説明

カラーフィルタ用青色着色組成物およびカラーフィルタ

【課題】高い明度と広い色再現領域を可能にする、カラーフィルタを形成できるカラーフィルタ用青色着色組成物、およびこれを用いたカラーフィルタを提供すること。
【解決手段】着色剤が、少なくとも、フタロシアニンブルー顔料と一般式(1)であらわされる色素とからなるカラーフィルタ用青色着色組成物〔一般式(1)において、R1はNまたはCHを、Dは電子供与性基を、Aは電子受容性基を、R2,R3は水素、または、炭素数1〜6の置換基をあらわし、R2とR3とで環を形成していてもよい。〕。
一般式(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用青色着色組成物に関する。詳しくは、高い明度と広い色再現領域を有するカラーフィルタが形成可能なカラーフィルタ用青色着色組成物、およびそれを用いてなるカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタを使用する画像表示装置としては、たとえば(A)光源としてのバックライト、光シャッターとしての液晶、色調整機能(色変換機能、色分解機能、色補正機能など)を有するカラーフィルタの組み合わせからなる液晶表示装置、(B)発光を表示にあわせて、短時間でON−OFFを繰り返し、光シャッターとしての液晶を用いない、光源とカラーフィルタからなる表示装置などが挙げられる。
【0003】
表示装置の多様化によって、カラーフィルタには様々な光源で、選択的に色純度の高い光を透過することが求められる。高い選択性、透過率を達成するために、従来、青色フィルタセグメントの形成に用いられる着色組成物には、一般に耐性および色調に優れたフタロシアニン顔料が用いられることが多い。このフタロシアニン顔料には、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、アルミニウム等の種々の中心金属を持つものが知られている。中でも、銅フタロシアニンは、最も色調が鮮明であることから、広く用いられているが、銅フタロシアニン以外の、メタルフリーフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、コバルトフタロシアニン等の異種金属フタロシアニンも実用化されている。また、フタロシアニン顔料は、α型、β型、δ型、ε型等の異なる結晶型を持ち、それぞれが鮮明で着色力も高いという優れた性質を持っていることから、カラーフィルタ用顔料として優れている。従来のカラーフィルタにおいては、これらの銅フタロシアニン顔料をジオキサジン系顔料のC.I.ピグメント バイオレット(Pigment Violet) 23等と組み合わせることで、高い明度と広い色表示領域を達成してきた。
【0004】
しかし、要求の高度化に伴う、更なる高い明度や、広い色再現領域を達成することは困難になってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−279617号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】市村国宏監修、「最先端カラーフィルターのプロセス技術とケミカルス」株式会社シーエムシー出版、2006年4月1日発行、p.79〜83
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような現状に鑑みなされたもので、高い明度と広い色再現領域が可能なカラーフィルタを形成できるカラーフィルタ用青色着色組成物、およびこれを用いて形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタを提供すること、さらにはこのカラーフィルタを装備したカラー表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記諸問題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、カラーフィルタ用青色着色組成物の着色剤として、従来用いられているフタロシアニンブルー顔料に、一般式(1)であらわされる色素を組み合わせ使用することにより、高い明度と広い色再現領域が可能となること見出し、この知見に基づいて本発明をなしたものである。
【0009】
すなわち本発明は、着色剤が、少なくとも、フタロシアニンブルー顔料と一般式(1)であらわされる色素とからなるカラーフィルタ用青色着色組成物に関する。
【0010】
一般式(1)
【0011】
【化1】

