説明

カラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法

【課題】現像性、基板密着性に優れた硬化膜を形成することができるカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法、その赤色顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物、及びその着色組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】〔1〕ジケトピロロピロール系顔料、窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマー(A)及びエステル系有機溶媒を含有する混合物を分散して、顔料分散液を得る工程(1)、及び得られた顔料分散液と二塩基酸無水物を混合し、40〜70℃の温度でグラフトポリマー(A)の水酸基と反応させる工程(2)を有するカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法、〔2〕その方法によって得られる赤色顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物、及び〔3〕得られた赤色顔料分散体とアルカリ可溶性樹脂を混合する工程(3)を有する着色組成物の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法、その赤色顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物、及びその着色組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルターは、顔料分散体に樹脂等を配合した着色組成物をガラス等の透明基板に塗布した後、露光・硬化、現像、熱硬化させるフォトリソグラフィー法等によって製造されている。ここで用いられる顔料分散体は、顔料を有機溶媒に分散した非水系顔料分散体であるが、非水系顔料分散体の製造方法として、グラフトポリマー等の高分子分散剤を用いる製造方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、保存安定性及び耐熱性の改善を目的として、顔料、顔料分散ポリマー、及び有機溶媒を含有し、顔料に未吸着のポリマー量が顔料分散体中に2重量%以下であるカラーフィルター用赤色顔料分散体が開示されている。
特許文献2には、ポリマーの顔料への吸着性の改善を目的として、顔料(A)、非水系溶媒(B)、及び反応性官能基を含有するビニルモノマー(c1a)由来の構成単位、及び窒素原子を含有するビニルモノマー(c1b)由来の構成単位を含む共重合体((c1)成分)と、片末端に、(c1)成分の反応性官能基と反応しうる官能基を有するポリ(メタ)アクリル酸アルキル及び/又はポリスチレン((c2)成分)とを反応させることにより得られるポリマー(C)を含有する非水系顔料分散組成物が開示されている。
また、特許文献3には、基板との密着性、膜強度等の改善を目的として、予めカーボンブラックに水酸基を有する高分子化合物をグラフト化した後、酸無水物を用いてカルボキシ基を導入したグラフト化カーボンブラックと、水酸基を有するアルカリ可溶性バインダー樹脂に前記酸無水物と同一の酸無水物を用いてカルボキシ基を導入したバインダー樹脂とを含む感光性黒色樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−161692号公報
【特許文献2】特開2009−120823号公報
【特許文献3】特開2000−89005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォトリソグラフィー法を用いたカラーフィルターの製造において、用いられる着色組成物は、現像液によってすばやくパターンを形成する現像性に優れつつも、得られた光硬化膜は基板から剥がれることのないように基板への密着性も優れる必要があり、この相反する性能を満たす必要がある。
本発明は、現像性、基板密着性に優れた硬化膜を形成することができるカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法、その赤色顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物、及びその着色組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ジケトピロロピロール系顔料を用いるカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法において、顔料分散処理時に、窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマーを用い、その後、二塩基酸無水物を特定の温度で反応させることで、均一な分散状態を維持しつつ、十分な現像性、基板密着性を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔3〕を提供する。
〔1〕下記の工程(1)及び(2)を有するカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法。
工程(1):ジケトピロロピロール系顔料、窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマー(A)及びエステル系有機溶媒を含有する混合物を分散して、顔料分散液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散液と二塩基酸無水物を混合し、40〜70℃の温度でグラフトポリマー(A)の水酸基と反応させる工程
〔2〕前記〔1〕の方法によって得られる赤色顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
〔3〕前記〔1〕の方法によって得られた赤色顔料分散体とアルカリ可溶性樹脂を混合する工程(3)を有する、カラーフィルター用着色組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現像性、基板密着性に優れた硬化膜を形成することができるカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法、その赤色顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物、及びその着色組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法は、下記の工程(1)及び(2)を有することを特徴とする。
工程(1):ジケトピロロピロール系顔料、窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマー(A)及びエステル系有機溶媒を含有する混合物を分散して、顔料分散液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散液と二塩基酸無水物を混合し、40〜70℃の温度でグラフトポリマー(A)の水酸基と反応させる工程
【0009】
本発明においては、前記工程を有する方法によって得られる赤色顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物が、現像性、基板密着性に優れた硬化膜を形成することができる理由は定かではないが、次のように考えられる。
