説明

カラーフィルタ及びその製造方法及び液晶表示装置

【課題】カラーフィルタによって多色表示を行った際に生じる位相差問題を解消することのできる光学補償能を有する液晶表示装置を提供することを課題とし、また上記液晶表示装置を容易にかつ高品質で製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】基板上に設けられたカラーフィルタ層とを有するカラーフィルタ基板において、カラーフィルタ層が2色以上の多数の表示画素から構成され、表示画素は黒色離画壁により隔てられてなり、カラーフィルタ層ならびに黒色離画壁の下部には液晶固定化層よりなる位相差薄膜が設けられていて、かつ位相差薄膜は所定パターンよりなる異方相ならびに異方性のない領域で構成されており、位相差薄膜の所定パターンと黒色離画壁は位置合わせがなされていることを特徴とするカラーフィルタ基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその他表示装置に使用されるカラーフィルタ基板及びその製造方法に関する。特に平面型画像表示装置等に組み込まれて用いられるマトリクス方式のカラー液晶表示装置に好適に使用できるカラーフィルタ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、近年その薄型であることゆえの省スペース性や軽量性、また省電力性などが評価され、最近では携帯機器ならびにテレビ用途への普及が急速に進んでいる。液晶表示装置は、パネル構成中にカラーフィルタ基板を設けることで、多色表示を行なうことが可能であり、RGB3色表示又はこれらに反射用のRBG画素を加えた6色表示を行なうことが一般的である。
【0003】
例えば、携帯機器向けの液晶表示装置は、昼間戸外の強い外光下でも視認性を確保するため、反射型あるいは一部に反射部を形成した半透過型の液晶表示装置が採用されることも多い。このような場合に、反射光を有効に活用するため、吸収型円偏光板の一部をなす部材としてλ/4位相差フィルムやλ/2位相差フィルムなどが液晶パネル構成に組み込まれている。
一方、テレビ用途向けの液晶表示装置は、全方位の視認性などをより高める目的で、位相差フィルムと直線偏光板が液晶パネル構成組み合わせられる等により適用されていることが多い。
【0004】
しかしながら、通常こうした位相差フィルムは位相差値が面内で同一となるため、それが組み込まれる液晶表示装置がカラーフィルタ基板によって、カラー化されている場合、各色画素の表示領域を通過する光の波長域が異なることに起因して、適切な位相差制御が困難となる問題が発生する。
【0005】
例えば携帯機器向け反射型あるいは半透過型液晶表示装置において、おおよそ緑の波長域(中心波長550nm前後)でλ/4の位相差量(約138nm)を有する位相差フィルムを直線偏光板と組み合わせて円偏光板として用いる場合、青の波長域(中心波長450nm前後)ではλ/4より過剰、赤の波長域(中心波長630nm前後)ではλ/4に対して不足となり、赤および青の表示画素においては完全な円偏光が得られない。
【0006】
またテレビ用途向けの液晶表示装置などで、RGB3色のうちの1つの色(波長領域)で位相差が補償されるように位相差フィルムを設計すると他の色(波長領域)においては補償が不完全となるという事態がしばしば発生する。この原因として以下の要因が挙げられる。
(1)セルの液晶が必ずしも全波長領域で同一の位相差値を有していないこと、(2)カラーフィルタに用いられる着色顔料の多くは光学的異方性を持っていること、(3)さらにその程度は顔料の種類によって別個であるため赤・緑・青の画素によって位相差が異なる値になることである。
【0007】
このような問題に対して、近年、液晶セルの外側に備えられる位相差フィルムに代わり、液晶セルの内部に位相差層を設けて光学補償を行ない問題を解決する方法が提案されている。液晶セルの内部という画素に近い位置に位相差機能を持たせることにより、視差の影響を受けずに、上記したような画素の色によって異なる位相差の要求に応じてそれぞれに適した補償を行なえるように薄膜を設けることが、原理的には可能であるからである。
【0008】
その一例としては、膜厚が異なるあるいは種類の異なる重合型液晶材料を成膜することで、3色の表示画素に対応するように位相差量を持たせた位相差素子が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
また、カラーフィルタの光透過性パターンの厚みを各色ごとに異なるように形成して、その上に位相差制御層(液晶性高分子など)を、カラーフィルタ層と位相差制御層の合計厚みが一定になるように積層することで、3色の表示画素に対応するように位相差量を持たせた位相差制御層を有するカラーフィルタも考案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
さらにまた、位相差層の下地となる下地面に、着色層の色毎に対応して透明樹脂などによる段差が設けられ、前記位相差層の層厚が段差に対応して異なる厚みに設定されたカラーフィルタを用いた液晶表示装置も考案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0011】
しかしながら、これらの位相差素子・カラーフィルタ等では、理想的には上記したような問題を解決しえるものの、一方で製造上の困難な課題を抱えている。
【0012】
それは、これら位相差素子・カラーフィルタ等において光学補償をなしえる位相差薄膜は通常カラーフィルタ層の上に形成されるところ、カラーフィルタ層が必ずしも平坦でないために前記位相差薄膜を均一な厚みで設けることが容易ではなく、従って位相差を所望の値に合わせ込むのが困難、という問題である。
カラーフィルタの画素は各色の着色組成物より形成されるカラーフィルタ層よりなるが、当該カラーフィルタ層は必ずしも均一な膜厚ではない。これは画素間のみならず、画素内の場所によっても同様である。またさらに、カラーフィルなの多くはカラーフィルタ層に加えて、各画素を隔てる、黒色着色組成物よりなる黒色離画壁を具備するが、カラーフィルタ層と黒色離画壁は一定の重なりを有して設けられるのが通常であり、当然ながら当該重なり部分は大きな段差となる。
【0013】
このような問題を解決する手段の一つとして考えられるのは、カラーフィルタ層の下に位相差薄膜を設ける構造とすることである。
しかし、位相差薄膜を最も下層に設ける場合、すなわち基板/位相差薄膜/黒色離画壁/カラー層とする場合、各層の面内位置合わせが困難になるという新たな問題が発生する。これは、位置合わせは黒色離画壁を基準として行なうのが一般的であるところ、当該工程より前に位相差薄膜を形成しなければならなくなり、また位相差薄膜は透明であること、すなわち色付きがほとんどないことを要求されるため、光学的な検出によって通常行なわれる位置合わせの基準として採用することが極めて難しいことによる。
一方で、基板/黒色離画壁/位相差薄膜/カラー層とする場合、位相差薄膜工程において前記位置合わせの困難は発生しないものの、位相差薄膜は、一定の厚みのある黒色離画壁に重ねて設けられることになり、結局のところ前記平坦性の問題は完全には解消されない。
【0014】
【特許文献1】特開2004−191832号公報
【特許文献2】特開2005−24919号公報
【特許文献3】特開2007−93848号広報
【0015】