【0012】
〔一般式(1)において、R1はNまたはCHを、Dは電子供与性基を、Aは電子受容性基を、R2,R3は水素、または、炭素数1〜6の置換基をあらわし、R2とR3とで環を形成していてもよい。〕
【0013】
また、本発明は、フタロシアニンブルー顔料が、C.I.ピグメント ブルー 15:6およびC.I.ピグメント ブルー 15:1から選ばれた少なくとも1種である上記発明のカラーフィルタ用青色着色組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、透明樹脂を含むことを特徴とする上記いずれかの発明のカラーフィルタ用青色着色組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、モノマーおよび/または重合開始剤を含むことを特徴とする上記いずれかの発明のカラーフィルタ用青色着色組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントおよび少なくとも1つの青色フィルタセグメントを有するカラーフィルタにおいて、前記青色フィルタセグメントの少なくとも1つが、上記いずれかの発明のカラーフィルタ用青色着色組成物から形成されてなることを特徴とするカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては着色剤として少なくともフタロシアニンブルー顔料と一般式(1)で示される色素を使用した青色着色組成物により形成されるカラーフィルタを組み合わせることで、高い明度、広い色表示領域、高いコントラスト比をもったカラー表示装置を得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
〔本発明のカラーフィルタ用青色着色組成物の第一の形態(カラーフィルタ用青色顔料ペーストあるいは青色着色インキ形態)〕
本発明のカラーフィルタ用青色着色組成物の好ましい形態のうち、具体的な第一の形態は、着色剤と、透明樹脂と、溶剤とを含む顔料分散体からなるカラーフィルタ用青色着色組成物であって、該着色剤が少なくともフタロシアニンブルー顔料と、一般式(1)であらわされる色素からなるカラーフィルタ用青色着色組成物である。この第一の形態の青色着色組成物は、後で説明する本発明の第三の形態カラーフィルタ用青色着色組成物(レジスト組成物)やカラーフィルタ形成用青色組成物(着色インキ組成物)の着色剤成分(顔料ペースト)として用いることができるし、また粘度、使用材料、製造方法の選択により、これ自身をカラーフィルタの青色フィルタセグメントを形成するための青色着色組成物(着色インキ組成物)として使用することもできる。以下、本発明の第一の形態のカラーフィルタ用青色着色組成物に用いられる着色剤、透明樹脂、溶剤、必要に応じ用いられる分散性向上剤、分散助剤などのその他の成分について順次説明する。
【0019】
〔着色剤〕
青色着色組成物の着色剤としては、少なくともフタロシアニンブルー顔料と一般式(1)であらわされる色素が用いられる。先ず、フタロシアニンブルー顔料としては、例えばC.I.ピグメント ブルー 5、C.I.ピグメント ブルー 15:1、C.I.ピグメント ブルー 15:2、C.I.ピグメント ブルー 15:3、C.I.ピグメント ブルー 15:4、C.I.ピグメント ブルー 15:6、C.I.ピグメント ブルー 16、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、パラジウムフタロシアニン、白金フタロシアニンなどの顔料が挙げられ、中でも、ε型、α型の構造を有する銅フタロシアニンブルー顔料が好ましい。このような好ましい顔料は、具体的にはC.I.ピグメントブルー 15:6およびC.I.ピグメント ブルー 15:1である。
【0020】
次いで、一般式(1)であらわされる色素について説明する。分子中の特定の位置に電子供与性基、電子受容性基を持つことが、特定の波長を透過させ、明度向上をさせるために必要である。
【0021】
一般式(1)
【0022】
【化2】

【0023】
一般式(1)において、R1はNまたはCHを、Dは電子供与性基を、Aは電子受容性基を、R2,R3は水素、または、炭素数1〜6の置換基をあらわし、R2とR3とで環を形成していてもよい。
【0024】
電子供与性基とは、当該基の結合した芳香性の炭素原子の電荷密度を高める効果を持つ置換基であり、具体的には、アミノ基や水酸基などが挙げられる。アミノ基や水酸基には直接、または2価の連結基を介して置換基が結合していても良い。2価の連結基としては、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−OCO−、−NHCO−、−OCOO−など例としてあげられる。
直接、または2価の連結基を介して結合していても良い置換基としては、
1価の脂肪族炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、1価の脂肪族複素環基、1価の芳香族複素環基、があげられる。
【0025】
ここで、1価の脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基を指し、そのようなものとしては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基があげられる。
【0026】
したがって、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基があげられる。
【0027】
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基があげられる。
【0028】
また、アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基があげられる。
【0029】
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基、2−ボルニル基、2−イソボルニル基、1−アダマンチル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基があげられる。
【0030】
さらに、1価の芳香族炭化水素基としては、好ましくは炭素数6〜30の1価の単環、縮合環、環集合芳香族炭化水素基があげられる。ここで、炭素数6〜30の1価の単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜30の1価の単環芳香族炭化水素基があげられる。
【0031】
また、1価の縮合環芳香族炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−トレフェニレニル基、2−インデニル基、1−アセナフチレニル基、2−ナフタセニル基、2−ペンタセニル基等の炭素数10〜30の1価の縮合環炭化水素基があげられる。
【0032】
また、1価の環集合芳香族炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、テルフェニリル基、7−(2−ナフチル)−2−ナフチル基等の炭素数12〜30の1価の環集合芳香族炭化水素基があげられる。
【0033】
また、1価の脂肪族複素環基としては、3−イソクロマニル基、7−クロマニル基、3−クマリニル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリノ基等の炭素数3〜18の1価の脂肪族複素環基があげられる。
【0034】
また、1価の芳香族複素環基としては、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−キノリル、5−イソキノリル基等の炭素数3〜30の1価の芳香族複素環基があげられる。
【0035】
これら置換基は、さらに他の置換基によって、直接または、前記の2価の連結基を介して、置換されていても良く、また、これら置換基同士が結合し、環を形成していても良い。
【0036】
電子受容性基とは、当該基に含まれる芳香性を有する炭素原子の電荷密度を下げる効果がある置換基であり、具体的には、ケトン基や、一般式(2)であらわされる置換基が挙げられる。R4、R5としては、電子供与性基のアミノ基に結合しても良い基と同一である。
【0037】
-は、塩を形成できるアニオンであり、着色がないイオンであれば、適宜選択することができる。1価アニオンの例としては、塩素、臭素などのハロゲンイオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、硝酸イオン、リンタングステン酸イオン、リンモリブデン酸イオン、リンタングステンモリブデン酸イオン、シリコンモリブデン酸イオン、銅シアン化鉄酸イオンなどが挙げられる。2価アニオンの例としては、硫酸イオン、炭酸イオン、シュウ酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられる。3価アニオンの例としては、リン酸イオン、ホウ酸イオンなどが挙げられる。
【0038】
一般式(2)
【0039】
【化3】