すなわち、まず、ジケトピロロピロール系顔料は、凝集性が強く、エステル系有機溶媒中で分散しにくいが、グラフトポリマー(A)の窒素原子を含む官能基は、ジケトピロロピロール系顔料に非常に吸着しやすく、エステル系有機溶媒と非常に親和性が高いため、顔料が溶媒中に微細に分散されるものと考えられる。次に、二塩基酸無水物を、40〜70℃の温度でグラフトポリマー(A)の水酸基と反応させることで、凝集性の強いジケトピロロピロール系顔料の分散状態を安定に維持したまま、グラフトポリマー(A)にカルボキシ基を導入できるものと考えられる。また、このような温度での反応は、急激なエステル化反応による、ポリマーの分子間にわたる架橋反応等も抑制することができる。
本発明の製造方法で得られた顔料分散体は、顔料表面にカルボキシ基が存在しているものと考えられ、その結果、アルカリ溶液での現像性に優れるものと考えられる。また、このカルボキシ基とグラフトポリマー中の窒素原子や水酸基が、無機物である基板との密着性を高めるため、硬化膜の基板への密着性が優れるものと考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分、工程等について説明する。
【0010】
〔ジケトピロロピロール系顔料〕
本発明に用いられるジケトピロロピロール系顔料(以下、単に「顔料」ともいう)は、カラーフィルターに好適に用いられるものであれば、特に制限はない。
具体的には、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントオレンジ71等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料が好ましい。
【0011】
【化1】

【0012】
式(1)中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。なお、ハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子が好ましい。
ジケトピロロピロール系顔料の市販品の好適例としては、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「Irgaphor Red B-CF」、「Igaphor Red BK-CF」、「Irgaphor Red BT-CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
顔料は、明度Y値の向上の観点から、その平均一次粒子径を、好ましくは100nm以下、更に好ましくは20〜60nmにした微粒化処理品を用いることが望ましい。顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測してその平均値をその粒子の粒子径とし、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積を、粒子径を一辺とする立方体と近似して体積平均粒子径を求め、それを平均一次粒子径とする。
上記のジケトピロロピロール系顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
〔窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマー(A)〕
本発明に用いられる窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマー(A)(以下、単に「グラフトポリマー(A)」ともいう)は、窒素原子を含有するものであるが、顔料への吸着性の観点から、主鎖に窒素原子を含有することが好ましい。
また、グラフトポリマー(A)の窒素原子は、顔料への吸着性を向上させる観点から、アミド基由来のものであることが好ましい。
グラフトポリマー(A)は、二塩基酸無水物との反応部位として、また顔料への吸着性の観点から、水酸基を有する。
更に、グラフトポリマー(A)の側鎖は、有機溶媒への親和性を高め、顔料の分散性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含有することが好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸、及び/又はメタクリル酸」を意味する。
【0014】
グラフトポリマー(A)の主鎖は、顔料への吸着性の観点から、アミド基やアミノ基等の官能基を含む、窒素原子を含有するビニルモノマー由来の構成単位を含むことが好ましい。
更に主鎖には、水酸基を含有するビニルモノマー由来の構成単位を含むことが好ましい。
また、グラフトポリマー(A)の側鎖は、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含有するポリマーからなることが好ましく、溶媒への顔料の分散性を高める観点から、(メタ)アクリル酸ベンジル及び/又は(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位を含有することがより好ましく、(メタ)アクリル酸アルキル由来の構成単位を含有することが更に好ましい。なかでも、側鎖はポリ(メタ)アクリル酸アルキルであることが好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸アルキルの中でも、ポリ(メタ)アクリル酸メチル及びポリ(メタ)アクリル酸エチルが好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
前記のグラフトポリマー(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、主鎖及び側鎖のいずれにも、前記モノマーと共重合可能なその他のモノマーを共重合したものでもよい。
【0015】
グラフトポリマー(A)の重量平均分子量は、顔料への吸着性の観点及び粘度上昇の抑制の観点から、好ましくは1000〜1000,000、より好ましくは2000〜800,000、更に好ましくは5000〜700,000である。
グラフトポリマー(A)の主鎖の数平均分子量は、本発明の顔料分散体の保存安定性の観点から、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1000〜30,000、更に好ましくは2000〜20,000である。また、主鎖の重量平均分子量は、同じ観点から、好ましくは1500〜150,000、より好ましくは3000〜90,000、更に好ましくは6000〜60,000である。
グラフトポリマー(A)の側鎖の数平均分子量は、本発明の顔料分散体の保存安定性の観点から、好ましくは500〜20,000、より好ましくは700〜10,000、更に好ましくは700〜6000である。
なお、ポリマーの重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
【0016】
(グラフトポリマー(A)の主鎖の構成単位となるモノマー)
グラフトポリマー(A)の主鎖の構成単位となるモノマーとしては、顔料への吸着性の観点から、窒素原子を含有するビニルモノマーを含有することが好ましい。
窒素原子を含有するビニルモノマーとしては、アミド基を含有するビニルモノマーが好ましい。
アミド基を含有するビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類等が挙げられる。