本発明は上記問題を解決すべくなされたものであり、液晶表示装置によって多色表示を行なった際に生じる位相差の問題を解消することのできる光学補償能を有し、かつ所定の位相差が確実に得られるカラーフィルタ基板を提供することを課題とし、また前記カラーフィルタ基板を容易にかつ高品質で製造する方法を提供することを課題とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
請求項1にかかる本願発明は、少なくとも基板と、前記基板上に設けられたカラーフィルタ層とを有するカラーフィルタ基板において、前記カラーフィルタ層が2色以上の多数の表示画素から構成され、前記表示画素は黒色離画壁により隔てられてなり、前記カラーフィルタ層ならびに黒色離画壁の下部には液晶固定化層よりなる位相差薄膜が設けられていて、かつ前記位相差薄膜は所定パターンよりなる異方相ならびに異方性のない領域で構成されており、前記位相差薄膜の所定パターンと前記黒色離画壁は位置合わせがなされていることを特徴とするカラーフィルタ基板を提供する。
【0017】
請求項2にかかる本願発明は、請求項1に記載のカラーフィルタ基板において、前記位相差薄膜の異方相は、前記表示画素の色毎に配向の程度が異なることに起因して複屈折率が相違するように設けられているとしたものである。
【0018】
請求項3にかかる本願発明は、請求項1または2に記載のカラーフィルタ基板を用いてなる液晶表示装置を提供する。
【0019】
請求項4にかかる本願発明は、請求項1または2に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、少なくとも、(a)基板上に、液晶性を示し、かつ少なくとも光によって重合し得るおよび/または架橋され得る化合物を含む溶液を塗布し、前記液晶化合物が所定の状態に配向された位相差薄膜を形成する工程と、(b)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させ、表示画素に対応する異方相ならびに異方性のない領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成する工程と、(c)前記基板に、前記異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成された見当票を参照して位置合わせを行ないつつ黒色離画壁を形成する工程と、(d)前記基板に、着色組成物層を成膜し、2色以上の多数の表示画素を形成する工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法を提供する。
【0020】
請求項5にかかる本願発明は、請求項4に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記(c)工程のうち、前記異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成された見当票を参照して位置合わせ行なう工程を、2枚の偏光板を含む光学系を用いて実施するとしたものである。
【0021】
請求項6にかかる本願発明は、請求項4または5に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記(a)基板上に、液晶性を示し、かつ少なくとも光によって重合し得るおよび/または架橋され得る化合物を含む溶液を塗布し、前記液晶化合物が所定の状態に配向された位相差薄膜を形成する工程において、前記液晶化合物はサーモトロピック液晶性を示す化合物を用い、前記(b)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させ、表示画素に対応する異方相ならびに異方性のない領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成する工程は、(b−1)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させる工程と、(b−2)前記基板を、前記液晶化合物の等方相相転移温度以上に加熱する工程と、(b−3)前記基板を、前記液晶化合物が等方相に保たれる以上の温度に維持したまま全面露光し、表示画素に対応する異方相ならびに等方相の領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相と等方相の別によって形成する工程と、を含んでなるとしたものである。
【0022】
請求項7にかかる本願発明は、請求項4または5に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記(a)基板上に、液晶性を示し、かつ少なくとも光によって重合し得るおよび/または架橋され得る化合物を含む溶液を塗布し、前記液晶化合物が所定の状態に配向された位相差薄膜を形成する工程において、前記液晶化合物はサーモトロピック液晶性を示し、かつ光あるいは熱のいずれによっても重合し得るおよび/または架橋され得る化合物を用い、前記(b)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させ、表示画素に対応する異方相ならびに異方性のない領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成する工程は、(b−1)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させる工程と、(b−2)前記基板を、前記液晶化合物の等方相相転移温度以上に加熱する工程と、(b−3)前記基板を、当該液晶化合物の等方相相転移温度以上であってかつ重合および/または架橋がなされる以上の温度に加熱し、表示画素に対応する異方相ならびに等方相の領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相と等方相の別によって形成する工程と、を含んでなるとしたものである。
【0023】
請求項8にかかる本願発明は、請求項4または5に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記(b)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させ、表示画素に対応する異方相ならびに異方性のない領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成する工程は、(b−1)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させる工程と、(b−2)前記基板のうち、光照射がなされていない領域を除去し、表示画素に対応する異方相ならびに位相差薄膜の除去された領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに位相差薄膜の除去された領域の別によって形成する工程と、を含んでなるとしたものである。
【0024】
請求項9にかかる本願発明は、請求項4〜7に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記(b)工程のうち、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させる工程を、画素の各色の所定パターンに対応する領域ごとに異なる照射量になるように光照射を行なって当該箇所を各色毎に程度を違えて重合および/または架橋させる工程、としたものである。
