう。また、印刷装置から高密度に多数のインク吐出を行うとインクの液滴同士が結合して、印刷むらが発生し、良好なカラーフ表示ができなくなってしまう場合もあった。
【0005】
よって、本発明の主な目的は、上述した問題点を解消して、インクジェット印刷などの印刷法でもインクを広げることなくカラーフィルター付き透明基板を製造する方法を提案すること、およびカラーフィルター付き情報表示用パネルを製造する方法を提案すること、またこの製造方法で製造したカラーフィルター付き情報表示用パネルを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、情報表示用パネルの観察側となる透明基板と該透明基板上に設けられるカラーフィルターとを含むカラーフィルター付き透明基板の製造方法であって、
前記透明基板上に、紫外線硬化型のインクを用いインクジェット印刷法により、少なくとも隣接する他のインク滴と接触しない低密度でインク滴を吐出してカラーフィルターの印刷をする低密度印刷ステップの後に行なう前記透明基板上の吐出配置されたインク滴に紫外線を照射して当該インク滴を硬化させるインク滴硬化処理ステップとで構成されるカラーフィルタードット形成ステップを、前記透明基板上に予め定めた各色用の所定領域内に空隙を作らないように、2回目以降のカラーフィルタードット形成ステップではその前のカラーフィルタードット形成ステップで形成したカラーフィルタードットに重ねてカラーフィルタードットを形成するようにして、前記カラーフィルタードットを形成することを特徴とするカラーフィルター付き透明基板の製造方法により達成される。
【0007】
また、情報表示用パネルの観察側となる透明基板、該透明基板上に貼り合せられるカラーフィルター付き透明シートとを含むカラーフィルター付き透明基板の製造方法であって、
前記透明シート上に、紫外線硬化型のインクを用いインクジェット印刷法により、少なくとも隣接する他のインク滴と接触しない低密度でインク滴を吐出してカラーフィルターの印刷をする低密度印刷ステップの後に行なう前記透明シート上の吐出配置されたインク滴に紫外線を照射して当該インク滴を硬化させるインク滴硬化処理ステップとで構成されるカラーフィルタードット形成ステップを、前記透明シート上に予め定めた各色用の所定領域内に空隙を作らないように、2回目以降のカラーフィルタードット形成ステップではその前のカラーフィルタードット形成ステップで形成したカラーフィルタードットに重ねてカラーフィルタードットを形成するようにして、前記カラーフィルタードットを形成して得たカラーフィルター付き透明シートを、前記透明基板に貼り合せて形成する、ことを特徴とするカラーフィルター付き透明基板の製造方法によっても達成される。
【0008】
また、前記カラーフィルター上に透明な保護層を配置する保護層配置ステップをさらに含むものでもよい。
【0009】
そして、カラーフィルターを配置した透明な観察側パネル基板と、背面側パネル基板とを対向させた空間に、帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を配置し、表示媒体を電界で移動させることで情報を表示するように構成されたカラーフィルター付き情報表示用パネルであって、上記に記載したカラーフィルタードット形成ステップを用いて、カラーフィルターが観察側パネル基板に配置されていることを特徴とするカラーフィルター付き情報表示用パネルとすれば、色の再現性が高い信頼性のある情報表示装置となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により製造したカラーフィルター付き透明基板およびカラーフィルター付き情報表示用パネルは、インクの広がりを確実に防止してあるので、インクが混色したり、インクむらが発生したりすることがなく、またインクが周辺を汚染することもない。よって、異なる色間の境界が明瞭で、カラーフィルター内でむらがないカラーフィルターを備えた透明基板および情報表示用パネルを確実に製造できる。
このようなカラーフィルター付き透明基板を用いて製造した情報表示用パネルおよびカラーフィルター付き情報表示用パネルは、色の再現性が高い信頼性のある情報表示装置として提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)〜(d)は本発明におけるカラーフィルターの製造方法について示した図である。