【0040】
ここに、一般式(1)でしめされる色素を、具体的に構造例示する。
【0041】
例示色素1
【0042】
【化4】

【0043】
例示色素2
【0044】
【化5】

【0045】
例示色素3
【0046】
【化6】

【0047】
例示色素4
【0048】
【化7】

【0049】
例示色素5
【0050】
【化8】

【0051】
例示色素6
【0052】
【化9】

【0053】
例示色素7
【0054】
【化10】

【0055】
例示色素8
【0056】
【化11】

【0057】
例示色素9
【0058】
【化12】

【0059】
例示色素10
【0060】
【化13】

【0061】
例示色素11
【0062】
【化14】

【0063】
例示色素12
【0064】
【化15】

【0065】
例示色素13
【0066】
【化16】

【0067】
例示色素14
【0068】
【化17】

【0069】
ここに例示した色素は、試薬として試薬メーカーから入手可能である。
【0070】
一般式(1)であらわされる色素は、透過スペクトルにおいて650nmの領域で透過率が90%以上であり、600nmの領域で透過率が75%以上、500〜550nmの領域で透過率が20%以下、400nmの領域で透過率が70%以上であるものが好ましい。より好ましくは、650nmの領域で透過率が95%以上であり、600nmの領域で透過率が80%以上、500〜550nmの領域で透過率が10%以下、400nmの領域で透過率が75%以上である。
【0071】
フタロシアニンブルー顔料と一般式(1)であらわされる色素の使用割合は、フタロシアニンブルー顔料100重量部に対し一般式(1)であらわされる色素10〜150重量部が好ましい。
【0072】
〔透明樹脂〕
本発明の青色着色組成物に好ましく用いる透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および光硬化性樹脂のいずれであってもよく、顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計を基準として、30〜500重量%の量で用いることができる。30重量%未満では、成膜性および諸耐性が不十分となり、500重量%より多いと顔料濃度が低く、色特性を発現できない。
【0073】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0074】
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0075】
着色組成物が、アルカリ現像型着色レジストの形態で用いる場合は、(メタ)アクリル酸共重合体樹脂(アルカリ可溶性アクリル樹脂)等の酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂を使用することが好ましい。顔料を好ましく分散させるためには、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0076】
本発明において樹脂の平均分子量(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))はGPCにより次の条件で測定される。
【0077】
装 置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソ−社製)
温 度:135℃
溶 媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流 速:1.0ml/min
試 料:0.15%の試料を0.4ml注入
【0078】
以上の条件で測定し、試料の平均分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0079】
光硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基、及びカルボキシル基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を導入した樹脂が好ましく用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0080】
〔溶剤〕
本発明の第一の形態の着色組成物には、顔料を充分に顔料担体中に分散させるため、またガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成する際、塗膜形成を容易にするために、溶剤が含有される。
【0081】
溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これら溶剤は、単独でもしくは混合して用いられる。溶剤は、第一の形態による着色組成物が、第三の形態の着色組成物などの顔料ペーストとして用いられる場合には、顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計を基準にして、800〜4000重量%の量で用いることが好ましい。
【0082】
〔色素誘導体〕
本発明のカラーフィルタ用青色着色組成物においては、顔料の分散性を改善する目的で色素誘導体を用いることが可能である。色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。このような有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、およびアントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。色素誘導体を用いる場合、その配合量は、顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計を基準として、好ましくは0.001〜40重量%、分散性の観点から、更に好ましくは0.1〜30重量%、耐熱性および耐光性の観点から、最も好ましくは0.5〜25重量%である。顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計に対し色素誘導体の配合量が、0.001重量%未満であると分散性が悪くなる場合があり、40重量%を超えると耐熱性、耐光性が悪くなる場合がある。
【0083】
〔分散助剤〕
顔料を顔料担体中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
【0084】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。樹脂型分散剤の配合量は、顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計を基準として、好ましくは0.001〜40重量%、分散性の観点から、更に好ましくは0.1〜35重量%、耐熱性および耐光性の観点から、最も好ましくは0.5〜30重量%である。顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計に対し樹脂型顔料分散剤の配合量が、0.001重量%未満であると分散性が悪くなる場合があり、40重量%を超えると耐熱性、耐光性が悪くなる場合がある。