【0025】
請求項10にかかる本願発明は、請求項4〜9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記(c)前記基板に、前記異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成された見当票を参照して位置合わせを行ないつつ黒色離画壁を形成する工程は、(c−1)前記基板に、感光性を有する黒色着色組成物を塗布する工程と、(c−2)前記位相差薄膜に形成された見当票を参照して、前記基板とフォトマスクの位置合わせを実施したのち、光照射を行なう工程と、(c−3)前記基板のうち、光照射が行なわれていない部分の黒色着色組成物層を除去し、黒色離画壁を形成する工程と、を含んでなるとしたものである。
【0026】
請求項11にかかる本願発明は、請求項4〜9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記(c)前記基板に、前記異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成された見当票を参照して位置合わせを行ないつつ黒色離画壁を形成する工程は、(c−1)前記基板に、黒色着色組成物を塗布するか、あるいは金属薄膜を形成する工程と、(c−2)前記基板に、感光性組成物を積層する工程と、(c−2)前記位相差薄膜に形成された見当票を参照して、前記基板とフォトマスクの位置合わせを実施したのち、光照射を行なう工程と、(c−3)前記基板のうち、光照射が行なわれていない部分の黒色着色組成物層または金属薄膜層、ならびに感光性組成物層を一括して除去し、黒色離画壁を形成する工程と、を含んでなるとしたものである。
【0027】
請求項12にかかる本願発明は、請求項4〜11に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、前記(c)工程のうち、黒色着色組成物を塗布するか、あるいは金属薄膜を形成する工程を、前記位相差薄膜のうち見当票が形成されている領域を避けて行なうとしたものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のカラーフィルタ基板によれば、所定パターンよりなる異方相ならびに異方性のない領域で構成された位相差薄膜が、カラーフィルタ層ならびに黒色離画壁の下部に位置し、かつ前記位相差薄膜の所定パターンと前記黒色離画壁が位置合わせされていることにより、液晶表示装置によって多色表示を行なった際に生じる位相差の問題を解消することのできる光学補償能を有し、かつそれに求められる所定の位相差を確実に備えることが可能となる。
また本発明のカラーフィルタ基板の製造方法によれば、異方相ならびに異方性のない領域の別によってなる見当標を位相差薄膜に形成し、当該見当票を参照して位相差薄膜と黒色離画壁の位置合わせを行なうことにより、前記光学補償能を有するカラーフィルタ基板を容易にかつ高品質に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の、液晶性を示す化合物を含んだ溶液を重合および/または架橋してなる薄膜を平面体上に形成した基板について説明する。平面体としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、フィルム基材等を挙げることができる。また平面体の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
以下では一例として、ガラス基板よりなる平面体上に上記液晶性化合物を固定化して形成した位相差薄膜上に、黒色離画壁ならびに各色の着色組成物よりなる表示画素を積層したカラーフィルタ基板を例に説明する。
【0030】
図1は本発明によって得られるカラーフィルタ基板の一形態(部分)を例示したものである。本カラーフィルタ基板は、ガラス基板(2)の上に液晶固定化層(3)、黒色離画壁(4)、カラーフィルタ層(5)が積層される構成となっており、カラーフィルタ層を構成する表示画素は、赤色画素(51)、緑色画素(52)、青色画素(53)よりなる。さらに各色画素は反射部(51r・52r・53r)と透過部(51t・52t・53t)が形成されている。各色の透過部画素・反射部画素の比率は通常同一であるが、液晶表示装置の設計によっては色毎にそれぞれ異なっていてもよい。当該カラーフィルタ層および前記黒色離画壁の下に位置する液晶固定下層(3)は、異方相部(3a)と等方相部(3i)が形成されており、異方相部(3a)は前記反射部画素(51r・52r・53r)、等方相部(3i)は前記透過部画素(51t・52t・53t)の下部を占めるように位置合わせがなされている。前記カラーフィルタ層において各色の透過部画素・反射部画素の比率が色毎にそれぞれ異なる場合、液晶固定下層の等方相部と異方相部もそれに合わせて設けられる。
【0031】
本発明のカラーフィルタ基板において、液晶固定下層の異方相は、前記画素の色毎に対応して別個の複屈折率を有していてもよい。図2は本発明によって得られるカラーフィルタ基板の別の一形態(部分)を例示したものである。ガラス基板(2)の上に液晶固定化層(3)、黒色離画壁(4)、カラーフィルタ層(5)が積層され、カラーフィルタ層を構成する表示画素は、赤色画素(51)、緑色画素(52)、青色画素(53)よりなっており、さらに各色画素は反射部(51r・52r・53r)と透過部(51t・52t・53t)が形成された構成は、前記第1の形態と同様である。液晶固定下層(3)は、前記カラーフィルタ層および前記黒色離画壁の下に位置し、異方相部と等方相部が形成されている点もまた前記第1の形態と同様であるが、異方相部は前記画素の色に対応して配向の程度が異なる状態で重合および/または架橋され固定化され、そのことに起因して複屈折率が相違するように設けられている。例えば、反射部赤色画素(51r)の下部の異方相部R(31a)はほぼ完全に配向した状態であり複屈折性が最も強く発現されていて、反射部緑色画素(52r)の異方相部G(32a)は異方相部Rよりは配向の程度が低い状態であり複屈折性は比較的弱く、反射部青色画素(53r)の異方相部B(33a)は異方相部Gよりさらに配向の程度が低い状態であり複屈折性は最も弱い。上記のように配向の程度については、複屈折率の変化により推測することができる。
【0032】
前記2つの形態においては、液晶固定化層のうち異方性のない領域は等方相よりなるとしたが、当該領域について前記液晶固定化層を除去してしまう構成としてもよい。本形態のカラーフィルタ基板の一例(部分)について図3に示す。
【0033】
なお、上記においては反射部と透過部を有する、いわゆる半透過型の液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板を挙げて説明したが、本発明のカラーフィルタはこれにとどまらず、表示画素は2色以上で形成されていればよく、例えば透過型・反射型の液晶表示装置に用いられる構成(通常は赤色画素・緑色画素・青色画素の3色)等でももちろんかまわない。