【図2】カラーフィルター付き透明基板の製造方法を改善して、より好ましいカラーフィルター付き透明基板を製造する方法について示した図である。
【図3】(a)〜(b)は、本発明に係るカラーフィルター付き透明基板の製造工程を、カラー表示可能な情報表示用パネルの観察側透明基板に適用した場合の具体例である。
【図4】(a)、(b)は本発明の対象となるカラーフィルター付き透明基板が好適に適用されるカラーフィルター付き情報表示用パネルの一例を示す図である。
【図5】(a)、(b)は本発明の対象となるカラーフィルター付き情報表示用パネルの他の例を示す図である。
【図6】図3で示す製造方法により製造されたカラーフィルター付き透明基板を用いて、カラーフィルター付き情報表示用パネルを製造する工程の概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を図を参照して説明する。
図1(a)〜(d)は、本発明おけるカラーフィルターの製造方法について示した図である。なお、図1で、1は情報表示用パネルの観察側パネル基板とする透明基板であり、この透明基板1の上にカラーフィルター2が形成されることによってカラーフィルター付き透明基板10が製造される。また、図1では観察側透明基板1だけを図示しているが、情報表示用パネル前駆体の観察側パネル基板としての状態の透明基板1であってもよいし、1枚の透明基板1であってもよい。
【0013】
図1(a)は観察側透明基板1上に、図示しないインクジェット印刷装置JTのインク吐出口EXからインクを吐出して、1回目の印刷が完了したときの様子を模式的に示した図である。ここではインクジェット印刷装置JTから赤インク21RI、緑インク21GI、青インク21BLIを順次に吐出して、カラーフィルター用のインク滴を配置する場合を例示している。
本発明では、インクジェット印刷装置JTからインクを吐出させるに当たり、隣接位置に配置される他色のインク滴と接触することがないように、低密度で印刷してその後にインクを硬化させるという工程を1サイクルとして、これを繰り返し実行し各色用の所定領域に空隙が無くなるまで印刷をしてカラーフィルター2を完成させるものである。
【0014】
より具体的には、紫外線硬化型の赤インク21RI、緑インク21GI、青インク21BLIを、互いに接触することがない十分な間隔が存在するようにして(すなわち、低密度にして)インクジェット印刷装置JTから吐出させ、透明基板1上に1回目の印刷をする(低密度印刷ステップ)。この印刷で、赤インク21Rによる赤色カラーフィルター21RFとする所定領域、緑インク21Gによる緑色カラーフィルター21GFとする所定領域、青インク21BLによる青色カラーフィルター21BLFとする所定領域の一部に、各色インクが配置される。図では紙面奥行方向に1列に間隔をもって配列した同色のインク滴は示されていないが、この方向にもインク滴は低密度で配置される。
そして、前記のように、ここでは紫外線(UV)を照射したときに硬化する紫外線硬化型のインクを採用されている。よって、図1(a)のようにインク同士が接触するおそれの無い間隔を取って配置された後に、図1(b)のように、UV照射されると配置した状態で各インクが固定され(インク硬化処理ステップ)、カラーフィルタードットが形成される(カラーフィルタードット形成ステップ)。これによりインクが広がって混色したり、印刷むらを発生したりすることが確実に防止される。
【0015】
本発明では、上記低密度印刷ステップとインク硬化処理ステップとで構成されるカラーフィルタードット形成ステップを領域内の空隙が無くなるまで繰り返して、前記カラーフィルターを形成する。図1(c)は2回目および3回目の印刷およびインク硬化を、1回目と同様に完了したときを示している。更に、図1(d)は最終の4回目の印刷およびインク硬化が完了して、赤色カラーフィルター21RF、緑色カラーフィルター21GF及び青色カラーフィルター21BLFよりなるカラーフィルター2が、透明基板1上に形成された様子を示した図である。
ただし、図から明らかなように、図1(c)で示す2回目のカラーフィルタードット形成および3回目のカラーフィルタードット形成、そして図1(d)で示す最終の4回目のカラーフィルタードット形成は、前回形成したカラーフィルタードットと重なる様な位置に次のインク滴を吐出するように制御する。これにより、所定の回数(図1では4回)のカラーフィルタードット形成ステップでカラーフィルター内に空隙がないカラーフィルター2を完成させることができる。
