説明

カラーフィルタ用着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタ

【課題】カラーフィルタの高コントラスト化の要求によって、難分散化し、耐熱性が低下してきている微細顔料を用いて、高コントラストで流動性および耐熱性に優れる安定なカラーフィルタ用着色組成物を作製すること、およびこれを用いて高コントラストなカラーフィルタを提供することである。
【解決手段】着色組成物に含まれる透明樹脂の重量平均分子量(Mw)を46000〜80000の範囲、分子量分布(Mw/Mn)を1.7〜2.2の範囲にすることにより、顔料分散性に優れ、高コントラストで耐熱性に優れるカラーフィルタ用着色組成物を得る。また、これを用いたカラーレジストにて、高コントラストなカラーフィルタを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造の際に使用されるカラーフィルタ用着色組成物に関するものである。また、本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置であり、ツイストネマチック(TN)型液晶を用いるタイプが主流となっている。液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンモニタなどに用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高輝度化、高コントラスト化の要求が高まっている。
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
【0003】
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極および配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
しかし、一般に顔料を分散したカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低いという問題がある。
【0004】
フィルタセグメントは顔料分散体に開始剤やモノマーを配合したカラーレジストの塗液を用いて形成されるが、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化を実現させるためには、まず、フィルタセグメント中に含まれる顔料の微細化処理を行い、この微細化顔料を、樹脂などを含有する顔料担体中へ安定に分散させた分散体を作製する必要がある。しかし、顔料の凝集が強く、これを分散しきれない場合には、顔料の微細化工程を経ることで逆にカラーフィルタの輝度、コントラスト比を低下させてしまう。また、分散体の安定性が低いと経時で顔料粒子の凝集が進行し、着色組成物の粘度上昇、流動性不良を引き起こし、フィルタセグメント形成の際、塗液をガラス基板上にスピンコートする場合などにスピンコート性不良、レベリング不良などにより、膜厚の均一な塗膜を得ることができず好ましくない。
【0005】
このような微細化顔料を用いた分散体の安定化のために、顔料誘導体や樹脂型分散剤を用いた分散処方最適化が行われ、顔料誘導体や樹脂型分散剤あるいはバインダー樹脂の改良も行われてきた。しかし、最近の高品質な微細化顔料の性能を完全に発揮させるには不十分な部分がある。
また、微細化顔料の分散体を作製できても、高コントラストなフィルタセグメントが形成できた場合でも、このフィルタセグメントは、前記のようにカラーフィルタ形成の過程(透明電極および配向膜の形成)で230℃以上の高温にさらされ、顔料の分散系が崩れてコントラスト比が低下するという現象が起きるものがある。
【特許文献1】特開平10−130547号公報
【特許文献2】特開2005−181383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カラーフィルタの高コントラスト化要求に伴って、顔料の微細化が進行し、難分散化、耐熱性低下しており、より高コントラストな顔料分散体を得ること、カラーフィルタの形成工程でコントラスト比を一定に保つこと(ポストベイクや透明電極および配向膜の形成で高温にさらされてもコントラスト比が低下しない)が難しくなってきている。
本発明の目的は、耐熱性に優れ、高コントラストで流動性に優れるカラーフィルタ用着色組成物を作製すること、およびこれを用いて高コントラストなカラーフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、透明樹脂および着色材を含有する着色組成物であって、前記透明樹脂の重量平均分子量(Mw)が46000〜80000の範囲であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.7〜2.2の範囲であることを特徴とする。
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、前記透明樹脂が、共重合成分として、N−置換マレイミドを含むことを特徴とする。
また、本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、重量平均分子量(Mw)が46000〜80000の範囲であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.7〜2.2の範囲の透明樹脂を含有するため、着色材の分散性に優れ、高コントラストで耐熱性に優れる。また、これを用いることにより、高コントラストなカラーフィルタを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、透明樹脂および着色材を含有する着色組成物であって、前記透明樹脂の重量平均分子量(Mw)が46000〜80000の範囲であり、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.7〜2.2の範囲であることを特徴とする。
本発明の着色組成物に用いる透明樹脂としては、領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂などがあり、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。透明樹脂の含有量は、着色材100重量部に対して好ましくは30〜700重量部、さらに好ましくは60〜450重量部である。
【0010】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0011】
また、活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0012】
透明樹脂の重量平均分子量(Mw)(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は46000〜80000の範囲であり、好ましくは50000〜70000の範囲である。Mwが46000未満の透明樹脂のみを用いた場合には、高コントラスト、高耐熱性を有する着色組成物を得ることができず、カラーフィルタの形成工程で高温にさらされるとコントラスト比が低下してしまう。また、Mwが80000を超える透明樹脂のみを用いた場合には、着色組成物の粘度が高くなってしまい、フィルタセグメント形成時に均一な塗膜を得難くなってしまうため好ましくない。
【0013】