また異方性のない領域は表示画素の下部を占める構成でなくてもよく、例えば透過型の液晶表示装置に対応した赤色画素・緑色画素・青色画素の3色の表示画素を有するカラーフィルタ基板の例を挙げると、各色画素の下部には異方相部、黒色離画壁の下部には異方性のない領域を設けた形態、あるいは黒色離画壁の下部を含めた表示部の下部には異方相部、液晶セル組み立て時に封止部として用いられる額縁部分の下部には異方性のない領域とした形態などによっても、本発明の趣旨を満たすカラーフィルタ基板を得ることができる。
【0034】
異方相の位相差の種類、すなわち本発明においては固定化される液晶の配向の種類となるが、これは特に限定されない。例えば棒状液晶が面内に水平となるように揃うホモジニアス配向で得られる正のAプレート、同じく面に対して垂直となるように揃うホメオトロピック配向で得られる正のCプレート、面内に水平となりかつ螺旋を巻いたコレステリック配向で得られる負のCプレート、円盤状液晶にあっては面に対して垂直となるように揃うホメオトロピック配向で得られる負のAプレート、面内に水平となるように揃うホモジニアス配向で得られる正のCプレートなどが挙げられるが、これらに限らず、棒状液晶が面内に水平となりかつ螺旋を巻いていて方位角が偏向した2軸性(正のAプレート/負のCプレート複合)のものなど、存在しえるあらゆる配向に本発明は適用可能である。
【0035】
本発明のカラーフィルタ基板においては、黒色離画壁おとびカラーフィルタ層と液晶固定化層との間に、追加の層が設けられていてもよい。追加の層の一例としては、前記異方性のない領域を液晶固定化層の除去によって得る構成など、液晶固定化層形成後の基板表面に凹凸がある場合に設けられる平坦化層、あるいは液晶固定化層が黒色離画壁・カラーフィルタ層形成の工程で損傷を受けることを抑制する保護層などを挙げることができる。
【0036】
本発明のカラーフィルタ基板を得る手段は種々考えられるが、平面体上に液晶固定化層よりなる位相差薄膜を設け、所定パターンよりなる異方相ならびに異方性のない領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成し、前記見当票を参照して位置合わせを行ないつつ黒色離画壁を形成する方法が簡便である。
以下、本発明の液晶固定化層を得る方法の一例について説明する。
【0037】
まず、液晶性を示し、かつ光によって重合し得るおよび/または架橋され得る化合物を含む溶液を平面体上に塗布する。当該溶液は、上記液晶化合物および溶剤の他、光重合開始剤、熱重合開始剤、増感剤、連鎖移動剤、多官能モノマーあるいはオリゴマー、キラル剤、樹脂、界面活性剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、密着向上剤その他必要な材料を、当該液晶化合物が液晶性を失なわない範囲で加えることができる。
平面体表面には必要に応じて、配向能を有する膜を形成しておくかあるいは平面体表面そのものが配向規制力を発現するように処理を施しておく。塗布には、スピンコート法、スリットコート法、凸版印刷法、スクリーン印刷、平版印刷、反転印刷、グラビア印刷その他の印刷方法又はこれらの印刷法にオフセット方式を組み合わせた方法、インキジェット法、バーコート法その他既知の成膜法が適用可能である。
【0038】
上記液晶としては、例えばアルキルシアノビフェニル、アルコキシビフェニル、アルキルターフェニル、フェニルシクロヘキサン、ビフェニルシクロヘキサン、フェニルビシクロヘキサン、ピリミジン、シクロヘキサンカルボン酸エステル、ハロゲン化シアノフェノールエステル、アルキル安息香酸エステル、アルキルシアノトラン、ジアルコキシトラン、アルキルアルコキシトラン、アルキルシクロヘキシルトラン、アルキルビシクロヘキサン、シクロヘキシルフェニルエチレン、アルキルシクロヘキシルシクロヘキセン、アルキルベンズアルデヒドアジン、アルケニルベンズアルデヒドアジン、フェニルナフタレン、フェニルテトラヒドロナフタレン、フェニルデカヒドロナフタレン、トリフェニレン、ペンタエチニルベンゼン、ヒドロキシプロピルセルロース、アセナフトキノキサリン、インダンスロン、シアニンインダンスロン、ペリレンテトラカルボン酸ジベンゾイミダゾール、ナフトイレンベンゾイミダゾール、クロモグリク酸、メチルフェニルジアゼニルナフタレンスルホン酸およびこれらの誘導体、ならびに前記化合物のアクリレート等を挙げることができ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0039】
溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これら溶剤もまた単独でもしくは混合して用いることができる。
【0040】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
光重合開始剤は、液晶溶液中の液晶性化合物100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.3〜10重量部の量で用いることができる。
【0041】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で含有させることができる。
【0042】
多官能チオールとしては、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。
多官能チオールは、液晶溶液中の液晶性化合物100重量部に対して、0.2〜30重量部、好ましくは0.5〜15重量部の量で用いることができる。
【0043】
多官能モノマーおよびオリゴマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0044】
樹脂としては、例えばブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
また樹脂は感光性を有していてもよい。感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0045】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0046】
重合禁止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール、スチレン化p−クレゾール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−1−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル)イソシアヌレート、ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド、1−オキシ−3−メチル−イソプロピルベンゼン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、ポリブチル化ビスフェノールA、ビスフェノールA、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テレフタロイルージ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルスルフィド)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、トルエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ヘキサメチレングリコール−