【0085】
〔レベリング剤〕
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100重量%)として0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0086】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0087】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0089】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0090】
〔硬化剤、硬化促進剤〕
また、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂全量に対し、0.01〜15重量%が好ましい。
【0091】
〔その他の添加剤成分〕
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0092】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計を基準として、0.1〜10重量%の量で用いることができる。
【0093】
シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、着色組成物中の顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0094】
〔第一の形態による着色組成物の製法〕
本発明の第一の形態による着色組成物は、着色剤(着色剤が顔料ペーストとして供給される場合には顔料ペースト)、透明樹脂、溶剤、必要に応じて色素誘導体や分散助剤などのその他の成分を、湿式粉砕機により処理することにより得られる。本発明において用いられる湿式粉砕機としては、アトライター、サンドミル、ダイノミル、ボールミル、スーパーアペックスミル、スパイクミル、コボールミル、ダイヤモンドファインミル、DCPミル、OBミル等のメジア型湿式粉砕機、あるいはホモジナイザー、マイコロイダー、トリゴナル、スラッシャー、コロイドミル、キャビトロン、ゴラトール、ジーナス、クレアミックス等のメジアレス型湿式粉砕機が挙げられる。分散方法は循環およびパス分散のいずれでもよい。さらに、本発明の第一の形態による着色組成物は、別々に微細に分散した複数の着色剤を混合して製造することもできる。
【0095】
〔粗大粒子の除去〕
本発明の第一の形態による着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは、着色組成物中の粒子の粒子径は0.3μm以下であることが好ましい。なお、ここでの粒子径は、SEMにより測定した粒子径を意味する。
【0096】
〔本発明のカラーフィルタ用青色組成物の第二の形態(チップ形態)〕
本発明のカラーフィルタ用青色組成物の第二の形態は、着色剤と熱可塑性樹脂とを含むチップの形態とされた着色組成物であり、該着色剤は少なくともフタロシアニンブルー顔料と、一般式(1)であらわされる色素を含むものである。
【0097】
〔第二の形態による着色組成物の製法〕
本発明の第二の形態による着色組成物は、着色剤および熱可塑性樹脂、必要に応じて色素誘導体や分散助剤などのその他の成分を、ヘンシェルミキサー、クーラーミキサー、ナウターミキサー、ドラムミキサー、タンブラー等を用い混合した後に、バンバリーミキサー、コニーダー、二本ロールミル、一軸押出機、二軸押出機等により加熱、混練し、冷却後粉砕することにより製造される。こうして製造された顔料チップは、必要に応じ、ハンマーミル、ターボクラッシャー、エアージェットミルなどの各種粉砕装置を用い微細化され、第一の形態の顔料ペーストや青色フィルタセグメント形成用青色着色組成物(インキ形態)のための着色剤として使用することができる。
【0098】
〔本発明のカラーフィルタ用青色着色組成物の第三の形態(例えば、着色レジスト形態)〕
本発明のカラーフィルタ用青色着色組成物の第三の形態は、着色剤と、透明樹脂と、溶剤と、モノマーおよび/または重合開始剤とを含む着色組成物であって、該着色剤が少なくともフタロシアニンブルー顔料と、一般式(1)であらわされる色素を含み、本発明の第一の形態である着色組成物の、それ自身がカラーフィルタの青色フィルタセグメントを形成するために用いられる青色組成物に、さらにモノマーおよび/または重合開始剤が必須の成分として含まれるものである。したがって、第三の形態のカラーフィルタ用青色着色組成物における、モノマーおよび/または重合開始剤以外の成分、更には必要に応じこれとともに用いられる増感剤を除き、使用される組成物成分は、基本的には第一の形態の、それ自身がカラーフィルタの青色フィルタセグメントを形成するために用いられる青色組成物で用いられる成分と特に異なるものではない。このため、以下では、第一の形態では任意成分であるモノマーと重合開始剤、更にはこれらとともに用いられる増感剤について説明を行う。なお、第三の形態のカラーフィルタ用青色着色組成物が、第一の形態のカラーフィルタ用青色着色組成物(顔料ペースト)を着色剤成分として用いて形成される場合には、第一の形態のカラーフィルタ用青色着色組成物(顔料ペースト)と、モノマー、重合開始剤、さらに必要に応じ透明樹脂、溶剤、レベリング剤、貯蔵安定剤、シランカップリング剤など第一の形態で詳述したその他の成分から形成されることが好ましい。本発明の重合開始剤には、光重合開始剤と熱重合開始剤が含まれる。
【0099】
〔モノマー〕
本発明のモノマーは、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー〔いわゆる「オリゴマー」と称される化合物も、本発明の「モノマー」に包含されるものとする。〕が好ましく用いられ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。モノマーの配合量は、顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計を基準として、5〜400重量%であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量%であることがより好ましい。
【0100】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これら活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーは、単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0101】
〔光重合開始剤〕