また、透明樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は1.7〜2.2の範囲であり、好ましくは1.8〜2.0の範囲である。Mw/Mnが1.7未満の透明樹脂のみを用いた場合には、着色組成物の粘度が高くなってしまい、レジスト材として用いると現像性が低下し(現像速度が遅くなり、現像ラインでの現像ができなくなる場合がある。)、パターン形成過程で支障が出る。また、Mw/Mnが2.2を超える透明樹脂のみを用いた場合には、着色組成物の耐熱性が低下し、カラーフィルタ形成過程でコントラスト比が低下してしまうため好ましくない。
【0014】
上記のように適正な分子量、分子量分布の範囲にある透明樹脂を得るためには、重合方法を選択する必要がある。例えば、リビングアニオン、リビングカチオン、リビングラジカルなどの重合方法を適用すると、直接分子量分布の狭い樹脂を合成することができて好ましい。しかし、これらの重合方法は、樹脂の組成によっては重合困難なものもあり、その場合、溶剤分別法(透明樹脂を一度、良溶剤に溶解し、貧溶媒を混合していくことで高分子量成分のみを析出させて、低分子量なものと高分子量なものを分別し、より分子量分布の狭い樹脂を得る方法である。)やカラムクロマトグラフィーを用いた分子量分画法などを用いることができる。
【0015】
透明樹脂は、共重合成分として、N−置換マレイミドを含むことが好ましい。該透明樹脂は、耐熱性に優れるため、高コントラストなカラーフィルタを得ることができる。
N−置換マレイミドとしては、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド等のアルキルマレイミド等があるが、分散性、耐熱性等の点からシクロヘキシルマレイミドが好ましい。
N−置換マレイミドの共重合比率は、単量体の全量を基準として1〜40重量%を占めるのが好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。N−置換マレイミドの共重合比率が1重量%より少ないと、透明樹脂の耐熱性が低下する。また、40重量%より多いと透明樹脂の分散性が低下し、高コントラストで流動性に優れる着色組成物を得ることが難しくなる。
【0016】
透明樹脂を構成する他の共重合成分としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類や、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルアクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(カプロラクトンの繰り返し数=1〜6)、エポキシ(メタ)アクリレート、水酸基末端ウレタン (メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和単量体が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を表す。
【0017】
本発明の着色組成物に含有される着色材としては、有機または無機の顔料を2種類以上混合して用いることができるが、発色性、耐熱性の高い有機顔料を用いることが特に好ましい。以下に、本発明の着色組成物に用いることのできる顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色顔料としては、例えばC.I.Pigment Red 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等を用いることができ、この中でも高輝度化、高コントラスト化の観点からC.I.Pigment Red 177、254が好ましい。赤色着色組成物には、C.I.Pigment Orange 43、71、73等の橙色顔料、下記の黄色顔料を併用することができる。
【0018】
緑色顔料としては、例えばC.I.Pigment Green 7、10、36、37等を用いることができ、この中でも高輝度化、高コントラスト化の観点からC.I.Pigment Green 7、36が好ましい。緑色着色組成物には、下記の黄色顔料を併用することができる。
黄色顔料としては、例えばC.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等を用いることができ、この中でも高輝度化、高コントラスト化の観点からC.I.Pigment Yellow 138、139、150が好ましい。
【0019】
青色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等を用いることができ、この中でも高輝度化、高コントラスト化の観点からC.I.Pigment Blue 15:6が好ましい。青色着色組成物には、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0020】
本発明の着色組成物に用いられる着色材が、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料の場合には、一般に耐熱性の悪いものが多いため、本発明の着色組成物に含まれる透明樹脂の耐熱性を発揮するという点からも、これまでにない性能を発揮することができる。
本発明の着色組成物は、用いられている着色材が前記赤色顔料の中ではC.I.Pigment Red 254、前記黄色顔料の中ではC.I.Pigment Yellow 138、139、前記紫色顔料の中ではC.I.Pigment Violet 23である場合に、これまでにない性能を発揮することができる。
本発明の着色組成物には、顔料以外の色素を併用することもできる。顔料以外の色素としては、染料、天然色素等を挙げることができる。
【0021】
顔料は、高コントラストの観点から、微細化して用いることが好ましい。顔料を微細化する手段としては、顔料を機械的に粉砕する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解したものを貧溶媒に投入して所望の微細化顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、および合成時に所望の微細化顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)等がある。使用する顔料の合成法や化学的性質等により、個々の顔料について適当な方法を選択して行うことができる。
【0022】
着色材として顔料を用いて着色組成物を作製するときには、顔料の凝集を防ぎ、顔料が微細に分散した状態を維持し、高輝度、および高コントラスト比で色純度の高いカラーフィルタを製造するため、色素誘導体を添加することが好ましい。色素誘導体の含有量は、顔料100重量部に対して、好ましくは0.001〜40重量部、さらに好ましくは1〜20重量部である。
色素誘導体は、有機色素に塩基性または酸性の置換基を導入した化合物である。有機色素には、一般に色素とは呼ばれていない淡黄色の芳香族多環化合物、例えばナフタレン、アントラキノン、アクリドン等も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開平9−176511公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0023】