【0016】
この図1で示しているカラーフィルター付き透明基板の製造方法では、低密度印刷ステップとインク硬化処理ステップとによる1サイクルであるカラーフィルタードット形成ステップを4回繰り返して、カラーフィルター2が形成される。ここでは低密度でインクを吐出することによりインク同士の接触を防止し、次ぎのインク滴を配置する前にインクを硬化させているので確実にインクの広がりを防止できる。この一連のステップを繰り返すことで、インク同士を混合させることなくカラーフィルター2を形成できるので、混色や色むらのないカラーフィルター2が得られる。
【0017】
なお、透明基板1は透明な樹脂、ガラスなどの基材で形成され、また表明にハードコート処理などが施される場合もあるので、印刷後にインクが基板1の表面上に盛り上がった状態となる。そのため、従来技術で指摘したようにインクが広がったり、はじかれたりして混色が発生していた。
本発明の場合も図1で示すようにインクは表面上に盛り上がった状態となる。ただし、基板1上に配置される各色のインクの液滴量は例えば、1〜20ピコリットル(PL)とされ、またその液滴の径は例えば12〜35μm程度とされている。この程度とすることによりインクジェット印刷装置JTで印刷したインクをその位置に、次ぎのインク硬化処理が完了するまでの時間までは留めることができる。
【0018】
ちなみに、図1で示している各インク(21RI、21GI、21BLI)は模式的に示したもので、このインクがインクジェット印刷装置JTの1つの吐出口から噴射された1滴のインクを示している。
そこで、上記低密度印刷ステップでは、隣接する位置に配置されるインクの液滴が互いに接触しないように吐出するように設計するのが望ましい。そのために、基板の基材と使用するインクとの関係でインクが広がり易いか、広がり難いか、また、広がるおそれが大きくなるインク液滴の最大量、隣接するインキ滴との間隔、そして、コストを考慮したサイクル数回の上限などを総合的に勘案して、製造工程での条件を決定するのが肝要である。
また、上記のように、低密度印刷ステップとインク硬化処理ステップとを組み合わせたカラーフィルタードット形成ステップの繰り返しにより、各色のインクを予定した所定領域に空隙が無くなるまで、1液滴毎に硬化させたインクを順に配列するという処理を繰り返して、完了したときには、あたかも1滴ずつの液滴が整列しているような状態となるようにインクジェット印刷装置の吐出を制御するのが望ましい。
【0019】
更に、図2は、上記カラーフィルター付き透明基板の製造方法を改善して、より好ましいカラーフィルター付き透明基板を製造する方法について示した図である。図2(a)は図1に示したカラーフィルター付き透明基板10の製造方法に関して、完成したカラーフィルター2の印刷面上を覆うように更に保護層5Aを設けることで改善を提案するものである。図2(a)の保護層5Aは、透明な樹脂剤、例えばアクリル樹脂などをコーティングすることなどにより製造できる。このように保護層5Aを更に設けておけば、カラーフィルター面に撥水性を与えると共に損傷を防止したカラーフィルター付き透明基板を製造できる。
【0020】
さらに、図2(b)はポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明な樹脂フィルムを保護層5Bとし、透明な粘着層6を介して、完成したカラーフィルター2の面上に設けることで改善を提案するものである。このような構造の保護層5Bでも同様にカラーフィルター面に撥水性を与えると共に損傷を防止したカラーフィルター付き透明基板を製造できる。
更に、上記保護層5A、5Bについては、表明の反射を低減する反射防止(Anti−reflectin:AR)層、防眩(Anti−glaring:AG)層、また透明基板やインクを劣化させる、オゾンなど酸化性ガスの透過を防止するバリア機能、紫外線の進入を防止する紫外線カット機能などを更に備えているものとするのがより好ましい。
図2(b)において、5Bを透明シートとして準備し、この透明シート5Bにカラーインクを配置して硬化させてカラーフィルターを形成してカラーフィルター付き透明シートとしたものを透明な接着剤6または透明な粘着剤6を用いて透明基板1または情報表示用パネル前駆体40の観察側パネル基板の上に貼り合せることもできる。この場合の透明な接着剤または透明な粘着剤は、カラーフィルター付き透明シートにおいて、丁度、図2と反対の面に配置してから透明基板1または情報表示用パネル前駆体40の観察側パネル基板の上に貼り合せることになる。透明シートがカラーフィルターの外側に配置される構成となるので、カラーフィルターを設ける透明シートに前述した各種機能を備えたものを用いると前述と同様の効果を持たせることができる。