本発明の第三の形態におけるカラーフィルタ用着色組成物には、該組成物を紫外線などの照射により硬化させ、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤が必要に応じ添加される。なお、第一形態で透明樹脂として光硬化性樹脂が用いられる場合にも光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤を使用する際の配合量は、顔料および一般式(1)で表される色素の重量の合計を基準として、5〜200重量%であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜150重量%であることがより好ましい。
【0102】
光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が挙げられる。上記光重合開始剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0103】
〔増感剤〕
また、必要に応じ、上記光重合開始剤とともに増感剤が用いられてもよい。増感剤としては、上記光重合開始剤の増感剤として従来から知られている任意のものを用いることができる。具体的には、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。増感剤を使用する際の配合量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤を基準として、3〜60重量%であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量%であることがより好ましい。
【0104】
〔熱重合開始剤〕
透明樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて熱重合開始剤が含まれてもよい。熱重合開始剤としては、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびtert−ブチルペルジエチルアセテート、その他アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートが挙げられる。
【0105】
〔第三の形態による着色組成物の製法〕
本発明の第三の形態による着色組成物は、着色剤、透明樹脂、溶剤、必要に応じて色素誘導体を三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して作製し、モノマーおよび/または重合開始剤と必要に応じて上述したその他の成分を公知の手段で添加・混合することにより得られる。また、本発明の第三の形態による着色組成物では、前記したように第一の形態の青色着色組成物(顔料ペースト)が着色剤として用いられてもよく、またこのような方法が好ましい態様である。また、数種類の顔料を別々に微細に分散して顔料分散体を作製し、これを混合し、さらにモノマーおよび/または重合開始剤と必要に応じて上述したその他の成分を公知の手段で添加・混合して製造することもできる。
【0106】
〔粗大粒子の除去〕
本発明の第三の形態による着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは、着色組成物中の粒子の粒子径は0.3μm以下であることが好ましい。なお、ここでの粒子径は、SEMにより測定した粒子径を意味する。
【0107】
〔カラーフィルタ〕
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントおよび少なくとも1つの青色フィルタセグメントを備えたカラーフィルタにおいて、前記青色フィルタセグメントの少なくとも1つが、本発明のカラーフィルタ用青色着色組成物から形成されてなることを特徴とするものである。
【0108】
〔青色フィルタセグメント〕
本発明のカラーフィルタの青色フィルタセグメントは、上記のとおり着色剤として、少なくとも、フタロシアニンブルー顔料と一般式(1)であらわされる色素とを含有することを特徴とするものである。このような青色フィルタセグメントは、上記した本発明のカラーフィルタ用青色着色組成物を用いて形成することができる。形成方法としては、青色着色組成物の組成に応じ、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフ法など、従来カラーフィルタセグメントを形成する方法として公知あるいは周知の方法のいずれかの方法が採用されればよい。
【0109】
一般式(1)であらわされる色素は、その透過率特性において、450〜480nm付近に高い透過率を持ち、また500〜550nm付近に強い光吸収を持っているため、この領域の光を効率よくカットすることが可能である。従来、冷陰極管タイプバックライトなどを光源として用いる表示装置においては、青色フィルタセグメントを形成するための青色着色組成物においては、着色剤として銅フタロシアニンブルー顔料とともにジオキサジン系顔料が用いられてきた。500〜550nm付近の領域の光がカットされることにより、良好な発色性が得られるのであるが、ジオキサジン系顔料は、500〜550nmの領域の光をカットする能力が十分でないことから、従来の銅フタロシアニンブルー顔料とジオキサジン系顔料とを用いたカラーフィルタ用青色着色組成物を用いて青色フィルタセグメントを形成するには、500〜550nmの領域の光をカットするためカラーフィルタの膜厚を厚くする必要があった。ジオキサジン系顔料は460nm近辺にも500〜550nm領域より大きな光吸収を持っている。このため、厚膜化により460nm付近のピーク近辺の透過率も低下し、結果としてカラーフィルタの明度が下がってしまう。
【0110】
これに対して、一般式(1)であらわされる色素を銅フタロシアニンブルー顔料と組み合わせることによって、従来のカラーフィルタ用着色組成物よりも格段に優れた明度と色表示領域を持ったカラーフィルタを得ることが可能となった。CIE色度座標におけるsRGBやNTSCといった規格領域付近の比較的高濃度における色を再現するには、青色フィルタセグメントが最適な色相を具備する必要がある。規格領域付近の色を再現するには、高い着色力と高い明度を持ったフタロシアニンブルー顔料がある程度の量必要であるが、一般式(1)であらわされる色素がフタロシアニンブルー顔料100重量部に対して150重量部より多い場合、高い明度は発揮されるものの、広い色表示領域は達成できない。一方、一般式(1)であらわされる色素が、フタロシアニンブルー顔料100重量部に対して10重量部より少ないと、広い色表示領域は達成できるが、高い明度は達成できなくなってしまう。本発明の着色剤として用いられるフタロシアニンブルー顔料は、透過スペクトルにおいて450nmの領域で透過率が80%以上であり、500nmの領域で透過率が70%以上、550〜600nmの領域で透過率が30%以下であるものが好ましい。
【0111】
高い明度と広い色表示領域を達成するために、本発明者らは検討を重ねた結果、上記の如く青色用フィルタセグメントとして、フタロシアニンブルー顔料と一般式(1)であらわされる色素からなるカラーフィルタ用青色着色組成物を用いることによって従来の課題が解決できたのである。
【0112】
〔緑色フィルタセグメント〕