本発明の着色組成物には、着色材として顔料を用いる場合には、顔料の分散性に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きい樹脂型分散剤を添加することができる。樹脂型分散剤は、顔料100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
樹脂型分散剤は、酸性基または塩基性基をアンカーとして顔料の表面に吸着し、ポリマーの反発効果が有効に作用して分散安定性保持を発現することから、酸性基または塩基性基を有するポリマーであることが好ましい。酸性基としては、吸着特性に優れる点でスルホン基が好ましく、塩基性基としては、吸着特性に優れる点でアミノ基が好ましい。また、酸性基を有する色素誘導体と塩基性基を有する樹脂型分散剤との併用、または塩基性基を有する色素誘導体と酸性基を有する樹脂型分散剤との併用は、透明樹脂との相性が良いため好ましい。
【0024】
酸性基または塩基性基を有する樹脂型分散剤としては、酸性基または塩基性基を有する幹ポリマー部に枝ポリマー部がグラフト結合した構造の櫛型ポリマーが、枝ポリマー部の優れた立体反発効果から有機溶剤可溶性をより有するため好ましい。さらに、幹ポリマー1分子に2分子以上の枝ポリマーがグラフト結合した分子構造を有する櫛型ポリマーが上記理由からより好ましい。
市販の樹脂型顔料分散剤としては、ビックケミー社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、アビシア社製のSOLSPERSE−3000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32600、34750、36600、38500、41000、41090、53095等、エフカケミカルズ社製のEFKA−46、47、48、452、LP4008、4009、LP4010、LP4050、LP4055、400、401、402、403、450、451、453、4540、4550、LP4560、120、150、1501、1502、1503等が挙げられる。
【0025】
本発明の着色組成物は、透明樹脂、着色材、更に上記任意の成分を含む混合物を2本ロールミルにより練肉してシート状物とする工程を複数回行った後、粉砕することで得るチップを有機溶剤に撹拌溶解させ、ビーズミル等のメディア分散機で分散することにより得られることができる。また、本発明の着色組成物は、上記混合物を直接ビーズミル等のメディア分散機で分散することにより得ることもできる。
カラーレジストは、透明樹脂および着色材を含有する着色組成物に、必要に応じて透明樹脂、活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーまたはオリゴマー、光重合開始剤、有機溶剤等を配合することにより調整できる。
【0026】
着色材は、着色組成物中(着色材、透明樹脂、光重合開始剤や溶剤など、すべての成分を含む着色組成物)に0.5〜10重量%の割合で含有されることが好ましい。また、着色材は、最終的にフィルタセグメント中に好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%の割合で含有され、その残部は透明樹脂や活性エネルギー線硬化樹脂およびモノマーもしくはオリゴマーから実質的になる。
有機溶剤は、着色材を十分に透明樹脂中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に本発明の着色組成物を乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために用いられる。有機溶剤は、着色材100重量部に対して、好ましくは800〜4000重量部、より好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
【0027】
有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0028】
本発明の着色組成物に用いるモノマー、オリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0029】
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線等の光照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤は、着色材100重量部に対して、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
【0030】
これらの光重合開始剤は、単独であるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル−9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜60重量部の量で用いることができる。
【0031】
本発明の着色組成物には、適宜、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色材の分散に優れ、分散後の着色材の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色材を透明樹脂に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。分散助剤は、着色材100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
【0032】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0033】
本発明の着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤は、着色材100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部の量で用いることができる。
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0034】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタである。カラーフィルタには、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備する加法混色型、および少なくとも1つのマゼンタ色フィルタセグメント、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメント、および少なくとも1つのイエロー色フィルタセグメントを具備する減法混色型のものがあり、少なくとも1つのフィルタセグメントが、本発明の着色組成物を用いて形成される。
【0035】
本発明のカラーフィルタは、フォトリソグラフィー法により、本発明の着色組成物を用いて基板上に各色のフィルタセグメントを形成することにより製造することができる。
基板としては、可視光に対して透過率の高いガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントの形成は、下記の方法で行う。すなわち、光照射により硬化する上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型の着色レジスト材として調製した各色着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0036】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【実施例】