【0021】
さらに、図3(a)〜(b)は、本発明に係るカラーフィルター付き透明基板10の製造工程を、カラー表示可能な情報表示用パネルの観察側透明基板に適用した場合の具体例である。
ここでは、観察側透明基板としてPETフィルム11を用いている。このPETフィルム11の表面はハードコート処理が施されており、一般にその表面に印刷をするとインクが広がり易いものである。なお、PETフィルム11の裏面には、200μmピッチ、長さ30mmのストライプ形状の電極(以下、ストライプ電極)が形成されている。このストライプ電極12は、情報表示用パネルが完成したときに前述したパネル基板間に封入した表示媒体を駆動させるための構造である。このストライプ電極12付きPETフィルムにはドライバへの引き回しのライン部分や情報表示用パネル製造時に貼り合わせなどのためのアライメントマーク13が透明なITO(インジウムスズ酸化物)をITOストライプ電極12の形成と同時に形成してあるカラーフィルターを形成するための印刷の際に用いる50mm間隔のアライメントマーク(十字マーク13)を形成してある。
【0022】
図3(b)は、(a)の観察側透明基板1としてのPETフィルム11の表面上に前述したインク硬化処理ステップとインク硬化処理ステップとで形成したカラーフィルタードット形成ステップを繰り返して、最終的に赤色カラーフィルター21RF、緑色カラーフィルター21GF及び青色カラーフィルター21BLFよりなるカラーフィルター2が形成される。図3(b)では、(b−1)が第1回目のカラーフィルタードット形成ステップがされたときの様子、(b−2)が第2回目以降のカラーフィルタードット形成ステップがされたときの様子、(b−3)が最終のカラーフィルタードット形成ステップがされてカラーフィルター2が完成した様子を示している。これらは、先に説明した図1の(a)〜(c)に対応している。このように形成したカラーフィルター2は、各カラーフィルタードット形成ステップにインク硬化処理ステップを含むので、最終段階で隣接する同色および異色のインク同士が接触するようになっても混色したり、色むらを発生したりすることはない。
【0023】
なお、ここでの印刷工程では例えば50mm間隔に開口を有するステンレス(SUS)板をカメラにて観察、画面での位置を確認した後、PETフィルム11上の十字マーク13の位置を確認し、距離のずれから十字マーク13間の距離を測定した。設計寸法から伸縮を計算し、印刷用画像をその補正率で補正を行いながら印刷を行った。
【0024】
図2で説明した保護層5を形成する場合は、図3(b)で示しているカラーフィルターの形成後、このカラーフィルター2上に図2(a)、(b)で示す何れかの保護層を形成すればよい。
【0025】
以下、本発明によって製造されるカラーフィルター付き透明基板が好適に適用されるカラー表示可能な情報表示用パネルDPの一例を、図4(a)、(b)及び図5(a)、(b)に基づき説明する。
【0026】
図4(a)、(b)に示す例では、3個のセル(画素)で1表示単位を構成するカラー表示の例を示している。図4(a)、(b)に示す例では、表示媒体としてはすべてのセル31−1〜31−3に、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含んだ粒子群として構成した2種類の表示媒体(負帯電性白色粒子33Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体33Wと正帯電性黒色粒子33Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体33B)を充填し、第1のセル31−1の観察者側に赤インク21RIによる赤色カラーフィルター21RFを設け、第2のセル31−2の観察者側に緑インク21GIによる緑色カラーフィルター21GFを設け、第3のセル31−3の観察者側に青インク21BLI青色カラーフィルター21BLFを設け、第1のセル31−1、第2のセル31−2および第3のセル31−3の三個のセルで1表示単位(1ドット)を構成している。