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸ジエチルエステル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス〔β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル〕イソシアヌレート、2,4,6−トリブチルフェノール、ビス〔3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)−ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド等のフェノール系禁止剤、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物、ジアリール−p−フェニレンジアミン等のアミン系禁止剤、ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダノール等の硫黄系禁止剤、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系禁止剤等を示すことができる。
【0047】
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0048】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。
【0049】
次に、成膜された溶液を乾燥させて、液晶化合物層を形成したのち、所定のパターンで露光を行なう。このとき、光が照射された領域はその配向の状態を保ったまま固定化され、光が照射されなかった領域は全てが未反応の状態のままとなる。このとき光の照射、すなわち露光は、画素に対応して光学補償能、すなわち位相差を付与したい箇所のほか、画素部分を含む前記表示部ならびに前記額縁部分の外部、好ましくは平面体の周辺部に近い箇所に、後工程で位置合わせを行なうための見当票が得られるパターンを含む領域となるように行なう。これによって、露光工程では、光学補償を行なう位相差の所定パターンのほか、位置合わせのための見当票が、固定化された異方相の潜像として形成される。
【0050】
露光には、紫外線や電子線、可視光線、赤外線、エックス線、ガンマ線等の放射線を用いることができる。本発明において「光」とは前記したような放射線のうち1種類あるいは複数種類を指し、「光によって重合」「光重合性」等の表現は同様に前記したような放射線のうち1種類あるいは複数種類に関する特性を意味したものである。
【0051】
続いて、基板を当該液晶化合物の等方相相転移温度以上に加熱する。すると、液晶化合物層のうち光が照射されなかった領域は等方相に転移して実質的に無配向状態となり、光が照射された領域は配向を保って固定化されたままの状態となる。なお、この加熱により等方相として異方性のない領域を得る方法においては、前記液晶溶液に使用する液晶には、サーモトロピック液晶性を示す化合物を用いる必要がある。
【0052】
最後に、当該液晶化合物が等方相に保たれる以上の温度に維持したまま、基板の全面露光を行なうと、無配向状態の領域、配向された領域がそのまま重合しおよび/または架橋され、固定化される。これによって所定パターンの等方相/異方相の領域が形成された位相差薄膜が得られる。液晶化合物のうち一部は、等方相が保たれる温度の下限が等方相相転移温度より低いため、このような液晶化合物を使用する場合に全面露光時の温度は先に加熱を実施した時点の温度より低くてもよいが、通常は薄膜を等方相相転移温度以上に加熱し、その温度を保ったまま全面露光するのが簡便である。なおこの方法においては、見当票は等方相と異方相の別によって形成されることになる。
【0053】
本発明に関連する液晶固定化層が形成された基板を得る別の手段としては、前記液晶溶液に使用する液晶を、サーモトロピック液晶性を示し、かつ光あるいは熱のどちらによっても重合し得るおよび/または架橋され得る化合物とし、同様に塗布工程、パターン露光工程、加熱工程、全面露光工程を少なくとも経る方法も有効である。この場合、全面露光工程のあとに、当該液晶化合物が重合および/または架橋される以上の温度に加熱することで、硬化をさらに進行させてより強固な薄膜とすることも可能である。
【0054】
本発明に関連する液晶固定化層が形成された基板を得るさらに別の手段としては、前記2番目の製造方法において、塗布工程、パターン露光工程、加熱工程を同様に行ない、続いて全面露光工程に代えて、当該液晶化合物の等方相相転移温度以上であって、かつ重合および/または架橋がなされる以上の温度に加熱する方法も有効である。この場合は連続する2つの加熱工程において、まず、光が照射されなかった領域は等方相に転移して実質的に無配向状態に、光が照射された領域は、加熱によっても配向を乱すことなく、配向状態を保って固定化されたまま高配向状態になり、続いて各々その状態を保ったまま重合および/または架橋が進行する。
【0055】
なお、上記した3つのいずれの製造方法においても、前記露光工程において、画素の各色の所定パターンに対応する領域ごとに異なる照射量になるよう光照射を行なうことも可能である。この場合、液晶が重合しおよび/または架橋されるに充分な量の光が照射された領域はその配向の状態を保ったまま固定化され、それよりも少ない量の光が照射された領域は未硬化成分を残し一部が固定化され、光が照射されなかった領域は全てが未反応の状態のままとなる。そして、基板を当該液晶化合物の等方相相転移温度以上に加熱する工程において、液晶化合物層のうち光が照射されなかった領域は等方相に転移して実質的に無配向状態となり、不充分な量の光が照射された領域はその照射量に応じて残る未硬化成分の配向が乱れて低配向状態となる。充分な量の光が照射された領域は配向を保って固定化されたままの状態、すなわち高配向状態となる。その後さらに続く固定化工程によって、無配向状態の領域、低配向状態の領域、高配向状態の領域がそのまま重合しおよび/または架橋される。
【0056】
前記領域ごとに異なる量の光を照射する手段としては、複数のフォトマスクを使用して複数回の露光を行なう方法、同一のフォトマスクを使用してこれを移動させながら複数回の露光を行なう方法、光の透過率の異なる複数の領域を持つハーフトーンマスクを使用する方法、露光機の解像度以下のスリットを有する部分によってなる複数の領域を持つグレイトーンマスクを使用する方法、光の透過波長の異なる複数の領域を持つ波長制限マスクを使用する方法、電子ビーム等の光束を走査して描画する方法、あるいはその組み合わせ等が考えられるが、これらに限定されず、所望する領域に必要なだけの光を照射できる方法であればどのようなものでもかまわない。
【0057】
前記4番目の製造方法において、異方相ならびに等方相の別によってなる見当票は、前記異なる照射量になるよう光照射を行なうどの工程を用いて形成してもよいが、異方相と等方相の差を最大にして後工程での参照を行ないやすくするという観点からは、前記領域のうち最も多くの光が照射される領域を形成する工程と同時であることが好ましい。
さらにまた、前記領域ごとに異なる量の光を照射する手段として、同一のフォトマスクを使用してこれを移動させながら複数回の露光を行なう方法等を用いる場合、いずれの工程においても見当票を形成するようにしてもよい。
【0058】
前記4番目の製造方法を用いれば、本発明の位相差薄膜の異方相を、表示画素の色毎に配向の程度が異なることに起因して複屈折率が相違するように設けることが容易に可能となる。