本発明のカラーフィルタの緑色フィルタセグメントには、着色剤として、緑色顔料が含まれる。緑色顔料としは、例えばC.I.ピグメント グリーン 7、10、36、37、58等が挙げられる。
【0113】
また、緑色フィルタセグメントには、着色剤として黄色顔料が併用されてもよい。黄色顔料としては、C.I.ピグメント イエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等が挙げられる。
【0114】
本発明のカラーフィルタの緑色フィルタセグメントを形成するには、上記の如き緑色顔料および黄色顔料を、例えば、透明樹脂成分、溶剤、さらには必要に応じモノマーや重合開始剤、その他青色着色組成物を形成する際に用いたと同様の材料を用い、青色着色組成物の製造と同様の方法によって緑色着色組成物を製造し、この緑色着色組成物を用いて、青色フィルタセグメントの形成と同様の方法により緑色フィルタセグメントを形成すればよい。
【0115】
〔赤色フィルタセグメント〕
本発明のカラーフィルタの赤色フィルタセグメントには、着色剤として、赤色顔料が含まれる。赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメント レッド 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料が挙げられる。
【0116】
また、本発明のカラーフィルタの赤色フィルタセグメントには、着色剤として、前記赤色顔料以外に、C.I.ピグメント オレンジ 43、71、73等の橙色顔料および/またはC.I.ピグメント イエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料が併用されてもよい。
【0117】
本発明のカラーフィルタの赤色フィルタセグメントを形成するには、上記の如き赤色顔料および必要に応じ橙色顔料あるいは黄色顔料を、例えば、透明樹脂成分、溶剤、さらには必要に応じモノマーや重合開始剤、その他青色着色組成物を形成する際に用いたと同様の材料を用い、青色着色組成物の製造と同様の方法によって赤色着色組成物を製造し、この赤色着色組成物を用いて、青色フィルタセグメントの形成と同様の方法により赤色フィルタセグメントを形成すればよい。
【0118】
〔カラーフィルタの製造〕
つぎに、本発明の着色組成物を用いたカラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上にフィルタセグメントを具備するものであり、例えば、ブラックマトリックスと、赤色、緑色、青色のフィルタセグメントとを備えることができる。前記フィルタセグメントは、例えば、スピンコート方式あるいはダイコート方式によって本発明の着色組成物を塗布することにより、基板上に形成することができる。このとき、モノマー、光重合開始剤などを含む着色組成物を用い、フォトリソグラフィー技術を用いて各セグメントを形成することができる。また、各セグメントを印刷方式により形成することも可能である。このときの印刷方式としては、従来の周知の印刷方式、あるいはインクジェット法などによることができる。
【0119】
カラーフィルタの基板としては、可視光に対して透過率の高い基板、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0120】
フィルタセグメントを形成する際、モノマー、光重合開始剤などを含む光硬化型着色組成物(着色レジスト)を用いる場合には、該着色組成物被膜は露光後現像される。現像液としては、従来感光性樹脂の現像の際に用いられている公知アルカリ現像液、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液やジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを使用することができる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【0121】
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0122】
透明基板または反射基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成しておくと、液晶表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板または反射基板上に薄膜トランジスタ(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントを形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0123】
カラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜などが形成される。
たとえば、TFT基板にカラーフィルタが設けられている場合、カラーフィルタの設けられたTFT基板をシール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。また、対向基板にカラーフィルタが形成されている場合には、カラーフィルタの形成された対向基板を制御基板にシール剤を用いて張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0124】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)などのカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例】
【0125】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、以下において、特にことわりがない限り、「部」とは「重量部」を意味する。
【0126】
まず、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液の調製から説明する。
(アクリル樹脂溶液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0127】
(青色顔料分散体1)
フタロシアニン顔料として青色顔料(東洋インキ製造社製 Lionol Blue ES C.I.ピグメント ブルー 15:6)11.0部、アクリル樹脂溶液40部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)48.0部、樹脂型分散剤(EFKA4300)1.0部の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し青色顔料分散体1を作製した。
【0128】
(青色顔料分散体2〜3、赤色顔料分散体1〜2、黄色顔料分散体1、緑顔料分散体1、黄色顔料分散体2、紫色顔料分散体1)
表1に示す顔料を用いることを除き、上記青色顔料分散体1の調製と同様にして、青色着色組成物(レジスト)に用いる青色顔料分散体2〜3、赤色顔料分散体1〜2、黄色顔料分散体1、緑顔料分散体1、黄色顔料分散体2、紫色顔料分散体1を作製した。
【0129】
【表1】