この例では、観察側の透明基板1側に設けた電極36(ストライプ電極)と背面側の基板32に設けた電極35(ストライプ電極)とが対向直交交差して形成する電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、表示媒体を基板1、32間で垂直方向に移動させる。各電極対と各色カラーフィルターおよび各セルは全て1対1に対応させている。そして、図4(a)に示すように、観察者側に、すべてのセルにおいて白色表示媒体33Wを移動することで、観察者に対し白色ドット表示を行ったり、図4(b)に示すように、観察者側に、すべてのセルにおいて黒色表示媒体33Bを移動することで、観察者に対し黒色ドット表示を行ったりしている。セル内の表示媒体の移動のさせ方で多色カラードット表示が行える。なお、図4(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0027】
図4においては、透明基板1のカラーフィルターを形成したカラーフィルター付き透明基板10を、隔壁を形成した背面側パネル基板30と貼り合せている。赤色カラーフィルター21RF、緑色カラーフィルター21GF、青色カラーフィルター21BLFの間には隙間を設けている。なお、ここでは、より好ましい構造として、カラーフィルター2上に保護層5を備えている。
【0028】
図5(a)、(b)に示す例では、3個のセル(画素)で1表示単位を構成するカラー表示の他の例を示している。図5(a)、(b)に示す例では、表示媒体としてはすべてのセル31−1〜31−3に、少なくとも光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含んだ粒子群として構成した2種類の表示媒体(負帯電性白色粒子33Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体33Wと正帯電性黒色粒子33Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体33B)を充填し、第1のセル31−1の観察者側に赤色カラーフィルター21RFを設け、第2のセル31−2の観察者側に緑色カラーフィルター21GFを設け、第3のセル31−3の観察者側に青色カラーフィルター21BLFを設け、第1のセル31−1、第2のセル31−2および第3のセル31−3の三個のセルで1表示単位(1ドット)を構成している。観察側の透明基板1側に設けた電極36(共通電極)と背面側の基板32に設けた電極35(TFT(薄膜トランジスタ)付き画素電極)とで構成した電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、表示媒体を基板1、32間で垂直方向に移動させる。各電極対と各色カラーフィルターおよび各セルは全て1対1に対応させている。そして、図5(a)に示すように、観察者側に、すべてのセルにおいて白色表示媒体33Wを移動することで、観察者に対し白色ドット表示を行ったり、図5(b)に示すように、観察者側に、すべてのセルにおいて黒色表示媒体33Bを移動することで、観察者に対し黒色ドット表示を行ったりしている。セル内の表示媒体の移動のさせ方で多色カラードット表示が行える。なお、図5(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0029】
この図5においては、情報表示用パネル前駆体40の観察側パネル基板に対して、カラーフィルターを透明シート5上に形成したカラーフィルター付き透明シートを貼り合せている。赤色カラーフィルター21RF、緑色カラーフィルター21GF、青色カラーフィルター21BLFの間には隙間を設けている。なお、ここでは、カラーフィルターを設けた透明シート5がより好ましい構造としてのカラーフィルター2上に配置された保護層となる。
【0030】