その他の窒素原子を含有するビニルモノマーの具体例としては、ビニルピリジン類、含窒素スチレン系モノマー、含窒素(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド2−メチルプロピルスルホン酸、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルフェニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルピロリドン類としては、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0017】
ビニルピリジン類としては、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられ、含窒素スチレン系モノマーとしては、p−スチレンスルホンアミド、p−アミノスチレン、アミノメチルスチレン等が挙げられる。
含窒素(メタ)アクリル酸エステルとしては、N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6)(メタ)アクリレート、1−(N,N−ジアルキルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ピペリジノエチル(メタ)アクリレート、1−ピロリジノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル−2−ピロリジルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−メチルフェニルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら窒素原子を含有するビニルモノマーの中では、顔料への吸着性の観点から、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類が好ましく、N−ビニルピロリドンがより好ましい。
前記グラフトポリマーの全構成単位中の窒素原子を含有するビニルモノマー由来の構成単位の含有量は、顔料への吸着性の観点、及び粘度上昇の抑制や分散粒径の適正化の観点から、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。
【0018】
主鎖の構成単位となるモノマーとしては、水酸基を含有するビニルモノマーを用いることが好ましい。
水酸基を含有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;グリセリンモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
これら水酸基を含有するビニルモノマーの中では、顔料への吸着性の観点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが好ましく、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルがより好ましい。
前記グラフトポリマー(A)の全構成単位中の水酸基を含有するビニルモノマー由来の構成単位の含有量は、二塩基酸無水物との反応性を高める観点、顔料への吸着性の観点、及び粘度上昇の抑制や分散粒径の適正化の観点から、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは7〜18重量%である。
【0019】
(グラフトポリマー(A)の側鎖の構成単位となるモノマー)
グラフトポリマー(A)の側鎖の構成単位となるモノマーとしては、顔料の溶媒への分散性を高める観点から、(メタ)アクリル酸エステルを含有することが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸ベンジル;(メタ)アクリル酸イソボルニル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル;グリセリンモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルエチル;(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、及び(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記グラフトポリマー(A)の側鎖中の(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、特に制限はないが、側鎖中の全構成単位に対して、好ましくは5〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは80〜100重量%である。
【0020】
[グラフトポリマー(A)の製造]
グラフトポリマー(A)の製造方法としては、(i)主鎖の構成単位であるモノマーと側鎖を構成するマクロモノマーとを共重合する方法(マクロモノマー法)、及び(ii)主鎖を構成するポリマーと側鎖を構成するポリマーとをカップリング反応させる方法(カップリング法)が挙げられるが、有機顔料の微細安定化の観点から、(ii)カップリング法が好ましい。
【0021】
(カップリング法によるグラフトポリマー(A)の製造)
カップリング反応に用いられる主鎖を構成するポリマーは、反応性官能基を含有するビニルモノマー由来の構成単位を含むことが好ましい。該ポリマーは、主鎖の構成単位であるモノマーの混合物を共重合することにより得ることができる。
反応性官能基を含有するビニルモノマーとしては、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基を含有するモノマーが挙げられ、反応性、重合速度の面から、エポキシ基を含有するビニルモノマーが好ましく、グリシジル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルがより好ましい。
カップリング反応に用いられる主鎖を構成するポリマーが反応性官能基として、エポキシ基を含有する場合、エポキシ価は、側鎖との反応性等の観点から、19〜375mgKOH/gが好ましく、25〜350mgKOH/gがより好ましく、30〜300mgKOH/gが更に好ましい。
なお、エポキシ価の測定は実施例記載の方法により行うことができる。
【0022】
カップリング反応に用いられる側鎖を構成するポリマーは、その片末端に、主鎖を構成するポリマーの反応性官能基と反応する反応性官能基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
主鎖を構成するポリマーの反応性官能基がエポキシ基である場合は、側鎖を構成するポリマーの片末端はカルボキシ基又はアミノ基であることが好ましい。
カップリング反応に用いられる側鎖を構成するポリマーは、例えば、反応性官能基であるカルボキシ基又はアミノ基を含有する重合開始剤や連鎖移動剤を使用し、溶液重合によって得ることが好ましい。
側鎖を構成するポリマーと主鎖を構成するポリマーとのカップリング反応は、それぞれの反応性官能基が十分反応する条件で行えばよいが、触媒存在下、有機溶媒中にそれぞれのポリマーを溶解させて行うことが好ましい。