【0059】
異方性のない領域を得る手段として、当該部の未反応の液晶化合物層を現像にて除去するという方法もある。現像には、未反応の液晶化合物層を溶解させることのできる液体等、例えば前記液晶溶液に加えられる溶剤として挙げた物質を用いることができる。
未反応の液晶化合物層を除去することにより、前記液晶固定化層の異方相部は配向の状態を保ったまま固定化された液晶化合物が残り、異方性のない領域は液晶化合物層を除去された状態となる。また位置合わせのための検討票は、異方相ならびに液晶固定化物が除去された領域の別によって形成されることになる。
【0060】
次に、本発明の黒色離画壁を得る方法を説明する。本発明の黒色離画壁は、黒色顔料を顔料担体に分散した黒色着色組成物を成膜し、前記位相差薄膜に形成された見当票を参照して位置合わせを行ないつつ、所定パターンになるよう不要部が除去されて形成される。
【0061】
前記黒色着色組成物に含まれる黒色顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。具体的には三菱化学(株)製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックII、ダイヤブラック339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF、ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR;キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908、旭カーボン(株)製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66HN、旭#60H、旭#60U、旭#60、旭#55、旭#50H、旭#51、旭#50U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグサ社製のカーボンブラックColorBlackFw200、ColorBlackFw2、ColorBlackFw2V、ColorBlackFw1、ColorBlackFw18、ColorBlackS170、ColorBlackS160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0062】
また、顔料として無機顔料を用いることも可能であり、具体的には黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、遮光性を取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、カーボンブラックと組み合わせて用いられる。
【0063】
また前記着色組成物に含まれる顔料担体は、顔料を分散させるものであり、熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂・感光性樹脂などの樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して樹脂を生成する多官能モノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
顔料担体は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、樹脂は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂の前駆体は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
【0064】
樹脂、樹脂の前駆体である多官能モノマーおよびオリゴマーには、前記した液晶溶液に用いる化合物と同様のものを使用することができる。
【0065】
黒色着色組成物には、該組成物を紫外線等の照射により硬化する場合には、光重合開始剤、さらに場合によっては増感剤等が添加される。光重合開始剤・増感剤についても、前記した液晶溶液に用いる化合物と同様のものを使用することができる。光重合開始剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。また増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で含有させることができる。
【0066】
さらに黒色着色組成物には、溶剤、連鎖移動剤、界面活性剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、密着向上剤、分散助剤等を含有させることができる。これらもまた、前記した液晶溶液に用いる化合物と同様のものを使用することができる。
【0067】
黒色着色組成物には、さらにまた、可塑剤を含有させることができる。可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート、テトラオクチルビフェニルテトラカルボキシレート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジオクチルセバケート、ジオクチルアゼレート、トリオクチルシトレート等の脂肪族若しくは芳香族多価カルボン酸のアルキルエステル、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリルホスフェート等のリン酸エステル、脂肪族若しくは芳香族多価カルボン酸とグリコール類を縮合して得られ、必要に応じて末端を一価アルコール及び/又は一価カルボン酸で封鎖したポリエステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸オクチルエステル、エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルアミン、ポリエーテルエステル等のポリエーテル化合物が挙げられる。また前記可塑剤としては、塩素化パラフィン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテルエステル、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー、エチレン−アクリルエステル共重合体、エチレン−メタクリルエステル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリレート共重合体、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、メチルメタクリレート−メタクリレート共重合物、2−エチルヘキシルアクリレート−メタクリレート共重合物、エチルアクリレート−アクリル酸共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリアクリロニトリル、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアセタール、ポリウレタン、エチルセルロース、酢酸セルロース等の熱可塑性樹脂、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属せっけん等を用いることもできる。
【0068】