【0130】
[カラーフィルタ用着色組成物(レジスト)の調製]
(1)下記の手順でカラーフィルタ用青色着色組成物(レジスト)(以下、「青色レジスト」ということがある。)を調製した。
(青色レジスト1:本発明の第三の形態による着色組成物)
青色着色組成物(レジスト)を基板に塗布した際に、CIE色度座標がx=0.135、y=0.141になるように、青色分散体1へ、一般式(1)であらわされる色素として、例示化合物1を混合し、顔料分散体を得て、この顔料分散体60.0部、光重合開始剤(チバジャパン社製「イルガキュア907」)1.2部、ジペンタエリストリトールペンタアクリレートおよびヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM400」)4.2部、増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」)0.4部、アクリル樹脂溶液11.0部、メトキシプロピルアセテート23.2部が均一になるように攪拌混合し1.0μmのフィルタで濾過して、青色レジスト1を作製した。
【0131】
(青色レジスト2〜10:本発明の第二の形態による着色組成物)
表2に示す顔料分散体の組み合わせとすることを除き、青色レジスト1と同様にして、青色レジスト2〜10を作製した。
(比較青色レジスト1)
青色分散体1と紫色分散体1を用いて、青色着色組成物(レジスト)を基板に塗布した際に、CIE色度座標がx=0.135、y=0.141になるように混合し、顔料分散体を得て、この顔料分散体60.0部、光重合開始剤(チバジャパン社製「イルガキュア907」)1.2部、ジペンタエリストリトールペンタアクリレートおよびヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM400」)4.2部、増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」)0.4部、アクリル樹脂溶液11.0部、メトキシプロピルアセテート23.2部が均一になるように攪拌混合し1.0μmのフィルタで濾過して、比較青色レジスト1を作製した。
【0132】
(2)下記の手順でカラーフィルタ用赤色着色組成物(レジスト)(以下「赤色レジスト」ということがある。)を調整した。
(赤色レジスト)
赤色着色組成物(レジスト)を基板に塗布した際に、CIE色度座標がx=0.640、y=0.330になるような配合比に、赤色分散体1と赤色分散体2と黄色分散体1を混合し、顔料分散体を得て、この顔料分散体60.0部、光重合開始剤(チバジャパン社製「イルガキュア907」)1.2部、ジペンタエリストリトールペンタアクリレートおよびヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM400」)4.2部、増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」)0.4部、アクリル樹脂溶液11.0部、メトキシプロピルアセテート23.2部が均一になるように攪拌混合し、1.0μmのフィルタで濾過して、赤色レジストを作製した。
【0133】
(2)下記の手順でカラーフィルタ用緑色着色組成物(レジスト)(以下「緑色レジスト」ということがある。)を調整した。
(緑色レジスト)
緑色着色組成物(レジスト)を基板に塗布した際に、CIE色度座標がx=0.300、y=0.600になるような配合比に、緑色分散体1と黄色分散体2を混合し、顔料分散体を得て、この顔料分散体60.0部、光重合開始剤(チバジャパン社製「イルガキュア907」)1.2部、ジペンタエリストリトールペンタアクリレートおよびヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM400」)4.2部、増感剤(保土ヶ谷化学株式会社製「EAB−F」)0.4部、アクリル樹脂溶液11.0部、メトキシプロピルアセテート23.2部が均一になるように攪拌混合し1.0μmのフィルタで濾過して、緑色レジストを作製した。
[実施例1]
上記で得られた赤色レジストを、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板にスピンコーターを用いて、CIE色度座標がx=0.640、y=0.330になるような膜厚に塗布した。乾燥後、露光機にて積算光量150mJで、ストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液にて90秒間現像して、ストライプ形状の赤色フィルタセグメントを形成した。なお、アルカリ現像液は、炭酸ナトリウム0.15重量%、炭酸水素ナトリウム0.05重量%、陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)0.1重量%および水99.7重量%からなる。塗布基板を加熱、放冷後、赤色レジストと同様にして、緑色レジストをx=0.300、y=0.600になるような膜厚に塗布した。乾燥後、露光機にて赤色フィルタセグメントと隣接したストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液にて90秒間現像して、ストライプ形状の緑色フィルタセグメントを形成した。
【0134】
さらに、赤色レジストと同様にして、青色レジスト1を550nmにおける透過率が6%になるような膜厚に塗布した。乾燥後、露光機にてストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液にて90秒間現像して、赤色、緑色のフィルタセグメントと隣接したストライプ形状の青色フィルタセグメントを形成した。透明基板上に赤色、緑色、青色の3色のストライプ形状のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタが得られた。なお得られた塗膜の青色セグメント部分の透過スペクトルを、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。結果を表3に示す。
青色領域である470nmにおける透過率が高いものが高明度と判断した。
【0135】
[実施例2〜10、比較例1]
青色レジスト1に替えて、青色レジスト2〜10、比較青色レジスト1を用いて実施例1と同様にして、実施例2〜10および比較例1のカラーフィルタを作製した。実施例1と同様にして、青色フィルタセグメント部分の透過スペクトルを顕微分光光度計で測定した。結果を表3に示す。
【0136】
【表2】