触媒としては、第四級アンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩、トリエチルアミン等の第三級アミン、アルカリ金属の水酸化物、無機酸、スルホン酸、カルボン酸、固体酸、固体塩基等が挙げられる。これらの中では、第四級アンモニウムハライドがより好ましく、テトラブチルアンモニウムブロマイド等が特に好ましい。
【0023】
〔エステル系有機溶媒〕
本発明で用いられるエステル系有機溶媒は特に限定されないが、沸点が100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上の高沸点有機溶媒を用いることが好ましい。このような高沸点有機溶媒としては、(i)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、及び(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート等が好ましく挙げられる。
(i)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルプロピオネートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート等が挙げられる。
(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)等が挙げられる。
上記エステル系有機溶媒の中では、グラフトポリマー(A)の溶解性と、顔料、特にジケトピロロピロール系顔料の分散性の観点から、(ii)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテートがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146℃)、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA、沸点:247℃)が更に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が特に好ましい。
上記のエステル系有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
〔二塩基酸無水物〕
本発明で用いられる二塩基酸無水物は、1分子内に2つのカルボキシ基を脱水縮合させた構造を有する化合物であれば、特に制限はないが、水酸基との反応性から、分子量が70〜500が好ましく、80〜300がより好ましく、85〜200がより好ましく、90〜150がより好ましい。
二塩基酸無水物の具体例としては、芳香族カルボン酸の無水物、脂肪族カルボン酸の無水物が挙げられ、反応性の観点から、脂肪族カルボン酸の無水物が好ましい。
脂肪族カルボン酸の無水物の例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、及び無水コハク酸等が挙げられ、反応性の観点から、無水マレイン酸が特に好ましい。
芳香族カルボン酸の無水物の例としては、無水フタル酸等が挙げられる。
【0025】
〔顔料分散体の製造方法〕
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法は、下記の工程(1)及び(2)を有する。
工程(1):ジケトピロロピロール系顔料、窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマー(A)及びエステル系有機溶媒を含有する混合物を分散して、顔料分散液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散液と二塩基酸無水物を混合し、40〜70℃の温度でグラフトポリマー(A)の水酸基と反応させる工程
また、基板密着性や耐熱性の観点から、工程(1)の後、工程(2)の前に、顔料に未吸着のグラフトポリマー(A)を除去する工程を有することが好ましい。
【0026】
〔工程(1)〕
工程(1)における分散方法に特に制限はなく、ジケトピロロピロール系顔料、窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマー(A)及びエステル系有機溶媒を含有する混合物を一度の分散で目的とする顔料分散液を得てもよいが、該混合物を予備分散して、更に本分散を行うことが、より微細で均一な顔料分散液を得る観点から好ましい。
【0027】
(予備分散)
工程(1)の予備分散は、ジケトピロロピロール系顔料、窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマー(A)及びエステル系有機溶媒からなる全成分を一度に混合し、分散してもよいが、グラフトポリマー(A)とエステル系有機溶媒とを予め混合して予備混合物を調製し、得られた予備混合物に顔料を混合し、分散して最終的な混合物を得ることが好ましい。
予備分散工程における、顔料に対するグラフトポリマー(A)の重量比〔グラフトポリマー(A)/顔料〕は、顔料に必要量のグラフトポリマー(A)を付着させる観点から、該重量比〔グラフトポリマー(A)/顔料〕を0.3〜2.0とすることが好ましく、0.4〜1.7とすることがより好ましく、0.6〜1.5とすることが更に好ましい。
顔料分散液中の顔料の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、7〜15重量%が更に好ましい。
予備分散工程における、顔料分散液中のグラフトポリマー(A)の含有量は、分散体の低粘度化の観点、及びコントラストに優れた硬化膜を得る観点から、2〜15重量%が好ましく、4〜10重量%がより好ましく、6〜8重量%が更に好ましい。
本工程における、エステル系有機溶媒の含有量は、均一に分散させる観点から、20〜90重量%が好ましく、40〜90重量%がより好ましく、60〜85重量%が更に好ましい。
予備分散工程における分散時間は特に制限はないが、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜4時間がより好ましく、1〜3時間が更に好ましい。
【0028】
予備分散で用いる混合分散機に特に制限はなく、公知の種々の分散機を用いることができる。例えば、アンカー翼等を備えた一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラタックス(IKAジャパン株式会社製 商品名)等のホモミキサー等、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機が挙げられ、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等の高圧式分散機、ペイントシェーカー、ビーズミル、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等のメディア式分散機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、顔料を有機溶媒中に均一に混合させる観点から、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ペイントシェーカーやビーズミル等のメディア式分散機が好ましく、これらを併用することがより好ましい。
なお、予備分散は平均粒径が100nm以下となるまで行うことが好ましい。
【0029】
(本分散)
本分散は、予備分散で得られた予備分散液を分散処理する工程であり、前記予備分散工程で得られた混合物を更に微細化するために行われるが、顔料を微細化する観点から、メディア式分散機を用いることが好ましく、前記の高圧式分散機を併用してもよい。