黒色着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、インキジェット印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
顔料は、着色組成物の全固形分量を基準(100重量%)として5〜70重量%の割合で含有されることが好ましい。より好ましくは、20〜50重量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0069】
印刷法による各色表示画素の形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0070】
フォトリソグラフィー法により黒色離画壁を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、平面体上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の方法による塗布、または印刷あるいはインキジェット吐出などによって、パターン化されていない塗膜を、乾燥膜厚にして0.2〜10μmとなるように得る。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。
【0071】
なお、前記黒色着色組成物の塗布膜を基板に形成する範囲は特に限定されないが、当該見当票を参照して位置合わせを行なう際に検出を容易にするために、下層の位相差薄膜に設けられている参照票が存在する領域を避けるように形成することが好ましい。
【0072】
続いて、先に設けられている前記位相差薄膜に形成された見当票を参照して位置合わせを行ないつつ、必要により乾燥された膜に、所定パターンの光照射を行なう。所望の領域を露光する方法としては、フォトマスクを使用する方法、紫外線・電子ビーム等の光束を操作して描画する方法等があるが、フォトマスクを使用する場合、前記基板ならびにフォトマスクの法線方向から光学的に検知して、フォトマスクに設けられた見当票と前記位相差薄膜に形成された見当票の位置を合致させる方法によって、位置合わせを実施することが可能である。
【0073】
前記位相差薄膜に形成された見当票を参照する手段としては、露光機に備えられた光源ならびに検出器(例えば、カメラ等)にそれぞれ偏光板を1枚ずつ、計2枚を設け、当該2枚の偏光板の間に基板を挿入する方法等が挙げられる。光源ならびに検出器を備えた露光機、ならびにそれを用いた位置合わせおよび露光の方法については、既知の装置ならびに露光手段を用いることが可能である。なお、2枚の偏光板の光学軸はどのようなものであっても構わないが、両者を直交配置で設けることが、検出の容易さの観点から好ましい。
【0074】
その後、前記黒色着色組成物の膜を溶剤またはアルカリ水溶液等の現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成して黒色離画壁を形成することができる。さらに、黒色着色組成物の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度よく黒色離画壁を形成できる。
【0075】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記黒色着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0076】
本発明のカラーフィルタ基板における黒色着色組成物は、上記方法の他にインキジェット法、電着法、転写法などにより製造することができる。なおインキジェット法は、平面体上に形成した遮光性離画壁で区切られた領域に、各色インキを微細ノズルによって吐出着弾させて表示画素を形成する方法である。電着法は、平面体上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色表示画素を透明導電膜の上に電着形成する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の平面体に転写させる方法である。
【0077】
本発明のカラーフィルタ基板において、黒色離画壁はクロム薄膜等の金属薄膜で形成されていてもよい。金属薄膜を基板上に形成する手段としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、溶射法、電着法、化学鍍金法、溶融鍍金法その他既知の方法を用いることができる。
得られた金属薄膜は、その上部に感光性組成物の膜を設けたのち、前記したものと同様な方法で位置合わせを行ないつつ露光され、エッチングによって不要部が除去されて所望のパターンが得られる。
【0078】
前記上部に感光性組成物の膜を設けたのち、位置合わせを・露光を行ない、エッチングによって不要部を除去する方法は、当然ながら黒色着色組成物の塗布膜の所定パターンを得る手段として用いてももちろんよい。
【0079】
以上によって、平面体上に所定パターンの位相差薄膜と、当該パターンに位置合わせがなされた黒色離画壁が形成された基板には、続いてカラーフィルタ層、透明電極その他必要な構造物が形成されて本発明のカラーフィルタ基板が得られる。カラーフィルタ層は、例えば特開2005−234477号広報・特開2006−106266号広報他多数公開されている文献等に記載された既知の着色組成物を用いて、同じく既知の手段によって形成することができる。透明電極その他必要な構造物についても、同様に既知の手段により形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】カラーフィルタ基板の一形態
【図2】カラーフィルタ基板の別の一形態
【図3】カラーフィルタ基板の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基板と、前記基板上に設けられたカラーフィルタ層とを有するカラーフィルタ基板において、
前記カラーフィルタ層が2色以上の多数の表示画素から構成され、前記表示画素は黒色離画壁により隔てられてなり、
前記カラーフィルタ層ならびに黒色離画壁の下部には液晶固定化層よりなる位相差薄膜が設けられていて、かつ前記位相差薄膜は所定パターンよりなる異方相ならびに異方性のない領域で構成されており、
前記位相差薄膜の所定パターンと前記黒色離画壁は位置合わせがなされていることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記位相差薄膜の異方相は、前記表示画素の色毎に配向の程度が異なることに起因して複屈折率が相違するように設けられていることを特徴とした請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカラーフィルタ基板を用いてなる液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のカラーフィルタ基板の製造方法において、少なくとも、
(a)基板上に、液晶性を示し、かつ少なくとも光によって重合し得るおよび/または架橋され得る化合物を含む溶液を塗布し、前記液晶化合物が所定の状態に配向された位相差薄膜を形成する工程と、
(b)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させ、表示画素に対応する異方相ならびに異方性のない領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成する工程と、