更に、図6は、図3で示す製造方法により製造されたカラーフィルター付き透明基板を用いて、情報表示用パネルDPを製造する工程の概略を示した図である。図3で示す方法で製造したカラーフィルター付き透明基板10を観察側パネル基板とし、これと対となる背面側基板30と貼り合わせる(図6(a))。貼り合わせ後に、その情報表示画面領域を打ち抜いたり、切り取ったりすることにより所定サイズの情報表示用パネルDPを製造することができる(図6(b))。背面側基板を含む基板30には、情報を表示するための表示媒体を充填したセルや電極が、カラーフィルターと対応するように形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によって製造されるカラーフィルター付き透明基板およびカラーフィルター付き情報表示用パネルは、インクが広がって隣接する他色と混色することがなく又、同色カラーフィルター内での色むらがなくカラーフィルターが形成されている。よって、各色カラーフィルター間で色間の境界ラインが明確になり、同色カラーフィルター内での色むらがない明瞭な色再現ができるようになる。このようなカラーフィルター付き情報表示用パネルは、色の再現性が良く、高品質で鮮明な画像で情報表示を行える情報表示装置となる。
【符号の説明】
【0032】
1 透明基板
2 カラーフィルター
5 保護層
10 カラーフィルター付き透明基板
21R 赤インク
21G 緑インク
21BL 青インク
40 情報表示用パネル前駆体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報表示用パネルの観察側となる透明基板と該透明基板上に設けられるカラーフィルターとを含むカラーフィルター付き透明基板の製造方法であって、
前記透明基板上に、紫外線硬化型のインクを用いインクジェット印刷法により、少なくとも隣接する他のインク滴と接触しない低密度でインク滴を吐出してカラーフィルターの印刷をする低密度印刷ステップの後に行なう前記透明基板上の吐出配置されたインク滴に紫外線を照射して当該インク滴を硬化させるインク滴硬化処理ステップとで構成されるカラーフィルタードット形成ステップを、前記透明基板上に予め定めた各色用の所定領域内に空隙を作らないように、2回目以降のカラーフィルタードット形成ステップではその前のカラーフィルタードット形成ステップで形成したカラーフィルタードットに重ねてカラーフィルタードットを形成するようにして、前記カラーフィルタードットを形成する、ことを特徴とするカラーフィルター付き透明基板の製造方法。
【請求項2】
情報表示用パネルの観察側となる透明基板、該透明基板上に貼り合せられるカラーフィルター付き透明シートとを含むカラーフィルター付き透明基板の製造方法であって、
前記透明シート上に、紫外線硬化型のインクを用いインクジェット印刷法により、少なくとも隣接する他のインク滴と接触しない低密度でインク滴を吐出してカラーフィルターの印刷をする低密度印刷ステップの後に行なう前記透明シート上の吐出配置されたインク滴に紫外線を照射して当該インク滴を硬化させるインク滴硬化処理ステップとで構成されるカラーフィルタードット形成ステップを、前記透明シート上に予め定めた各色用の所定領域内に空隙を作らないように、2回目以降のカラーフィルタードット形成ステップではその前のカラーフィルタードット形成ステップで形成したカラーフィルタードットに重ねてカラーフィルタードットを形成するようにして、前記カラーフィルタードットを形成して得たカラーフィルター付き透明シートを、前記透明基板に貼り合せて形成する、ことを特徴とするカラーフィルター付き透明基板の製造方法。
【請求項3】
前記カラーフィルター上に透明な保護層を配置する保護層配置ステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルター付き透明基板の製造方法。
【請求項4】
カラーフィルターを配置した透明な観察側パネル基板と、背面側パネル基板とを対向させた空間に、帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を配置し、表示媒体を電界で移動させることで情報を表示するように構成されたカラーフィルター付き情報表示用パネルであって、請求項1〜3のいずれかにおいて記載したカラーフィルタードット形成ステップを用いて、カラーフィルターが観察側パネル基板に配置されていることを特徴とするカラーフィルター付き情報表示用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−276982(P2010−276982A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131182(P2009−131182)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】