本分散工程で用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの粒径としては、0.003〜0.1mmが好ましい。顔料を微細化する観点から、0.07mm以下がより好ましく、0.05mm以下が更に好ましく、メディアを顔料と分離する観点から、0.005mm以上がより好ましく、0.01mm以上が更に好ましい。
本分散工程で用いるメディア式分散機としては、ペイントシェーカー、ビーズミル等が好ましく、市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0030】
得られる顔料分散液の保存安定性の観点から、分散時の温度を10〜35℃に保つことが好ましく、15〜30℃がより好ましく、18〜27℃が更に好ましい。
分散時には発熱があるため、分散液を適宜冷却することが好ましい。例えば、分散機がペイントシェーカーの場合は、冷風を吹き付けるスポットクーラーを用いて冷却することが好ましく、ビーズミル、ニーダー、高圧式分散機の場合は、ジャケットに冷媒を流して冷却することが好ましい。
本分散の分散時間は、顔料を十分に微細化する観点から、3〜200時間が好ましく5〜50時間がより好ましい。
【0031】
また、本分散工程の開始時又は途中でグラフトポリマー(A)を添加してもよい。グラフトポリマー(A)を添加すれば、顔料の分散性が向上し、粘度がやや低下し、顔料分散液の安定性も向上する。
顔料分散液中のグラフトポリマー(A)の含有量は、顔料分散液の低粘度化の観点、及びコントラストに優れた硬化膜を得る観点から、3〜15重量%が好ましく、5〜10重量%がより好ましい。
本分散工程における、顔料分散液中の顔料の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
また、本工程における、顔料に対するグラフトポリマー(A)の重量比〔グラフトポリマー(A)/顔料〕は、分散体の低粘度化、及び硬化膜のコントラスト向上の観点から、0.3〜1.5が好ましく、0.4〜1.4がより好ましい。
本工程における、エステル系有機溶媒の含有量は、均一に分散させる観点から、20〜90重量%が好ましく、40〜80重量%がより好ましい。
【0032】
また、顔料分散液の粘度は、10〜120mPa・s(20℃)が好ましく、10〜100mPa・s(20℃)がより好ましく、10〜80mPa・s(20℃)が更に好ましい。該粘度は、分散機の動力や、顔料、グラフトポリマー(A)、及びエステル系有機溶媒の混合比率を調整することによって調整することができる。
なお、本分散は平均粒径で60nm以下となるまで行うことが好ましい。
【0033】
〔顔料に未吸着のグラフトポリマー(A)を除去する工程〕
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法において、分散安定性を向上させ、コントラストを向上させる観点から、工程(1)の後、工程(2)の前に、顔料に未吸着のグラフトポリマー(A)を除去する工程を有することが好ましい。
顔料に未吸着のグラフトポリマー(A)を除去する方法としては、特に限定されないが、遠心分離処理による方法が好ましい。
【0034】
遠心分離処理としては、具体的には以下の方法が挙げられる。
まず、工程(1)で得られた顔料分散液を、遠心分離機を用いて遠心分離し、液分と固形分とに分離し、液分を除去して固形分を回収する。
次に、顔料に未吸着のポリマーは有機溶剤中に存在するため、遠心分離中ないし遠心分離後に、該上層部(上澄み液)の全部又は一部を除去することにより、該未吸着ポリマーを適切に取り除くことができる。また、回収される固形分は、主としてグラフトポリマー(A)が顔料に吸着した粒子からなり、遠心分離後にスラリー状ないしケーキ状となって、遠心分離機の側壁ないし底部に残存しているので、容易に回収することができる。
液分を除去して固形分を回収し、顔料に未吸着のポリマー量を2重量%以下にすることで、得られる顔料分散体の保存安定性、耐熱性を大幅に改善することができる。
【0035】
用いることのできる遠心分離機に特に制限はないが、例えば、特開2003−93811号公報等に記載のバスケット型遠心分離機が好ましく、無孔壁バスケット型遠心分離機の市販品としては、例えば、株式会社関西遠心分離機械製作所製のKBS型、タナベウィルテック株式会社製のS型の遠心分離機等が挙げられる。
遠心分離機の運転方法にも特に制限はない。(i)原液分散液を供給しながら分離液層を排出する連続式、及び(ii)原液分散液を供給した後、分離液層が形成されたところで該液層を排出するバッチ式のいずれの運転方法であってもよい。
遠心分離処理における遠心加速度は、原液分散液に含有されている顔料に未吸着のポリマー量を低減させる観点から、好ましくは5,000〜50,000G、より好ましくは10,000〜30,000Gである。
【0036】
更に、遠心分離処理の場合は、遠心分離処理して得た固形分に有機溶剤を加えて再分散することもできる。
有機溶剤としては、前記のエステル系有機溶媒を用いることができる。
再分散の方法に特に限定はなく、前記のペイントシェーカーや高圧ホモジナイザー等の分散機等を用いて混合、分散させることができる。
また、超音波ホモジナイザー等を用いて再分散することもできる。
高出力超音波ホモジナイザーの市販例としては、シャープ株式会社製のSILENTSONIC UT−204、株式会社日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−300T、同US−1200T、同RUS−1200T、同MUS−1200T、ヒールッシャー社製の超音波プロセッサーUIPシリーズ等が挙げられる。これらの超音波照射装置を用いて好ましくは25kHz以下の周波数で微細分散することができる。
超音波照射方式としては、アジテーター、マグネチックスターラー、ディスパー等の攪拌手段を併用するバッチ式、超音波照射部を備えたチャンバー中に分散液を一定流量で送るフロー式が挙げられる。超音波ホモジナイザーと前記のペイントシェーカーや高圧ホモジナイザー等とを併用することもできる。
本工程で遠心分離処理して得た固形分に有機溶媒を加えた予備混合物を超音波照射処理等により再分散することで、顔料に未吸着のポリマー量が低減された高品質な顔料分散液を効率的に製造することができる。
【0037】
本工程によって得られる顔料分散液中における顔料に未吸着のポリマー量は、保存安定性及び耐熱性に優れたカラーフィルター用赤色顔料分散体を得る観点から、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、理想的には未吸着のポリマーが存在しないことが好ましい。
【0038】
〔工程(2)〕
工程(2)は、工程(1)で得られた顔料分散液、又は前記顔料に未吸着のグラフトポリマー(A)を除去する工程で得られた顔料分散液と二塩基酸無水物を混合し、40〜70℃の温度でグラフトポリマー(A)の水酸基と反応させる工程である。
前記反応温度は、着色組成物の現像性を向上させる観点から、好ましくは45〜70℃であり、着色組成物のコントラストを向上させる観点から、より好ましくは55〜70℃、更に好ましくは55〜65℃である。
反応時間は、分散体の安定性保持の観点から、好ましくは0.5時間〜10時間であり、より好ましくは1時間〜7時間であり、更に好ましくは2時間〜5時間である。