【0037】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」および「%」とは、「重量部」および「重量%」を意味する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。また、顔料の比表面積は、窒素吸着によるBET法で求めた比表面積であり、測定には自動蒸気吸着量測定装置(日本ベル社製「BELSORP18」)を用いた。
【0038】
(緑色処理顔料の調製)
[緑色顔料1]
フタロシアニン系緑色顔料C.I.Pigment Green36(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン 6YK」):500部、塩化ナトリウム:2500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃で2時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の緑色処理顔料を得た。
[緑色顔料2]
緑色顔料1の製造法において、ニーダーによる混練時間を6時間に変更した以外は同様にして緑色顔料2を得た。
【0039】
(黄色処理顔料の調製)
[黄色顔料1]
キノフタロン系黄色顔料C.I.Pigment Yellow138(BASF社製「パリオトールイエロー K0960−HD」):500部、塩化ナトリウム:2500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃で12時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、490部の黄色処理顔料を得た。
[黄色顔料2]
黄色顔料1の製造法において、塩化ナトリウムの量を5000部に変更した以外は同様にして黄色顔料2を得た。
【0040】
(透明樹脂の合成例1)
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸20.0部、メチルメタクリレート10.0部、n−ブチルメタクリレート55.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、透明樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した透明樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂溶液を調製した。得られた透明樹脂1(分別前)のMwは40000、Mw/Mnは2.4であった。
【0041】
また、得られた樹脂溶液を溶剤分別法(樹脂溶液を蒸留して溶液濃度を上げ、貧溶媒であるメタノールに析出させた)により分別し、より分子量分布の狭い、より高分子量な樹脂溶液(多段分別1))を得た。透明樹脂1(多段分別1))は、Mw=68000、Mw/Mn=2.1であった。さらに、透明樹脂1(多段分別1))の一部の分別を続け、Mw=84000、Mw/Mn=1.6の透明樹脂1(多段分別2))を得た。分別後の透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、分別後の透明樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂溶液を調製した。
【0042】
(透明樹脂の合成例2)
反応容器にシクロヘキサノン70部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でn−ブチルメタクリレート7.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸5.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、シクロヘキシルマレイミド5.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.2部をシクロヘキサノン10部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、透明樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した透明樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂溶液を調製した。得られた透明樹脂2(分別前)のMwは29000、Mw/Mnは2.3であった。
【0043】
また、得られた樹脂溶液を溶剤分別法により分別し、より分子量分布の狭い、より高分子量な樹脂溶液(多段分別1))を得た。透明樹脂2(多段分別1))は、Mw=47000、Mw/Mn=1.9であった。また、透明樹脂2(多段分別1))の一部の分別を続け、Mw=53000、Mw/Mn=1.9の透明樹脂2(多段分別2))を得た。さらに、透明樹脂2(多段分別2))の一部の分別を続け、Mw=78000、Mw/Mn=1.7の透明樹脂2(多段分別3))を得た。分別後の透明樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、分別後の透明樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して樹脂溶液を調製した。
【0044】
[実施例1]
(緑色チップ製造方法)
下記の組成の混合物を予め充分混合した後、2本ロールミルにて練肉し、シート状物とした。このシート状物を数枚に折り畳み、再度2本ロールミルに通した。この工程を10〜40回繰り返し行った後、粉砕機で粉砕することでカラーチップを作製した。
緑色顔料:緑色顔料1 11.0部
顔料誘導体(下記式(1)) 1.0部
式(1)
【化1】

合成例2の透明樹脂溶液(多段分別1)) 20.0部
【0045】
(緑色顔料分散体の製造方法)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体を作製した。
先に調整した緑色チップ 16.0部
合成例2の透明樹脂溶液(多段分別1)) 20.0部
シクロヘキサノン 64.0部
【0046】
(黄色チップ製造方法)
下記の組成の混合物を予め充分混合した後、2本ロールミルにて練肉し、シート状物とした。このシート状物を数枚に折り畳み、再度2本ロールミルに通した。この工程を10〜40回繰り返し行った後、粉砕機で粉砕することでカラーチップを作製した。
黄色顔料:黄色顔料2 11.0部
顔料誘導体(下記式(2)) 1.0部
式(2)
【化2】

合成例2の透明樹脂溶液(多段分別1)) 20.0部
【0047】
(黄色顔料分散体の製造方法)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で3時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体を作製した。
先に調整した黄色チップ 16.0部
合成例2の透明樹脂溶液(多段分別1)) 20.0部
シクロヘキサノン 64.0部
【0048】
(緑色着色組成物の製造方法)
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、感光性を有する緑色着色組成物を得た。