【0137】
【表3】

【0138】
実施例1〜10と比較例1を比較すると、従来好適に用いられていたジオキサジン系顔料を含有するレジストに比べ、一般式(1)であらわされる色素を含有しているレジストにおいて高い透過率が得られていて、明度に有利であることがわかる。これよりフタロシアニンブルー顔料と、一般式(1)であらわされる色素を含むカラーフィルタ用着色組成物が優れていると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤が、少なくとも、フタロシアニンブルー顔料と一般式(1)であらわされる色素とからなるカラーフィルタ用青色着色組成物。
一般式(1)
【化1】

〔一般式(1)において、R1はNまたはCHを、Dは電子供与性基を、Aは電子受容性基を、R2,R3は水素、または、炭素数1〜6の置換基をあらわし、R2とR3とで環を形成していてもよい。〕
【請求項2】
フタロシアニンブルー顔料が、C.I.ピグメント ブルー 15:6およびC.I.ピグメント ブルー 15:1から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のカラーフィルタ用青色着色組成物。
【請求項3】
透明樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ用青色着色組成物。
【請求項4】
モノマーおよび/または重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタ用青色着色組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントおよび少なくとも1つの青色フィルタセグメントを有するカラーフィルタにおいて、前記青色フィルタセグメントの少なくとも1つが、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルタ用青色着色組成物から形成されてなることを特徴とするカラーフィルタ。

【公開番号】特開2010−256709(P2010−256709A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108068(P2009−108068)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】