反応の終点は、分散体の酸価に変動がなくなった点で判断することができる。
二塩基酸無水物を混合する方法に制限はないが、工程(1)で得られた顔料分散液に二塩基酸無水物を添加し、スターラー等を用いて攪拌する方法が好ましい。
本工程において、混合する二塩基酸無水物の量は、得られる着色組成物の現像性及び基板密着性を高める観点から、〔グラフトポリマー(A)の水酸基/二塩基酸無水物〕のモル比が5/1〜1/1となるように添加することが好ましく、5/1〜5/3となるように添加することがより好ましい。
【0039】
〔カラーフィルター用赤色顔料分散体〕
本発明の製造方法によって得られるカラーフィルター用赤色顔料分散体は、ジケトピロロピロール系顔料、窒素原子を含有し、水酸基と二塩基酸無水物が反応して得られたカルボキシ基を有するグラフトポリマー及びエステル系有機溶媒を含有する。
顔料分散体中の顔料の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
顔料分散体中の顔料に対するグラフトポリマー(A)の重量比〔グラフトポリマー(A)/顔料〕は、顔料分散体の保存安定性の観点から、0.3〜1.2が好ましく、0.4〜0.8がより好ましい。
顔料分散体中のエステル系有機溶媒の含有量は、良好な着色性及び分散体の低粘度化の観点から、20〜95重量%が好ましく、40〜90重量%がより好ましい。
【0040】
顔料分散体中の顔料の体積中位粒径(D50)は、カラーフィルター用色材として良好なコントラストを得るために、80nm以下が好ましく、20〜70nmがより好ましく、20〜60nmが更に好ましい。
なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して50%になる粒径を意味する。体積中位粒径(D50)の値は、製造直後の顔料分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)で300倍に希釈し、粒度分析計(シスメックス社製、ZETASIZER Nano−ZS)を用いて、測定条件として、例えばジケトピロロピロール系顔料の場合、顔料粒子屈折率:1.51、顔料密度:1.45g/cm3、PGMEA屈折率:1.400、PGMEA粘度:1.3cpsを入力して、20℃で測定することができる。
本発明の製造方法によって得られる顔料分散体の固形分12重量%における粘度(20℃)は、カラーフィルター用色材として良好な粘度とするために、1〜200mPa・sが好ましく、1〜100mPa・sがより好ましい。
【0041】
〔カラーフィルター用着色組成物〕
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、前記製造方法によって得られたカラーフィルター用赤色顔料分散体を含有するが、ジケトピロロピロール系顔料、窒素原子を含有し、水酸基と二塩基酸無水物が反応して得られたカルボキシ基を有するグラフトポリマー及びエステル系有機溶媒以外に、バインダー成分等を含有することができる。
バインダー成分としては、電離放射線硬化性成分を含有するバインダー成分等が挙げられる。
電離放射線硬化性成分を含有するバインダー成分には、アルカリ可溶性樹脂、多官能モノマーや電離放射線により活性化する光重合開始剤を含有し、更に多官能オリゴマー、単官能のモノマー、及び増感剤等を配合することができる。これらの樹脂、オリゴマー、モノマー、添加剤等は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電離放射線硬化性成分からなる着色組成物中のバインダー成分の含有量は、溶媒を除いた有効分中20〜80重量%が好ましく、光重合開始剤の含有量は、溶媒を除いた有効分中0.2〜20重量%が好ましい。
【0042】
前記アルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するもの(0.05重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に20℃で1重量%以上溶解するもの)であればよく、特に限定されない。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、γ−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート等の中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示することができ、上記のコポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマー等も例示できる。これらの中では、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより得られる、エチレン性不飽和結合を有するポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は5,000〜50,000が好ましい。
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体が好ましく挙げられ、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体がより好ましい。
【0043】
多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等)、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等が挙げられる。本発明の顔料分散体中の多官能モノマーの含有量は、溶媒を除いた有効分中10〜60重量%が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類等が挙げられる。例えば4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノンが好ましい。
【0044】
〔カラーフィルター用着色組成物の製造方法〕
本発明のカラーフィルター用着色組成物の製造方法は、前記工程(2)で得られた赤色顔料分散体と、アルカリ可溶性樹脂を混合する工程(3)を有することを特徴とする。
工程(2)、すなわちグラフトポリマー(A)の水酸基と二塩基酸無水物とのエステル化反応を行った後に、カルボキシ基等を有するアルカリ可溶性樹脂を混合する工程(3)を行うことによって、グラフトポリマー(A)の水酸基とアルカリ可溶性樹脂によるエステル化反応といった副反応を防ぐことができ、着色組成物において、ジケトピロロピロール系顔料が安定に分散することができ、グラフトポリマー(A)の現像液への溶解性を高め、現像性が良好となると考えられる。
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、前記の樹脂を挙げることができる。なかでもアクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体が好ましく、ベンジルメタアクリレートとメタクリル酸との共重合体がより好ましい。
アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合割合(モル比)は、90/10〜50/50であることが好ましく、80/20〜70/30であることがより好ましい。
【実施例】
【0045】