(c)前記基板に、前記異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成された見当票を参照して位置合わせを行ないつつ黒色離画壁を形成する工程と、
(d)前記基板に、着色組成物層を成膜し、2色以上の多数の表示画素を形成する工程と、
を含むことを特徴とするカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項5】
前記(c)工程のうち、前記異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成された見当票を参照して位置合わせ行なう工程を、2枚の偏光板を含む光学系を用いて実施することを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項6】
前記(a)基板上に、液晶性を示し、かつ少なくとも光によって重合し得るおよび/または架橋され得る化合物を含む溶液を塗布し、前記液晶化合物が所定の状態に配向された位相差薄膜を形成する工程において、
前記液晶化合物はサーモトロピック液晶性を示す化合物を用い、
前記(b)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させ、表示画素に対応する異方相ならびに異方性のない領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成する工程は、
(b−1)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させる工程と、
(b−2)前記基板を、前記液晶化合物の等方相相転移温度以上に加熱する工程と、
(b−3)前記基板を、前記液晶化合物が等方相に保たれる以上の温度に維持したまま全面露光し、表示画素に対応する異方相ならびに等方相の領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相と等方相の別によって形成する工程と、
を含んでなることを特徴とする請求項4または5に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項7】
前記(a)基板上に、液晶性を示し、かつ少なくとも光によって重合し得るおよび/または架橋され得る化合物を含む溶液を塗布し、前記液晶化合物が所定の状態に配向された位相差薄膜を形成する工程において、
前記液晶化合物はサーモトロピック液晶性を示し、かかつ光あるいは熱のいずれによっても重合し得るおよび/または架橋され得る化合物を用い、
前記(b)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させ、表示画素に対応する異方相ならびに異方性のない領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成する工程は、
(b−1)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させる工程と、
(b−2)前記基板を、前記液晶化合物の等方相相転移温度以上に加熱する工程と、
(b−3)前記基板を、当該液晶化合物の等方相相転移温度以上であってかつ重合および/または架橋がなされる以上の温度に加熱し、表示画素に対応する異方相ならびに等方相の領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相と等方相の別によって形成する工程と、
を含んでなることを特徴とする請求項4または5に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項8】
前記(b)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させ、表示画素に対応する異方相ならびに異方性のない領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成する工程は、
(b−1)前記基板に、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させる工程と、
(b−2)前記基板のうち、光照射がなされていない領域を除去し、表示画素に対応する異方相ならびに位相差薄膜の除去された領域を形成するとともに、後工程で位置合わせを行なうための見当標を異方相ならびに位相差薄膜の除去された領域の別によって形成する工程と、
を含んでなることを特徴とする請求項4または5に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項9】
前記(b)工程のうち、所定パターンにて光照射を行なって当該箇所を重合および/または架橋させる工程を、
画素の各色の所定パターンに対応する領域ごとに異なる照射量になるように光照射を行なって当該箇所を各色毎に程度を違えて重合および/または架橋させる工程、
としたことを特徴とする請求項4〜7に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記(c)前記基板に、前記異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成された見当票を参照して位置合わせを行ないつつ黒色離画壁を形成する工程は、
(c−1)前記基板に、感光性を有する黒色着色組成物を塗布する工程と、
(c−2)前記位相差薄膜に形成された見当票を参照して、前記基板とフォトマスクの位置合わせを実施したのち、光照射を行なう工程と、
(c−3)前記基板のうち、光照射が行なわれていない部分の黒色着色組成物層を除去し、黒色離画壁を形成する工程と、
を含んでなることを特徴とする請求項4〜9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項11】
前記(c)前記基板に、前記異方相ならびに異方性のない領域の別によって形成された見当票を参照して位置合わせを行ないつつ黒色離画壁を形成する工程は、
(c−1)前記基板に、黒色着色組成物を塗布するか、あるいは金属薄膜を形成する工程と、
(c−2)前記基板に、感光性組成物を積層する工程と、
(c−2)前記位相差薄膜に形成された見当票を参照して、前記基板とフォトマスクの位置合わせを実施したのち、光照射を行なう工程と、
(c−3)前記基板のうち、光照射が行なわれていない部分の黒色着色組成物層または金属薄膜層、ならびに感光性組成物層を一括して除去し、黒色離画壁を形成する工程と、
を含んでなることを特徴とする請求項4〜9に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項12】
前記(c)工程のうち、黒色着色組成物を塗布するか、あるいは金属薄膜を形成する工程を、前記位相差薄膜のうち見当票が形成されている領域を避けて行なうことを特徴とする請求項4〜11に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−157192(P2009−157192A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336658(P2007−336658)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】