先に調整した緑色顔料分散体 43.2部
先に調整した黄色顔料分散体 23.8部
合成例2の透明樹脂溶液(多段分別1)) 5.0部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 4.0部
光重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュアー907」)
1.4部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.2部
シクロヘキサノン 22.4部
【0049】
[実施例2〜7、比較例1〜6]
表1に示す顔料、透明樹脂および樹脂型分散剤を実施例1と同様に配合して感光性を有する着色組成物(レジスト材)を得た。なお、樹脂型分散剤を添加する場合には、チップ製造時に透明樹脂溶液を6.0部控え、代わりに表1に示す樹脂型分散剤を固形分で1.2部添加した。また、比較例では、透明樹脂として溶剤分別する前のもの、多段階溶剤分別したものを用いた。
【0050】
得られた着色組成物について、粘度を測定した。また、得られた着色組成物を、スピンコーターを用いて、回転数を変えて乾燥膜厚が約2μm前後となるように3点の塗布基板を作製した。塗布後80℃で30分、熱風オーブンで乾燥したのち、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、紫外線を露光した。塗膜基板それぞれの膜厚およびコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が2μmにおけるコントラスト比を一次相関法で求めた。さらに、この塗膜基板をクリーンオーブンにて230℃で40分間ポストベイクし、同様にコントラスト比測定を行った。さらに、得られた着色組成物を用いて塗布基板を作製し、現像性を評価した。結果を表2に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
(着色組成物の粘度の測定方法)
着色組成物の粘度は、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて回転数20rpmにおける粘度を測定した。
(塗膜のコントラスト比の測定方法)
液晶ディスプレー用バックライトユニット(7)から出た光は、偏光板(6)を通過して偏光され、ガラス基板(5)上に塗布された着色組成物の乾燥塗膜(4)を通過し、偏光板(3)に到達する。偏光板(6)と偏光板(3)の偏光面が平行であれば、光は偏光板(3)を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板(3)により遮断される。しかし、偏光板(6)によって偏光された光が着色組成物の乾燥塗膜(4)を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり、偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは偏光板(3)を透過する光量が減り、偏向板が直行のときは偏光板(3)を一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と、直行のときの輝度との比(コントラスト比)を算出した。
【0053】
(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)
従って、着色組成物の乾燥塗膜(4)の顔料により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直行のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
なお、輝度計(1)としては色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF−G1220DUN」)を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスク(2)を当てた。
【0054】
(塗膜基板の現像性の評価方法)
得られた着色組成物を、スピンコーターを用いて、乾燥膜厚が約2μm前後となるように一定の回転数で塗布し(1サンプルにつき4枚)、塗布基板を作製した。この1サンプルにつき4枚の塗布基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いて、それぞれ任意時間(0秒、10秒、20秒、30秒)スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。現像後の塗膜基板の膜厚を測定し、(現像時間)vs(現像された膜厚)の傾きより、現像速度(s/μm)を求めた。求めた現像速度から、次のように評価を行った。現像速度が0〜40s/μm:○、現像速度が40s/μm〜:×。
【0055】
【表2】

実施例のように、適正範囲の分子量、分子量分布を有する透明樹脂を用いることにより、高コントラストで耐熱性に優れるカラーフィルタ用着色組成物を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】コントラスト比を測定するための測定装置の概念図である。
【符号の説明】
【0057】
1 輝度計
2 マスク
3 偏光板
4 着色組成物乾燥塗膜
5 ガラス基板
6 偏光板
7 バックライトユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂および着色材を含有する着色組成物であって、前記透明樹脂の重量平均分子量(Mw)が46000〜80000の範囲であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.7〜2.2の範囲であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項2】
前記透明樹脂が、共重合成分として、N−置換マレイミドを含むことを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
前記N−置換マレイミドが、シクロヘキシルマレイミドであることを特徴とする請求項2記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項4】
前記着色材が、赤色顔料または紫色顔料または黄色顔料であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項5】
前記赤色顔料がC.I.Pigment Red 254、前記黄色顔料がC.I.Pigment Yellow 138、139、前記紫色顔料がC.I.Pigment Violet 23であることを特徴とする請求項4記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。

【図1】
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【公開番号】特開2008−70682(P2008−70682A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250331(P2006−250331)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】