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り、「重量部」及び「重量%」である。なお、グラフトポリマー等の分子量、固形分、エポキシ価、酸価、顔料分散体の粘度、硬化膜の現像性、基板密着性、コントラスト比の測定、評価は以下の方法により行った。
(1)グラフトポリマー等の数平均分子量、重量平均分子量の測定
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)グラフトポリマーの固形分の測定
シャーレにガラス棒と乾燥無水硫酸ナトリウム10部を量り採り、そこにポリマー溶液2部(サンプル量)を加えてガラス棒で混合し、105℃の減圧乾燥機(圧力8kPa)で2時間乾燥した。乾燥後の重さを計り、次式より固形分を算出した。
固形分=[〔サンプル量−(乾燥後の重さ−(シャーレ+ガラス棒+無水硫酸ナトリウムの重さ))〕/サンプル量]×100
(3)グラフトポリマー(A)製造時のエポキシ価の測定
ポリマー溶液に塩酸を加え、クロルヒドリン化により消費された量を水酸化カリウムのmg数で表したものをいう。
(4)グラフトポリマーの酸価の測定
JIS K 0070 に従い測定した。
(5)顔料分散体の粘度の測定
顔料濃度10%に合わせた分散体2mLを、20℃で5分間保持した後、E型粘度計(ローターNo.2、20rpm、20℃)を用いて、顔料分散体の粘度を測定した。
【0046】
(6)コントラストの評価(硬化膜のコントラスト比の測定)
ガラス基板上に、実施例及び比較例で得られた着色組成物をスピンコーターで塗布した後、水平台にて6分間静置し、80℃で3分間ホットプレートにより乾燥した。次いで、得られた塗膜に紫外線ファイバースポット照射装置(株式会社モリテックス製、MUV−202U)を用いて30mJ/cm2まで紫外線を照射し、硬化膜を得た。硬化膜のコントラスト比をコントラスト比測定器(壺坂電機株式会社製、CT−1)で測定した。
コントラスト比の値が大きいものほど、コントラストが良好である。
【0047】
(7)硬化膜の現像性の評価
前記(6)のコントラスト測定用に調整した着色組成物をガラス基板上にスピンコーターで塗布した後、水平台にて6分間静置し、80℃で3分間ホットプレートにより乾燥した。次いで、得られた塗膜にフォトマスクを載せ、紫外線ファイバースポット照射装置(株式会社モリテックス製、MUV−202U)を用いて30mJ/cm2まで紫外線を照射し、硬化膜基板を得た。
次いで、この硬化膜基板を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.1%水溶液中でゆっくり揺動させ、30秒刻みで、水溶液から引き上げ、次いで水シャワーでリンスし未硬化部分を除去した。露光パターンが最も早く得られるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液浸漬時間を現像時間とした。現像時間が短いほど現像性に優れる。
(8)基板密着性の評価
前記(7)で得られた硬化膜基板のパターンの形成性を目視により観察し、下記の基準で基板密着性を評価した。
AA:完全なパターンが形成できており、パターンの端部に乱れがない。
A:完全なパターンが形成できているが、パターンの端部に乱れが見られる。
B:パターンの一部が形成できているが、一部は欠損している。
C:パターンのほぼ全体が欠損している。
【0048】
製造例1〔グラフトポリマー(A)の合成〕
(1)ポリ(メタクリル酸グリシジル・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル・N−ビニルピロリドン)(ポリ(GMA−HEMA−VP))(a1成分)の合成
還流冷却器、温度計、窒素導入管、攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにN−ビニル−2−ピロリドン(以下、「VP」という)38.9g、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」という)9.6g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEMA」という)5.7g、メルカプトエタノール(連鎖移動剤)0.4g、エタノール75.7gを仕込み、窒素置換を行った。77℃で攪拌しながら、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、アゾ系重合開始剤、商品名:V−65)1.5gをエタノール9.8gに溶解した液を添加した。
77℃で攪拌しながら、VP 58.4g、GMA 57.7g、HEMA 28.3g、メルカプトエタノール2.0g、前記重合開始剤2.5g、エタノール173gを混合した溶液を、90分かけて滴下した。
滴下終了後に更に、GMA 28.8g、HEMA 22.7g、メルカプトエタノール0.45g、前記重合開始剤1.0g、エタノール65gを混合した溶液を3時間かけて滴下した。更に1時間、77℃で攪拌後、前記重合開始剤0.3gとエタノール7.5gを加えた。更に77℃で1時間攪拌した後、前記重合開始剤0.3gとエタノール7.5gを加えた。更に1時間攪拌した後、冷却し、ポリ(GMA−HEMA−VP)(a1)のエタノール溶液を得た。
溶液の固形分は36%であり、ポリ(GMA−HEMA−VP)の数平均分子量は7500、重量平均分子量は22100、エポキシ価は49mgKOH/gであった。
【0049】
(2)片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(a2成分)の合成
還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル200g、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)25.6g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)25gを仕込み、窒素置換した後、80℃で攪拌しながら、メタクリル酸メチル800g、3−メルカプトプロピオン酸102.2g、PGMEA 400g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)8gを3時間かけて滴下した。更に1時間、80℃で攪拌後、前記重合開始剤8g、3−メルカプトプロピオン酸3.6g、PGMEA 400gを加えた。更に、80℃で2時間攪拌し、末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(a2)のPGMEA溶液を得た。
溶液の固形分は56%であり、得られた末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチルの酸価は61mgKOH/g、数平均分子量は1100、重量平均分子量は1700であった。
【0050】
(3)エポキシ基とカルボン酸のカップリング反応によるグラフトポリマー(A)の製造
還流冷却器、温度計、及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに前記(1)で得られた(a1)溶液83g(固形分30g)、前記(2)で得られた(a2)溶液88g(固形分49g)、PGMEA44g、エタノール44g、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)(触媒)3.5gを仕込み、90℃で15時間攪拌した。酸価の測定結果から反応率は99%であった。冷却後、エバポレーターにて(バス温63℃、圧力92kPa)、エタノールを除去し、ポリマー(A)(HEMA−VP−MMA)のPGMEA溶液を得た。
溶液の固形分は40%であり、ポリマー(A)(HEMA−VP−MMA)の数平均分子量は7600、重量平均分子量は60300であった。
【0051】
実施例1(赤色顔料分散体の調製)
ジケトピロロピロール系顔料(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR BK−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))15g、PGMEA97.5g、製造例1で得られたグラフトポリマー(A)溶液37.5g(固形分15g)、粒径0.3mmジルコニアビーズ300gを500mLポリビンに入れ、ペイントシェーカーにて3時間振とうし、次いでその分散体80gと粒径0.05mmのジルコニアビーズ160gを250mLポリビンに入れ、ペイントシェーカーを用いて24時間振とうし、D50が49.8nmで顔料濃度10%、グラフトポリマー(A)を5%含む顔料分散液を得た。(工程(1))
工程(1)で得られた顔料分散液40gをPGMEA 80gで希釈し、遠心分離機(日立工機株式会社製、himac CP56G)を用いて、26323Gの条件下で12時間遠心分離後、上澄みを捨て、沈降物9gを得た。
得られた沈降物9gにPGMEA 31gを加え、超音波洗浄機(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT−204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料濃度10%、グラフトポリマー(A)を4.7%含む顔料分散液を得た。(顔料に未吸着のグラフトポリマー(A)を除去する工程)
該顔料分散液10gをサンプル管に入れ、無水マレイン酸0.025gを加えて、マグネチックスターラーで攪拌しながら、60℃で3時間反応させ、赤色顔料分散体を得た。(工程(2))
添加した無水マレイン酸に対する該グラフトポリマー(A)の水酸基のモル比〔グラフトポリマー(A)の水酸基/無水マレイン酸〕は、5/2であった。
【0052】
実施例2〜4(赤色顔料分散体の調製)
実施例1において、工程(2)の反応温度を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、顔料分散体を得た。
【0053】
比較例1(赤色顔料分散体の調製)
実施例1において、工程(2)を行わずに顔料分散体を得た。
【0054】
比較例2(赤色顔料分散体の調製)
実施例1において、工程(2)の反応温度を25℃とした以外は実施例1と同様にして、顔料分散体を得た。
【0055】
比較例3〜5(赤色顔料分散体の調製)
実施例1において、工程(2)の反応温度を表1に示すように変えたが、反応中(3時間以内)にゲル化物が発生してしまい、顔料分散体は得られなかった。
【0056】
実施例5(着色組成物の調製)
実施例1の工程(2)で得られた赤色顔料分散体の顔料濃度を10%に調整し、顔料濃度10%の顔料分散体1.00部、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(バインダー、モル比:30/70、重量平均分子量:14000、固形分40重量%のPGMEA溶液)0.15部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(多官能モノマー:日本化薬株式会社製、DPHA)0.046部、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン(光重合開始剤:和光純薬工業株式会社製)0.035部、PGMEA0.474部を均一になるまで混合し、着色組成物を得た。
得られた着色組成物の評価結果を表1に示す。
【0057】
実施例6〜8及び比較例6〜7(着色組成物の調製)
実施例5において、用いた赤色顔料分散体を、実施例2〜4及び比較例1〜2のものに変更した以外は実施例5と同様にして、着色組成物を得た。
得られた着色組成物の評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
表1から、実施例1〜4の顔料分散体は、比較例3〜5と比較して、良好な分散性の顔料分散体が得られ、実施例1〜4の顔料分散体を含有する実施例5〜8の着色組成物は、比較例1〜2の顔料分散体を含有する比較例6〜7の着色組成物よりも現像性、基板密着性に優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程(1)及び(2)を有するカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法。
工程(1):ジケトピロロピロール系顔料、窒素原子及び水酸基を含有するグラフトポリマー(A)及びエステル系有機溶媒を含有する混合物を分散して、顔料分散液を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散液と二塩基酸無水物を混合し、40〜70℃の温度でグラフトポリマー(A)の水酸基と反応させる工程
【請求項2】
前記二塩基酸無水物が、脂肪族カルボン酸の無水物である、請求項1に記載のカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法。
【請求項3】
グラフトポリマー(A)の窒素原子がアミド基由来のものである、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法。
【請求項4】
グラフトポリマー(A)の側鎖が(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位からなるポリマーを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法。
【請求項5】
〔グラフトポリマー(A)の水酸基/二塩基酸無水物〕のモル比が5/1〜1/1である、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法。
【請求項6】
前記二塩基酸無水物が、無水マレイン酸、無水イタコン酸、及び無水コハク酸から選ばれる一種以上の化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法。
【請求項7】
工程(1)の後、工程(2)の前に、顔料に未吸着のグラフトポリマー(A)を除去する工程を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色顔料分散体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって得られる赤色顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって得られた赤色顔料分散体とアルカリ可溶性樹脂を混合する工程(3)を有する、カラーフィルター用着色組成物の製造方法。

【公開番号】特開2012−98379(P2012−98379A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244226(P2010−244226)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】